JP3578420B2 - 液晶表示器の製造装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶基板に配向膜材料を印刷塗布して配向膜を形成する液晶表示器の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示器(LCD)には、動作モードにより、いわゆるツイストネマチック(TN)型、動的散乱(DS)型、ゲストホスト(GH)型、ST型、およびSBE(Supertwisted birefringence effect )型など多くの種類があるが、現在のところ、ほとんどの液晶表示器には、電界効果型であるTN型、ST型、あるいはSBE型が使用されている。
【0003】
そして、この電界効果型の動作モードを使用したSBE型の液晶表示器として、例えば、特開昭60−107020号公報に記載された構成が知られている。
【0004】
この液晶表示器は、例えば、2枚の透明な液晶基板を4〜12μmの間隔で上下に相対向させ、これらの液晶基板の周囲を封着してセルを形成するとともに、このセル内部にネマチック液晶を注入して構成されている。
【0005】
そして、このネマチック液晶としては、シクロヘキサン系、エステル系、ビフェニール系、およびピリミジン系液晶などが使用されている。さらに、このネマチック液晶の中にカイラル剤が添加されて、液晶分子の分子軸が、上下の基板間で、180〜360度、好ましくは、270度の角度に捩じられている。
【0006】
また、各液晶基板には、それぞれ少なくとも片面に透明電極が形成されているとともに、セル内部の各液晶基板上に配向膜が形成されており、この配向膜の働きにより、液晶分子の分子軸が、液晶基板の平面に対して5度より大きい角度(プレチルト角)を有して傾斜した状態となっている。
【0007】
そして、この配向膜は、一般的には、ポリイミド(PI)やポリビニルアルコール(PVA)などの配向膜材料を、凸版印刷版を有した凸版印刷装置により液晶基板上に印刷塗布して形成されている。
【0008】
また、この凸版印刷装置は、液晶基板を支持するステージと、このステージ上の液晶基板に密着して回転する凸版印刷版を有した版胴とを備えているとともに、この凸版印刷版とともに回転し、この凸版印刷版に配向膜材料を供給する展色ローラを備えている。
【0009】
そして、この凸版印刷装置は、ロールを用いて展色ローラの周面上に配向液膜を展開するドクターロール方式と、ドクターブレードを用いて展色ローラの周面上に配向液膜を展開するドクターブレード方式とに大別されている。
【0010】
ところで、このような液晶表示器は、急峻なしきい値特性が求められており、このため配向膜には、きわめて高い均一性が必要となる。すなわち、配向膜のわずかな変化、例えば、配向膜の厚みや組成の変化、あるいは配向膜分子の配列の変化などにより、セル内部に注入された液晶分子のプレチルト角が変化し、しきい値電圧や点灯状態が変化する。そして、しきい値電圧が部分的に変化すると、液晶表示器としては、その部分がむらとなり、表示品位の安定性を損なうことになる。また、最近では、液晶表示器として階調表示を行うものも出現しており、この場合には、配向膜の均一性はより一層強く求められる。
【0011】
一方、凸版印刷装置において、特に、ドクターブレードを用いて展色ローラに配向液膜を展開するドクターブレード方式を用いた凸版印刷装置においては、このドクターブレードにより展色ローラ上の配向液膜を掻き取る際に、ドクターブレードの欠損が発生し、あるいは掻き取り圧力不足による筋状の膜厚むらを生じ、液晶基板に形成される配向膜の分子配列に不均一が生じることがあるとの問題を有している。
【0012】
また、このドクターブレード方式を用いた凸版印刷装置においては、ドクターブレードの欠損や、掻き取り圧力不足がなくとも、配向液膜が展色ローラ上に展開される際に、周囲の水分を吸収したり、配向膜液中の溶剤成分の蒸発による溶剤の組成変化による表面張力の変化により、展色ローラ上に膜厚変化が生じ、結果として、液晶基板に印刷された配向膜にむらが生じるとの問題を有している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のように、いわゆるドクターブレード方式を用いた凸版印刷装置においては、展色ローラ上に配向膜材料を均一に展開して、この配向膜材料を凸版印刷版に均一に供給することが困難で、液晶基板に印刷された配向膜にむらが生じ、液晶表示器に表示のむらが発生して、表示品位の安定性を損なうとの問題を有している。
【0014】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、液晶表示器の液晶基板上に配向膜を均一に形成でき、表示品位を高くすることができる液晶表示器の製造装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の液晶表示器の製造装置は、液晶基板に配向膜材料を印刷塗布する凸版印刷版と、この凸版印刷版に前記配向膜材料を供給する展色ローラと、この展色ローラの周面に対向して設けられ、この展色ローラの周面に前記配向膜材料を展開するドクターブレードとを備え、液晶基板に配向膜材料を印刷塗布して配向膜を形成する凸版印刷装置を具備した液晶表示器の製造装置において、前記ドクターブレードは、前記展色ローラの頂上地点から、回転角として15度から35度の範囲の位置に対向して設けられるとともに、前記展色ローラに対向した位置において、この展色ローラの周面の接線方向に対して45度から60度の範囲で傾斜して設けられたものである。
【0016】
請求項2記載の液晶表示器の製造装置は、請求項1記載の液晶表示器の製造装置において、配向膜材料の粘度は、30 cps 〜80 cps であるものである。
【0017】
【作用】
請求項1記載の液晶表示器の製造装置では、液晶基板に配向膜材料を印刷塗布する凸版印刷装置の凸版印刷版に、展色ローラにより配向膜材料が供給される。そして、この展色ローラの周面に配向膜材料を展開するドクターブレードは、展色ローラの頂上地点から回転角として15度から35度の範囲の位置に対向して設けられたので、展色ローラの周面上の配向膜材料の排出効率が向上し、この配向膜材料の循環効率が向上する。そこで、展色ローラの周面上の配向膜材料の組成変化が低減され、この展色ローラの周面上の配向膜材料の膜厚が均一になる。回転角が15度を下回ると、配向膜材料の排出効率が極端に低下し、また35度を越えると凸版印刷版と展色ローラとの接触領域の制限を受ける。このようなことから、回転角としては、上記したように15度から35度の範囲内に制御される必要があり、25度から30度が特に好適に使用される。さらに、ドクターブレードは、展色ローラに対向した位置において、この展色ローラの周面の接線方向に対して45度から60度の範囲で傾斜して設けられたので、展色ローラの周面上の配向膜材料の循環効率がさらに向上する。そこで、展色ローラの周面上の配向膜材料の組成変化が低減され、この展色ローラの周面上の配向膜材料の膜厚がさらに均一になる。この角度が45度を下回ると、展色ローラ上の配向膜材料のかき取りが悪くなり膜厚むらを生じやすく、また60度を越えるとドクターブレードの刃先の負荷が大きく、欠損によるスジを発生させる恐れがある。このようなことから、この角度としては、上記したように45度から60度の範囲内に制御されることが望ましく、特に50度か55度が好適に使用される。
【0018】
請求項2記載の液晶表示器の製造装置では、請求項1記載の作用に加え、配向膜材料の粘度を、30 cps 〜80 cps とすることにより、膜厚制御及び膜の表面性の制御が困難でなくなる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の液晶表示器の製造装置の一実施例の構成を図面を参照して説明する。
【0020】
図1および図2において、11は液晶表示器の製造装置の凸版印刷装置で、この凸版印刷装置11は、図示しない液晶基板を支持する印刷ステージ12を有し、この印刷ステージ12の上面に対向して、略円筒状をなす版胴14が1方向に回転可能に支持されている。そして、この版胴14の周面には、液晶基板にポリイミドなどからなる配向膜を印刷塗布する凸版印刷版15が設けられている。
【0021】
また、版胴14の周面に対向して、この版胴14の回転方向に対して順方向に回転する略円筒状をなす展色ローラ16が支持されており、この展色ローラ16を介して、凸版印刷版15に液体状の配向膜材料が均一に塗布されるようになっている。
【0022】
さらに、この展色ローラ16の周面に対向して、この展色ローラ16の周面に供給された配向膜材料を展開するドクターブレード18が設けられ、いわゆるドクターブレード方式の凸版印刷装置11が構成されている。
【0023】
そして、このドクターブレード18は、展色ローラ16の周面に対向する先端縁部が鋭角状に形成された刃物状をなし、展色ローラ16の周面に供給された配向膜材料を掻き取って、展色ローラ16の周面に所定の均一な膜厚の配向膜材料を残すようになっている。
【0024】
また、このドクターブレード18は、このドクターブレード18の先端縁部が展色ローラ16の周面に対向する位置が、展色ローラ16の頂上地点から、展色ローラ16の回転方向に向かい約28度の回転角ψを保持する位置に設定されている。
【0025】
さらに、このドクターブレード18は、このドクターブレード18の先端縁部が展色ローラ16の周面に対向した位置におけるこの展色ローラ16の周面の接線方向に対して、約53度の接触角θを保持するように傾斜して支持されている。
【0026】
次に、本実施例の凸版印刷装置11を用いた液晶表示器の製造工程を説明する。
【0027】
まず、版胴14および展色ローラ16を順方向に回転駆動した状態で、展色ローラ16の周面に、配向膜材料としての粘度40cps のポリアミック酸を連続的に供給する。すると、余分なポリアミック酸がドクターブレード18により掻き取られて側方に排出され、展色ローラ16の周面に、所定の膜厚を有し、かつ、均一でむらのないポリアミック酸膜が形成される。そして、版胴14の凸版印刷版15が展色ローラ16に密着した状態で、展色ローラ16のポリアミック酸膜が凸版印刷版15に転写され、この凸版印刷版15に所定の膜厚を有し、かつ、均一でむらのないポリアミック酸膜が形成される。
【0028】
この状態で、前工程において表面部に透明電極を形成した透明な液晶基板を、印刷ステージ12と版胴14との間に搬送する。そして、液晶基板が印刷ステージ12と凸版印刷版15との間に挾持された状態で、凸版印刷版15のポリアミック酸膜が液晶基板の透明電極上に転写される。
【0029】
ついで、後工程において、この液晶基板を熱焼成することにより、液晶基板上にポリアミドの配向膜が形成される。
【0030】
そして、本実施例の液晶表示器の製造装置によれば、展色ローラ16の周面に配向膜材料を展開するドクターブレード18は、展色ローラ16の頂上地点から、展色ローラ16の回転方向に向かい約28度の回転角ψを保持する位置に設定されているとともに、このドクターブレード18は、展色ローラ16の周面の接線方向に対して約53度の接触角θを保持するように傾斜して支持されているため、ドクターブレード18の位置が最適化され、例えば、ドクターブレード18が展色ローラ16の頂上地点から約15度の回転角ψを保持する位置に設定された凸版印刷装置に比べ、展色ローラ16の周面上のポリアミック酸の排出効率が向上し、大量のポリアミック酸を排出して、このポリアミック酸の循環効率を向上することができる。
【0031】
そこで、展色ローラ16の周面上でのポリアミック酸の組成変化が低減され、展色ローラ16の周面上でのポリアミック酸の表面張力の変化を低減することができる。したがって、この展色ローラ16の周面上のポリアミック酸の膜厚を均一に保持して、凸版印刷版15上に均一かつむらのないポリアミック酸を形成でき、液晶基板に、均一な配向膜を形成することができる。そして、液晶基板に均一な配向膜を形成することにより、液晶表示器の表示のむらを低減し、この液晶表示器の表示品位を高くすることができる。
【0032】
そして、本実施例の凸版印刷装置11により形成した配向膜の印刷仕上がり状態では、液晶基板上での配向膜の膜厚は、膜厚センター値Mに対し、ばらつきは3%以内であった。
【0033】
なお、上記の実施例では、展色ローラ16の周面に配向膜材料を展開するドクターブレード18は、展色ローラ16の頂上地点から、展色ローラ16の回転方向に向かい約28度の回転角ψを保持する位置に設定したとともに、展色ローラ16の周面の接線方向に対して約53度の接触角θを保持するように支持したが、上記の回転角ψを15度から35度の範囲に設定するとともに、接触角θを45度から60度の範囲に設定することにより、上記の実施例と同様に、展色ローラ16の周面上に均一な膜厚のポリアミック酸を形成し、液晶基板にばらつきの少ない均一な配向膜材料を印刷塗布することができる。
【0034】
すなわち、回転角ψが15度を下回ると、配向膜材料の排出効率が極端に低下し、また35度を越えると凸版印刷版15と展色ローラ16との接触領域の制限を受ける。このようなことから、回転角ψとしては、上記したように15度から35度の範囲内に制御される必要があり、25度から30度が特に好適に使用される。また、接触角θが45度を下回ると、展色ローラ16上の配向膜材料のかき取りが悪くなり膜厚むらを生じやすく、また60度を越えるとドクターブレードの刃先の負荷が大きく、欠損によるスジを発生させる恐れがある。このようなことから、この接触角θとしては、上記したように45度から60度の範囲内に制御されることが望ましく、特に50度か55度が好適に使用される。
【0035】
また、上記の実施例では、液晶基板にポリアミック酸を塗布し、熱焼成することにより配向膜を形成したが、溶剤中にポリイミドを含ませて塗布し、乾燥させて配向膜を形成することもできる。
【0036】
さらに、上記の実施例では、配向膜材料として、粘度40cps のポリアミック酸を用いたが、配向膜材料の粘度は、30cps 〜80cps のものを用いることができる。なお、配向膜材料の粘度がこの範囲外の場合には、膜厚制御および膜の表面性の制御が困難になる。
【0037】
そして、本発明の液晶表示器の製造装置は、種々の種類の液晶表示器に適用することができるが、いわゆるツイストネマチック(TN)型の液晶表示器に比べて、配向膜の膜厚精度の要求が厳しいねじれ角が90度よりも十分に大きいS−TN(スーパー・ツイスト・ネマチック)型の液晶表示器に最適である。
【0038】
【発明の効果】
請求項1記載の液晶表示器の製造装置によれば、展色ローラの周面に配向膜材料を展開するドクターブレードを、展色ローラの頂上地点から回転角として15度から35度の範囲の位置に対向して設けたため、この配向膜材料の循環効率を向上し、この展色ローラの周面上の配向膜材料の膜厚を均一にして、液晶基板に均一な配向膜を形成でき、液晶表示器の表示品位を高くすることができる。さらに、ドクターブレードを、展色ローラに対向した位置において、この展色ローラの周面の接線方向に対して45度から60度の範囲で傾斜して設けたため、展色ローラの周面上の配向膜材料の循環効率をさらに向上し、この展色ローラの周面上の配向膜材料の膜厚をさらに均一にして、液晶基板に均一な配向膜を形成でき、液晶表示器の表示品位を高くすることができる。このように、展色ローラの周面に配向膜材料を展開するドクターブレードは、展色ローラの頂上地点から、展色ローラの回転方向に向かう回転角を15度から35度の範囲に設定するとともに、展色ローラの周面の接線方向に対する接触角を45度から60度の範囲に設定することにより、展色ローラの周面上に均一な膜厚の配向膜材料を形成し、液晶基板にばらつきの少ない均一な配向膜材料を印刷塗布することができる。
【0039】
請求項2記載の液晶表示器の製造装置によれば、請求項1記載の効果に加え、配向膜材料の粘度を、30 cps 〜80 cps とすることにより、膜厚制御及び膜の表面性の制御が困難でなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示器の製造装置の一実施例を示す印刷装置の説明図である。
【図2】同上印刷装置の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
11 凸版印刷装置
15 凸版印刷版
16 展色ローラ
18 ドクターブレード
Claims (2)
- 液晶基板に配向膜材料を印刷塗布する凸版印刷版と、この凸版印刷版に前記配向膜材料を供給する展色ローラと、この展色ローラの周面に対向して設けられ、この展色ローラの周面に前記配向膜材料を展開するドクターブレードとを備え、液晶基板に配向膜材料を印刷塗布して配向膜を形成する凸版印刷装置を具備した液晶表示器の製造装置において、
前記ドクターブレードは、前記展色ローラの頂上地点から、回転角として15度から35度の範囲の位置に対向して設けられるとともに、前記展色ローラに対向した位置において、この展色ローラの周面の接線方向に対して45度から60度の範囲で傾斜して設けられた
ことを特徴とする液晶表示器の製造装置。 - 配向膜材料の粘度は、30 cps 〜80 cps である
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示器の製造装置。
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JP32227294A JP3578420B2 (ja) | 1994-12-26 | 1994-12-26 | 液晶表示器の製造装置 |
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JPH08179324A JPH08179324A (ja) | 1996-07-12 |
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Family Applications (1)
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JP4711871B2 (ja) * | 2005-03-31 | 2011-06-29 | 洪永基 | Lcd配向膜印刷用スタンパー製造装置及び製造方法 |
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1994
- 1994-12-26 JP JP32227294A patent/JP3578420B2/ja not_active Expired - Fee Related
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