JP3593263B2 - ユーティリティレール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内後部に設けられ他の部材を支持するユーティリティレールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のユーティリティレールとしては、例えば図5に示したガイドレール51が知られている(実開平2−145538号公報参照)。このガイドレール51は車室内後部に設けられたスライド式トノカバー装置52を構成する部材であって、車室内後部の車体両側壁に対をないして設けられている。また、ガイドレール51は略C字型の一様断面を有するとともに前後方向に延在しており、図示しないボルトにより車体両側壁に固定されている。そして、ガイドレール51は、ラゲッジルーム53を開閉するトノカバー54の骨格部材である複数の棒状芯材55の両端に設けられたローラ56を転動自在に支持しており、これによりトノカバー54を矢示方向へ蛇腹状に展開したり折り畳んだりすることを可能としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうしたガイドレール51等のユーティリティレールにおいては、トノカバー54等の他の部材を支持するため車体側部に対して所定の強度で固定することが必要であり、しかも車体側部において前後方向に延在するものでため、以下のような問題があった。
【0004】
すなわち、車室内後部にラゲッジルームを有する車両においては、一般に、後面衝突時には車体後部の両側部を外側へ変形させてラゲッジルーム容積を積極的に減少させることにより、高い衝撃吸収性能が得られるように設計されているが、ガイドレール51等が車体側部に固定されていると、前述した車体後部の変形の妨げとなる。こうしたことから、後面衝突時における車体後部の衝撃吸収性能を上げようとする場合、ガイドレール51等が存在していない車両に比べて、車体後部に所望の変形モードを設定するのが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、車体後部に所望の変形モードを容易に設定することが可能となるユーティリティレールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1の発明にあっては、車室内後部の車体側壁に固定され、車体前後方向に延在するとともに他の部材を支持するユーティリティレールにおいて、車体前後方向の両端部前記車体側壁に取り付けられるとともに、他の一般部に比べ座屈変形しやすい脆弱部が延在途中に設けられ、該脆弱部の車体前方側の近傍に位置する中間取付部前記車体側壁に取り付けられ、該中間取付部の取付強度が、前記両端部に比べ弱く設定されたものとした。
【0007】
かかる構成において、脆弱部の車体前方側の近傍に位置する中間取付部が車体側壁に取り付けられているため、後面衝突時には、ユーティリティレールへの入力荷重が脆弱部に集中する。従って、脆弱部の設定位置を、後面衝突時における車体側壁の変形形態に応じて適宜設定することにより、後面衝突時には、ユーティリティレールを脆弱部において瞬時に折れ曲げて車体側壁の変形に追従させることができる。また、中間取付部の取付強度が前端部及び後端部の取付強度に比べ弱く設定されていることから、脆弱部において折れ曲がった後には、中間取付部が直ちに車体側壁から離脱することにより、折れ曲がった脆弱部が車体側壁の変形に伴う入力荷重により切り離されることとなる。
【0010】
また、請求項2の発明にあっては、車体前後方向の前端部の取付強度が後端部に比べ強く設定されたものとした。
【0011】
かかる構成においては、後面衝突時にユーティリティレールが脆弱部にて切り離されるとき、その衝撃によりユーティリティレールの前端側が、車体側壁から外れることを未然に防止することができる。
【0012】
また、請求項3の発明にあっては、前記脆弱部が、延在途中に切欠きが設けられることにより形成されたものとした。
【0013】
かかる構成においては、切欠きの大きさを調整することにより、脆弱部の強度設定を容易に行い得る。
【0014】
また、請求項4の発明にあっては、前記切欠きが、前記車体側壁に対向する部位に設けられものとした。
【0015】
かかる構成においては、ユーティリティレールの使用時には、切欠きを隠蔽することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図にしたがって説明する。図1は、本発明に係るユーティリティレール1を備えたバン型車両2の車室内を示す図であって、車室内には、ファーストシート3及びセカンドシート4が配置された乗客スペース5と、セカンドシート4の後方に位置するラゲッジスペース6とが確保されている。
【0017】
ラゲッジスペース6には、車体前後方向に延在するユーティリティレール1が、左右の車体側壁7に対をなしてそれぞれ設けられており、双方のユーティリティレール1にはトノボード8が支持されている。トノボード8は、所定箇所をユーティリティレール1に固定された折り畳み式であって、その下面側にラゲッジルーム9を区画形成するとともに、それを開閉を可能としている。
【0018】
前記ユーティリティレール1は、図2に示すように、長尺状のレール本体11と、レール本体11の前端部に外装されたフロントエンドキャップ12と、レール本体11の後端部側に外装されたリアエンドキャップ13とから構成されている。レール本体11は、図3に示すように一様の断面形状を有する押出し成形されたアルミ材であって、前記トノボード8が接する上面側構成部14と、車室内側(ラゲッジスペース6側)に開口するスリット15を隔て上面側構成部14と離間する下面側構成部16と、車体側壁7にて上面側構成部14および下面側構成部16を車体側壁7にて連結する断面略C字状の連結部17とを有している。なお、前記上面側構成部14には、前記トノボード8に設けられた図示しないロック装置を係合するためのストライカ18が設けられている。
【0019】
また、レール本体11の延在途中には、車体側壁7に対向する部位に切欠き19が設けられている。切欠き19のレール本体11の長さ方向における設定位置は、後面衝突に際して積極的に外側へ変形させる車体側壁7の変形部位7a(図4参照)に対応して予め設定されている。切欠き19は、前記連結部17から前記下面側構成部16に亙って形成されており、かかる切欠き19の存在によってレール本体11すなわちユーティリティレール1には、他の一般部に比べ座屈変形しやすい脆弱部Wが形成されている。
【0020】
そして、ユーティリティレール1は図2に示したように、前端部1a及び後端部1bと、レール本体11が露出する部分の前端側に位置する露出前端部1c、その後端側に位置する露出後端部1d、レール本体11が露出する部分であって前記脆弱部Wの車体前方側の近傍に位置する中間取付部1eにおいて、車体側壁7に止着されている。より具体的には、前端部1aが車体側壁7に設けられたウェルドナットに螺合するM8のマシーンボルト20、これと同様に後端部1bと露出前端部1cと露出後端部1dがM5のマシーンボルト21によってそれぞれ取り付けられる一方、中間取付部1eがM5のタッピンねじ22によって取り付けられている。すなわち、前述したユーティリティレール1においては、前端部1aの取付強度が後端部1bに比べ強く設定され、かつ中間取付部1eの取付強度が後端部1bに比べ弱く設定されている。
【0021】
以上の構成からなる本実施の形態においては、図4に示すように、後面衝突時に車体後部に入力荷重Fが加わり、これに伴い左右の車体側壁7が外側へ変形するとき、前記ユーティリティレール1においては、脆弱部Wの車体前方側の近傍に位置する中間取付部1eが車体側壁7に取り付けられているため、前記ユーティリティレール1に対する入力荷重が脆弱部Wに集中することとなる。しかも、前述したように脆弱部Wの設定位置が車体側壁の変形形態に応じて適宜設定されているため、後面衝突時には、ユーティリティレール1が脆弱部Wにおいて瞬時に折り曲がることにより、車体側壁7の変形に追従することとなる。
【0022】
よって、前記ユーティリティレール1においては、後面衝突時における車体後部の変形を妨げる度合を極めて小さくすることができ、車体後部に所望の変形モードを容易に設定することができる。また、ユーティリティレール1を、より長尺状のものとすることができる。
【0023】
また、前記ユーティリティレール1においては、前述した中間取付部1eの取付強度が前端部1a及び後端部1bの取付強度に比べ弱く設定されていることから、脆弱部Wにおいて折れ曲がった後には、中間取付部1eが直ちに車体側壁7から離脱する。従って、脆弱部Wが車体側壁7の変形に伴う入力荷重により切り離されることとなる。よって、後面衝突時に折れ曲がったユーティリティレール1により車体後部の変形が妨げられるといった事態が未然に防止できるため、車体後部の変形モードを、より正確に設定することができる。しかも、前端部1aの取付強度が後端部1bに比べ強く設定されているため、前述したように脆弱部Wにて切り離されるとき、その衝撃によりユーティリティレール1の前端部1a側が、車体側壁7から外れることがない。
【0024】
また、本実施の形態においては、脆弱部Wをレール本体11の延在途中に切欠き19を設けることにより形成したことから、切欠き19の大きさを調整することにより、脆弱部Wの強度設定を容易に行い得る。よって、前述したユーティリティレール1の設計が楽である。
【0025】
また、切欠き19を車体側壁7に対向する部位に設けたことから、前述したトノボード8を支持する使用時においては切欠き19を隠蔽することができる。よって、ユーティリティレール1の外観品質が損なわれることもない。
【0026】
なお、本実施の形態においては、主としてトノボード8を支持するユーティリティレール1について説明したが、これ以外にも、本発明は、車室内後部の車体側壁7に固定されるとともに、車体前後方向に延在して他の部材を支持するものであれば、他の用途に用いられるユーティリティレールにも採用することもでき、その場合であっても前述した効果を奏することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明においては、後面衝突時には、延在途中の脆弱部に入力荷重を集中させそれを瞬時に折れ曲げることにより、ユーティリティレールを車体側壁の変形に追従させ得るようにした。よって、後面衝突時における車体後部の変形を妨げる度合を極めて小さくすることができ、車体後部に所望の変形モードを容易に設定することが可能となる。また、その結果、ユーティリティレールとして、より長尺状のものを使用することが可能となる。
【0028】
さらには、ユーティリティレールは脆弱部において折れ曲がった後には、中間取付部が直ちに車体側壁から離脱することにより、折れ曲がった後の脆弱部が車体側壁の変形に伴う入力荷重により容易に切り離されるため、後面衝突時に脆弱部において折れ曲がったユーティリティレールにより車体後部の変形が妨げられるといった事態を未然に防止することができる。車体後部の変形モードを、より正確に設定することが可能となる。
【0029】
また、請求項2の発明においては、後面衝突時にユーティリティレールが脆弱部にて切り離されるとき、その衝撃によりユーティリティレールの前端側が、車体側壁から外れることを未然に防止することができる。
【0030】
また、請求項3の発明においては、切欠きの大きさを調整することにより、脆弱部の強度設定を容易に行い得るようにした。よって、ユーティリティレールの設計が楽になる。
【0031】
また、請求項4の発明においては、使用時には切欠きを隠蔽することが可能となるようにした。よって、ユーティリティレールの外観品質を損なうことなく、前述した効果を得ることができる。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すバン型車両の透視側面図である。
【図2】同実施の形態を示すユーティリティレールの車室内から見た正面図である。
【図3】同ユーティリティレールを背面側から見たときの部分斜視図である。
【図4】後面衝突時における車体後部の変形モードを示す模式平面図である。
【図5】従来技術を示す車室内後部の斜視図である。
【符号の説明】
1 ユーティリティレール
1a 前端部
1b 後端部
1e 中間取付部
6 ラゲッジスペース
7 車体側壁
11 レール本体
19 切欠き
W 脆弱部
Claims (4)
- 車室内後部の車体側壁7に固定され、車体前後方向に延在するとともに他の部材を支持するユーティリティレール1において、車体前後方向の両端部1a,1bが前記車体側壁に取り付けられるとともに、他の一般部に比べ座屈変形しやすい脆弱部Wが延在途中に設けられ、該脆弱部Wの車体前方側の近傍に位置する中間取付部1eが前記車体側壁7に取り付けられ、該中間取付部1eの取付強度が、前記両端部1a,1bに比べ弱く設定されたことを特徴とするユーティリティレール。
- 車体前後方向の前端部1aの取付強度が後端部1bに比べ強く設定されたことを特徴とする請求項1記載のユーティリティレール。
- 前記脆弱部Wが、延在途中に切欠き19が設けられることにより形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載のユーティリティレール。
- 前記切欠き19が、前記車体側壁7に対向する部位に設けられたことを特徴とする請求項1,2又は3記載のユーティリティレール。
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