JP3590189B2 - 電子弦楽器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子弦楽器に関し、さらに詳細には、弦楽器の各弦毎の演奏(弾弦)による弦振動を各弦毎に独立に検出し、その検出結果を制御情報に変換して電子式の音源などを制御して楽音を発生する方式の、所謂、ポリフォニックの電子弦楽器に関するものであり、特に、楽音生成手段の制御手法の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ギターなどの弦楽器は、鍵盤楽器とは異なり、
・異なる複数の弦を弾弦する際に、異なるフレットを押さえて弾弦することにより、同じ音高の楽音を複数同時に発音することができる。
【0003】
・弦の押さえ方による音高の変動や弦楽器独特の奏法(ギターにおけるチョーキングやトレモロ・アームを用いたアーミングなど)による音高の変動のために、各弦毎に全く独立してピッチ(音高)が常に変動している。
という特徴を備えている。
【0004】
このため、所謂、ギター・シンセサイザーとして知られているような、弦楽器の各弦の演奏による弦振動からピッチと振幅とを各弦毎にそれぞれ独立に検出し、その検出結果を制御情報に変換し、こうして得られた制御情報により電子式の音源(電子音源)を制御して楽音を発生する方式の電子弦楽器においては、マルチ・ティンバー方式の電子音源のパートを各弦毎に1個づつ割り当て、これらのパートを各弦毎に独立した制御情報伝達経路で制御する方法が採用されている。即ち、マルチ・ティンバー方式の電子音源を用いた電子弦楽器においては、弦の数に対応した数だけの楽音情報伝達経路と、この楽音情報伝達経路に従属する弦の数に対応した数だけのパートとが用いられていた。
【0005】
なお、マルチ・ティンバー方式の電子音源においては、1パートに1つの音程制御系を備えていて、通常は、バイオリン音、ピアノ音といった楽器パート毎に1つのパートを使用するようになされているが、一般的に電子弦楽器においては、上記したように各弦毎に1つのパートを使用するようになされている。
【0006】
また、上記した制御情報伝達経路は、具体的には、例えば、MIDI規格におけるMIDIチャンネルが該当するものである。
【0007】
なお、以下の説明においては理解を容易にするために、特に断らない限りは、MIDI規格に従って説明する。
【0008】
ここで、1本の弦の制御情報伝達経路、即ち、1つのMIDIチャンネルに着目すると、同一のMIDIチャンネルの中で発音開始指示(ノート・オン)が連続して行われた場合に、当該発音開始指示を受信した音源側において、「第1音(先発音)の余韻部」と「第2音(後発音)の先頭部」との多重発音を許容すると、例えば、第2音のために音程連続変化情報(この音程連続変化情報は、MIDI規格においては、ピッチ・ベンド・チェンジ情報である。なお、以下においては、ピッチ・ベンド・チェンジ情報は、単に「ベンド情報」あるいは「ピッチ・ベンド情報」と称することとする。)を生成して音源へ供給した場合には、この音程連続変化情報が第1音の余韻部に対しても付加されてしまい、第1音の余韻部が不正な音程で発音されるという問題点があった。
【0009】
即ち、図1(a)を参照して説明すると、第1音の発音開始指示(第1ノート・オン)に基づき第1音の発音処理が開始され、第1音の消音開始指示(第1ノート・オフ)に基づき第1音の消音処理が開始されるものであるが、消音処理が開始されると第1音が所定期間の余韻部(図1上の薄墨色部分)をもって徐々に減衰していく。そして、この第1音が完全に減衰する前に第2音の発音開始指示(第2ノート・オン)があった場合には、第1音の余韻部に対しても第2音のベンド情報が影響を与えるようになってしまい、ベンド情報とノート(発音中の楽音)との不整合(ベンド情報の供給対象とされていない楽音にベンド情報が供給されること。)区間が生ずることとなっていた。
【0010】
なお、ギター・シンセサイザーのような電子弦楽器においては、弦楽器における弦の押さえ方や奏法(チョーキングやアーミング)により常に音高が変化するので、常にベンド情報が音源に供給されるようになる上、ピッチ検出に誤りがあった場合には、ベンド情報を用いて正しいピッチに速やかに更新する手法も用いられている。このため、演奏者の意図に基づかないベンド情報がしばしば音源に自動的に供給されることがあり、鍵盤楽器に比較すると上記した問題点が顕在化しやすいことが指摘されていた。
【0011】
以上の問題点を解決するために、従来の電子弦楽器は、図2に示すように(図2においては、従来の電子弦楽器として、6本の弦を備えたギター・シンセサイザーを示している。)、各弦毎に独立に設けられた弦振動を楽音の制御情報に変換する変換手段Aと、変換手段Aから出力される制御情報を伝達する制御情報伝達経路(チャンネル)B(図2においては、第1弦に関してはチャンネル・ナンバー1のチャンネルがチャンネルBに該当する。)と、チャンネルBを介して供給される制御情報に基づいて楽音を生成する音源パートC(図2においては、第1弦に関しては音源パート・ナンバー1の音源パートが音源パートCに該当する。)と、音源パートCで生成される同チャンネルBの先発音を強制的に消音する同チャンネルの先発音強制停止手段Dとを有するようになされている。
【0012】
なお、変換手段A、チャンネルB、音源パートCおよび先発音強制停止手段Dは、各弦毎に独立に設けられており、同一のチャンネル・ナンバーのチャンネルや同一の音源パート・ナンバーの音源パートが重複して用いられることはない。即ち、図2に示す例においては、第2弦に関してはチャンネル・ナンバー2のチャンネルがチャンネルBとして用いられるとともに、音源パート・ナンバー2の音源パートが音源パートCとして用いられ、第3弦に関してはチャンネル・ナンバー3のチャンネルがチャンネルBとして用いられるとともに、音源パート・ナンバー3の音源パートが音源パートCとして用いられ、第4弦に関してはチャンネル・ナンバー4のチャンネルがチャンネルBとして用いられるとともに、音源パート・ナンバー4の音源パートが音源パートCとして用いられ、第5弦に関してはチャンネル・ナンバー5のチャンネルがチャンネルBとして用いられるとともに、音源パート・ナンバー5の音源パートが音源パートCとして用いられ、第6弦に関してはチャンネル・ナンバー6のチャンネルがチャンネルBとして用いられるとともに、音源パート・ナンバー6の音源パートが音源パートCとして用いられる。
【0013】
そして、こうした構成において、図1(b)に示すような手法により、上記した問題点を解決していた。
【0014】
即ち、1本の弦の制御情報伝達経路、即ち、1つのMIDIチャンネルに着目すると、同一のMIDIチャンネルの中で発音開始指示が連続して行われた場合に、後発音の発音開始指示(後発音用のピッチ制御情報への切り換え:図1(b)における第2ノート・オン)があった時点で、先発音強制停止手段Dにより先発音(第1音)の余韻を無条件に強制消音するようにし、第2音のベンド情報が第1音の余韻に対して付加されないようにしていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、後発音の発音開始指示があった時点で先発音の余韻を無条件に強制消音する従来の電子弦楽器においては、以下の(問題点1)乃至(問題点3)に示す問題点があった。
【0016】
(問題点1)
図3(a)に示すように、音量の立ち上がりが緩やかな音色(立ち上がりが遅い音色)の場合などでは、先発音の余韻部が強制的に消音されるのが聴感上明瞭となってしまい、演奏される楽音のつながりが不自然になる。
【0017】
(問題点2)
図3(b)に示すように、一般に発音中の楽音を強制的に消音する場合には、消音時における「ポツッ」などの異音の発生を避けるため、強制消音の開始の指示を受けると、強制消音開始のレベルから瞬時にレベル0まで減衰するのではなくて、強制消音の開始からある程度の時間(一般に、4msec〜10msec程度である)をかけてレベルを減衰させる処理(以下、この処理を「ファスト・ダンプ処理」と称す。)を行う必要がある。そして、このファスト・ダンプ処理は、後発音の発音開始指示から実際に後発音が発音されるまでのタイム・ラグ(時間の遅れ)の要因となっていた。上記した後発音の発音開始指示があった時点で先発音の余韻を無条件に強制消音する従来の電子楽器においては、後発音の発音開始が遅れる要因となるファスト・ダンプ処理が常に高い頻度で行われることになり、弾弦後にできるだけ迅速に発音させるという弦楽器として本来要求されるべき性能の面からは好ましいものではない。
【0018】
(問題点3)
ビブラホンなどの木琴系の有音階打楽器の音色や、ピアノ系楽器の音色などにおいては、先発音の余韻に後発音が重なること自体が、当該音色の楽音を豊かに響かせ、その楽器の音色らしく聴かせる上で重要な要素となるが、上記した後発音の発音開始指示があった時点で先発音の余韻を無条件に強制消音する従来の電子弦楽器においては、同一の弦を連続して弾弦した場合に先発音の余韻と後発音との重なりが全く失われてしまい、楽音表現上好ましいものではない。
【0019】
本発明は、従来の技術の有する上記したような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、後発音の音程連続変化情報により先発音の余韻部が影響を受けることがないようにし、しかも上記した(問題点1)乃至(問題点3)を全て解決することのできる電子弦楽器を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による電子弦楽器は、弦毎に独立して検出した弦振動に基づき発生する少なくとも発音開始指示情報と発音停止指示情報と生成中の楽音の特性を制御する楽音特性制御情報とを含む制御情報を伝達するために、弦毎に対応してそれぞれ設けられた少なくとも2系統の制御情報伝達経路と、弦の弾弦に応じて、該弾弦された弦に対応する少なくとも2系統の制御情報伝達経路のいずれを使用するかを、該弦の弾弦の度に切り換える制御情報伝達経路切り換え手段とを有し、弦の弾弦に応じて、上記制御情報伝達経路切り換え手段によって切り換えられた制御情報伝達経路で該弾弦に基づく発音開始指示情報を該制御情報伝達経路に従属する楽音生成手段へ伝達し、その後に発生する発音停止指示情報と楽音特性制御情報とを該制御情報伝達経路で該楽音生成手段へ伝達して、同一の弦の弾弦に基づき上記楽音生成手段により順次生成される2つの楽音は、独立した制御情報伝達経路により伝達された楽音特性制御情報に基づき制御されるようにしたものである。
【0021】
また、上記構成において、楽音特性制御情報としてMIDI規格におけるピッチ・ベンド・チェンジ情報を用いるようにしてもよい。
【0022】
また、上記構成に加えて、上記制御情報伝達経路のそれぞれに従属し、上記制御情報伝達経路を伝達する制御情報によりそれぞれ独立に音高制御可能な楽音生成手段と、個々の上記楽音生成手段において、先発音に後続音が重なって発音される多重発音が起ころうとしていることを判断する多重発音判断手段と、上記多重発音判断手段により同一の制御情報伝達経路内で多重発音が起ころうとしていると判断された場合に、先発音を強制消音する強制消音手段と、発音中の任意の楽音を強制消音回避音として指示する強制消音回避音指示手段とを有するようにして、上記強制消音回避音指示手段からの指示が開始されてから終了するまでの間は、楽音を発音している楽音生成手段が従属する制御情報伝達経路には新たな発音開始指示情報を伝達しないようにしてもよい。
【0023】
図4には、本発明による電子弦楽器の概念構成図が示されており、各弦毎に制御情報伝達経路として2個のチャンネルを備えた例を示している。なお、図2に示す従来の電子楽器の構成と同様な構成に関しては、図2に示す符号と同一の符号を付して示す。
【0024】
即ち、本発明による電子弦楽器は、各弦毎に独立に設けられた弦振動を楽音の制御情報に変換する変換手段Aと、変換手段Aから出力される制御情報を伝達する制御情報伝達経路(チャンネル)B−1,B−2(図4においては、チャンネル・ナンバー1のチャンネルがチャンネルB−1に該当し、チャンネル・ナンバー7のチャンネルがチャンネルB−2に該当する)と、チャンネルB−1を介して供給される制御情報に基づいて楽音を生成する音源パートC−1(図4においては、パート・ナンバー1の音源パートがパートC−1に該当する。)と、チャンネルB−2を介して供給される制御情報に基づいて楽音を生成する音源パートC−2(図4においては、パート・ナンバー7の音源パートがパートC−2に該当する。)と、音源パートC−1ならびに音源パートC−2のそれぞれで生成される同チャンネルB−1あるいはチャンネルB−2の先発音を強制的に消音する同チャンネルの先発音強制停止手段Dと、弾弦毎に変換手段Aにより変化された制御情報の出力先をチャンネルB−1とチャンネルB−2とに交互に切り換える制御情報伝達経路切り換え手段たる交互切換出力手段Eとを有する。
【0025】
なお、変換手段A、チャンネルB−1,B−2、音源パートC−1,C−2、先発音強制停止手段Dおよび交互切換出力手段Eは、各弦毎に独立に設けられており、同一のチャンネル・ナンバーのチャンネルや同一の音源パート・ナンバーの音源パートが重複して用いられることはない。即ち、図4に示す例においては、第2弦に関してはチャンネル・ナンバー2のチャンネルがチャンネルB−1として、またチャンネル・ナンバー8のチャンネルがチャンネルB−2として用いられるとともに、音源パート・ナンバー2の音源パートが音源パートC−1として、また音源パート・ナンバー8の音源パートが音源パートC−2として用いられ、第3弦に関してはチャンネル・ナンバー3のチャンネルがチャンネルB−1として、またチャンネル・ナンバー9のチャンネルがチャンネルB−2として用いられるとともに、音源パート・ナンバー3の音源パートが音源パートC−1として、また音源パート・ナンバー9の音源パートが音源パートC−2として用いられ、第4弦に関してはチャンネル・ナンバー4のチャンネルがチャンネルB−1として、またチャンネル・ナンバー10のチャンネルがチャンネルB−2として用いられるとともに、音源パート・ナンバー4の音源パートが音源パートC−1として、また音源パート・ナンバー10の音源パートが音源パートC−2として用いられ、第5弦に関してはチャンネル・ナンバー5のチャンネルがチャンネルB−1として、またチャンネル・ナンバー11のチャンネルがチャンネルB−2として用いられるとともに、音源パート・ナンバー5の音源パートが音源パートC−1として、また音源パート・ナンバー11の音源パートが音源パートC−2として用いられ、第6弦に関してはチャンネル・ナンバー6のチャンネルがチャンネルB−1として、またチャンネル・ナンバー12のチャンネルがチャンネルB−2として用いられるとともに、音源パート・ナンバー6の音源パートが音源パートC−1として、また音源パート・ナンバー12の音源パートが音源パートC−2として用いられる。
【0026】
この構成により、各弦毎の制御情報は、交互切換出力手段EによりチャンネルB−1とチャンネルB−2とに交互に出力されることになる。さらに、同一チャンネル内で余韻部も含めて多重発音の要求が起こった場合には、従来の電子弦楽器と同様に、先発音強制停止手段Dにより先発音を強制消音することにより、同一チャンネル内での余韻部も含めた多重発音を回避する。
【0027】
図5には、図4の概念構成図に示すこうした本発明による電子弦楽器の動作例(第1弦を弾弦した場合の動作例)が示されている。即ち、第1弦を連続弾弦する場合において、交互切換出力手段Eによりその弾弦毎に、2系統のチャンネルB−1,B−2(チャンネル1およびチャンネル7)に交互に制御情報が出力されることになり、2系統のチャンネルB−1,B−2(チャンネル1およびチャンネル7)にそれぞれ従属する音源パートC−1,C−2(音源パート1および音源パート7)が交互に切り換えられて用いられて発音が行われる。従って、同一弦の連続弾弦による連続発音時において、直前の発音、特に、その余韻部が、直後の発音要求に起因して強制消音処理される頻度を大幅に下げることが可能となるものである。
【0028】
このように、強制消音処理される頻度が大幅に下がることに伴い、ファスト・ダンプ処理の発生頻度も下がるため、後発音の平均的な発音レスポンスを向上させることができ、問題点(2)の解決を図ることができる。
【0029】
また、同一弦の連続弾弦による連続発音時には、2系統のチャンネルにそれぞれ従属する音源パートが交互に切り換えられて用いられて発音が行われるので、ベンド情報とノートとの不整合を起こすことなしに、先発音の余韻部と後発音とが重なるため、有音階打楽器の音色やピアノ系楽器の音色の楽音を生成する場合に、より精密にアコースティック楽器を模擬した、自然な広がりのある楽音を得ることができ、問題点(3)の解決を図ることができる。
【0030】
さらに、各弦毎に備えるチャンネルおよび音源パートの数(図4に示す概念構成図においては2個)の範囲内における同一弦の連続弾弦(図4に示す概念構成図においては2個以内の連続弾弦)による連続発音については、強制消音処理が全く発生することがなく、聴感上の不自然さは完全に解消される。なお、図4に示す概念構成図において、仮に連続弾弦が3個以上におよび、強制消音処理が発生する場合においても、当該強制消音処理による楽音の不連続点(図5上における第4ノート・オンの位置)が、多くの場合は対抗パートの発音(図5における音源パート1側の第3ノート)でマスクされ、聴感上の不自然さを軽減することができ、問題点(1)の解決を図ることができる。
【0031】
なお、図4の本発明による電子弦楽器の概念構成図においては、2系統のチャンネルB−1,B−2にそれぞれ従属する音源パートC−1,C−2が内部構成として備えられているが、本発明による電子弦楽器においては、音源パートなどの楽音生成手段は必ずしも必須の構成ではない。即ち、本発明による電子弦楽器は、外部に音源パートなどの楽音生成手段を接続するような構成でもよいことは勿論である。
【0032】
また、図4の本発明による電子弦楽器の概念構成図においては、各弦毎に2系統の制御情報伝達経路たるチャンネルB−1,B−2を備え、制御情報伝達経路切り換え手段たる交互切換出力手段Eにより、その弾弦毎に2系統のチャンネルB−1,B−2に交互に制御情報を出力して、各チャンネルB−1,B−2にそれぞれ従属する音源パートC−1,C−2へ制御情報が伝達される構成になっている。このように、本発明による電子弦楽器には、物理的に少なくとも2本の制御情報伝達経路を備える電子弦楽器が含まれるものであることは勿論であるが、それに限定されるものではない。
【0033】
即ち、本発明による電子弦楽器には、物理的な制御情報の伝達経路は1本のみを備え、この伝達経路を伝達する制御情報に少なくとも2種類のチャンネル情報を弾弦毎に切り換えて付与し、こうした少なくとも2種類のチャンネル情報を付与された制御情報を伝達経路上に伝達させて、電子弦楽器内部あるいは外部において接続する上記少なくとも2種類のうちの特定のチャンネル情報が付与された制御情報を受け取る楽音生成手段へ送出するような電子弦楽器も含まれる。この場合には、物理的には1本の制御情報の伝達経路は、2種類のうちのいずれのチャンネル情報が付与された制御情報も伝達するものであるから、2系統の制御情報伝達経路と呼ぶことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による電子弦楽器の実施の形態を詳細に説明する。
【0035】
図6には、本発明による電子弦楽器の実施の形態の一例の全体構成を示すブロック構成図が示されているが、この電子弦楽器は、各弦独立型ピックアップ(デバイデッドピックアップ)10をギターなどの弦楽器に張設された弦の近傍に配置し、デバイデッドピックアップ10により得られた弦波形信号に基づいて、信号変換用の中央処理装置(CPU)12の処理により楽音を制御するための制御信号を生成し、この制御信号により音源ブロック14を制御し、楽音を発生するようになされている。
【0036】
なお、この実施の形態の説明においては、6本の弦を張設するギターを模擬した電子弦楽器、即ち、ギター・シンセサイザーについて説明する。
【0037】
即ち、デバイデッドピックアップ10は、その間に6本の弦を張設したギターのナットとブリッジとの間のブリッジ近傍に配置されており、弦が弾弦されたときには各弦毎に弦振動を検出し、検出した弦振動を弦波形信号に変換して出力するものである。
【0038】
デバイデッドピックアップ10から出力された弦波形信号は波形整形回路16に入力されて、後段の回路における処理に適合するように波形を整形される。この波形整形回路16からの出力は、カウンター回路18およびマルチプレクサ20へ供給される。
【0039】
そして、カウンター回路18は、波形整形回路16の出力からピッチ情報信号を生成し、このピッチ情報信号を時分割でCPU12へ供給する。また、マルチプレクサ20は、波形整形回路16が出力するエンベロープ(レベル情報)を時分割でCPU12へ供給する。
【0040】
CPU12は、カウンター回路18から供給されたピッチ情報信号とマルチプレクサ20から供給されたエンベロープとに基づいて、音源ブロック14を制御するための制御信号を生成する。
【0041】
なお、符号22は、CPU12の各種処理などを実行するためのプログラムなどが格納されたリード・オンリ・メモリ(ROM)であり、符号24は、CPU12によるプログラムに基づく各種処理の実行に必要なレジスタ群が設定された作業領域(ワーキング・エリア)およびパラメータ設定の格納に用いるスタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)である。
【0042】
そして、CPU12で生成された制御信号は、例えば、シリアル・バス26などのバスを介して、音源ブロック14に供給される。
【0043】
音源ブロック14は、音源用のCPU30と、CPU30の各種処理などを実行するためのプログラムなどが格納されたROM32と、CPU30によるプログラムに基づく各種処理の実行に必要なレジスタ群が設定されたワーキング・エリアおよびパラメータ設定の格納に用いるSRAM34と、楽音波形を格納しておくROMよりなるウェーブROM36と、シリアル・バス26を介して入力された制御信号に基づき、CPU30の制御に従ってウェーブROM36より楽音波形を読み出す波形読出回路38と、波形読出回路38が出力する楽音波形(デジタル楽音信号)をアナログ楽音信号に変換するD/Aコンバータ(デジタル・アナログ変換器)40とを有しており、D/Aコンバータ40から出力されたアナログ楽音信号が、図示しないアンプやスピーカーなどの放音部を介して、聴取し得る楽音として空間中に放音されるようになされている。
【0044】
なお、波形読出回路38はいわゆる楽音生成チャンネルを複数個有しており、複数の楽音信号を同時に生成可能なように構成されている。なお、楽音生成チャンネルは楽音を生成するためのもので、制御情報伝達経路としてのMIDIチャンネルとは別のものである。ここで、各音源パート毎に固有の楽音生成チャンネルを備え、ある音源パートの楽音信号を生成する場合に必ずその音源パートに属する楽音生成チャンネルでその楽音信号を生成するようにしてもよいし、また、複数の音源パートで複数の楽音生成チャンネルを共有し、ある音源パートの楽音信号を生成する場合に所定の選択ルールに従っていずれかの楽音生成チャンネルを選択し(いわゆるアサイン処理)、選択した楽音生成チャンネルでその楽音信号を生成するようにしてもよい。
【0045】
図7には、CPU12により実行される処理のフローチャートが示されており、このCPU12により実行される処理においては、ステップS704乃至ステップS710の処理において発音開始指示(ノート・オン)の音源ブロック14への送信を、ステップS712乃至ステップS714の処理においてピッチ変更指示(ピッチ・ベンド)の音源ブロック14への送信を、ステップS716乃至ステップS718の処理において発音停止指示(ノート・オフ)の音源ブロック14への送信をそれぞれ制御する。
【0046】
以下、上記した図7に示すCPU12により実行される処理を詳細に説明するが、この電子弦楽器に電源が投入されると、まずステップS702において、SRAM24の必要領域をクリアし、システムの初期化を行う。
【0047】
ステップS702の処理を終了すると、ステップS704へ進み、マルチ・プレクサ20から供給されたエンベロープ情報に基づいて、各弦の弦波形信号の入力の有無および変化から、新たな弾弦の有無を判断する。
【0048】
ステップS704において、新たな弾弦が有ったと判断された場合(YES)には、ステップS706へ進み、カウンター回路18から出力されるピッチ情報信号に基づいて、入力された弦波形信号のピッチを判断する。
【0049】
ステップS706の処理を終了すると、ステップS708へ進み、どのチャンネルを用いて出力するかの決定を行う送信チャンネル決定処理を行う。なお、送信チャンネル決定処理の処理内容に関しては、図8を参照しながら後述する。
【0050】
ステップS708の処理を終了すると、ステップS710へ進み、ステップS708において決定されたチャンネルに関して、弦波形信号のピッチおよびエンベロープに従った発音開始指示情報(ノート・オン情報)を出力する。
【0051】
ステップS710の処理を終了した場合あるいはステップS704において新たな弾弦が無かったと判断された場合(NO)には、ステップS712へ進み、入力中の弦波形信号のピッチを再監視し、ピッチの変化の有無を判断する。
【0052】
ステップS712において、ピッチの変化が有ったと判断された場合(YES)には、ステップS714へ進み、上記ステップS708において決定されたチャンネルに関して、ピッチの変化幅に従ったピッチ・ベンド情報を送出する。なお、電子弦楽器においては、弦楽器独特の奏法(ギターのチョーキングやトレモロ・アームを用いたアーミングなど)による音高の変動のほか、弦の押さえ方による音高の変動および弦振動の不安定さに伴う音高の変動などあらゆるピッチの微妙な変動を、ピッチ・ベンド情報を送出することによって制御している。従って、弾弦直後には、すぐに新たなピッチ・ベンド情報が送出されるので、当該チャンネルに従属する音源パートにおいて前回発音された楽音に対応するピッチ・ベンド情報は即クリアされることとなり、不都合はない。
【0053】
ステップS714の処理を終了した場合あるいはステップS712においてピッチの変化が無かったと判断された場合(NO)には、ステップS716へ進み、マルチプレクサ20から供給されたエンベロープ情報により、各弦の弦波形信号の減衰の有無を判断する。
【0054】
ステップS716において、弦波形信号の減衰が有ったと判断された場合(YES)には、減衰した弦波形信号に対応するチャンネルに関して、発音停止指示情報(ノート・オフ情報)を送出し、ステップS704へ戻って以降の処理を繰り返す。
【0055】
一方、ステップS716において、弦波形信号の減衰が無かったと判断された場合(NO)には、そのままステップS704へ戻って以降の処理を繰り返す。なお、ステップS716において、弦波形信号の減衰が無かったと判断されたにもかかわらず、続くステップS704において、新たな弾弦が有ったと判断された場合には、ステップS706以降の処理を行う前に、前回の弾弦に伴う弦波形信号に対応するチャンネルに関して、発音停止指示情報(ノート・オフ情報)を送出する処理を行い、その後ステップS706以降の処理へ移るものとする。
【0056】
次に、図8を参照しながら、送信チャンネル決定処理(ステップS708)を詳細に説明するが、予め初期設定として、弦番号(第1弦に対応する第0番、第2弦に対応する第1番、第3弦に対応する第2番、第4弦に対応する第3番、第5弦に対応する第4番、第6弦に対応する第5番)に対応させて、各弦番号毎に2個のチャンネルを組み合わせておく。
【0057】
なお、この実施の形態においては、弦番号第0番にチャンネルナンバー1およびチャンネル・ナンバー7のチャンネルを割り当て、弦番号第1番にチャンネル・ナンバー2およびチャンネル・ナンバー8のチャンネルを割り当て、弦番号第2番にチャンネル・ナンバー3およびチャンネル・ナンバー9のチャンネルを割り当て、弦番号第3番にチャンネル・ナンバー4およびチャンネル・ナンバー10のチャンネルを割り当て、弦番号第4番にチャンネル・ナンバー5およびチャンネル・ナンバー11のチャンネルを割り当て、弦番号第5番にチャンネル・ナンバー6およびチャンネル・ナンバー12のチャンネルを割り当てるようになされている。
【0058】
そして、弦番号(第0番乃至第5番)のいずれかに応じて、「チャンネル1、チャンネル7」、「チャンネル2、チャンネル8」、「チャンネル3、チャンネル9」、「チャンネル4、チャンネル10」、「チャンネル5、チャンネル11」、「チャンネル6、チャンネル12」の各チャンネルの組み合わせのうち、いずれの組み合わせを使うかを決定した後、例えば、「チャンネル1、チャンネル7」の組み合わせを使うと決定したのであれば、「チャンネル1」と「チャンネル7」とのどちらのチャンネルに制御情報を出力するかを、チャンネル選択フラグFが「1」にセットされているか、あるいは「0」にクリアされているかを参照することにより決定する。即ち、チャンネル選択フラグFが「0」にクリアされている場合には、制御情報を出力するチャンネルとして「チャンネル1」を決定し、チャンネル選択フラグFが「1」にセットされている場合には、制御情報を出力するチャンネルとして「チャンネル7」を決定する。
【0059】
このチャンネル選択フラグFは、発音毎に「1」から「0」へ、または「0」から「1」へ反転される。
【0060】
また、図8においてレジスタCは、制御情報を出力するチャンネルとして決定されたチャンネルのチャンネル・ナンバーを記憶するものである。
【0061】
なお、上記したチャンネル選択フラグFおよびレジスタCは、弦番号毎にそれぞれ設けられているものとする。
【0062】
上記した図8に示す送信チャンネル決定処理を各ステップ毎に説明すると、まずステップS802において、入力された弦波形信号の弦番号(第0番乃至第5番)をレジスタSTRに書き込む。
【0063】
ステップS802の処理を終了すると、ステップS804へ進み、レジスタSTRに書き込まれた弦番号に対応するチャンネル選択フラグFが「0」にクリアされているか否かを判断する。
【0064】
そして、レジスタSTRに書き込まれた弦番号に対応するチャンネル選択フラグFが「0」にクリアされている場合(YES)には、ステップS806へ進み、レジスタSTRに記憶された弦番号に「1」加算した値を、制御情報を出力するチャンネルのチャンネル・ナンバーとしてレジスタCに記憶する。
【0065】
ステップS806の処理を終了すると、ステップS808へ進み、レジスタSTRに書き込まれた弦番号に対応するチャンネル選択フラグFに「1」をセットして、この送信チャンネル決定処理を終了する。
【0066】
一方、レジスタSTRに書き込まれた弦番号に対応するチャンネル選択フラグFが「1」にセットされている場合(NO)には、ステップS810へ進み、レジスタSTRに記憶された弦番号に「7」加算した値を、制御情報を出力するチャンネルのチャンネル・ナンバーとしてレジスタCに記憶する。
【0067】
ステップS810の処理を終了すると、ステップS812へ進み、レジスタSTRに書き込まれた弦番号に対応するチャンネル選択フラグFを「0」にクリアして、この送信チャンネル決定処理を終了する。
【0068】
図9には、CPU30により実行される処理のフローチャートが示されており、このCPU30により実行される処理においては、ステップS906乃至ステップS908の処理において、同チャンネル内における多重発音の有無を判断して先発音またはその余韻部を強制消音する処理が行われる。
【0069】
以下、図9に示すCPU30により実行される処理を詳細に説明するが、この電子弦楽器に電源が投入されると、まずステップS902において、SRAM34の必要領域をクリアして、システムを初期化する。
【0070】
ステップS902の処理を終了すると、ステップS904へ進み、CPU12からの新たなノート・オン情報の入力の有無を判断する。
【0071】
ステップS904において、CPU12からの新たなノート・オン情報の入力が有った場合(YES)には、ステップS906へ進み、受信したノート・オン情報と同じチャンネルに従属する音源パートに、ノート・オフ後の余韻部も含め、発音未了の先発音が有るか否かを判断する。
【0072】
ステップS906において、発音未了の先発音が有ると判断された場合(YES)には、ステップS908へ進み、当該先発音に強制消音処理を施して同チャンネル内における多重発音を禁止する。
【0073】
そして、ステップS908の処理を終了した場合、あるいはステップS906において、発音未了の先発音が無いと判断された場合(NO)には、ステップS910へ進み、当該ノート・オン情報に対応する波形をウェーブROM38から読み出して発音を開始する。
【0074】
ステップS910の処理を終了すると、ステップS912へ進み、CPU12からの新たなピッチ・ベンド情報の入力の有無を判断する。
【0075】
ステップS912において、CPU12からの新たなピッチ・ベンド情報の入力が有った場合(YES)には、ステップS914へ進み、当該ピッチ・ベンド情報が示すチャンネルの発音に対して、当該ピッチ・ベンド情報に応じたピッチの変更処理を行う。
【0076】
そして、ステップS914の処理を終了した場合、あるいはステップS912において、CPU12からの新たなピッチ・ベンド情報の入力が無かった場合(NO)には、ステップS916へ進み、CPU12からの新たなノート・オフ情報の入力の有無を判断する。
【0077】
ステップS916において、CPU12からの新たなノート・オフ情報の入力が有った場合(YES)には、ステップS918へ進み、当該ノート・オフが指示する発音に対して停止処理を施し、その後にステップS904へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0078】
一方、ステップS916において、CPU12からの新たなノート・オフ情報の入力が無かった場合(NO)には、そのままステップS904へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0079】
なお、上記した実施の形態においては、各弦に対して制御情報を伝達するチャンネルとして2個づつチャンネルを設け、各チャンネルに対して音源パートを1パート従属させ、同一弦の連続発音の際に2個のチャンネルを交互に選択して切り換えるようにした。
【0080】
即ち、上記した実施の形態においては、1弦当たり2個のチャンネルおよび音源パートを割り当てる場合に関して説明したが、本発明によって得られる効果は、1弦当たりのチャンネル数および音源パート数が増加するほど大きくなるので、システムの規模に応じて、1弦当たりに3系統、1弦当たり4系統などとチャンネルおよび音源パートの系統数を増加させてよいことは勿論である。
【0081】
また、上記した実施の形態においては、各弦に対して制御情報を伝達するチャンネルとして2個づつチャンネルを設け、各チャンネルに対して音源パートを1パート従属させ、同一弦の連続発音の際に2個のチャンネルを交互に選択して切り換えるようにしたが、上記したように1弦当たりに3系統、1弦当たり4系統などとチャンネルおよび音源パートの系統数を増加させた場合には、同一弦の連続発音の際にチャンネルを順次切り換えるようにすることができる。即ち、同一弦において、例えば、チャンネル1(音源パート1)、チャンネル2(音源パート2)、チャンネル3(音源パート3)およびチャンネル4(音源パート4)の4系統を備えるようにした場合には、「チャンネル1(音源パート1)→チャンネル2(音源パート2)→チャンネル3(音源パート3)→チャンネル4(音源パート4)→チャンネル1(音源パート1)→・・・」というように、制御情報を出力するチャンネルを順次切り換えるものである。
【0082】
また、上記したように1弦当たりに3系統、1弦当たり4系統などとチャンネルおよび音源パートの系統数を増加させた場合には、制御情報を出力するチャンネルを順次切り換えるほかに、適宜の方法でこの切り換えを行ってよい。
【0083】
例えば、1弦当たり4系統のチャンネルおよび音源パートを用いるとともに、これとは別に「消音回避音指示手段」を設けるようにした場合について説明する。
【0084】
即ち、1弦当たり4個のチャンネルを割り当て、これら4個のチャンネルにそれぞれ音源パートを1個従属させているものとする。なお、理解を容易にするために、ある1つの弦の4個のチャンネルに従属する音源パートをそれぞれ「音源パートA」、「音源パートB」、「音源パートC」および「音源パートD」とする。
【0085】
ここで、上記した「消音回避音指示手段」とは、何らかの方法で和音構成上(または楽音のアンサンブル上)重要であると判断指示された楽音を各弦の全発音から選択し、当該発音の消音回避を「チャンネルの順次切り換え手段」に指示するものである。ここで、和音構成上(または楽音のアンサンブル上)重要である楽音とは、例えば、和音のルート音などである。消音回避音指示手段への指示は、例えば、和音のルート音をホールドさせる指示を演奏者自身のホールド・ペダルの操作により行う方法や、あるいは最低音を検出することによりベース音を自動認識する方法など種々の方法が考えられる。「音源パートA」、「音源パートB」、「音源パートC」および「音源パートD」の4個の音源パートを順次切り換える構成において、上記した消音回避音指示手段によって、「音源パートB」の発音の消音回避が指示されたとすると、各音源パートへの発音指示のアサイン(割り当て)の状況は、図10に示すようになる。図10において、記号A、B、C、Dは、それぞれ「音源パートA」、「音源パートB」、「音源パートC」、「音源パートD」への発音指示のアサイン(割り当て)状況を表している。
【0086】
つまり、消音回避音指示手段からの指示が開始されてから終了するまでの間は、音源パートBに新たな発音はアサインされず、他の音源パートA、音源パートCあるいは音源パートDに順次アサインされるので、何らかの方法で和音構成上(または楽音のアンサンブル上)重要であると判断指示され、消音回避音指示手段により消音回避が指示された音源パートBにアサインされた発音(余韻を含む)が持続されることになる。
【0087】
このように、単純な「順次切り換え」や「交互切り換え」以外にも、チャンネルの切り換え方法として適宜の切り換え方法を併用してもよい。
【0088】
なお、上記したように、本発明は、各弦毎に固定された複数のチャンネルおよびパートを設けるようにしたものであるが、一般に、複数の弦が全体としての弦の数以上のチャンネルおよびパートを共有し、各弦に対応するチャンネルおよびパートは浮動的に適宜アサインされる方式(以下、この方式を「ダイナミック・パート・アサイン」と称する。)が知られている。
【0089】
しかしながら、このダイナミック・パート・アサインにおいては、発音の度毎に、「空いているチャンネルを探す処理」が必要になるとともに、さらには空きチャンネルがない場合における「消音してよいパートの選択判断処理」が必要になり、本発明と比較すると発音レスポンス上極めて不利になるという問題点がある。
【0090】
また、ギター・シンセサイザーにおいては、第1弦乃至第4弦をブラス音とし、第5弦乃至第6弦をベース音とするように、弦によって音色を変える使用方法により演奏されることがある。この際にダイナミック・パート・アサインでは、弦とパートとが固定的に接続されているものではないので、各パートにおいて先発音と異なる音色で後発音を発音させる場合、後発音のノート・オン(発音開始指示)に先だって音色切り換え指示(MIDI規格におけるプログラム・チェンジ)が送信されなければならない。しかしながら、一般にMIDI規格の音源においては、プログラム・チェンジを受信してから実際に音色が切り替わるまでに時間を要するものも多く、これに十分対応できずに本発明と比較するとレスポンスに劣るという問題点がある。
【0091】
さらに、一般にMIDI規格を利用できるギター・シンセサイザー・システムは、シーケンサーにデータを入力するためにも応用されることも多い。本発明においては、個々のMIDIイベントがそのチャンネルから、どの弦の演奏に起因するか特定することができる(上記した実施の形態においては、例えば、「チャンネル1」のノート・オンは、「第1弦」の弾弦に対応している。)。しかしながら、ダイナミック・パート・アサインにおいては、こうしたことを行うことができない欠点がある。この欠点は、シーケンサーなどに入力されたデータを後からエディットする際の認識性を落とすものであり、本発明と比較すると大きな問題点である。
【0092】
また、本発明においては、システム全体として保持するチャンネル数や音源パート数が従来の電子弦楽器より多くなるものであるが、これらの増加した音源パートを本発明以外の目的、例えば、異なる音色を重ねたり、伴奏音を鳴らすなどにも使用することができるようにシステムを構成し、こうした使用と本発明による使用とを選択することができるようにしてもよい。
【0093】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、後発音の音程連続変化情報により先発音の余韻部が影響を受けることがないようにし、しかも上記した(問題点1)乃至(問題点3)を全て解決することのできるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は同一弦の連続発音の際に生ずる問題点を説明するための説明図であり、(b)は図2に示す従来の電子弦楽器による(a)に示す問題点の解決方法を示す説明図である。
【図2】従来の電子弦楽器の概念構成図である。
【図3】(a)は従来の電子弦楽器による(問題点1)に関する説明図であり、(b)は従来の電子弦楽器による(問題点2)に関する説明図である。
【図4】本発明による電子弦楽器の概念構成図である。
【図5】本発明による電子弦楽器の動作例(第1弦を弾弦した場合の動作例)を示す説明図である。
【図6】本発明による電子弦楽器の実施の形態の一例の全体構成を示すブロック構成図である。
【図7】CPU12により実行される処理のフローチャートである。
【図8】送信チャンネル決定処理のフローチャートである。
【図9】CPU30により実行される処理のフローチャートである。
【図10】1弦当たり4系統のチャンネルおよび音源パートを用いるとともに、これとは別に「消音回避音判断手段」を設けるようにした場合の動作例の説明図である。
【符号の説明】
10 (各弦独立型ピックアップ)デバイデッドピックアップ
12 CPU
14 音源ブロック
16 波形整形回路
18 カウンター回路
20 マルチプレクサ
22 ROM
24 SRAM
26 シリアル・バス
30 CPU
32 ROM
34 SRAM
36 ウェーブROM
38 波形読出回路
40 D/Aコンバータ

Claims (3)

  1. 弦毎に独立して検出した弦振動に基づき発生する少なくとも発音開始指示情報と発音停止指示情報と生成中の楽音の特性を制御する楽音特性制御情報とを含む制御情報を伝達するために、弦毎に対応してそれぞれ設けられた少なくとも2系統の制御情報伝達経路と、
    弦の弾弦に応じて、該弾弦された弦に対応する少なくとも2系統の制御情報伝達経路のいずれを使用するかを、該弦の弾弦の度に切り換える制御情報伝達経路切り換え手段と
    を有し、
    弦の弾弦に応じて、前記制御情報伝達経路切り換え手段によって切り換えられた制御情報伝達経路で該弾弦に基づく発音開始指示情報を該制御情報伝達経路に従属する楽音生成手段へ伝達し、その後に発生する発音停止指示情報と楽音特性制御情報とを該制御情報伝達経路で該楽音生成手段へ伝達して、同一の弦の弾弦に基づき前記楽音生成手段により順次生成される2つの楽音は、独立した制御情報伝達経路により伝達された楽音特性制御情報に基づき制御される
    ことを特徴とする電子弦楽器。
  2. 請求項1に記載の電子弦楽器において、
    前記楽音特性制御情報は、MIDI規格におけるピッチ・ベンド・チェンジ情報である
    ことを特徴とする電子弦楽器。
  3. 請求項1に記載の電子弦楽器において、さらに、
    前記制御情報伝達経路のそれぞれに従属し、前記制御情報伝達経路を伝達する制御情報によりそれぞれ独立に音高制御可能な楽音生成手段と、
    個々の前記楽音生成手段において、先発音に後続音が重なって発音される多重発音が起ころうとしていることを判断する多重発音判断手段と、
    前記多重発音判断手段により同一の制御情報伝達経路内で多重発音が起ころうとしていると判断された場合に、先発音を強制消音する強制消音手段と、
    発音中の任意の楽音を強制消音回避音として指示する強制消音回避音指示手段と
    を有し、
    前記強制消音回避音指示手段からの指示が開始されてから終了するまでの間は、楽音を発音している楽音生成手段が従属する制御情報伝達経路には新たな発音開始指示情報を伝達しない
    ことを特徴とする電子弦楽器。
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