JP3577487B2 - 電子ビーム描画装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体集積回路などの製造に用いられる電子ビーム描画装置に係り、特に、高速かつ高精度な描画を行う電子ビーム描画装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIを代表とする半導体集積回路の高密度化、高集積化が急速に進み、これに伴い形成すべき回路パターンの微細化も急速に進んでいる。特に100nmノード以下のパターン形成は、従来の光リソグラフィー技術の延長では非常に困難とされている。これに対し、電子ビーム描画は微細パターンを形成するためには有効な手段であるが、生産現場に適用するためには、高い描画精度を維持しつつ、更に高い描画速度向上が要求されている。
【0003】
描画速度を低下させる要因の一つに、偏向器や焦点補正器を構成するコイルが発生する磁場により周囲の金属材料に生ずる渦電流がある。電子ビーム描画装置における焦点補正は、描画対象である試料の高さ変動や、偏向による像面湾曲成分を補正することに用いるため重要である。すなわち、磁場による偏向器や焦点補正器が発生する磁場が、電気抵抗の小さい周囲の金属材料に作用することにより、その表面で発生した渦電流が磁場を発生し、電子ビームに不要な偏向作用を発生させることになる。渦電流の影響が消えるまでの時間は、描画周期に比べて長いため、待ち時間を増大させ結果として描画速度が低下することになる。偏向器や焦点補正器を静電型にすれば渦電流の問題が無く、高速化が可能となる。例えば、特公平4−47944号公報や特許3138005号公報では、磁場レンズ中に円筒型偏向板を配置して高速な静電型レンズの焦点補正器を用いている。これらの例は、低電圧で焦点補正を行う、すなわち高感度化を課題としている。
【0004】
静電型の偏向器と静電型のレンズを同時に用いる場合、それぞれ別の電極を相互に干渉しないように配置する必要があり、電子光学系の光路が長くなる。また、偏向器と焦点補正器とを独立に設置することは、それぞれの機械誤差の影響で、電子光学的収差を増加させる原因となるため好ましくない。このため、特開2000−173522号公報では、偏向器駆動電源を静電レンズ用の高電圧に浮かすことにより重畳し、偏向器に静電レンズの収束作用を同時に持たせている。
【0005】
図1に、磁場レンズ中に円筒型偏向板を配置して高速な静電レンズの焦点補正器を用いている従来の例を断面図の形で具体的に示す。
【0006】
電子銃201から放出された電子ビーム202は矩形の開口を持つ第1マスク203上に照射され、さらに第2マスク205上に結像される。第2マスク205上の像は2つの縮小レンズ206と第1対物レンズ207と第2対物レンズ208で投影され、主偏向器214および副偏向器216で偏向され、感光剤の塗布された試料209上に照射され描画を行う。さらに、焦点補正器218により焦点補正が行なわれる。
【0007】
このとき第2マスク205にあらかじめ設けてある複数のパターン形状の開口を、選択偏向器204により選択し、開口形状のビームで描画することも可能である。
【0008】
対物偏向レンズ内の主偏向器214により一定の領域の描画を行い、さらに、副偏向器216でこの領域をシフトさせながら、より広い領域の描画を行う。副偏向器216による制御で偏向可能な領域以外は、XYステージ210上に設置された試料(被描画対象)209をXYステージ制御装置212により移動させて描画を行う。
【0009】
描画全体は描画パターンデータに従って、描画制御装置211によって統一的に制御され、主偏向制御装置213および副偏向制御装置215によりパターンデータに応じてビームを偏向することによりビーム位置を制御する。また、試料高さ計測装置220がXYステージ210上部に設けられ、試料209の高さデータを光学的手段により取得している。この試料209の高さ信号Hは描画制御装置211に与えられて、焦点補正制御装置217を介して焦点補正器218に補正制御信号が与えられる。
【0010】
ここで、主偏向器214、副偏向器216および焦点補正器218は、8極偏向板による構成とされているが、これを図2に示す。偏向板X1からX4およびY1からY4からなる8極の偏向板が等間隔で同一円周上に配列されている。したがって、図1で主偏向器214、副偏向器216および焦点補正器218を対向する2枚の偏向板のように表示したのは、これらを代表してのものである。
【0011】
ここで、8極偏向板に印加する信号電圧を定義する。図2に示す8極の偏向板に印加する信号電圧は(1)式のとおりであり、これを数1に示す。
【0012】
【数1】
Figure 0003577487
ここで、XはX座標を示す偏向信号を、YはY座標を示す偏向信号を、rは定数を、Xs、Ysは上記偏向信号Xおよび偏向信号Yの関数である2つの方向の非点補正信号を、Dfは上記偏向信号X、偏向信号Yおよび高さ信号Hの関数である焦点補正信号を示す。
【0013】
次に、主偏向制御装置213の構成を図3を用いて説明する。
【0014】
描画制御装置212から出力される偏向信号XおよびYは、上記(1)式を満足するように、所定の演算処理がなされて、図3に示すように、主偏向器214および副偏向器216を構成する偏向板X1からX4およびY1からY4に加えられる。また、偏向信号X、Yおよび高さ信号Hは、所定の演算処理がなされて、図3に示すように、焦点補正器218を構成する偏向板X1からX4およびY1からY4に加えられる。
【0015】
次に、(1)式に対応した演算処理を行う構成の具体例を説明する。まず、偏向板X1からX4の信号電圧の演算処理について説明する。
【0016】
偏向信号XおよびYは、例えば、20ビットのデジタルデータで描画制御装置212から出力される。偏向信号X、YはDA変換器701X、702Yによりアナログ信号に変換される。DA変換器702Yから出力された信号は、定数倍回路によりr倍されてrYになされる。この定数rは、例えば(√2−1)である。DA変換器701Xおよび定数倍回路の出力XおよびrYは加算回路707X1から707X4によって(1)式に対応する極性で加算される。これら加算回路の出力は、8極偏向板に印加される信号電圧の内、偏向板X1からX4の偏向電圧の基本部となるものである。
【0017】
703Xおよび704Yは演算回路であり、偏向信号XおよびYを入力としてX,Yの非点補正信号を演算し、12ビットのデジタルデータで出力する。このデジタルデータがDA変換器704X、704Yによりアナログ信号に変換される。それぞれのDA変換器から出力された信号は、増幅回路705X,705Yにより必要な感度から決まる値に増幅され、非点補正信号Xs,Ysとして出力される。これら非点補正信号Xs,Ysは、(1)式に対応する極性で、加算回路707X1から707X4の出力に、加算回路708X1から708X4によって加算される。
【0018】
加算回路708X1から708X4の出力信号は、増幅回路709X1から709X4によって増幅され、主偏向器214および副偏向器216を構成する偏向板X1からX4に加えられる。
【0019】
次に、主偏向器214および副偏向器216を構成する偏向板Y1からY4に加えられる電圧は、描画制御装置212から出力される偏向信号XおよびYを取り替えて、上述と同じ処理で作られる。すなわち、偏向信号Y、XはDA変換器701Y、702Xによりアナログ信号に変換される。DA変換器702Xから出力された信号は、定数倍回路によりr倍されてrYになされる。この定数rは、例えば(√2−1)である。DA変換器701Yおよび定数倍回路の出力YおよびrXは加算回路707Y1から707Y4によって(1)式に対応する極性で加算される。これら加算回路の出力は、8極偏向板に印加される信号電圧の内、偏向板Y1からY4の偏向電圧の基本部となるものである。
【0020】
これら加算回路707Y1から707Y4の出力信号に、上述した、非点補正信号Xs,Ysが、(1)式に対応する極性で、加算回路708Y1から708Y4によって加算される。加算回路708Y1から708Y4の出力信号は、増幅回路709Y1から709Y4によって増幅され、主偏向器214および副偏向器216を構成する偏向板Y1からY4に加えられる。
【0021】
706は演算回路であり、偏向信号X、Yおよび高さ信号Hを入力としてX,Yの焦点補正信号を演算する。ここで高さ信号Hは9ビットのデジタルデータ出与えられる。演算回路706は10ビットのデジタルデータで出力する。このデジタルデータがDA変換器707によりアナログ信号に変換される。DA変換器707から出力された信号は、増幅回路708により増幅され、焦点補正信号Dfとして出力される。この焦点補正信号Dfは焦点補正器218に加えられる。
【0022】
このように、主偏向制御装置213の構成はアナログ回路を主体として構成するものであった。また、焦点補正器218および焦点補正制御装置217は独立に設置されていた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、静電偏向器の各極に等しい電圧を印加してレンズ作用を持たせ焦点補正を行うことは、電子光学要素の数を減少させ、機械誤差による収差低減の観点から有効な手段である。さらに、8極以上の偏向器であれば、各極に与える電圧を制御すれば、非点収差も補正することが可能となる。従って、1つの8極以上の偏向器で、偏向作用、非点補正作用、焦点補正作用を同時に実現することは有用である。
【0024】
通常、しかしながら、電子光学系の特性と描画システム構成とから決まる必要な偏向量、非点補正量、焦点補正量と偏向板形状から決まる偏向感度、非点補正感度および焦点補正感度とは一致しない。このため、電子ビーム偏向に必要な最大電圧および電圧分解能と、非点補正および焦点補正に必要な最大電圧および電圧分解能(最小単位)は異なる。この相異を解消するために、従来は、偏向信号用のDA(ディジタルアナログ)変換器、非点補正用のDA変換器および焦点補正用DA変換器をそれぞれ持ち、必要な感度から決まる値に調整した後電圧加算などのアナログ演算にて偏向器に出力していた。
【0025】
しかし、近年の半導体素子の微細化に伴い描画位置精度を決定する偏向分解能が20〜21ビット(1×10以上)ときわめて高い精度が必要となってきた。この精度を、偏向信号用DA変換器、非点補正用DA変換器および焦点補正用DA変換器でそれぞれ達成し、さらにアナログ演算による加算後においても維持することは、測定、調整の問題およびDA変換器の数の多さを考慮すると非常に困難である。
【0026】
電磁レンズ中に円筒型電極を配置して静電型レンズの焦点補正器を用いることは、特公平4−47944号公報に開示されている。これは、低電圧で高速に焦点補正を行う、すなわち高感度化を課題としている。また、特許3138005号公報では、磁場レンズ中で静電型の焦点補正を行う場合には、2段の電磁レンズを用いると焦点補正による倍率変化を減少させることが可能であると開示されている。また、特開2000−173522号公報では、偏向器駆動電源を静電レンズ用の高電圧に浮かすことにより重畳し、偏向器に静電レンズの収束作用を同時に持たせている。しかしながら、焦点補正のような描画領域に応じて動的に制御することについては言及していない。
【0027】
高精度かつ高速な電子ビーム描画装置の対物偏向レンズ設計上の主たる課題は、レンズ収差特に偏向収差の低減と描画試料の高さ変動や偏向に伴う焦点補正時の倍率変化や回転変化の低減を両立させることである。磁場レンズ中にて、静電型の焦点補正機能と偏向機能を1つの偏向器で実現する場合には、偏向収差から決まる電磁レンズ中の光軸上での偏向器の最適位置と、焦点補正による像倍率変化や像回転が最小になる焦点補正器の位置は異なる。このため、偏向器と焦点補正器を同一電極とすると、それぞれの最適位置からずれてしまうことになり、高精度な描画を実現できないという問題があった。本発明では、焦点補正の最適位置で、偏向収差も低減することを課題とする。これは、上記3例にはない新しい課題である。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記の問題に対して、本発明では1つの偏向器に、偏向信号、非点補正信号、焦点補正信号を重畳して供給する。このため、各信号データの演算をディジタルで行う演算装置を具備する。さらに、1つの偏向器に、偏向作用と焦点補正作用の両者を持たせる際に発生する偏向収差を低減する最適設計の偏向器の条件を、具体的に提案する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0030】
図4は本発明を適用した電子ビーム描画装置の例を断面図の形で具体的に示す。図1に示すものと同じ物または同じ機能のものには図1と同じ参照符号を付した。図4と図1とを対比して分かるように、本発明では、焦点補正制御装置217およびこれを介して補正制御信号が与えられている焦点補正器218がなくなっている。その他の構成は同じである。
【0031】
先にも述べたように、静電偏向器の各極に等しい電圧を印加してレンズ作用を持たせ焦点補正を行うことは、電子光学要素の数を減少させ、機械誤差による収差低減の観点から有効な手段である。さらに、8極以上の偏向器であれば、各極に与える電圧を制御すれば、非点収差も補正することが可能となることに着目して、ディジタル演算により高い精度を確保するとともに、偏向収差から決まる光軸上での偏向器の最適位置と、焦点補正による像倍率変化や像回転が最小になる焦点補正器の位置についての厳密な解析により偏向器と焦点補正器を同一偏向板とすることを実現した。
【0032】
本発明の電子ビーム描画装置の特徴は、主偏向器に焦点補正と非点補正器能を重畳させていることにある。試料209の高さ変動や偏向による像面湾曲による焦点位置の変化および偏向非点を偏向位置に応じて主偏向器214のみで補正を行っている。この焦点および非点補正信号は、描画制御装置211から出力される偏向信号に基づいて、主偏向制御装置213内でディジタル演算にて重畳され、DA変換、増幅器を経て主偏向器214に送られる。
【0033】
次に、主偏向制御装置213の構成を図5を用いて説明する。本実施例においても、主偏向器214は図2に示す8極偏向器であり、各偏向器に加える電圧は前述した(1)式と同じである。なお、図5においてデータの流れを示す線上の数字はビット数を示している。
【0034】
描画制御装置212から出力された偏向信号Xは、X1からX4までの偏向板に対しては、与えられる20ビットのディジタル信号のまま加算回路406X1から406X4に加えられる。描画制御装置212から出力された偏向信号Yは、X1からX4までの偏向板に対しては、与えられる20ビットのディジタル信号が定数倍演算回路401Yに入力され、定数r倍の演算が行われる。定数倍された偏向信号YのデータrYは加算回路406X1から406X4に加えられる。ここで、各加算回路各信号の入力位置に付された符号+及び−に応じて演算される。
【0035】
402Xおよび402Yは非点補正量演算回路であり、偏向信号XおよびYを入力としてX,Yの非点補正信号をデジタル演算し、12ビットのデータで出力する。これは、偏向信号(ビーム偏向位置)に応じた2方向の非点補正量を演算するものである。このデジタルデータは非点感度補正演算回路403X、403Yにて定数倍演算を行い非点補正信号のデータXs、Ysを出力する。出力データXs、Ysは20ビットのデジタルデータである。この定数倍率値は後述する。この出力された非点補正信号のデータXsとYsも、4つの加算器406X1からX4に、図に示す極性で入力される。
【0036】
さらに、404は焦点補正量演算回路であり、偏向信号X、偏向信号Yおよび高さ信号Hのデータが入力される。焦点補正量演算回路404では、偏向信号(ビーム偏向位置)と試料高さに応じた焦点補正量を出力する。この焦点補正量のデータは、焦点感度補正演算回路405にて定数倍演算を行い、焦点補正信号Dfを出力する。この定数倍率値は後述する。この出力された焦点補正信号DfのデータDfも4つの加算器406X1からX4に、図に示す極性で入力される。
【0037】
4つの加算器406X1からX4では、各信号を20ビットのデジタルデータで与えられて、高精度を維持した演算結果を出力する。4つの加算器406X1からX4の出力データは、それぞれ独立のDA変換器407X1からX4に入力され、アナログ信号に変換される。このアナログ信号が増幅器408X1からX4にて増幅され、偏向板X1、X2、X3およびX4に供給される。この構成にて(1)式の演算が実現される。
【0038】
偏向板Y1、Y2、Y3およびY4に対しては、偏向信号Xを偏向信号Yに、偏向信号Yを偏向信号Xと置換した形で定数r倍の演算が行われるとともに、非点補正信号のデータXs、Ysおよび焦点補正信号Dfの演算が加算器406Y1からY4によって行われ、4つの加算器406Y1からY4の出力データは、それぞれ独立のDA変換器407Y1からY4に入力され、アナログ信号に変換される。このアナログ信号が増幅器408Y1からY4にて増幅され、偏向板Y1、Y2、Y3およびY4に供給される。この構成にても(1)式の演算が実現される。
【0039】
このように、本実施例では1つの偏向器214に、偏向信号X,Y、非点補正信号Xs,Ysおよび焦点補正信号Dfを重畳させている。通常、この場合には、必要な偏向量、非点補正量、焦点補正量と偏向板形状から決まる偏向感度、非点補正感度、焦点補正感度とは一致しない。また、偏向、非点補正、焦点補正に必要な分解能も異なる。従って、非点補正と焦点補正に必要な感度を偏向信号の分解能に合わせる必要がある。
【0040】
本実施例の電子光学系では、偏向幅(最大1mm)と最小描画単位(1nm)から偏向信号の分解能として20ビットが必要である。また、描画精度から決まる非点補正と焦点補正にはそれぞれ12ビット、10ビットの分解能が必要である。本実施例では、電子光学系の計算から、偏向幅1mmに必要な最大電圧は±320V、非点補正に必要な最大電圧は±10V、焦点補正に必要な最大電圧は±80Vであった。最大電圧と分解能から偏向、非点補正、焦点補正それぞれの最小単位(1ビット当り)の電圧、すなわち単位電圧が計算される。非点補正信号の単位電圧と偏向信号の単位電圧の比が、非点補正の定数倍率となる。この定数倍率が前述した非点感度補正演算回路403X、403Yの定数倍率値となる。また、焦点補正信号の単位電圧と偏向信号の単位電圧の比が、焦点補正の定数倍率となる。この定数倍率が前述した焦点感度補正演算回路405の定数倍率値となる。
【0041】
図6は、非点補正と焦点補正に必要な感度を偏向信号の分解能に合わせるための具体例を示すものである。図6(A)はこれらの値の関係を数値で示し、図6(B)は、本実施例での非点補正の定数倍率8、焦点補正の定数倍率が256をディジタル処理で実行する例として、それぞれの定数倍演算が3ビットシフト、8ビットシフトの簡略な演算で可能となることを示す。すなわち、非点感度補正演算回路403X、403Yでは入力の12ビットを3ビットシフトし、上位ビットに0を加えて20ビットの出力としている。また、焦点感度補正演算回路405では入力の10ビットを8ビットシフトし、上位に0を加えて20ビットの出力としている。
【0042】
本発明では、全ての信号の演算処理をディジタルデータで行い、偏向板X1からX4,Y1からY4に電圧を与える段階で、それぞれ独立のDA変換器407X1からX4、407Y1からY4に入力され、アナログ信号に変換される。このアナログ信号が増幅器408X1からX4、Y1からY4にて増幅され、偏向板X1、X2、X3、X4およびY1、Y2、Y3、X4に供給される。したがって、必要な精度を十分に保持して演算処理がなされるとともに、アナログ加算器にありがちな特性のばらつきが問題になることもない。
【0043】
なお、本実施例では、ビットシフト演算を行ったが、通常の乗算演算でも可能である。さらに、本実施例では加算器406X,406Yは、専用ハードウェアを用いたが、偏向速度に対して演算速度が速ければ汎用CPU、DSP、FPGA等のソフトウェア手段を用いてもよい。勿論、定数倍演算回路401X、401Y、非点補正量演算回路402X、402Y、非点感度補正演算回路403X、403Y、焦点補正量演算回路404および焦点感度補正演算回路405についても同様であり、これらディジタル演算部をすべてソフトウェアでの計算としてもよい。
【0044】
先にも述べたように、偏向収差から決まる偏向器の最適位置と、焦点補正による像倍率変化や像回転が最小になる焦点補正器の位置は通常異なる。このため、偏向器を焦点補正による像倍率変化や像回転が最小になる光軸上の点に配置し、この位置で偏向収差が最小になるように最適化することについてさらに具体的に説明する。
【0045】
図7は、本発明に実施例を示す図4における第1対物レンズ207と第2対物レンズ208および主偏向器214に着目した図を示している。したがって、副偏向器216は図示されていない。物面801からの電子ビーム802は、第1対物レンズ207、第2対物レンズ208により収束され、像面805上(試料面上)に結像する。第1対物レンズ207と第2対物レンズ208は収差低減の為、互いに逆向の励磁としている。ビームの位置は偏向器214により決定される。偏向器214の偏向板の長さの中心位置から物面までの距離を偏向器の位置とする。本実施例の対物レンズでは、物面と像面の間は300mmであり、偏向器214の内径32mm、長さ44mmとした。
【0046】
図8は偏向器214の各極に同電圧を印加して焦点補正器として用いた場合の、焦点補正を行うために必要な電圧(黒丸で表示、左目盛)および焦点補正時の像倍率の変化(黒四角で表示、右目盛)と偏向器の物面からの距離の関係を測定した結果を示している。これから分かるように、対物レンズ207、208では焦点補正感度が高い(必要な電圧が低い)点と、焦点補正を行っても倍率が変化しない点がほぼ一致し、物面から150mmの位置であった。焦点補正感度が高い点と倍率変化が一致しない場合には、倍率変化を優先してもよい。また、例示はしないが焦点補正時の像回転が最小になる点に偏向器を設置してもよい。このように焦点補正器の位置(物面からの距離)は1点に決まってしまい、他の位置に配置することはできない。
【0047】
本発明では、図7に示すように第1対物レンズ207と第2対物レンズ208の2段の電磁レンズを用いている。1段の電磁レンズでは、上記のような倍率変化の少ない位置と、実用的な偏向収差を得ることができる位置が両立しないためである。図9に1段の電磁レンズを用いた場合の、1mm角偏向領域隅での偏向収差(白丸で表示、左目盛)および焦点補正時の像倍率の変化(黒四角で表示、右目盛)と偏向器の物面からの距離の関係を示す。ここでは、物面と像面の距離、偏向器の形状、対物レンズとしての倍率は全て図7に示したものと同一条件である。図9に示すように、像倍率変化が小さくなる(ほぼ0になる)位置は像面から約70mmである。しかし、焦点補正器として用いる偏向器を像面から70mmの位置に設置した場合には、偏向収差は400nmを超えてしまう。この偏向収差の大部分は、補正の不可能な偏向コマ収差と偏向色収差である。偏向器の形状により収差の低減を行っても、本発明の電子ビーム描画装置の目的である100nmノード以降の描画には適用できない。
【0048】
これに対して、2段の電磁レンズを用いて、2段レンズを複合したレンズ主面(2個のレンズの間にある)より物面側に焦点補正器を設置することにより、高感度化と倍率の変化を小さくする方法がある。本発明では、図8に示すように2段電磁レンズによる焦点補正の最適位置(物面から150mm)を、偏向収差の小さい位置と同じくすることができることを見出した。さらに、図8に偏向収差(白丸で表示、左目盛)と偏向器の物面からの距離の関係を合わせて示す。偏向収差についてもほぼ最小の値にすることができた。これは、2つの電磁レンズの強度調整と偏向器形状の最適化により焦点補正の最適位置と偏向収差の最適位置をバランス良く調整できることで可能となった。具体的には、第1対物レンズ207のほぼ中心であり、2段レンズを複合したレンズ主面よりも物面側にある。この結果、倍率変化がほぼ0であり、かつ、焦点補正感度も高い位置に焦点補正を行うための偏向器を設置することができた。
【0049】
また、図4に示す第1対物レンズ207と第2対物レンズ208からなる対物レンズより上流(電子銃に近い側)の縮小レンズ206の内部に偏向器を設置して焦点補正および偏向を行うことも可能である。しかし、縮小レンズ206は通常対物レンズよりも倍率が低く設定され、焦点距離が短い。従って、同じ焦点補正作用を得るには大きい電圧が必要となる。また、偏向作用についても同じ理由で偏向感度が低くなり実用的な光学設計は困難である。
【0050】
上記の様に本発明では、焦点補正の最適位置に偏向器を設置し、かつ、偏向収差を最小にすることができ、1つの偏向器において最適な焦点補正機能と最適な偏向機能を同時に実現可能である。この構成を用いれば、偏向信号に焦点補正信号と非点補正信号を重畳して偏向器に供給する本発明の制御装置の特長を最大限に発揮できる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、電子ビーム描画装置において8極静電偏向器に非点補正と焦点補正信号をディジタル演算により重畳することにより、電子光学系内の光学要素の数を減らすことが可能となるため、機械的誤差要因を減少させ、簡略な回路構成で高精度な描画を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁場レンズ中に円筒型偏向板を配置して高速な静電レンズの焦点補正器を用いている従来の例を断面図の形で示す図。
【図2】主偏向器214、副偏向器216および焦点補正器218を構成する8極偏向板の配置例を示す図。
【図3】従来の主偏向制御装置213の構成を示す図。
【図4】本発明を適用した電子ビーム描画装置の例を断面図の形で具体的に示す図。
【図5】本発明の主偏向制御装置213の構成を示す図。
【図6】非点補正と焦点補正に必要な感度を偏向信号の分解能に合わせるための具体例を示すもので(A)はこれらの値の関係を数値で示し、(B)は、本実施例での非点補正の定数倍率8、焦点補正の定数倍率が256をディジタル処理で実行する例として、それぞれの定数倍演算が3ビットシフト、8ビットシフトの簡略な演算で可能となることを示す図。
【図7】図4における第1対物レンズ207と第2対物レンズ208および主偏向器214に着目した構成を示す図。
【図8】偏向器214の各極に同電圧を印加して焦点補正器として用いた場合の焦点補正を行うために必要な電圧および焦点補正時の像倍率の変化および偏向収差と偏向器の物面からの距離の関係を示す図。
【図9】電磁レンズが1段の場合の偏向収差(1mm偏向領域の隅での値)および焦点補正時の像倍率の変化と偏向器の物面からの距離の関係を示す図。
【符号の説明】
101:8極偏向演算回路、102:非点補正演算回路、103:焦点補正演算回路、104:ディジタル加算回路、105:DA変換器、106:増幅器、107:8極偏向器、201:電子銃、202:電子ビーム、203:第1マスク、204:選択偏向器、205:第2マスク、206:縮小レンズ、207:第1対物レンズ、208:第2対物レンズ、209:試料、210:XYステージ、211:描画制御装置、212:XYステージ制御装置、213:主偏向制御装置、214:主偏向器、215:副偏向制御装置、216:副偏向器、217:焦点補正制御装置、218:焦点補正器、220:試料高さ計測装置、401:定数倍演算回路、402:非点補正量演算回路、403:非点感度補正演算回路、404:焦点補正量演算回路、405:焦点感度補正演算回路、406:加算器、407:DA変換器、408:増幅器、701:DA変換器、702:DA変換器、703:非点補正量演算回路、704:DA変換器、705:DA変換器、706:感度補正増幅器、707:アナログ加算器、708:アナログ加算器、709:増幅器、801:物面、802:電子ビーム、805:像面。

Claims (2)

  1. 電子ビームを発生する手段と前記電子ビームを試料上に投影する1つ以上の電磁レンズと前記電子ビームを偏向する8極以上の静電偏向器とを用いて描画を行う電子ビーム描画装置において、前記偏向器に非点補正と焦点補正の機能を共用させ前記電子ビームを偏向する偏向信号に前記電子ビームの非点を補正する非点補正信号と前記電子ビームの焦点を補正する焦点補正信号とを重畳して前記偏向器に供給して描画を行い、各信号はディジタル信号で演算処理された後アナログ信号に変換されて増幅され前記偏向器に与えられるとともに、前記偏向信号と非点補正信号と焦点補正信号とを加算する前段に、必要な非点補正感度および必要な焦点補正感度から決定される前記非点補正信号と焦点補正信号それぞれの最小単位と前記偏向信号の最小単位を一致させるためのディジタル信号で処理される独立した定数倍演算装置が備えられることを特徴とする電子ビーム描画装置。
  2. 電子ビームを発生する手段と前記電子ビームを試料上に投影する2つ以上の電磁レンズと前記電子ビームを偏向する8極以上の静電偏向器とを用いて描画を行う電子ビーム描画装置において、前記偏向器に焦点補正器の機能を共用させ、かつ、前記焦点補正器の感度が最大になる位置または焦点補正作用により前記電磁レンズの倍率変化が最小になる位置、または、焦点補正作用により前記電磁レンズの回転量変化が最小になる位置に前記偏向器を配置するものである請求項1記載の電子ビーム描画装置。
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