JP3586349B2 - 光学的情報記録用媒体及びその記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、書き換え可能な相変化媒体を利用した、高密度な光ディスク及びその記録方法に関する。詳しくは、多数回のデータの書き換えに対し劣化の少ない相変化媒体及びその記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報量の増大に伴い高密度でかつ高速に大量のデータの記録・再生ができる記録媒体が求められているが、光ディスクはまさにこうした用途に応えるものとして期待されている。
光ディスクには一度だけ記録が可能な追記型と、記録・消去が何度でも可能な書き換え型がある。
【0003】
書き換え型光ディスクとしては、光磁気効果を利用した光磁気記録媒体や、可逆的な結晶状態の変化に伴う反射率変化を利用した相変化媒体があげられる。
相変化媒体は外部磁界を必要とせず、レーザー光のパワーを変調するだけで記録・消去が可能であり、記録・再生装置を小型化できるという利点を有する。
さらに、現在主流の800nm程度の波長での記録消去可能な媒体から、特に記録層等の材料を変更することなく短波長光源による高密度化が可能であるといった利点を有する。
【0004】
このような、相変化型の記録層材料としては、カルコゲン系合金薄膜を用いることが多い。
例えば、GeSbTe系、InSbTe系、GeSnTe系、AgInSbTe系合金があげられる。現在、実用化されている書換可能相変化型記録媒体では、未記録・消去状態を結晶状態とし、非晶質のビットを形成する。
【0005】
非晶質ビットは記録層を融点より高い温度まで加熱し、急冷することによって形成される。
記録層のこのような加熱処理による蒸発・変形を防ぐため、通常は、記録層の上下を耐熱性でかつ化学的にも安定な誘電体保護膜で挟みこむ。
記録過程においては、この保護層は記録層からの熱拡散を促し過冷却状態を実現して非晶質ビットの形成にも寄与している。
【0006】
さらに、上記サンドイッチ構造の上部に金属反射層を設けた4層構造とすることで、熱拡散をさらに促し、非晶質ビットを安定に形成せしめるのが普通である。
消去(結晶化)は、記録層の結晶化温度よりは高く、融点よりは低い温度まで記録層を加熱して行う。
【0007】
この場合、上記誘電体保護層は、記録層を固相結晶化に十分な高温に保つ蓄熱層として働く。
いわゆる1ビームオーバーライト可能な相変化媒体においては、上記、消去と再記録過程を1つの集束光ビームの強度変調のみによって行うことが可能である(Jpn.J.Appl.Phys., 26(1987), suppl.26−4, pp.61−66)。
1ビームオーバーライト可能な相変化媒体では、記録媒体の層構成及びドライブの回路構成が簡単になる。このため、安価で高密度な大容量記録システムとして注目されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記相変化媒体の記録プロセスでは、記録層を溶融せしめるとともに、数十ナノ秒以内に融点以下に急冷するという、過激な熱サイクルが生じる。
いくら誘電体保護層で覆われているといっても、数千〜数万回の繰り返しオーバーライトで微小な変形や、偏析が蓄積し、ついには、光学的に認識できるノイズの上昇や、ミクロンオーダーの局所欠陥の発生につながる(J.Appl.Phys., 78(1995), pp6980−6988)。
【0009】
記録層や保護層材料、あるいは層構成を工夫する事で、大幅な改善はなされているものの、本質的に書き換え可能回数に上限が有り、それは、通常の磁気記録媒体や光磁気記録媒体にくらべて1桁以上少ない。
さらに、繰り返しオーバーライトによる劣化は、溝形状にも依存する。
例えば、近年、書換可能コンパクトディスク(CD−Rewritable、CD−RW)が提唱されている(「CD−ROM professional」誌(米国)、1996年9月号、29−44ページ、あるいは、相変化光記録シンポジウム予稿集、1995年、41−45ページ)。
【0010】
CD−RWでは、70%以上という高反射率まで含めた互換性は困難であるものの、15〜25%の範囲内では、記録信号及び溝信号の点で互換性が確保でき、少なくとも、反射率の低いことをカバーするための増幅系を再生系に付加すれば、現行CDドライブ技術の範疇で互換性を確保できる。
CD−RWでは、溝内記録を行うが、この溝にはアドレス情報を含む蛇行を使用するものと考えられる(特開平5ー210849号公報)。
【0011】
図1(a)(b)にその模式図を示した。基板3の表面に蛇行した溝1が溝間2を隔てて設けられている。
ただし、蛇行の振幅は誇張して描いている。蛇行は搬送波周波数22.05kHzで周波数(FM)変調されており、その振幅(Wobble Amplitude)は溝1のピッチ(溝間2を挟んだ溝1の中心線距離、通常1.6μm程度)にくらべて非常に小さく30nm程度である。
【0012】
この蛇行はウオブル(Wobble)といわれ、蛇行を周波数変調し、あるトラックの特定の位置のアドレス情報を組み込んだものをATIP信号(Absolute Time In Pre−groove)もしくはADIP信号(Address In Pre−groove)といい、記録可能なコンパクトディスク(CD−Recordable、CD−R、「CDファミリー」、中島平太郎・井橋孝夫・小川博司共著、オーム社(1996)、第4章、)やミニディスク( Proceedings of the IEEE. 第82巻(1994年)、1490ページ)で既に利用されている。
【0013】
本発明者等の検討によれば、繰り返しオーバーライトにより、このウオブル信号が記録信号に漏れこむという新たな劣化現象が見出された。
これにより、繰り返し可能回数はさらに1桁以上少なくなり、1000回程度となる。
ウオブルは書き換え可能なCDにおいても情報が記録されるべき未記録領域を検出する上で必須のアドレス情報を付与するために用いられる手法であり、この劣化現象を回避することは困難である。
【0014】
繰り返しオーバーライト回数が制限されるこの現象は、今後、トラックピッチが高密度化された媒体で、wobbleを使用する場合に、一層深刻な問題になると考えられる。
【0015】
本発明の要旨は、変調信号により蛇行された深さ25nm以上200nm未満の光ビーム案内用の溝が同心円状または螺旋状に配置された基板に、膜厚70nm以上200nm以下の下部保護層、書き換え可能な相変化型記録層、膜厚10nm以上60nm以下の上部保護層の少なくとも3層を備えた、溝内記録を行う光学的情報記録用媒体であって、溝蛇行信号のキャリアレベル対ノイズ比が25dB以上であり、溝の蛇行の振幅awと、該光ビームの溝横断方向のスポット径R0と溝幅Wとが以下の関係、
【0016】
【数3】
0.25≦W/R≦0.45 (1)
【0017】
【数4】
0.03≦a/W≦0.08 (2)
を同時に満たすことを特徴とする光学的情報記録用媒体にある。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明では回転同期信号もしくはアドレス情報を周波数変調した信号として溝の蛇行の形で記録する方法を用いている。(例えば特開平2−87344号公報参照)。
これらは、スタンパ作成時に溝形成用の露光ビームをグルーブ横断方向に振動することで形成でき、それを例えば樹脂基板上に射出成形によって転写することで大量に複製できる。(特開昭63−103454,特開平2−87344、特開平2−198040、特開平3−88124、特開平3−237657、特公平1−23859、特公平3−3168各号公報等)。
【0019】
ウオブルによって記載されるATIPもしくはADIP信号は、未記録領域の回転数制御、及び、ユーザーデータ領域のアドレッシングに使用される。(「コンパクトディスク読本」中島平太郎、小川博司共著、オーム社(1988)、あるいは、上記の公開特許等による)。
なお、ウオブルは周波数変調されることなく単一周波数で形成され、単にディスクの回転同期を確立するためだけに用いられる場合もある。
【0020】
本発明者らは相変化媒体を利用したCD−RW(書換可能コンパクトディスク、CD−RW)の開発過程において、上記ウオブルの存在により、繰り返しオーバーライト時の劣化が促進されることを見出し、また、これが、将来トラックピッチを高密度化された時に一層深刻な問題となりうることを見いだした。
詳細な評価結果の説明に入る前に、本発明に用いられるような相変化媒体の構造及び記録方法について説明しておく。
【0021】
本発明の光学的記録用媒体は、基板には、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィンなどの透明樹脂、あるいはガラスを用いることができる。
相変化型記録層は、その上下を保護層で被覆されていることが望ましい。
さらに望ましくは図2に示すような基板3/下部保護層4(誘電体層)/記録層5/上部保護層6(誘電体層)/反射層(7)の構成を有し、その上を紫外線もしくは熱硬化性の樹脂等からなる保護コート層8で被覆されていることが望ましい。
【0022】
反射層7を設けるのは、光学的な干渉効果をより積極的に利用して信号振幅を大きくするためと、放熱層として機能することで非晶質マークの形成に必要な過冷却状態が得られやすいようにするためである。
このため、反射層7としては、高反射率、高熱伝導率の金属が望ましく、具体的にはAu,Ag,Al等があげられる。しかしながら、より光学的な設計の自由度を増すために、Si,Ge等の半導体を用いることもある。
【0023】
経済的、および耐蝕性の観点からはAlにTa,Ti,Cr,Mo,Mg,Zr,V,Nb等を0.5〜5at.%添加したAl合金が望ましい。
特に、Taの添加は高耐蝕性材料が得られる(特開平1−169751号公報)。
基板表面には上記特性を満たす保護層が通常は、10nmから500nmの厚さに設けられる。
【0024】
保護層の材料としては、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定される。
一般的には透明性が高く高融点である金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物やCa,Mg,Li等のフッ化物を用いることができる。
これらの酸化物、硫化物、窒化物、フッ化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、混合して用いることも有効である。
【0025】
繰り返し記録特性を考慮すると誘電体混合物がよい。
より具体的にはZnSや希土類硫化物と酸化物、窒化物、炭化物等の耐熱化合物の混合物が挙げられる。
これらの保護層の膜密度はバルク状態の80%以上であることが機械的強度の面から望ましい(Thin Solid Films, 第278巻(1996年)、74−81ページ)。
【0026】
誘電体層の厚みが10nm未満であると、基板や記録膜の変形防止効果が不十分であり、保護層としての役目をなさない傾向がある。
500nmを超えると誘電体自体の内部応力や基板との弾性特性の差が顕著になって、クラックが発生しやすくなる。
特に、下部保護層は、熱による基板変形を抑制する必要があり、70nm以上は必要である。
【0027】
70nm未満では、繰り返しオーバーライト中に微視的な基板変形が蓄積され、再生光が散乱されてノイズ上昇が著しくなる。
下部保護層の厚みの上限は、成膜時間の関係から200nm程度が実質的に上限となるが、200nmより厚いと記録層面で見た溝形状が変わってしまうので好ましくない。
【0028】
すなわち、溝深さが基板表面で意図した形状より浅くなったり、溝幅がやはり、基板表面で意図した形状より狭くなってしまうので好ましくない。
より好ましくは150nm以下である。
一方、上部保護層は、記録層の変形抑制のためには少なくとも10nm以上は必要である。
【0029】
また、60nmより厚いと、上部保護層内部に繰り返しオーバーライト中に微視的な塑性変形が蓄積されやすく、これが、また再生光を散乱させノイズを増加させるので好ましくない。
発明の媒体の記録層は相変化型の記録層であり、その厚みは10nmから100nmの範囲が好ましい。
【0030】
記録層の厚みが10nmより薄いと十分なコントラストが得られ難く、また結晶化速度が遅くなる傾向があり、短時間での記録消去が困難となりやすい。
一方100nmを越すとやはり光学的なコントラストが得にくくなり、また、クラックが生じやすくなるので好ましくない。
さらに、CDと互換性をとれるほどのコントラストを得るためには実際上10nm以上30nm以下が使用される。
【0031】
10nm未満では反射率が低くなりすぎ、30nmより厚いと熱容量が大きくなり記録感度が悪くなりやすい。
記録層としては公知の相変化型光記録層が使用でき、例えばGeSbTeやInSbTe,AgSbTe,AgInSbTeといった化合物がオーバーライト可能な材料として選ばれる。
【0032】
なかでも、{(SbTe1−x(GeTe)1−ySb(0.2<x<0.9、0≦y<0.1)合金またはM(SbTe1−z1−w(0≦w<0.3,0.5<z<0.9、MはIn,Ga,Zn,Ge,Sn,Si,Cu,Au,Ag,Pd,Pt,Pb,Cr,Co,O,S,Se,V,Nb,Taのうちの少なくとも1種)合金を主成分とする薄膜は、結晶・非晶質いずれの状態も安定でかつ、両状態間の高速の相転移が可能である。
【0033】
さらに、繰り返しオーバーライトを行った時に偏析が生じにくいといった利点があり、最も実用的な材料である。
上記記録層は合金ターゲットを不活性ガス、特にArガス中でスパッタして得られることが多い。
なお、記録層及び保護層の厚みは、上記機械的強度、信頼性の面からの制限の他に、多層構成に伴う干渉効果も考慮して、レーザー光の吸収効率が良く、記録信号の振幅すなわち記録状態と未記録状態のコントラストが大きくなるように選ばれる。
【0034】
前述のように記録層、保護層層、反射層はスパッタリング法などによって形成される。
記録膜用ターゲット、保護膜用ターゲット、必要な場合には反射層材料用ターゲットを同一真空チャンバー内に設置したインライン装置で膜形成を行うことが各層間の酸化や汚染を防ぐ点で望ましい。また、生産性の面からも優れている。
【0035】
上記、ウオブルの存在による劣化促進のメカニズムは必ずしも明らかではないが、図3に示すように、記録用光ビーム9の一部が溝1の側壁10に照射されやすくなるためではないかと考えられる。
すなわち、トラッキングサーボがかかった集束光ビーム9はウオブルの蛇行には追従せず、溝の中心線に沿って直進して行く。
【0036】
溝壁10の蛇行があれば、図3のように光ビーム9が、わずかではあるが溝壁10に照射されやすくなる。
図3はウオブル振幅aを誇張して描いてあるが、この傾向は正しいと考えられる。
溝壁部10は薄膜の密着性が悪い、角で応力集中が起きやすい等により繰り返しオーバーライト時の熱ダメージによる劣化が起きやすいと考えられる。
【0037】
ここに光ビーム9の一部でも照射されれば、劣化は促進されると考えられる。
特に、樹脂基板や光硬化樹脂上に溝1を形成した媒体では、樹脂の軟化点が相変化媒体の記録時の温度(数百度以上)よりはるかに低いために、繰り返しオーバーライトによる溝形状の変形は多かれ少なかれ必ず生じる。
また、記録が溝1内にされようと溝間2にされようと同様の変形は生じうる。
【0038】
一方、繰り返しオーバーライトによる劣化の程度は、溝1の断面形状にも依存する。
溝深さを一定とし、溝幅Wのみを変化させた場合の劣化の程度は、溝幅Wが広い方がウオブルの存在による劣化の進行が遅い。
一方、ウオブルが存在しない場合、溝幅Wは狭い方が繰り返しオーバーライトによる劣化の進行が遅い。
【0039】
図3に示したように溝壁部10が記録光により直接照射されることが、基本的な劣化の原因であると考えられるのでここに光ビーム9の一部でも照射されれば、劣化は促進されると考えられる。
特に、樹脂基板や光硬化樹脂上に溝を形成した媒体では、樹脂の軟化点が相変化媒体の記録時の温度(数百℃以上)よりはるかに低いために、繰り返しオーバーライトによる溝形状の変形は多かれ少なかれ必ず生じる。
【0040】
記録用光ビーム9のエッジ部で溝壁10が照射されるのがウオブル信号劣化の根本原因であるから、溝横断方向のスポット径Rと溝幅W及びウオブル振幅aの幾何学的関係が重要になる。
すなわち、溝幅Wは相変化媒体本来の特性として狭い方がオーバーライト耐久性にすぐれるという観点と、狭すぎてウオブルにビーム端が深くかぶらない方が良いという二つの観点から、
【0041】
【数5】
0.25≦W/R≦0.45 (1)
【0042】
のように上下限が決まる。
一方、 /Wについては、ウオブル信号自体のCN(carrier tonoise)比を25dB以上とるにはある程度以上の大きさが必要であることから下限が存在し、一方、振幅が大きく溝内に突出しすぎるとオーバーライトによる劣化が著しくなるから上限が存在する。
【0043】
【数6】
0.03≦a/W≦0.08 (2)
【0044】
数値そのものは実施例のような実験によって決定された。
この関係は、光ビームの波長やNAには依存せず、あくまで溝横断方向のスポット径Rと溝幅W、及びウオブル振幅aの相対的関係で決まると考えられる。
ただし、ここでいう溝横断方向のスポット径Rとは、ガウシアンビームの強度が1/eとなる直径をいう。
本発明における溝蛇行(ウオブル)の振幅は、電子顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡で直接に実測することは極めて困難である。
従って、本発明においてはウオブル振幅は以下の測定によって定義される。
すなわち、与えられた光学ヘッドにおいて、図3における溝の平均中心からの変位量aとウオブル信号振幅Iの関係は、トラッキングサーボ系のオフトラック量とサーボエラー信号として与えられる。
【0045】
【数7】
=A・sin(2・π・a/p) (3)
【0046】
上記式より、溝のウオブル振幅(溝の平均中心からの変位量)aが求められる。
但し、pは予め定められたトラックピッチ、即ち、溝の一方の側のランド中心から他方の側のランド中心までの距離である。
図5はサーボエラー信号を示す図である。
Aはトラッキングサーボを掛けない状態(オープンループ)において測定したプッシュプル方式でのサーボエラー信号のピーク・ツー・ピーク(peak to peak)の半分であり、以下の式で表される。
【0047】
【数8】
(I−Ipp=2・A (4)
【0048】
はサーボエラー信号(I−I)の内、溝のウオブルにより発生する信号の振幅、即ち、ウオブル信号振幅である。具体的には、溝にトラッキングを掛けた状態で得られるサーボエラー信号の振幅として測定できる。
以上より、サーボエラー信号を測定することで上記P,A,Iの値が決まりこれを(3)式に代入してaを求めることができる。
この方式によれば、原理的には光学ヘッドの特性、ビーム形状、溝形状に拘わらずaが定まる。
なお、この測定方法自体は当業者において、よく知られた技術である。
【0049】
上記説明では、CD−RWを例として引用したが、先にも述べた通り、用語の定義が明確で説明に利用しやすいためである。
一方、現行CDのみならず、高密度化されたCD様の記録媒体においても、溝蛇行による回転同期信号の発生、アドレス信号付与は可能であり、この場合にも、本発明は有効であることは言うまでもない。
【0050】
なお、本発明において溝深さについても繰り返しオーバーライト耐久性の観点から好ましい範囲がある。
相変化媒体は一般的に溝内記録の方が溝間(いわゆるランド上)記録よりオーバーライト耐久性に優れる。
原因は、必ずしも明らかでないが、溝壁による記録層端部の保護が有効に作用していると考えられる。
【0051】
溝深さが25nm未満ではこの保護効果が十分でない。
一方、溝深さが200nmを越すと、溝壁へのスパッタ膜の付着が困難となり、溝壁面からみた膜厚が薄くなったり、密度の低い劣悪な膜が形成されやすいので好ましくない。
また、射出成形による溝形状転写も困難になることからも望ましいことではない。
【0052】
本発明の記録媒体を用いれば、繰り返しオーバーライトによる溝内記録信号およびウオブル信号の劣化が大幅に抑制される。
このため、劣化していない交替領域に記録しなおすといった、交替エリア確保・管理の必然性はなくなるため、ファイル管理の手続きが非常に容易になり、ドライブ及びデバイスドライバの設計が容易になる。
【0053】
もちろん、こうした交替領域の仕様を併せ用いて、さらに信頼性を向上させることは当業者の設計の考え方次第である。
ウオブルによってアドレスを付与された書き換え可能媒体で、光磁気ディスクのようなセクター単位での記録書き換えを行うような使用方法は、まだ確立されていないが、その場合にはファイル管理情報の書き換えは膨大な回数に達するものと予想される(10〜100万回以上)。
その場合には本発明は容易な手段・低コストで、繰り返しオーバーライトによる劣化抑制に絶大な効果を期待できる。
【0054】
【実施例】
以下本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例に限定されるものではない。
実施例1、比較例1
以下の実験で用いた記録媒体は図2の層構成を有する。下部保護層ZnS:SiO(200nm)、記録層AgInSb60Te29合金(20nm)、上部保護層ZnS:SiO(20nm)、反射層Al98.5Ta1.5合金(200nm)の4層構成をスパッタ法により作成した。
【0055】
この上にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
上記溝内に繰り返しオーバーライトを行った。
ウオブルは22.05kHzの無変調信号で、ポリカーボネート基板上に射出成形により転写されている。
基板はCDと同じ直径120mmの円盤状である。
【0056】
溝ピッチは1.6μmで、溝幅は約0.5μm、深さは約40nmである。
溝内に非晶質マークを形成して記録を行った。
記録は波長780nm、NA=0.55で溝横断方向のビーム径Rが1.35μmの光ヘッドを搭載したパルステック社製光ディスクドライブDDU1000を用いて行った。
【0057】
記録は図4に示すようなパルス分割方法を用いており、記録パワーP=12mW、消去パワーP=6mW、バイアスパワーP=0.8mWとした。
CDの2倍速(2.8m/s)でEFMランダム信号を繰り返しオーバーライトをした場合の3T信号の劣化を測定した。
信号品質はジッタで評価した。
【0058】
ジッタは2倍速では17.5nsecより小さいことがCDの規格上必要である。
初回記録時の3Tマークジッタは9〜11nsec.であった。
図3のパルスストラテジーで繰り返しオーバーライトして、3Tマークジッタが17.5nsecに達する回数(繰り返し可能回数)を測定した。
【0059】
CD−RWの規格上1000回以上の耐久性が必要であり、本実施例でも1000回以上を合格とした。
ウオブル振幅はやはりオレンジブックに記載されている方法で測定した。
また、溝幅は、光学回折法(U溝近似)により求めた。
表1に、種々のW/Rおよびa/W値に対して、繰り返し可能回数をまとめた。
【0060】
表1中、太線で囲んだ部分が実施例であり、その他の部分が比較例である。
ウオブル振幅のない溝では5000回のオーバーライト後もほとんどジッタの劣化はないが、ウオブル振幅の増大とともに、劣化が著しくなり、W/R=0.50では1500回程度で劣化が著しくなることがわかる。
ウオブルの存在による劣化の進行は、溝幅対ビーム幅が0.25以上0.45以下の場合には遅く、0.25未満と0.45より大の場合には速く、1000回を切る場合がある。
【0061】
一方、a/Wが0.08以上ではオーバーライトによる劣化の進行が速い。a/Wが0.03より少では、ウオブルのキャリア対ノイズ比が低い。
C/Nが25dBより低い場合、溝蛇行信号の正確な再生が困難となり、ディスクの回転同期が取れなくなったり、アドレス情報が読み出せなくなる恐れがある。
【0062】
【表1】
Figure 0003586349
【0063】
実施例2、比較例2
トラックピッチ1.0μm、溝幅0.33μm、溝深さ45nm、周期22.05kHz、振幅25nmの蛇行した溝(a/W=0.076)を有する基板を作成し、下部保護層ZnS:SiO(150nm)、記録層Ge23Sb25Te52合金(20nm)、上部保護層ZnS:SiO(20nm)、反射層Al98.5Ta1.5合金(100nm)の4層構成をスパッタ法により作成した。この上にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
【0064】
上記溝内に線速2.8m/sで実施例1と同様に繰り返しオーバーライトを行った。
記録光学系として、波長680nm、NA=0.6、R=1.05μmのビーム(実施例2)で記録パワーP=11mW、消去パワーPe=4mW、Pb=0.8mWとしたパルスストラテジー(パルス分割方式)を用いた。
【0065】
一方、記録光学系として、波長780nm、NA=0.55、R0=1.35μmのビーム(比較例2)で記録パワーPW=13mW、消去パワーPe=6mW、Pb=0.8mWとしたパルスストラテジーを用いた。
いずれの光学系でもウオブルのCN比は25dB以上であった。
実施例2の系では、W/R=0.31、比較例2の系ではW/R=0.24である。
実施例2では5000回以上の繰り返し可能であった。
一方、比較例2では700回程度であった。また、数百回後よりウオブルC/Nの顕著な低下が見られた。
【0066】
比較例3
実施例1において、溝幅を0.53μm、溝深さを20nm、ウオブル振幅を27nmとして同じ層構成の媒体を形成し、同様の光学系を用いて評価を行ったところ、繰り返し可能回数は500回程度であった。
溝深さが浅すぎるためと考えられる。
【0069】
【発明の効果】
本発明により、相変化媒体の繰り返しオーバーライト時の劣化が特に問題となるウオブルを有する記録媒体で、劣化を抑制し、ディスクの信頼性・耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウォブルの説明図で、(a)は平面図、(b)はA−A’断面図である。
【図2】本発明の光学的情報記録用媒体の層構成の一例を示す説明図である。
【図3】ウォブルのある記録溝に記録用光ビームが照射されている状態を示す説明図である。
【図4】実施例で用いた記録パワーの説明図である。
【図5】サーボエラー信号を示す図である。
【符号の説明】
1 溝
2 溝間
3 基板
4 下部保護層
5 記録層
6 上部保護層
7 反射層
8 保護コート層
9 光ビーム
10 溝壁
11 溝の平均中心線

Claims (6)

  1. 変調信号により蛇行された深さ25nm以上200nm未満の光ビーム案内用の溝が同心円状または螺旋状に配置された基板に、膜厚70nm以上200nm以下の下部保護層、書き換え可能な相変化型記録層、膜厚10nm以上60nm以下の上部保護層の少なくとも3層を備えた、溝内記録を行う光学的情報記録用媒体であって、溝蛇行信号のキャリアレベル対ノイズ比が25dB以上であり、溝の蛇行の振幅awと、該光ビームの溝横断方向のスポット径R0と溝幅Wとが以下の関係、
    Figure 0003586349
    Figure 0003586349
    を同時に満たすことを特徴とする光学的情報記録用媒体。
  2. 上記相変化型記録層が{(Sb 2 Te 3 1-x (GeTe) x 1-y Sb y (ただし、0.2<x<0.9、0≦y<0.1)合金を主成分とする薄膜である請求項1に記載の光学的情報記録用媒体。
  3. 上記相変化型記録層がM w (Sb z Te 1-z 1-w (ただし、0≦w<0.3、0.5<z<0.9、MはIn,Ga,Zn,Ge,Sn,Si,Cu,Au,Ag,Pd,Pt,Pb,Cr,Co,O,S,Se,V,Nb,Taのうちの少なくとも1種)合金を主成分とする薄膜である請求項1に記載の光学的情報記録用媒体。
  4. 上記相変化型記録層が膜厚10nm以上100nm以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の光学的情報記録用媒体。
  5. 上記3層に加えて反射層を備えた請求項1乃至4のいずれかに記載の光学的情報記録用媒体。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の光学的情報記録用媒体に対して、セクター単位で情報の書き換えを行い、その都度ファイル管理情報を書き換えることを特徴とする記録方法。
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