JP3575962B2 - タペット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はエンジンの動弁機構に用いられるタペットの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの動弁機構において、タペットはカムの回転をバルブを開閉する往復動に変換するものであり、カムあたり面に大きな荷重が作用する。そのため、カムとの接触を同じ部分で続けていると、摩耗が早く進むことから、作動中常にカムとの接触面を変える(つまり、局部あたりを防止する)よう、テーパカムとして及びカムとタペットの中心のオフセットを組み合わせにより、タペットを回転させるようになっている。このようなタペットとして、高い耐摩耗性を確保するため、カムあたり面をセラミック板(セラミックチップと称する)で形成したものがある(特開平6ー33708号公報,特開平7ー208119号公報,特開平7ー127404号公報,特開平4ー2672号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
タペット本体は金属材料で形成され、その端面にセラミックチップはろう付けにより接合される。ろう付けには銀や銅などが使用されるが、ろう付け強度のバラツキによってはセラミックチップが剥離してしまうことがある。これはろう付け時において、金属の凝固中にできるブローホールが原因と考えられる。ブローホールはろう付け金属の最外周部に大きなものが発生するため、カムとの摺動軌跡がセラミック板の外周部に掛かると、その荷重に基づく内部応力により、ブローホールを起点にして疲労破壊(疲労剥離)が進行するのである。
【0004】
この発明はこのような問題点を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、タペット本体1にろう付けのセラミック板2によりカム当たり面Aを形成するタペットにおいて、セラミック板2の表面の外周縁にC面取り部3を除くセラミック板の表面をカム当たり面Aの有効範囲とするその直径Dに対し、カム摺動軌跡をタペットの中心と結ぶ距離の最大値を半径とする円の直径dを、D/d>1の関係に設定する一方、C面取り部3は、タペット本体1にセラミック板2を接合するろう付け金属4のブローホールが発生しやすい領域として特定される外周部の幅と略同一の幅に設定する。
【0006】
第2の発明では、タペット本体1にろう付けのセラミック板2によりカム当たり面Aを形成するタペットにおいて、セラミック板2の表面の外周縁にC面取り部3を除くセラミック板の表面をカム当たり面Aの有効範囲とするその直径Dに対し、ヘルツの接触楕円の最外周点をタペットの中心と結ぶ距離を半径とする円の直径dを、D/d>1の関係に設定する一方、C面取り部3は、タペット本体1にセラミック板2を接合するろう付け金属4のブローホールが発生しやすい領域として特定される外周部の幅と略同一の幅に設定する。
【0007】
第3の発明では、第1の発明または第2の発明における、直径Dと直径dとの関係D/d>1は、単位をmmとしてD=d+(1〜3)に設定する。
【0008】
【発明の効果】
第1の発明または第2の発明においては、カム摺動軌跡がセラミック板の最外周部に掛からないため、ろう付け金属の外周部への荷重入力が減少する。したがって、最外周部に発生しやすいろう付け金属の大きなブローホール、または最外周部近辺に存在する比較的小さいブローホールに原因する疲労破壊(疲労剥離)を防止することができる。
【0009】
第2の発明では、直径dが計算により、正確に求められる。
【0010】
第3の発明では、直径Dと直径dとの間に1〜3mmの余裕代を与えることにより、タペットの使用環境が諸種に異なっても、ろう付け金属の耐剥離性を十分に確保できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は傘型のタペットを表す。タペット本体1は金属材料で形成され、傘部11端面にカムあたり面Aを形成するセラミック板2(セラミックチップ)がろう付けされる。セラミック板2の表面はその外周縁にC面取り部3(傾斜するカット面を形成する)が施される。C面取り部3の幅は、タペット本体1にセラミック板2を接合するろう付け金属4の外周部(大きなブローホールが発生する領域)の幅と略同一に設定される。
【0012】
ここで、C面取り部3を除くセラミック板2の表面をカムあたり面Aの有効範囲としてその直径をDと定義する。また、カムあたり面Aにおけるカム摺動軌跡Bは、図4のようにカムシャフトと直交する方向の両側にヘルツの接触楕円を備える。この接触楕円の大きさは、公知の応用算出式から求められる。
【0013】
タペットがカム(図示せず)との摺動に伴って回転すると、カム摺動軌跡Bはタペットの中心Pを結ぶ距離を半径とする円形を描くのであり、その円の最大直径をdと定義する。そして、カムあたり面Aの有効範囲の直径Dと、カム摺動軌跡Bが描く円の直径dと、はD/d(接触率)>1の関係に設定される。
【0014】
カムの摺動に伴うタペット10の回転を生じさせるため、カムあたり面Aにクラウニングと呼ばれる曲率半径が与えられ、カム中心とタペットの中心Pとの間にオフセット量が設定される。つまり、カムとの接触部は点接触であり、図4においては、カムとして横から見ると傾斜するテーパカム(傾斜のないフラットカムでも可)が使用される。
【0015】
このようにカムあたり面Aとカム摺動範囲Bとの関係をD/d>1に設定することにより、カム摺動軌跡Bはセラミック板2の最外周部に掛からない。すなわち、カムとタペットとのエッジ当たり、あるいは最外周付近の当たりが避けられるため、傘部11の変形による内部応力も低減され、ろう付け金属4のブローホールに原因する疲労破壊,疲労剥離の発生を有効に防止できる。
【0016】
D/d≦1の場合、ろう付け金属4の外周部を研磨で削り落とすことが必要になり、その切削量は図5において、セラミック板2とタペット本体1との接合面側で互いの外周部に形成したC面取り部5a,5bの幅以上(セラミック板のずれ分を加味する)とされるが、これに較べるとこの発明では、接触比(D/d)を所定の関係に設定するのみで済むため、実施も容易かつ安価に行える。
【0017】
カムあたり面Aの有効範囲の直径Dと、カム摺動軌跡Bが描く円の直径dと、の関係D/d>1は、D=d+(1〜3)に限定される。使用環境が諸種に異なることを考慮しても、直径Dと直径dとの間に1〜3mmの余裕代を与えることにより、セラミック板2の耐剥離性を十分に確保できる。
【0018】
図6はカップ型のタペットを表す。1はタペット本体、2はセラミック板であり、これらの剥離を防止するため、カムあたり面Aの有効範囲の直径Dと、カム摺動軌跡Bが描く円の直径dと、はD/d(接触率)>1の関係に設定される(図4参照)。
【0019】
【実施例】
【0020】
【表1】
【0021】
なお、機種の2例はいずれも、トラックなど大型車両に搭載されるディーゼルエンジンである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を表す傘型タペットの正面図と平面図である。
【図2】同じくA部の拡大図である。
【図3】同じくタペットの斜視図である。
【図4】同じくカム摺動軌跡の説明図である。
【図5】同じくタペットの一部断面図である。
【図6】カップ型タペットの正面図と平面図である。
【符号の説明】
1 タペット本体
2 セラミッ板
4 ろう付け金属
A カムあたり面
B カム摺動軌跡
P タペット中心
Claims (3)
- タペット本体1にろう付けのセラミック板2によりカム当たり面Aを形成するタペットにおいて、セラミック板2の表面の外周縁に施されるC面取り部3を除くセラミック板の表面をカム当たり面Aの有効範囲とするその直径Dに対し、カム摺動軌跡をタペットの中心と結ぶ距離の最大値を半径とする円の直径dを、D/d>1の関係に設定する一方、C面取り部3は、タペット本体1にセラミック板2を接合するろう付け金属4のブローホールが発生しやすい領域として特定される外周部の幅と略同一の幅に設定したことを特徴とするタペット。
- タペット本体1にろう付けのセラミック板2によりカム当たり面Aを形成するタペットにおいて、セラミック板2の表面の外周縁に施されるC面取り部3を除くセラミック板の表面をカム当たり面Aの有効範囲とするその直径Dに対し、ヘルツの接触楕円の最外周点をタペットの中心と結ぶ距離を半径とする円の直径dを、D/d>1の関係に設定する一方、C面取り部3は、タペット本体1にセラミック板2を接合するろう付け金属4のブローホールが発生しやすい領域として特定される外周部の幅と略同一の幅に設定したことを特徴とするタペット。
- 直径Dと直径dとの関係D/d>1は、単位mmとしてD=d+(1〜3)に設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタペット。
Priority Applications (1)
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JP25704697A JP3575962B2 (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | タペット |
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JP25704697A JP3575962B2 (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | タペット |
Publications (2)
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JPH1193625A JPH1193625A (ja) | 1999-04-06 |
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Family Applications (1)
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JP25704697A Expired - Fee Related JP3575962B2 (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | タペット |
Country Status (1)
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Families Citing this family (1)
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MY141693A (en) * | 1999-06-07 | 2010-06-15 | Mitsubishi Motors Corp | Internal combustion engine |
-
1997
- 1997-09-22 JP JP25704697A patent/JP3575962B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1193625A (ja) | 1999-04-06 |
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