JP3591798B2 - 乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、メッキされた部材を洗浄した後、その洗浄液を乾燥する際に使用される乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
温風の吹き出しによって被乾燥物を乾燥する装置として、例えば、特開昭58−167784号公報、実開昭57−193196号公報には、スリットが設けられた一対のチャンバーを間隙を介して配設し、両チャンバー間に形成される搬送路を被乾燥物が通過する際に、該スリットから吹き出された温風によって被乾燥物を乾燥する方法が提案されている。
【0003】
しかし、これらの方法は帯状の被乾燥物を連続して搬送する方法であって、板状等の不連続な被乾燥物を乾燥することはできない。
【0004】
そこで、一対のチャンバー間に形成された搬送路に被乾燥物の搬送手段を設けて、この搬送手段を利用して被乾燥物を乾燥することも考えられるが、この場合には、搬送路の両端部から温風が外部空間へ逃げるために温風による乾燥効率が悪いという欠点があり、またチャンバーおよび搬送手段全体をカバー等で覆った場合には、被乾燥物の搬送手段への取り付けおよび取り出しが容易に行えないという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記欠点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、温風による乾燥効率がよく、また被乾燥物の搬送手段への取り付けおよび取り出しが容易に行える板状等の被乾燥物を連続して乾燥することができる乾燥装置を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、構造が比較的簡単であって作製コストを低減でき、また火災発生のおそれのない乾燥装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の乾燥装置は、液体で処理された上下および前後方向に長い板状の被乾燥物を、横方向に配置された一対の温風吹出装置から吹き出される温風によって乾燥する被乾燥物の乾燥装置であって、該乾燥装置は、カバーと、該カバー内に互いに間隙を介して配設された一対の温風吹出装置とを有し、該一対の温風吹出装置の間に被乾燥物の搬送路が形成されて、該それぞれの温風吹出装置から搬送路に向けて温風が吹き出され、該搬送路の一端部に被乾燥物を供給し得る搬入口が形成されていると共に、搬送路の他端部に被乾燥物を取り出し得る取出口が形成され、該搬送路に被乾燥物を該搬入口から取出口に向かって移動させる第1の搬送手段が設けられ、該取出口の下方において、被乾燥物を搬送する第2の搬送手段が設けられ、該第1の搬送手段から該第2の搬送手段へ被乾燥物を移す上下移動可能な昇降手段が該カバーにて覆われるように設けられ、該各温風吹出装置には、温風吹き出し用のスリットがそれぞれ対向するように設けられ、かつ該スリットは該被乾燥物に付着した液体を該被乾燥物の移動にともなって温風の吹き出し圧力で落下させるように傾斜しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0009】
好ましくは、前記第1搬送手段は、被乾燥物の上端部を係止する第1のレールと、該被乾燥物を該第1のレールに沿って移動させる第1のチェーンコンベアとを有し、前記第2搬送手段は、被乾燥物の上端部を係止する第2のレールと、該被乾燥物を該第2のレールに沿って移動させる第2のチェーンコンベアとを有し、前記昇降手段は、該第1のレール位置と該第2のレール位置との間を移動可能な横材を有する。
【0010】
好ましくは、前記温風吹出装置は、アルミニウムにて箱状に形成され、該箱体には温風が吹き出されるスリットが設けられ、該箱体内に高圧空気を供給し得る高圧空気供給装置を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1および図2に示すように、本発明の被乾燥物の乾燥装置1は、液体で処理された板状の被乾燥物6を乾燥するための一対の温風吹出装置2を有する。
【0012】
該温風吹出装置2はアルミニウム等で形成される直方体の箱体で形成されている。一対の温風吹出装置2がカバー3内に配設されている。そして、互いに向き合う側面にスリット4が形成されている。一対の温風吹出装置2、2の間には被乾燥物6の搬送路8が形成され、該それぞれの温風吹出装置2のスリット4から搬送路8に向けて温風が吹き出されるようになっている。該搬送路8の一端部に被乾燥物6を供給し得る搬入口5が形成され、搬送路8の他端部に被乾燥物6を取り出し得る取出口7が形成されている。
【0013】
該温風吹出装置2の上方位置にはカバー3内にて第1の搬送手段11が配設されている。該第1搬送手段11は、被乾燥物6の上端部に形成された断面ク字形の係止部を係止し得る第1のレール12と、該被乾燥物6を該レール12に沿って移動させる第1のチェーンコンベア13とを有する。第1のレール12は水平方向に配設され、該温風吹出装置2から搬入口5および取出口7にわたって設けられている。第1のチェーンコンベア13は、一対のスプロケット14、14および両スプロケット14、14間に巻回されたチェーン15を有し、一方のスプロケット14を駆動させるモータ16が該カバー3上に取り付けられている。チェーン15には複数の爪片17が間隔をおいて固定され、この爪片17が上記第1レール12の長手方向にそって間隙を介して配設されている。
【0014】
上記搬入口5および取出口7は、それぞれカバー3内に配設されてカバー3の天板31、背面板32および側面板33に囲まれている。そのカバー3の一方の空間部34内において、該取出口7の下方には第2の搬送手段21が設けられ、さらに、該第1の搬送手段11から該第2の搬送手段21へ被乾燥物6を移す上下移動可能な昇降手段40が設けられている。
【0015】
該第2搬送手段21は、被乾燥物6の上端部の係止部を係止する第2のレール22と、該被乾燥物6を該第2レール22に沿って移動させる第2のチェーンコンベア23とを有する。第2のレール22は水平方向に配設されている。第2のチェーンコンベア23は、一対のスプロケット24、24および両スプロケット24、24間に巻回されたチェーン25を有し、一方のスプロケット24を駆動させるモータ(図示せず)が設けられている。該チェーン25には複数の爪片26が間隔をおいて固定され、この爪片26が上記第2レール22の長手方向にそって間隙を介して配設されている。
【0016】
上記昇降手段40は、該第1のレール12の位置と該第2のレール22の位置との間を移動可能な横材41と、該横材41を駆動させるシリンダ42と、被乾燥物6が横材41に送られたことを検知し得るセンサ43とを有する。該横材41は、第1レール12の延長線位置に配設され、第1レール12に係止しながら第1チェーンコンベア13の駆動によって送られた被乾燥物6が続いて横材41上に係止されるようになっている。
【0017】
図1および図5に示すように、該センサ43は、横材41上に被乾燥物6が搬送されたことを検知した際に、制御回路に信号を送り、油圧または空気圧シリンダ42のバルブを切り替えることにより横材41を下降させて第2レール22の延長線に沿うように配置する。また、横材41上に被乾燥物6が存在しなくなった場合には、この被乾燥物6の不存在をセンサ43にて検知して横材41をもとの上方位置に上昇させるようシリンダ42を駆動させる。
【0018】
被乾燥物6が第2チェーンコンベア23に移った場合には、被乾燥物6の上部に設けられた係止部が第2レール22に係止すると共に、被乾燥物6の下端部が第2チェーン25の爪片26に当接し該第2チェーン23の移動にともなって押されて第2チェーン23の遠端部側へ移動する。
【0019】
次に、上記温風吹出装置2についてさらに詳しく説明する。
【0020】
該温風吹出装置2の側面に形成されたスリット4の幅および長さは目的に応じて変形可能であり、例えば、スリット4の幅は0.5〜3mmとすることができ、好ましくは0.8〜1.5mmである。スリット4の長さは10cm〜100cm程度とすることができる。スリット4の形状は、このスリット4から吹き出される温風の温度に影響を与える。スリット4の幅を狭くするにつれて温風の温度は高くなる傾向にある。よって、スリット4の形状は、温風吹出装置2へ供給される空気の温度および所望とする温風の温度等によって決定される。スリット4は温風吹出装置2に複数本設けてもよく、あるいは傾斜して設けてもよい。
【0021】
温風吹出装置2はその全体がアルミニウムにて形成されてもよく、あるいはそのスリット4部分のみがアルミニウムで形成されてもよい。さらにスリット4の開口縁にアルミニウム層が被覆されてもよい。
【0022】
該温風吹出装置2内に高圧空気を供給し得る高圧空気供給装置30は、従来から公知のものを使用することができる。例えば、ポンプの駆動によって高圧空気を送ることができるブロアであり得る。温風吹出装置2とこの高圧空気供給装置30は送気管19で連結されている。通常、該高圧空気供給装置30から送られる空気の流速は、20m/s以上、特に25m/s〜30m/sである。
【0023】
次に、本発明の乾燥装置の作用を説明する。
【0024】
室温(10℃〜25℃)の空気が高圧空気供給装置30から温風吹出装置2の温風吹出装置2内へ供給されると、温風吹出装置2のスリット4から温風が吹き出される。乾燥装置には一対の温風吹出装置2が各スリット4の位置が対向するように配設されているので、スリット4からはそれぞれ被乾燥物6の両側面に温風が吹き付ける。
【0025】
ここで、スリット4から吹き出される空気の温度が高くなる理由は、次のように推測される。空気は温風吹出装置2のスリット4から吹き出される際に、該空気は該スリット4の開口縁の表面に比較的高速で接触するために、該スリット4の開口縁の表面が高温となり、その結果40℃以上、特に60℃以上の温風がスリット4から吹き出されるものと思われる。温風吹出装置2が鉄製、ステンレススチール製、銅製のものでは上記のように吹き出される空気を加温する効果が生じない。また、スリット4の幅が広すぎる場合やスリット4からの空気の吹き出し速度が遅い場合にも吹き出される空気の温度は低いものである。
【0026】
特に、図4および図5に示すように、一対の温風吹出装置2、1を各温風吹出装置2のスリット4が向き合うように対向させれば、両温風吹出装置2、1間に形成される搬送路8に向かって温風が吹き出すために、板状の被乾燥物6をこの搬送路8を通過させる際に両面側から被乾燥物6に向けて温風を吹き付け乾燥することができる。さらに、スリット4を鉛直に対して傾斜して設けることにより以下の利点がある。
【0027】
すなわち、板状の被乾燥物6の側面にスリット4から温風を吹き当てて該被乾燥物6を乾燥させる場合、被乾燥物6の移動方向に対して直交する方向から、傾斜したスリット4の形状に対応した形状の温風を該被乾燥物6に当てることで、温風の吹き出し圧力によって該被乾燥物6に付着した水等の液体を下方へ順次落下移動させて効率よく乾燥させることができる。
【0028】
また、温風吹出装置2のスリット4から吹き出された温風は、被乾燥物6に当たった後搬送路8の搬入口5および取出口7から外部へ吹き出すことになるが、その搬入口5および取出口7はカバー3の天板31、背面板32および側面板33で覆われているので、この空間部34の温度を加温する。従って、その空間部34が外部空気と搬送路8との緩衝空間となるので、搬送路8内の温度が外部空気によって大きく低下するということがなく高温に保つことができる。
【0029】
取出口7から一方の空間部34内に存在する横材41上に運ばれた被乾燥物6は、次に昇降手段40によって第2搬送手段21の近端部上に搬送され、第2搬送手段21の遠端部位置で乾燥した被乾燥物6を取り外すことができる。
【0030】
なお、本発明の温風吹き出し装置は、電気ヒータを用いない乾燥機として使用することができる。また、温風吹出装置2に設けたスリット4に代えて空気吹き出し口として小孔を多数形成してもよく、またアルミニウムにて形成される編み目を有する編み材等を温風吹出装置2の温風吹き出し側の面に設けてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、被乾燥物を搬送する搬送路に温風吹出装置を設け、該被乾燥物の一端部に設けた取出口の下方において、該第1の搬送手段から被乾燥物を移す上下移動可能な昇降手段を設けたので、被乾燥物に温風吹出装置からの温風を吹き当てて乾燥しながら搬送することができ、また取出口において昇降手段を覆うようにカバーが設けられているので、温風吹出装置から被乾燥物を乾燥するために吹き出した温風はこのカバーで一旦遮られることになるので、カバー内が加温される。従って、外部空気が、直接、搬送通路内の空気に影響することがなくなり、搬送路内の空気を保温することができ乾燥効率がよい。
【0032】
また、搬送路の搬入口から被乾燥物を搬送路へ搬入し、取出口から昇降手段を経て被乾燥物を取り出すことができるので、板状等の被乾燥物の搬送手段への取り付けおよび取り出しが容易に行える。
【0033】
特に、温風吹出装置に設けたスリットから常温の空気を吹き出すだけで温風に変換して吹き出すことができるので、赤外線ヒータ等の熱源を使用する必要がなく、電気接続または絶縁のための部材を設ける必要がなく製作コストを低減でき、また火災発生の危険もない。
【0034】
さらに、一対のチャンバーを、そのチャンバーに設けたスリットが向かい合うように対向して設置し、スリットを傾斜して配置すると、被乾燥物の両側から温風を吹き付けて乾燥することができ、また被乾燥物に付着した水等の液体を温風の吹き出し圧力で落下させることができ乾燥効率がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】図1に示す乾燥装置で使用される温風吹出装置の斜視図である。
【図3】図1に示す乾燥装置で使用される温風吹出装置の概略断面図である。
【図4】図3で示す温風吹出装置の概略平面図である。
【図5】図1に示す乾燥装置の作用説明図である。
【符号の説明】
1 乾燥装置
2 温風吹出装置
3 カバー
4 スリット
5 搬入口
6 被乾燥物
7 取出口
8 搬送路
11 第1搬送手段
21 第2搬送手段
40 昇降手段
Claims (3)
- 液体で処理された上下および前後方向に長い板状の被乾燥物を、横方向に配置された一対の温風吹出装置から吹き出される温風によって乾燥する被乾燥物の乾燥装置であって、
該乾燥装置は、カバーと、該カバー内に互いに間隙を介して配設された一対の温風吹出装置とを有し、該一対の温風吹出装置の間に被乾燥物の搬送路が形成されて、該それぞれの温風吹出装置から搬送路に向けて温風が吹き出され、
該搬送路の一端部に被乾燥物を供給し得る搬入口が形成されていると共に、搬送路の他端部に被乾燥物を取り出し得る取出口が形成され、
該搬送路に被乾燥物を該搬入口から取出口に向かって移動させる第1の搬送手段が設けられ、
該取出口の下方において、被乾燥物を搬送する第2の搬送手段が設けられ、
該第1の搬送手段から該第2の搬送手段へ被乾燥物を移す上下移動可能な昇降手段が該カバーにて覆われるように設けられ、
該各温風吹出装置には、温風吹き出し用のスリットがそれぞれ対向するように設けられ、かつ該スリットは該被乾燥物に付着した液体を該被乾燥物の移動にともなって温風の吹き出し圧力で落下させるように傾斜している被乾燥物の乾燥装置。 - 前記第1搬送手段は、被乾燥物の上端部を係止する第1のレールと、該被乾燥物を該第1のレールに沿って移動させる第1のチェーンコンベアとを有し、
前記第2搬送手段は、被乾燥物の上端部を係止する第2のレールと、該被乾燥物を該第2のレールに沿って移動させる第2のチェーンコンベアとを有し、
前記昇降手段は、該第1のレール位置と該第2のレール位置との間を移動可能な横材を有する、請求項1に記載の乾燥装置。 - 前記温風吹出装置は、アルミニウムにて箱状に形成され、該箱体には温風が吹き出されるスリットが設けられ、該箱体内に高圧空気を供給し得る高圧空気供給装置を有する請求項1又は2に記載の乾燥装置。
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JP31530396A JP3591798B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 乾燥装置 |
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JP31530396A JP3591798B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 乾燥装置 |
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JPH10160347A JPH10160347A (ja) | 1998-06-19 |
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Family Applications (1)
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JP31530396A Expired - Fee Related JP3591798B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 乾燥装置 |
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Families Citing this family (1)
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JP6568838B2 (ja) | 2016-10-18 | 2019-08-28 | 上村工業株式会社 | 乾燥装置 |
-
1996
- 1996-11-26 JP JP31530396A patent/JP3591798B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10160347A (ja) | 1998-06-19 |
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