JP3594258B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、コンピューターメモリー、画像及び音声ファイル用メモリー、光カードなどに利用される光情報記録媒体(以後記録媒体と略すこともある)に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機色素薄膜を記録層とする記録媒体において、該有機色素薄膜にフタロシアニン化合物を使用したものが知られている(特開昭58−183296号、同58−37851号公報等)。フタロシアニン化合物は熱、光に対する安定性が極めて高いという特長がある一方、有機溶剤等への溶解性に乏しく、従来は蒸着法でしか薄膜化はできず生産性に難点があり、また会合しやすく、高い屈折率、高い反射率が得られないという問題があった。
【0003】
一方、最近では、高記録密度化を図るべく従来の光ディスクで使用されてきた波長域より短波長に発振波長(〜680nm)を有する半導体レーザーが実用化されはじめている。ところが、従来の有機色素薄膜では700nm以下の波長域に光吸収能及び光反射能を有するものはなく、材料面で高密度記録性に限界があった。
【0004】
更に、基板上に、有機色素薄膜、金属反射層及び保護層を順次積層してなる追記コンパクトディスク型(CD−R)記録媒体においては、そのCD規格を満足するには高い反射率を必要とし、そのため再生波長域(700〜830nm)に高い屈折率を有し且つ安定性の高い有機色素材料の開発が必要であった。
【0005】
最近、フタロシアニン化合物の会合を阻止し高屈折率化を達成するために、フタロシアニンのα位にかさ高いアルコキシ基を導入することが試みられ、更にハロゲン化フタロシアニンとすることで波長整合を計ったCD−R型記録媒体が提案されている(特開平3−62878号、同3−215466号、同4−348168号、同4−226390号、同4−15263〜6号、同5−17477号、同5−86301号、同5−25177号、同5−25179号、同5−17700号、同5−1272号各公報等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これらのフタロシアニン化合物は確かに屈折率等の向上をもたらすが、未だ充分満足されるものではなく、更なる向上が望まれている。
【0007】
従って、本発明の第1の目的は、フタロシアニン化合物の持つ特長を生かしつつ、有機溶剤への溶解性が高く、生産性が高く、溶剤塗工可能なフタロシアニン化合物を記録材料とする記録媒体を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、高密度記録可能な630〜720nmの半導体レーザーを用いた光ピックアップに適用できる記録媒体を提供することにある。更に、本発明の第3の目的は、770〜830nmの波長域において高屈折率を有し、保存安定性及び再生安定性に優れた高反射率のCD−Rメディアの達成を可能とする記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
フタロシアニン化合物は大環状の平面化合物であり、極めて会合性が高く、そのため薄膜化すると吸収スペクトルがブロードになり、且つ反射率(屈折率)も低くなる性質を有している。
そこで、本発明は、フタロシアニン環への置換基として、立体的にかさ高い構造の置換基を導入し、会合を阻止し、高い吸収能及び高い反射率(屈折率)化を実現させ、且つ有機溶剤に対する溶解性をも向上させたものである。
【0009】
即ち、本発明によれば、基板上に直接又は下引き層を介して記録層を設けてなる光情報記録媒体において、前記記録層中に下記一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物を含有してなることを特徴とする光情報記録媒体が提供される。
【化1】
〔式中、M、X1〜X4、R1〜R4及びk〜nは、それぞれ以下のものを表わす。
M:2個の水素原子、ハロゲン原子若しくは酸素原子を有してもよい金属原子、又は−(OR5)p 基若しくは−(OSiR6R7R8)q 基を有してもよい金属原子、
R5〜R8:それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の1価の芳香族複素環基、
p、q:0〜2の整数、
X1〜X4:それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子、
R1〜R4:それぞれ独立に、塩素原子、臭素原子、メチル基のいずれか置換のアダマンタン残基、又はアダマンタン置換メチル残基、
k、l、m、n:それぞれ独立に0〜4の整数、但し全部が同時に0になることはなく、k、l、m、nが3以下の場合ベンゼン環の他の置換基は水素原子又はハロゲン原子である。〕
【0010】
また、本発明によれば、前記記録層上に金属反射層を設け、更にその上に保護層を設けてなり、CDフォーマット信号の記録を行なう追記コンパクトディスク型の記録媒体であることを特徴とする前記光情報記録媒体が提供される。更に、前記一般式(I)において、k=l=m=n=1又は2であり、置換位置が式中1又は/及び4であり、その他の置換基は水素原子又はハロゲン原子である前記光情報記録媒体が、また前記ハロゲン原子が臭素原子である前記光情報記録媒体がそれぞれ提供される。
【0011】
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、記録媒体の構成について述べる。
図1は、本発明の記録媒体に適用し得る層構成例を示す図で、基板1の上に、必要に応じて下引き層3を介して、記録層2を設け、更に必要に応じ保護層4が設けられる。
図2は、本発明の記録媒体に適用し得る別のタイプの層構成例を示す図で、図1の構成の記録層2の上に金属反射層5が設けられている。
【0012】
本発明の記録媒体は、図1及び図2に示した構成の記録層(有機薄膜層)を内側にして、他の基板と空間を介して密封したエアーサンドイッチ構造にしてもよく、また保護層を介して接着した貼合せ構造にしてもよい。
【0013】
次に、構成各層の必要特性及びその構成材料について述べる。
1)基板
基板の必要特性としては、基板側より記録再生を行なう場合には使用レーザー光に対して透明でなければならないが、記録層側から記録再生を行なう場合は透明である必要はない。基板材料としては、例えばポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチック、ガラス、セラミックあるいは金属などを用いることができる。なお、基板の表面にトラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス信号などのプレフォーマットが形成されていてもよい。
【0014】
2)記録層
記録層はレーザー光の照射により何らかの光学的変化を生じさせその変化により情報を記録できるものであって、この記録層中には前記一般式(I)のフタロシアニン化合物が含有されている必要がある。記録層の形成に当っては、本発明の化合物を1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。更に、本発明の化合物は他の染料、例えばポリメチン色素、ナフタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系染料、あるいは金属錯体化合物などと組み合わせて用いてもよい。この場合、上記の染料は単独で用いでもよいし、2種以上の組み合わせにしてもよい。
【0015】
また、本発明の化合物は金属、金属化合物、例えばIn、Al、Te、Bi、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cdなどを分散混合あるいは積層の形態で用いることもできる。更に、本発明の化合物中に高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材料若しくはシランカップリング剤などを分散混合して用いてもよく、あるいは特性改良の目的で安定剤(例えば、遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などと一緒に用いることができる。
【0016】
記録層の形成は蒸着、スパッタリング、CVD又は溶剤塗布などの通常の手段によって行なうことができる。塗布法を用いる場合には、上記化合物などを有機溶剤に溶解して、スプレー、ローラー塗布、ディッピング又はスピナー塗布などの慣用の塗布方法で行なう。有機溶剤としては、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノールなどアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭素類、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族類、あるいはメチルセルソルブ、エチルセルソルブなどのセルソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などを用いることができる。
記録層の膜厚は、図1のような媒体構成の場合は、100Å〜10μm、好ましくは200Å〜1000Åが適当であり、図2のような媒体構成の場合は、300Å〜5μm、好ましくは500Å〜2000Åが適当である。
【0017】
3)下引き層
下引き層は、(a)接着性の向上、(b)水又はガスなどに対するバリヤー
、(c)記録層の保存安定性の向上、(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板の保護、(f)案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成などを目的として使用される。(a)の目的に対しては高分子、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド、ビニル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の高分子物質及びシランカップリング剤などを用いることができ、(b)及び(c)の目的に対しては、上記高分子材料以外に無機化合物、例えばSiO2、MgF2、SiO、TiO2、ZnO、TiN、SiN、及びZn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Alなどの金属又は半金属などを用いることができる。また、(b)の目的に対しては、金属、例えばAl、Agなどや、金属光沢を有する有機薄膜、例えばメチン染料、キサンテン系染料などを用いることができ、(e)及び(f)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。下引き層の膜厚は0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
【0018】
4)金属反射層
金属反射層は単体で高反射率の得られる腐食されにくい金属、半金属などが使用できる。具体的材料としては、Au、Ag、Cu、Al、Cr、Niなどが挙げられ、好ましくはAu、Alがよい。これらの金属、半金属は単独で使用してもよく、2種以上の合金としてもよい。膜形成法としては蒸着、スパッタリングなどが挙げられ、膜厚としては50〜3000Å、好ましくは100〜1000Åである。
【0019】
5)保護層、基板表面ハードコート層
保護層又は基板表面ハードコート層は、(a)記録層を傷、埃、汚れなどから保護する、(b)記録層の保存安定性の向上、(c)反射率の向上などを目的として使用される。これらの目的に対しては、前記の下引き層に示した材料を用いることができる。また無機材料としてSiO、SiO2なども用いることもでき、有機材料としてアクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジンなどの熱軟化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。上記材料のうち保護層又は基板表面ハードコート層に最も好ましいものは、生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。保護層又は基板表面ハードコート層の膜厚は0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
本発明において、前記の下引き層及び保護層には記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを含有させることができる。
【0020】
本発明においては、前述したように、下記一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物が記録層に含有される。
【化1】
〔式中、M、X1〜X4、R1〜R4及びk〜nは、それぞれ以下のものを表わす。
M:2個の水素原子、ハロゲン原子若しくは酸素原子を有してもよい金属原子、又は−(OR5)p 基若しくは−(OSiR6R7R8)q 基を有してもよい金属原子、
R5〜R8:それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の1価の芳香族複素環基、
p、q:0〜2の整数、
X1〜X4:それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子、
R1〜R4:それぞれ独立に、塩素原子、臭素原子、メチル基のいずれか置換のアダマンタン残基、又はアダマンタン置換メチル残基、
k、l、m、n:それぞれ独立に0〜4の整数、但し全部が同時に0になることはなく、k、l、m、nが3以下の場合ベンゼン環の他の置換基は水素原子又はハロゲン原子である。〕
【0021】
上記一般式(I)において、Mで表わされる金属原子としては、Al,Si,Ca,Cd,Ti,V,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ge,Mo,Ru,Rh,Pd,In,Sn,Pt,Pb等が挙げられる。また、上記R5〜R8の定義中、1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等のアルキル基や、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基等のアルケニル基などが挙げられる。1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基などが挙げられる。また、それらの置換基としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、三フッ化炭素基、シアノ基、エステル基などが挙げられる。
【0022】
また、前記一般式(I)において、R1〜R4は、塩素原子、臭素原子、メチル基のいずれか置換のアダマンタン残基、又はアダマンタン置換メチル残基を表わすが、その具体例としては、下記表1に示される残基が挙げられる。尚、表1中、(1)及び(2)は参考例である。
【表1】
【0023】
なお、本発明の前記一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物の中でも、特にk=l=m=n=1又は2であり、且つ置換位置が式中1又は/及び4である置換体であって、しかもその他の置換基が水素原子又はハロゲン原子(特に臭素原子)であるものは、吸収波長の制御が容易であり、また会合を阻止し、膜の屈折率を高め、反射率を向上できるという点で特に優れている。
【0024】
前記一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物は、対応するフタロニトリル化合物若しくはジイミノイソインドリン化合物と、有機溶媒中で金属若しくは金属誘導体を反応させることによって製造することができる。詳しく言うと、上記フタロニトリル化合物又は上記ジイミノイソインドリン化合物と、Al,Si,Ca,Cd,Ti,V,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ge,Mo,Ru,Rh,Pd,In,Sn,Pt,Pb等から選ばれる少なくとも1種の金属又はそれらのハロゲン化物、カルボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物若しくは錯体等から選ばれた誘導体とを有機溶媒中で反応させることによって得られる。
また、前記一般式(I)においてMが2個の水素原子である場合には、対応するフタロニトリル化合物若しくはジイミノイソインドリン化合物に、有機溶媒中でリチウム若しくはナトリウムを作用させることによって得られる。
【0025】
前記一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物の具体例としては、例えば表2に示すものが挙げられる。尚、表2中、化合物No.1〜No.4、No.6〜No.11、No.13〜No.17、No.20及びNo.21は参考のための化合物である。
【0026】
【表2−(1)】
【0027】
【表2−(2)】
【0028】
【表2−(3)】
【0029】
【実施例】
以下実施例について本発明を説明するが、本発明これらに限定されるものではない。
【0030】
実施例1(参考例)
厚さ1.2μmのポリメチルメタアクリレート板上にフォトポリマーにて、深さ1000Å、半値幅0.4μm、トラックピッチ1.4μmの案内溝を形成した基板上に、表2の化合物No.1の1,2−ジクロロエタン溶液をスピナー塗布し、厚さ800Åの記録層を設けて記録媒体とした。
【0031】
実施例2〜6(実施例2、3及び6は参考例)
実施例1において、表2の化合物No.1の代わりに、それぞれ同表の化合物No.6、No.10、No.12、No.18、No.20を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜6の記録媒体を得た。
【0032】
比較例1
実施例1において、表2の化合物No.1の代わりに下記式(II)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の記録媒体を得た。
【化2】
(但し、式中t−Buは2〜2′′′の位置と3〜3′′′の位置についたものの混合物である。
【0033】
前記の実施例1〜6及び比較例1の記録媒体を用い、下記の記録条件で基板を介して記録し、その後記録位置を連続レーザー光で再生し、下記の条件でC/Nを測定した。また反射率も測定した。その結果を表3に示す。
記録条件:
線速 2.1m/sec
記録周波数 1.25MHz
レーザー発振波長 680nm
ピックアップレンズ N.A.0.5
再生条件:
スキャニングフィルター 30KHz
再生パワー 0.25〜0.3mW
【0034】
【表3】
【0035】
実施例7(参考例)
深さ1000Å、半値幅0.45μm、トラックピッチ1.6μmの案内溝を有する厚さ1.2mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、表2の化合物No.4の2−エトキシエタノール/1,2−ジクロロエタン/THF[=8/1.5/0.5(重量比)]混合溶液をスピナー塗布し、厚さ1800Åの記録層を設け、その上にAuを1200Åの厚みで真空蒸着して反射層とし、更にその上にアクリル系フォトポリマーをスピナー塗布し、UV硬化処理して保護層を形成し、CD−R型の記録媒体とした。
【0036】
実施例8〜11(参考例)
実施例7において、表2の化合物No.4の代わりにそれぞれ同表の化合物No.1、No.2、No.9、No.21を用いたこと以外は、実施例7と同様にして実施例8〜11の記録媒体を得た。
【0037】
比較例2
実施例7において、表2の化合物No.4の代わりに比較例1のフタロシアニンを用いたこと以外は、実施例7と同様にして比較例2の記録媒体を得た。
【0038】
比較例3
実施例7において、表2の化合物No.4の代わりに下記式(III)の化合物を用いたこと以外は、実施例7と同様にして比較例3の記録媒体を得た。
【化3】
【0039】
比較例4
比較例3において、上記式(III)の化合物に対して10重量%の下記式(IV)のニッケル錯体化合物を添加した混合物を用いたこと以外は、比較例3と同様にして比較例4の記録媒体を得た。
【化4】
【0040】
実施例7〜11及び比較例2〜4の記録媒体を用い、レーザー発振波長790nm、線速1.4m/secの記録条件でEFM信号を記録し、記録前及び光照射後の反射率及び最適パワーでのC1エラー数を測定した。その結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
(評価)
本発明の光情報記録媒体は、波長630〜720nmに高い光吸収能、光反射性を有し、630〜720nmの半導体レーザーを用いたピックアップに適用できるし、また波長770〜830nmに高い屈折率を示し、且つ高い安定性を有するため、高反射率で保存安定性及び再生安定性に優れたCD−R媒体を提供できる。
【0043】
【発明の効果】
請求項1及び2の光情報記録媒体は、前記一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物を記録層中に含有してなるものとしたことから、次のような卓越した効果を奏する。
イ)波長630〜720nmに高い光吸収能と光反射性を有しているため、高密度記録が可能な630〜720nmの半導体レーザーを用いたピックアップに適応でき、現状の770〜830nmの光記録媒体に比べ記録密度で1.6〜1.7倍の高密度化が可能となる。
ロ)波長770〜830nmに高い屈折率を示し、且つ高い安定性を有するため、高反射率で保存安定性及び再生安定性に優れたCD−R用記録媒体が提供できる。
【0044】
請求項3の光情報記録媒体は、前記一般式(I)において、k=1=m=n=1又は2であり、置換位置が式中1又は/及び4であり、その他の置換基は水素原子又はハロゲン原子であるフタロシアニン化合物を記録層に含有してなるものとしたことから、吸収波長の制御が容易であり、また会合阻止能力が更に向上し、膜の屈折率をより高め、反射率をより向上できるという効果が加わる。
【0045】
請求項4の光情報記録媒体は、前記ハロゲン原子として臭素原子を選択したことから、反射率を更に向上できるという効果が加わる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録媒体に適用し得る層構成例を示す図である。
【図2】本発明の記録媒体に適用し得る他のタイプの層構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層(有機色素層)
3 下引き層
4 保護層
5 金属反射層
Claims (4)
- 基板上に直接又は下引き層を介して記録層を設けてなる光情報記録媒体において、前記記録層中に下記一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物を含有してなることを特徴とする光情報記録媒体。
M:2個の水素原子、ハロゲン原子若しくは酸素原子を有してもよい金属原子、又は−(OR5)p 基若しくは−(OSiR6R7R8)q 基を有してもよい金属原子、
R5〜R8:それぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換若しくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の1価の芳香族複素環基、
p、q:0〜2の整数、
X1〜X4:それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子、
R1〜R4:それぞれ独立に、塩素原子、臭素原子、メチル基のいずれか置換のアダマンタン残基、又はアダマンタン置換メチル残基、
k、l、m、n:それぞれ独立に0〜4の整数、但し全部が同時に0になることはなく、k、l、m、nが3以下の場合ベンゼン環の他の置換基は水素原子又はハロゲン原子である。〕 - 前記記録層上に金属反射層を設け、更にその上に保護層を設けてなり、CDフォーマット信号の記録を行なう追記コンパクトディスク型の記録媒体であることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
- 前記一般式(I)において、k=l=m=n=1又は2であり、置換位置が式中1又は/及び4であり、その他の置換基は水素原子又はハロゲン原子である請求項1又は2に記載の光情報記録媒体。
- 前記ハロゲン原子が臭素原子である請求項3に記載の光情報記録媒体。
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