JP3588940B2 - 高圧放電ランプ、高圧放電ランプ装置及び照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、始動器を外管内に内蔵する高圧ナトリウムランプ等の高圧放電ランプ、高圧放電ランプ装置及び照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧ナトリウムランプ等の高圧放電ランプには、発光管を外管内に収納保持させて二重構造とし、外管内に発光管を始動させる始動器を内蔵するようにしたタイプのものがあり、例えば、特開平5−89845号公報や特開平5−335000号公報等に開示されている。図7は、このような始動器内蔵形高圧ナトリウムランプの回路構成の従来の一例を示す。
【0003】
高圧ナトリウムランプ101は、内部が真空状態に維持された外観を図示しない外管102の内部に発光管103とその始動器104とを内蔵し、コイル構成の安定器105を介して交流電源106に接続されている。発光管103は、水銀及びナトリウムを含む金属封入物と始動ガスとして機能する不活性ガスとがその管内に封入されたものであり、その外周に沿って始動を補助する近接導体107を備える。始動器104は、互いに近接配置されたバイメタルスイッチ108とタングステンフィラメントからなるヒータ109とが直列接続された回路構成となっており、交流電源106に対して発光管103と並列に接続されている。バイメタルスイッチ108は、常温時にはその接点を閉じていて高圧ナトリウムランプ101の点灯回路を閉回路とし、ある温度以上に加熱されると接点を開く構造である。ヒータ109は、通電によって発熱する。
【0004】
このような回路構造の高圧ナトリウムランプ101は、交流電源106より電力が供給されると、始動器104のヒータ109が発熱し、この発熱によってバイメタルスイッチ108の接点が開かれる。これにより、コイル構成の安定器105のインダクタンスによって瞬間的なキック電圧が発生し、これが始動パルスとして発光管103の電極103aに印加される。すると、発光管103の内部に放電破壊が生じ、発光管103が発光する。この際、バイメタルスイッチ108の接点が開かれると、ヒータ109への通電が遮断されてヒータ109の温度が低下する。これにより、バイメタルスイッチ108の接点が再び閉じ、同様のことが繰り返される。つまり、始動パルスの発生が繰り返され、一度の始動パルスの印加によって発光管103が始動しない場合にも数回の始動パルスの印加によって発光管103が始動する。そして、発光管103が始動し点灯すると、その発熱によってバイメタルスイッチ108の接点が開くため、始動器104への給電が途絶え、始動パルスの発生が停止される。
【0005】
ここで、高圧ナトリウムランプ101の発光管103は、セラミックスチューブに水銀及びナトリウムを含む金属封入物と不活性ガスとが封入され、セラミックスチューブの両端に電極103a付きの栓体がソルダーによって接着封止されて形成されている。発光管103の管体となるセラミックスチューブは、水銀及びナトリウムを含む不活性ガスを透過させない材料として用いられている。ところが、発光管103に封入された不活性ガスは、セラミックスチューブの両端を接着封止するソルダーを侵食して発光管103の外部に漏れ出すことがあり、この場合には始動パルスを与えても発光管103が点灯しなくなってしまう。このような場合、始動パルスが発生すると、発光管103から漏れ出した不活性ガスを媒介としてヒータ109であるタングステンフィラメントと他の部材とが短絡され、タングステンフィラメントであるヒータ109が断線する。したがって、不活性ガスのリークによって発光管103が点灯しなくなった場合、バイメタルスイッチ108が開閉を繰り返して始動パルスを永続的に発生させてしまうようなことが防止される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7に例示するような高圧ナトリウムランプ101では、発光管103が不点灯の場合にヒータ109が断線する条件として、発光管103から不活性ガスがリークすることが必要である。これに対し、発光管103の不点灯は、不活性ガスがリークする場合のみならず、何らかの不具合が発光管103に生じて始動電圧が高くなるような場合にも発生する。例えば、水銀及びナトリウムが発光管103の栓体近傍に集中してしまったような場合、始動電圧が高くなって始動しにくくなる。このような現象は、経年変化によって現実に発生する。ところが、このような場合、発光管103から不活性ガスがリークしているわけではないので、ヒータ109が断線せず、したがって、始動パルスが永続的に発生し続けてしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、発光管が点灯しない場合、その原因が発光管からの不活性ガスのリーク以外であったとしても、始動器104による始動パルスの発生を停止させることができる高圧放電ランプ、高圧放電ランプ装置及び照明装置を得ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の高圧放電ランプは、内部が真空に維持された外管と;外管の内部に収納保持され、内部に金属封入物と不活性ガスとを封入し、外管の外部に導通する一対の電極を有する発光管と;外管の内部で発光管に並列に接続された直列接続のタングステンフィラメントと点灯管とにより形成され、前記タングステンフィラメントの線径は直径30〜300μmであり、前記点灯管は一対の電極とこれらの電極間に発生する放電現象によって接点を閉じるバイメタルスイッチとを備える、始動器と;始動器に直列に接続され、発光する発光管の発熱によって開く熱応動スイッチと;を備え、前記発光管が始動しない場合、前記タングステンフィラメントの発熱量の増大に応じて前記点灯管内の前記バイメタルスイッチの接点が閉じた状態に維持されるようにした。
【0009】
ここで、「外管」は、例えば硬質ガラスによって形成され、「発光管」は、例えば多結晶アルミナや単結晶アルミナ等のセラミックチューブに金属封入物と不活性ガスとが封入されて形成される。「金属封入物」としては、例えばナトリウム及び水銀が用いられ、「不活性ガス」としては、例えばキセノン(Xe)ガスが用いられる。「点灯管」は、いわゆるグローランプであり、したがって、一対の電極とこれらの電極間に発生する放電現象によって接点を閉じるバイメタルスイッチとを備える。「熱応動スイッチ」は、例えばバイメタルスイッチによって形成されている。
【0010】
したがって、高圧放電ランプに給電すると、始動器内の点灯管が放電現象によって発光し、この時の発熱で点灯管が備えるバイメタルスイッチの接点が閉じ、これによって点灯管の放電が休止されて点灯管が冷え、バイメタルスイッチの接点が再び開く。この時、高圧放電ランプと電源との間に介在接続されるコイル構成の安定器のインダクタンスによって瞬間的なキック電圧が発生し、これが始動パルスとして発光管に印加され、発光管が始動する。一度の始動パルスの印加で発光管が発光しない場合には、点灯管内のバイメタルスイッチの接点の開閉が繰り返され、これによって発光管に複数回始動パルスが印加され、発光管の始動が促される。そして、発光管が始動し点灯すると、発光管の発熱によって熱応動スイッチが開かれ、始動器の回路が開かれる。これにより、点灯管内のバイメタルスイッチの接点が開閉動作をしなくなり、始動パルスの発生が停止される。一方、放電現象を生じている点灯管及び接点が閉じられたバイメタルスイッチによって、タングステンフィラメントには電流が流れ続け、タングステンフィラメントは発熱を維持する。このため、何らかの原因によって発光管が始動しない場合、時間の経過と共にタングステンフィラメントの発熱量が増大し、その熱によって点灯管が加熱されるため、所定時間経過後は点灯管内のバイメタルスイッチが接点を閉じた状態を維持する。これにより、点灯管がその動作をしなくなり、点灯管内のバイメタルスイッチが開閉を繰り返して始動パルスが永続的に発生し続けてしまうようなことが防止される。
【0011】
ここで、始動パルスが停止するまでの時間は、タングステンフィラメントの線径、及び、タングステンフィラメントと点灯管内のバイメタルスイッチとの間の距離に依存する。つまり、タングステンフィラメントの線径が細ければ、点灯管を動作させなくする発熱量に至るまでの時間が短くなる。その反面、あまり線径が細すぎると高圧放電ランプ輸送中の振動等でタングステンフィラメントが断線してしまう。そこで、タングステンフィラメントの線径としては、例えば、直径30〜300μm程度であることが望ましい。また、タングステンフィラメントと点灯管内のバイメタルスイッチとの間の距離が短ければ、バイメタルスイッチはタングステンフィラメントの発熱の影響を大きく受け、バイメタルスイッチの接点が閉状態を維持するまでの所要時間が短くなる。タングステンフィラメントと点灯管内のバイメタルスイッチとの間の距離としては、例えば、請求項2記載の発明のように、15mm以下が望ましい。
【0015】
請求項3記載の高圧放電ランプ装置は、請求項1又は2記載の高圧放電ランプと;高圧放電ランプ内の発光管を交流電源に接続させる給電線に介在された安定器と;を備える。したがって、始動器における接点の開閉動作が生ずると、接点が開いた時、安定器のインダクタンスによって瞬間的なキック電圧が発生し、これが始動パルスとして高圧放電ランプ内の発光管に印加され、発光管が始動する。そして、発光管が始動しない場合には、始動パルスの発生が停止される。
【0016】
請求項4記載の照明装置は、請求項3記載の高圧放電ランプ装置と;少なくとも高圧放電ランプを収納保持するケーシングと;を備える。したがって、請求項4記載の照明装置に使用される高圧放電ランプにおいては、発光管が始動しない場合に始動パルスの発生が停止される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。本実施の形態は、高圧放電ランプを備えた高圧放電ランプ装置の実施の一形態として、高圧ナトリウムランプ装置に適用した一例を示す。図1は高圧ナトリウムランプ装置の回路図、図2は高圧ナトリウムランプの正面図、図3は始動器部分の拡大正面図である。
【0018】
まず、回路構成を図1に基づいて説明する。高圧ナトリウムランプ装置1は、概略的には、高圧ナトリウムランプ2と安定器3とによって構成されている。つまり、高圧ナトリウムランプ2は交流電源4に給電線5を介して接続されており、給電線5には、チョークコイル構成の安定器3が直列に介在接続されている。図1中、交流電源4に並列接続されているコンデンサCは、力率改善用である。
【0019】
高圧ナトリウムランプ2は、後述する外管6の内部に発光管7とその始動器8とを内蔵する構造である。発光管7は、その両端に給電線5に接続される一対の電極9を備え、その外周に沿って始動を補助する近接導体10を備える。近接導体10は、一方の電極9の側で給電線5に接続されている。始動器8は、直列に接続された点灯管11とタングステンフィラメント12と熱応動スイッチとしてのバイメタルスイッチ13とにより構成されており、高圧ナトリウムランプ2に並列に接続されている。
【0020】
次いで、高圧ナトリウムランプ2の構造を図2及び図3に基づいて説明する。高圧ナトリウムランプ2は、硬質ガラスにより形成された外管6の開口部が口金14で封止され、その内部に発光管7とその始動器8とが密閉保持されて形成されている。この場合、外管6の内部は真空状態に維持されている。
【0021】
発光管7は、多結晶アルミナや単結晶アルミナ等の両端開口のセラミックチューブからなるバルブ15の内部に金属封入物と始動ガスとして機能する不活性ガス(共に図示せず)とが封入された状態で、バルブ15の開口する両端が図示しない栓体で封止された構造となっている。「金属封入物」としては水銀及びナトリウムが用いられ、「不活性ガス」としてはキセノン(Xe)ガスが用いられている。栓体は、図示しないソルダによってバルブ15に接着固定されており、電極9を備える。
【0022】
このような発光管7は、口金14内のステム16に固定された一対のサポートワイヤ17a,17bに一対のバルブホルダ18(一方のバルブホルダは図示せず)を介して保持されている。サポートワイヤ17a,17b及びバルブホルダ18は共に導体であり、サポートワイヤ17aは口金14のシェル14aに、サポートワイヤ17bは口金14のアイレット端子14bにそれぞれ独立して導通接続され、二つのバルブホルダ18は発光管7の二つの電極9(図1参照)にそれぞれ独立して導通接続されている。したがって、発光管7の電極9は、サポートワイヤ17a,17b及びバルブホルダ18を介することにより、一方の電極9が口金14のシェル14aに、他方の電極9が口金14のアイレット端子14bにそれぞれ導通接続されている。
【0023】
発光管7の下端を保持する図示しない方のバルブホルダは、サポートワイヤ17aに非導通状態で取り付けられた絶縁性を有する支持体19に支持されている。支持体19は、支持体19にネジ止めされた二つの金属製のネジ20a,20bがインシュレータ21を介してサポートワイヤ17aに固定されることによりサポートワイヤ17aに固定されている。また、サポートワイヤ17aには、発光管7の長手方向に沿わせてワイヤ状の近接導体10が取り付けられている。近接導体10は、ニオビウムやタンタル等の耐熱性金属ワイヤによって構成されている。
【0024】
外管2の内部に密閉保持された始動器8の構成物品のうち、点灯管11及びタングステンフィラメント12は支持体19に支持され、バイメタルスイッチ13は一方のサポートワイヤ17aに固定されて支持体19を支持する一方のネジ20aに対し接離自在である。バイメタルスイッチ13は、発光管7の発光による発熱の影響を受ける位置にネジ20aに接触状態で配置され、発光管7の発光による熱の影響を受けてネジ20aから離反する構造である。ここで、点灯管11はいわゆるグローランプであり、ガラス管等の気密容器22の内部に電極ともなるバイメタルスイッチ23を備える(図1参照)。このため、点灯管11は、バイメタルスイッチ23に接続された一対の導線24a,24bを備える。一方の導線24aは口金14のアイレット端子14bに導通接続されたサポートワイヤ17bに導通接続され、他方の導線24bは一方のネジ20bを介してタングステンフィラメント12の一端に導通接続されている。タングステンフィラメント12の他端は、バイメタルスイッチ13が接離する他方のネジ20aに導通接続されている。
【0025】
したがって、図1ないし図3を参照すると、高圧ナトリウムランプ2においては、口金14のシェル14aに対し、サポートワイヤ17a及びホルダ18を介して発光管7の一方の電極9が接続され、口金14のアイレット端子14bに対し、サポートワイヤ17b及び図示しないホルダを介して発光管7の他方の電極9が接続され、これによって発光管7が交流電源4に接続される。そして、点灯管11の導線24a、点灯管11、点灯管11の導線24b、ネジ20b、タングステンフィラメント12、ネジ20a、及びバイメタルスイッチ13という直列接続回路である始動器8が構成され、バイメタルスイッチ13がサポート17aに、点灯管11の導線24aがサポート17bにそれぞれ接続され、これによって始動器8が発光管7に並列接続されている。
【0026】
ここで、タングステンフィラメント12の線径は直径30〜300μmであり、このタングステンフィラメント12と点灯管11との間の距離は15mm以下である。
【0027】
このような構成において、交流電源4より高圧ナトリウムランプ2に給電すると、始動器8において、点灯管11、タングステンフィラメント12、及びバイメタルスイッチ13という閉回路が構成される。これにより、始動器8が備える点灯管11が放電現象によって発光し、この時の発熱で点灯管11が備えるバイメタルスイッチ23の接点が閉じ、これによって点灯管11の放電が休止されて点灯管11が冷え、バイメタルスイッチ23の接点が再び開く。つまり、点灯管11は、気密容器22内の放電による発熱によって接点を閉じることで閉回路を構成し閉回路が構成されると冷却されて接点を開くスイッチング素子として機能する。そして、一旦閉じられたバイメタルスイッチ23の接点が開く時、高圧ナトリウムランプ2と電源4との間に介在接続されるチョークコイル構成の安定器3のインダクタンスによって瞬間的なキック電圧が発生し、これが始動パルスとして発光管7に印加され、発光管7が始動する。一度の始動パルスの印加で発光管7が発光しない場合には、点灯管11が内蔵するバイメタルスイッチ23の接点の開閉が繰り返され、これによって発光管7に複数回始動パルスが印加され、発光管7の始動が促される。そして、発光管7が始動し点灯すると、発光管7の発熱によって一方のサポートワイヤ17aに固定されたバイメタルスイッチ13が開かれ、始動器8の回路が開かれる。これにより、点灯管11が内蔵するバイメタルスイッチ23の接点が開閉動作をしなくなり、始動パルスの発生が停止される。
【0028】
一方、始動器8においては、バイメタルスイッチ13が開かない限りタングステンフィラメント12に電流が流れ続け、タングステンフィラメント12は発熱を維持する。つまり、タングステンフィラメント12は、通電によって発熱を維持する発熱素子として機能する。このため、何らかの原因によって発光管7が始動しない場合、タングステンフィラメント12の熱によって点灯管11が加熱され、所定時間経過後には点灯管11が内蔵するバイメタルスイッチ23が閉じた状態に維持される。これにより、点灯管11の動作が停止され、点灯管11が内蔵するバイメタルスイッチ23の接点が開閉を繰り返して始動パルスが永続的に発生し続けてしまうようなことが防止される。したがって、発光管7が始動しない原因の如何を問わず、始動パルスの永続的な発生が確実に阻止される。
【0029】
ここで、始動パルスの永続的な発生が阻止されるまでの時間は、タングステンフィラメント12の線径に依存する。つまり、タングステンフィラメント12の線径が細ければ直ぐに一定の発熱量に達するため、始動パルスの永続的な発生が阻止されるまでの時間が短くなる。また、始動パルスの永続的な発生が阻止されるまでの時間は、タングステンフィラメント12と点灯管11に内蔵されたバイメタルスイッチ23との間の距離にも依存する。点灯管11においては、その放電による発光によって内蔵のバイメタルスイッチ23の接点が閉じられ、バイメタルスイッチ23の接点が閉じられると点灯管11の放電が休止されて点灯管11が冷え、バイメタルスイッチ23の接点が再び開かれる。この際、バイメタルスイッチ23の接点の開閉動作は、タングステンフィラメント12の発熱の影響を受けるため、タングステンフィラメント12がバイメタルスイッチ23に近く配置されているほどバイメタルスイッチ23が閉状態を維持するまでに要する時間が短くなる。ここで、本実施の形態の場合、タングステンフィラメント12の線径は直径30〜300μm程度であり、又、タングステンフィラメント12と点灯管11が内蔵するバイメタルスイッチ23との間の距離は15mm以下であり、このような条件下では、始動パルスの永続的な発生が阻止されるまでに要する時間が2分程度である。
【0030】
本発明の第二の実施の形態を図4及び図5に基づいて説明する。本実施の形態は、第一の実施の形態に示したような始動器内蔵形高圧ナトリウムランプ装置を内蔵する照明装置の実施の一形態として、ポール照明装置に適用した一例を示す。図4はポール照明装置を示す側面図、図5は高圧ナトリウムランプ装置の縦断側面図である。
【0031】
ポール照明装置31は、歩道32に立設されたポール33の上端に高圧ナトリウムランプ装置34が装着されて構成されている。ポール33は、その上端が屈曲され、これによって高圧ナトリウムランプ装置34の照明方向(図4中、一点鎖線で示す)が歩道32に隣接する道路35の方向に向けられている。
【0032】
高圧ナトリウムランプ装置34は、第一の実施の形態で示した高圧ナトリウムランプ装置1とほぼ同様の回路構成を備える(図1ないし図3参照)。つまり、図示しない交流電源に接続された高圧ナトリウムランプ36とチョークコイル構成の安定器37とを基本的な回路構成要素とする。
【0033】
高圧ナトリウムランプ装置34の構造は、図5に示すとおり、ポール33の先端部に固定されたケーシング38の内部に高圧ナトリウムランプ36と安定器37とが取り付けられたものである。高圧ナトリウムランプ36は、ケーシング38に一部に設けられたランプ収納室39においてランプホルダ40に保持されている。ランプ収納室39は、下面がアクリル製の透光カバー41により形成され、内部にリフレクタ42を備える。リフレクタ42は、高圧ナトリウムランプ36より照射された光を透光カバー41の方向に反射するように取り付けられている。安定器37は、ケーシング38の一部に設けられた安定器収納室43に収納保持されている。そして、ケーシング38に収納された高圧ナトリウムランプ36及び安定器37に対しては、ポール33の内部に配線された図示しない給電線を介して交流電源が接続されている。
【0034】
このような構成において、高圧ナトリウムランプ装置34の始動原理は第一の実施の形態として示した高圧ナトリウムランプ装置1と同様なのでその説明を省略する。そこで、高圧ナトリウムランプ36が内蔵する図示しない発光管が始動し点灯すると、その光は直接的にかつリフレクタ42を反射して透光カバー41を透過し、道路35を照らす。
【0035】
一方、高圧ナトリウムランプ装置34は、高圧ナトリウムランプ36が内蔵する発光管を始動させるために、始動パルスを発生する。この始動パルスは、通常は発光管が始動し点灯することにより停止し、例外的に発光管が始動しない場合にも所定時間経過後に停止する。この場合、始動パルスの停止は、発光管が始動しない理由を問わずに確実に行われる。したがって、高圧ナトリウムランプ36の不良を認識しがたい本実施の形態のようなポール照明装置31にあっては、高圧ナトリウムランプ36が内蔵する発光管が始動しないにも拘らず始動パルスが永続的に発生してしまうような不都合がなく、無駄な電力消費が防止される。
【0036】
【実施例】
本発明の発明者は、本発明の有効性を実験によって確かめてみた。図6は実験結果を示すグラフである。図6のグラフ中、試作(1)は、第一の実施の形態で示したものと実質的に同一の高圧ナトリウムランプの実験結果である。試作(2)は、点灯管が内蔵するバイメタルスイッチとタングステンフィラメントとの間の距離を20mmにした他は、第一の実施の形態で示したものと実質的に同一の高圧ナトリウムランプの実験結果である。なお、第一の実施の形態では、バイメタルスイッチとタングステンフィラメントとの間の距離が15mmに設定されている。そして、試作(3)は、従来の一例として図7に示したものと実質的に同一の高圧ナトリウムランプの実験結果である。
【0037】
実験では、内部ガスがリークしていないにも拘らずに始動しない発光管を用意し、この発光管に始動パルスの印加を継続した。すると、試作(1)のものでは、2分程度でタングステンフィラメントの熱によって点灯管が動作しなくなり、始動パルスが完全に発生しない状態となった。試作(2)のものでは、5分経過後も点灯管は動作し続け、始動パルスの発生を停止することができなかった。そして、試作(3)のものでは、発光管の不点灯が内部ガスのリークを原因としないため、フィラメント構成のヒータは断線せず、試作(2)のものと同様に始動パルスの発生を停止することができなかった。
【0038】
このような実験結果より明らかなように、第一の実施の形態で示したような高圧ナトリウムランプでは、発光管が始動しない場合、タングステンフィラメントが発熱を維持するために点灯管が加熱され、これによって点灯管内のバイメタルスイッチが閉じた状態に維持されて点灯管が動作しなくなり、始動パルスの発生が停止する。
【0039】
【発明の効果】
請求項1記載の高圧放電ランプは、内部が真空に維持された外管の内部に発光管を収納保持し、直列接続のタングステンフィラメントと点灯管とにより形成された始動器を外管の内部で発光管に並列に接続し、発光する発光管の発熱によって開く熱応動スイッチを始動器に直列に接続したので、点灯管によって発光管を始動させ、発光管の発光後は熱応動スイッチの作用によって始動器が備えるバイメタルスイッチの接点の開閉動作を停止させることができ、又、何らかの原因によって発光管が始動しない場合、その理由の如何を問わずタングステンフィラメントが発熱を維持して点灯管内のバイメタルスイッチの接点を閉じた状態に維持して点灯管の動作を停止させ、始動パルスが永続的に発生し続けてしまうようなことを防止することができる。
【0040】
また、始動パルスの発生が停止するまでの時間がタングステンフィラメントの線径に依存することを利用し、タングステンフィラメントの線径を直径30〜300μmにしたので、発光管が始動しない場合に始動パルスが停止するまでの時間を理想的な時間に設定することができる。また、タングステンフィラメントの線径を直径30μmよりも太くすることで、輸送中の振動等による断線を防止することができる。
【0041】
請求項2記載の発明は、始動パルスが停止するまでの時間がタングステンフィラメントと点灯管内のバイメタルスイッチとの間の距離に依存することを利用し、タングステンフィラメントと点灯管との間の距離を15mm以下にしたので、発光管が始動しない場合に始動パルスが停止するまでの時間を理想的な時間に設定することができる。
【0043】
請求項3記載の高圧放電ランプ装置は、請求項1又は2記載の高圧放電ランプと、発光管を交流電源に接続させる給電線に介在する安定器とを備えるので、始動器における接点の開閉動作が生ずると、接点が開いた時に安定器のインダクタンスによって瞬間的なキック電圧を発生させ、これを始動パルスとして高圧放電ランプ内の発光管に印加して発光管を始動することができる。そして、発光管が始動しない場合には、その理由の如何を問わず、始動パルスの発生を停止し、無駄な電力消費をなくすことができる。
【0044】
請求項4記載の照明装置は、請求項3記載の高圧放電ランプ装置と、少なくとも高圧放電ランプを収納保持するケーシングとを備えるので、発光管が始動しない場合に、その理由の如何を問わず、始動パルスの発生を停止し、無駄な電力消費をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す高圧ナトリウムランプ装置の回路図である。
【図2】高圧ナトリウムランプの正面図である。
【図3】始動器部分の拡大正面図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態として、高圧ナトリウムランプ装置を用いるポール照明装置を示す側面図である。
【図5】ポール照明装置に用いられる高圧ナトリウムランプ装置の縦断側面図である。
【図6】実験結果を示すグラフである。
【図7】従来の一例として、高圧ナトリウムランプ装置の回路図である。
【符号の説明】
1: 高圧放電ランプ装置
2: 高圧放電ランプ
3: 安定器
4: 交流電源
6: 外管
5: 給電線
7: 発光管
8: 始動器
9: 電極
11: 点灯管(スイッチング素子)
12: タングステンフィラメント(発熱素子)
13: 熱応動スイッチ
22: 気密容器
38: ケーシング
Claims (4)
- 内部が真空に維持された外管と;
前記外管の内部に収納保持され、内部に金属封入物と不活性ガスとを封入し、前記外管の外部に導通する一対の電極を有する発光管と;
前記外管の内部で前記発光管に並列に接続された直列接続のタングステンフィラメントと点灯管とにより形成され、前記タングステンフィラメントの線径は直径30〜300μmであり、前記点灯管は一対の電極とこれらの電極間に発生する放電現象によって接点を閉じるバイメタルスイッチとを備える、始動器と;
前記始動器に直列に接続され、発光する前記発光管の発熱によって開く熱応動スイッチと;
を備え、前記発光管が始動しない場合、前記タングステンフィラメントの発熱量の増大に応じて前記点灯管内の前記バイメタルスイッチの接点が閉じた状態に維持されるようにした、ことを特徴とする高圧放電ランプ。 - タングステンフィラメントと点灯管との間の距離は15mm以下であることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
- 請求項1又は2記載の高圧放電ランプと;
前記高圧放電ランプ内の発光管を交流電源に接続させる給電線に介在された安定器と;
を備えることを特徴とする高圧放電ランプ装置。 - 請求項3記載の高圧放電ランプ装置と;
少なくとも高圧放電ランプを収納保持するケーシングと;
を備えることを特徴とする照明装置。
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JP28863996A JP3588940B2 (ja) | 1996-10-30 | 1996-10-30 | 高圧放電ランプ、高圧放電ランプ装置及び照明装置 |
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