JP3591045B2 - 筒内噴射式内燃機関 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は筒内噴射式内燃機関に関し、詳しくは、燃焼室内に臨んで配置された燃料噴射弁により燃焼室内に直接燃料を噴射供給する機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
筒内噴射式内燃機関としては、従来、実開平1−173416号公報に開示されるようなものがあった。
このものは、機関の高負荷時に吸気行程で燃料を噴射する構成であり、かつ、吸気弁のリフト時に、リフトしている吸気弁に対して燃料噴霧が衝突するように、燃料噴射弁の位置,噴射方向,吸気弁の位置を設定している。
【0003】
上記のように燃料噴霧を吸気弁に衝突させることで、燃料噴霧の飛散を図り、以て、筒内における燃料分散を促進させて空気利用率の向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料噴霧を吸気弁に衝突させると、衝突・反射した燃料噴霧が、吸気の流れから外れてしまって、燃料と空気との混合が妨げられることがあり、また、吸気の流れから外れた燃料噴霧は、筒内に分散せずに主に燃焼室上部に滞留してしまうことになる。このため、前記従来の筒内噴射式内燃機関のように、燃料噴霧の全てを吸気弁に衝突させる構成であると、必ずしも高い空気利用率が得られないという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、燃料を安定的にシリンダ内に広く分散させることができ、かつ、燃料と空気とを良好に混合させることができる筒内噴射式内燃機関を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1の発明にかかる筒内噴射式内燃機関は、燃料噴射弁が吸気ポートの下方に燃焼室に臨んで配置されると共に、燃焼室上部壁のシリンダ略中央位置に点火栓が配置される筒内噴射式内燃機関であって、前記燃料噴射弁から吸気行程中に噴射された燃料噴霧のうちの一部である上側の部分が、吸気弁のリフト量が所定以上のときにリフト中の吸気弁傘裏に衝突し、前記吸気弁のリフト量が大きくなるほど吸気弁傘裏に衝突する燃料の割合がより大きくなり、かつ、前記吸気弁のリフト量が最大であるときの前記割合が100%より小さく、吸気弁傘裏に衝突した燃料が前記点火栓近傍の燃焼室上部に滞留するように前記燃料噴射弁の噴霧方向及び噴霧角度を設定する構成とした。
【0007】
請求項2の発明にかかる筒内噴射式内燃機関では、前記吸気弁のリフト量が最大であるときに、吸気弁投影面の最上部に燃料噴霧の上端部が内接するように前記燃料噴射弁の噴霧方向及び噴霧角度が設定される構成とした。
【0009】
【作用】
請求項1の発明にかかる筒内噴射式内燃機関によると、吸気弁のリフト量が所定以上のときに、燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧のうちの一部である上側の部分が、リフト中の吸気弁傘裏に衝突し、リフト量が大きくなるほど吸気弁傘裏に対する衝突割合がより大きくなり、かつ、最大リフト量であるときの衝突割合が100%より小さく、吸気弁傘裏に衝突した燃料が点火栓近傍の燃焼室上部に滞留するように燃料噴射弁の噴霧方向及び噴霧角度が設定される。
ここで、吸気弁に衝突した燃料噴霧は点火栓近傍の燃焼室上部に滞留し、衝突しなかった燃料噴霧はそのまま吸気の流れに乗って空気との混合が促進される。これにより、燃料はシリンダ内に広く分散することになると共に、良好な燃料と空気との混合が得られ、然も、点火栓の近傍である燃焼室上部に滞留する噴霧によって点火栓近傍の混合気を濃くでき、良好な着火が得られる。
【0011】
請求項2の発明にかかる筒内噴射式内燃機関によると、前記吸気弁のリフト量が最大であるときに、吸気弁投影面の最上部に燃料噴霧の上端部が内接するよう構成することで、最大リフト時にも吸気弁の上側を噴霧の上側の部分が通り抜けることを防止することができると共に、吸気弁の傘裏全体を噴霧の衝突面として有効に用いることができ、噴霧が衝突する期間を長く確保できる。吸気弁の上側を噴霧の上側の部分が通り抜けることが防止できれば、噴霧の上側が対向側のシリンダ壁に直接衝突して壁流となり、これが未燃HCの発生原因となることを未然に防止できる。
【0013】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。
図1(A),(B)は本実施例の筒内噴射式内燃機関を示す図である。
この図1(A),(B)において、シリンダヘッド1に形成された燃焼室2に臨んで2つの吸気ポート3a,3b及び2つの排気ポート4a,4bが形成されており、前記吸気ポート3a,3b及び排気ポート4a,4bそれぞれには、吸気弁5a,5b及び排気弁6a,6bが介装されている。
【0014】
前記吸気ポート3aの下方には、燃料噴射弁7が燃焼室2に臨んで配置されている。
更に、燃焼室2上部壁のシリンダ略中央位置に点火栓8が配置されている。
そして、前記吸気ポート3a,3b及び吸気弁5a,5bを介してシリンダ内に吸引された空気と、前記燃料噴射弁7から噴射された燃料とが混合して燃焼室2内に形成される混合気を、前記点火栓8で着火燃焼させ、燃焼排気を、前記排気ポート4a,4b及び排気弁6a,6bを介して排出する構成となっている。
【0015】
尚、図1(A),(B)において、9はシリンダブロックを示し、該シリンダブロック9に対してピストン10とシリンダライナ11が組み込まれている。
ここで、本実施例では、吸気行程中に燃料噴射弁7による燃料噴射を行わせるが、吸気弁5aのリフト量が所定以上のときに、燃料噴射弁7から噴射された燃料噴霧のうちの一部である上側の部分が、リフト中の吸気弁5aの傘裏に衝突するように燃料噴射弁7の噴霧方向及び噴霧角度が設定されている。
【0016】
吸気弁5aの最大リフト時における噴霧の傘裏に対する衝突パターンは、例えば図2(a)〜(j)に示すようなパターンに分類され、前記パターンうちの(a),(b),(d),(e),(h),(i),(j)における燃料噴霧の衝突割合は、吸気弁のリフト量に対して図3に示すように変化する。
(a)のパターンは、吸気弁5aのリフト量が所定以上であるときに燃料噴霧のうちの一部である上側の部分が吸気弁5aの傘裏に衝突し、残る下側の部分は最大リフト時であっても傘裏に衝突しないようにしたものであり、吸気弁5aのリフト量が大きくなるほど吸気弁5a傘裏に衝突する燃料の割合がより大きくなり、然も、吸気弁5aのリフト量が最大であるときに(衝突する燃料割合が最大であるときに)、吸気弁投影面の最上部に燃料噴霧の上端部が内接するように燃料噴射弁7の噴霧方向及び噴霧角度が設定されている。
【0017】
(b)のパターンでは、リフト量が小さい状態では、燃料噴霧のうちの一部である上側の部分が吸気弁5aの傘裏に衝突し、下側の部分は衝突しないが、リフト量の増大に伴って衝突割合が増大し、最大リフトに達する前に吸気弁投影面の最上部に燃料噴霧の上端部が内接するようになって、このときに衝突割合が最大となる。そして、衝突割合が最大となるリフト量から更にリフト量が増大すると、噴霧の上端部が衝突しなくなって、リフト量の増大に伴い上側で衝突しない噴霧割合が増大していき、最大リフト時に達するまで衝突割合が減少し続けるように設定されている。
【0018】
(c)のパターンは、左右2方向に燃料を噴射する燃料噴射弁7を備えた内燃機関において、2つの噴霧それぞれの内側の一部を吸気弁5aの傘裏に衝突させるよう構成した例を示す。
(d)のパターンは、燃料噴霧のうちの一部である上側の部分が吸気弁5aの傘裏に衝突するようにしたパターンであるが、吸気弁5aのリフト量が最大であるときでも、吸気弁投影面の最上部に燃料噴霧の上端部が内接することがない設定であり、(a)のパターンに比して、よりリフト量が大きい領域でのみ燃料噴霧が衝突し、かつ、衝突が発生するリフト領域の全域で衝突割合がより小さい設定となっている。
【0019】
(e)のパターンは、リフト量が最大に達する前では、燃料噴霧のうちの一部である上側の部分のみが吸気弁5aの傘裏に衝突するが、吸気弁5aのリフト量が大きくなるほど吸気弁5a傘裏に衝突する燃料の割合がより大きくなり、最大リフト時には燃料噴霧が全て吸気弁5aの傘裏に衝突するよう構成した例を示す。
【0020】
(f)のパターンは、リフト量が比較的小さい状態では、燃料噴霧のうちの一部である上側の部分が吸気弁5aの傘裏に衝突し下側部分は衝突しないが、リフト量の増大に伴う吸気弁投影面の最上部の下降によって、吸気弁5aのリフト量が最大となったときには、上側も下側と同様に衝突しなくなり、噴霧の上下方向の中央部分が帯状に傘裏に衝突する構成としてある。
【0021】
(g)のパターンは、前記(f)と同様に、リフト量が比較的小さい状態では、燃料噴霧のうちの一部である上側の部分が吸気弁5aの傘裏に衝突し、下側部分は衝突しないが、吸気弁5aのリフト量が最大となったときには、噴霧の外形内に吸気弁5aの傘裏部が含まれ、傘裏に衝突しない部分が筒状の燃料噴霧を形成する例を示す。
【0022】
また、(h)〜(j)の各パターンは、噴霧角度を狭めることで、所定のリフト量以上では燃料噴霧の全てが吸気弁5aの傘裏に衝突するようにした例を示すものであり、噴霧方向の違いによって図3(h)〜(j)に示すように、衝突が発生するリフト位置が相互に異なる特性となっている。
ここで、前記(h)〜(j)に示すように、燃料噴霧の全てを吸気弁5aの傘裏に衝突させる構成であると、衝突した燃料噴霧は全て図4に示すA領域に飛ばされて吸気流れから外れるため、空気との良好な混合が得られず、また、燃焼室への燃料分散が図られない。
【0023】
これに対して、燃料噴霧の一部を吸気弁5aの傘裏に衝突させ、残る部分を衝突させない構成であれば、傘裏に衝突した噴霧と吸気弁に衝突しない噴霧とをシリンダ内の別々の領域に供給することができ、燃料噴霧を燃焼室空間に広く分布させることができる一方、吸気弁と衝突しない燃料噴霧については、そのまま吸気の流れに乗って空気との混合が促進される。
【0024】
従って、前記(a)〜(g)に示すように、燃料噴霧の一部を、吸気弁5aの傘裏に衝突させると共に、残る噴霧については吸気弁5aに衝突させないようにして噴霧を2分割することが好ましく、かつ、かかる燃料噴霧の分割状態がリフト期間に対してより長く得られる方が、リフト中に噴射された噴霧をより効果的に分散させることになる。
【0025】
この条件で選定すると、図2(a)〜(g)のうちで(b)のパターンが最も効果的であることになる(図3参照)。
しかしながら、(b)のパターンのように、吸気弁5aの傘裏の上部を燃料噴霧が通り抜ける構成であると、燃料噴射弁7の反対側のシリンダライナC領域(図4参照)に燃料噴霧が衝突し易く、C領域に対する燃料噴霧の衝突によって排気性能や耐久性を悪化させる可能性がある。このため、(b)のパターンは好ましくなく、(b)と同様に傘裏の上部を燃料噴霧が通り抜ける(f),(g)のパターンも好ましくないことになる。また、(c)のパターンも、燃料噴霧がシリンダライナに直接的に衝突する可能性が高いため好ましくない。
【0026】
ここで、上部通り抜けのないパターン(a),(d),(e)の中で、分割状態がリフト期間に対して最も長いパターンを選択すると、(a)のパターンになる。尚、(e)のパターンも、長い期間に渡って燃料噴霧を分割できるが、吸気弁の最大リフト時に衝突割合が100 %になるため、最大リフト付近で分割の偏りが生じ、燃料噴霧を燃焼室空間内に良好に分散できなくなるため、(e)に比べて(d)のパターンが好ましい。
【0027】
(a)のパターンでは、リフトが最大のときであっても、吸気弁5aの傘裏の上部を燃料噴霧が通り抜けることがなく、図4に示すC領域に対する燃料噴霧の衝突を回避できる。また、最大リフト時に、吸気弁投影面の最上部に燃料噴霧の上端部が内接するように設定されるから、傘裏を衝突面として有効に利用でき、かつかかる最大リフト時でも噴霧の下側を吸気弁に衝突させないから、図4に示すA領域とB領域とに燃料噴霧を分割できる期間が長く然もバランス良く分割でき、これによって、燃料噴霧を燃焼室空間に広く分布させることができる。従って、前記図2(a)〜(j)のうちで(a)のパターンになるように、燃料噴射弁7の噴霧方向,噴霧角度を設定することが最も好ましい。
【0028】
ここで、前記(a)パターンでは、吸気弁のリフト量が大きくなるほど吸気弁傘裏に衝突する燃料の割合がより大きくなるから、噴射時期を適宜設定することで、前記A領域とB領域とに対する噴霧の分割を任意に設定でき、例えば噴射時期を最大リフト時期付近に設定することで、A領域に多くの燃料噴霧を滞留させて点火栓周辺に濃い混合気を形成させ、点火栓による着火安定性を向上させることができる。
【0029】
上記のように点火栓周辺に濃い混合気を形成させて混合気を成層化する方法としては、噴射を2回に分けて行う方法などがあるが、上記のように1回の噴射で成層化が行える構成であれば、1回の噴射で供給する最小燃料量を比較的大きくでき、以て、噴射パルス幅に対する燃料量の直線性が確保できる最小の噴射パルス幅を比較的大きな幅とすることが可能であり、燃料噴射システムを簡便に構成しつつ、成層化を実現できる。
【0030】
尚、上記のようにして燃料噴射弁7の噴霧方向,噴霧角度を設定する際には、負圧下における噴霧角の広がりを考慮することが好ましい。
ところで、上記(a)のパターンになるように燃料噴射弁7の噴霧方向,噴霧角度を設定した場合、前述のように噴射時期を任意に設定することで、衝突割合を任意に調整することができ、特に、理論空燃比よりも大幅にリーンな空燃比で燃焼させる機関においては、噴射時期の適正な設定によって燃焼安定性を高めることが可能であり、かかる噴射時期制御の実施例を以下に説明する。
【0031】
図5は、以下に説明する噴射時期制御の実施例において参照する電子制御燃料噴射装置のシステム構成図であり、図1と同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
この図5において、燃料噴射弁7は、前記(a)のパターンになるように燃料噴射弁7の噴霧方向,噴霧角度が設定されており、該燃料噴射弁7は、マイクロコンピュータを内蔵したコントロールユニット14から出力される噴射パルス信号に応じて開弁される構成となっている。
【0032】
前記コントロールユニット14には、クランク角センサ12からの回転信号、エアフローメータ13からの吸入空気量信号Q等が入力されるようになっている。
そして、コントロールユニット14は、前記クランク角センサ12からの回転信号に基づき算出される機関回転数Neと前記吸入空気量Qとに基づいて基本噴射パルス幅Tpを演算し、更に、この基本噴射パルス幅Tpを冷却水温度等に応じて補正して最終的な噴射パルス幅Tiを算出する。そして、所定の噴射時期に前記噴射パルス幅Tiの噴射パルス信号を前記燃料噴射弁7に出力し、前記噴射パルス幅Tiに対応する燃料を噴射供給させる。
【0033】
尚、前記電子制御燃料噴射装置において、機関負荷を代表する基本噴射パルス幅Tpと機関回転数Neとに応じて目標空燃比をリーン空燃比とする運転領域(リーン燃焼運転領域)と目標空燃比を理論空燃比とする運転領域(ストイキ燃焼運転領域)とに分けられており(図6参照)、いずれの運転領域に該当するかによって目標空燃比を切換え設定し、設定された目標空燃比に応じて基本噴射パルス幅Tpを補正設定して噴射パルス幅Tiを算出するようになっている。
【0034】
図7のフローチャートは、前記コントロールユニット14による噴射時期制御の様子を示すものであり、所定時間毎に実行されるものとする。
この図7のフローチャートにおいて、S1では、機関回転数Ne及び吸入空気量Qの検出を行う。
S2では、前記検出された機関回転数Ne及び吸入空気量Qに基づいて、基本噴射パルス幅Tp(Tp=K×Q/Ne:Kは定数)を算出する。尚、ここで演算される基本噴射パルス幅Tpは、目標空燃比が理論空燃比であるときに対応するパルス幅である。
【0035】
S3では、前記基本噴射パルス幅Tp(機関負荷代表値)と機関回転数Neとに基づいて、リーン燃焼運転領域とストイキ燃焼運転領域とのいずれに該当するかを判別する(図6参照)。
S4では、基本噴射時期を、前記S3における目標空燃比の判別結果及び基本噴射パルス幅Tpに基づいて設定する(図8参照)。尚、本実施例では、噴射時期を噴射終了時期として設定するようにしてあり、クランク角位置として与えられる噴射終了時期に噴射が終了するように、噴射終了時期からパルス幅Tiに対応するクランク角だけ逆算して噴射開始時期を可変制御する。但し、噴射開始時期を噴射時期として設定させて、設定された噴射開始時期に噴射を開始させる構成であっても良い。
【0036】
前記基本噴射時期の設定は、図8に示すような特性の下に行われる。
即ち、ストイキ燃焼運転領域の場合には、吸気弁5aの最大リフト時期よりも前のクランク角範囲内で、基本噴射パルス幅Tpの増大に応じてより遅い時期に噴射が終了するように基本噴射時期が設定される。
一方、リーン燃焼運転領域の場合には、吸気弁5aの最大リフト時期よりも後の最大リフト時期の近傍のクランク角範囲内で、基本噴射パルス幅Tpの増大に応じてより遅い時期に噴射が終了するように基本噴射時期が設定されるようになっている。但し、図8に示す噴射終了時期のマップをリーン燃焼運転領域で参照する場合には、理論空燃比相当として算出される前記基本噴射パルス幅Tpに、リーン目標空燃比に対応する補正係数KA/F (例えば0.6 〜0.9 )を乗算することで、前記リーン目標空燃比相当のパルス幅Tpに設定し直してから参照するものとする。
【0037】
理論空燃比で燃焼させるストイキ燃焼運転領域では、燃料噴霧と空気との混合時間(噴射終了から点火までの時間)をより長く確保すべく、吸気行程の早い時期を噴射時期とすると良く、更に、燃焼室空間に対して燃料噴霧を均等に分布させるべく、吸気弁5aの傘裏に衝突する燃料量と、衝突しない燃料量とが略等しくなるように噴射時期を設定することが好ましい。そこで、ストイキ燃焼運転領域では、噴射終了時期を、最大リフト時期よりも前のクランク角範囲内で、吸気弁5aの傘裏に衝突する燃料量と衝突しない燃料量とが略等しくなる時期として設定するようにしてある(図9参照)。更に、噴射パルス幅の変化によって衝突率が大きく変化し、衝突する燃料量(図9のA)と衝突しない燃料量(図9のB)とのバランスが大きく変化することを回避すべく、パルス幅Tpの増大に応じて終了時期をより遅らせるようにしてある。
【0038】
一方、理論空燃比よりも大幅にリーンな空燃比で燃焼させるリーン燃焼運転領域では、点火栓近傍に濃い混合気を存在させることが、着火安定性を得る上で必要になるため、吸気弁5aに衝突して図4のA領域(点火栓の近傍領域)に飛ばされる燃料噴霧の割合が大きくなる吸気弁最大リフト時期の近傍に噴射時期を設定すると良い。また、点火栓近傍に濃い混合気を存在させた成層状態を保持した状態で点火が行われるように、最大リフト時期の近傍であって然も点火に近い時期に噴射を行わせることが好ましく、最大リフト時期の近傍であって最大リフト時期よりも後のクランク角範囲が噴射終了時期として設定されるようにしてある。この場合も、噴射パルス幅の増大によって衝突率、換言すれば、衝突する燃料量(図9のA)と衝突しない燃料量(図9のB)とのバランスが大きく変化することを回避すべく、パルス幅Tpの増大に応じて終了時期をより遅らせるようにしてある。
【0039】
S5では、前記基本噴射時期(基本噴射終了時期)をそのときの機関回転数Neに応じて補正するための噴射時期補正値を設定する。
前記噴射時期補正値は、機関回転数Neが高いときほど大きな値として設定される構成としてあり(図10参照)、ここで、噴射時期補正値が大きいほどより噴射終了時期を早める方向に基本噴射終了時期が補正されるものとする。燃焼室内に噴射された燃料は点火されるまでの間で気化することになるが、高回転域では、点火までの時間が短くなって気化のための時間を確保できなくなる場合がある。そこで、高回転時ほど噴射終了時期を早めて点火までの時間を確保し、噴霧気化を充分に果たせるようにするものである。
【0040】
S6では、S4で設定した基本噴射時期(噴射終了時期)を前記S5で設定した噴射時期補正値で補正して、該補正結果として得られた最終的な噴射時期を記憶する。
前記噴射時期の記憶データは、上記ルーチンとは別に実行される噴射制御ルーチンにおいて読み出され、該読み出した噴射時期に噴射が終了するように、パルス幅Tiに応じて噴射開始時期を可変制御する。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明にかかる筒内噴射式内燃機関によると、吸気弁に衝突した燃料噴霧が燃焼室上部に滞留し、衝突しなかった燃料噴霧はそのまま吸気の流れに乗って空気との混合が促進されるので、燃料はシリンダ内に広く分散することになると共に、良好な燃料と空気との混合が得られ、然も、点火栓近傍の燃焼室上部に滞留する噴霧によって点火栓近傍の混合気を濃くでき、良好な着火が得られるという効果がある。
【0043】
請求項2の発明にかかる筒内噴射式内燃機関によると、吸気弁のリフト量が最大であるときに、吸気弁投影面の最上部に燃料噴霧の上端部が内接するよう構成したので、最大リフト時に吸気弁の上側を噴霧の上側の部分が通り抜けてこれが未燃HCの発生原因となることを防止できると共に、吸気弁の傘裏全体を噴霧の衝突面として有効に用いることができ、噴霧が衝突する期間を長く確保できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における筒内噴射式内燃機関を示す図。
【図2】吸気弁最大リフト時における燃料噴霧の衝突パターンを示す図。
【図3】各衝突パターンでのリフト量と衝突割合との相関を示す図。
【図4】燃料噴霧の衝突による分割の様子を示す図。
【図5】噴射時期制御を行う電子制御燃料噴射装置のシステム構成図。
【図6】目標空燃比の切換えマップを示す図。
【図7】実施例の噴射時期制御を示すフローチャート。
【図8】噴射終了時期を空燃比と噴射パルス幅との相関で示す図。
【図9】噴射時期と衝突割合との関係を示す図。
【図10】機関回転数による噴射時期補正の特性を示す線図。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
2 燃焼室
3a,3b 吸気ポート
4a,4b 排気ポート
5a,5b 吸気弁
6a,6b 排気弁
7 燃料噴射弁
8 点火栓
9 シリンダブロック
10 ピストン
11 シリンダライナ
12 クランク角センサ
13 エアフローメータ
14 コントロールユニット
Claims (2)
- 燃料噴射弁が吸気ポートの下方に燃焼室に臨んで配置されると共に、燃焼室上部壁のシリンダ略中央位置に点火栓が配置される筒内噴射式内燃機関であって、前記燃料噴射弁から吸気行程中に噴射された燃料噴霧のうちの一部である上側の部分が、吸気弁のリフト量が所定以上のときにリフト中の吸気弁傘裏に衝突し、
前記吸気弁のリフト量が大きくなるほど吸気弁傘裏に衝突する燃料の割合がより大きくなり、かつ、前記吸気弁のリフト量が最大であるときの前記割合が100%より小さく、
吸気弁傘裏に衝突した燃料が前記点火栓近傍の燃焼室上部に滞留するように前記燃料噴射弁の噴霧方向及び噴霧角度を設定したことを特徴とする筒内噴射式内燃機関。 - 前記吸気弁のリフト量が最大であるときに、吸気弁投影面の最上部に燃料噴霧の上端部が内接するように前記燃料噴射弁の噴霧方向及び噴霧角度が設定されることを特徴とする請求項1記載の筒内噴射式内燃機関。
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