JP3574577B2 - 高粘性合成石英ガラスおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体の部材として適用される材料であり、粘性を向上させた高粘性合成石英ガラスおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセス中、特に熱処理工程において用いられる炉心管、ボート等の部材には石英ガラスが適用される。従来、この石英ガラスは、天然に産する水晶を粉砕したものを原料として、酸水素火炎溶融法または電気溶融法などにより製造されてきた。
【0003】
近年、半導体の高集積化に伴い、前述した部材に適用される石英ガラスには、より高い純度が要求されている。しかし、従来の石英ガラスは、天然の水晶を原料としているため、要求純度を満足し得えなかった。
【0004】
そこで、SiCl4などの珪素化合物を原料として合成石英ガラスを合成して、純度の高い合成石英ガラスを得る方法が開発された。この方法には、SiCl4などの珪素化合物を酸水素火炎中で加水分解させて、生成したガラス微粒子を酸水素火炎の熱で直接溶融ガラス体を得る直接法、また、同様にして生成したガラス微粒子を酸水素火炎の熱でまず多孔体を作り、これを後で加熱焼結して透明化し、ガラス体を得るVAD(Vapor−phase Axial Deposition)法などがある。
【0005】
これらの方法によれば、SiCl4などの珪素化合物を原料としていることから、合成された石英ガラスは純度が向上するものの、一方において、合成石英ガラスは、加水分解反応により製造されることから、多量のOH基が含まれている。OH基はガラスの粘性を低下させる作用を持つため、多量のOHが含有される合成石英ガラスは粘性が低くなり耐熱性が劣っていた。また、原料として珪素塩化物を用いた場合、VAD法では多孔体に残存したCl基がその後の加熱焼結透明化工程で揮発するためほとんど残存しない(5ppm以下)が、直接法では多量のCl基が残存し、更に粘性を低下させていた。このため、従来の合成石英ガラスは、半導体製造プロセスの熱処理工程用部材として使用することができなかった。
【0006】
これを克服するために、例えば、特開平5−254859号公報に掲載されているように、VAD法による合成石英ガラスの製造工程中、多孔体を焼結する際、水素を含有した還元雰囲気とすることで粘性の高い合成石英ガラスをつくる方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、この製法で作った石英ガラスの粘性は、粉砕した天然の水晶を原料として酸水素火炎の熱によりこれを直接溶融堆積させたガラスの粘性には優るものの、粉砕した天然の水晶を電気溶融したガラスの粘性にはまだ劣るものであった。
【0008】
そこで、合成石英ガラスの粘性を更に向上させるための検討を行った。
【0009】
一般に、ガラス中に窒素を含有させると、そのガラスの粘性が向上することが知られている。
【0010】
例えば、特開平5−279049号公報に掲載されているように、気相合成により得られるガラス質のSiO2微粒子からなる多孔体を、アンモニアを含む雰囲気中で加熱処理し、次いで、1200℃以上の温度域における昇温速度を100℃/hr以下として焼結し、つまり、1200℃以上の温度域での昇温速度を遅くすることにより、閉気孔化(緻密化)する前に窒素等のガスを逃がして、石英ガラス中のN含有量を0.15wt%以上とすることで、従来よりも合成石英ガラスの耐熱性を向上させている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法を用いた場合においても、依然として粘性が低く、また透明化することができないなどの問題を有していた。
【0012】
本発明者等は、これらの原因を検討した結果、以前から知られているOH基の残留に起因する粘性低下だけでなく、SiO2微粒子からなる多孔体を、アンモニアを含む雰囲気中で加熱処理すると、
【化1】
また、Si−N−Hという化合物ができ、アンモニアを含む雰囲気中で窒化処理した多孔体には、N−H結合が残っており、これらからHを除去しないと逆に粘性の低下を引き起こしてしまうことを知見した。このことから、粘性低下は、N−H結合およびOH基の残留に起因することを知見した。
【0013】
また、窒素を多量に含有させることにより、窒素ガスが残存して、合成石英ガラスの透明化を妨げていた。さらに、閉気孔化する前にある程度の窒素ガスを逃がしたとしても、ガラス内部にOH基が残存していれば、閉気孔化が進んでからもOH基がSi−N結合に作用してNを解離させてしまい、ガラス中に窒素ガスとして残存し、透明化を妨げてしまうことを知見した。
【0014】
さらに、前述したように昇温速度を遅くしたとしても、特に多孔体が大型である場合には、内部のガスを十分に逃がす前に表面の緻密化が進行する恐れがあった。また、昇温速度を遅くすることにより昇温には時間がかかり、生産性が低いなどの問題を有していた。
【0015】
本発明は、これらの問題に対処するためになされたものであり、上記の知見に基づいて使用する多孔体およびこの多孔体を処理する温度、雰囲気および時間などの種々の処理条件を最適とすることにより、従来よりもさらに優れた耐熱性を有し、かつ透明化した高粘性合成石英ガラスおよびその製造方法を得ることを目的とする。
【0016】
また、均一な高粘性合成石英ガラスを得ることや、製造時間の短縮を図った高粘性合成石英ガラスの製造方法を得ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法は、珪素化合物を酸水素火炎中に導入して加水分解によりかさ密度1.0g/cm3以下の多孔質シリカ体を得る多孔体製造工程と、得られた前記多孔質シリカ体をアンモニア含有雰囲気中で加熱処理する窒化処理工程と、得られた窒素含有多孔質シリカ体を水素含有雰囲気中で加熱処理する透明化処理工程とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明においては、透明化処理工程を水素含有雰囲気中で行っている。この透明化処理工程を、例えば、ヘリウム中で行うと、N−H結合の切断は熱エネルギーによるしかなく、エネルギー消費量が多くなってしまう。また、N−H結合が残留しやすくなってしまうなどの問題が生じる。
【0019】
そこで本発明のように、窒化処理した多孔体を水素含有雰囲気中で加熱処理することにより、熱で解離したH+がN−H結合に作用してH2となり、化学的にN−H結合が切られ、このため、水素含有雰囲気中で加熱処理することで、N−H結合の残留を防止できる。
【0020】
また、透明化処理工程において水素雰囲気を用いたのは、OH基をほぼ完全に除去するためでもある。
【0021】
例えば、特開平5−254859号公報に掲載されているように、OH基の低減には水素含有雰囲気中での加熱処理が効果的である。この透明化処理工程において、OH基量を5ppm以下としなければ高粘性とすることができない。また、OH基が残留すると溶融ガラスが白濁してしまい、透明化しなかったり、また、その後のバーナ加工において発砲したりしてしまうが、これは、ガラス中のOH基がSi−N結合に作用してSi−OHとなってNが解離し、この解離したNがガラス中に泡として残留するためと考えられる。
【0022】
従って、本発明において、窒化処理工程後に水素含有雰囲気中において透明化処理工程を施すことにより、水素含有雰囲気中での加熱処理によるOH基の除去、後述する窒素ガスの除去およびN−H結合の切断と透明化とを同時に処理できるため、合成石英ガラスの粘性低下を防止でき、また製造時間の短縮を図ることができる。
【0023】
なお、水素含有雰囲気は水素濃度が50vol.%以上、好ましくは75vol.%以上とすると良く、さらに好ましくは95vol.%以上とすると良い。そして、残部はヘリウム、窒素およびアルゴン等の不活性ガスを用いることができる。
【0024】
本発明において、多孔質シリカ体のかさ密度を1.0g/cm3以下と規定したのは、1.0g/cm3を超えると通気性が悪くなり、多孔質シリカ体内部におけるアンモニアガス、水素ガス等の処理ガスとの反応が妨げられる恐れがあるためである。また、より好ましい多孔質シリカ体のかさ密度は0.3〜0.7g/cm3である。かさ密度を0.7g/cm3以下とすると通気性がより良くなるが、かさ密度が0.3g/cm3未満においては強度が弱くなるためである。
【0025】
また、本発明において、窒素を導入した多孔体を水素含有雰囲気中で好ましくは、1400〜1600℃の温度で加熱および焼結することにより、高粘性の向上および透明化を図った高粘性合成石英ガラスを得ることができる。
【0026】
請求項2記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法は、珪素化合物を酸水素火炎中に導入して加水分解によりかさ密度1.0g/cm3以下の多孔質シリカ体を得る多孔体製造工程と、得られた前記多孔質シリカ体をアンモニア含有雰囲気中で加熱処理する窒化処理工程と、得られた窒素含有多孔質シリカ体を水素含有雰囲気中、1000℃〜1200℃の温度で加熱処理する水素処理工程と、前記水素処理したシリカ体を非酸化性雰囲気中で加熱処理する透明化処理工程とを有することを特徴とする。
【0027】
特に、多孔体が大型の場合、具体的には、直径が250〜350mm、長さが2000〜3000mm程度の大きさの場合には、OH基または窒素ガスの除去が十分でないうちに表面が緻密化してしまい、OH基または窒素ガスが多孔体内部に残存する恐れがある。このため本発明のように、まず最初に、前述した水素含有雰囲気中で加熱処理する透明化工程と同様の効果が得られる温度、つまり、OH基または窒素ガスの除去、N−H結合の切断が可能な温度であり、かつ緻密化が大きく進行しない温度である1000〜1200℃で水素雰囲気中熱処理を行い、その後、窒素、ヘリウム、アルゴン、水素、これらの混合または真空中などの非酸化性雰囲気中において透明化(緻密化)を行うことにより、例えば、1400〜1600℃の温度で加熱処理することにより、OH基または窒素ガスなどの除去を十分に行うことができる。
【0028】
本発明において、窒化処理工程でアンモニア含有雰囲気中としたのは、窒素ガスのみでは窒素を導入することができないからである。
【0029】
また、窒素化剤であるアンモニアガスに窒素、アルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガスを混合することができ、混合比はアンモニアを80〜100vol.%とすると反応性が高くなり好ましい。
【0030】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法において、窒化処理工程における加熱処理温度は500〜1200℃であることを特徴とする。
【0031】
本発明において、窒化処理工程における加熱処理温度を500〜1200℃と規定したが、加熱処理温度が500℃未満であると反応が遅く、1200℃を超えると多孔体表面の緻密化が起こり、多孔体内部への窒素の導入が困難となり、その後の水素雰囲気中における熱処理の際にOH基、窒素ガスの除去が困難となるためである。なお、窒化処理工程における加熱処理温度を900〜1100℃とするとより好ましい。
【0032】
請求項4記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法において、窒化処理工程におけるアンモニア含有雰囲気中には、少なくとも炭化水素ガスが含有されることを特徴とする。
【0033】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法において、炭化水素ガスのかわりに固体カーボンを用いたことを特徴とする。
【0034】
本発明においては、請求項4に記載の炭化水素ガスの代替えとして、固体カーボンを混合しても同様の効果を得ることができる。
【0035】
請求項4および5記載の発明における炭化水素ガスおよび固体カーボンにより、以下に示すような反応が起こる。
【0036】
【化2】
上記反応により、アンモニアガスのみで窒素を導入する場合に比較して、窒素導入速度が大きく向上する。また、アンモニアガス100vol.%に対する炭化水素ガスの添加率は、外率で0.1〜1.0vol.%とするのが望ましい。この理由として、炭化水素ガスの添加率が0.1vol.%未満であると効果が認められず、また添加率が1.0vol.%を超えると、ガラス微粒子中にカーボンが析出する傾向が認められ好ましくないからである。また、アンモニアガス雰囲気下で固体カーボンを存在させる方法によっても反応促進効果は炭化水素ガスと比較して若干劣るものの、同様の効果を得ることができる。
【0037】
請求項6記載の発明は、請求項1または2に記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法において、珪素化合物とアンモニアガスとを酸水素火炎中に導入して窒素含有多孔質シリカ体を得る多孔体製造工程と窒化処理工程とを同時に処理することを特徴とする。
【0038】
本発明によれば、多孔体製造工程と窒化処理工程とを同時に処理しているため、製造時間をさらに短縮することができる。
【0039】
一般的に、多孔質シリカ体は多重管バーナに珪素化合物、酸素、水素を導入し、酸水素火炎により珪素化合物を加水分解させて得られるが、本発明においては、例えば、この多重管バーナに珪素化合物、酸素、水素及びアンモニアガスを導入し、アンモニア存在下で、酸水素火炎により珪素化合物の加水分解を行い、ガラス微粒子を生成することにより、多孔体製造工程と窒化処理工程とを同時に処理することができる。
【0040】
アンモニアガスの導入量は、多ければ多孔体中の窒素含有量は多くなるが、後述するように窒素の含有量が多すぎると、透明化工程で泡が残留し、透明化を妨げる恐れがあり、また、少なすぎると、最終的に得られる合成石英ガラス中に含まれる窒素の量も減少し、高粘性化の効果が低減する恐れがあるため、珪素塩化物導入量100mol%に対して外率で0.1〜10mol%とすることが好ましい。
【0041】
なお、アンモニア導入用の管を設け、アンモニアを単独で導入しても良いが、バーナの構造が複雑となるため、珪素化合物または水素ガスに混合して導入することが好ましい。
【0042】
また、ガス導入管の間にアルゴン、窒素などの不活性ガスを導入するとバーナのライフを飛躍的に向上させることができる。
【0043】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法において、酸水素火炎中に炭化水素ガスを導入することを特徴とする。
【0044】
前述したように炭化水素ガスを導入することにより、窒素導入速度を大きく向上させることができる。
【0045】
炭化水素ガスも珪素塩化物または水素ガスに混合して導入することが好ましい。また、前述したように、アンモニアガス100vol.%に対する炭化水素ガスの導入量は、外率で0.1〜1.0vol.%とするのが望ましい。
【0046】
なお、多孔体の窒素含有量は、窒化処理工程における熱処理温度、熱処理時間またはアンモニア濃度により調整できる。また、多孔体製造と同時に窒素を導入するときには、多孔体の窒素含有量をバーナへのアンモニア供給量により調整することができる。
【0047】
請求項8記載の高粘性合成石英ガラスは、OH基濃度が5ppm以下、窒素濃度が1000〜10000ppmおよび歪点が1120℃以上であることを特徴とする。
【0048】
ガラスの歪点は、粘性流動による永久歪の残留が実質的に起こらない温度であり、ガラスの耐熱性の指標となる温度である。本発明における高粘性合成石英ガラスでは、歪点が1120℃以上であり、OH基、N−H結合による粘性低下を防止して、さらに窒素導入による粘性向上を図るものである。好ましくは、歪点を1130℃以上とする。
【0049】
具体的に、多孔体に導入された窒素は、その後の水素含有雰囲気中での熱処理時に、熱およびOH基の作用によって脱離される。このため、最終的に得られるガラスの窒素含有量は、多孔体に導入する量と、その後の熱処理条件とにより調整することができる。ところが、多孔体における窒素の含有量が1重量%以上であると、その後の熱処理によって窒素が所定量まで除去できず、窒素が残存して透明化を妨げる恐れがある。このため、多孔体における窒素の含有量、また、その後の熱処理温度、熱処理時間を種々変えて、最終的に得られるガラスの窒素量を調整することにより、要求される粘性を有する透明な合成石英ガラスを得ることができる。
【0050】
最終的に得られる合成石英ガラスの窒素含有量は、1000〜10000ppmであり、本発明においては、このように窒素が多量に含有されているが、窒素含有量が多いにもかかわらず透明化が可能であったのはOH基を除去して、OH基のSi−N結合への作用を防止し、窒素の解離の問題を解決したためである。また、窒素含有量を1000〜10000ppmとしたのは、窒素含有量が1000ppm未満では高粘性化の効果が低く、10000ppmを超える場合には透明化を妨げるためである。
【0051】
また、OH基はそれ自体が粘性低下の原因となり、石英ガラスの内部にOH基が残存していれば、緻密化が進んでからもSi−N結合にOH基が作用してNを解離させてしまい、ガラス中に窒素ガスとして残存し、透明化を妨げる恐れがある。このため本発明において、OH基濃度を5ppm以下と規定した。
【0052】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の高粘性合成石英ガラスが、請求項1から7までのいずれかに記載の方法によりつくられることを特徴とする。
【0053】
請求項1から7までのいずれかに記載の方法により製造された合成石英ガラスに含有されるアルカリおよび金属などの不純物元素濃度は、高純度の四塩化珪素等の珪素化合物を化学反応させているので、各々0.01ppmと非常に低い値を示している。従って、本発明による製造方法を用いることで、高純度な合成石英ガラスを得ることができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施形態について、表1〜表5を用いて説明する。
【0055】
第1実施形態(表1〜表2)
本実施形態においては、本発明の方法により製造された合成石英ガラスが高粘性を有することを説明する。
【0056】
実施例1(試料No.1、試料No.2)
本実施例においては、多孔体製造工程において、原料であるSiCl4を酸水素火炎中で加水分解させてガラス微粒子を生成した。これを酸水素火炎の熱でかさ密度0.6g/cm3の多孔体として堆積させて、直径200mm×長さ500mmとした多孔体を用いた。
【0057】
その後得られた多孔体を、表1に示すように、アンモニア(100%)雰囲気中で、1050℃の温度で3時間加熱する窒化処理工程を施した。その後、水素雰囲気中(水素100%)、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施して、透明なガラス体を得た。これを試料No.1とした。
【0058】
なお、窒化処理工程及び窒化処理工程から透明化処理工程における昇温速度は、300℃/hであり、通常、雰囲気を切り換えて連続処理される。具体的には、アンモニアとプロパンとの混合ガス雰囲気中で1050℃で保持後、雰囲気を水素に切り替え、約1時間20分かけて昇温し、1450℃の温度で保持した。また、後述する試料についても昇温速度は、300℃/hとして、雰囲気を切り換えて連続処理を行った。
【0059】
【表1】
また得られたかさ密度0.6g/cm3、直径200mm×長さ500mmの多孔体を、表1に示すように、アンモニアとプロパンとの混合ガス雰囲気(LPG添加率0.4vol.%)中で1050℃の温度で3時間加熱する窒化処理工程を施した。その後、水素雰囲気中(水素100%)、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施して、透明なガラス体を得た。これを試料No.2とした。
【0060】
実施例2(試料No.3、試料No.4)
本実施例においては、原料であるSiCl4を酸水素火炎中で加水分解させ、ガラス微粒子を生成させた。これを酸水素火炎の熱でかさ密度0.6g/cm3の多孔体として堆積させて、直径300mm×長さ2000mmとした大型の多孔体を用いた。
【0061】
得られた多孔体を、表1に示すように、アンモニアとプロパンとの混合ガス雰囲気(LPG添加率0.4vol.%)中で1050℃の温度で3時間加熱する窒化処理工程を施した。次に、透明化工程に先立って、水素雰囲気中(水素100%)、1200℃の温度で加熱処理し、その後、ヘリウム雰囲気中、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施して透明なガラス体を得た。これを試料No.3とした。
【0062】
また、得られたかさ密度0.6g/cm3、直径300mm×長さ2000mmの多孔体を、表1に示すように、アンモニアとプロパンとの混合ガス雰囲気 (LPG添加率0.4vol.%)中で1050℃の温度で3時間加熱する窒化処理工程を施した。その後、水素雰囲気中、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施して、透明なガラス体を得た。これを試料No.4とした。なお試料No.4は、多孔体のサイズが大型化しただけで、他の条件は試料No.1と同じである。
【0063】
実施例3(試料No.5)
本実施例においては、原料であるSiCl4を酸水素火炎中で加水分解させ、ガラス微粒子を生成させた。これを酸水素火炎の熱でかさ密度0.6g/cm3の多孔体として堆積させて、直径200mm×長さ500mmとした多孔体を用いた。
【0064】
得られた多孔体を、表1に示すように、アンモニアとプロパンとの混合ガス雰囲気(LPG添加率0.4vol.%)中で1150℃の温度で10時間加熱する窒化処理工程を施した。その後、水素雰囲気中(水素100%)、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施して透明なガラス体を得た。これを試料No.5とした。
【0065】
比較例1(試料No.6、試料No.7)
本比較例においては、窒化処理工程を施さずにガラス体を得た。
【0066】
原料であるSiCl4を酸水素火炎中で加水分解させ、ガラス微粒子を生成させた。これを酸水素火炎の熱でかさ密度0.6g/cm3の多孔体として堆積させて、直径200mm×長さ500mmとした多孔体を用いた。
【0067】
表1に示すように、得られた多孔体に窒化工程を介さずに直接ヘリウム雰囲気中、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施して、透明なガラス体を得た。これを試料No.6とした。
【0068】
また表1に示すように、得られた多孔体を窒化工程を介さずに、直接水素雰囲気中(水素100%)、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施して、透明なガラス体を得た。これを試料No.7とした。
【0069】
比較例2(試料No.8)
本比較例においては、透明化処理工程における処理雰囲気を変えてガラス体を得た。
【0070】
原料であるSiCl4を酸水素火炎中で加水分解させ、ガラス微粒子を生成させた。これを酸水素火炎の熱でかさ密度0.6g/cm3の多孔体として堆積させて、直径200mm×長さ500mmとした多孔体を用いた。
【0071】
得られた多孔体を、表1に示すように、アンモニアとプロパンとの混合ガス雰囲気(LPG添加率0.4vol.%)中で1050℃の温度で3時間加熱する窒化処理工程を施した。その後、ヘリウム雰囲気中、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施した。しかしながら、透明なガラス体を得ることはできなかった。これを試料No.8とした。
【0072】
比較例3(試料No.9)
本比較例においては、多孔体のかさ密度を変えてガラス体を得た。
【0073】
原料であるSiCl4を酸水素火炎中で加水分解させ、ガラス微粒子を生成させた。これを酸水素火炎の熱でかさ密度1.4g/cm3の多孔体として堆積させて、直径200mm×長さ500mmとした多孔体を用いた。
【0074】
得られた多孔体を、表1に示すように、アンモニアとプロパンとの混合ガス雰囲気(LPG添加率0.4vol.%)中で1050℃の温度で3時間加熱する窒化処理工程を施した。その後、水素雰囲気中(水素100%)、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施して、透明なガラス体を得た。これを試料No.9とした。
【0075】
このようにして得られた試料No.1から試料No.9までのガラス体の中心部(中心から30%以内)を切り出して、不純物濃度、OH濃度、窒素濃度および歪点の測定を行った。なお、実施例2の試料No.3および試料No.4では、ガラス体の中心部および外周部について測定を行った。
【0076】
不純物濃度の測定には原子吸光法、OH濃度の測定には透過率によるIR法、窒素濃度の測定には水蒸気蒸留中和滴定法、歪点の測定にはビームベンディング法を用いた。その測定結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
表2に示す試料No.1から試料No.9は、SiCl4などの珪素塩化物を原料として製造された合成石英ガラスであり、不純物濃度はそれぞれ0.01ppmよりも少なくなっており純度が高い。
【0078】
合成石英ガラスのうち比較例1の試料No.6は、一般的なVAD法で製造した合成石英ガラスであり、OH濃度が100ppmと高い値を示している。
【0079】
このように、OH濃度が高いことから、また、窒化処理工程を行っていないことから、試料No.6の歪点は1085℃であり低い。
【0080】
これに対して、比較例1の試料No.7は、特開平5−254859号で提案されたものであるが、OH濃度は1ppmよりも少なく、このことから歪点は、上述した試料No.6よりは高いが、窒化処理工程を行っていないことから1105℃にとどまっている。
【0081】
これらに対し、本発明における試料No.1では、OH濃度は1ppmよりも少なく、かつ窒素濃度が1300ppmと高い値を示している。また、試料No.1の歪点は1125℃と高く、試料No.7を上回る粘性を有する合成石英ガラスであることが分かる。
【0082】
試料No.8は、窒素濃度が1120ppmと高い値を示しているが、ガラスが透明にならなかった。これは、透明化処理工程において、多孔体をヘリウム雰囲気中で熱処理したために、OH基が残留してしまい透明化しなかったと考えられる。
【0083】
また、試料No.9では、多孔体のかさ密度が1.4g/cm3と高いために、アンモニアとプロパンとによる窒化反応が多孔体の内部まで進んでおらず、窒素濃度が100ppmと低く、また水素含有雰囲気中での加熱処理によるOH基の除去も十分ではないため、OH濃度も20ppmとなっており、歪点は1090℃と低い値であった。
【0084】
以上のことから、本実施形態によれば、かさ密度1.0g/cm3以下の多孔体に窒化処理工程および透明化処理工程を施し、特に、透明化処理工程において水素含有雰囲気中で加熱処理することにより、歪点が1120℃以上という高い粘性を示す透明な合成石英ガラスを得ることができる。従って本実施形態によれば、高純度かつ耐熱性を有する合成石英ガラスを得ることができる。
【0085】
また、試料No.2は、OH基濃度が1ppmよりも少なく、かつ窒素濃度が1680ppmと高い値を示している。また、歪点は1130℃と高く、試料No.1を更に上回る粘性を有する合成石英ガラスであることが分かる。
【0086】
これは窒化処理工程において、アンモニア含有雰囲気中に炭化水素ガスを含有させたために、窒素の導入速度が大きく向上し、試料No.1と同じ時間の処理を行っても多量の窒素を含有させることができたためだと考えられる。
【0087】
また、試料No.3は、大型の多孔体を用いたにも関わらず、OH基濃度が中心部、外周部ともに1ppmよりも少なく、かつ窒素濃度も1680ppmと高い値を示している。また、歪点も中心部、外周部ともに1130℃と高く、試料No.1を更に上回る粘性を有し、かつ、中心部と外周部とで特性に違いのない均一な合成石英ガラスであることが分かる。
【0088】
これに対し、試料No.4では、OH基濃度が中心部では5ppmと、試料No.3に比べてわずかに高く、外周部では1ppmよりも少ない。窒素濃度は中心部では1700ppmと、試料No.3に比べてわずかに高く、外周部では1680ppmである。また、歪点は外周部では1130℃であるが、中心部ではOH基量がわずかに多いため1125℃となっている。
【0089】
これは、試料No.3は、透明化に先立って、緻密化が大きく進行しない温度で、かつ、水素含有雰囲気中での加熱処理による効果の得られる温度で加熱処理を行ったため、大型でも中心部のOH基や窒素の除去を十分に行うことができ、均一な合成石英ガラスを得ることができたと考えられる。
【0090】
また、試料No.5は、OH基濃度が1ppmよりも少なく、かつ窒素濃度が6400ppmと非常に高い値を示している。また、歪点は1135℃と高く、試料No.2を更に上回る粘性を有する合成石英ガラスであることが分かる。
【0091】
これは、試料No.2よりも高温で長時間の窒化処理を行ったため、多量の窒素を導入でき、かつ、水素含有雰囲気中での加熱処理によって、多量の窒素を含有しているにも関わらず透明化が可能になったためだと考えられる。
【0092】
第2実施形態(表3〜表5)
本実施形態においては、多孔体製造工程において珪素化合物を酸水素火炎中で加水分解する際に、アンモニアおよび炭化水素を同時に火炎中に導入し、窒素を含有した多孔体を一工程で製造する方法について説明する。
【0093】
実施例4(試料No.20、試料No.21)
試料No.20では、表3に示すように、バーナより、原料としてのSiCl4、そして酸素、水素およびアンモニアを導入し、酸水素火炎を発生させ加水分解にてガラス微粒子を生成した。これを酸水素火炎の熱でかさ密度0.6g/cm3の多孔体として堆積させて、直径200mm×長さ500mmとした多孔体を用いた。
【0094】
【表3】
その後表4に示すように、水素雰囲気中、1450℃の温度で焼結して透明なガラス体を得た。
【0095】
【表4】
試料No.21では、表3に示すように、バーナより、原料としてのSiCl4、そして酸素、水素、アンモニアとプロパンとの混合ガス(LPG添加率0.4vol.%)を導入し、酸水素火炎を発生させて加水分解によりガラス微粒子を生成した。これを酸水素火炎の熱でかさ密度0.6g/cm3の多孔体として堆積させて、直径200mm×長さ500mmとした多孔体を用いた。
【0096】
その後、表4に示すように、水素雰囲気中、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施して透明なガラス体を得た。これを試料No.21とした。
【0097】
なお、試料No.20、No.21において、バーナとして多重管を用い、中心管よりSiCl4、その外周にある管(仮にこれを2番管と称し、以後外側に向かって3、4および5番管と称する)より、水素、3番管に酸素を導入した。さらに、これら中心管、2番管および2番管の間にアルゴンを導入した。なお、アンモニアおよび炭化水素は、SiCl4に混合して導入した。
【0098】
また、バーナに導入するガスの流量として、SiCl4は20g/min、酸素は50l/min、水素は100l/min、アンモニアは5l/minとした。また、試料No.21におけるLPGは0.02l/minとした。
【0099】
実施例5(試料No.22)
試料No.22では、表3に示すように、バーナより、原料としてのSiCl4、そして酸素、水素、アンモニアとプロパンの混合ガス(LPG添加率0.4vol.%)を導入し、酸水素火炎を発生させて加水分解によりガラス微粒子を生成した。これを酸水素火炎の熱でかさ密度0.6g/cm3の多孔体として堆積させて、直径200mm×長さ500mmとした多孔体を用いた。
【0100】
なお、バーナとしては実施例4と同様の多重管バーナを用い、ガスを導入した。但し、バーナに導入するガスの流量として、SiCl4は20g/min、酸素は50l/min、水素は100l/min、アンモニアは10l/min、LPGは0.04l/minとした。
【0101】
その後、表4に示すように、水素雰囲気中、1450℃の温度で焼結する透明化処理工程を施して透明なガラス体を得た。
【0102】
比較例4(試料No.23)
本比較例においては、透明化処理工程において、ヘリウム雰囲気中で処理を施してガラス体を得た。なお、バーナに導入するガスの流量は、実施例と同様である。
【0103】
試料No.23では、表3に示すように、バーナより、原料としてのSiCl4、そして酸素、水素、アンモニアおよびプロパンを導入し、酸水素火炎を発生させ加水分解にてガラス微粒子を生成した。これを酸水素火炎の熱でかさ密度0.6g/cm3の多孔体として堆積させて、直径200mm×長さ500mmとした多孔体を用いた。その後、表4に示すように、ヘリウム雰囲気中、1450℃の温度で焼結したが、白濁してしまい透明なガラス体を得ることができなかった。
【0104】
比較例5(試料No.24)
本比較例においては、多孔体のかさ密度を変えてガラス体を得た。なお、バーナに導入するガスの流量は、本実施形態における実施例と同様である。
【0105】
試料No.24では、表3に示すように、バーナより、原料としてのSiCl4、そして酸素、水素、アンモニアおよびプロパンを導入し、酸水素火炎を発生させ加水分解にてガラス微粒子を生成した。これを酸水素火炎の熱でかさ密度1.4g/cm3の多孔体として堆積させて、直径200mm×長さ500mmとした多孔体を用いた。その後、表4に示すように、水素雰囲気中(水素100%)、1450℃の温度で焼結したが、白濁してしまい透明なガラス体を得ることができなかった。
【0106】
このようにして得られた実施例および比較例の試料No.20〜No.24について、ガラス体の中心部(中心から30%以内)を切り出して、不純物濃度、OH濃度、窒素濃度および歪点の測定を行った。なお、不純物濃度の測定には原子吸光法、OH濃度の測定には透過率によるIR法、窒素濃度測定には水蒸気蒸留中和滴定法および歪点の測定にはビームベンディング法を用いた。その測定結果を表5に示す。
【0107】
【表5】
表5に示すように、試料No.20〜試料No.24は、SiCl4などの珪素塩化物を原料としている合成石英ガラスであり、各不純物濃度は0.01ppmよりも低く純度が高い。
【0108】
また、本発明における試料No.20は、OH基濃度が1ppmよりも低く、なおかつ窒素が1200ppmであった。また、この試料No.20の歪点は1120℃と高い値を示しており、高粘性を有する合成石英ガラスであった。
【0109】
また、試料No.21では、OH基濃度が1ppmよりも低く、かつ窒素濃度が1700ppmと高い値を示している。また、歪点は1130℃と高く、試料No.20を更に上回る粘性を有する合成石英ガラスであることが分かる。
【0110】
これは、多孔体製造工程において、アンモニアだけでなく、炭化水素ガスを導入したために、窒素の導入速度が大きく向上し、試料No.20と同じアンモニアガスの流量でも多量の窒素を含有させることができたためだと考えられる。
【0111】
また、試料No.22は、OH基濃度が1ppmよりも少なく、かつ窒素濃度が6100ppmと非常に高い値を示している。また、歪点は1135℃と高く、試料No.21を更に上回る粘性を有する合成石英ガラスであることが分かる。
【0112】
これは、試料No.21よりもアンモニア、炭化水素ともに流量を大きくしたため、多量の窒素を導入でき、かつ、水素含有雰囲気中での加熱処理によって、多量の窒素を含有しているにも関わらず透明化が可能になったためだと考えられる。
【0113】
また、試料No.23では、各不純物濃度は0.01ppmよりも低く、また窒素濃度が1120ppmであったが、石英ガラスが透明にならなかった。これは、透明化処理工程において、多孔体をヘリウム雰囲気中で熱処理したために、OH基が残留してしまい透明化しなかったと考えられる。
【0114】
また、試料No.24では、試料No.9と異なり、多孔体製造時に窒素が導入されているため、窒素濃度は1200ppmと高く、かつ、多孔体のかさ密度が1.4g/cm3と高く、多孔体内部における水素含有雰囲気中での加熱処理によるOH基の除去が十分でないために、透明化しなかったと考えられる。
【0115】
なお、本発明はVAD法であるため、試料No.1〜No.24のいずれも蛍光X線により測定したCl基濃度は1ppmよりも少なかった。
【0116】
本実施形態によれば、SiCl4を原料として、酸素、水素、アンモニアおよびプロパンなどを導入して多孔体製造工程と窒化処理工程とを同時に処理する方法を用いた場合においても、第1実施形態と同様に、歪点が1120℃以上という高い粘性を有する合成石英ガラスを得ることができる。また、多孔体製造工程と窒化処理工程とを同時処理することにより、製造工程を減らして工程を簡略化するとともに、製造時間を大幅に短縮できる。
【0117】
【発明の効果】
以上で説明したように、本発明の製造方法によれば、優れた耐熱性および透明性を有する高粘性合成石英ガラスを得ることができる。また、均一な高粘性石英ガラスが得られ、製造方法の簡略化を図ることで、製造時間の短縮化を図ることができる。
Claims (9)
- 珪素化合物を酸水素火炎中に導入して加水分解によりかさ密度1.0g/cm3以下の多孔質シリカ体を得る多孔体製造工程と、得られた前記多孔質シリカ体をアンモニア含有雰囲気中で加熱処理する窒化処理工程と、得られた窒素含有多孔質シリカ体を水素含有雰囲気中で加熱処理する透明化処理工程とを有することを特徴とする高粘性合成石英ガラスの製造方法。
- 珪素化合物を酸水素火炎中に導入して加水分解によりかさ密度1.0g/cm3以下の多孔質シリカ体を得る多孔体製造工程と、得られた前記多孔質シリカ体をアンモニア含有雰囲気中で加熱処理する窒化処理工程と、得られた窒素含有多孔質シリカ体を水素含有雰囲気中、1000℃〜1200℃の温度で加熱処理する水素処理工程と、前記水素処理したシリカ体を非酸化性雰囲気中で加熱処理する透明化処理工程とを有することを特徴とする高粘性合成石英ガラスの製造方法。
- 請求項1または2に記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法において、窒化処理工程における加熱処理温度は500〜1200℃であることを特徴とする高粘性合成石英ガラスの製造方法。
- 請求項1から3までのいずれかに記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法において、窒化処理工程におけるアンモニア含有雰囲気中には、少なくとも炭化水素ガスが含有されることを特徴とする高粘性合成石英ガラスの製造方法。
- 請求項4記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法において、炭化水素ガスのかわりに固体カーボンを用いたことを特徴とする高粘性合成石英ガラスの製造方法。
- 請求項1または2に記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法において、珪素化合物とアンモニアガスとを酸水素火炎中に導入して窒素含有多孔質シリカ体を得る多孔体製造工程と窒化処理工程とを同時に処理することを特徴とする高粘性合成石英ガラスの製造方法。
- 請求項6記載の高粘性合成石英ガラスの製造方法において、酸水素火炎中に炭化水素ガスを導入することを特徴とする高粘性合成石英ガラスの製造方法。
- OH基濃度が5ppm以下、窒素濃度が1000〜10000ppmおよび歪点が1120℃以上であることを特徴とする高粘性合成石英ガラス。
- 請求項8記載の高粘性合成石英ガラスが、請求項1から7までのいずれかに記載の方法によりつくられることを特徴とする高粘性合成石英ガラス。
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