JP3585221B2 - 可撓ゴム継手とそれを用いた地下構造物の連結構造および地下構造物の施工方法 - Google Patents

可撓ゴム継手とそれを用いた地下構造物の連結構造および地下構造物の施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共同溝、地下鉄道、地下道路、地下駐車場等の、函体を連結して形成される地下構造物における連結部の止水に用いる可撓ゴム継手と、かかる可撓ゴム継手を用いた地下構造物の連結構造および地下構造物の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
開削工法によって形成される共同溝、地下鉄道、地下道路、地下駐車場等の地下構造物は、一般に、地下空間を区画する函体を連結してなるものであって、当該函体の連結部分には可撓ゴム継手による止水が施されている。
かかる可撓ゴム継手を用いた地下構造物の連結構造の具体例としては、例えば図12に示すものが挙げられる。この具体例における地下構造物の連結構造は、断面が略L字型である一対の金属枠体61を図12(b) に示すように配置し、この金属枠体61によって区画される取付溝62内に断面略Ω字状の止水ゴム部材63を配置してなるものである。この止水ゴム部材63にはアンカーボルト64が貫装されており、コンクリート体76中にアンカーボルト64が埋設されることによって、地下空間77を区画する函体80と一体化されている。なお、図12(b) は図12(a) のC−C矢視図である。また、図12(b) 中の符号65は、アンカーボルト64に組み合わせて用いられるナットと止水ゴム部材63との間に介在させる押え板を示す。
【0003】
上記連結構造の形成は、図12(a) に示すように、通常、止水ゴム部材63が取り付けられた一対の金属枠体61を開渠内に立設させた上で行われる。すなわち、まず、地盤70を掘削して得られる開渠71の底面に均しコンクリート(捨てコンクリート72)を打設した後、レベリングボルト73で水平・垂直位置を調整しつつ、支保工74により鋼矢板75への固定を行うことで可撓ゴム継手60を開渠71内に立設する。次いで、金属枠体61に沿って型枠(図示せず)を組み立て、当該型枠内にコンクリートを打設することによって、図12(b) に示す連結構造が形成される。なお、図12(a) は可撓ゴム継手60を簡略化して示したものであって、止水ゴム部材63を省略し、金属枠体61のみを示している。また、図12(a) 中、符号79はコンクリート体76と金属枠体61との間にあって、両者間の水漏れを防止するための水膨張性ゴムを示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図12(b) に示すゴム継手によれば、L字鋼が取付溝62を区画することから、地下空間内への可撓ゴム継手60の突出が防止されるという効果が得られる。しかし、L字鋼は特殊な形状の鋼であって、市販の鉄鋼に曲げ加工等を施す必要があることから製造コストが高く、その結果、開削トンネルの施工費用も高くなるという問題がある。さらに、L字鋼のサイズを可撓ゴム継手に求められるサイズに応じて自由に設計するのが、コスト等の面から困難である。
【0005】
また、金属枠体は略L字型であって、図12(b) に示すように、枠体61の下部においてはその下辺に角度がないことから、コンクリートの施工時に生じた起泡が逃げ出しにくく、空気溜り81が発生し易くなっている。空気溜り81は水漏れを生じさせる原因になるなど、止水機能の低下を招くおそれがあることから、できるだけ生じないようにすることが望まれる。しかし、それにはコンクリートの打設を注意深く行うしかなく、起泡が逃げにくい構造である以上は空気溜り81を完全に無くすのは非常に困難である。
【0006】
なお、一対のコンクリート体76間には目地材78が配置されており、この目地材78によっても、ある程度の止水が図られている。しかし、目地材78のみでは、コンクリートの不陸に伴うエア溜りや、地震等による地盤の変動に伴って生じる亀裂などから水漏れが生じるのを防止するのは困難である。それゆえ、優れた止水機能を維持しつつ、施工に要するコストを抑えることのできる可撓ゴム継手が求められている。
【0007】
そこで本発明の目的は、上記課題を解決し、優れた止水機能を発揮しつつ、開削トンネルの施工に要する費用を大幅に削減することのできる新規な可撓ゴム継手と、それを用いた地下構造物の連結構造および地下構造物の施工方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するための本発明に係る可撓ゴム継手は、
地下空間を区画する函体の連結部に沿って配置されるものであって、
断面略逆U字状の湾曲部と、
当該湾曲部の両開口端間に一体的に架設されて、当該湾曲部との間に閉じられた空間を区画してなる底部と、
前記湾曲部の開口端と一体的に接続し、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定され、かつコンクリート打設時にせき板として兼用される一対のフランジ部と、を備え
前記一対のフランジ部のなす角度が60〜140°である
ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る他の可撓ゴム継手は、
地下空間を区画する函体の連結部に沿って配置されるものであって、
断面略逆U字状の湾曲部と、
当該湾曲部の両開口端からそれぞれ他方の開口端側に伸びる一対の係止部と、
前記湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、を備え、かつ、
前記一対のフランジ部のなす角度が60〜140°である
ことを特徴とする可撓ゴム継手。
【0010】
上記課題を解決するための本発明に係る第1の地下構造物の連結構造は、
地下空間を区画する函体の連結部に沿って可撓ゴム継手が配置されてなるものであって、
前記可撓ゴム継手は、
前記連結部の目地部に沿って伸びる断面略逆U字状の湾曲部と、
当該湾曲部の開口端と一体的に接続し、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定され、かつコンクリート打設時にせき板として兼用される一対のフランジ部と、を備えており、
当該フランジ部は、その長手方向において所定の間隔で貫装された複数のアンカーボルトを備え、
当該フランジ部の前記湾曲部側表面には押え板が設けられており、かつ、
前記一対のフランジ部は、そのなす角度が60〜140°であって、前記連結部に打設されたコンクリート体と直接にまたはパッキンを介して接触しつつ、前記アンカーボルトによって当該コンクリート体に固定されている
ことを特徴とする。
【0011】
上記本発明に係る地下構造物の連結構造は、可撓ゴム継手が、さらに、湾曲部の両開口端間に一体的に架設される底部を備えており、当該底部と前記湾曲部との間に閉じられた空間が区画されているものであるのが好ましい。
また、本発明に係る地下構造物の連結構造は、
地下空間を区画する函体の連結部に沿って可撓ゴム継手が配置されてなるものであって、
前記可撓ゴム継手は、
前記連結部の目地部に沿って伸びる断面略逆U字状の湾曲部と、
当該湾曲部の両開口端からそれぞれ他方の開口端側に伸びる一対の係止部と、
前記湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、を備えており、
当該フランジ部は、その長手方向において所定の間隔で貫装された複数のアンカーボルトを備え、
当該フランジ部の前記湾曲部側表面には押え板が設けられており、かつ、
前記一対のフランジ部は、そのなす角度が60〜140°であって、前記連結部に打設されたコンクリート体と直接にまたはパッキンを介して接触しつつ、前記アンカーボルトによって当該コンクリート体に固定されている
ことを特徴とするものであるのも好ましい。
【0012】
上記本発明に係る可撓ゴム継手は、一対のフランジ部間に湾曲部と当該湾曲部によって区画される空間とを備えている。この湾曲部およびフランジ部はいずれも可撓ゴム継手の長手方向に伸びたものであって、特に前記一対のフランジ部は、地下空間を区画する一対の函体間に挟持されて、地下空間の連結部を構成するコンクリート体に固定されるものである。
また、本発明の可撓ゴム継手は、前述のように湾曲部と当該湾曲部によって区画された空間とを備えており、しかも後述する本発明に係る地下構造物の施工方法から明らかなように、前記空間内には連結構造の形成に際して打設されるコンクリートが侵入することがない。それゆえ、フランジ部が接続されている函体の変動に対応して、自在に変形することができる。
【0013】
本発明に係る第1の地下構造物の連結構造のうち、本発明に係る可撓ゴム継手を用いた場合、すなわち上記i)に示す地下構造物の連結構造においては、湾曲部の両開口端間に一体的に架設されてなる底部が、打設されたコンクリートによって前記空間が塞がれてしまうのを防止している。一方、前記底部を有しない可撓ゴム継手や本発明に係る他の可撓ゴム継手を用いた場合、すなわち上記ii)に示す地下構造物の連結構造においては、後述する地下構造物の施工方法に示すように、湾曲部の両開口端にシール部材を当接させることによって、前記空間がコンクリートで塞がれてしまうのを防止している。
【0014】
従って、上記本発明に係る可撓ゴム継手および第1の地下構造物の連結構造によれば、例えば地震等による地盤変形に伴って地下空間を区画する一対の函体の位置にずれが生じたり、函体間の距離が伸び縮みしたりするなどしても(すなわち、一対の函体間に剪断変形や伸び・圧縮変形が生じたとしても)、かかる変形に対して、前述の湾曲部と空間との変形により容易に追随することができ、その結果、かかる変形が生じた後も十分な止水機能を発揮することができる。
【0015】
上述のように、本発明に係る可撓ゴム継手の底部は、コンクリートが湾曲部の空間内に流れ込んで、可撓ゴム継手の変形能を阻害してしまうのを防止するために設けられたものである。それゆえ、コンクリートの侵入を防止できるのであれば、完全に閉じられた空間を形成していなくてもよい。すなわち、可撓ゴム継手の製造工程上の都合や、継手の変形性能向上のため等により、具体的には幅5mm程度以下の隙間が設けられていてもよい。また、撓ゴム継手は、底部を有しないものまたは本発明に係る他の可撓ゴム継手の係止部を備えたものであってもよい。この場合、地下構造物の連結構造を施工するのに際して、湾曲部へのコンクリートの侵入を防止するシール部材の併用が条件となるものの、可撓ゴム継手の製造工程が簡易なものになるという利点がある。従って、本発明に係る可撓ゴム継手と、底部を有しないものまたは本発明に係る他の可撓ゴム継手の係止部を備えたものとのいずれを用いるかは、両者の利害得失を比較考量して選択すればよい。
【0016】
コンクリート打設時にせき板として兼用される一対のフランジ部は、そのなす角度が60〜140°であることから、後述する地下構造物の施工方法からも明らかなように、コンクリート打設時に生じる気泡が取り除かれ易く、水漏れの原因となる空気溜りが発生するのを十分に抑制することができる。
それゆえ、上記本発明の可撓ゴム継手および第1の地下構造物の連結構造は、共同溝、地下鉄道、地下道路、地下駐車場等の、函体を連結して形成される地下構造物における連結部の止水に用いられる部材として好適である。
【0017】
上記本発明に係る第1の地下構造物の連結構造においては、可撓ゴム継手のフランジ部がコンクリート体と直接にまたはパッキンを介して接触しており、後述する本発明に係る地下構造物の施工方法から明らかなように、コンクリート打設時に枠体として兼用されるL字鋼等の部材が、一切使用されていない。上記本発明に係る地下構造物の連結構造では、可撓ゴム継手自体(より詳しくは、可撓ゴム継手の一対のフランジ部)をコンクリート打設時の型枠(堰板)として兼用することができ、その結果、L字鋼等の金属枠体が不要となる。従って、本発明に係る地下構造物の連結構造によれば、当該連結構造を形成するのに要するコストを大幅に削減することができる。
【0018】
また、本発明に係る第1の地下構造物の連結構造によれば、フランジ部の湾曲部側表面に配置されている押え板を、アンカーボルトに取り付けたナットで圧接することにより、フランジ部を圧縮変形させてコンクリート体との密着性を良好なものとすることができる。これにより、可撓ゴム継手の止水性をより一層向上させることができる。
上記本発明の可撓ゴム継手および第1の地下構造物の連結構造において、湾曲部の頂部は、一対のフランジ部の先端を結ぶ位置よりも内側(すなわち、湾曲部の開口端側)にあるのが好ましい。この場合、当該可撓ゴム継手を用いて後述する地下構造物の連結構造を形成したときに可撓ゴム継手の湾曲部が地下空間側に突出することがなく、それゆえ、函体の内壁面によって区画される地下空間を有効に利用することができる。
【0019】
上記課題を解決するための本発明に係る地下構造物の第1の施工方法は、
下空間を区画する函体の連結部を、可撓ゴム継手を用いて形成する方法であって、
当該可撓ゴム継手が、断面略逆U字状の湾曲部と、当該湾曲部の両開口端間に一体的に架設されて、当該湾曲部との間に閉じられた空間を区画してなる底部と、前記湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、を備え、かつ、前記一対のフランジ部のなす角度が60〜140°であるものであり、
当該可撓ゴム継手のそれぞれのフランジ部にその湾曲部側から押え板を配置した後、
(a) 前記フランジ部および前記押え板へのアンカーボルトの貫装と、
(b) 同一のフランジ部上の隣接する押え板間に架設してその間隔を保持させる継ぎ金具の敷設と、
(c) 異なるフランジ部上の一対の押え板間に架設してフランジ部がなす角度を固定させる間隔保持材の敷設と、
を行って可撓ゴム継手を函体の連結部に立設させ、次いで、
前記可撓ゴム継手の一対のフランジ部を型枠として使用しつつ函体と前記可撓ゴム継手との間にコンクリートを打設することによって、前記一対の函体間をコンクリート体で連結する
ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る地下構造物の第2の施工方法は、
下空間を区画する函体の連結部を、可撓ゴム継手を用いて形成する方法であって、
当該可撓ゴム継手が、
断面略逆U字状の湾曲部と、当該湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、を備え、かつ、前記一対のフランジ部のなす角度が60〜140°であるもの、または、
断面略逆U字状の湾曲部と、当該湾曲部の両開口端からそれぞれ他方の開口端側に伸びる一対の係止部と、前記湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、を備え、かつ、前記一対のフランジ部のなす角度が60〜140°であるもの、であり、
当該可撓ゴム継手のそれぞれのフランジ部にその湾曲部側から押え板を配置した後、
(a) 前記フランジ部および前記押え板へのアンカーボルトの貫装と、
(b) 同一のフランジ部上の隣接する押え板間に架設してその間隔を保持させる継ぎ金具の敷設と、
(c) 異なるフランジ部上の一対の押え板間に架設してフランジ部がなす角度を固定させる間隔保持材の敷設と、
を行って可撓ゴム継手を函体の連結部に立設させ、次いで、
前記湾曲部の両開口端にシール部材を当接して、当該湾曲部との間に閉じられた空間を区画させた後、
前記可撓ゴム継手の一対のフランジ部を型枠として使用しつつ函体と前記可撓ゴム継手との間にコンクリートを打設することによって、前記一対の函体間をコンクリート体で連結する
ことを特徴とする。
【0021】
従来、可撓ゴム継手の施工に際しては、例えば図12(b) に示すように、可撓性のある止水ゴム部材63を立設するために、剛性を有する金属枠体61が用いられていた。この金属枠体61は、コンクリートを打設するための枠体として兼用されていることから、可撓ゴム継手の施工に際して不可欠なものであると考えられていた。
しかしながら、上記本発明に係る地下構造物の施工方法によれば、可撓ゴム継手の施工に際して金属枠体を使用する必要がなく、例えば図12(b) に示す従来の可撓継手60における止水ゴム部材63(すなわち、可撓性を有するゴム製の継手部分)をもって、堰板としても兼用可能な可撓継手とすることができる。
【0022】
本発明に係る地下構造物の施工方法においては、あらかじめフランジ部状の押え板に継ぎ金具と間隔保持材とを可撓ゴム継手に敷設することによって、当該可撓ゴムに対して、これを立設させるのに十分な剛性を付与することができる。また、フランジ部自体は弾性部材であるものの、継ぎ金具および間隔保持材を取り付けることによって十分な剛性が付与されていることから、フランジ部を直接に打設時の枠体として兼用することができる。従って、本発明の施工方法によれば、金属枠体を用いないことによる施工コストの低減化を図ることができる。
【0023】
本発明に係る上記第1の施工方法においては可撓ゴム継手が底部を有することにより、上記第2の施工方法の場合においては可撓ゴム継手の湾曲部における両開口端にシール部材を当接させることにより、いずれも連結構造の形成時に打設されるコンクリートが、前記湾曲部によって区画される空間内に侵入するのを防止することができる。それゆえ、コンクリート打設後においても、前記湾曲部の変形能を十分に維持することができる。
【0024】
また、コンクリート打設時にせき板として兼用される一対のフランジ部は60〜140°の角度でもって固定されていることから、地下構造物の床面側や天井面側に可撓ゴム継手を設置する場合であっても、図12(b) に示すような空気溜り81を形成することがない。すなわち、空気がコンクリートよりも軽いことから、コンクリート打設時に生じた気泡がフランジ部に沿ってその先端側または開口端側から外部に抜け出ることとなり、その結果、水漏れの原因となる空気溜りが発生するのを十分に抑制することができる。
【0025】
本発明に係る地下構造物の施工方法においては、フランジ部に貫装されたアンカーボルトをナットで締め付けることにより、前記フランジ部のコンクリート体との接触面を圧縮変形させるのが好ましい。この場合、多少平滑さを欠くコンクリート面に対しても、締め付けによって密封性を確保することができる。とりわけ、前述の地下構造物の連結構造において規定したように、パッキンを介してフランジ部とコンクリート体とを接触させた場合には、当該パッキンの圧縮変形を利用することで、より一層フランジ部とコンクリート体との密封性を向上させることができる。
【0026】
上記課題を解決するための本発明に係る第2の地下構造物の連結構造は、
地下空間を区画する函体の連結部に沿って可撓ゴム継手が配置されてなるものであって、
前記可撓ゴム継手は、前記連結部の目地部に沿って伸びる断面略逆U字状の湾曲部と、当該湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、前記湾曲部の両開口端間に一体的に架設される底部と、を備えており、
当該フランジ部は、そのなす角度が60〜140°であって、前記湾曲部の頂部を地下空間側に向けて、前記函体の連結部に打設されるコンクリート体に埋設されている
ことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る第2の地下構造物の連結構造によれば、上記第1の地下構造物の連結構造と同様に、例えば地震等による地盤変形に伴って地下空間を区画する一対の函体の位置にずれが生じたり、函体間の距離が伸び縮みしたりするなどしても(すなわち、一対の函体間に剪断変形や伸び・圧縮変形が生じたとしても)、かかる変形に対して、前述の湾曲部と空間との変形により容易に追随することができ、その結果、かかる変形が生じた後も十分な止水機能を発揮することができる。
【0028】
なお、従来公知のコンクリート継ぎ目用止水板として、例えば図13に示すものが知られている〔例えば、西武ポリマ化成(株)製の登録商標「ブラックシール」〕。この止水板90は、本発明に係る可撓ゴム継手と同様な、閉じられた空間を区画する湾曲部91を備えており、それゆえ、当該止水板90が配置されている一対の函体間に剪断変形や伸び・圧縮変形が生じたとしても、かかる変形に対して容易に追随することができる。
【0029】
しかしながら、上記止水板90のコンクリート体95に埋設される部分92(すなわち、本発明に係る可撓ゴム継手におけるフランジ部に相当する部分)は湾曲部91に対して直線状に取り付けられており、本発明に係る可撓ゴム継手のように断面略V字状をなすような傾斜を有していない。従って、止水板90の施工時に空気溜り94が生じ易くなり、かかる空気溜り94に起因して水漏れが生じ易くなるという問題がある。なお、コンクリートの打設時に止水板90の前記埋設部92を持ち上げることにより空気の排出を図ることは可能であるものの、かかる方法で実際の施工時に完全に空気溜りを排除するのは極めて困難である。
【0030】
これに対し、本発明に係る可撓ゴム継手を用いた本発明に係る第2の地下構造物の連結構造によれば、フランジ部が所定の角度θをもって固定されていることに起因して、たとえコンクリート打設時に気泡が混入したとしてもこれを自動的に取り除くことができる。従って、最終的に得られるコンクリート体には空気溜りが生じることがなく、空気溜りに起因する水漏れを確実に防止することができる。
【0031】
それゆえ、上記本発明に係る第2の地下構造物の連結構造は、前記第1の地下構造物の連結構造と同様に、共同溝、地下鉄道、地下道路、地下駐車場等の、函体を連結して形成される地下構造物における連結部の止水に用いられる部材として好適である。
【0032】
【発明の実施の形態】
〔可撓ゴム継手および第1の地下構造物の連結構造〕
図1(a),(b) は本発明に係る可撓ゴム継手の一実施形態を示す図であって、かかる可撓ゴム継手10は、
断面形状が略逆U字状である湾曲部11と、
湾曲部11の開口端12と一体的に接続して、湾曲部11を挟んで断面が略V字状に固定される一対のフランジ部14と、
湾曲部11の両開口端12間に一体的に架設されて湾曲部11との間に閉じられた空間13を区画する底部20と、
を備えている。
【0033】
また、一対のフランジ部14のなす角度θは60〜140°の範囲に設定されている。
すなわち、図1に示す可撓ゴム継手は、本発明に係る可撓ゴム継手に相当するものである。
かかる可撓ゴム継手10は、例えば図2に示すように、開渠71内の均しコンクリート72上に設置され、レベリングボルト73や支保工74で固定される。また、可撓ゴム継手継手10の固定は、例えば図3に示すように、フランジ部14に挿通したアンカーボルト24と、函体76等の内部に配置される配筋29との間に継手30を配して、互いを溶接して接続することによっても行われる。なお、図2は可撓ゴム継手10を簡略化して示したものであって、湾曲部11を省略し、フランジ部14のみを直線で示している。また、図3に示した配筋29についても、図2では省略している。図2中、符号70は地盤を、75は鋼矢板を示す。
【0034】
開渠71内に設置された可撓ゴム継手10は、さらに、当該継手10の一対のフランジ部14自体を型枠としてコンクリートを打設することにより、一対の函体76間に挟持されて、地下構造物の連結部を構成する。
本発明に係る第1の地下構造物の連結構造は、例えば図4に示すように、地下空間77を区画する函体76の連結部に沿って本発明に係る可撓ゴム継手10が配置されてなるものであって、
当該可撓ゴム継手10は、
前記連結部の目地部(目地材78)に沿って伸びる断面略逆U字状の湾曲部11と、
湾曲部11の開口端12と一体的に接続して、湾曲部12を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部14と、
湾曲部11の両開口端12間に一体的に架設されて湾曲部11との間に閉じられた空間13を区画する底部20と、を備えており、
当該フランジ部14は、その長手方向において所定の間隔で貫装された複数のアンカーボルト24を備え、
フランジ部14の湾曲部11側表面には、アンカーボルト24の挿通位置(例えば、図5に示す挿通孔18)毎に配置された、互いに独立した部材である押え板23が設けられており、かつ、
一対のフランジ部14は、そのなす角度θが60〜140°であって、前記連結部に打設されたコンクリート体31と直接にまたはパッキン26を介して接触しつつ、アンカーボルト24によってコンクリート体31に固定されている、
ことを特徴とする。すなわち、図4に示す地下構造物の連結構造は、前述のi)に示すものである。
【0035】
可撓ゴム継手10は、例えば図4に示すように、フランジ部14の湾曲部側の表面に押え板23を配置し、さらにアンカーボルト24を貫装させた上で、地下構造物の連結部を構成するコンクリート体31に固定されることによって用いられる。この際、前記押え板23を介して、アンカーボルト24をナット25で締め付けることにより、フランジ部14をコンクリート体31に圧接してこれを圧縮変形させることができる。このようにフランジ部14を圧縮変形させることにより、可撓ゴム継手10とコンクリート体31との密着性が良好なものとなり、可撓ゴム継手の止水性をより一層向上させることができる。
【0036】
押え板23は、特に限定されるものではないが、上記のようにナット25の締め付けによって止水性の向上を図る場合においては、アンカーボルト24の挿通位置毎に配置された、互いに独立した不連続な部材であるのが好ましい。なお、止水機能をフランジ部の裏面16に配置した止水ゴムによって実現する場合はナット25の締め付け操作を必要としないことから、押え板についても、不連続ではなく、連続した板状の部材を用いてもよい。
【0037】
また、本発明の可撓ゴム継手10には、フランジ部11の表面に押え板23が設けられており、これによって、可撓ゴム継手10や函体76に剪断変形等が生じた場合であっても、アンカーボルト24部分で亀裂や破損等が生じるのを防止できる。
フランジ部14の圧縮変形に伴う止水性向上の効果をより一層高めるには、例えば図5に示すように、フランジ部の裏面16(すなわち、コンクリート体31と接触する側の表面)に突起または突条17を設けたり、あるいは図4に示すように、フランジ部14とコンクリート体31との接触面にパッキン26を介在させたりするのが好ましい。前記突起または突条17を設ける位置については特に限定されるものではないが、アンカーボルト24の挿通孔18の近傍において、可撓ゴム継手10の長手方向に沿って設けるのが、止水性向上の観点から好ましい。
【0038】
一対のフランジ部14のなす角度θは、湾曲部11の変形能を阻害しないようにし、かつ、可撓ゴム継手10の収容スペースを十分に確保するという観点から、通常60〜140°の範囲で設定される。
一対のフランジ部がなす角度θ(図1(b) 参照)とは、すなわち一対のフランジ部14における取付面(コンクリート体31と接触する側の表面、すなわちフランジ部14の裏面16)間のなす角度であって、前記範囲の中でも特に90〜120°であるのがより好ましい。
【0039】
一対のフランジ部がなす角度θが上記範囲を超えると、函体の連結部に湾曲部11を収容し得るスペースを十分に確保することができなくなるおそれが生じる。従って、湾曲部11の出っ張りによって地下空間77の有効利用が損なわれるおそれがある。一方、角度θが上記範囲を下回ると、止水ゴム部材13を金属枠体11に取り付けるための作業スペースを確保することが困難になり、可撓ゴム継手の地盤に対する変位が不十分となって、地盤に変動が生じたときの止水性が保たれなくなるおそれがある。
【0040】
また、一対のフランジ部がなす角度θを60〜140°とし、しかも湾曲部11の頂部を、一対のフランジ部14の先端15を結ぶ位置よりも内側に配置することにより、十分な変形能を発揮しつつ、地下空間のより一層の有効利用を図ることができる。
図1に示す可撓ゴム継手10では、湾曲部11の頂部が、一対のフランジ部14の先端15を結ぶ位置よりも内側(すなわち、湾曲部11の開口端側12)に配置されている。従って、当該可撓ゴム継手10を用いて第1の地下構造物の連結構造を形成したときには、例えば図4に示すように、可撓ゴム継手10の湾曲部11が地下空間側に突出することがなく、それゆえ、函体の内壁面によって区画される地下空間を有効に利用することができる。
【0041】
フランジ部14には、コンクリートの打設時にかかる圧によって変形し易い問題がある。このため、その剛性を高めることを目的として、フランジ部14内にナイロン、ポリエステル、アラミド等の補強繊維を内挿してもよい。
フランジ部14とコンクリート体31との接触面に介在されるパッキン26としては、水膨張性ゴム、JIS A硬度が45以下の軟質ゴム、未加硫ブチルゴム等の可塑性ゴム、スポンジゴム等が挙げられる。パッキン26は、フランジ部の裏面16に連続して敷設される板状の部材であることが望ましい。
【0042】
可撓ゴム継手10を構成する湾曲部11、フランジ部14および底部20は、耐候性、耐老化性、耐オゾン性、弾力性等の各特性に優れたものであるのが好ましいことから、例えばクロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、天然ゴム(NR)等のゴムによって形成される。
湾曲部11、フランジ部14および底部20を構成するゴムの内部、とりわけフランジ部14を構成するゴムの内部には、耐圧性能を向上させることを目的として、補強基布を入れることができる。補強基布を入れた場合、アンカーボルト24近傍でフランジ部14に亀裂が生じた場合であっても、亀裂の伝搬を阻止し、止水性能が低下するのを防止することができる。
【0043】
補強基布の配向は、特に限定されるものではないが、クロス構造とするよりも、ラジアル構造とするのが好ましい。この場合、剪断変形がかかった時にシワ等が発生することが少なく、耐久性に優れるという利点が得られる。
図1に示す可撓ゴム継手10は、可撓性を備えたゴムからなる湾曲部11と、湾曲部11と底部20との間に形成される空間13の、変形能に優れた部分を備えていることによって、例えば図6(a) および(b) に示すように、一対の函体(コンクリート体31)間の距離が広がる変位が生じた場合(図6(a) )や、一対の函体(コンクリート体31)の位置に剪断変位が生じた場合(図6(b) )のいずれであっても、その変位に素早く追従することができ、その結果、優れた止水性を維持することができる。
【0044】
本発明の可撓ゴム継手および第1の地下構造物の連結構造は、図1および図4に示すもののほかに、例えば図7および図8に示すものが挙げられる。
図7および図8に示す可撓ゴム継手10a,10bは、いずれも本発明に係る他の可撓ゴム継手に相当するものであって、湾曲部11によって区画される空間13が閉じられた状態ではないことから、当該空間内へのコンクリートの侵入を防止すべく、湾曲部11の両開口端12にシール部材22,22’が配置されている。
【0045】
図7および図8に示す可撓ゴム継手10a,10bは、いずれも図1に示す可撓ゴム継手10のような底部20を有しないことから、施工時に前記シール部材22,22’を必要とするものの、可撓ゴム継手10a,10b自体の変形能は図1の可撓ゴム継手10に比べて優れたものとなっている。
〔地下構造物の施工方法〕
本発明の可撓ゴム継手を用いた地下構造物の施工方法は、上記本発明の可撓ゴム継手を用いて地下空間を区画する函体の連結部を形成する方法であって、具体的には、本発明に係る第1の地下構造物の連結構造を形成する方法である。
【0046】
撓ゴム継手が前の底部を備えたものである場合の地下構造物の施工方法は、
前記可撓ゴム継手のそれぞれのフランジ部にその湾曲部側から押え板を配置した後、
(a) 前記フランジ部および前記押え板へのアンカーボルトの貫装と、
(b) 同一のフランジ部上の隣接する押え板間に架設されてその間隔を保持する継ぎ金具の敷設と、
(c) 異なるフランジ部上の一対の押え板間に架設してフランジ部がなす角度を固定させる間隔保持材の敷設と、
を行って可撓ゴム継手を函体の連結部に立設させ、次いで、
前記可撓ゴム継手の一対のフランジ部を型枠として使用しつつ函体と前記可撓ゴム継手との間にコンクリートを打設することによって、前記一対の函体間をコンクリート体で連結する
ことを特徴とする(第1の施工方法)。
【0047】
一方、可撓ゴム継手が、底部を有しないものあるいは底部に代えて係止部21(図7参照)を備えたものである場合の地下構造物の施工方法は、
上記施工方法と同様にして、抑え板の配置と上記(a) 〜(c) の各操作とを行うことにより可撓ゴム継手を函体の連結部に立設させ、次いで、
前記湾曲部の両開口端にシール部材を当接して、当該湾曲部との間に閉じられた空間を区画させた後、
前記可撓ゴム継手の一対のフランジ部を型枠として使用しつつ函体と前記可撓ゴム継手との間にコンクリートを打設することによって、前記一対の函体間をコンクリート体で連結すればよい(第2の施工方法)。
【0048】
地下構造物を施工するのに際しては、まず、開渠71内の均しコンクリート72上に地下空間77を区画する函体76を設置し、次いで、一対の函体76間に本発明の可撓ゴム継手10を立設させる(図2参照)。図2は可撓ゴム継手10の立設させた状態を簡略化して示したものであって、湾曲部11、押え板23、継ぎ金具27、間隔保持材28、アンカーボルト24およびナット25を省略し、フランジ部14のみを線で示している。図9は可撓ゴム継手10を立設させた状態を示す図であって、(a) はその正面図(b) は(a) のB−B線から見た側断面図である。なお、図9においては、アンカーボルト24やナット25を省略している。
【0049】
可撓ゴム継手10を立設するのに際しては、例えば図10に示すように、可撓ゴム継手10自体に十分な剛性を付与すべく、フランジ部14に継ぎ金具27が取り付けられる。さらに、一対のフランジ部14のなす角度θを安定させるために間隔保持材28が取り付けられる。継ぎ金具27および間隔保持材28の取り付けは、これに限定されるものではないが、アンカーボルト24およびナット25や押え板23の固定と合わせて行えばよい。
【0050】
図10に示すようにして剛性が付与された可撓ゴム継手10は、図2および図9に示すようにして、開渠71内に立設される。
地下構造物の止水に完全を期すには、可撓ゴム継手を継ぎ目のないリング状とする必要がある。しかし、前もって可撓ゴム継手をリング状に成形しておくことは極めて困難であることから、複数の可撓ゴム継手を現場にて加硫接着等の方法によってひと続きの部材とすればよい。
【0051】
可撓ゴム継手10を立設した後、地下構造物の連結部分を構成するコンクリート体31に求められる形状に応じて型枠を組み立てて、コンクリートを打設すればよい。この際、可撓ゴム継手10のフランジ部14とコンクリート体31との接触面については、フランジ部14そのものを型枠としてコンクリートを打設すればよい。
継ぎ金具27の形状、敷設する数量、間隔等については特に限定されるものではなく、可撓ゴム継手10に十分な剛性を付与できる範囲で適宜設定すればよい。また、間隔保持材28の形状、敷設する数量、間隔等についても特に限定されるものではなく、コンクリート打設時に可撓ゴム継手10が押し潰されたり、一対のフランジ部14のなす角度θに変動が生じたりすることのない範囲で適宜設定すればよい。
【0052】
継ぎ金具27および間隔保持材28は、コンクリートが硬化した後で除去される。その後、必要に応じて、アンカーボルト24にナット25とを締め付けてフランジ部14を圧縮させる操作を加えることによって、本発明に係る地下構造物の連結構造を得ることができる。
〔第2の地下構造物の連結構造〕
図11は、本発明に係る第2の地下構造物の連結構造の一実施形態を示す断面図である。
【0053】
かかる連結構造において、可撓ゴム継手40は、
地下空間を区画する函体の連結部における目地部50に沿って伸びる断面略U字状の湾曲部41と、
当該湾曲部41の開口端42と一体的に接続して、湾曲部41を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部44と、
湾曲部41の両開口端42間に一体的に架設され、湾曲部41との間に空間43を区画する底部45と、を備えている。
【0054】
ここで、湾曲部41は、地下構造物の地下空間側yにその頂部を向けて固定されている。図11中、符号31はコンクリート体を、符号78は目地材をそれぞれ示す。また、符号47は、可撓ゴム継手40をコンクリート体31中に確実に固定させ、特に構造物の外側から水圧が加わった場合でも、可撓ゴム継手がコンクリート体から抜けないようにするための突条である。
図11に示す連結構造に用いられている可撓ゴム継手40は、本発明に係る可撓ゴム継手に相当するものである。可撓ゴム継手40を構成する湾曲部41、フランジ部44および底部45の各部に用いられる材質や、各部の内部構造(補強繊維や補強基布の内挿の有無)については、前述の本発明に係る可撓ゴム継手と同様にして、適宜設定すればよい。
【0055】
図11に示す連結構造において、可撓ゴム継手40における一対のフランジ部44のなす角度θは60〜140°の範囲に設定されている。この角度は、前述のように、コンクリート打設時に生じた空気溜りを排出しやすくするためのものであって、かかる角度θは上記範囲の中でも特に90〜120°であるのがより好ましい。
本発明に係る第2の地下構造物の連結構造において、可撓ゴム継手40は、開渠内の均しコンクリート上に設置され、コンクリート体に埋め込まれている鉄筋や、連結部に設置される配筋に接続することにより固定される。可撓ゴム継手40を前記鉄筋や配筋に固定する具体的方法としては、例えば一対のフランジ部44にあらかじめ約1メートル毎に孔を設けておき、当該孔に針金等を挿通して、前記鉄筋や配筋と溶接する方法など、従来公知の工法を用いることができる。
【0056】
上記第2の連結構造において、地下構造物の止水に完全を期すには、可撓ゴム継手を継ぎ目のないリング状とする必要がある。しかし、前もって可撓ゴム継手をリング状に成形しておくことは極めて困難であることから、前述の第1の連結構造を施工する場合と同様に、複数の可撓ゴム継手を現場にて加硫接着等の方法によってひと続きの部材とすればよい。
本発明の可撓ゴム継手と、それを用いた地下構造物の連結構造および地下構造物の施工方法については、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的、作用・効果が損なわれることのない範囲内であれば、種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は本発明に係る可撓ゴム継手の一実施形態を示す斜視図であって、(b) はその断面図である。
【図2】可撓ゴム継手を開渠内に立設した状態を示す模式図である。
【図3】図2に示す可撓ゴム継手のA−A断面図である。
【図4】本発明に係る第1の地下構造物の連結構造の一例を示す断面図である。
【図5】本発明に係る可撓ゴム継手の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る第1の地下構造物の連結構造について、一対の函体76間に変位が生じたときの変形状態を示す模式図であって、(a) は伸び変形の状態を、(b)は剪断変形の状態をそれぞれ示す。
【図7】本発明に係る可撓ゴム継手および第1の地下構造物の連結構造についての他の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明に係る可撓ゴム継手および第1の地下構造物の連結構造についてのさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図9】可撓ゴム継手10を立設した状態を示す模式図であって、(a) はその正面図、(b) はその側面図である。
【図10】可撓ゴム継手10に押え板23、継ぎ金具27、間隔保持材28およびアンカーボルト24を配置した状態を示す模式図である。
【図11】本発明に係る第2の地下構造物の連結構造の一例を示す断面図である。
【図12】可撓ゴム継手を用いた地下構造物の連結構造を示す図であって、(a) は可撓ゴム継手60を開渠内71に設置した状態を示す模式図、(b) はそのC−C断面図である。
【図13】従来のコンクリート継ぎ目用止水版90およびそれを用いた地下構造物の止水構造の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 可撓ゴム継手, 11 湾曲部, 12 (湾曲部の)開口端, 13空間, 14 フランジ部, 15 (フランジ部の)先端, 20 底部,21 係止部, 22 シール部材, 23 押え板, 24 アンカーボルト, 25 ナット, 26 パッキン, 27 継ぎ金具, 28 間隔保持材,31 コンクリート体
40 可撓ゴム継手, 41 湾曲部, 42 (湾曲部の)開口端, 43空間, 44 フランジ部, 45 底部, 47 突条, 50 目地部
76 函体, 77 地下空間
x 長手方向, y 地下空間側, θ 一対のフランジ部のなす角度

Claims (11)

  1. 地下空間を区画する函体の連結部に沿って配置される可撓ゴム継手であって、
    断面略逆U字状の湾曲部と、
    当該湾曲部の両開口端間に一体的に架設されて、当該湾曲部との間に閉じられた空間を区画してなる底部と、
    前記湾曲部の開口端と一体的に接続し、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定され、かつコンクリート打設時にせき板として兼用される一対のフランジ部と、を備え
    前記一対のフランジ部のなす角度が60〜140°である
    ことを特徴とする可撓ゴム継手。
  2. 地下空間を区画する函体の連結部に沿って配置される可撓ゴム継手であって、
    断面略逆U字状の湾曲部と、
    当該湾曲部の両開口端からそれぞれ他方の開口端側に伸びる一対の係止部と、
    前記湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、を備え、かつ、
    前記一対のフランジ部のなす角度が60〜140°である
    ことを特徴とする可撓ゴム継手。
  3. 前記湾曲部の頂部が、前記一対のフランジ部の先端を結ぶ位置よりも前記内側にある請求項1または2に記載の可撓ゴム継手。
  4. 地下空間を区画する函体の連結部に沿って可撓ゴム継手が配置されてなる地下構造物の連結構造であって、
    前記可撓ゴム継手は、
    前記連結部の目地部に沿って伸びる断面略逆U字状の湾曲部と、
    当該湾曲部の開口端と一体的に接続し、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定され、かつコンクリート打設時にせき板として兼用される一対のフランジ部と、を備えており、
    当該フランジ部は、その長手方向において所定の間隔で貫装された複数のアンカーボルトを備え、
    当該フランジ部の前記湾曲部側表面には押え板が設けられており、かつ、
    前記一対のフランジ部は、そのなす角度が60〜140°であって、前記連結部に打設されたコンクリート体と直接にまたはパッキンを介して接触しつつ、前記アンカーボルトによって当該コンクリート体に固定されている
    ことを特徴とする地下構造物の連結構造。
  5. 前記可撓ゴム継手が、さらに、湾曲部の両開口端間に一体的に架設される底部を備えており、当該底部と前記湾曲部との間に閉じられた空間が区画されている請求項4記載の地下構造物の連結構造。
  6. 地下空間を区画する函体の連結部に沿って可撓ゴム継手が配置されてなる地下構造物の連結構造であって、
    前記可撓ゴム継手は、
    前記連結部の目地部に沿って伸びる断面略逆U字状の湾曲部と、
    当該湾曲部の両開口端からそれぞれ他方の開口端側に伸びる一対の係止部と、
    前記湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、を備えており、
    当該フランジ部は、その長手方向において所定の間隔で貫装された複数のアンカーボルトを備え、
    当該フランジ部の前記湾曲部側表面には押え板が設けられており、かつ、
    前記一対のフランジ部は、そのなす角度が60〜140°であって、前記連結部に打設されたコンクリート体と直接にまたはパッキンを介して接触しつつ、前記アンカーボルトによって当該コンクリート体に固定されている
    ことを特徴とする地下構造物の連結構造。
  7. 前記湾曲部の頂部が、前記一対のフランジ部の先端を結ぶ位置よりも前記内側にある請求項4〜6のいずれかに記載の地下構造物の連結構造。
  8. 地下空間を区画する函体の連結部を、可撓ゴム継手を用いて形成する地下構造物の施工方法であって、
    当該可撓ゴム継手が、断面略逆U字状の湾曲部と、当該湾曲部の両開口端間に一体的に架設されて、当該湾曲部との間に閉じられた空間を区画してなる底部と、前記湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、を備え、かつ、前記一対のフランジ部のなす角度が60〜140°であるものであり、
    当該可撓ゴム継手のそれぞれのフランジ部にその湾曲部側から押え板を配置した後、
    (a) 前記フランジ部および前記押え板へのアンカーボルトの貫装と、
    (b) 同一のフランジ部上の隣接する押え板間に架設されてその間隔を保持する継ぎ金具の敷設と、
    (c) 異なるフランジ部上の一対の押え板間に架設してフランジ部がなす角度を固定させる間隔保持材の敷設と、
    を行って可撓ゴム継手を函体の連結部に立設させ、次いで、
    前記可撓ゴム継手の一対のフランジ部を型枠として使用しつつ函体と前記可撓ゴム継手との間にコンクリートを打設することによって、前記一対の函体間をコンクリート体で連結する
    ことを特徴とする地下構造物の施工方法。
  9. 地下空間を区画する函体の連結部を、可撓ゴム継手を用いて形成する地下構造物の施工方法であって、
    当該可撓ゴム継手が、
    断面略逆U字状の湾曲部と、当該湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、を備え、かつ、前記一対のフランジ部のなす角度が60〜140°であるもの、または、
    断面略逆U字状の湾曲部と、当該湾曲部の両開口端からそれぞれ他方の開口端側に伸びる一対の係止部と、前記湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、を備え、かつ、前記一対のフランジ部のなす角度が60〜140°であるもの、であり、
    当該可撓ゴム継手のそれぞれのフランジ部にその湾曲部側から押え板を配置した後、
    (a) 前記フランジ部および前記押え板へのアンカーボルトの貫装と、
    (b) 同一のフランジ部上の隣接する押え板間に架設されてその間隔を保持する継ぎ金具の敷設と、
    (c) 異なるフランジ部上の一対の押え板間に架設してフランジ部がなす角度を固定させる間隔保持材の敷設と、
    を行って可撓ゴム継手を函体の連結部に立設させ、次いで、
    前記湾曲部の両開口端にシール部材を当接して、当該湾曲部との間に閉じられた空間を区画させた後、
    前記可撓ゴム継手の一対のフランジ部を型枠として使用しつつ函体と前記可撓ゴム継手との間にコンクリートを打設することによって、前記一対の函体間をコンクリート体で連結する
    ことを特徴とする地下構造物の施工方法。
  10. 前記フランジ部に貫装されたアンカーボルトをナットで締め付けることにより、前記フランジ部の前記コンクリート体との接触面を圧縮変形させる請求項8または9記載の可撓ゴム継手の施工方法。
  11. 地下空間を区画する函体の連結部に沿って可撓ゴム継手が配置されてなる地下構造物の連結構造であって、
    前記可撓ゴム継手は、前記連結部の目地部に沿って伸びる断面略逆U字状の湾曲部と、当該湾曲部の開口端と一体的に接続して、当該湾曲部を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部と、前記湾曲部の両開口端間に一体的に架設される底部と、を備えており、
    当該フランジ部は、そのなす角度が60〜140°であって、前記湾曲部の頂部を地下空間側に向けて、前記函体の連結部に打設されるコンクリート体に埋設されている
    ことを特徴とする地下構造物の連結構造。
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