JP3587215B2 - 2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下記式(1)で表される2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールは乳化重合における連鎖移動剤として賞用されている。
【化1】
【0003】
かかる2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製造方法としては、例えばトリイソブチレンと硫化水素とを三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体や三フッ化ホウ素燐酸錯体などのルイス酸存在下に反応させる方法(Neftechimiya,Vol.2,No.5,第735〜738頁、1962年)、トリイソブチレンと硫化水素とを三弗化ホウ素燐酸錯体などのルイス酸存在下に連続的に反応させる方法(米国特許第2426647号公報)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記方法を検討したところ、反応終了後に未反応トリイソブチレンが20〜80%と多く残存すること、そして未反応トリイソブチレンを回収して再使用すると三フッ化ホウ素の錯体成分である、例えばエーテルなどのルイス塩基が混在して目的物の反応収率を大幅に低下させることがわかった。
【0005】
そこで、本発明者らは、かかる回収トリイソブチレンを用い鋭意検討を行ったところ、ルイス塩基の混在する回収トリイソブチレンを酸処理を行った後にルイス酸存在下で硫化水素と反応させることで、またルイス塩基混在の回収トリイソブチレンをルイス酸とプロトン酸の共存下で硫化水素と反応させることで、目的物である2,2,4,6,6−ペンタメチルペプタン−4−チオールが高収率且つ高純度で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決する為の手段】
かくして、本発明によれば、不純物としてルイス塩基を含むトリイソブチレンを酸処理した後、ルイス酸の存在下に硫化水素と反応させることを特徴とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製法、および不純物としてルイス塩基を含むトリイソブチレンをルイス酸とプロトン酸の共存下に硫化水素と反応させることを特徴とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製法。
【0007】
本発明に使用されるトリイソブチレンは、常法により製造され、下記式(2)および式(3)で表される二種類の異性体が存在することが知られている。これらは、単独、あるいは併用して用いることができる。二種類の異性体は、酸触媒存在下の硫化水素との反応速度が相違し、式(2)のトリイソブチレンの方が式(3)のものより速い。その為、二種類の異性体を併用して用いる場合の混合割合は特に制限はないが、通常は式(2)/式(3)の成分比で少なくとも0.5、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1以上のものが使用される。
【化2】
【化3】
【0008】
不純物として混在するルイス塩基としては、反応で使用される触媒あるいはその他の添加剤由来の有機ルイス塩基で、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジノルマルプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジペンチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン、アセチルアセトンなどのケトン類、トリメチルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アセトアミド、N−フェニルアセトアミドなどのアミド類、トリメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド類、トリメチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などのカルボン酸無水物などが挙げられる。これらのルイス塩基が反応に対して悪影響を及ぼす濃度は、ルイス塩基の種類又は使用するルイス酸の種類によって相違するが、通常はトリイソブチレンに対して0.001モル%以上、さらには0.01モル%以上、特には0.1モル%以上である。
【0009】
不純物であるルイス塩基を除去する為に使用される酸としては、ルイス塩基と錯体あるいは塩を形成し除去できる酸であれば特に制限はなく、例えばルイス酸、プロトン酸、酸性イオン交換樹脂などが挙げられる。ルイス酸としては、三弗価ホウ素、ハロゲン化アルミニウムなどが例示される。プロトン酸としては、塩化水素、硫酸、リン酸、カルボン酸などが例示され、通常0.01〜10Nぐらいの稀水溶液として用いられる。酸性イオン交換樹脂としては、スルホン酸型イオン交換樹脂、フェノールスルホン酸型イオン交換樹脂、パーフルオロ化イオン交換樹脂などが例示される。これらの中で好ましくは無機プロトン酸であり、さらに好ましくは塩化水素、硫酸、リン酸などの稀水溶液である。これらは、単独、または2種以上を併用して用いられ、その使用量は、不純物であるルイス塩基に対して通常1当量以上の過剰量が用いられる。
【0010】
酸処理の方法としては、例えば次のように行うことができる。塩化アルミニウムなどの固体を用いる場合は、トリイソブチレンとよく混合した後にろ別する。稀硫酸などの無機プロトン酸稀水溶液を用いる場合は、両者をよく混合した後、分液して有機層のみを取り分け、必要に応じてモレキュラーシーブなどで乾燥する。酸性イオン交換樹脂を用いる場合は、酸性イオン交換樹脂を充填したカラムにトリイソブチレンを通して行うことができる。
【0011】
本発明で使用されるルイス酸触媒としては、通常のオレフィン類付加反応で使用されるものであり、例えば三弗化ホウ素;三弗化ホウ素の錯体;フルオロホウ酸のエーテル錯体;アルミニウムのハロゲン化物;アルミニウムのハロゲン化物のアルキル置換体などが挙げられ、これらは単独、または2種以上を併用して使用される。
【0012】
具体的には、例えば三弗化ホウ素の各種錯体としては、リン酸錯体;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジノルマルプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジペンチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル錯体;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル錯体;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン、アセチルアセトンなどのケトン錯体;トリメチルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド錯体;アセトアミド、N−フェニルアセトアミドなどのアミド錯体;トリメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド錯体;トリメチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド錯体;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルなどのエステル錯体;酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸錯体;無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などのカルボン酸無水物から誘導される錯体などが例示される。フルオロホウ酸のエーテル錯体としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジノルマルプロピルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル錯体などが例示される。ハロゲン化アルミニウム化合物としては、ヨウ化アルミニアム、弗化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウムなどが例示される。ハロゲン化アルミニウム化合物のアルキル置換体としてはジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどが例示される。
【0013】
これらルイス酸触媒の中で好ましいものは、三弗化ホウ素の各種錯体、フルオロホウ酸の錯体、ハロゲン化アルミニウム化合物のジアルキル置換体などであり、さらに好ましいものは三弗化ホウ素の各種錯体である。
【0014】
ルイス酸触媒の使用量は、トリイソブチレン1モルに対して、通常0.001〜5モル、好ましくは0.005〜1モル、さらに好ましくは0.01〜0.5モルの範囲である。
【0015】
併用されるプロトン酸触媒としては、通常は有機酸、無機酸、酸性イオン交換樹脂などが用いられる。有機酸としてはベンゼンスルホン酸、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが例示される。無機酸としては、硫酸、、塩化水素、過塩素酸、リン酸などが例示される。酸性イオン交換樹脂としては、スルホン酸型イオン交換樹脂、フェノールスルホン酸型イオン交換樹脂、パーフルオロ化イオン交換樹脂などが例示される。これらのプロトン酸の中でも好適なものは無機酸であり、特に好適なものはリン酸や硫酸である。
【0016】
プロトン酸触媒の使用量は、トリイソブチレン1モルに対して、通常0.0005〜5モル、好ましくは0.001〜1モル、さらに好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。酸性イオン交換樹脂を用いる場合は、酸点がこの範囲になるように使用される。
【0017】
本発明に使用される硫化水素の使用量は、トリイソブチレン1モルに対して通常等モル以上、好ましくは1〜30モル、さらに好ましくは2〜10モルの範囲である。
【0018】
反応に際しては溶媒を存在させることができる。溶媒としては反応に不活性であるものであれば特に限定されず、例えばn−ペンタン、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などが例示される。
【0019】
本発明における反応方法は、特に限定されないが、通常はオートクレーブ中で攪拌下に実施される。反応圧力は、反応温度や溶媒の種類などにより異なるが、通常2〜30気圧、好ましくは2〜20気圧、さらに好ましくは3〜15気圧の範囲である。反応温度は、通常、−100〜+50℃、好ましくは−60〜+20℃、好ましくは−40〜+10℃の範囲である。反応温度が、過度に高くなると目的物の収率が低下し、また過度に低くなると反応の進行が極端に遅くなり好ましくない。反応時間は、通常、10分〜20時間、好ましくは30分〜10時間である。
【0020】
反応終了後、常法に従って処理を行うことができるが、上記反応に続いて、反応液に反応停止剤を接触させて反応を終了させることにより目的物をより高収率で得ることができる。反応停止剤を接触させる場合は、反応液が常圧に戻る前に反応停止剤と接触させることが好適である。反応液が常圧に戻る前に反応停止剤と接触させる方法としては、反応終了後、同反応圧力下で反応液に反応停止剤を添加する方法、反応圧力あるいはそれよりも低い圧力に設定した反応停止剤に反応液を添加する方法などが挙げられる。反応液が常圧に戻ってから反応停止剤を接触させる場合は、収率の低下を最小限に抑える為に、出来る限り手際良く瞬時に接触させることが肝要である。
【0021】
使用する反応停止剤としては、使用するルイス酸及びプロトン酸の触媒活性を著しく低下せしめるか、または失活せしめるものであれば特に限定されず、例えば、アルカリ類、アルコール類、水などが挙げられる。
【0022】
具体的には、アルカリ類としては、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、エチレンジアミンなどのアミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化物;アンモニアなどが例示され、これらアルカリ類は水溶液の状態で用いても良い。また、炭酸塩や炭酸水素塩を固体で用いる場合は細かく砕いた状態で用いることが好ましい。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールなどが例示される。水としては、水単独、または含水テトラヒドロフランや含水ジオキサンなどの不活性溶媒に水を溶かしたものが例示される。
【0023】
上記の反応停止剤のなかでも好ましいものは炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、水素化物、アンモニアなどの無機アルカリ類、またはその水溶液、水などであり、特に好ましいものは、炭酸塩、炭酸水素塩、またはその水溶液、水などである。
【0024】
反応停止剤の使用量は、酸触媒の酸1当量に対して、通常1当量以上であり、好ましい範囲は停止剤の種類により異なる。たとえば、アルコール類、アミン類、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物などは1〜10当量、水素化物は1〜1.1当量、水は1〜100当量などである。
【0025】
目的物である2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールを反応液から単離する方法としては、例えば反応液から残余の硫化水素を系外に除去後、反応停止剤層を固−液分離、あるいは有機層−水層分離で有機層を分離し、減圧下に蒸留する方法が挙げられる。
【0026】
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
(1)不純物としてルイス塩基を含むトリイソブチレンを酸処理した後、ルイス酸の存在下に硫化水素と反応させることを特徴とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製法。
(2)酸処理に使用する酸が、ルイス酸、プロトン酸および酸性イオン交換樹脂から選ばれる少なくとも1種である。
(3)酸が無機プロトン酸である。
(4)無機プロトン酸が塩化水素、硫酸またはリン酸である。
(5)不純物としてルイス塩基を含むトリイソブチレンをルイス酸とプロトン酸の共存下に硫化水素と反応させることを特徴とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製法。
(6)ルイス塩基の濃度がトリイソブチレンに対して0.001モル%以上、さらには0.01モル%以上、特には0.1モル%以上である。
(7)ルイス塩基がエーテル類、ニトリル類、ケトン類、アルデヒド類、アミド類、アミンオキシド類、ホスフィンオキシド類、エステル類およびカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種である。
(8)ルイス塩基が反応系から混在するものである。
(9)ルイス塩基が触媒由来である。
(10)原料トリイソブチレンが反応終了後の回収トリイソブチレンである。
(11)ルイス酸触媒の使用量がトリイソブチレン1モルに対して0.001〜5モル、好ましくは0.005〜1モル、さらに好ましくは0.01〜0.5モルの範囲である。
(12)ルイス酸触媒が、三弗化ホウ素の各種錯体、フルオロホウ酸のエーテル錯体、ハロゲン化アルミニウム化合物及びハロゲン化アルミニウム化合物のアルキル置換体から選ばれる少なくとも1種である。
(13)ルイス酸触媒が三弗化ホウ素の各種錯体である
(14)三弗化ホウ素の各種錯体が、リン酸錯体、エーテル錯体、ニトリル錯体、ケトン錯体、アルデヒド錯体、アミド錯体、アミンオキシド錯体、ホスフィンオキシド錯体、エステル錯体、カルボン酸錯体およびカルボン酸無水物から誘導される錯体から選ばれる少なくとも1種である。
(15)プロトン酸触媒の使用量がトリイソブチレン1モルに対して、0.0005〜5モル、好ましくは0.001〜1モル、さらに好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
(16)プロトン酸触媒が有機酸、無機酸および酸性イオン交換樹脂から選ばれる少なくとも1種である。
(17)プロトン酸触媒が無機酸である。
(18)無機酸が硫酸、塩化水素、過塩素酸およびリン酸から選ばれる少なくとも1種である。
(19)無機酸がリン酸または硫酸である。
(20)硫化水素の使用量がトリイソブチレン1モルに対して等モル以上、好ましくは1〜30モル、さらに好ましくは2〜10モルの範囲である。
(21)反応圧力が2〜30気圧、好ましくは2〜20気圧、さらに好ましくは3〜15気圧の範囲である。
(22)反応温度が−100〜+50℃、好ましくは−60〜+20℃、好ましくは−40〜+10℃の範囲である。
(23)反応時間が10分〜20時間、好ましくは30分〜10時間である。
(24)反応終了後、反応液と反応停止剤を接触する。
(25)反応停止剤がアルカリ類、アルコール類及び水から選ばれる少なくとも1種である。
(26)反応停止剤が炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、水素化物、アンモニアなどの無機アルカリ類、その水溶液、または水である。
(27)反応停止剤の使用量が酸触媒の酸1当量に対して1当量以上である。
(28)反応停止剤と反応液の接触が反応液が常圧に戻る前である。
【0027】
かくして、本発明によれば、不純物としてルイス塩基を含有するトリイソブチレンを使用しても、収率および純度よく目的とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールを得ることができる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例及び比較例中の部及び%は特に断りのないかぎり反応試薬は重量基準、収率はトリイソブチレンに対するモル基準である。尚、目的物の収率、純度、およびトリイソブチレンの異性体組成比は、下記測定条件でガスクロマトグラフィー分析を行い算出した。(装置;島津製作所製GC−14B、カラム;ジーエルサイエンスTC−1701ガラスキャピラリ0.25mmI.D.×30m(df=0.1μm)、キャリアガス;ヘリウム1.0ml/min、カラム温度100℃→200℃(昇温5℃/min)、検出器;FID)。
【0029】
実施例1
(1)トリイソブチレン(東京化成工業株式会社製P0456−FHB01;式(3)/式(2)成分比=0.89)77グラム、硫化水素103グラム、三弗化ホウ素ジn−ブチルエーテル錯体9.4ミリリットルをオートクレーブ中、攪拌下、5気圧、−20℃で6時間反応させた。この圧力を保ちながら、炭酸ナトリウムの10%水溶液73ミリリットルをポンプで圧送してオートクレーブ中に攪拌しながら導入した。脱圧後、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが62%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は35%であった。
【0030】
(2)反応混合物を10%炭酸ナトリウム水溶液でアルカリ性になるまで洗浄した後、減圧下に蒸留し2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール57グラムを得、トリイソブチレン26グラムを回収した。
【0031】
(3)回収したトリイソブチレン(式(3)/式(2)成分比=1.86、n−ブチルエーテル0.5モル%混在)7.7グラムを1N硫酸2ミリリットルで洗浄後、トリイソブチレン層をモレキュラーシーブで一晩乾燥させ、硫化水素10.3グラム、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.56ミリリットルをオートクレーブ中、攪拌下、5気圧、−20℃で6時間反応させた。上記(1)に準じて後処理後、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが32%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は66%であった。
【0032】
実施例2
実施例1の(2)で回収したトリイソブチレン7.7グラムを酸処理せずに用い、反応系中に濃硫酸0.49ミリリットルを併用すること以外は実施例1の(3)と同様に行い、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが56%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は40%であった。
【0033】
比較例1
回収したトリイソブチレンを酸処理しない以外は実施例1の(3)と同様の操作を行い、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの収率は6%であった。原料のトリイソブチレンの残存率は89%であった。
Claims (2)
- 不純物としてルイス塩基を含む回収トリイソブチレンを酸処理した後、ルイス酸の存在下に硫化水素と反応させることを特徴とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製法。
- 不純物としてルイス塩基を含む回収トリイソブチレンを、トリイソブチレン1モルに対して0 . 0005〜5モルのプロトン酸、およびルイス酸の共存下に硫化水素と反応させることを特徴とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製法。
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