JP3573218B2 - 薄膜製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体装置等の電子機器の製造に際して用いられる薄膜製造方法にかかり、特に基板上に設けられた微細なコンタクトホール等の穴や溝を配線材料で充填する薄膜製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造工程では、特に超LISでは多層配線が行われており、この多層配線薄膜の間の絶縁膜にコンタクトホールを開け、薄膜間の多層配線同士を接続したり、絶縁薄膜の下にある配線金属材料の薄膜を外部電極に接続したりする等のため、薄膜に設けられたコンタクトホール等の穴や溝内に配線金属材料を充填する技術が必須となっており、
このような、コンタクトホールに金属を充填する技術として、従来はCVD法が用いられてきた。
このCVD法は、基板上にガスを導入し、導入されたガスの反応により膜を堆積させるものであり、微細な穴でも埋めることができる点で、微細なコンタクトホールに適用した場合に有効であるとされていた。
【0003】
しかしながらCVD法によると、基板表面で反応して所望の配線金属材料を基板上に析出させられるガスの存在が不可欠である。
【0004】
例えば、シリコン基板上にTiN膜を成長させたい場合には、Ti膜を成長できるようなガスをSi基板表面導入し、化学反応によりTiを析出させ、シリコン基板上に堆積させる原料ガスが必要となるが、その様な原料ガスはいまのところ発見されていない。このTi膜はTiN/Ti/Siのサンドイッチ構造として、特にシリコン基板を使用した集積回路にとって必要な薄膜であるため、従来はこれを成膜するために、物理的な方法であるスパッタリング方法が用いられていた。
【0005】
この一般的なスパッタリング方法による成膜工程を説明すると、成膜させたい物質から成るターゲット、又は成膜させたい物質の一成分を含むターゲットを真空槽内のターゲット電極上に置き、真空槽内を真空状態とした後アルゴン等のスパッタガスを導入し、前記電極に負電圧を印加して放電を生じせしめ、この放電により発生したプラズマ中の電離ガス分子(イオン)で前記ターゲット表面から薄膜材料物質であるターゲット粒子を叩き出す。こうしてターゲットから叩き出されたターゲット粒子は、余弦則によって様々な方向に飛び出していくが、それらのうち、前記ターゲットと対向して配置された基板に到達したものが堆積するとそこに薄膜を形成する。
【0006】
このようなスパッタリング方法で、コンタクトホール内に金属薄膜を形成する場合を図7(a)で説明すると、101はシリコン基板であり、コンタクトホール105、105を有しており、該コンタクトホール105、105の底面102、102の下には、図示しない拡散層が設けられてて、該拡散層と前記基板101の表面とを配線金属材料の薄膜を形成して、電気的に接続するものである。
【0007】
ところで、近年は半導体加工加工にも、増々微細化技術が要求されており、占有面積を小さくするために、薄膜に開けられる前記コンタクトホール105、105等の穴や溝の側壁は、その底面から略直角に立ち上がっるようになっており、しかも開口部を小さくしたことからアスペクト比も大きくなっている。このようなコンタクトホール105、105に対して、図示しないターゲットから叩き出されたターゲット粒子(ターゲットを構成する原子、またはそのクラスター。ターゲットがチタンから構成されていればチタン原子、及びそのクラスターとなる。)103は、矢印で示すように、種々の方向から入射する。
【0008】
その結果、図7(b)に示すように基板1に対して斜め方向から入射してきた
前記ターゲット粒子103は前記コンタクトホール105の開口部周辺に堆積し、ここでオーバーハング106を形成する。従って、コンタクトホール底面102に到達するターゲット粒子は少数となり、その部分の配線金属材料の薄膜の厚みが減少し、所望膜厚を確保できないという不都合が生じていた。
【0009】
このような従来のスパッタリング方法による不都合は、配線金属材料の薄膜を成膜する場合の他、Ti等のバリアメタルの薄膜を形成する際に発生し、いずれの場合でもコンタクトホール底面のボトムカバレッジは悪かった。
【0010】
かかる不都合は、スパッタされたターゲット粒子が種々の方向からコンタクトホールへ入射することに起因しており、そこで従来技術より、図8に示すようなコリメータ125を使用したコリメータスパッタリング方法が提案されていた(米国特許第4,824,544号明細書参照)。
【0011】
このコリメータスパッタリング方法とは、真空槽内のターゲット122と基板121の間に、コリメータ125を配置してスパッタリングを行い、前記基板121上に薄膜を堆積させるスパッタリング方法であり、前記コリーメータ125は、板124に貫通穴123フィルター状に開けられて構成されているため、前記ターゲット122から叩き出されたターゲット粒子のうち、垂直やそれに近い方向から入射するものだけが該コリメータ125を通過でき、斜め方向から入射するものは該コリメータ125に付着するので、これにより、前記基板121上に斜め方向から入射するターゲット粒子を取り除いてボトムカバレッジを向上させるものである。
【0012】
しかしながら、ターゲットから叩き出されたターゲット粒子のうちの大部分が前記コリメータ125に付着することになるのでスパッタリングレート(成膜速度)が低下してしまう。しかも、該コリメータ125に付着したターゲット粒子は薄膜を形成し、それが剥離するとダストやパーティクルとなってしまう。そして基板等に落下するので、製品歩留まりの低下や半導体素子の故障原因になる等の不都合を生じていた。
【0013】
特に、基板上のコンタクトホール内を、アルミ(Al)や、シリコン添のアルミ等の配線金属で充填しようとする場合には、チタン(Ti)等のバリアメタルを成膜する場合に比べて、基板上には膜厚の厚い薄膜を成膜しなければならないため、前記コリメータに付着するターゲット粒子の量が増し、その結果剥離する薄膜の量も増加するので、著しく歩留まりが低下してしまっていた。このような不都合はコリメータを頻繁に交換すれば回避し得るが、コリメータの交換を行うためには真空槽内を大気に曝さざるを得ず、交換毎に大気圧下の状態から高真空の状態になるまで長時間真空ポンプを動作させなければならないため、現実的な解決方法としては採用できなかった。
【0014】
一方、このようなターゲット粒子のコリメータへの付着を放置した場合には、前記貫通穴123内に薄膜が堆積し続ける。特にターゲットに配線材料を使用した場合にはこの堆積が甚だしいため、貫通穴の径が徐々に小さくなり、成膜速度が一層低下するばかりでなく、甚だしい場合にはコリメータが塞がれたり、それに到らずとも、コリメータの厚みと穴径で決まるコリメータ自体が有するアスペクト比が変化する等の不都合を生じていた。このように、配線材料の成膜にはコリメータスパッタリング方法は不向きであるとされていた。
【0015】
一方、コリメータを用いない従来のスパッタリング方法を使用して、配線材料を基板上に成膜する場合には、コンタクトホール周辺には、図7(b)で示したバリアメタルのオーバーハング量とは比較にならないほど多量のオーバーハングが形成されてしまう。
【0016】
そして配線材料をコンタクトホール内に充填させるために、加熱によるリフローイングを行う場合には、前記オーバーハングの影響により、図7(c)に示すようにコンタクトホール中にボイド107を生じてしまう場合があり、完全な充填を行うことができなかった。逆に、オーバーハングを生じないように、配線材料薄膜を薄く成膜した場合にはコンタクトホール底面に堆積したものの膜厚が特に薄くなるため、リフローイング時に膜厚の厚い基板表面上の薄膜に吸い取られてしまい、コンタクトホール内に配線材料がなくなってしまうという事態を生じることが知られている。
【0017】
なお、バイアスを掛けてスパッタリングを行った場合でも、かかる不都合を解消することができず、図7(d)に示すように、同様にボイド107が発生してしまう。
【0018】
このうように、コリメータを用いないスパッタリング方法では、コンタクトホールを配線材料で完全に埋め込むことはできなかった。
【0019】
ところで、従来技術で用いられていたスパッタリング装置では、ターゲットと基板の間の間隔であるスパッタリング距離は、数cmから10cm程度までに設定されているのが普通であり、一方、8インチウェハーに対応できるように、ターゲットの径は大きくなっており、従って、前記スパッタリング距離はターゲットの直径や基板の直径よりも短くなっていることとなる。このため、例えばターゲット周辺から基板上に入射するターゲット粒子の入射角は小さくなり、甚だしい斜め方向から入射することになる。このような斜め方向から入射するターゲット粒子の量は、大口径のターゲットを用いたり、成膜速度を向上させるためにターゲットと基板の間のスパッタリング距離を短くした場合には特に多量になり、そのため一層コンタクトホール周辺のオーバーハング量が増大し、ボトムカバレッジが低下する等の不具合を生じてしまうという問題があった。
【0020】
なお、本発明にいう「配線材料」は、アルミ金属の他、シリコンや銅が添加されたアルミ金属も含み、更に、バリアメタルとして用いられるチタン金属等も含むものとする。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解消するために創作されたもので、その目的は、剥離薄膜の発生等の問題を生ずることなく、オーバーハングが生じず、良好なボトムカバッレッジを得ることができる薄膜製造方法を提供することにあり、また、基板上に設けられたコンタクトホール等の穴や溝に配線材料を良好に充填できる薄膜製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、真空槽内に配線材料から成るターゲットと、表面にコンタクトホールが設けられた基板とを対向させて略平行に配置し、前記真空槽内にスパッタリングガスを導入して所定のスパッタリング圧力を保持し、前記スパッタリングガスで前記ターゲットをスパッタしてターゲット粒子を叩き出し、前記基板上に前記ターゲット粒子を堆積させて薄膜を製造する薄膜製造方法であって、前記ターゲットと前記基板の間の間隔であるスパッタリング距離を、前記ターゲットの有効半径と前記基板の有効半径とを加えた値に、前記基板に設けられたコンタクトホールのアスペクト比を掛け合わせて得られる値である算出距離以上、前記スパッタリング圧力の下での平均自由行程以下の大きさになるように制御してスパッタリングを行い、該スパッタリングによって薄膜が成膜された基板を加熱し、前記薄膜のリフローイングを行うことを特徴とし、
請求項2記載の発明は、真空槽内に配線材料から成るターゲットと、表面にコンタクトホールが設けられた基板とを対向させて略平行に配置し、前記真空槽内にスパッタリングガスを導入して所定のスパッタリング圧力を保持し、前記スパッタリングガスで前記ターゲットをスパッタしてターゲット粒子を叩き出し、前記基板上に前記ターゲット粒子を堆積させて薄膜を製造する薄膜製造方法であって、前記コンタクトホールに予めバリアメタル薄膜を成膜しておき、前記ターゲットと前記基板の間の間隔であるスパッタリング距離を、前記ターゲットの有効半径と前記基板の有効半径とを加えた値に、前記基板に設けられたコンタクトホールのアスペクト比を掛け合わせて得られる値である算出距離以上、前記スパッタリング圧力の下での平均自由行程以下の大きさになるように制御してスパッタリングを行うことを特徴とし、
請求項3記載の発明は、真空槽内に配線材料から成るターゲットと、表面にコンタクトホールが設けられた基板とを対向させて略平行に配置し、前記真空槽内にスパッタリングガスを導入して所定のスパッタリング圧力を保持し、前記スパッタリングガスで前記ターゲットをスパッタしてターゲット粒子を叩き出し、前記基板上に前記ターゲット粒子を堆積させて薄膜を製造する薄膜製造方法であって、前記コンタクトホールに予めバリアメタル薄膜を成膜しておき、前記ターゲットと前記基板の間の間隔であるスパッタリング距離を、前記ターゲットの有効半径と前記基板の有効半径とを加えた値に、前記基板に設けられたコンタクトホールのアスペクト比を掛け合わせて得られる値である算出距離以上、前記スパッタリング圧力の下での平均自由行程以下の大きさになるように制御してスパッタリングを行い、該スパッタリングによって薄膜が成膜された基板を加熱し、前記薄膜のリフローイングを行うことを特徴とする。
【0023】
【作用】
真空槽内に配線材料から成るターゲットと、表面にコンタクトホールが設けられた基板とを対向させて略平行に配置し、前記真空槽内にスパッタリングガスを導入し、真空槽内のガスの圧力であるスパッタガス圧力を所定の値に保持して前記スパッタリングガスで前記ターゲットをスパッタしてターゲット粒子を叩き出せば、前記基板上に到達したターゲット粒子がそこに付着し、堆積するので、スパッタリングの際に導入するスパッタリングガスに適当なものを選んだり、化学的に不活性なスパッタリングガスに反応性のガスを添加する等により、所望の組成から成る薄膜を製造することができる。
【0024】
しかしながら、高アスペクト比の薄膜を製造しようとする場合には、ターゲット粒子がコンタクトホール内壁に付着してしまうため、ボトムカバレッジが悪化したり、コンタクトホール開口部周辺にオーバーハングを生じる等の不都合が著しくなる。
【0025】
このような不都合を図9を用いて説明する。
図9(a)を参照し、ターゲット108から叩き出されたターゲット粒子が、基板101に入射するときの入射角をωxとする。
【0026】
図9(a)に示したように、ターゲット108からターゲット粒子がスパッタリングされて叩き出され得る有効半径内の領域の最外周の点Qから、所望特性を有する素子が得られる基板の有効半径内の領域の最外周にあるコンタクトホールであって、前記点Qとは、基板及びターゲットの中心軸線を挟んで対称の位置にあるコンタクトホールQに入射する場合がターゲット粒子が最も斜め方向からコンタクトホール内に飛び込むことになり、そのときの前記入射角ωxを最大入射角ωとすると、
ω ≧ ωx …… (1)
なる関係が成立する。
【0027】
そして、この最大入射角ωで入射してくるターゲット粒子が、前記コンタクトホール111の穴径a及びその深さbとの比で決まるアスペクト比(アスペクトレシオ) b/a との間に、
b/a > tan(ω) …… (2)
なる関係がある場合には、前記ターゲット粒子が前記コンタクトホール111内に入射すると、図9(b)のように、該コンタクトホール111の側壁112に付着してしまう。
【0028】
そこで、前記(2)式の逆の関係、即ち、
b/a ≦ tan(ω) …… (3)
なる関係が成立するようにすれば、前記コンタクトホール111内に入射するターゲット粒子を底面113に堆積させることができることになる。
【0029】
ところで、前記基板有効直径Sの最外周に位置するコンタクトホールに関して、上式が成立するためには、ターゲット有効直径をTとし、互いに略平行に配置されたターゲットと基板との間の間隔であるスパッタリング距離をLxとして、該Lxを、
Lx > {(T/2) + (S/2)}・b/a …… (4)
なる関係に保つようにしてスパッタリングを行えばよい。即ち、前記ターゲットの有効半径(T/2)と前記基板の有効半径(S/2)とを加えた値に、前記基板に設けられたコンタクトホールのアスペクト比b/aを掛け合わせて得られる値を算出距離とし、スパッタリング距離Lxを、前記算出距離以上の大きさになるように制御してスパッタリングを行えば、前記コンタクトホール側壁に付着するターゲット粒子を減少させることができるので、ボトムカバレッジのよい薄膜を製造することができる。
【0030】
また、前記ターゲット108から叩き出されたターゲット粒子が、スパッタガスを構成する分子と衝突すると、衝突したターゲット粒子は散乱されるので、ターゲット粒子の飛行方向が変わってしまう。従って、前記基板101に入射する方向に飛来してきたターゲット粒子が散乱されると基板101に入射しないような場合が生じたり、ターゲット108から垂直に叩き出されたターゲット粒子が斜め方向から基板101に入射してしまったりする。
【0031】
このような衝突が起こるまでにターゲット粒子が飛行し得る距離を統計的に平均したものは、平均自由行程λと呼ばれており、真空槽内部に存するガスの圧力、即ちスパッタリング圧力p(Torr)との間で、次の関係が成り立つことが知られている。
【0032】
λ 〜 10ー1/p (mm) …… (5)
この平均自由行程λは、スパッタリング圧力を 5×10−1Pa以上に設定する従来のスパッタリング装置では、5cm程度の値となり、この値は従来のスパッタリング装置におけるターゲットと基板との間のスパッタリング距離にほぼ等しい。従って、真空槽内を飛行するターゲット粒子は、スパッタガス分子と一回衝突するしかないかのうちに基板に到達できていた。
【0033】
しかしながら、成膜速度を向上させるため、スパッタリング圧力を上昇させると、平均自由行程λは小さくなり、その値がスパッタリング距離より小さくなると、ターゲット粒子は多数回散乱されてしまうため、基板に到達できないものの量が増し、スパッタリングレート(成膜速度)が低下してしまう。
【0034】
そこで、スパッタリング距離をスパッタリング圧力下でのターゲット粒子の平均自由行程よりも短くなるように制御すれば、ターゲット粒子が散乱されることがなくなるので、かかる不都合を回避することができる。
【0035】
なお、さらに基板電極に高周波バイアス電圧を印加する高周波バイアス電源を設ければ、バイアス電圧を印加することによってボトムカバレッを向上させることが可能である。
【0036】
【実施例】
以下図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0037】
図10に、本発明に使用できるスパッタリング装置の一例を示す。
図10を参照し、200はスパッタリング装置であり、真空槽205、スパッタガス導入口206、及び真空排気口207を備えており、前記真空槽205内には、チタン(Ti)金属で構成されるターゲット電極209と、基板210の装着される基板ホルダ211とが対向して配置されている。
【0038】
前記ターゲット電極209は、高周波フィルタ212を介して直流電源213の一方の電極に接続されており、該直流電源213の他方の電極は前記真空槽205に接続されている。
【0039】
前記ターゲット電極209はまた、整合回路214を介して高周波電源215の一方の電極に接続されており、該高周波電源215の他方の電極は、前記ターゲット電極209と同様に、前記真空槽205に接続されている。
【0040】
なお、前記ターゲット電極209の裏面には、マグネトロンスパッタを行えるように、磁石216が配置されている。
【0041】
前記ターゲット電極209には、直径250mmの大きさのターゲット208が配置されており、一方、前記基板ホルダ211は最大200mm程度の寸法の基板が装着可能に構成されており、該基板ホルダ211には直径150mmの基板が前記ターゲット208と略平行に配置されている。
【0042】
このスパッタリング装置200では、前記ターゲット208と前記基板210との距離(スパッタリング距離)は、使用可能な基板の最大直径よりも大きな値である300mm乃至1000mmに設定できるように構成されている。
【0043】
前記真空槽201内は真空排気口7を介して真空ポンプ(図示していない)が接続され、該真空槽210内を真空状態とした後、スパッタガス導入口6からアルゴンガスを導入できるように構成されており、前記図示しない真空ポンプの排気速度と前記スパッタガス導入口から導入されるアルゴンガス流量とを調整すれば、スパッタリングの際の前記真空槽201内の圧力であるスパッタリング圧力を所望の圧力に保持することが可能である。
【0044】
このスパッタリング装置200を用いた本発明の実施例(第1実施例)について説明する。
本第1実施例では、前記真空槽205内にアルゴンガスをスパッタガスとして導入し、該真空槽205内の圧力が2×10−2から5×10−2Pa台の状態に安定した後、前記直流電源213と前記高周波電源215を起動させた。
【0045】
前記ターゲット電極209には、前記直流電源213から約−400Vの直流負電圧(負電圧)を印加したところ、スパッタリングによる成膜の際には、約10Aのスパッタ電流が流れたのが認められた。また、前記ターゲット電極209には、高周波電源215から、1.5kWの高周波電力を、100MHzの周波数で印加した。
【0046】
このように、前記直流電源213と前記高周波電源215により、高周波一直流結合バイアスによってマグネトロン放電を発生せしめ、これによりスパッタガスをイオン化すると、前記イオン化されたスパッタガスは前記ターゲット208に印加されている負電圧で加速され、前記ターゲット208に入射するので、該ターゲット208表面をスパッタすると、前記ターゲット208表面からはターゲット粒子が叩き出される(いわゆる高周波スパッタリング)。
【0047】
前記ターゲット粒子は余弦則によって種々の方向へ飛行するが、それらのうちで前記基板210へ向かい、前記基板210上に到達したものが付着し、堆積すると薄膜が形成される。
【0048】
ところで一般に、前記ターゲット208と前記基板210とは中心軸線が一致するように配置されるので、前記スパッタリング距離217が100mmになるように設定した場合には、前記ターゲット208の有効直径と前記基板210の有効直径とを実寸法と等しく見積もると、前記最大入射角ωは約11.3degとなる。
【0049】
ところで、平均自由行程λとスパッタリング圧力pとの間には、(5)式を再掲すると、
λ 〜 10ー1/p (mm) ……再掲(5)
なる関係があり、スパッタリング距離が一定の時は、スパッタリング圧力pが高い程ターゲット粒子の平均自由行程λは短くなる。従って、散乱現象が多発して、スパッタリングレートが低下する他、ボトムカバレッジが悪化するという不都合がある。
【0050】
一方、スパッタガスの圧力を1×10−2Pa前後にした場合には、前記真空槽205内を飛行するターゲット粒子の平均自由行程λは、前記スパッタリング距離217よりも十分に長くなり、前記ターゲット粒子がスパッタガス分子と衝突する確率も低くなるので、散乱されることもなく、その結果、ほぼ垂直にターゲットから叩き出されたターゲット粒子はそのまま前記基板210に入射する。
【0051】
このように、低圧力下でスパッタリングを行う場合は、前記基板210に設けられたコンタクトホール等の穴や溝の開口付近に堆積するターゲット粒子の量は減少し、コンタクトホール底部に堆積する薄膜の膜厚は、基板表面上に堆積する薄膜の膜厚とほぼ同じ厚さにすることができる。
【0052】
なお、この実施例において、スパッタリングガスをアルゴンガスから窒素ガス(N)に替えれば、TiN薄膜を成膜することができる。
【0053】
また、前記ターゲット208をチタン金属からアルミ(Al)金属や、シリコン(Si)が添加されたアルミ金属等の配線金属に替えることも可能であり、その場合も図13(a)のように、基板251上のコンタクトホール252底面にボトムカバレッジのよい薄膜を成膜することがでる。そして、このような低融点の配線材料をボトムカバレッジよく成膜した場合には、リフローイングを行ってもコンタクトホール底面の薄膜が基板表面上の薄膜に吸い取られることはなく、図13(b)で示すように基板251のコンタクトホール253内に配線材料を十分に充填することができる。
【0054】
なお、従来のスパッタリング装置のスパッタリング圧力は3×10−1Pa程度であるので、この条件下でのスパッタリングと、本実施例のようにスパッタリング圧力を3×10−2Paとしてボトムカバレッジを向上させた場合とで、前記スパッタリング距離217と成膜速度との関係の比較を下記の表で例示する。
【0055】
【表1】
Figure 0003573218
【0056】
この表に示されるように、スパッタリング距離217が77mmの時に、1×10ー1Paと3×10−2Paの圧力の間で成膜速度に大差はないが、これは、その圧力での平均自由行程がスパッタリング距離と同程度の大きさだからである。
【0057】
一方、前記スパッタリング距離217がそれ以上大きくなると、両圧力での成膜速度に差が見られるようになり、例えばスパッタリング距離217が300mmの時は、成膜速度に差が見られている。
【0058】
このように、スパッタリング圧力を低く設定することにより、ターゲット粒子の散乱によるスパッタリング速度の低下を防止でき、また、散乱により、基板に対して斜めに入射するターゲット粒子を低減することができる。従って、成膜速度を大きくすることができるばかりでなく、ボトムカバレッジの向上も図れることになる。
【0059】
図11は本発明の実施に使用できる他のスパッタリング装置の例であり、図10のスパッタリング装置に対応した部分は図10と同じ符号で示してある。このスパッタリング装置220では、基板210の表面と、そこに設けられたコンタクトホール等の穴やトレンチ内に堆積した薄膜をリフローイングさせ、完全に充填されるように、基板ホルダ211に基板加熱用のヒータ221が組み込まれており、このヒータ221は外部ヒータ電源222から電力を供給されるように構成されている。従って、本スパッタリング装置220によれば、スパッタリング装置の他に、拡散炉等の加熱装置を使用することなくリフローイングを行うことができ、これにより、基板を大気雰囲気に曝すことなく、リフローイングを行うことができる。
【0060】
図12は、本発明に用いることができる、更に別のスパッタリング装置を示したものであり、図10のスパッタリング装置に対応した部分は、図10と同じ符号をもって示してある。このスパッタリング装置240では、基板210が配置された基板ホルダ211に、整合回路231を介して高周波バイアス電源232が接続され、前記基板ホルダ211に印加される高周波電圧により、基板210に設けられたコンタクトホール等の穴や溝の中に配線材料等を充填できるように構成されている。
【0061】
なお、これらスパッタリング装置220、240に設けられた前記ターゲット208は、前記スパッタリング装置200と同様に、直径が250mmの大きさであり、前記基板ホルダ211は、最大で直径200mm程度の寸法の基板が装着可能に構成されている。
【0062】
なお、図10、図11、図12のスパッタリング装置は、いずれもRF−DC結合バイアススパッタリング方式を用いているが、本発明はこの方式によるスパッタリング装置に限定されるものではなく、1×10−1Pa以下の真空雰囲気中で放電が安定的に維持できる種々の方式を用いたスパッタリング装置を使用することが可能である。
【0063】
次に、本発明の他の実施例(第2実施例)を、図1の工程図を用いて説明する。図1(a)を参照し、1は直径が200mm(8インチ)の基板であり、シリコン(Si)単結晶ウェハー2上に絶縁材料であるシリコン酸化膜(SiO)4が成膜され、その表面から前記シリコン単結晶ウェハー2に達する深さまでコンタクトホール3が開けられている。
【0064】
直径が300mmのチタンターゲットと、アルゴンのスパッタガスを使用して前記基板1の表面にチタン薄膜を全面成膜した。次いで、同じターゲットで、窒素ガス(N)のスパッタリングガスを使用し、窒化チタン(TiN)を全面成膜し、チタン薄膜と窒化チタン薄膜との2層薄膜から成るバリアメタル薄膜5、5を形成した。なお、本実施例ではマグネトロンスパッタを行っており、このマグネトロンスパッタでは、ターゲット表面のうち、主として電子が磁場で閉じこめられた部分からターゲット粒子が飛び出すので、ターゲットの有効使用領域はその直径300mmよりも狭くなり、有効直径は260mmであった。
【0065】
このときの成膜条件は、次の表に記載した通りである。なお、チタンターゲットを、窒素ガスとアルゴンガスとを混同したスパッタリングガスを用いてスパッタリングした場合でも、表2と同様に窒化チタンの薄膜が得られる。
【0066】
【表2】
Figure 0003573218
【0067】
ところで、このバリアメタル薄膜は、密着性向上の目的の他、後から成膜する配線材料が直接シリコン単結晶に接触し、その部分で化学反応が発生するのを防止するために形成するものであり、該バリアメタル薄膜で前記コンタクトホール3を充填するものではない。即ち、前記コンタクトホール3の底面6にバリアメタル薄膜5がある程度の膜厚で付着していればよいと言える。
【0068】
従って、配線材料から成る薄膜のように厚く成膜する必要がないため、バリアメタルの成膜には、例えばコリメータスパッタリング方法等、オーバーハングを生じない成膜方法であれば、種々の成膜方法を広く適用することができる。
【0069】
なお、コリメータスパッタリング方法により成膜した場合でも、コリメータに付着する不要な薄膜の量は少ないので、アルミを成膜する場合に比べてダストの発生等の不都合は少ない。
【0070】
前記バリアメタル薄膜を成膜した後、大気に曝して基板を冷却した。そして、350℃に加熱して60秒間の脱ガスを行い、20秒間放置して200℃まで冷却した。なお、大気に曝した後、窒素ガス雰囲気下、600℃でアニールしてもよい。
【0071】
その後、図1(b)に示すように、前記バリアメタル薄膜5上に、配線材料であるシリコン・銅添加アルミ(シリコン1.0%・銅0.5%添加)から成るターゲットを使用して、該配線材料の薄膜7を全面成膜した。
【0072】
前記基板1に設けられたコンタクトホール3の深さをB(μm)、開口部をA(μm)とすると、アルペクト比Rは、
R = B/A …… (6)
で表される。ここで、図2(a)のように、コンタクトホール3の底面周辺の一点と、開口部の周辺の一点とを結ぶ線分が底面と成す角度のうち、最も大きいものをθとすと、上式より、
tan(θ) = B/A = R …… (7)
前記コンタクトホール3は、前記基板1の全面に設けられているが、一般に、基板周辺部分に作製される半導体素子は正常に動作しないため、周辺部分に位置するコンタクトホール内を配線材料で完全に充填する必要はない。従って、基板の周辺部を除いた領域内に存するコンタクトホールに配線材料が充填されればよく、図2(b)のように、有効領域の直径を基板有効直径Sとすると、該基板有効直径Sは、基板の実寸法の直径Sに対し、
S ≦ S …… (8)
となる。
【0073】
また、ターゲットについても、その周辺部分の使用効率は低いため、周辺部分を除いた有効領域から飛来するターゲット粒子が基板上に薄膜を堆積するとしてよく、その有効領域の直径をターゲット有効直径Tとすると、ターゲットの直径Tに対し、
T ≦ T …… (9)
となる。
【0074】
ここで、図2(c)のように、前記ターゲット10と前記基板1とが、それらの中心軸線が一致するように配置されているものとし、前記基板有効直径S上の点と前記中心軸線21上の一点とを通る直線のうち、前記基板1との成す角度が、(7)式で記述されたθとなるものを直線22とする。
【0075】
前記基板1を固定し、前記ターゲットを上下移動させてスパッタリング距離を変化させた場合において、前記直線22が、前記ターゲット有効直径T上の点Pを通ったときのスパッタリング距離を算出距離Lとすると、該算出距離Lと、ターゲット有効直径T、基板有効直径S、角度θとの間には次式が成立する。
【0076】
= (T/2)・tan(θ) + (S/2)・tan(θ) ……(10)
上式は(7)式を用いて次のように書き換えられる、
= {(T/2)+(S/2)}・R ……(11)
前記スパッタリング距離Lを変化させた場合、該スパッタリング距離Lが、前記Lよりも大きいときは、前記点Pから叩き出されたターゲット粒子は前記コンタクトホール3の底面に到達できる。一方、前記スパッタリング距離Lが前記Lよりも小さくなった場合は、前記コンタクトホールの内壁に付着してしまう。即ち、ボトムカバレッジのよい薄膜を成膜するためには、スパッタリング距離Lは次式の範囲になければならない。
【0077】
L ≧ {(T/2)+(S/2)}・R ……(12)
このように、スパッタリング距離Lを、前記ターゲットの有効半径 (T/2) と前記基板の有効半径 (S/2) とを加えた値 {(T/2)+(S/2)} に、前記基板に設けられたコンタクトホール3のアスペクト比 R を掛け合わせて得られる値である算出距離L以上の大きさになるように制御してスパッタリングを行えば、ボトムカバレッジのよい薄膜を成膜することができる。
【0078】
上記(12)式が成立するようにしてスパッタリングを行ったときの、シリコン・銅添加アルミ薄膜の成膜条件、成膜結果を次表にまとめて記す。
【0079】
【表3】
Figure 0003573218
【0080】
次に、基板ホルダーに設けられた加熱装置により、前記シリコン・銅添加アルミ薄膜が成膜された基板1を440℃から530℃の範囲で加熱してリフローイングを行ったところ、図1(c)に示すように、前記コンタクトホール3内は、配線材料の薄膜7で充填され、ボイドは観察されなかった。
【0081】
なお、本第2の実施例では、前記バリアメタル薄膜にTi/TiNの2層膜を用いたが、Ti、TiN、TiW、MoSi、または、WSiの単層の薄膜や、Ti/TiN/Tiの3層薄膜等、シリコンと反応せず、且つ密着性のよいものが広く使用可能である。
【0082】
なお、本発明を使用してチタン薄膜を成膜した場合のボトムカバレッジの実測値を図面を用いて説明する。
【0083】
図3(a)は、ターゲット有効半径が130mm、基板有効半径が100mmのものを用いてチタン薄膜を成膜したときの基板に設けられたコンタクトホールのアスペクト比 R と、基板中心に位置するコンタクトホールのボトムカバレッジを示す。なお、図3(b)のように、前記ボトムカバッレッジ V は、基板表面上の薄膜(チタン薄膜)の膜厚 F と、コンタクトホール底面の膜厚 E とから、
V = E/F ……(12)
なる式で表すこととする。
【0084】
図3(a)で、横軸はコンタクトホールのアスペクト比Rであり、縦軸はボトムカバレッジVである。
【0085】
(◇)のプロットを結んだ線分31と(○)のプロットを結んだ線分32は、アスペクト比RとボトムカバレッジVとの関係を示すものであり、それぞれ従来技術によるスパッタと、コリメータスパッタリング方法によるスパッタとで成膜したチタン薄膜のものである。どちらの場合も、スパッタリング圧力を1×10−1Pa、スパッタリング距離を50mmとした条件で成膜した。
【0086】
(□)のプロットで結んだ線分は、スパッタリング圧力を1×10−2Pa(平均自由行程は約1330mm)、スパッタリング距離を300mmとしてスパッタリングを行ったものである。
【0087】
なお、本測定値は、基板中心に位置するコンタクトホールを使用して実測しているため、これを基板有効直径上のコンタクトホールに適用した場合に換算すると、アスペクト比が2.0以下の測定値が、本発明を適用した場合に得られるボトムカバレッジVの値に相当する。
【0088】
次に、スパッタリング距離L(横軸)とスパッタリング速度(縦軸)との関係を図4に示す。この図は、チタン薄膜を3.3×10−2Pa(平均自由行程は約400mm)のスパッタリング圧力の下で成膜した場合の実験値であり、スパッタリング距離Lが大きくなると、成膜速度が低下することが分かる。
また、図3の測定で使用したものと同じ基板とターゲットを使用して、3.3×10ー2Paのスパッタリング圧力の下で成膜する場合において、スパッタリング距離L(横軸)を変化させて、該スパッタリング距離LとボトムカバレッジV(縦軸)との関係を測定した。これを図5で示す。(黒丸●)、(黒四角■)、(黒三角)、(黒逆三角)の各プロットを結んだ線分は、それぞれ、3.3、 2.5、 1.67、 1.25の各アスペクト比を持つコンタクトホールについてボトムカバレッジVを測定したものである。
【0089】
図6は、本発明の実施に最適なスパッタリング装置の一例を示す図である。このスパッタリング装置80は、真空槽82内に配線材料から成るターゲット83と、表面にコンタクトホールが設けられた基板87とを対向して略平行に配置できるように基板ホルダー85が設けられており、前記真空槽82内に、図示しない導入口からスパッタリングガスを導入し、前記ターゲット83をスパッタしてターゲット粒子を叩き出し、前記基板ホルダー85上に配置された基板87の表面に前記ターゲット粒子を堆積させて薄膜を製造する装置である。
【0090】
前記基板ホルダー85は、昇降軸86の先端に上下移動自在に取付けられており、該昇降軸86はベローズカップリング81を介してシリンダー88に気密に取付けられており、前記シリンダー88の動作により、前記昇降軸86が上下移動するので、前記基板87と前記ターゲット83との間のスパッタリング距離Lの大きさは、前記昇降軸88の移動量を制御すれば、自由に設定することが可能である。
【0091】
前記シリンダー88は、駆動回路89を介してCPU90に接続されており、成膜を行う者が該CPU90に接続された入力装置であるキーボード91を使用し、表示装置であるディスプレイ92で確認しながら、スパッタリング圧力p、前記基板87上のコンタクトホールのアスペクト比R、使用する基板の有効直径Sの値を入力すれば、これら入力された値と、予め記憶装置93に記憶されているターゲット有効直径Tの値とから、前記CPU90が、前記ターゲット83の有効半径と前記基板87の有効半径とを加えた値に前記アスペクト比を掛け合わせて算出距離Lを求め、また、前記入力された値と予め記憶されている平均自由行程の計算式から平均自由行程λを求め、前記スパッタリング距離Lが、この平均自由行程λ以下の大きさであって、且つ、前記算出距離L以上の大きさになるように信号を出力して前記シリンダー88を制御する。
【0092】
なお、前記記憶装置93内に、使用ターゲットの材質、スパッタリング圧力、スパッタリング距離等の値に応じて成膜速度を調節して最適な膜質が得られるように、一定の計算式を記憶させておけば、その計算式に基づいて、自動的に前記スパッタリング距離Lを最適膜質が得られるように設定することができる。本実施例ではターゲット及び基板を円形として説明したが、楕円等円形以外の形でもよく、その場合は、有効領域内で中心軸線から最も離れた点と該中心軸線との間の距離が有効半径(T/2)、(S/2)に相当する。
【0093】
なお、前記スパッタリング距離を基板直径より大きく設定しておき、スパッタリング時の真空槽内の圧力を1×10−1としておけば、ターゲットから飛び出したターゲット粒子が基板に対して垂直に近い角度で入射する確率は増大し、また、ターゲット粒子とスパッタリングガス分子とが衝突する確率が無視できる程度まで平均自由行程が長くなるので、実使用上、ある程度のボトムカバレッジの向上が期待できる。
【0094】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、ターゲットから叩き出されたターゲット粒子は基板に対して垂直に近い角度で入射するので、基板上の微細なコンタクトホール等の穴や溝の開口付近への堆積は減少され、オーバーハング量を小さくすることができ、薄膜をリフローイングした場合にコンタクトホール内でボイドが発生することがない。
【0095】
また、コリメータを使用しないので不要な薄膜が形成されることはなく、特に、膜厚の厚い薄膜を成膜する場合でもダストやパーティクル等は発生しないので、歩留まりのよい成膜作業を行うことができ、メンテナンスも容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第3実施例の工程を示す図
【図2】本発明の原理を説明するための図
【図3】チタン薄膜を成膜した場合のアスペクト比と基板中心付近のコンタクトホールのボトムカバレッジの関係を実測したグラフ
【図4】スパッタリング距離とスパッタリング速度の関係を実測した一例を示す図
【図5】スパッタリング距離とボトムカバレッジの関係を実測した一例を示す図
【図6】本発明の実施に最適なスパッタリング装置の一例
【図7】コンタクトホール内に金属薄膜を形成する状態を説明した図
【図8】コリメータスパッタリング方法を説明するための図
【図9】従来技術によるスパッタリングの不具合を示す図
【図10】本発明の実施に使用できるスパッタリング装置の一例
【図11】本発明の実施に使用できるスパッタリング装置の他の例
【図12】本発明の実施に使用できるスパッタリング装置の更に他の例
【図13】本発明の第2実施例により成膜された薄膜の断面図
【符号の説明】
1、87、210……基板
2……シリコン基板 3……コンタクトホール
5……バリアメタル薄膜 7……シリコン・銅添加アルミ薄膜
10、83、208……ターゲット 82、205……真空槽
L……スパッタリング距離 T……ターゲットの有効直径
S……基板の有効直径 R……アスペクト比

Claims (3)

  1. 真空槽内に配線材料から成るターゲットと、表面にコンタクトホールが設けられた基板とを対向させて略平行に配置し、
    前記真空槽内にスパッタリングガスを導入して所定のスパッタリング圧力を保持し、
    前記スパッタリングガスで前記ターゲットをスパッタしてターゲット粒子を叩き出し、
    前記基板上に前記ターゲット粒子を堆積させて薄膜を製造する薄膜製造方法であって、
    前記ターゲットと前記基板の間の間隔であるスパッタリング距離を、前記ターゲットの有効半径と前記基板の有効半径とを加えた値に、前記基板に設けられたコンタクトホールのアスペクト比を掛け合わせて得られる値である算出距離以上、前記スパッタリング圧力の下での平均自由行程以下の大きさになるように制御してスパッタリングを行い、
    該スパッタリングによって薄膜が成膜された基板を加熱し、前記薄膜のリフローイングを行うことを特徴とする薄膜製造方法。
  2. 真空槽内に配線材料から成るターゲットと、表面にコンタクトホールが設けられた基板とを対向させて略平行に配置し、
    前記真空槽内にスパッタリングガスを導入して所定のスパッタリング圧力を保持し、
    前記スパッタリングガスで前記ターゲットをスパッタしてターゲット粒子を叩き出し、
    前記基板上に前記ターゲット粒子を堆積させて薄膜を製造する薄膜製造方法であって、
    前記コンタクトホールに予めバリアメタル薄膜を成膜しておき、
    前記ターゲットと前記基板の間の間隔であるスパッタリング距離を、前記ターゲットの有効半径と前記基板の有効半径とを加えた値に、前記基板に設けられたコンタクトホールのアスペクト比を掛け合わせて得られる値である算出距離以上、前記スパッタリング圧力の下での平均自由行程以下の大きさになるように制御してスパッタリングを行うことを特徴とする薄膜製造方法。
  3. 真空槽内に配線材料から成るターゲットと、表面にコンタクトホールが設けられた基板とを対向させて略平行に配置し、
    前記真空槽内にスパッタリングガスを導入して所定のスパッタリング圧力を保持し、
    前記スパッタリングガスで前記ターゲットをスパッタしてターゲット粒子を叩き出し、
    前記基板上に前記ターゲット粒子を堆積させて薄膜を製造する薄膜製造方法であって、
    前記コンタクトホールに予めバリアメタル薄膜を成膜しておき、
    前記ターゲットと前記基板の間の間隔であるスパッタリング距離を、前記ターゲットの有効半径と前記基板の有効半径とを加えた値に、前記基板に設けられたコンタクトホールのアスペクト比を掛け合わせて得られる値である算出距離以上、前記スパッタリング圧力の下での平均自由行程以下の大きさになるように制御してスパッタリングを行い、
    該スパッタリングによって薄膜が成膜された基板を加熱し、前記薄膜のリフローイングを行うことを特徴とする薄膜製造方法。
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