JP3583713B2 - 分散安定剤及びその応用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水可溶性カラギナンを含有する分散安定剤に関する。詳細には、本発明は、液相に対して不溶性である固形分の分散性及び液相(水相)に対して非混和である液状成分の分散性を向上、安定化する効果を奏する分散安定剤であって、水可溶性カラギナンを必須の成分とすることを特徴とする分散安定剤に関する。
【0002】
本発明の分散安定剤は、液相中に、分散質として不溶性の固形分もしくは非混和性の液状成分を含んでいるが故に該分散質が沈降、分離し、製品内容物の均質性が問題となる液状製品や液状食品や、製造中における液状態(ミックス)での該分散質の沈降、分離等が問題となる固形食品において有用である。
【0003】
さらに、本発明はこれらの分散安定剤を含有することにより、固形もしくは液状成分の液体中での分散性が改善され、長期間の放置によっても沈殿もしくは分離を生じず、内容成分の均質性に優れた食品加工品用組成物又は食品加工品に関する。
【0004】
【従来の技術】
従来から、不溶性固形分の液体中での分散性もしくは安定性を向上させるための方法が種々検討されている。
例えば、特に食品の分野においては、従来から、ココア飲料、カルシウム強化飲料、しるこドリンク、ドレッシング、豆乳飲料、スープ等、原料由来や蛋白質等の溶解性の乏しい固形粒子を含有する飲料やアズキ入りアイスクリームの様な不溶性固形分が含有される冷菓などの食品加工品の重大な欠点として、液状態(飲料等の最終製品やミックス等の製造工程中の中間物)において、かき混ぜても該固形粒子が非常に早く沈殿して容器底に溜まり、飲み物が薄く水っぽくなったり、始めと終わりとで均等な成分をもって使用できないことが挙げられていた。
【0005】
また、このような沈殿や分離を生じている状態では外観も悪く商品価値を大きく損なってしまう。このため、かかる問題は流通や長期保存を余儀なくされる市販の商品を開発するために是非とも解決しなくてはならない問題である。
【0006】
これを解決するための方法として、従来、キサンタンガムとガラクトマンナンを混合した安定剤の使用(特公平2−18817号公報)、ネイティブジェランガムを含有することを特徴とする分散安定剤(特開平10−234316)やアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ゼラチンあるいはデンプン、寒天等の1種又は2種以上を混合した安定剤、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤の使用が挙げられている。
【0007】
しかし、かかる方法では、分散安定化効果が充分でなく、時間の経過によって内容成分中の固形分が沈降したり、非混和性の液状成分同士が分離してしまい、従来消費者が飲食時に振盪したり撹拌することによって解消する以外に手がなかった。また、安定剤の種類や添加量によっては、粘度が高くなりすぎて、食感等が悪くなってしまうこともあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、流通や長期保存においても、液相中の不溶性固形分及び液相中の非混和性液状成分の分散性を改善し、かつ安定に保持することのでき、食品加工品に使用しても食感も良好となる分散安定剤を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、これらの分散安定剤を含有することにより、長期保存によっても内容成分が均一に分散しており、使用もしくは飲食時に振盪しなくても最初から最後まで内容成分の割合が均一で均質性に優れた食品加工品、さらにそのような性質を有する食品加工品を調製するための食品加工品用組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねていたところ、原料中の固形分の沈殿が問題となっているアズキアイスバー、ココア飲料,カルシウム強化飲料,しるこドリンク等に特に注目して鋭意研究を重ねていたところ、該食品加工品に水可溶性のカラギナンを用いることによって、原料中の固形分の液相への分散安定性が向上して長期保存によっても沈降・沈殿せず、長期にわたり製品内容物の均質性が確保できることを見つけた。
【0011】
本発明者らは、かかる知見を発端として、更に幅広い研究を重ねることにより、水可溶性カラギナンに固形成分の分散性に加えて更に非混和性液状成分の分散性・懸濁性をも安定化する作用があることを見出し、また食品の分野だけでなく香粧品分野や工業分野等において分散安定剤として広く利用できることを確認して、本発明を開発・完成するに至った。
【0012】
本発明はかかる知見に基づいて開発されたものであり、下記の態様を包含するものである:
項1.水可溶性カラギナンを含有することを特徴とする分散安定剤。
項2.水可溶性カラギナンが、下記(1)〜(4):
(1) 少なくとも50℃以下の水に溶解する
(2) その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化しない
(3) ι−タイプまたはκ−タイプ、または両者の混合物である
(4) カルシウムイオンを0.1重量%以下の割合で含有する
のいずれか少なくとも1つの性質を有するものであることを特徴とする、項1に記載の分散安定剤。
【0013】
項3.水可溶性カラギナンを0.01〜1.0重量%の割合で含有する項1または2に記載の分散安定剤。
項4.項1乃至3のいずれかの分散安定剤を含有することを特徴とする食品加工品用組成物又は食品加工品。
項5.食品加工品が冷菓、ココア飲料、カルシウム強化飲料、抹茶入り飲料、野菜又は果汁入り飲料、豆乳飲料、ゼリー入り飲料、しるこドリンク、スープ、味噌汁、液体調味料、菓子及びパンからなる群から選択されるいずれかのものである、項4記載の食品加工品用組成物又は食品加工品。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる水可溶性カラギナンとは、水に混合し、必要により泡立て器などの任意の攪拌手段を用いて攪拌することにより、水に完全に溶解する性質を有するものである。
【0015】
具体的にはかかる水可溶性カラギナンは、下記の少なくとも1つの性質を有するものであることが好ましい。
(1) 少なくとも50℃以下の水に溶解する:
従来公知の汎用カラギナンは、通常60℃以上に加温しなければ水に溶解しないものであるが、本発明で用いる水可溶性カラギナンは少なくとも50℃以下、より詳細には5〜40℃、より好ましくは、5〜30℃の水に溶解することができる。すなわち、本発明で用いられる水可溶性カラギナンによれば、18〜25℃程度の通常の水温の水で溶解するため、容易に分散安定効果を発揮するからである。
【0016】
(2) その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化しない
従来公知の汎用カラギナンは、その1.5重量%水溶液は25℃条件下でゲル化するものである。それに対して、本発明で用いる水可溶性カラギナンはその1.5重量%水溶液の状態では25℃条件下でゲル化しないことを特徴とする。更に、好ましくは、25℃条件下、1.8重量%水溶液状態でゲル化しないものがよく、最も好ましくは、2.5重量%水溶液でゲル化しないものである。両者はこの点で明確に区別できるものである。具体的には、1.5重量%水溶液の粘度が、BL型粘度計ローターNo.2((株)トキメック製)、回転数12rpmの条件で測定した場合、25℃で4000mPa以下、好ましくは1500mPa以下であるものが望ましい。
【0017】
(3) ι−タイプまたはκ−タイプ、または両者の混合物である:
本発明は水可溶性カラギナンとして、ι−タイプのカラギナンまたはκ−タイプのカラギナンのいずれか少なくとも一方を用いることを特徴とするものである。好ましくはι−カラギナンである。ι−カラギナンがより高い分散安定効果を有する。なお、ι−カラギナンは単独で用いても、またκ−カラギナンと併用して用いることもできる。
【0018】
(4) カルシウムイオンを0.1重量%以下の割合で含有する:
従来公知の汎用カラギナンに対して、本発明で用いる水可溶性カラギナンに含まれるカルシウムイオンの割合は多くとも0.1重量%程度、好ましくは0.05重量%以下であることを特徴とするものである。
【0019】
本発明においては、好ましくは上記(1)の性質、より好ましくは上記(1)〜(4)の全ての性質を有する水可溶性カラギナンを用いることが望ましい。このような性質を持つカラギナンを用いることで、原料中の固形分の液相への分散安定性が向上して長期保存によっても沈降・沈殿せず、長期にわたり製品内容物の均質性が確保でき、また、製造時ミックス液の粘度が過度に高くなることがなく本発明に係る食品加工品を製造することができる。
【0020】
なお、本発明で用いられる上記の性質を有する水可溶性カラギナンは、商業的に入手でき、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のゲルリッチNO.3等が挙げられる。
水可溶性カラギナンの水への溶解は、18〜25℃程度の通常の温度の水に溶解することができるが、加温下のもとで行うことが好ましい。具体的には40℃以上、好ましくは50〜80℃の範囲で加熱溶解することができ、必要に応じて撹拌しながら溶解することもできる。
【0021】
かかる水可溶性カラギナンは、液相を分散媒とし固相成分を分散質とする分散系に配合されることにより、固相成分の液相への分散性を高めるとともに、その分散性を安定化させる作用を有し、これにより液状組成物中の固形分の均質性を保持することができる。また、水可溶性カラギナンは、水相を分散媒とし油相を分散質とする系もしくは油相を分散媒とし水相を分散質とする系等、非混和性の液体同士の混和性を高めるとともにそれを安定化する作用を有し、これにより液状組成物の分離を抑え、非混和性液体成分の分散性・均質性を保持することができる。
【0022】
水可溶性カラギナン以外の他の多糖類では当該食品等の特性に悪影響を与えることなく同等の効果を実現することはできなかった。例えば、ジェランガムや寒天では、水性媒体に対してココア粉やサラダ油を分散安定化する効果はなく、キサンタンガムやカラギナンによって効果を得るためには高粘度にせざるを得ず食品の特性を損ない、グアーガム,ローカストビーンガム,タラガム及びタマリンドガムでは高粘度にしても目的の効果が得られない。また、ネイティブジェランガムでは、分散安定効果はあるものの、粘度が付与されて特有の食感が失われてしまうような食品加工品には使用しにくいという欠点があった。
【0023】
本発明の分散安定剤は、あずき、ピーナッツ、アーモンド、チョコレート、ココア粉、抹茶粉末、カルシウム、野菜・果実等の繊維分、ゼリー粒、ゼリー片、蛋白成分、プラスチックビーズ、顔料、塗料等の固形分が、水性媒体もしくはこれに水混和性の有機溶媒を混ぜた媒体に速やかに分散することを助け、かつそれらの凝集・沈降を防ぐ作用を有するものである。
【0024】
また、一般に水性成分と油性成分とは混和せず、振盪若しくは撹拌して両者を懸濁しても直ちに分離してしまう。これに対して本発明の分散安定剤によれば、水性成分に含まれる各成分の分散性・均一性を安定に保持するとともに、該水性成分にサラダオイル、オリーブオイル、ゴマ油等の油性成分を配合した場合であっても、ホモミキサー等での撹拌又はホモゲナイザー等での乳化等により、両者を均一に混和せしめ、且つその状態を安定に保持させることが可能となる。従って、本発明の分散安定剤は、油性成分が水性成分に容易に分散・懸濁することを助け、さらに分散・懸濁状態を安定化することによって両成分が速やかに分離してしまうことを防ぐ作用を有するものである。
【0025】
このように、本発明の分散安定剤が対象とする分散系は、分散媒が液相でありまた分散質が固相もしくは液相であれば特に制限されず、例えば食品加工品、食品加工品用組成物、香粧品、染料・顔料組成物、その他セメント等の工業組成物が挙げられる。
【0026】
より具体的には、食品加工品としてはココア飲料,カルシウム強化飲料,抹茶入り飲料,野菜又は果汁入り飲料,豆乳飲料,ゼリー入り飲料及びしるこドリンク等の飲料;コーンスープ,ポタージュスープ及び卵入りスープ等のスープ、味噌汁;ドレッシング,たれ及びソース等の液体調味料;アズキバー、チョコレート入りアイス等のアズキ、チョコレート、ナッツ類等の不溶性固形分の入ったアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス等のアイスクリーム類、ソフトクリーム、アイスケーキ、シャーベット、アイスキャンデー、かき氷、みぞれ等のウォーターアイス(氷菓)、フローズンヨーグルト等の氷結状菓子等の冷菓;ケーキ等の菓子;果実やナッツ類の入ったパンや蒸しパン等のパン等が例示される。
【0027】
また、香粧品としては、毛髪化粧料、洗顔料、化粧水、ローションなどの液体化粧料であって、内容成分として固形分または油性成分を含有するものなどが例示される。例えば、パール粉又は金粉等の入ったローション、カラミンパウダーを含むカラミンローション等は、固形分の沈降により使用時に振盪することが必要であり、また使用によって製品が少なくなると固形分の含有量が多くなるなど、成分組成が使用開始時と終わり頃とでは異なる等といった問題がある。しかし、本発明の分散安定剤の使用によれば、かかる固形分を液相中に長期にわたり均質に分散させることができ、均一な成分組成でもって最後まで使い切ることが可能となる。
【0028】
これらの分散系に用いられる水可溶性カラギナンの配合量は、対象の分散系がゲル化しない範囲内であれば特に制限されず、対象となる分散系の種類及び内容成分に応じて適宜選択することができる。液相中の固形分の沈殿の防止及び液状成分同士の混和性の安定化にはいずれも、分散系100重量部に対して水可溶性カラギナンが通常0.05〜0.35重量部、好ましくは0.1〜0.25重量部、より好ましくは0.15〜0.2重量部の範囲で用いられる。
【0029】
なお、本発明の分散安定剤は、必要に応じてその配合割合によって分散系に適度な粘稠性を付与することもできる。ココア飲料を例に挙げると、水可溶性カラギナンをココア飲料100重量部当たりに約0.005〜0.1重量部の範囲で配合する場合は、ココア飲料として好ましい食感となり、かつ、ココア粉の分散性を高め沈殿を防止することができるが、0.1重量部を越えると粘稠性が増加し、更に0.12重量部を越えるとココア飲料がゲル化してしまう。従って、例えばココア飲料の場合は、約0.005〜0.1重量部の範囲で水可溶性カラギナンを配合するのが好ましく、また粘稠性を持たせて飲料にこくやボディー感を付与する場合には0.1〜0.12重量部の範囲で水可溶性カラギナンを配合することが好ましい。
【0030】
本発明でいう食品加工品とは、アズキ、ピーナッツ、アーモンド、チョコレート、ココア粉、抹茶粉末、カルシウム、野菜や果物の繊維成分,砂嚢,果肉等や、スープ,汁粉又は液体調味料等に含まれる蛋白成分等のような水不溶性の固形分又は水非混和性の液状成分が、水、牛乳、果汁等の液相に分散してなる形態を有する食品ものであり、具体的には、前述の飲料、スープ、味噌汁、液体調味料、冷菓、菓子及びパン等が例示される。
【0031】
本発明でいう食品加工品用組成物とは、前述の上記食品加工品を調製するための組成物、および食品加工品の形態にかかわらずそれ自身が固形分が液相に分散してなる形態もしくは非混和の液体同士を含有する形態を有する組成物を広く意味する。
【0032】
前者の例としては、例えば一般に即席食品(乾燥調合品)と称される粉末ココア、汁粉、粉末飲料(抹茶入り飲料、カルシウム強化スキムミルク等)、粉末状もしくは固形状スープ等が挙げられる。これは、水可溶性カラギナンを含有することによって、冷水もしくは温水(熱湯)に早く親和し、分散性・懸濁性が向上するのみならず、溶解調製物を一定時間放置しても沈殿物が発生したり内容物が底にとどまって飲用時に上澄みが薄くなるといった問題が生じないという点で有用である。
【0033】
また後者の例としては、冷菓ミックス、液状飲料(ココア飲料、抹茶飲料、果汁飲料等)の濃縮物、パン・蒸しパン・ケーキ等の調製用組成物が挙げられ、これは水可溶性カラギナンを含有することによって食品加工品用組成物中で分散質が均一に安定に分散され、食品等を調製した場合に分散質のバラツキ等がなく、かつ、分散質が均一に安定に分散された食品等を調製できるという点で有用である。
【0034】
これら分散安定剤の添加量は、製造する食品加工品の種類によって異なるが、通常水可溶性カラギナンの添加により食品加工品がゲル化しない範囲から適宜選択することができる。具体的には前述の通りである。
【0035】
例えば、アズキ入りアイスキャンデーの調製方法の場合、水可溶性カラギナンを含む分散安定剤を配合する工程を有する以外は、常法に従って行うことが出きる。具体的には、原料の秤量混合→加温(30〜70℃)→溶解・混合→濾過→ホモジナイズ→殺菌(68℃、30分以上またはHTST殺菌やUHT殺菌)→冷却(5℃以下)→熟成(殺菌冷却したミックスを0〜5℃に保持し、水和をはかる)→フレーバー添加→フリージング→充填の工程を経て製造することができ、水可溶性カラギナンは、通常、原料の秤量混合工程中、他の原料と合わせて秤量混合することができる。
【0036】
また、例えば、ココア飲料の調製方法の場合、水可溶性カラギナンを含む分散安定剤を配合する工程を有する以外は、常法に従って行うことができる。具体的には、まず20〜100℃の調合水または牛乳や還元乳のような水性媒体に本発明に係る分散剤を溶解し撹拌する。これに、乳化剤、糖類、甘味料等を混合し、必要に応じて乳成分、油脂を添加する。その後、ココア粉を加えて撹拌保持し、均質化した後140℃前後で2〜3秒間殺菌処理する。ついで冷却することにより常温流通あるいは常温保存できる風味良好なココア飲料を製造することができる。また、配合する原材料が粉体であれば、ココア粉、甘味料、分散剤、あるいは粉乳などの出発原料を個々混合してプレミックスを作成し、調合水等の水性媒体に溶解し均質化した後、滅菌または殺菌処理して冷却することにより製造することも可能である。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。尚、本発明において特に記載しない限り、%とは重量%、部とは重量部、文中*印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製を意味するものとする。
【0038】
なお、以下の実施例で用いる水可溶性カラギナンとは、25℃の水に溶解し、カラギナンの2.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化しない、ι−タイプ及びκ−タイプのカラギナンの混合物で、カルシウムイオンの含有量が0.1重量%以下のものである。
【0039】
実施例1:アズキアイスキャンデーの調製
水47.7部に75%水飴6部と果糖ブドウ糖液糖5部を60〜70℃で撹拌溶解し、これに砂糖5部、食塩0.05部、分散安定剤として、水可溶性カラギナン(ゲルリッチNO.3*)0.05部を添加し、80℃で15分間撹拌溶解後、5℃に冷却し、茹で小豆20部、赤生餡15部、着色料、香料を添加し、混合後、型に入れ冷凍して、小豆が均一に分散したアズキアイスキャンデーを調製した。
【0040】
実施例2:ソフトクリームミックスの調製
水60部に75%水飴3.1部とグラニュー糖13.9部を60〜70℃で撹拌溶解し、これに脱脂粉乳5.7部、精製ヤシ油6.2部、グリセリン脂肪酸エステル0.3部、ショ糖脂肪酸エステル0.05部、ローカストビーンガム0.03部、カラギナン0.02部、水可溶性カラギナン(ゲルリッチNO.3*)0.02部を添加し全量を100部に調整した後、80℃で15分間撹拌溶解し、これを一次圧1.47×107Pa、二次圧4.9×106Paでホモジナイザーで均質化し5℃に冷却してソフトクリームミックスを調製した。
【0041】
このソフトクリームミックスは、水可溶性カラギナンを添加していないもの(従来品に相当)が25℃静置で4日間で分離したのに対し、1月経過後も分離することなく、ヤシ油が水中にきわめて安定に分散されていることがわかった。
【0042】
実施例3:ソフトクリームの調製
実施例2で調製したソフトクリームミックスを用い、常法に従いソフトクリームを調製した。オーバーランも良好で、おいしいソフトクリームであった。
【0043】
実施例4:ココア飲料の調製
ココア粉1部、砂糖5部、牛乳10部、HLB16のショ糖脂肪酸エステル0.05部、水可溶性カラギナン(ゲルリッチNO.3*)0.06部の組成でココア飲料組成物を作成し、これを水に分散して計100部とし、70℃に加温しながらホモミキサーで撹拌混合した。これを一次圧1.47×107Pa、二次圧4.9×106Paでホモジナイザーで均質化し、ガラス容器(直径35mm、高さ130mm)に充填後、打栓し、120℃、20分間オートクレーブにより殺菌して、ココア飲料を調製した。
【0044】
実施例5:しるこドリンクの調製
水50部に水戻しした小豆片25部に、赤こしあん30部、砂糖8.5部、水可溶性カラギナン0.05部、微結晶セルロース(セオラス<登録商標>SC−42旭化成工業株式会社製)を0.2部加え、全量を100部まで煮詰めて、容器に入れ蓋をして121℃30分間レトルト殺菌して、しるこドリンクを調製した。得られたしるこドリンクは、小豆の小片及びその他の不溶性固形分は液中に均質に分散し、4週間常温で静置しても沈殿を生じなかった。
【0045】
実施例6:オレンジ果汁飲料の調製
水69部に果糖ブドウ糖液糖20部、クエン酸3ナトリウム0.03部、水可溶性カラギナン(ゲルリッチNO.3*)0.03部を加え、50℃15分間、加熱撹拌溶解したものに、5倍濃縮オレンジ果汁を10部、オレンジフレーバーを0.3部、クエン酸(結晶)を0.3部加えてビン詰めをし、ホモジナイザーで均質化(圧力4.9×106Pa)して、50%オレンジ果汁飲料を作成した。2ヶ月放置した結果、オレンジパルプ等の沈殿は生じず、パルプ成分の分散性が安定に保持された。
【0046】
実施例7:チョコレート飲料の調製
粉砕グラニュー糖5部、スクラロース0.01部、ココア粉2部、水可溶性カラギナン(ゲルリッチNO.3*)0.02部を粉体混合し、インスタントチョコレートのドライ粉末を作成した。これに100部の牛乳を加え、30秒間撹拌してチョコレート飲料を調製した。同時に比較のため、水可溶性カラギナンを添加せずその他は同じ条件でチョコレート飲料を調製した。
【0047】
水可溶性カラギナン無添加のチョコレート飲料は数十秒で沈殿したのに対して、水可溶性カラギナンを添加したものは、2時間放置しても沈殿を生じなかった。
【0048】
実施例8:カルシウム強化乳飲料
水可溶性カラギナン(ゲルリッチNO.3*)0.03g及び微結晶セルロース(セオラス<登録商標>SC−42)を0.3gを水で11部として、90℃で15分間加熱撹拌溶解した。その溶液20部に水20部、無脂乳固形分10%の乳成分40部、炭酸カルシウム0.48部を加えて、ホモジナイザーで均質化(圧力1.47×107Pa)して、カルシウム強化乳飲料を調製した。
Claims (3)
- 下記(1)〜(4)の性質を有する水可溶性カラギナンを含有することを特徴とする分散安定剤。
(1)少なくとも50℃以下の水に溶解する。
(2)その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化しない。
(3)ι−タイプまたはκ−タイプ、または両者の混合物である。
(4)カルシウムイオンを0.1重量%以下の割合で含有する。 - 請求項1記載の分散安定剤を含有することを特徴とする食品加工品用組成物又は食品加工品。
- 食品加工品が冷菓、カルシウム飲料、抹茶入り飲料、野菜又は果汁入り飲料、豆乳飲料、ゼリー入り飲料、しるこドリンク、スープ、味噌汁、液体調味料、菓子及びパンからなる群から選択されるいずれかのものである、請求項2記載の食品加工品用組成物又は食品加工品。
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