JP3587427B2 - 一方向クラッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造が簡単でかつ高精度を要しない低コストの一方向クラッチに関し、特に過度の入力トルクへの対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車や農業機器、OA機器等に使用する一方向クラッチとしては、ローラ式のものやスプラグ式のもの等がよく知られている。
【0003】
従来の一方向クラッチの一例として、ローラ式の一方向クラッチについて説明すると、図8に模式的に示すように、インナレースaと、このインナレースaに相対回転可能に組み付けられたアウタレースbと、このアウタレースbの内周に周方向に所定ピッチ間隔をおいて設けられた複数(同図には1つだけ示している)の凹部c,c,…と、それら各凹部c内にそれぞれ配置されたローラdと、これら各ローラdをインナレースaの外周面eとアウタレースbの内周面fとの間に挟み込まれる方向(図示する例では反時計回り方向)に向かって押圧付勢する図外のスプリングとを備えている。
【0004】
そして、例えば上記インナレースaにスプリングの付勢方向と同じ方向(同図の反時計回り方向)のトルクが入力されたときには、各ローラdはインナレースaの外周面eとアウタレースbの内周面fとの間に挟み込まれ、楔作用を営んで両者a,bをロックさせるので、インナレースaに入力されたトルクはアウタレースbに伝達される。一方、上記付勢方向とは逆の方向(同図の時計回り方向)のトルクが入力されたときには、各ローラdは両レースa,b間に挟み込まれず、インナレースaはアウタレースbからフリーの状態で回転する。つまり、このときには、インナレースaのトルクはアウタレースbに伝達されない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の一方向クラッチでは、非常に高精度の部品が必要であり、また構造も複雑であることから、低コストで得ることは困難であるという問題がある。
【0006】
加えて、上記一方向クラッチの最大伝達トルクを超えるトルクが入力されて該クラッチが破損した場合には、部品の交換だけでは済まず、クラッチ自体を交換しなければならないという問題もある。したがって、そのような事態に対処するためには、別途、トルクリミッタを付設しなければならず、さらにコストがかさむことになる。
【0007】
また、上記最大伝達トルクを超えないまでも過大なトルクが入力された場合には、そのトルクがそのまま出力されることになるという問題もある。よって、そのような事態を防止する上でもトルクリミッタが必要となる。
【0008】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、2軸間に巻き掛けたベルトに初張力が付与されているときには両軸間のトルク伝達を行う一方、初張力が付与されていないときにはトルク伝達を行わないベルト伝動機構の原理を応用することで、構造が簡単でありかつ高精度が要求されなくて低コストであるとともに、過大な入力トルクに対し出力トルクを抑えることのできる一方向クラッチが得られるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、2軸ベルト伝動機構において、一方の軸に、両軸の相対回転方向に応じてベルト初張力を増減させるように揺動する揺動部を設けることで、一方向クラッチとしての機能を発揮させることができるようにした。また、その際に、入力トルクの増加に応じてベルトの滑り発生率が上昇することに着目し、上記滑りをコントロールできるようにすることで、過度の入力トルクに対し、ベルトの破断により出力トルクを抑えることができるようにした。
【0010】
具体的には、請求項1の発明では、外周に断面円形状の摩擦面が形成された第1の回転部材と、外周に上記第1回転部材の摩擦面の半径方向外方に位置する断面円弧状の摩擦面が形成されているとともに該摩擦面の周方向一端側に偏った位置において第1回転部材の摩擦面の中心軸線と平行な軸心回りに揺動可能に枢支された揺動部を有していて、該第1の回転部材に上記中心軸線回りに相対回転可能に組み付けられた第2の回転部材と、これら第1及び第2回転部材の両摩擦面間に巻き掛けられた無端の摩擦部材と、上記両回転部材が一方向(以下、ロック方向という)に相対回転するときには上記摩擦部材が揺動部をその摩擦面の周方向他端側が半径方向外方に変位して該摩擦部材の初張力を増加させる方向に回動させ、上記両回転部材が他方向(以下、フリー方向という)に相対回転するときには上記摩擦部材が揺動部をその摩擦面の周方向他端側が半径方向内方に変位して該摩擦部材の初張力を減少させる方向に回動させるようにそれぞれ上記摩擦部材に初張力を付与する初張力付与機構とを備えるようにする。そして、上記第1回転部材の摩擦面と上記摩擦部材との間の摩擦係数及び接触角度をそれぞれμ1′及びθ1とし、かつ上記第2回転部材の摩擦面と上記摩擦部材との間の摩擦係数及び接触角度をそれぞれμ2′及びθ2としたときに、上記揺動部における摩擦面の周方向一端側の揺動アーム長さL2に対する該摩擦面の周方向他端側の揺動アーム長さL1の比L1/L2(以下、揺動アーム比という)が、
L1/L2≦eμ1′・θ1
L1/L2≦eμ2′・θ2
の2つの関係式を共に満たすように設定されているものとする。
【0011】
上記の構成において、第1及び第2の回転部材の一方にトルクが入力されて該両回転部材が何れかの方向に相対回転するとき、その回転方向に応じて第1及び第2の回転部材間におけるトルク伝達の断接が行われる。
【0012】
すなわち、上記の両回転部材がロック方向に相対回転するときには、初張力付与機構によって初張力の付与されている摩擦部材により、揺動部はその摩擦面の周方向他端側が半径方向外方に変位して上記摩擦部材の初張力を増加させる方向に回動する。よって、このときには、第1及び第2の回転部材の各摩擦面と摩擦部材との間のグリップ力が共に増加するので、該第1及び第2の回転部材間においてトルクは摩擦部材を介して伝達される。
【0013】
一方、上記両回転部材がフリー方向に相対回転するときには、揺動部はその摩擦面の周方向他端側が半径方向内方に変位して摩擦部材の初張力を減少させる方向に回動する。よって、第1及び第2の回転部材の各摩擦面と摩擦部材との間のグリップ力が失われるので、このときには、第1及び第2の回転部材間でのトルク伝達は行われない。
【0014】
さらに、上記両回転部材がロック方向に相対回転してトルク伝達がなされるときに上記入力トルクが増加すると、それに応じて摩擦部材の張側張力及び緩み側張力が増加するので、両回転部材間の最大伝達トルク及び摩擦部材の滑り発生率は共に上昇する。その際に、上記滑り発生率は、摩擦部材の張側張力t1と緩み側張力t2との比t1/t2が、該摩擦部材と各摩擦面との間の摩擦係数にその接触角度〔単位:ラジアン〕を乗算した値が自然対数の底に累乗されてなる値に近付くにつれて急激に上昇するようになり、その値を超えると発生率が100%となる状態に移行しようとする。
【0015】
このとき、上記摩擦部材の張側張力t1がその許容張力の範囲内であるときに上記滑り発生率が100%に達する場合には、摩擦部材の滑りが発生することになるので、入力トルクがさらに上昇しても略一定のトルクのみが摩擦部材の滑りを伴いつつ両回転部材間で伝達される。つまり、この場合には、過度の入力トルクに対し略一定のトルクのみが出力される。
【0016】
上記の場合とは逆に、上記張側張力t1が許容張力の範囲内であるときに上記滑り発生率が100%に達しない場合には、摩擦部材が破断して両回転部材間でのトルク伝達は停止される。つまり、この場合には、過度の入力トルクに対しトルクの出力自体が停止する。尚、摩擦部材の破断した一方向クラッチは該摩擦部材の交換により再使用可能であり、また摩擦部材の交換自体は比較的に容易である。
【0017】
次に、上記摩擦部材の滑りの発生について詳しく説明する。例えば、第1の回転部材の摩擦面との間で摩擦部材の滑りが発生するときの該摩擦部材の張側張力T1及び緩み側張力T2の比T1/T2と、第1の回転部材の摩擦面と摩擦部材との間の摩擦係数μ1′及び接触角度θ1との間には、先にも述べたように、
T1/T2>eμ1′・θ1
という関係式(但し,eは自然定数の底)が成立することは知られている。つまり、摩擦部材の張側張力t1と緩み側張力t2との比t1/t2がT1/T2以上(t1/t2≧T1/T2)となる場合には摩擦部材の滑りが発生し、逆にT1/T2よりも小さい(t1/t2<T1/T2)場合には摩擦部材の滑りは発生せず、したがって摩擦部材が破断することになる。
【0018】
ここで、上記揺動部の周方向一端側に作用するモーメントと、周方向他端側に作用するモーメントとが互いに釣り合っているときに、周方向一端側の揺動アーム長さL2及び摩擦部材の張側張力t1と、周方向他端側の揺動アーム長さL1及び摩擦部材の緩み側張力t2との間には、L2・t1=L1・t2の関係があるので、t1/t2=L1/L2が成立する。
【0019】
したがって、上記第1及び第2の回転部材がロック方向に相対回転して入力トルクが増加するときに、揺動部の揺動アーム比L1/L2が、第1回転部材の摩擦面と摩擦部材との間の摩擦係数μ1′にその接触角度θ1を乗算した値μ1′・θ1だけ自然対数の底eが累乗されてなる値eμ1′・θ1以下(L1/L2≦eμ1′・θ1)であるので、上記摩擦部材の張力比t1/t2は滑り発生時の張力比T1/T2よりも小さく(t1/t2=L1/L2≦eμ1′・θ1<T1/T2)抑えられることになる。よって、摩擦部材の滑り率は100%に達せず、摩擦部材と第1の回転部材の摩擦面との間に滑りは発生しない。
【0020】
また、上記揺動アーム比L1/L2は、第2回転部材の摩擦面と摩擦部材との間の摩擦係数μ2′にその接触角度θ2を乗算した値μ2′・θ2だけ自然対数の底eが累乗されてなる値eμ2′・θ2以下(L1 /L2 ≦eμ2′・θ2)であるので、上記の場合と同様に、上記摩擦部材の張力比t1/t2が、第2回転部材の摩擦面との間に摩擦部材の滑りの発生するときの張力比T1/T2よりも小さく(t1/t2=L1 /L2 ≦eμ2′・θ2<T1/T2)抑えられるので、摩擦部材と第2の回転部材の揺動部の摩擦面との間においても滑りは発生しない。
【0021】
つまり、この発明の場合には、上記入力トルクの増加に応じて第1及び第2の回転部材間の最大伝達トルクのみが上昇を続け、該最大伝達トルクが摩擦部材の許容張力を超えた時点で摩擦部材が破断する。
【0022】
請求項2の発明では、外周に断面円形状の摩擦面が形成された第1の回転部材と、この第1回転部材の摩擦面の半径方向外方に互いに周方向にずれた2つの止着部が設けられているとともに該2つの止着部のうちの一方の止着部の側に偏った位置において上記第1回転部材の摩擦面の中心軸線と平行な軸心回りに揺動可能に枢支された揺動部を有していて、該第1の回転部材に上記中心軸線回りに相対回転可能に組み付けられた第2の回転部材と、上記第1の回転部材の摩擦面に巻き掛けられているとともに、両端がそれぞれ上記第2の回転部材の揺動部の対応する止着部に止着された有端の摩擦部材と、上記両回転部材がロック方向に相対回転するときには上記摩擦部材が揺動部を上記他方の止着部が半径方向外方に変位して該摩擦部材の初張力を増加させる方向に回動させ、上記両回転部材がフリー方向に相対回転するときには上記摩擦部材が揺動部を上記他方の止着部が半径方向内方に変位して該摩擦部材の初張力を減少させる方向に回動させるようにそれぞれ上記摩擦部材に初張力を付与する初張力付与機構とを備えるようにする。
そして、上記第1の回転部材の摩擦面と摩擦部材との間の摩擦係数及び接触角度をそれぞれμ1′及びθ1としたときに、上記揺動部における一方の止着部の側の揺動アーム長さL2に対する他方の止着部の側の揺動アーム長さL1の比L1/L2が、
L1/L2≦eμ1′・θ1
の関係式を満たすように設定されているものとする。
【0023】
上記の構成において、摩擦部材は、上記請求項1及び2の発明の場合とは異なって有端であり、その両端がそれぞれ第2の回転部材の揺動部の対応する止着部に止着されているので、該第2の回転部材と一体となって回転する。したがって、第1及び第2回転部材間のトルク伝達の断接は、摩擦部材と第1の回転部材の摩擦面との間のみにおいて行われる。
【0024】
そして、上記第1及び第2の回転部材がロック方向に相対回転して入力トルクが増加するとき、上記揺動部における一方の止着部の側の揺動アーム長さL2に対する該揺動部における他方の止着部の側の揺動アーム長さL1の比L1/L2が、上記第1の回転部材の摩擦面と摩擦部材との間の摩擦係数μ1′にその接触角度θ1を乗算した値μ1′・θ1だけ自然対数の底eが累乗されてなる値eμ1′・θ1以下(L1/L2≦eμ1′・θ1)であることから、上記請求項1の発明の場合と同様に、上記摩擦部材の張力比t1/t2が滑り発生時の摩擦部材の張力比T1/T2よりも小さく(t1/t2=L1/L2≦eμ1′・θ1<T1/T2)抑えられるので、摩擦部材の滑り率は100%に達せず、摩擦部材と第1の回転部材の摩擦面との間に滑りは発生しない。よって、この発明の場合には、請求項2の発明の場合と同じく、上記入力トルクの増加に応じて第1及び第2の回転部材間の最大伝達トルクのみが摩擦部材の破断まで上昇を続ける。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
(実施形態1)
図2及び図3は、本発明の実施形態1に係る一方向クラッチを示しており、この一方向クラッチは、例えば動力取出装置(PTO)を備えた車両ではその動力取出装置の出力端に配置して用いられる他、農業機器としてのコンバインでは刈取り機構部の入力端に、また田植機では植付け機構部の入力端にそれぞれ配置して用いられる。
【0027】
上記一方向クラッチは、外周に断面円形状の摩擦面1aが形成された第1の回転部材1と、外周に第1回転部材1の摩擦面1aの半径方向外方に位置する断面円弧状の摩擦面2aが形成されているとともに該摩擦面2aの周方向一端側(図2の左端側)に偏った位置において第1回転部材1の摩擦面1aの中心軸線Pと平行な軸心Qの回りに揺動可能な揺動部3を有していて、第1回転部材1に中心軸線Pの回りに相対回転可能に組み付けられた第2の回転部材2と、これら第1及び第2回転部材1,2の両摩擦面1a,摩擦面2a間に巻き掛けられていて、初張力が付与された状態で両回転部材1,2の相対回転に伴って揺動部3を揺動させかつ該揺動により上記初張力が増減する無端の摩擦部材としてのゴム製の平ベルト4と、この平ベルト4に上記初張力を付与する初張力付与機構としての板ばね5とを備えている。
【0028】
具体的に説明すると、上記第1の回転部材1は、平プーリからなっており、そのボス部1bは図3の左方向に向かって突出するように延設されている。また、ボス部1bの内周には、該ボス部1bに連結される図外のシャフトとキー結合するためのキー溝6が中心軸線Pに沿って設けられている。
【0029】
一方、上記第2の回転部材2は、ボス部7aにおいてベアリング8を介し上記第1回転部材1のボス部1bに相対回転可能に組み付けられたカップ状の本体7と、この本体7の開口を覆うように該本体7に複数本のボルト9,9,…により取り付けられた円板状のカバー部材10とを有する。ベアリング8は、図3に示すように、平ベルト4と同一面内に配置されており、このことで、該ベアリング8に平ベルト4の張力によるモーメントが作用しないようになっている。また、カバー部材10の中央には、第1回転部材1のボス部1bに対応する円形の開口10aが設けられている。
【0030】
上記揺動部3は、内外周が共に断面円弧状である円弧形状をなしていて、第2回転部材2の本体7及びカバー部材10において両端部が支承された枢支ピン11により揺動軸心Qの回りに揺動可能に支持されている。揺動部3の摩擦面2aの周方向両端部は、それ以外の部分よりも小さい曲率の断面円弧状に形成されていて、該両端部における平ベルト4の屈曲を回避するとともに、摩擦面2aに対する平ベルト4の導入及び導出が円滑に行われるようにされている。
【0031】
また、上記揺動部3は、その摩擦面2aにおける揺動軸心Qの周方向一端側(図2の左端側)の揺動アーム長さL2が、該摩擦面2aにおける揺動軸心Qの周方向他端側(同図の右端側)の揺動アーム長さL1に比べて小さく(L2<L1)設定されている。詳しく説明すると、摩擦面2aの周方向両端を結ぶ線分の中点に対し、揺動軸心Qは該線分の延びる方向において摩擦面2aの周方向一端の側に偏って配置されている。そして、揺動部3の摩擦面2aの周方向両端を通る直線の方向(同図の左右方向)における揺動軸心Qと揺動部3の摩擦面2aの周方向一端部との間の距離が上記一端側の揺動アーム長さL2であり、同直線方向における揺動軸心Qと揺動部3の摩擦面2aの周方向他端部との間の距離が上記他端側の揺動アーム長さL1である。
【0032】
よって、上記揺動部3は、第1及び第2の回転部材1,2がロック方向に相対回転するとき、例えば第1の回転部材1が同図の反時計回り方向に回転するときには、同図に仮想線で示すように、摩擦面2aの周方向他端側が半径方向外方に変位する方向、つまり平ベルト4を押圧する方向に回動して該平ベルト4の初張力を増加させ、一方、第1及び第2の回転部材1,2がフリー方向に相対回転するとき、例えば第1の回転部材1が同図の時計回り方向に回転するときには、摩擦面2aの周方向他端側が半径方向内方に変位する方向、つまり平ベルト4を押圧する方向とは逆の方向に回動して該平ベルト4の初張力を減少させるようになっている。
【0033】
上記板ばね5は、図2に仮想線で示すように、揺動部3を該揺動部3の摩擦面2aの周方向他端側(同図の右端側)が平ベルト4を押圧する方向(同図の時計回り方向)に向かって常に回動付勢するように配置されている。この板ばね5は、その基端において第2回転部材2の本体7の内周面にボルト12により固定されていて、その先端側により揺動部3の揺動軸方向一側又は両側を押圧するようになされている。
【0034】
さらに、上記第2回転部材2の本体7には、図4に示すように、該第2回転部材2の入出力用ホイールとしてのVプーリ13が脱着可能に取り付けられている。すなわち、本体7の周方向の複数箇所には、Vプーリ13の挿通孔13a,13a,…に挿通された取付ボルト14,14,…の先端を螺着するためのボルト孔7a,7a,…が予め設けられている。また、第1回転部材1のボス部1bの外周にはCリング15を嵌着するための係止溝16が周設されており、これらのことで、Vプーリ13と第1回転部材1のボス部1bとの間に介装されるベアリング17を係止するようになされている。
【0035】
そして、本実施形態では、上記揺動部3における摩擦面2aの周方向一端側の揺動アーム長さL2に対する該摩擦面2aの周方向他端側の揺動アーム長さL1の比L1/L2(揺動アーム比)が、第1回転部材1の摩擦面1aと平ベルト4との間の摩擦係数μ1′にその接触角度θ1を乗算した値μ1′・θ1だけ自然対数の底eが累乗されてなる値eμ1′・θ1と、第2回転部材2の摩擦面2aと平ベルト4との間の摩擦係数μ2′にその接触角度θ2を乗算した値μ2′・θ2だけ自然対数の底eが累乗されてなる値eμ2′・θ2とに基づいて設定されている。
【0036】
すなわち、本一方向クラッチへの入力トルクの大きさに拘わらず平ベルト4と第1及び第2の回転部材1,2の各摩擦面1a,2aとの間において滑りを発生させないようにする場合には、上記揺動アーム比L1/L2は、
L1/L2≦eμ1′・θ1 ・・・▲1▼
L1/L2≦eμ2′・θ2 ・・・▲2▼
の2つの関係式▲1▼及び▲2▼を共に満たすように設定される。
【0037】
一方、本一方向クラッチへの入力トルクの増加に伴い、平ベルト4と第1及び第2の回転部材1の摩擦面1a,2aの少なくとも一方との間において滑りを発生させるようにする場合には、上記揺動アーム比L1/L2は、
L1/L2>eμ1′・θ1 ・・・▲3▼
L1/L2>eμ2′・θ2 ・・・▲4▼
の2つの関係式▲3▼及び▲4▼のうちの少なくとも一方を満たすように設定される。
【0038】
ここで、上記のように構成された一方向クラッチの作動について、第1の回転部材1にトルクが入力される場合を例にとって説明する。
【0039】
上記第1の回転部材1がフリー方向(図2の時計回り方向)に回転するときには、揺動部3が平ベルト4の初張力を減少させる方向(同時計回り方向)に回動するので、第1及び第2の回転部材1,2間でのトルク伝達は行われない。
【0040】
一方、上記第1の回転部材1がロック方向(図2の反時計回り方向)に回転するときには、揺動部3が平ベルト4の初張力を増加させる方向(同反時計回り方向)に回動するので、第1及び第2の回転部材1,2間でのトルク伝達が行われる。そして、上記入力トルクが増加すると、それに応じて平ベルト4の滑り発生率及び最大伝達トルクは共に上昇する。
【0041】
このとき、上記揺動アーム比L1/L2が関係式▲1▼及び▲2▼を共に満たすように設定されている場合には、「課題を解決するための手段」の項で詳しく説明したように、平ベルト4の張側張力t1(この場合には図2の左側スパンの張力)及び緩み側張力t2(この場合には同図の右側スパンの張力)の比t1/t2が、第1の回転部材1の摩擦面1aとの間に滑りの発生するときの平ベルト4の張側張力T1及び緩み側張力T2の比T1/T2よりも小さく(t1/t2<T1/T2)抑えられるので、第1の回転部材1の摩擦面1aと平ベルト4との間に滑りは発生しない。また、平ベルト4の張力比t1/t2は、第1の回転部材1の摩擦面1aとの間に滑りの発生するときの該平ベルト4の張力比T1/T2よりも小さく(t1/t2<T1/T2)抑えられるので、第1の回転部材1の摩擦面1aと平ベルト4との間に滑りは発生しない。よって、この場合には、上記入力トルクに応じて第1及び第2の回転部材1,2間の最大伝達トルクのみが平ベルト4の破断まで上昇を続け、過度の入力トルクに対しては平ベルト4の破断によりトルクの出力自体が停止される。そして、平ベルト4が破断したときには、該平ベルト4の交換により一方向クラッチは再使用できるようになる。
【0042】
一方、上記揺動アーム比L1/L2が関係式▲3▼及び▲4▼のうちの少なくとも一方を満たすように設定されている場合には、上記の場合とは逆に平ベルト4の張力比t1/t2が滑り発生時の張力比T1/T2に達する(t1/t2≧T1/T2)ようになるので、平ベルト4と第1回転部材1の摩擦面1aとの間及び平ベルト4と第2回転部材2の摩擦面2aとの間のうちの少なくとも一方において、つまり、関係式▲3▼を満たしている場合には第1回転部材1の摩擦面1aとの間において、また関係式▲4▼を満たしている場合には第2回転部材2の摩擦面2aとの間においてそれぞれ滑りが発生する。そして、滑り発生以降は、上記入力トルクが増加しても、略一定のトルクのみが両回転部材1,2間で伝達されるようになる。よって、この場合には、過度の入力トルクに対しては平ベルト4の滑りにより略一定のトルクのみが出力されるようになる。
【0043】
したがって、本実施形態に係る一方向クラッチによれば、第1の回転部材1に形成された断面円形状の摩擦面1aと、第2回転部材2の有する揺動部3に形成された断面円弧状の摩擦面2aとの間に無端の平ベルト4を巻き掛け、両回転部材1,2の相対回転に伴って平ベルト4により揺動部3を揺動させ、その揺動部3の揺動により平ベルト4の初張力を増減させることで両回転部材1,2間でのトルク伝達の断接を行うようにしたので、構造が簡単でありかつ高精度が要求されなくて低コストであるとともに、過大な入力トルクに対しては平ベルト4の滑りにより略一定のトルクのみを出力させたり又は平ベルト4の破損により出力自体を停止させたりすることで出力トルクを抑えることができる。
【0044】
さらに、上記揺動部3の揺動アーム比L1/L2を、第1回転部材1の摩擦面1aと平ベルト4との間の摩擦係数μ1′にその接触角度θ1を乗算した値μ1′・θ1だけ自然対数の底eが累乗されてなる値eμ1′・θ1と、第2回転部材2の揺動部3の摩擦面2aと平ベルト4との間の摩擦係数μ2′にその接触角度θ2を乗算した値μ2′・θ2だけ自然対数の底eが累乗されてなる値eμ2′・θ2とに基づいて設定し、このことで平ベルト4の滑りをコントロールするようにしたので、例えば滑り発生時の平ベルト4と各摩擦面1a,2aとの間の関係式(T1/T2>eμ1′・θ1,eμ2′・θ2)に基づく平ベルト4の張力比t1/t2や摩擦係数μ1′,μ2′及び接触角度θ1,θ2の設定によって行うようにする場合よりも容易に滑りをコントロールすることができる。
【0045】
尚、上記実施形態では、摩擦部材としてゴム製の平ベルト4を用いるようにしているが、その材質や形状は特に限定されるものではなく、例えば金属フープなどを用いるようにしてもよい。
【0046】
−具体例−
次に、図1に模式的に示す上記の一方向クラッチにおいて、第1の回転部材1にロック方向(同図の時計回り方向)のトルクが入力されて該回転部材1の摩擦面1aと平ベルト4との間に滑りが発生するとき、そのときの平ベルト4における張側張力T1及び緩み側張力T2間の比T1/T2と、摩擦面1a及びベルト4間の摩擦係数μ1′及び接触角度θ1〔単位:ラジアン〕との間には、
T1/T2>eμ1′・θ1
という関係式が成立するということを前提にして、滑り発生時の揺動部3の揺動アーム比L1/L2は、同じく滑り発生時の張力比T1/T2に等しく、その結果、
L1/L2>eμ1′・θ1
という関係式が成立するということを説明する。尚、本例では、第1回転部材1の摩擦面1aの半径RをR=40.50mmに、該摩擦面1aと平ベルト4との間の接触角度θ1をθ1=πに、揺動部3の摩擦面2aの周方向一端側(図1の左端側)の揺動アーム長さL2をL2=25.30mmに、周方向他端側(同図の右端側)の揺動アーム長さL1をL1=55.70mmに、そして、摩擦面2aの周方向両端を通る直線方向(同図の左右方向)と直交する方向(同図の上下方向)における揺動軸心Qの中心軸線Pからの偏心量を27.00mmにそれぞれ設定している。
【0047】
先ず、上記滑り発生時の平ベルト4の張側張力T1及び緩み側張力T2は、それぞれ、
T1=有効張力×eμ1′・θ1/(eμ1′・θ1−1)
T2=有効張力/(eμ1′・θ1−1)
と表わされる。
【0048】
ここで、上記第1の回転部材1に5kgf−mのトルクが入力されたときに上記滑りが発生するとして、そのときの平ベルト4の有効張力は、
5〔kgf−m〕÷0.0405〔m〕=123.456〔kgf〕
である。
【0049】
また、上記揺動部3の揺動アーム比L1/L2が、
L1/L2=55.7mm/25.3mm=2.2015であるので、μ1′・θ1は、
であり、したがって、eμ1′・θ1は、
eμ1′・θ1=e0.789=2.2...
である。
【0050】
これらから、上記平ベルト4の張側張力T1及び緩み側張力T2をそれぞれ求めると、
であり、よって、上記揺動部3の揺動軸心Qに加わる軸荷重は、
T1+T2=226.218+102.762=328.98〔kgf〕
となる。
【0051】
次に、上記軸荷重を第1回転部材1に対するトルクに変換すると、このときの揺動軸心Qの中心軸線Pからの偏心量((L1−L2)/2)が、
であるので、上記トルクは、
328.98×0.0152=5.000...〔kgf−m〕
となる。
【0052】
よって、上記第1の回転部材1の摩擦面1aと平ベルト4との間に滑りが発生するとき、揺動部3の揺動アーム比L1/L2は、平ベルト4の滑り発生時の張力比T1/T2に等しく、その結果、
L1/L2>eμ1′・θ1
という関係式の成立することが判る。
【0053】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係る一方向クラッチの要部を示しており、この一方向クラッチの全体構成は上記実施形態1の場合と基本的に同じであるので、同じ部分には同じ符号を付して示すこととする。
【0054】
本実施形態では、第2の回転部材2が入力側とされており、このことで、本発明における初張力付与機構が構成されている。すなわち、第2の回転部材2の回転に伴って発生する遠心力により揺動部3の摩擦面2aの周方向他端側(同図の右端側)が半径方向外方に変位して平ベルト4を押圧することで該平ベルト4に初張力を付与するようになされている。尚、その他の構成は上記実施形態1の場合と同じであるので、説明は省略する。
【0055】
上記のように構成された一方向クラッチの作動について説明する。
【0056】
上記一方向クラッチにおいて、第2の回転部材2に何れかの方向のトルクが入力されるとき、該回転部材2の回転に伴って平ベルト4に初張力が付与されるようになるので、上記トルクは平ベルト4を介して第1の回転部材1に伝達されようとし、一方、揺動部3はその揺動軸心Qの回りに回動する。
【0057】
そして、上記第2の回転部材2がロック方向(図5の時計回り方向)に回転するときには、揺動部3は、同図に仮想線で示すように、該揺動部3の摩擦面2aの周方向他端側が平ベルト4を押圧する方向(同図の反時計回り方向)に回動する。これにより、平ベルト4の初張力が上昇するので、一方向クラッチとしてはロック状態となる。
【0058】
一方、上記第2の回転部材2が、上記の場合とは逆のフリー方向(図5の反時計回り方向)に回転するときには、揺動部3は、摩擦面2aの周方向他端側が平ベルト4を押圧する方向とは逆の方向(同図の時計回り方向)に回動する。これにより、平ベルト4の初張力が減少することになるので、一方向クラッチとしてはフリー状態となる。
【0059】
したがって、本実施形態によれば、第1の回転部材1に形成された断面円形状の摩擦面1aと、第2回転部材2の有する揺動部3に形成された断面円弧状の摩擦面2aとの間に平ベルト4を巻き掛け、両回転部材1,2の相対回転に伴って平ベルト4により揺動部3を揺動させ、その揺動部3の揺動により平ベルト4の初張力を増減させることで両回転部材1,2間でのトルク伝達の断接を行うようにした一方向クラッチにおいて、上記第2の回転部材2を入力側に設定し、該第2回転部材2の回転に伴って発生する遠心力により揺動部3を揺動させることにより平ベルト4に初張力を付与するようにしたので、上記実施形態1の場合における初張力付与機構の構成部品を省略することができ、よってさらなる低コスト化を図ることができる。
【0060】
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3に係る一方向クラッチの要部を示しており、この一方向クラッチの全体構成も上記実施形態1の場合と基本的に同じである。
【0061】
本実施形態では、摩擦部材として、有端の平ベルト4が用いられており、その両端は揺動部3の周方向両端部の止着部21a,21bにビス22を用いて止着されている。
【0062】
そして、本実施形態では、上記揺動部3における一方(図6の左方)の止着部21aの側の揺動アーム長さL2に対する他方(同図の右方)の止着部21bの側の揺動アーム長さL1の比L1/L2が、第1回転部材1の摩擦面1aと平ベルト4との間の摩擦係数μ1′にその接触角度θ1を乗算した値μ1′・θ1だけ自然対数の底eが累乗されてなる値eμ1′・θ1に基づいて設定されている。尚、その他の構成は実施形態1の場合と同じであるので説明は省略する。
【0063】
したがって、本実施形態によれば、有端の平ベルト4を用い、その両端を第2の回転部材2の揺動部3に止着するようにしたので、平ベルト4と第1の回転部材1の摩擦面1aとの間のトルク伝達の断接を通じて、上記実施形態1の場合と略同じ効果を奏することができる。
【0064】
(実施形態4)
図7は、本発明の実施形態4に係る一方向クラッチの要部を示しており、この一方向クラッチの全体構成も上記実施形態1の場合と基本的に同じである。
【0065】
本実施形態では、上記実施形態2の場合と同様に第2の回転部材2が入力側とされており、このことで、本発明における初張力付与機構が構成されている。
【0066】
また、本実施形態では、上記実施形態3の場合と同じく、摩擦部材として有端の平ベルト4が用いられていて、その両端は揺動部3の周方向両端部の止着部21a,21bにビス22により止着されている。尚、その他の構成は実施形態1の場合と同じであるので説明は省略する。
【0067】
したがって、本実施形態によれば、第2の回転部材2を入力側に設定することで初張力付与機構を構成するとともに、有端の平ベルト4を用いて、その両端を第2の回転部材2の揺動部3に止着するようにしたので、上記実施形態2と上記実施形態3とを併せた場合と同じ効果を奏することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、外周に断面円形状の摩擦面が形成された第1の回転部材と、外周に断面円弧状の摩擦面が形成されているとともに該摩擦面の周方向一端側に偏った位置において揺動可能に枢支された揺動部を有し、該第1の回転部材に上記中心軸線回りに相対回転可能に組み付けられた第2の回転部材と、これら第1及び第2回転部材の両摩擦面間に巻き掛けられた無端の摩擦部材と、両回転部材が一方向に相対回転するときには上記摩擦部材が揺動部を該摩擦部材の初張力を増加させる方向に回動させる一方、両回転部材が他方向に相対回転するときには上記摩擦部材が揺動部を該摩擦部材の初張力を減少させる方向に回動させるようにするとともに、上記第1回転部材の摩擦面と摩擦部材との間の摩擦係数及び接触角度をそれぞれμ1′及びθ1とし、かつ第2回転部材の摩擦面と上記摩擦部材との間の摩擦係数及び接触角度をそれぞれμ2′及びθ2としたときに、上記揺動部における摩擦面の周方向一端側の揺動アーム長さL2に対する該摩擦面の周方向他端側の揺動アーム長さL1の比L1/L2を、L1/L2≦eμ1′・θ1及びL1/L2≦eμ2′・θ2の2つの関係式(但し、eは自然対数の底であり、θ1及びθ2の単位はラジアンである)を共に満たすように設定して、上記第1及び第2回転部材の各摩擦面と摩擦部材との間に滑りを生じさせないようにしたので、簡単な構造でありかつ高精度が要求されなくて低コストでありながら、入力トルクの方向に応じて第1及び第2の回転部材の少なくとも一方と摩擦部材との間でトルク伝達の断接を行うことができるとともに、過度の入力トルクに対しては摩擦部材の破断により出力自体を停止させるようにすることができ、しかも破断した摩擦部材の交換は容易であり、摩擦部材の交換により再使用することができる。
【0069】
請求項2の発明によれば、外周に断面円形状の摩擦面が形成された第1の回転部材と、2つの止着部が周方向にずれて設けられているとともに一方の止着部の側に偏った位置において揺動可能に枢支された揺動部を有し、該第1の回転部材に上記中心軸線回りに相対回転可能に組み付けられた第2の回転部材と、第1回転部材の摩擦面に巻き掛けられているとともに両端がそれぞれ第2回転部材の揺動部の対応する止着部に止着された有端の摩擦部材と、両回転部材が一方向に相対回転するときには上記摩擦部材が揺動部を該摩擦部材の初張力を増加させる方向に回動させる一方、両回転部材が他方向に相対回転するときには上記摩擦部材が揺動部を該摩擦部材の初張力を減少させる方向に回動させるようにするとともに、上記第1の回転部材の摩擦面と摩擦部材との間の摩擦係数及び接触角度をそれぞれμ1′及びθ1としたときに、上記揺動部における一方の止着部の側の揺動アーム長さL2に対する他方の止着部の側の揺動アーム長さL1の比L1/L2を、L1/L2≦eμ1′・θ1の関係式を満たすように設定して、上記第1回転部材の摩擦面と摩擦部材との間に滑りを発生させないようにしたので、上記請求項1の発明の場合と略同じ効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る一方向クラッチを模式的に示す正面図である。
【図2】一方向クラッチの内部を示す正面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面図である。
【図4】Vプーリが取り付けられた状態を示す図6相当図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る一方向クラッチを示す図2相当図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る一方向クラッチを示す図2相当図である。
【図7】本発明の実施形態4に係る一方向クラッチを示す図2相当図である。
【図8】従来の一方向クラッチとしてのローラ式一方向クラッチの要部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 第1の回転部材
1a 摩擦面
2 第2の回転部材
2a 摩擦面
3 揺動部
4 平ベルト(摩擦部材)
5 板ばね(初張力付与機構)
21a,21b 止着部
P 中心軸線
Q 揺動軸心
L1 揺動部における摩擦面の周方向他端側の揺動アーム長さ、
揺動部における他方の止着部の側の揺動アーム長さ
L2 揺動部における摩擦面の周方向一端側の揺動アーム長さ、
揺動部における一方の止着部の側の揺動アーム長さ
Claims (2)
- 外周に断面円形状の摩擦面が形成された第1の回転部材と、
外周に上記第1の回転部材の摩擦面の半径方向外方に位置する断面円弧状の摩擦面が形成されているとともに該摩擦面の周方向一端側に偏った位置において上記第1の回転部材の摩擦面の中心軸線と平行な軸心回りに揺動可能に枢支された揺動部を有し、該第1の回転部材に上記中心軸線回りに相対回転可能に組み付けられた第2の回転部材と、
上記第1の回転部材の摩擦面と上記第2の回転部材の摩擦面との間に巻き掛けられた無端の摩擦部材と、
上記第1及び第2の回転部材が一方向に相対回転するときには上記摩擦部材が上記揺動部をその摩擦面の周方向他端側が半径方向外方に変位して該摩擦部材の初張力を増加させる方向に回動させ、上記第1及び第2の回転部材が他方向に相対回転するときには上記摩擦部材が上記揺動部をその摩擦面の周方向他端側が半径方向内方に変位して該摩擦部材の初張力を減少させる方向に回動させるようにそれぞれ上記摩擦部材に初張力を付与する初張力付与機構とを備え、
上記第1の回転部材の摩擦面と上記摩擦部材との間の摩擦係数及び接触角度をそれぞれμ1′及びθ1とし、かつ上記第2の回転部材の摩擦面と上記摩擦部材との間の摩擦係数及び接触角度をそれぞれμ2′及びθ2としたときに、上記揺動部における摩擦面の周方向一端側の揺動アーム長さL2に対する該摩擦面の周方向他端側の揺動アーム長さL1の比L1/L2が、
L1/L2≦eμ1′・θ1
L1/L2≦eμ2′・θ2
(但し、eは自然対数の底であり、θ1及びθ2の単位はラジアンである)の2つの関係式を共に満たすように設定されている
ことを特徴とする一方向クラッチ。 - 外周に断面円形状の摩擦面が形成された第1の回転部材と、
上記第1の回転部材の摩擦面の半径方向外方に互いに周方向にずれた2つの止着部が設けられているとともに該2つの止着部のうちの一方の止着部の側に偏った位置において上記第1の回転部材の摩擦面の中心軸線と平行な軸心回りに揺動可能に枢支された揺動部を有し、該第1の回転部材に上記中心軸線回りに相対回転可能に組み付けられた第2の回転部材と、
上記第1の回転部材の摩擦面に巻き掛けられているとともに、両端がそれぞれ上記第2の回転部材の揺動部の対応する止着部に止着された有端の摩擦部材と、上記第1及び第2の回転部材が一方向に相対回転するときには上記摩擦部材が上記揺動部を上記2つの止着部のうちの他方の止着部の側が半径方向外方に変位して該摩擦部材の初張力を増加させる方向に回動させ、上記第1及び第2の回転部材が他方向に相対回転するときには上記摩擦部材が上記揺動部を上記他方の止着部の側が半径方向内方に変位して該摩擦部材の初張力を減少させる方向に回動させるようにそれぞれ上記摩擦部材に初張力を付与する初張力付与機構とを備え、
上記第1の回転部材の摩擦面と上記摩擦部材との間の摩擦係数及び接触角度をそれぞれμ1′及びθ1としたときに、上記揺動部における上記一方の止着部の側の揺動アーム長さL2に対する上記他方の止着部の側の揺動アーム長さL1の比L1/L2が、
L1/L2≦eμ1′・θ1
(但し、eは自然対数の底であり、θ1の単位はラジアンである)
の関係式を満たすように設定されている
ことを特徴とする一方向クラッチ。
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