JP3591136B2 - 透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素および水蒸気の遮断性に優れた透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは酸化アルミニウム薄膜をプラスチックフィルム上に真空プロセスにより積層した透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品や薬品を長期間保存するためには、腐敗や変質を促進する外気からの酸素や水蒸気の侵入を遮断する効果を持った、いわゆるガスバリア性に優れた包装を行なう必要がある。この目的に使用されるガスバリア性に優れたフィルム包材に、近年特に内容物の状態を確認できる透明性が要求される傾向が強くなっている。
【0003】
透明なガスバリア性フィルムとしてポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体を積層したものが知られている。また、金属酸化物を高分子フィルム基材上に形成したものがガスバリア性と透明性に優れていることは従来よりよく知られている。これらの中で特に酸化珪素を高分子樹脂フィルム上に形成したものが特公昭53−12953号公報により、酸化アルミニウム薄膜を高分子樹脂フィルム上に形成したものが特公昭62−179935号公報により知られている。
【0004】
このような従来のガスバリア性フィルムは以下のような課題を有していた。エチレンビニルアルコール共重合体積層フィルムは水蒸気のガスバリア性が十分ではなく、高湿下での酸素バリア性に劣る。ポリ塩化ビニリデンは焼却時の塩素ガスの発生があり地球環境への影響が懸念されている。
【0005】
一方、酸化珪素薄膜は、例えば独Leybold社のT.G.KrugらがBarrier Pack Conference(London,May 21and 22,1990)で発表したものや、雑誌「コンバーテック」1990.6 30〜36ページ(海保恵亮氏著)にあるように、高いガスバリア性を確保するためには50nm程度の膜厚が必要とされる。このためにカールしやすく、ハンドリング性が悪くなり乱暴に扱うと蒸着膜にクラック(割れ)が入りガスバリア性が低下するという問題がある。
【0006】
またアルミニウムの酸化膜は酸化珪素薄膜に較べて薄い膜厚で、ある程度のガスバリア性を発現することができる。しかし発明者が検討した結果、安定してガスバリア性能が発現しないという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような問題点を解決することを目的とする。すなわち本発明は、ガスバリア性に優れた、酸化アルミニウム薄膜を形成した透明ガスバリア性フィルムを安定して提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ガスバリア性能が酸化アルミニウム薄膜中の炭素の濃度と、酸化アルミニウム薄膜とプラスチックフィルムとの界面の構造に依存することを見出だし、本発明に至ったものである。すなわち本発明は、プラスチックフィルムと該プラスチックフィルムの少なくとも片面に設けられた酸化アルミニウム薄膜とからなるガスバリア性フィルムにおいて、該酸化アルミニウム薄膜中の炭素濃度が3%以下であり、該酸化アルミニウム薄膜と該プラスチックフィルムとの界面における炭素濃度が5%から10%に遷移する界面領域の厚みd1が5nm以下であり、かつ10%から90%に遷移する界面領域の厚みd2が10nm以下であることを特徴とする透明ガスバリア性フィルムであり、プラスチックフィルムの少なくとも片面に酸化アルミニウム薄膜を積層する方法において、真空プロセスにより該酸化アルミニウム薄膜を該プラスチックフィルム上に形成した後、36時間以内に該酸化アルミニウム薄膜を形成した面を大気に曝すことを特徴とする透明ガスバリア性フィルムの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
基材としてのプラスチックフィルムとしては、特に限定されないが代表的なものとして、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン12などのポリアミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、セルロース、酢酸セルロースなどおよび、これらの共重合体や、他の有機物との共重合体などを用いることができる。これら基材のうち透明性、経済性の点で、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。
【0010】
これらのプラスチックフィルムは熱可塑性樹脂の場合、未延伸、一軸延伸、二軸延伸のいずれでもよいが、寸法安定性や機械特性およびガスバリア性の安定性の点から二軸延伸されたものが好ましい。また高分子樹脂フィルム内には食品衛生上問題にならなければ添加剤、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤などが添加されていてもよい。
【0011】
本発明のプラスチックフィルムは単層であってもよく、形成される酸化アルミニウム薄膜との接着性を向上させる目的で、接着性の樹脂が積層あるいはコーティングされたものであってもよい。さらにはその表面は、接着性を向上させる目的で任意の放電処理や火炎処理が施されてもよく、放電処理としては大気中でのコロナ処理や、窒素や炭酸ガス中でのコロナ放電処理、あるいは低圧下での種々のプラズマが施されてもよい。
【0012】
さらに本発明に用いるプラスチックフィルムの酸化アルミニウム薄膜膜を形成する表面および蒸着後のガスバリア性フィルムの表面は平滑であることが好ましい。後で説明するように、酸化アルミニウムの膜厚は8〜50nmの範囲で選択されるが、この程度の膜厚の酸化アルミニウムの形成前後の表面の中心線平均粗さは同じである。本発明に用いるプラスチックフィルムの酸化アルミニウム薄膜膜を形成する表面および蒸着後のガスバリア性フィルムの表面の中心線平均粗さは0.08μm以下であることが好ましい。中心線平均粗さが0.08μmを超える場合は酸化アルミニウム薄膜が均一に形成されにくく、形成後のガスバリア性能が劣ったものとなりやすい。より好ましくは中心線平均粗さは0.06μm以下、さらに好ましくは0.04μm以下であることがガスバリア性能発現のために望ましい。プラスチックフィルムの表面を平滑にする方法は、一般にテンター方式においては、キャスト温度を低く設定するか、延伸を行った後にフィルムを急冷するなどの方法が採用される。
【0013】
プラスチックフィルムの厚みは特に限定されないが、包装用途として適当な5μmから500μmの範囲にあることが好ましい。
【0014】
本発明における酸化アルミニウム薄膜とはAl、Al、Al(OH)、Al・XHOなどから成り立っていると考えられるが、これらの比率も作製条件で異なる。この成分中に特性が損なわれない範囲で微量(全成分に対して高々3%まで)の他の金属成分を含んでいても良い。
【0015】
該酸化アルミニウム薄膜の膜厚は8〜50nmの範囲であることが好ましい。膜厚が8nm未満であるとガスバリア性能を満足しにくく、さらに好ましくは10nm以上である。また50nm以上を超えるとカールが発生しやすく、加工時にガスバリア性能が急激に低下するなどの問題が起こりうる場合がある。生産性の点からも膜厚は小さい方が好ましく、より好ましくは膜厚は35nm未満である。
【0016】
本発明における酸化アルミニウム薄膜中の炭素濃度は3%以下であることが必要である。この場合の炭素濃度は、酸化アルミニウム薄膜の表面および界面での特異な元素の分布を示す部分を除いた薄膜の厚みの中央部での厚みに対して各原子の濃度分布が平坦な部分を利用し、薄膜を構成する全原子数に対する炭素原子数の割合で定義される。より具体的には、オージェ電子分光法や、X線光電子分光法などの表面分析の手法で薄膜をイオンエッチングしながら薄膜を構成する原子濃度の分布を厚み方向に観察することで測定できる。これら表面分析により、しばしば膜中に炭素が分布することが観察され、この起源については明らかではないが、原反フィルムの何らかの成分が酸化アルミニウム膜中に拡散することが考えられる。炭素濃度が3%を超えるとガスバリア性能が発現しない。炭素濃度はさらに小さい方が好ましく、2%以下がさらに好ましい。
【0017】
本発明における酸化アルミニウム薄膜とプラスチックフィルムとの界面における炭素濃度が5%から10%に遷移する界面領域の厚みd1は5nm以下であることが必要であり、さらに10%から90%に遷移する界面領域の厚みd2は10nm以下であることが必要である。この界面領域の厚みの算出は、上述の表面分析の手法を用いて厚み方向の各原子の濃度の分布を測定した際、界面近傍で基材の炭素原子を検出することで炭素濃度が上昇する領域を観察することで可能である。この場合シリカなどの標準サンプルを測定前後でサンプル測定と同条件でイオンエッチングすることでエッチング速度を校正することができ、エッチング時間とエッチング速度で界面の厚みを算出できる。界面領域の厚みd1が5nmを超えるとガスバリア性能が発現しない。さらに高度なガスバリア性能発現のためには、界面領域の厚みが3nm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは2nm以下である。またd2も10nm以下であることが必要であり、好ましくは8nm以下、さらに好ましくは6nm以下である。
【0018】
本発明における炭素濃度、界面領域の厚みを達成するためには、フィルムの製造方法が極めて重要となる。このための方法を以下に説明する。
【0019】
まず真空プロセスにより酸化アルミニウム薄膜をプラスチックフィルム上に形成する。本発明における酸化アルミニウム薄膜を形成するための真空プロセスとは、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法(CVD)などが適宜用いられ、いずれにも限定されないが、反応性蒸着法が生産性、コストの点でより好ましく用いることができる。
【0020】
反応性蒸着法においては、アルミニウム金属やアルミナを抵抗加熱のボート方式やルツボの高周波誘導加熱、電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下でプラスチックフィルム上に酸化アルミニウム薄膜を堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成するための反応性ガスとして酸素を主体に水蒸気や希ガスを加えたりしても良い。さらにオゾンを加えたりイオンアシストなどの反応を促進する手法も採用されてよい。これら真空プロセス中でのプラスチックフィルム表面のプラズマ処理の併用も可能である。
【0021】
これら真空プロセスにより酸化アルミニウム薄膜を形成した後、36時間以内に該酸化アルミニウム薄膜を形成した面を大気に曝すことが必要である。大気に曝すまでの時間が36時間を超えるとガスバリア性能が不十分となる。酸化アルミニウムを形成した後、該酸化アルミニウムを形成した面を大気に曝すまでの時間は短い方が好ましく、24時間以内であることがさらに好ましい。
【0022】
具体的に大気に曝す方法として、一般に酸化アルミニウム薄膜が形成されたプラスチックフィルムは真空容器中でロール状に巻き取られるため、このロールを大気中に取り出し、必要な幅に裁断する、いわゆるスリットの工程で行われるのが好ましいが、単なる巻き返しの工程を導入してもよい。ロールを大気中に取り出すタイミングとしては、酸化アルミニウム薄膜を形成した面を大気に曝す直前に取り出してもよく、酸化アルミニウム薄膜を形成した直後でもよく、工程管理上都合のよいタイミングで行うことができる。大気の雰囲気としては温度および湿度が制御された条件で行われることが好ましく、温度としては一般に10〜35℃、湿度としては40〜90%RHの条件が選択される。特に湿度は巻き返し後のブロッキングが発生しない範囲で高い方が、ガスバリア性能発現のためには好ましい。またいわゆるエアーツーエアー方式あるいはバキュームツーエアー方式の真空プロセス装置では大気に取り出されたフィルムをそのまま巻取ることで酸化アルミニウム薄膜形成後短時間に大気に曝すことができ、より好ましい。
【0023】
大気に曝した後のフィルムは、ガスバリア性能を安定させるために一定時間、室温あるいは基材プラスチックフィルムを構成する樹脂の融点より50℃以上低い温度でエージングすることが好ましい。例えばポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルムでは、室温で3日以上あるいは、40℃程度で1日以上エージングすることでガスバリア性能を安定させることができ、これらエージングの条件はガスバリア性能の発現の状況により適宜選択される。
【0024】
【特性値の測定法】
本発明の特性値は以下の測定法による。
【0025】
(1)膜厚
透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEM−1200EX)を用い、加速電圧100kVで断面を超薄切片法で観察し、蒸着膜の膜厚を測定した。
【0026】
(2)中心線平均粗さ
JIS−B−0601−1976に記載された方法に従い、触針法により中心線平均粗さ(Ra)を測定した。
【0027】
(3)酸化アルミニウム薄膜中の炭素濃度
JEOL社製オージェ電子分光装置JAMP−10Sを用い、以下の条件でAl(金属成分)、AlIII (酸化成分)、酸素、炭素のプロファイルを測定し、各元素によるオージェ電子強度の補正を行い酸化アルミニウム中の炭素濃度を算出した。
【0028】
(オージェ電子分光測定条件)
加速電圧:3kV
試料電流:5×10
ビーム径:50μmφ
(イオンエッチング条件)
イオン種:Ar
加速電圧:3kV
試料電流:6×10
【0029】
(4)界面領域の厚み
上記オージェ電子分光による炭素のプロファイルから界面領域の厚みを算出した。上記条件でのイオンエッチング条件でSiOをエッチングし、エッチング速度を算出して厚みの計算を行った。図1にオージェ電子分光の炭素のプルファイルの例を示し、このプロファイルに対応したd1、d2の算出方法を図解した。
【0030】
(5)水蒸気透過率
水蒸気透過率測定装置“Permatran”W3/31(モダンコントロール社製)を用いて37.8℃、100%RHの条件で測定した。
【0031】
(6)酸素透過率
酸素透過率測定装置“Oxtran”100(モダンコントロール社製)を用いて23℃、0%RHの条件で測定した。
【0032】
【実施例】
実施例1
電子ビーム加熱蒸発源を有する連続式真空蒸着装置を用い、アルミナ製ルツボに99.99%のアルミニウム金属を装填して蒸着した。原反には接着層としてエチレン量4.6%のエチレン−プロピレンランダム共重合体からなる層を0.5μ積層した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚み20μm、Ra=0.05μm)を用い積層面にコロナ処理を施した後に蒸着を行った。酸化雰囲気として100%酸素をマスフローコントローラを通して導入した。蒸着速度は10m/分で実施した。蒸着が終了後1時間で、蒸着装置を大気に解放しその後2時間以内で蒸着フィルムのロールの大気中での巻き返しを完了し、ガスバリア性能を安定させるために室温(23℃、65%RH)で72時間放置後、物性の測定を行った。蒸着膜厚は20nmであり、この蒸着フィルムの光線透過率は88%であった。
【0033】
実施例2、3
実施例1と同様の方法で蒸着を行い、蒸着終了後1時間で蒸着装置を大気解放、その後16時間で巻き返しを行ったものを実施例2、30時間で巻き返しを行ったものを実施例3とした。いずれも実施例1同様室温72時間の放置を行った。
【0034】
実施例4
実施例1と同様の方法で蒸着を行い、蒸着終了後24時間で蒸着装置を大気解放、その後2時間で巻き返しを行ったものを実施例4とした。実施例1同様室温72時間の放置を行った。
【0035】
比較例1
実施例1と同様の方法で蒸着を行い、蒸着終了後1時間で蒸着装置を大気解放、その後48時間ロールの状態で放置し、その後2時間で巻き返しを行ったものを比較例1とした。実施例1同様室温72時間の放置を行った。
【0036】
比較例2
実施例1と同様の方法で蒸着を行い、蒸着終了後48時間で蒸着装置を大気解放、その後2時間で巻き返しを行ったものを比較例1とした。実施例1同様室温72時間の放置を行った。
【0037】
実施例5、6
実施例1と同様の方法で、原反フィルムとして実施例1と同様の積層構成で、テンターを出た後の延伸後の冷却条件を変更したRa=0.09μmとRa=0.03μmの積層二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。Raが大きいものはガスバリア性能が若干低下する傾向が認められた。
【0038】
実施例7
実施例1と同様の方法で、原反フィルムとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm、Ra=0.03μm)を用いた。蒸着終了後1時間で蒸着装置を大気解放、その後2時間で巻き返しを行ったものを実施例5とした。ガスバリア性能を安定させるために40℃、80%RHの雰囲気で24時間のエージングを行った。蒸着膜厚は15nmであり、蒸着フィルムの光線透過率は85%であった。
【0039】
比較例3
実施例5と同様の方法で、蒸着後1時間で蒸着装置を大気解放後、その後48時間ロールの状態で放置し、その後2時間で巻き返しを行ったものを比較例3とした。実施例3と同様40℃で24時間のエージングを行った。
【0040】
以上の実施例1〜7、比較例1〜3のフィルム特性を表1にまとめた。膜中の炭素濃度3%以下であり、炭素濃度が5%〜10%に遷移する界面領域の厚みd1が5nm以下、炭素濃度が10%〜90%に遷移する界面領域の厚みd2が10nm以下の実施例により、いずれも水蒸気バリア性能および酸素バリア性能に優れたものが得られた。さらに、蒸着後36時間以内に巻き返しすなわち大気暴露が完了したものは、同様にガスバリア性能が十分なものが得られたが、36時間を超えて巻き返しを行ったものについてはガスバリア性能が不十分であった。
【表1】
Figure 0003591136
【0041】
【発明の効果】
本発明の透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法は、以上のような構成としたため、酸素および水蒸気に対する高いガスバリア性能を安定して付与できるという特長を持つ。
【0042】
本発明の、および本発明による透明ガスバリア性フィルムは、単独でも用いることができるが、さらに、印刷を施したり、酸化アルミニウム薄膜の上から保護層などをコーティングしたり、他のフィルムと積層したり、あるいはこれらを組み合わせたりするなど、さらに加工して用いることもできる。また蒸着が施される反対の面に予めヒートシール層が積層されたフィルムを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオージェ電子分光の炭素のプルファイルの一例を示した概略図である。
【符号の説明】
d1:酸化アルミニウム薄膜とプラスチックフィルムとの界面における炭素濃度が5%から10%に遷移する界面領域の厚み
d2:酸化アルミニウム薄膜とプラスチックフィルムとの界面における炭素濃度が10%から90%に遷移する界面領域の厚み

Claims (2)

  1. プラスチックフィルムと該プラスチックフィルムの少なくとも片面に設けられた酸化アルミニウム薄膜とからなるガスバリア性フィルムにおいて、該酸化アルミニウム薄膜中の炭素濃度が3%以下であり、該酸化アルミニウム薄膜と該プラスチックフィルムとの界面における炭素濃度が5%から10%に遷移する界面領域の厚みd1が5nm以下であり、かつ10%から90%に遷移する界面領域の厚みd2が10nm以下であることを特徴とする透明ガスバリア性フィルム。
  2. プラスチックフィルムの少なくとも片面に酸化アルミニウム薄膜を積層する方法において、真空プロセスにより該酸化アルミニウム薄膜を該プラスチックフィルム上に形成した後、36時間以内に該酸化アルミニウム薄膜を形成した面を大気に曝すことを特徴とする透明ガスバリア性フィルムの製造方法。
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