JP3590689B2 - う蝕誘発性の低い菓子用組成物及びそれを用いた菓子の製造方法 - Google Patents

う蝕誘発性の低い菓子用組成物及びそれを用いた菓子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、う蝕誘発性の低い菓子用組成物及びそれを用いた菓子の製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャンデーやチューインガムをはじめとする菓子は古来多くの人々に好まれ、その種類もカロリーの高いものや低いもの、酸味や果実の味を強調したもの、硬いガラス状の外観を有するものや柔らかなものなど、多種多様であるが、本発明で言う菓子とは、口腔内に滞留する時間が比較的長いもの、具体的には、ハードキャンデー、チューインガム、チューイングタブレット、グミ等のゼリー類を意味する。
【0005】
キャンデーやチューインガムをはじめとする菓子は従来水飴や砂糖を甘味料として製造されてきたが、近年の口腔衛生思想の普及に伴って、う蝕誘発性の低い甘味料の使用が望まれている。
【0006】
糖アルコール類は良好な甘味質を有し、う蝕誘発性が低いものが多いことから、これを用いてう蝕誘発性の低いハードキャンデー等の菓子を製造する試みがなされて来た。
【0007】
しかし、糖アルコール類を菓子の材料として用いた場合に、キャンデー等の場合には特に顕著であるが、吸湿性が主に砂糖を用いた従来品よりも高いこと、いわゆるコールドフローが起こりがちで表面のベトつきが生じること、カリカリとした歯脆さなどの従来品の好ましい食感が損なわれて噛んだときに不快な硬い歯ごたえになる場合が多いこと、噛んだときに歯に強く粘着すること、弱く熱したときに形が崩れやすいこと、その結果菓子同士や菓子と包装材との融解や付着が起こること等の点が課題として残されていた。
【0008】
糖類の中にはこのような糖アルコール類の持っている欠点が少ないものが多いことから、このような課題を解決しようとしてある種の糖類と糖アルコールとの混合使用も提案されているが、その場合には、パラチノース等のごく僅かの例外を除けばう蝕誘発性が極端に増大してしまい、満足な性質を備えた菓子用組成物や菓子の製造方法は得られていない。
【0009】
従って、糖アルコール本来の特徴である良好な味や非う蝕誘発性を損なわずに前記のようなコールドフローなどの課題を解決することが要望されていたのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、前記様々な課題を解決するため、鋭意糖アルコールと各種菓子用素材の性質を研究した。
【0012】
現代の科学では、口腔内の細菌が口腔内の基質から粘質多糖や酸等の醗酵生産物を生成し、これにより口腔内のpHが長時間低下し、エナメル質からの脱灰等が起こり、これらが相互に関連しあってう蝕ができると理解されているので、口腔内のpHや口腔内細菌を用いて測定するpHが物質のう蝕性を判定するうえで重要な指標になると考えられている。
【0013】
う蝕誘発性を測定するには、ヒトの口に電極を実際に稙え込んでpHを測定する電極内蔵法や、ヒトの口腔内細菌を取り出して基質と反応させ、pHを測定する酸産生能(速度)測定法など各種の方法が提案されているが、本発明者等は各組成物の試験法Aによる酸産生能を測定してう蝕誘発性の目安とした。
【0014】
糖類は試験法Aに供した場合に殆どが70〜100%の数値を示すことが知られているが、意外なことにトレハロースは例外的に極めて低い数値を示すことを本発明者等は発見した。
【0015】
しかし、トレハロースをキャンデー等の菓子用素材として単独で用いることが、結晶の晶出のしかたなど、トレハロースの性質上困難であることが判明したので、特定の糖アルコールとトレハロースとの混合物について性質を調べた結果、前記課題の殆どを解決できることを見出し、且つ、試験法Aによれば、非う蝕性であることを発見した。
【0016】
その結果、特定の糖アルコールとトレハロースとを10:90〜90:10の範囲で用いることにより、試験法Aで測定した酸産生能の低い菓子用組成物を得ることに成功し、また、それを用いて良好な味や糖アルコールの有する非う蝕性等の性質を損なわず、且つ、糖アルコールの課題とされていたコールドフローや歯ざわり等、多くのことがらが解決された菓子を製造することに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
【0017】
以下に本発明で採用した試験法A(酸産生能の試験法)を詳細に説明する。
【0018】
1.用いる試薬類の調製
【0019】
▲1▼被検査物質水溶液:被検査物質1gあたり脱イオン水10mlで溶解し(被検査物質が液状である場合は、脱イオン水で濃度10%に調整する)、リン酸緩衝液0.1mlを加えて被検査物質水溶液とする。
【0020】
▲2▼洗浄液:pH7.0に調整したKCl:MgCl=150mM:5mM混合水溶液を調製し、洗浄液とする。
【0021】
▲3▼リン酸緩衝液:NaHPO及びKHPOの1/15モル水溶液を各々調製し、NaHPOとKHPOを61.1:38.9の割合で混合してpHを7.0に調整し、リン酸緩衝液とする。
【0022】
▲4▼リン酸緩衝液入り洗浄液:KCl:MgCl=1.12g:0.048gをリン酸緩衝液4mlと脱イオン水96mlで溶解し、リン酸緩衝液入り洗浄液とする。
【0023】
▲5▼α−アミラーゼ液:α−アミラーゼ2mgを洗浄液20mlに溶解し、0.1mg/ml溶液を作り、α−アミラーゼ液とする。
【0024】
▲6▼歯垢液:採取前夜歯を磨かないで蓄積した歯垢を採取し、上記▲4▼のリン酸緩衝液入り洗浄液に入れて撹拌し、遠心分離により唾液等を除去し、歯垢を▲4▼のリン酸緩衝液入り洗浄液で数回洗浄する。その後、水分を除き、歯垢重量の1.5倍の▲4▼のリン酸緩衝液入り洗浄液に懸濁させる。7人分の懸濁液を混合して歯垢液とする。(操作中、保存中は氷冷する。)
【0025】
2.pHの測定操作
【0026】
温度35℃に調整した恒温器内に予め入れておいたpH計の電極部に歯垢液8μlを滴下し、約1分放置後、被検査物質水溶液5mlにα−アミラーゼ液1mlを加えて調製した混合液の12μlを加えて合計20μlを電極部に滴下して、滴下終了時を反応開始時間として滴下した混合液を撹拌する。
【0027】
操作中、約1分放置後、反応開始から1分毎に20分間、更に撹拌終了後のpHをそれぞれ測定する。
【0028】
3.酸産生能の計算
【0029】
ショ糖10%水溶液を被検査物質水溶液と同様に操作してpHを測定しておき、pHから求められるショ糖水溶液と被検査物質水溶液の水素イオン濃度をそれぞれ時間に対してプロットし、その傾き(酸の生成速度に相当する)を求めてショ糖の場合と被検査物質の場合との傾きを比較する。
【0030】
同じpHの測定及び傾きの計算を同一の歯垢液で3回行い、次の日には別の歯垢液を用いて同様に3回測定し、最初の日の3回の平均と次の日の3回の平均が共に、被検査物質の傾きがショ糖の傾きの20%以下であるという結果になった場合に、酸産生能が低いと判定した。
【0031】
本発明の課題を解決する手段は以下の通りである。
【0032】
本発明は第一に、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、キシロビイトール、パラチニット、マルチトール、ラクチトール、試験法Aによる酸産生能が20%未満である還元澱粉糖化物または還元分岐オリゴ糖若しくは還元キシロオリゴ糖から成る群から選ばれる1種又は2種以上の混合物である糖アルコール10〜90重量%と、トレハロース90〜10重量%とを含有することを特徴とする、う蝕誘発性の低い菓子用組成物である。
【0033】
本発明は第二に、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、キシロビイトール、パラチニット、マルチトール、ラクチトール、試験法Aによる酸産生能が20%未満である還元澱粉糖化物または還元分岐オリゴ糖若しくは還元キシロオリゴ糖から成る群から選ばれる1種又は2種以上の混合物である糖アルコール10〜90重量%と、トレハロース90〜10重量%とを用いることを特徴とする、う蝕誘発性の低い菓子の製造方法である。
【0034】
また、本発明は、第三に、トレハロースが、試験法Aによる酸産生能が20%未満である性質を備えたものである第一の発明に記載のう蝕誘発性の低い菓子用組成物である。
【0035】
また、本発明は、第四に、トレハロースが、試験法Aによる酸産生能が20%未満である性質を備えたものである第二の発明に記載のう蝕誘発性の低い菓子の製造方法である。
【0036】
また、本発明は、第五に、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、キシロビイトール、パラチニット、マルチトール及びラクチトールが、試験法Aによる酸産生能が20%未満である性質を備えたものである第一又は第三の何れか一つの発明に記載のう蝕誘発性の低い菓子用組成物である。
【0037】
更に、本発明は、第六に、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、キシロビイトール、パラチニット、マルチトール及びラクチトールが、試験法Aによる酸産生能が20%未満である性質を備えたものである第二又は第四の何れか一つの発明に記載のう蝕誘発性の低い菓子の製造方法である。
【0038】
本発明に用いるトレハロースは、酵母からの抽出法によるものであっても、澱粉からの酵素法によるものであっても、その由来や製造方法に特別の制約は無く、純度が98%以上で、且つ、好ましくは試験法Aにより、20%未満の結果が得られる品質を具備したものであればよい。
【0039】
本発明者の知見によれば、グルコースやマルトース、スクロース(砂糖)などの未還元糖または口内微生物によって速やかに資化されたり、未還元糖を遊離する糖がある程度含有されていると試験法Aによる結果が20%以上になるので、トレハロース以外の糖類が少ないものが好ましい。
【0040】
試験法Aによって20%未満の結果が得られないトレハロースは、多くの場合、糖アルコールと混合することによって、20%未満の該試験結果を得ることができるが、糖アルコールと混合しても20%未満の結果が得られない場合には、トレハロースをそのままで、又は糖類と混合してトレハロース分子内のα結合が加水分解されない程度の穏やかな条件で還元処理することにより、好ましい該試験結果を得ることができる。
【0041】
具体的には、温度は110〜150℃の範囲で、水素加圧下、ラネーニッケル等の糖類を還元するときに通常用いられる触媒を用いて、60〜120分程度の還元反応に供することによって、本発明に有利に採用できる品質を獲得することができる。
【0042】
また、アルカリの添加、加熱処理、活性炭若しくはイオン交換樹脂による脱色、脱臭、脱イオン処理操作、分蜜操作、クロマト分離等によっても、う蝕性が改善されて好ましい結果が得られる場合がある。
【0043】
本発明に用いる糖アルコールは、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、キシロビイトール、パラチニット、マルチトール、ラクチトール、試験法Aによる酸産生能が20%未満である還元澱粉糖化物または還元キシロオリゴ糖若しくは澱粉由来の還元分岐オリゴ糖からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であるが、その由来や製造方法についての特別の制限は無く、一般に食品又は食品添加物として製造されている程度の品質を備えているものであれば、おおむね本発明に有利に用いることができる。
【0044】
それらの糖アルコールの中でも、試験法Aによる酸産生能が20%未満である品質を備えたものが更に有利に採用することができるが、本発明者等の知見によれば、糖アルコール中の未還元物成分の含有率が2%未満であることが好ましく、0.5%未満であることが更に好ましく、0.2%未満であることが最も好ましい。
【0045】
また、試験法Aによって20%未満の結果が得られない糖アルコールの場合は、再度還元反応に供したり、前記トレハロースの場合と同様にトレハロースとの混合やアルカリの添加、加熱処理、活性炭若しくはイオン交換樹脂による脱色、脱臭、脱イオン処理操作、分蜜操作、クロマト分離等によっても、う蝕性が改善されて好ましい結果が得られる場合があるので、必要に応じてこれらの操作を施してから本発明に採用することができる。
【0046】
また、本発明の組成物は液状、粉末状、顆粒状、塊状の何れかの形態をとることができるが、組成物中に含有される糖アルコールの割合とトレハロースの割合は、菓子類を製造した場合に要求される粘度、甘味、硬さ、保形性、など、様々な性質を加味すると、両者を合計した数値を100としたときに、糖アルコール(重量%):トレハロース(重量%)=10:90〜90:10であることが必要であるが、好ましい割合は糖アルコール(重量%):トレハロース(重量%)=30:70〜70:30、更に好ましい割合は40:60〜60:40である。
【0047】
糖アルコールの比率が10%未満の場合は菓子類を製造した場合に甘味が不足しがちになり、粘度が高くなって作業性に支障が出る場合があり、キャンデーやゼリーなどの場合にはトレハロースの結晶が析出してしまい澄明な製品が得難いという現象があり、成形した後に脆くなる傾向が強いので、菓子用組成物として又はこれを用いて製造した場合には菓子として、致命的な課題を包含することになる。
【0048】
また、糖アルコールの比率が90%を超える場合は、糖アルコールの結晶が析出する場合があり、また、従来から糖アルコールを用いて菓子類を製造した場合の課題の多く、即ち、吸湿性が高くなり、キャンデー等の場合にはコールドフローが起こりがちで、表面がベトつき、歯つきが強く、熱したときに形が崩れやすく、歯脆さに欠けるなど、の現象が出現する。
【0049】
また、トレハロースの比率が10%未満の場合は、従来から糖アルコールを用いて菓子類を製造した場合の課題の多くが出現し、トレハロースの比率が90%を超える場合は糖アルコールの比率が10%未満の場合と同様の課題が発生する。
【0050】
本発明の組成物やそれを用いて菓子を調製する際に、トレハロース及び糖アルコールを含有させる方法については特別な制約はないが、トレハロースや各種還元オリゴ糖類を混合処理操作に供するなどの際に酸の存在下であまり高い温度での長時間操作を採用すると分子内の結合が切れてう蝕性が高くなる場合があるので、注意する必要がある。
【0051】
また、本発明の組成物やそれを用いて菓子を調製する際に、濃度が70%以上になると、成分がトレハロースの割合が30%以上で糖アルコールの割合が70%未満である場合には、成分の結晶が析出することがあるので、液として用いる場合には、濃度を低くするなどの手段を採用することが適切である。
【0052】
更に、本発明のう蝕誘発性の低い菓子用組成物は、菓子製造の際に有利に用いられるだけでなく、口腔内に滞留する時間の長い口腔衛生剤や舌下錠等の各種医薬品に用いた場合にも、う蝕誘発性が低いという特徴を利用することができる。
【0053】
【実施例及び比較例】
【0054】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の実施例によって制限されるものではない。
【0055】
尚、各例中、%は、特に断らない限り全て重量%を表わすものとする。
【0056】
[実施例−1]
【0057】
純度95%のマルチトール[東和化成工業(株)製、アマルティ(登録商標)MR]固形分量700gと純度99.8%のトレハロース[和光純薬工業(株)製、試薬特級]固形分量300gを2リットルのステンレス製容器に取り、水を加えて固形分濃度70%に調整して本発明の菓子用組成物を得た。
【0058】
次いで、前記菓子用組成物を撹拌しながら加熱して、30分間で液温が180℃になるまで煮詰め、その後120℃まで放冷してから1個約2gの大きさのステンレス製型に流し込んで成形、固化し、本発明に係る製造方法により菓子を得た。
【0059】
[実施例−2]
【0060】
マルチトールに代えて還元澱粉糖化物[東和化成工業(株)製、PO−60]を500g、トレハロースの量を500gとした他は実施例1と同様にして本発明の菓子用組成物を得た。
【0061】
次いで、実施例1と同様にして本発明に係る製造方法により菓子を得た。
【0062】
[実施例−3](組成物の調製)
【0063】
マルチトールに代えてラクチトール[東和化成工業(株)製、ミルヘン(登録商標)]を800g、トレハロースの量を200gとした他は実施例1と同様にして本発明の菓子用組成物を得た。
【0064】
次いで、実施例1と同様にして本発明に係る製造方法により菓子を得た。
【0065】
[実施例−4](組成物の調製)
【0066】
マルチトールに代えてパラチニット[三井製糖(株)製]を用いた他は実施例1と同様にして本発明の菓子用組成物を得た。
【0067】
次いで、実施例1と同様にして本発明に係る製造方法により菓子を得た。
【0068】
[実施例−5](組成物を用いた食品の調製)
【0069】
トレハロース[和光純薬工業(株)製、試薬特級]25.5g、純度95.2%のマルチトール[東和化成工業(株)製、アマルティ(登録商標)MR]58.2g、アスコルビン酸[武田薬品工業(株)製]15g、レモンパウダー0.3g[曽田香料(株)製]、滑沢剤[三菱化学(株)製、リョートーシュガーエステルS270F]1gを十分に混合し、15mmの杵を用い、小型打錠機[菊水製作所(株)製、8F−3B型回転式打錠機]で1錠が約1gの、本発明に係る製造方法により圧縮錠菓を調製した。
【0070】
[実施例−6]
【0071】
市販の板ガムベース[カネボウ化成(株)製、味ガムベース]80gに、トレハロース[和光純薬工業(株)製、試薬特級]100g、結晶マルチトール[東和化成工業(株)製、レシス(登録商標)]150g、還元麦芽糖水飴[東和化成工業(株)製、アマルティ(登録商標)シロップ]53g、ソルビトール[東和化成工業(株)製、商品名ソルビットL−70]12g、ストロベリーフレーバー3g、クエン酸2gを加え、55℃で約25分間充分に混練し、室温で展延し、板状にした後冷却して、通常の板ガムの大きさに切断して包装し、本発明に係る製造方法によりガム約400gを得た。
【0072】
[比較例−1]
【0073】
用いるマルチトールの固形分量を1000gとし、トレハロースを用いない他は実施例1と同様にして菓子用組成物を得た。
【0074】
次いでこの組成物を用いて、実施例1と同様にして菓子を調製した。
【0075】
[比較例−2]
【0076】
用いるトレハロースの固形分量を1000gとし、マルチトールを用いない他は実施例1と同様にして菓子用組成物を得た。
【0077】
次いでこの組成物を用いて、実施例1と同様にして菓子を調製した。
【0078】
[比較例−3]
【0079】
還元麦芽糖水飴の固形分量を1000gとし、トレハロースを用いない他は実施例2と同様にして菓子用組成物を得た。
【0080】
次いでこの組成物を用いて、実施例2と同様にして菓子を調製した。
【0081】
[比較例−4]
【0082】
用いるトレハロースの固形分量を700gとし、マルチトールに代えて砂糖を300g用いる他は実施例1と同様にして菓子用組成物を得た。
【0083】
次いでこの組成物を用いて、実施例1と同様にして菓子を調製した。
【0084】
[比較例−5]
【0085】
実施例5のマルチトールを同量の砂糖に変えた他は同様にして圧縮錠菓を調製した。
【0086】
[比較例−6]
【0087】
実施例6のマルチトールを同量の砂糖に置き換え、還元麦芽糖水飴を同量の水飴に変えた他は同様にしてガムを調製した。
【0088】
[比較試験−1]
【0089】
試験法Aにより、実施例1〜4で調製した菓子用組成物、及び実施例1〜6で調製した菓子と、比較例4〜6で調製した菓子とを試料とし、その酸産生能を測定した結果を表−1(1)〜(3)に示した。
【0090】
【表1】
Figure 0003590689
【0091】
表−1(1)〜(3)の結果から、本発明の菓子用組成物及び本発明の菓子は、比較例の菓子に比べてう蝕性の目安となる酸産生能が極めて低いことが判る。
【0092】
[比較試験−2]
【0093】
下記試験法により、各例で調製した菓子の官能試験を行った結果を表−2(1)及び(2)に示した。
【0094】
[味、歯もろさ、歯つきの判定] 年齢20歳〜55歳の訓練された成人10名をパネルとして、各資料を食したうえで、好ましい味又は歯もろさがある又は歯つきがない場合(各+1)、ふつうの場合(各0)、好ましくない味又は歯もろさがなく硬い又は歯つきがある場合(各−1)の判定を受け、10人の判定を合計し、味の、歯もろさ及び歯つきの判定結果とした。
【0095】
[保存後べとつき] 各菓子5個を相対湿度75%、温度75%のデシケーター中のシャーレに入れ、72時間保存した後、親指と人差し指でつまみ、指を開いたときに簡単に指から離れるものを保存後べとつきなし(+1)、指にべとつきは残るが指から取れるものを(0)、指に付着して取れないものをべとつきあり(−1)として5人の判定を合計し、保存後べとつきの判定結果とした。
【0096】
尚、実施例5及び6の菓子については、味の試験のみを実施した。
【0097】
【表2】
Figure 0003590689
【0098】
[比較試験−3]
【0099】
下記試験法により、各例で調製した菓子用組成物、及びそれを用いて調製した菓子の熱安定性試験を行った結果を表−3に示した。
【0100】
熱安定性試験
【0101】
菓子3個を防湿製の包装材で包装し、一定温度(40℃)の恒温で14日間保管し、その間に菓子同士の付着状態を観察した。観察の結果を以下のような3段階に表現して表示し、5人の判定を合計して熱安定性試験の結果とした。
【0102】
[+1:変化なし、0:菓子同士が軽く付着、−1:菓子同士が強く付着または菓子同士が融合]
【0103】
【表2】
Figure 0003590689
【0104】
【発明の効果】
【0105】
前記に説明したように、単独で用いた場合に多くの課題を有するトレハロースと糖アルコールとを特定範囲で組み合わせて菓子用組成物とすることにより、良好な甘味質を有し、う蝕誘発性が極めて低く、それを用いてキャンデー等を調製した場合には特に顕著であるが、吸湿性が従来の糖アルコールにより調製した品よりも低く、いわゆるコールドフローが起こらず、表面のベトつきが生じにくく、カリカリとした歯脆さなどの従来品の好ましい食感の多くを備えた菓子を調製することができる。

Claims (2)

  1. パラチニット、マルチトール、ラクチトール、試験法Aによる酸産生能が20%未満である還元澱粉糖化物から成る群から選ばれる1種又は2種以上の混合物である糖アルコール10〜90重量%と、トレハロース90〜10重量%とを含有することを特徴とする、う蝕誘発性の低い菓子用組成物。
  2. パラチニット、マルチトール、ラクチトール、試験法Aによる酸産生能が20%未満である還元澱粉糖化物から成る群から選ばれる1種又は2種以上の混合物である糖アルコール10〜90重量%と、トレハロース90〜10重量%とを用いることを特徴とする、う蝕誘発性の低い菓子の製造方法。
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