JP3575334B2 - Fmcwレーダ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体の衝突防止や一定距離追従走行等に使用され、レーダ波の送受信により移動体の外部に存在する物標との相対速度や距離を検出するFMCWレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
a)従来より、FMCWレーダ装置では、三角波状の変調信号により周波数変調され周波数が漸次増減する送信信号を、レーダ波として送信し、物標により反射されたレーダ波を受信すると共に、受信信号を送信信号とミキシングすることによりビート信号を発生させている。そして、このビート信号の周波数(ビート周波数)を、信号処理器等を用いて送信信号の周波数が増加する上昇部及び周波数が減少する下降部の各区間毎に特定し、この特定された上昇部のビート周波数(上りビート周波数)fb1及び下降部のビート周波数fb2(下りビート周波数)に基づき、次の(A),(B)式を用いて、物標との距離Dや相対速度Vを算出している。
【0003】
V=(C/(4*f0))*(fb2−fb1) …(A)
D=(C/(8*△F*fm))*(fb1+fb2) …(B)
なお、△Fは送信信号の周波数変位幅(周波数変位幅)、f0は送信信号の中心周波数、1/fmは1周期の変調に要する時間(即ちfmは三角波の繰り返し周波数)、Cは光速を表す。
【0004】
従って、前記FMCWレーダ装置を用いて測定を行うと、FMCWレーダ装置と物標との関係に応じて、例えば図17に示す送信信号T及び受信信号Rの周波数の変化が得られる。
具体的には、図17(a)に示すように、レーダ装置を取り付けた移動体と、レーダ波を反射する物標との移動速度が等しい(相対速度V=0)場合、物標に反射したレーダ波は、物標との間の往復に要する時間だけ遅延するため、受信信号Rのグラフは、送信信号Tのグラフを時間軸に沿ってシフトしたものとなり、上りビート周波数fb1と下りビート周波数fb2とは等しく(fb1=fb2)なる。
【0005】
一方、図17(b)に示すように、物標との移動速度が異なる(相対速度V≠0)場合、物標に反射したレーダ波は、更に物標との相対速度Vに応じたドップラシフトを受けるため、受信信号Rのグラフは、送信信号Tのグラフを相対速度Vによるドップラシフトの分だけ、周波数軸に沿ってシフトしたものとなり、上りビート周波数fb1と下りビート周波数fb2とは異なったもの(fb1≠fb2)となる。
【0006】
よって、この上りビート周波数fb1と下りビート周波数fb2とに基づいて、物標との距離Dや相対速度Vを算出することができる。
b)また、近年では、上述したFMCWレーダ装置を用いて、移動物と静止物とを区別する技術として、下記の特開平7−98375号や特開平7−191133号に記載の技術が提案されている。
【0007】
この技術では、自車が速度VBで走行するならば、静止物は−VBで接近するという物理的原則を用いる。
具体的には、例えばFMCWレーダ装置に接近する方向を正とした場合、自車速度を−VBで表すと、FMCWレーダ装置から見た静止物の速度はVBとなるので、上りビート周波数fb1と下りビート周波数fb2との差は、下記式(C)に示すものとなる。
【0008】
(fb2−fb1)=(4*VB*f0)/C …(C)
これを、周知のフーリエ変換による周波数分析を行ってスペクトル表示すると、上りビート周波数fb1を含む上昇部のビート信号のスペクトル(上りビート信号スペクトル)と下りビート周波数fb2を含む下降部のビート信号のスペクトル(下りビート信号スペクトル)は、図18(a)に示す様になる。
【0009】
このとき自車速度VBが既知であれば、前記(fb2−fb1)の周波数だけ、下りビート信号スペクトルをシフトしてやると、図18(b)に示す様になる。
ここで、測定対象である物標が静止物である場合には、即ち自車速度VBで接近してくる物標の場合は、そのスペクトル周波数が上りと下りとで一致することから、図18(b)に示した上りビート信号と下りビート信号のスペクトルの一致の状況により、物標が静止物であるか否かを判断することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した技術では、単に自車速度がVBであれば静止物は−VBで接近するという原理から、スペクトルシフト量(周波数シフト量)をVBから演算する等の域にとどまっており、下記▲1▼〜▲4▼に述べる様に、移動物と静止物とを区別する際の正確さに欠けるという問題があった。
【0011】
▲1▼ 車速センサの応答遅れや誤差により、正確な周波数シフト量を算出できない。
つまり、周波数シフト量は、基本的に自車速度から求めることができるが、自車速度を他の車載コンピュータが演算している場合には、通信遅れ、フィルタリングの影響等により、実際の自車速度との遅れが生じ、しかも、センサ自体の誤差も存在する。そのため、単純に自車速度から周波数シフト量を演算したのでは、周波数シフト量が正確でないため、結果的に間違った判定を行ってしまう。
【0012】
▲2▼ レーダのビームの向きを考慮していないために、正確な周波数シフト量を決定できない。
ビームが車両の進行方向以外を向くレーダ、ビームステア、スキャンビームセンサにおいては、静止物の(見かけ上の)移動方向と、ドップラ効果によって相対速度を検出可能なビーム方向とにズレが生じる。この影響は、広範囲を検出するような(ビーム操作角大の)レーダになればなるほど顕著になる。
【0013】
▲3▼ シフト後のスペクトル比較において、振幅情報のみを評価対象としているために、間違った一致判定を行ってしまう。
スペクトル比較を行う場合に、従来は(物標に対応するピークの大きなパワースペクトルである)スペクトルピークのピークレベル、形状等という振幅情報のみを用いていたが、この場合は、偶然同一レベルのスペクトルピークが存在したときには、不具合が生じる。つまり、移動物からのスペクトルピークを静止物からのものとして認識して、分離除去してしまうため、本来の目的であるはずの移動物の認識が正しく行われない。
【0014】
▲4▼ 静止物及び移動物からのスペクトルピークが重なった場合に、移動物のスペクトルピークを消し去ってしまう恐れがある。
例えばFMCWレーダを車載レーダとして用いた場合、ガードレール等の路側物のような静止物や前方を走行中の車両である移動物が混在してスペクトルに表れる。この様な場合、自車速度と静止物までの距離、移動物までの距離、相対速度等の関係によっては、静止物と移動物のスペクトルピークが合成されることがままある。
【0015】
特に、トンネルの入口の様な大きな反射レベルを持つ静止物では、ピークレベルも大きく、ピーク近傍の周波数の広がりも大きいため、移動物のスペクトルピークが埋もれてしまう場合や重なる場合があり、そのときには、あたかも1つのスペクトルピークであるように観測されることがある。
【0016】
この場合、上述した公知の技術の様に、単純にスペクトルの減算を行うと、移動物からもスペクトルピークが減算されてしまい、レーダとしての機能を正常に果たすことができなくなる。
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、移動物と静止物とを正確に認識することができるFMCWレーダ装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の発明では、送信手段が、例えば三角波変調信号によって周波数変調されて周波数が漸次増減する送信信号を発生して、レーダ波として送信し、受信手段が、物標により反射されたレーダ波を受信して、受信信号を発生すると共に、この受信信号を送信信号と混合してビート信号を発生する。
【0018】
そして、スペクトル作成手段が、例えば周知のフーリエ変換による周波数分析により、送信信号の周波数が上昇する上り変調時の上りビート信号から、例えば図7に示す様に、複数の物標に対応するスペクトルピーク(パワースペクトル)を有する上りスペクトルを作成すると共に、送信信号の周波数が下降する下り変調時の下りビート信号から、同様に複数のスペクトルピークを有する下りスペクトルを作成する。
【0019】
次に、検出手段が、上りスペクトルのスペクトルピーク及び下りスペクトルのスペクトルピークのうち、少なくとも一方を所定周波数シフト量させて、例えば下りスペクトルを上りスペクトルに一致する様に、例えば図7の左方に周波数シフト量だけ移動させて、各スペクトルピークを比較して、物標の移動状態を検出する。
【0020】
特に、本発明では、複数シフト量設定手段により、FMCWレーダ装置を搭載した車両の速度に基づいて、周波数シフト量を設定する際に、測定の誤差を考慮して複数の周波数シフト量を設定する。
例えば、従来では、上述した下記式(C)に基づいて周波数シフト量(fb2−fb1)を設定しているが、本発明では、単一な周波数シフト量だけではなく、例えば基本となる周波数シフト量の両側の所定範囲内で他の周波数シフト量を設定している。
【0021】
(fb2−fb1)=(4*VB*f0)/C …(C)
次に、評価手段により、各周波数シフト量に対応した上りスペクトル及び下りスペクトル毎に、両スペクトルの一致度を示すスペクトルマッチ度の評価を行う。ここで、スペクトルピークが多数ある場合には、各スペクトルピークの一致度を調べ、その総合的な評価を行って両スペクトルのスペクトルマッチ度を評価することができる。尚、仮に、スペクトルピークが一対しかない場合には、一対のスペクトルピークの一致度により、両スペクトルのスペクトルマッチ度を評価してもよい。
【0022】
例えば、下りスペクトルをある周波数シフト量だけシフトさせ、この状態において、上りスペクトルの各スペクトルピークと下りスペクトルの各スペクトルピークが、例えば振幅や位相においてどの程度一致しているか(スペクトルマッチ度)を、例えば後述する評価値|Vp|の近傍和Sum2を合計したスペクトル全体和Sum1を用いて評価することができる。
【0023】
そして、この評価結果に基づいて、決定手段により、スペクトルマッチ度の最も高い周波数シフト量が、車速センサの誤差などの影響が少ない真の周波数シフト量であると決定する。つまり、上りスペクトルの各スペクトルピークと下りスペクトルの各スペクトルピークのずれが大きいものほど、各種の誤差の影響が大きいと考えられるので、ここでは、両スペクトルの一致度が高い周波数シフト量(例えばスペクトル全体和Sum1が最小なもの)を、誤差の影響が少ないとして選択する。
【0024】
次に、真の周波数シフト量に対応した上りスペクトル及び下りスペクトルに対して、(例えば後述する近傍和Sum2を用いた)静止判定手段により、各スペクトルピークに対応した物標が静止物であるかどうかの静止判定を行って、静止物を検出する(例えば近傍和Sum2が所定値Thp以下の場合に静止物と判定)。
【0025】
この様に、本発明では、複数の周波数シフト量を設定し、その中から真の周波数シフト量を求め、その真の周波数シフト量に対応したスペクトルを用いて物標の静止判定を行っている。
つまり、自車速度を他の車載コンピュータが演算している場合には、通信遅れ、フィルタリングの影響により、実際の自車速度との遅れが生じ、車速センサ自体にも誤差があるので、本発明の様に、予め周波数シフト量に幅を持たせ、その中から最適な周波数シフト量を選択して用いることにより、車速センサ等の誤差を排除して、多くの物標の中から正確に静止物を判定することができる。
【0026】
(2)請求項2の発明は、請求項1の発明を例示したものであり、ここでは、基本周波数シフト量とそこから所定量ずれた周波数シフト量を設定している。
例えば下記式(D)に示す様に、本発明では、単一な周波数シフト量だけではなく、例えば基本周波数シフト量の両側の所定範囲(±△Dv)内で他の周波数シフト量を設定している。
【0027】
(fb2−fb1)=(4*(VB±Dv)*f0)/C …(D)
従って、これらの周波数シフト量の中に、真の周波数シフト量が存在すると見なすことができるので、上述した評価により、真の周波数シフト量を決定することができる。
【0028】
(3)請求項3の発明では、例えば後述する近傍和Sum2により各スペクトルピークのスペクトルマッチ度を評価するとともに、例えば各スペクトルピークの近傍和Sum2を合計した後述するスペクトル全体和Sum1により、各周波数シフト量毎のスペクトルマッチ度を評価することができる。
【0029】
従って、例えばスペクトル全体和Sum1が最小の周波数シフト量を、真の周波数シフト量とすることができる。
(4)請求項4の発明では、各スペクトルピーク毎に、例えば近傍和Sum2によってスペクトルマッチ度の評価を行い、その評価に基づいて、「例えば近傍和Sum2が所定の閾値より低い場合には静止物と判定する」などのように、物標の静止物判定を行うことができる。
【0030】
また、例えば図8のSnに示す様に、各スペクトルピークのスペクトルマッチ度が所定の閾値を上回る場合には、移動物であると判定することができる。よって、例えばスペクトルマッチ度が閾値以下の物標の中から静止物を決めることが可能となる。尚、合成ピークの可能性が低い場合には、スペクトルマッチ度が閾値以下の物標を静止物と判定することも可能である。
【0031】
(5)請求項5の発明では、スペクトルマッチ度の評価を行う場合には、スペクトルピークの所定幅の周波数帯における情報に基づいて行う。これにより、より正確な評価を行うことができ、結果として、正確な真の周波数シフト量の決定や静止物判定を行うことができる。
【0032】
(6)請求項6の発明では、単にパワースペクトルの振幅だけでなく、物標の方位情報に基づいてスペクトルマッチ度の評価を行うので、より正確な評価を行うことができる。
例えば上り下りの両スペクトルにおいて、偶然同一レベルのスペクトルピークが存在した場合などは、正確な静止物判定ができないことがある。
【0033】
しかし、例えば受信アンテナを2系統持つ位相差モノパルスレーダを用いた場合には、物標からの方位情報は2系統の位相差によって示され、しかも、その位相差は上り部分と下り部分とで符号が異なる同一の値を持つので、これを利用してスペクトルマッチ度を評価できる。
【0034】
(7)請求項7の発明は、スペクトルの評価方法を例示したものであり、例えば図6に示す様に、スペクトルピークの振幅に基づく振幅評価値をYとし、物標の方位情報に基づく位相評価値をXとした評価ベクトルの絶対値(例えば|Vp|)を算出し、この絶対値を用いてスペクトルマッチ度の評価を行うので、より正確に静止物判定を行うことができる。
【0035】
尚、振幅評価値は、下記式(E)から求めることができ、位相差評価値は下記式(F)から求めることができる。
Figure 0003575334
また、スペクトルピークが複素ベクトルで表現される場合には、スペクトルピークの振幅が複素ベクトルの絶対値(長さ)で示され、位相が回転角で示されるので、この複素ベクトルから評価ベクトルを求めてその絶対値を算出してもよい。
【0036】
(8)請求項8の発明は、真の周波数シフト量を決定する手法を例示したものである。
まず、例えば下記式(G)を用いて、各スペクトルピークに対する評価ベクトルの絶対値の近傍和を求める。ここで、近傍和を用いるのは、各スペクトルピークの一点だけで評価するよりもその近傍の周波数を含めて評価した方が、評価の精度が高くなるからである。
【0037】
Figure 0003575334
P;(何番目のピークかを示す)ピーク周波数番号、n;近傍の幅
次に、前記各ピーク近傍に関する近傍和Sum2を求めた後に、例えば下記式(H)の様に、各近傍和Sum2を合計して、各周波数シフト量毎のスペクトル全体和Sum1を求める。
【0038】
スペクトル全体和Sum1=Σ近傍和Sum2 …(H)
そして、例えば、この評価値の各スペクトル全体和Sum1(|Vp|)のうち、その値が最も小さい周波数シフト量を、真の周波数シフト量TSnとして決定することができる。つまり、スペクトル全体和Sum1が小さいほど、各評価ベクトルの絶対値が全体として小さく、よって、各スペクトルピークの一致度が大きいと考えられるからである。
【0039】
(9)請求項9の発明は、真の周波数シフト量が決定した後に、真の周波数シフト量に対応した上りスペクトル及び下りスペクトルにおいて、その各一対のスペクトルピーク毎に、どの様に物標の静止物判定を行うかを例示したものである。
【0040】
ここでは、ある評価ベクトルの絶対値の近傍和を所定の閾値と比較し、その近傍和が閾値以下の場合には、振幅評価値が小さく且つ位相差評価値が小さく、同じ静止物によるスペクトルピークの一致であると考えられるので、物標が静止物であると判断している。
【0041】
(10)請求項10の発明では、ビームの向きを考慮する。
つまり、レーダのビームが車両の進行方向以外を向く場合には、静止物の移動方向とドップラ効果によって相対速度を検出可能なビーム方向とのズレが生じ、静止物の判定に誤差が生じる。
【0042】
そこで、本発明では、ビームの向きを考慮して周波数シフト量を設定しているので、より正確に静止物の判定を行うことができる。
例えばビームの方向が車両の進行方向からθだけ側方にズレていた場合には、このビームによって測定した物標の相対速度にcosθかけた値を、真の物標の相対速度と見なすことができる。
【0043】
(11)請求項11の発明では、移動物を考慮する。
FMCWレーダを車載レーダとして用いた場合、ガードレール等の路側物のような静止物や前方を走行中の車両である移動物が混在してスペクトルに表れ、自車と静止物の関係によっては、静止物と移動物のスペクトルピークが合成され、静止物判定を正確に行えない場合がある。
【0044】
そこで、本発明では、既に移動物と認識されている物標に対して、今回の移動位置を予測して移動物予測フラグを設定し、今回の判定対象のスペクトルピークに対して移動物予測フラグがセットされている場合には、合成されたスペクトルピークであると見なして、そのスペクトルピークを静止物とは判定しないようにしている。
【0045】
これにより、路側物が多く存在するような市街地を走行中も、移動物ピークと静止物ピークが合成された合成ピークを静止物と認識することがなく、より正確な静止物判定が可能となる。
(12)請求項12の発明は、FMCWレーダ装置の前提となる基本構成に関しては、前記請求項1の発明と同様であり、ここでは、特に、前記請求項10の発明の様に、ビームの向きを考慮して周波数シフト量を設定している。これによって、より正確に静止物判定を行うことができる。
【0046】
つまり、図5に示す様に、車両の進行方向と静止物(路側物)との間にズレがあると、車両と静止物との間の正確な相対速度にズレが生じ、それが周波数シフト量の算出に影響を及ぼすので、ここでは、ビームの方向を加味することにより、その影響を低減するものである。
【0047】
(13)請求項13の発明は、請求項4の発明と同様な作用効果を奏する。
(14)請求項14の発明は、請求項5の発明と同様な作用効果を奏する。
(15)請求項15の発明は、請求項6の発明と同様な作用効果を奏する。
(16)請求項16の発明は、請求項7の発明と同様な作用効果を奏する。
【0048】
(17)請求項17の発明は、請求項9の発明と同様な作用効果を奏する
【0061】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のFMCWレーダ装置の実施の形態の例(実施例)を図面と共に説明する。
(実施例1)
a)図1は、本発明が適用された実施例の障害物検出用のFMCWレーダ装置(以下単にレーダ装置と記す)の全体構成を表すブロック図である。尚、本実施例のレーダ装置は、いわゆる位相差モノパルスレーダ装置である。
【0062】
図1に示すように、本実施例のレーダ装置2は、変調信号Smに応じて所定の周波数に変調されたレーダ波を送信する送信器12、送信器12から放射され、障害物に反射されたレーダ波を受信する一対の受信器14,16からなる送受信部10と、送信器12に変調信号Smを供給すると共に、受信器14,16から出力される中間周波のビート信号B1,B2に基づき、障害物を検出し且つ静止物を判定するための処理を実行する信号処理部20とにより構成されている。
【0063】
ここで、送信器12が本発明の送信手段、受信器14,16が受信手段、信号処理部20が他の各手段(スペクトル作成手段及び検出手段等)に相当する。
そして、本実施例では、当該レーダ装置2により自動車前方の障害物を検出するために、送受信部10が自動車の前面に取り付けられ、信号処理部20が、車室内又は車室近傍の所定位置に取り付けられている。
【0064】
ここで、まず送信器12は、送信信号として、ミリ波帯の高周波信号を生成する電圧制御発振器(VCO)12bと、変調信号Smを電圧制御発振器12bの調整レベルに変換して電圧制御発振器12bに供給する変調器(MOD)12aと、電圧制御発振器12bからの送信信号を電力分配して各受信器14,16に供給されるローカル信号を生成する電力分配器(COUP)12c,12dと、送信信号に応じてレーダ波を放射する送信アンテナ12eとにより構成されている。
【0065】
また、受信器14は、レーダ波を受信する受信アンテナ14aと、受信アンテナ14aからの受信信号に電力分配器12dからのローカル信号を混合するミキサ14bと、ミキサ14bの出力を増幅する前置増幅器14cと、前置増幅器14cの出力から不要な高周波成分を除去し、送信信号及び受信信号の周波数の差成分であるビート信号B1を抽出するローパスフィルタ14dと、ビート信号B1を必要な信号レベルに増幅する後置増幅器14eと、により構成されている。
【0066】
なお、受信器16は、受信器14と全く同様の構成(14a〜14eが16a〜16eに対応)をしており、電力分配器12cからローカル信号の供給を受け、ビート信号B2を出力する。そして、受信器14を受信チャネルCH1、受信器16を受信チャネルCH2と呼ぶ。
【0067】
一方、信号処理部20は、起動信号C1により起動され、三角波状の変調信号Smを発生する三角波発生器22と、起動信号C2により起動され、受信器14,16からのビート信号B1,B2をデジタルデータD1,D2に変換するA/D変換器24a,24bと、CPU26a,ROM26b,RAM26cを中心に構成され、起動信号C1,C2を送出して三角波発生器22及びA/D変換器24a,24bを動作させる。それと共に、A/D変換器24a,24bを介して得られるデジタルデータD1,D2に基づき、障害物との距離、相対速度、及び障害物の方位の検出を行い且つ静止物の判定を行う障害物検出処理(後述する)を実行する周知のマイクロコンピュータ26と、マイクロコンピュータ26の指令に基づき高速フーリエ変換(FFT)の演算を実行する演算処理装置28と、により構成されている。
【0068】
なお、A/D変換器24a,24bは、起動信号C2により動作を開始すると、所定時間間隔毎にビート信号B1,B2をA/D変換して、RAM26cの所定領域に書き込むと共に、所定回数のA/D変換を終了すると、RAM26c上に設定された終了フラグ(図示せず)をセットして、動作を停止するように構成されている。
【0069】
そして、起動信号C1により、三角波発生器22が起動され、変調器12aを介して電圧制御発振器12bに変調信号Smが入力されると、電圧制御発振器12bは、変調信号Smの三角波状の波形の上り勾配に応じて所定の割合で周波数が増大(以後、この区間を上昇部と呼ぶ)し、それに引き続く下り勾配に応じて周波数が減少(以後、この区間を下降部と呼ぶ)するように変調された送信信号を出力する。
【0070】
図2は、送信信号の変調状態を表す説明図である。図2に示すように、変調信号Smにより、送信信号の周波数は、1/fmの期間に△Fだけ増減するように変調され、その変化の中心周波数はf0である。なお、100ms間隔で周波数が変調されているのは、後述する障害物検出処理が100ms周期で実行され、その処理の中で起動信号C1が生成されるからである。
【0071】
この送信信号に応じたレーダ波が送信器12から送出され、障害物に反射したレーダ波が、受信器14,16にて受信される。そして、受信器14,16では、受信アンテナ14a,16aから出力される受信信号と、送信器12からの送信信号とが混合されることにより、ビート信号B1,B2が生成される。なお、受信信号は、レーダ波が障害物まで間を往復する時間だけ送信信号に対して遅延し、且つ、障害物との間に相対速度がある場合には、これに応じてドップラシフトを受ける。このため、ビート信号B1,B2は、この遅延成分frとドップラ成分fdとを含んだもの(図17参照)となる。
【0072】
そして、図3に示すように、A/D変換器24aによりビート信号B1をA/D変換してなるデジタルデータD1は、RAM26c上のデータブロックDB1,DB2に順次格納され、一方、A/D変換器24bによりビート信号B2をA/D変換してなるデジタルデータD2は、同様に、データブロックDB3,DB4に格納される。ところで、A/D変換器24a,24bは、三角波発生器22の起動と共に起動され、変調信号Smが出力されている間に、所定回数のA/D変換を行うようにされているため、前半数のデータが格納されるデータブロックDB1,DB3には、送信信号の上昇部に対応した上昇部データが格納され、後半数のデータが格納されるデータブロックDB2,DB4には、送信信号の下降部に対応した下降部データが格納されることになる。
【0073】
このようにして各データブロックDB1〜DB4に格納されたデータは、マイクロコンピュータ26及び演算処理装置28にて処理され、障害物及び静止物の検出のために使用される。
b)次に、マイクロコンピュータ26にて実行される障害物検出処理を、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、この障害物検出処理は、100ms周期で起動される。
【0074】
図4に示すように、本処理が起動されると、まず、ステップ110にて、起動信号C1を出力して三角波発生器22を起動し、続くステップ120にて、RAM26c上の終了フラグをクリアすると共に、起動信号C2を出力してA/D変換器24a,24bを起動する。
【0075】
これにより、三角波発生器22からの変調信号Smを受けた送信器12により、周波数変調されたレーダ波が送信されると共に、障害物により反射したレーダ波を受信することにより受信器14,16から出力されるビート信号B1,B2が、A/D変換器24a,24bを介してデジタルデータD1,D2に変換されRAM26cに書き込まれる。
【0076】
続くステップ130では、RAM26c上の終了フラグを調べることにより、A/D変換が終了したか否かを判断する。そして、終了フラグがセットされていなければ、A/D変換は終了していないものとして、同ステップ130を繰り返し実行することで待機し、一方、終了フラグがセットされていれば、A/D変換は終了したものとしてステップ140に移行する。
【0077】
ステップ140では、RAM26c上のデータブロックDB1〜DB4のいずれか一つを順次選択し、そのデータブロックDBi(i=1〜4)のデータを演算処理装置28に入力してFFTの演算を実行させる。なお、演算処理装置28に入力されるデータは、FFTの演算により表れるサイドローブを抑制するために、ハニング窓や三角窓等を用いた周知のウィンドウ処理が施される。そして、この演算結果として、各周波数毎の複素ベクトルが得られる。
【0078】
ステップ150では、複素ベクトルの絶対値、即ちその複素ベクトルが示す周波数成分の振幅に基づき、周波数スペクトル上でピーク(スペクトルピーク)の頂点となる全ての周波数成分(以下ピーク周波数成分と呼ぶ)を検出して、その周波数をピーク周波数として特定し、ステップ160に進む。なお、スペクトルピークの頂点の検出方法としては、例えば、周波数に対する振幅の変化量を順次求め、その前後にて変化量の符号が反転する周波数にスペクトルピークの頂点があるものとして、その周波数を特定すればよい。
【0079】
ステップ160では、ステップ150にて特定されたピーク周波数成分の位相を算出する。この位相は、複素ベクトルが実数軸となす角度に等しく、複素ベクトルから簡単に求められる。
続くステップ170では、未処理のデータブロックDBiがあるか否かを判断し、未処理のものがあれば、ステップ140に戻って、その未処理のデータブロックDBiについて、ステップ140〜160の処理を実行し、一方、未処理のものがなければ、ステップ175に移行する。
【0080】
ステップ175では、後に詳述する様に、検出した障害物が静止物かどうかを判定する静止物判定処理を行う。
続くステップ180では、ピーク周波数成分の振幅、即ちパワーを夫々比較することにより、上昇部と下降部とで同じパワーを有するものを、同一障害物からの反射波に基づくピーク周波数成分のペアとして特定するペアリング処理を実行する。
【0081】
但し、ここでは、前記ステップ175の静止物判定処理の際に、明らかにペアでないと判定されたピーク同士は、ペアリング処理を行わない。
尚、このペアリング処理は、例えば特願平8−179227号の図7及びその説明等に示す処理と同様であるので、その詳しい説明は省略する。
【0082】
続くステップ190では、ステップ180にてペアリングされたピーク周波数成分を用いて、障害物との距離,相対速度、及び障害物の方位を算出する距離・速度方位算出処理を実行して本処理を終了する。
例えば上昇部及び下降部毎に、各受信チャンネルCH1,CH2間で位相差を算出し、その位相差の符号が等しくない場合には、下記式(1),(2)を用いて障害物との距離D及び相対速度Vを算出する。
【0083】
V=(C/(4*f0))*(fb2−fb1) …(1)
D=(C/(8*△F*fm))*(fb1+fb2) …(2)
但し、△Fは送信信号の周波数変位幅(周波数変位幅)、f0は送信信号の中心周波数、1/fmは1周期の変調に要する時間(即ちfmは三角波の繰り返し周波数)、Cは光速、fb1は上昇部のビート周波数(上りビート周波数)、fb2は下降部のビート周波数(下りビート周波数)、Cは光速を表す。
【0084】
尚、この距離・速度・方位算出処理は、例えば特願平8−179227号の図5及びその説明等に示す処理と同様であるので、その詳しい説明は省略する。
c)次に、前記ステップ175にて行われる静止物判定処理の基本原理について説明する。
【0085】
ここでは、静止物の判定には、まず、車速センサ等の誤差を考慮して複数の周波数シフト量(Sn−1、Sn、Sn+1)を設定し、評価関数を用いて、その中から真の周波数シフト量TSnを求める。そして、真の周波数シフト量TSnに対応した上り及び下りスペクトルを用い、そのピーク周波数成分に対応した物標が、移動物か静止物かを判定する。以下詳細に説明する。
【0086】
(i)まず、周波数シフト量(以下単にシフト量とも記す)の算出の手順▲1▼〜▲3▼を説明する。
▲1▼まず、自車速度VB等を用い、基本周波数シフト量(基本シフト量)を算出する基本周波数シフト量演算式を設定する。
【0087】
つまり、前記式(1)を変形して、静止物の判定のために、スペクトルをどれだけずらすかを決めるための基本量(基本シフト量=(fb2−fb1))を算出する式(3)を設定する。
基本シフト量=(fb2−fb1)=(4*VB*f0)/C …(3)
但し、fb1は上りビート周波数、fb2は下りビート周波数、VBは自車速度、f0は送信信号の中心周波数、Cは光速を表す。
【0088】
このとき、車速センサの誤差が既知、或は学習済みの場合は、補正係数、マップ演算等によって補正した自車速度VBを利用する。
▲2▼次に、レーザ装置12のビーム角度に応じた補正を行う。
図6に示す様に、ビームステア、スキャンセンサの場合のセンサ正面方向、あるいは進行方向からのビーム角度をθとすると、ドップラ効果を利用して相対速度を検出するレーダの場合、検出可能な速度成分は、ビーム方向に等しい速度成分である(−VB*COSθ)であるために、補正を行う必要がある。この成分は、ビームをステア、スキャンニングする角度が大きくなればなるほど小さくなり、真の移動速度(接近する速度;−VB)とのずれが大きくなり、正確な周波数シフトが行えなくなる。
【0089】
従って、ここでは、基本シフト量に角度補正係数(COSθ)を加味した第1補正のための下記式(4)を設定する。これにより、θが大きくなるほど、基本シフト量は小さく補正される。
第1補正後シフト量=(4*COS(θ)*VB*f0)/C …(4)
▲3▼次に、車速センサの応答遅れを加味した補正を行う。
【0090】
車速センサは、一般的に、駆動系、車輪系からのパルス信号の時間間隔を測定し、その値より実際の車速を検出する。しかし、実際には、安定性、ノイズ等により、時間的にフィルタリングされているため、実際の車速との間には応答遅れにがある。例えば時速100kmで走行するような状況では、その遅れは気にならないが、加速、減速時には、時速数キロの時間遅れを生ずる。そこで、本実施例では、その遅れを考慮して、許容値を持った処理を行う。
【0091】
具体的には、実際の車両の種類によって時間遅れ幅は異なるので、予め車両毎に基本遅れ幅を持たせることが可能である。これは、実車速、車速センサのフィルタの時定数等によって異なるが、ここでは、速度遅れ値Dvとして設定する。従って、この値を用いて第2補正のための下記式(5)を設定する。
【0092】
Figure 0003575334
ここで、速度遅れ値Dvの値としては、車速センサの分解能を考慮した値とする。例えば車速センサが±5km/hの誤差が生じる場合には、Dv=(−5,0,+5)の様に例えば3通りに設定することが可能である。
【0093】
つまり、実際には速度遅れ値Dvの幅だけ車速センサの時間遅れが生じる可能性があるので、前記式(5)により、基本シフト量にある幅を持たせることができる。即ち、後に詳述する様に、周波数シフト量にある幅を持たせて複数の周波シフト量を設定し、その中で一番マッチした周波数シフト量を選択することにより、真の車速に基づいた周波数シフト量を設定することができる。
【0094】
尚、処理を簡素化するために、前記▲2▼の角度成分の影響を吸収するような値にDvを設定することも可能である。
(ii)次に、評価関数による評価方法について説明する。
ここでは、前記式(5)で求めた複数の周波数シフト量を用いて、各々下降部のスペクトルをシフトし、上昇部のスペクトルとの一致度の比較を行う。
【0095】
▲1▼従来では、一意に決定された周波数シフト量を用いて、上り及び下りスペクトルの対応するスペクトルピークのピーク周波数成分の減算のみを行っていたが、本実施例では、複数の周波数シフト量(従ってシフトする際のシフト幅)の中から最適な周波数シフト量を求めるために、下記の評価関数を用いる。
【0096】
この評価関数は、下記の式(6),(7)に示す様に、スペクトルピークの振幅だけでなく、位相差モノパルスレーダで得た方位情報を示す位相差も用いる。尚、位相差は、2系統の受信系を持つモノパルスレーダで受信したそれぞれの位相情報を減算した値であり、この位相差を利用して対象物の方位を求める方式が位相差モノパルスレーダである。
【0097】
Figure 0003575334
尚、位相差モノパルスレーダの場合、その構成上、上昇部、下降部では符号が逆転するので、その和が0ならば、一致していることになる。
【0098】
そして、図6に示す様に、前記振幅評価値Yと位相差評価値Xとを持つ評価ベクトルVpの長さ|Vp|を評価値とする。
次に、この評価値|Vp|を各ピーク周波数成分毎に求めてその合計を求めるのであるが、その場合には、下記式(8)に示す様に、目的とするピーク周波数成分だけでなく、その近傍の周波数に関しても、同様に評価値|Vp|を求めて、それらの和(近傍和Sum2)を求める。尚、近傍和Sum2を求める範囲は、図8に示す様に、一点鎖線を中心にして左右の破線で挟まれた帯状の範囲であり、FFTの分解能により変化する。
【0099】
ここで、近傍和Sum2を求めるのは、単一のピーク周波数成分を用いる場合に比べて、その精度が高いからである。
Figure 0003575334
但し、P;(評価するピークの順番を示す)ピーク周波数番号、
n;近傍の幅(近傍をn個に区分した場合)
また、この場合、全てのピーク周波数成分に関してその近傍和を求めるのではなく、静止物及び移動物の判定を行うピーク周波数成分のみに対してその近傍和Sum2を求める。これは、全てに対して処理を行うと、ノイズ、クラッタ等のピークにより、正しい結果が検出されない場合があるばかりか、演算時間が大量に必要となるからである。
【0100】
ここで、例えば図7に示す様に、上昇部(上りスペクトル)に存在するスペクトルピークを、Pu1、Pu2、Pu3、Pu4、下降部(下りスペクトル)に存在するスペクトルピークを、Pd1、Pd2、Pd3、Pd4(但し、1,2,3は静止物、4は移動物のスペクトルピークとする)とした場合を考える。
【0101】
この場合、下りスペクトルを複数の周波数シフト量だけシフトさせると、図8に示す様になる。この図8では、基本シフト量Snに対して、Sn±1の3種の周波数シフト量とした。尚、周波数シフト量Snに関して±1の値の意味は、シフト量を演算する際の車速センサの応答遅れ、誤差等を考慮した幅であり、説明の便宜上、±1の幅を用いた。
【0102】
そして、各々の周波数シフト量に対応した上り及び下りスペクトルに対して、即ち上りと下りの両スペクトルの間で対応する一対のスペクトルピークに対して、各々各ピーク周波数成分の近傍において近傍和Sum2を算出するのである。▲2▼次に、前記各スペクトルピークに関する近傍和Sum2を求めた後に、下記式(9)の様に、各近傍和Sum2を合計して、各周波数シフト量毎のスペクトル全体和Sum1を求める。
【0103】
スペクトル全体和Sum1=Σ近傍和Sum2 …(9)
そして、この各スペクトル全体和Sum1(|Vp|)が最も小さい周波数シフト量を、真の周波数シフト量TSnとする。従って、例えば図8では、中央のスペクトルに対応した周波数シフト量Snが、真の周波数シフト量TSnとして選択される。
【0104】
この様に、スペクトル全体和Sum1(|Vp|)が最小のものを真の周波数シフト量TSnとする理由は、スペクトル全体和Sum1が小さいほど、各評価ベクトルの絶対値が全体として小さく、よって、各スペクトルピークの一致度が大きいと考えられるからである。
【0105】
尚、ここでは、シフト幅として3種を例に挙げたが、実際には、第2補正後シフト量を示す前記式(3)で求められる幅に基づいて、真の周波数シフト量TSnが決定される。
また、一旦真の周波数シフト量TSnが求められた後は、次回の演算の際に、この真の周波数シフト量を加味して周波数シフト量の演算を行ってもよい。
【0106】
(iii)次に、真の周波数シフト量TSnを用いた移動物、静止物の分離方法について説明する。
先の(i)、(ii)の演算において、車速センサの遅れ、誤差、ビーム向き等の影響を除外し、真の周波数シフト量TSnを求めた。ここでは、この周波数シフト量だけシフトしたスペクトルの一致度によって、移動物、静止物を判定する。
【0107】
従来は、スペクトルの減算を行うのみであったが、本実施例では、それに伴う偶然にピークレベルが等しいスペクトルピークが存在する可能性を考えて、即ち、移動物と静止物とのピークが合成されている場合を考慮して処理を行う。
具体的には、前記図8に示す様に、移動物と静止物との分離は、先の評価値の近傍和Sum2を用いて行う。
【0108】
つまり、図8に示す様に、あるスペクトルピークの近傍和Sum2が閾値Thp以下の場合には、スペクトルピークの振幅(ピーク振幅)及びビームの方位(位相差)に関して、上昇部及び下降部のスペクトルピークが一致していると見なして、一致したスペクトルピークが静止物であるとの静止物判定を行う。一方、あるスペクトルピークの近傍和Sum2が閾値Thpを上回る場合には、移動物と静止物のスペクトルピークの組み合せ、又はノイズ等によるスペクトルピークの組み合せと判断して、静止物判定を行わない。尚、閾値Thpに関しては、車両の走行状態、天候等により変更してもよく、固定値に限定されない。
【0109】
(iv)次に、前記移動物と静止物の合成ピーク判定について説明する。
判定対象のピークが、移動物と静止物のスペクトルピークが合成されたものであるかどうかの判定に関しては、移動物予測フラグを用いることによって行う。つまり、図9に示す様に、前回静止物と判定されなかったスペクトルピークで、別の手段により移動物と判定されたスペクトルピークに関しては、その移動物の運動状態によって、△t後に出現するであろうスペクトルピークの位置(ピーク位置)が予測される。この予測位置を示しフラグを移動物予測フラグと呼ぶ。従って、仮に静止物判定された場合でも、そのピーク位置に移動物予測フラグがたっていた場合には、移動物と静止物の合成ピークであると判定し、静止物判定は行わない。尚、同様にして、順次移動物予測フラグをセットしてゆく。
【0110】
d)次に、前記原理に基づいて行われる前記ステップ175の静止物判定処理について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
本処理は、上述した原理に基づいて、レーダ装置2により認識された障害物(物標)のスペクトルピークが、静止物に該当するものであるか否かを判定するための処理である。
【0111】
まず、図10のステップ200にて、前記▲1▼〜▲3▼の手順にて設定した前記式(5)に基づいて、基本シフト量を補正した第2補正後シフト量、即ち周波数シフト量の幅を決定する。
続くステップ210では、(まだ周波数シフトを実行していない)例えばシフト幅Sn−1から周波数シフトを行う。例えば下りスペクトル全体をシフトする。従って、2回目に本処理を通過した場合には、次のシフト幅の周波数シフトを行う。
【0112】
続くステップ220では、前記ステップ210にて周波数シフトしたスペクトルにおいて、その評価を行うべき所定のスペクトルピークに対して、前記式(6),(7)に基づいて、そのスペクトルピークの頂点のピーク周波数成分の近傍における評価値|Vp|を順次算出する。
【0113】
続くステップ230では、前記式(8)に基づいて、前記ステップ220にて算出した所定のスペクトルピークの頂点の近傍の評価値|Vp|を合計して、そのピークの近傍和Sum2を算出する。
続くステップ240では、判定を希望するピークの数だけ近傍和Sum2の算出の処理が終了したか否かを判定する。例えば図8に示す様に、例えばシフト幅Sn−1において、4つのスペクトルピークに関して、各々の近傍和Sum2を全て算出したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ250に進み、一方否定判断されると前記ステップ220以降の処理に戻り、他のスペクトルピークの評価値|Vp|及び近傍和Sum2の算出を行う。
【0114】
ステップ250では、前記ステップ220〜240にて、全てのスペクトルピークの近傍和Sum2の算出が終了したので、前記式(9)に基づいて、それらを合計して、スペクトル全体和Sum1の算出を行う。
続くステップ260では、シフト幅回数シフトしたか否かを判定する。例えば周波数シフト量が、Sn−1、Sn、Sn+1の3通りある場合には、各々の周波数シフト量において、上述したスペクトル全体和Sum1等の演算が行われたか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ270に進み、一方否定判断されるとステップ210以降の処理戻り、前記と同様にして他のスペクトル全体和Sum1の算出の処理を行う。
【0115】
ステップ270では、全て(例えば図8では3通り)のスペクトル全体和Sum1の値を比較し、その最も小さな値に対応する周波数シフト量を、真の周波数シフト量TSnとする。
続くステップ280では、真の周波数シフト量にて周波数シフトしたスペクトルに関し(図8では中央のシフト量Snのスペクトル)、所定のスペクトルピーク(詳しくは上りと下りのスペクトルで対応した一対のスペクトルピーク)の近傍和Sum2が、閾値Thp以下か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ290に進み、一方否定判断されるとステップ320に進む。
【0116】
ステップ320では、スペクトルピークの近傍和Sum2が閾値Thpより大きいので、即ち、静止物と判定するには評価の一致度が低いので、そのスペクトルピークに該当する物標識が移動物であるとして、移動物であることを示す移動物フラグをセットし、ステップ330に進む。
【0117】
一方、ステップ290では、そのピーク位置に移動物予測フラグがセットされているかどうかを判定する。ここで肯定判断されるとステップ310に進み、一方、否定判断されるとステップ300に進む。
ステップ310では、移動物予測フラグがセットされているので、そのスペクトルピークは静止物と移動物との合成ピークであると判断して、合成ピークを示す合成ピークフラグをセットし、ステップ330に進む。
【0118】
一方、ステップ300では、移動物予測フラグがセットされていないので、即ち近傍和Sum2が閾値Thp以下で且つ移動物予測フラグがセットされていなので、そのスペクトルピークは静止物のスペクトルピークであると判断して、静止物を示す静止物フラグをセットし、ステップ330に進む。
【0119】
ステップ330では、判定を希望するスペクトルピークの数だけ、前記ステップ280〜310における処理、即ちそのスペクトルピークが何を意味するのかの判定処理が終了したか否かを判定する。ここで否定判断されると前記ステップ280以降の処理を繰り返し、一方肯定判断されると一旦本処理を終了する。
【0120】
以上説明したように、本実施例のレーダ装置2においては、静止物の判定の際に、車速センサ等の誤差を考慮して複数の周波数シフト量(Sn−1、Sn、Sn+1)を設定し、前記式(6)〜(9)からなる評価関数を用いて、その中から真の周波数シフト量TSnを求める。そして、真の周波数シフト量TSnに対応した上り及び下りスペクトルを用いて、その両スペクトルのスペクトルピークに対する評価を行って、移動物と静止物とを分離している。これにより、移動物と静止物とを正確に区別することができる。
【0121】
つまり、本実施例では、ビームの向きを考慮した補正を行い、更に、車速センサ等による誤差を考慮して、従来の様に、単一な周波数シフト量ではなく、複数の周波数シフト量を設定するとともに、評価値|Vp|から求めた近傍和Sum2及びスペクトル全体和Sum1を用いて周波数シフト量の評価を行うことにより、誤差等を排除した真の周波数シフト量TSnを決定することができる。
【0122】
しかも、この真の周波数シフト量TSnに対応した上り及び下りスペクトルを用い、両スペクトルにおいてその各一対のスペクトルピークの近傍和Sum2と閾値Thpとを比較することにより、移動物を排除することができるので、個々の物標に対して、それが移動物か静止物かを正確に区別することができる。
【0123】
その上、移動物予測フラグを用いることにより、移動物と静止物との合成フラグを排除することができる。それにより、静止物のみを確実に認識することができ、その点からも静止物判定の精度が向上するという利点がある。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0124】
前記実施例1では、スペクトルピーク(パワースペクトル)の波形に対して、シフト等の処理を行い、静止物判定を行った。しかし、上昇部及び下降部のスペクトル波形を記憶するためには、レーダ装置に波形形状を記憶するための大容量メモリが必要になる。また、周波数解析を認識処理とは別のプロセッサで行っている場合には、通信速度の関係で、波形データを全て送信することはできないことがある。
【0125】
この対策として、本実施例では、スペクトル波形のピーク情報、即ちスペクトルピークの頂点に関するピーク情報(頂点を示すピーク周波数、頂点における振幅(ピークレベル)、対応するスペクトルピーク同士の頂点を示す位相の差(位相差))のみを用いて、静止物判定を行った。以下、詳細に説明する。
【0126】
a)まず、本実施例の原理について説明する。
本実施例では、前記実施例1の式(5)で求めた複数の周波数シフト量を用いて、下りスペクトルをシフトし、上りスペクトルと下りスペクトルの対応するスペクトルピークの一致度の比較を行うが、ここでは、各スペクトルピークの所定幅の波形情報ではなく、図11の太線で示す様に、各スペクトルピークの頂点に対応する値であるピーク情報のみを用いてスペクトルマッチ度の評価を行う。
【0127】
▲1▼具体的には、まず、前記実施例1と同様に、前記振幅評価値Yと位相差評価値Xとを持つ評価ベクトルVpの長さ|Vp|を評価値とする。
ここで、図11に示す様に、上りスペクトルに存在するスペクトルピークを、Pu1、Pu2、Pu3、Pu4、下りスペクトルに存在するスペクトルピークを、Pd1、Pd2、Pd3、Pd4(但し、1,2,3は静止物、4は移動物のスペクトルピーク)とした場合を考える。
【0128】
この場合、下りスペクトルを複数の周波数シフト量だけシフトさせると、図12に示す様になる。この図12では、基本シフト量Snに対して、Sn±1の3種の周波数シフト量とした。
そして、各々の周波数シフト量に対応した上り及び下りスペクトルに対して、即ち上りと下りの両スペクトルの間で対応する一対のスペクトルピークに対して、各スペクトルピークの頂点に対応するピーク情報の評価値|Vp|を算出する。
【0129】
▲2▼次に、前記各評価値|Vp|を求めた後に、前記実施例1の様に近傍和Sum2を求めるのではなく、各評価値|Vp|を合計して、各周波数シフト量毎の評価値和SumVpを求める。この評価値和SumVpとは、前記実施例1のスペクトル全体和Sum1に対応するものである。
【0130】
つまり、本実施例では、近傍和Sum2が不要であるので、この評価値和SumVpが、前記実施例1のスペクトル全体和に相当するものとなる。
そして、この各評価値和SumVpが最も小さい周波数シフト量を、真の周波数シフト量TSnとする。従って、例えば図12では、中央のスペクトルに対応した周波数シフト量Snが、真の周波数シフト量TSnとして選択される。
【0131】
▲3▼また、真の周波数シフト量TSnを用いた移動物、静止物の分離は、下記の様にして行う。
図12に示す様に、あるスペクトルピークの評価値|Vp|が閾値THp1以下の場合には、ピークレベル及びビームの方位(位相差)に関して、上り及び下りスペクトルのスペクトルピークが一致していると見なして、一致したスペクトルピークが静止物であるとの静止物判定を行う。一方、あるスペクトルピークの評価値|Vp|が閾値THp1を上回る場合には、移動物と静止物のピークの組み合せ、又はノイズ等によるピークの組み合せと判断して、静止物判定を行わない。
【0132】
b)次に、前記原理に基づいて行われる静止物判定処理について、図13のフローチャートに基づいて説明する。
本処理は、上述した原理に基づいて、レーダ装置2により認識された障害物(物標)のスペクトルピークが、静止物に該当するものであるか否かを判定するための処理である。
【0133】
まず、図13のステップ400にて、前記実施例1と同様に、基本シフト量を補正した第2補正後シフト量、即ち周波数シフト量の幅を決定する。
続くステップ410では、例えばシフト幅Sn−1から順次周波数シフトする。続くステップ420では、前記ステップ410にて周波数シフトしたスペクトルにおいて、その評価を行うべき所定のスペクトルピークに対して、そのスペクトルピークの頂点のピーク情報のみを用いて、前記評価値|Vp|を順次算出する。
【0134】
続くステップ440では、判定を希望するスペクトルピークの数だけ評価値|Vp|の算出の処理が終了したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ450に進み、一方否定判断されると前記ステップ420に戻る。
続くステップ450では、前記ステップ420にて算出した所定のスペクトルピークの評価値|Vp|を合計して、その評価値和SumVpを算出する。
【0135】
続くステップ460では、シフト幅回数シフトしたか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ470に進み、一方否定判断されるとステップ410に戻る。
ステップ470では、全ての評価値和SumVpの値を比較し、その最も小さな値に対応する周波数シフト量を、真の周波数シフト量TSnとする。
【0136】
続くステップ480では、真の周波数シフト量TSnにて周波数シフトしたスペクトルに関し(図12では中央のシフト量Snのスペクトル)、所定のピークの評価値|Vp|が、閾値THp1以下か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ490に進み、一方否定判断されるとステップ520に進む。
【0137】
ステップ520では、スペクトルピークの評価値|Vp|が閾値THp1より大きいので、移動物であることを示す移動物フラグをセットし、ステップ530に進む。
一方、ステップ490では、そのスペクトルピークの位置に移動物予測フラグがセットされているかどうかを判定する。ここで肯定判断されるとステップ510に進み、一方、否定判断されるとステップ500に進む。
【0138】
ステップ510では、移動物予測フラグがセットされているので、合成ピークを示す合成ピークフラグをセットし、ステップ530に進む。
一方、ステップ500では、移動物予測フラグがセットされていないので、静止物を示す静止物フラグをセットし、ステップ530に進む。
【0139】
ステップ530では、判定を希望するスペクトルピーク全ての処理が終了したか否かを判定する。ここで否定判断されると前記ステップ480に戻り、一方肯定判断されると一旦本処理を終了する。
この様に、本実施例では、前記実施例1の様に、(スペクトルピークの頂点近傍等の)波形情報を用いるのではなく、頂点のピーク情報のみを利用して静止物判定を行っている。
【0140】
そのため、演算速度が速いという効果がある。また、大容量メモリが不要であり、コストを低減することができる。更に、周波数解析を認識処理とは別のプロセッサで行っている場合でも、ピーク情報のみを送信すればよく、通信速度の影響を受け難いという利点がある。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1,2と同様な箇所の説明は省略する。
【0141】
前記実施例2では、スペクトルピークの頂点のピーク情報のみを用いて静止物判定を実施したが、例えば図14に示す様に、連続したガードレールからのスペクトルのように、ピーク形状が急峻でなく、なだらかで広い幅を持つような形状のものに関しては、スペクトルピークの頂点が微妙に変動し上昇部と下降部でスペクトルピークの頂点が一致しない場合(▲1▼と▲2▼の不一致)が存在する。
【0142】
この対策として、本実施例では、周波数シフトした後に、基準となる上りスペクトルのスペクトルピークの頂点のピーク周波数を中心として、所定の幅Pw以内に存在する下りスペクトルのスペクトルピークの頂点を、評価値|Vp|を算出する対象とすることにより、静止物判定を行った。以下、詳細に説明する。
【0143】
a)まず、本実施例の原理について説明する。
具体的には、まず、前記実施例1と同様に、前記振幅評価値Yと位相差評価値Xとを持つ評価ベクトルVpの長さ|Vp|を評価値とする。
ここで、図14に示す様に、上りスペクトルに存在するスペクトルピークを、Pu1、Pu2、Pu3、Pu4、下りスペクトルに存在するスペクトルピークを、Pd1、Pd2、Pd3、Pd4(但し、1,2,3は静止物、4は移動物のスペクトルピーク)とした場合を考える。
【0144】
この場合、下りスペクトルを基本シフト量Snだけシフトさせると、図15(a)に示す様になる。
そして、上りと下りの両スペクトルの間で対応する一対のスペクトルピークに対して、各スペクトルピークの頂点に対応するピーク情報の評価値|Vp|を算出するのであるが、ここでは、基準となる上りスペクトルの各スペクトルピークのピーク周波数を中心として、所定の幅Pw以内に、下りスペクトルの対応するスペクトルピークの頂点が存在するかどうかのチェックを行った。
具体的には、上りスペクトルの所定のスペクトルピークの頂点のピーク周波数に着目し、下りスペクトルの対応するスペクトルピークにおいて、前記ピーク周波数から±Pw/2の範囲にある振幅値を、その幅Pwを小さく区切って順次調べる。この場合、頂点のピーク情報であるピークレベルは記憶されているが、それ以外の位置の波形の振幅値は「0」である。
【0145】
従って、例えばAピークの様に、幅Pw以内に、上昇部のAピークの頂点に対応する下降部のAピークの頂点が存在する場合、その頂点同士の評価値|Vp|は、頂点同士でない場合の評価値|Vp|よりも小さい。よって、ここでは、評価値|Vp|を算出して、その最小値を求める。即ち、本実施例の評価値|Vp|の最小値が、前記実施例2の(理想状態における)評価値|Vp|に対応したものである。
【0146】
尚、移動物、静止物の分離は、前記静止物判定を行わないもの以外は、前記実施例2と同様である。
b)次に、前記原理に基づいて行われる静止物判定処理について、図16のフローチャートに基づいて説明する。
【0147】
まず、図16のステップ600にて、前記実施例1,2と同様に、基本シフト量を補正した第2補正後シフト量、即ち周波数シフト量の幅を決定する。
続くステップ610では、基本シフト量Snだけ周波数シフトする。
続くステップ620では、前記ステップ610にて周波数シフトしたスペクトルにおいて、その評価を行うべき所定のスペクトルピークに対して、その頂点のピーク情報を用いて前記評価値|Vp|を算出するのであるが、このとき、上述した様に、所定幅Pwにおける評価値|Vp|の最小値を求める。
【0148】
続くステップ630では、判定を希望するスペクトルピークの数だけ評価値|Vp|の最小値の算出の処理が終了したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ640に進み、一方否定判断されると前記ステップ620に戻る。ステップ640では、スペクトルピークの評価値|Vp|の最小値が、閾値THp2以下か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ650に進み、一方否定判断されるとステップ680に進む。
【0149】
ステップ680では、スペクトルピークの評価値|Vp|の最小値が閾値THp2より大きいので、移動物であることを示す移動物フラグをセットし、ステップ690に進む。
一方、ステップ650では、そのスペクトルピークの位置に移動物予測フラグがセットされているかどうかを判定する。ここで肯定判断されるとステップ670に進み、一方、否定判断されるとステップ660に進む。
【0150】
ステップ670では、移動物予測フラグがセットされているので、合成ピークを示す合成ピークフラグをセットし、ステップ690に進む。
一方、ステップ660では、移動物予測フラグがセットされていないので、静止物を示す静止物フラグをセットし、ステップ690に進む。
【0151】
ステップ690では、判定を希望するスペクトルピーク全ての処理が終了したか否かを判定する。ここで否定判断されると前記ステップ640に戻り、一方肯定判断されると一旦本処理を終了する。
この様に、本実施例では、スペクトルピークの頂点のピーク情報のみを利用して静止物判定を行っているので、前記実施例2と同様な効果を奏する。
【0152】
更に、本実施例では、上昇部のスペクトルピークの頂点に対して、その所定幅Pwにおける下降部のスペクトルピークの頂点があるか否かをチェックし、評価値|Vp|の最小値を求め、評価値|Vp|の最小値を用いて静止物判定を行っている。
【0153】
そのため、例えばガードレールの様に、スペクトルピークの頂点が変動する可能性がある場合でも、より確実に静止物判定を行うことができるという利点がある。
尚、静止物判定を実施しないものに関しては、別の手段(例えばペアシフトによる処理)を行って、別途静止物判定を行うことができる。
(実施例4)
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1〜3と同様な箇所の説明は省略する。
【0154】
本実施例は、基本的には、前記実施例3と同様な処理を行うが、評価値|Vp|の最小値を求める手法が異なるので、異なる点のみを説明する。
つまり、本実施例でも、上りと下りの両スペクトルの間で対応する一対のスペクトルピークに対して、各スペクトルピークの頂点に対応するピーク情報の評価値|Vp|を算出するのであるが、ここでは、下りスペクトル全体を一括してシフトするのではなく、下りスペクトルの個々のスペクトルピークを、周波数シフト量(例えばSn)±Pw/2の範囲でシフトして、スペクトルマッチ度を評価する。
【0155】
具体的には、図15(b)に示す様に、下降部の例えばCピークを、Sn−Pw/2〜Sn+Pw/2の範囲でずらし、その範囲内でずらした場合において、前記実施例3と同様にして、所定幅Pwにおける評価値|Vp|の最小値を求める処理を行う。尚、他のスペクトルピークも同様にずらして、スペクトルマッチ度の評価を行う。
【0156】
本実施例においても、前記実施例3と同様な効果を奏する。
尚、本発明は前記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
また、前記実施例では、FMCWレーダ装置について述べたが、この装置による制御を実行させる手段を記憶している記録媒体にも、本発明は適用できる
【0157】
例えば記録媒体としては、マイクロコンピュータとして構成される電子制御装置、マイクロチップ、フロッピィディスク、ハードディスク、光ディスク等の各種の記録媒体が挙げられる。
つまり、上述したFMCWレーダー装置の制御を実行させることができる例えばプログラム等の手段を記憶したものであれば、特に限定はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のレーダ装置の全体構成を表すブロック図である。
【図2】送信信号の周波数の変化を表すグラフである。
【図3】RAMに格納されるデータを表す説明図である。
【図4】障害物検出処理を表すフローチャートである。
【図5】レーザレーダのビームの向きによる補正を示す説明図である。
【図6】評価値を示す説明図である。
【図7】上昇部と下降部のスペクトルを示す説明図である。
【図8】3種のシフト幅にてシフトした場合のスペクトルを示す説明図である。
【図9】移動物予測フラグのセット方法を示す説明図である。
【図10】実施例1の静止物判定処理を示すフローチャートである。
【図11】実施例2の上昇部と下降部のスペクトルを示す説明図である。
【図12】3種のシフト幅にてシフトした場合のスペクトルを示す説明図である。
【図13】実施例2の静止物判定処理を示すフローチャートである。
【図14】実施例3の上昇部と下降部のスペクトルを示す説明図である。
【図15】基本シフト幅にてシフトした場合を示し、(a)は実施例3におけるスペクトルを示す説明図、(b)は実施例4におけるスペクトルを示す説明図である。
【図16】実施例3の静止物判定処理を示すフローチャートである。
【図17】FMCWレーダの原理を表す説明図である。
【図18】FMCWレーダによるビート信号スペクトルを示す説明図である。
【符号の説明】
2…レーダ装置 10…送受信部
12…送信器 12a…変調器
12b…電圧制御発振器 12c,12d…電力分配器
12e…送信アンテナ 14,16…受信器
14a,16a…受信アンテナ 14b,16b…ミキサ
14c,16c…前置増幅器 14d,16d…ローパスフィルタ
14e,16e…後置増幅器 20…信号処理部
22…三角波発生器 24a,24b…A/D変換器
26…マイクロコンピュータ 28…演算処理装置

Claims (17)

  1. 所定の変調幅で、周期的に周波数が漸次増減する送信信号を発生し、レーダ波として送信する送信手段と、
    物標により反射された前記レーダ波を受信して受信信号を発生すると共に、該受信信号を、前記送信信号と混合してビート信号を発生する受信手段と、
    前記送信信号の周波数が上昇する上り変調時の上りビート信号から上りスペクトルを作成すると共に、前記送信信号の周波数が下降する下り変調時の下りビート信号から下りスペクトルを作成するスペクトル作成手段と、
    前記上りスペクトル及び下りスペクトルの少なくとも一方のスペクトルピークを、所定周波数シフト量シフトさせて、両スペクトルの対応するスペクトルピーク同士を比較し、前記物標の移動状態を検出する検出手段と、
    を備えたFMCWレーダ装置において、
    前記FMCWレーダ装置を搭載した車両の速度に基づいて、前記周波数シフト量を設定する際に、測定の誤差を考慮して複数の周波数シフト量を設定する複数シフト量設定手段と、
    前記設定された各周波数シフト量に対応した前記上りスペクトル及び下りスペクトル毎に、スペクトルマッチ度の評価を行う評価手段と、
    前記評価結果に基づいて、前記スペクトルマッチ度の最も高い周波数シフト量を決定する決定手段と、
    前記決定された周波数シフト量に対応した前記上りスペクトル及び下りスペクトルを用いて、前記物標の静止判定を行う静止判定手段と、
    を備えたことを特徴とするFMCWレーダ装置。
  2. 前記FMCWレーダ装置を搭載した車両の速度に基づいて、前記周波数シフト量を設定する際に、基本周波数シフト量と、該基本周波数シフト量から所定量ずれた周波数シフト量とを設定することを特徴とする前記請求項1に記載のFMCWレーダ装置。
  3. 前記評価手段では、各周波数シフト量に対応した上りスペクトル及び下りスペクトルにおいて、両スペクトルの対応する一対のスペクトルピーク毎にスペクトルマッチ度を評価し、このスペクトルピーク毎のスペクトルマッチ度の評価に基づいて、各周波数シフト量毎のスペクトルマッチ度を評価することを特徴とする前記請求項1又は2に記載のFMCWレーダ装置。
  4. 前記静止判定手段では、前記決定された周波数シフト量に対応した上りスペクトル及び下りスペクトルにおいて、両スペクトルの対応する一対のスペクトルピーク毎に、スペクトルマッチ度の評価を行い、該評価に基づいて前記物標の静止判定を行うことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載のFMCWレーダ装置。
  5. 前記スペクトルマッチ度の評価を、スペクトルピークの所定幅の周波数帯における情報に基づいて行うことを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載のFMCWレーダ装置。
  6. 前記スペクトルマッチ度の評価を、スペクトルピークの振幅及び物標の方位情報に基づいて行うことを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載のFMCWレーダ装置。
  7. 前記スペクトルピークの振幅に基づく振幅評価値をYとし、前記物標の方位情報に基づく位相評価値をXとした評価ベクトルの絶対値に基づいて、前記スペクトルマッチ度の評価を行うことを特徴とする前記請求項6に記載のFMCWレーダ装置。
  8. 前記評価を行うスペクトルピークに関する前記評価ベクトルの絶対値の近傍和を、各スペクトルピークに対して求め、それらの近傍和の合計のスペクトル全体和が最小のものを、真の周波数シフト量とすることを特徴とする前記請求項7に記載のFMCWレーダ装置。
  9. 前記評価を行うスペクトルピークに関する前記評価ベクトルの絶対値の近傍和を所定の閾値と比較し、前記近傍和が閾値以下の場合には、前記物標を静止物と判定することを特徴とする前記請求項7又は8に記載のFMCWレーダ装置。
  10. 前記FMCWレーダ装置のビームの向きを考慮して周波数シフト量を設定することを特徴とする前記請求項1〜9のいずれかに記載のFMCWレーダ装置。
  11. 既に移動物と認識されている物標に対して、今回の移動位置を予測して移動物予測フラグを設定し、今回の判定対象のスペクトルピークに対して前記移動物予測フラグがセットされている場合には、前記物標を静止物とは判定しないことを特徴とする前記請求項1〜10のいずれかに記載のFMCWレーダ装置。
  12. 所定の変調幅で、周期的に周波数が漸次増減する送信信号を発生し、レーダ波として送信する送信手段と、
    物標により反射された前記レーダ波を受信して受信信号を発生すると共に、該受信信号を、前記送信信号と混合してビート信号を発生する受信手段と、
    前記送信信号の周波数が上昇する上り変調時の上りビート信号から上りスペクトルを作成すると共に、前記送信信号の周波数が下降する下り変調時の下りビート信号から下りスペクトルを作成するスペクトル作成手段と、
    前記上りスペクトル及び下りスペクトルの少なくとも一方のスペクトルピークを、所定周波数シフト量シフトさせて、両スペクトルの対応するスペクトルピーク同士を比較し、前記物標の移動状態を検出する検出手段と、
    を備えたFMCWレーダ装置において、
    前記FMCWレーダ装置を搭載した車両の速度に基づいて、前記周波数シフト量を設定する際に、レーダのビームの向きを考慮して周波数シフト量を設定するビームシフト量設定手段と、
    前記周波数シフト量に対応した前記上りスペクトル及び下りスペクトルを用いて、前記物標の静止判定を行う静止判定手段と、
    を備えたことを特徴とするFMCWレーダ装置。
  13. 前記静止判定手段では、前記周波数シフト量に対応した上りスペクトル及び下りスペクトルにおいて、両スペクトルの対応する一対のスペクトルピーク毎に、スペクトルマッチ度の評価を行い、該評価に基づいて前記物標の静止判定を行うことを特徴とする前記請求項12に記載のFMCWレーダ装置。
  14. 前記スペクトルマッチ度の評価を、スペクトルピークの所定幅の周波数帯における情報に基づいて行うことを特徴とする前記請求項13に記載のFMCWレーダ装置。
  15. 前記スペクトルマッチ度の評価を、スペクトルピークの振幅及び物標の方位情報に基づいて行うことを特徴とする前記請求項8又は9に記載のFMCWレーダ装置。
  16. 前記スペクトルピークの振幅に基づく振幅評価値をYとし、前記物標の方位情報に基づく位相評価値をXとした評価ベクトルの絶対値に基づいて、前記スペクトルマッチ度の評価を行うことを特徴とする前記請求項15に記載のFMCWレーダ装置。
  17. 前記評価を行うスペクトルピークに関する前記評価ベクトルの絶対値の近傍和を所定の閾値と比較し、前記近傍和が閾値以下の場合には、前記物標を静止物と判定することを特徴とする前記請求項16に記載のFMCWレーダ装置
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