JP3572419B2 - 徐放剤用担体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は徐放剤用担体に関し、更に詳しくは、高分子材料用の老化防止剤や硬化剤、農薬、肥料、殺菌剤、消毒剤、抗菌剤、防虫剤、殺虫剤、除草剤、芳香剤、害虫忌避剤、各種の医薬や生理活性物質等、種々の機能や作用を有する化学物質(本明細書においては、以下、これらの化学物質を「薬剤等」と言い、かつ、その分子を「機能性分子」という。)を貯留するとともに、これらの薬剤等を経時的に徐々に放出させるための徐放剤用担体に関する。
【0002】
【従来の技術】
広範囲の産業分野にわたり、薬剤等を徐放性の担体に担持させ、徐放剤として使用したいという要求がある。
【0003】
かかる目的から、従来、例えば次のような技術が開示されている。
▲1▼粒子状の薬剤等をセルロース等の分子で被覆して徐放性のマイクロカプセルとする(特開平3−145404号公報)。
【0004】
▲2▼大環状の化学構造を有する化合物を合成し、これに機能性分子を包接させて、徐放性の包接化合物とする(特開平4−297429号公報)。
【0005】
▲3▼既知の雲母、カオリン、スメクタイト系粘土鉱物、シリカゲルやコロイダルシリカ、ゼオライト、セピオライト等を徐放剤用担体とし、これに薬剤等を含浸させる(特開昭62−57486号公報、特開昭62−209161号公報、特開昭63−1442号公報、特開平2−202575号公報、特開平2−239176号公報、特開平3−229634号公報、特開平4−91023号公報、特開平4−224511号公報、特開平4−300801号公報)。
【0006】
▲4▼上記の多孔性物質に薬剤等を含浸させた後、更に多孔性物質の表面を適当な材料で被覆してマイクロカプセル化する(特開平2−30038号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術にはそれぞれ問題があった。
【0008】
例えば、上記▲1▼,▲4▼のマイクロカプセル化技術については、薬剤等の適当な放出量と放出速度とを実現するために、薬剤等の粒子の粒径、被覆層の厚さや被覆層の成分等を微妙に調製する必要があり、生産工程が複雑になる。また、被覆層の材料は高価なものが多い。
【0009】
次に、上記▲2▼の包接化合物については、ホストとゲストとの分子サイズの適合性が厳しく要求されるため、ゲストとして用い得る薬剤等の選択の幅が極めて狭い。しかもホストである大環状の化学構造を有する化合物の合成プロセスも煩雑であるため、コスト高となる。
【0010】
更に、上記▲3▼,▲4▼で用いられる多孔性物質についても、それぞれ次のような不具合がある。
雲母やカオリン等の層状粘土鉱物は、うまく乾燥させると団粒構造を形成し、団粒の一次粒子間や二次粒子間の隙間に薬剤等を吸着させることができる。しかし、その吸着量は微小なものであり、しかも吸着力が弱いため薬剤等の大部分は早期に放出されてしまう。
【0011】
スメクタイト系の粘土鉱物(例えばモンモリロナイト,ヘクトライト)はその層間に機能性分子をとり込んだ層間化合物を形成し得るので、上記の雲母やカオリン等よりも薬剤等の吸着可能量が多いが、それでもせいぜい5〜7重量%に過ぎない。しかも層間化合物が形成されるのは、薬剤等が極性分子である場合に限られる。
【0012】
シリカゲルやコロイダルシリカは、その一次粒子間の隙間による薬剤等の吸着を利用できるが、やはり吸着量が不十分で、薬剤等の放出速度も制御し難い。
【0013】
ゼオライトやセピオライトは数Åの直径の多数の細孔を有するため、現在までのところ、徐放剤用担体として最も広範囲に利用されているが、細孔容量が小さいことから薬剤等の吸着量が不十分であり、細孔直径が小さいことから吸着可能な薬剤等の種類が限定されるとともに一旦吸着した機能性分子を放出し難く、一方、放出可能な小さな機能性分子を吸着した場合には細孔の奥行きが少ないことから機能性分子を簡単に放出してしまい、長期間にわたる徐放効果を期待することが難しい。
【0014】
そこで本発明は、薬剤等の種類や機能性分子の大きさに対する選択の幅が広く、これらを多量に含浸させることができ、しかも長期間にわたる徐放効果を期待できる徐放剤用担体を提供することを、その解決すべき課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
(第一発明の構成)上記の課題を解決するための本願第一発明(請求項1に記載の発明)の構成は、珪素四面体SiO4の層状結晶が波形に湾曲した状態で積層することによりハニカム状の多孔構造を形成するとともに、この積層した層状結晶の層間には珪酸の脱水縮合によるSiO2の層間架橋が形成されることにより、多孔性の担体が構成されており、孔径が1〜10nmの範囲にあり、かつ奥行きが孔径の10倍〜100,000倍の範囲にある多孔性の担体であって、その細孔容量が0.1cc/g以上であることを特徴とする徐放剤用担体である。
【0016】
(第二発明の構成)上記の課題を解決するための本願第二発明(請求項2に記載の発明)の構成は、珪素四面体SiO4の層状結晶が波形に湾曲した状態で積層することによりハニカム状の多孔構造を形成するとともに、この積層した層状結晶の層間には珪酸の脱水縮合によるSiO2の層間架橋が形成されることにより、多孔性の担体が構成されており、孔径が1〜10nmの範囲にあり、かつ奥行きが孔径の10倍〜100,000倍の範囲にある多孔性の担体であって、その細孔容量が0.1cc/g以上である徐放剤用担体と、前記徐放剤用担体に含浸された薬剤とからなることを特徴とする徐放剤である。
【0017】
【作用】
本願第一発明、第二発明の徐放剤用担体における多数の細孔の孔径は1〜10nmの範囲にある。これは、薬剤等の機能性分子のほとんどのものを細孔内にとり込むことができる孔径であり、しかもゼオライトの場合のように吸着力過剰とならず、機能性分子を容易に放出し得る孔径でもある。
【0018】
次に、細孔の奥行きが孔径の10倍〜100,000倍もあるので、吸着された機能性分子の大部分が細孔の奥の方に存在する。従って機能性分子が外部環境へ放出(空気中への気化あるいは環境水中への溶解など)されるに当たり、細孔の開口部付近にある機能性分子は容易に放出されるが、細孔の奥の方に存在する大部分の機能性分子は時間をかけて細孔の開口部付近へ移動し、徐々に放出される。即ち、これらの機能性分子が制約のない環境下で自然に空気中へ気化したり環境水中への溶解して拡散するのに要する時間に比し、極めて長い時間をかけて、徐々に放出されるのである。
なお、このような細孔の奥行きの深さは、徐放剤用担体において、珪素四面体SiOの層状結晶が波形に湾曲した状態で積層することによりハニカム状の多孔構造を形成している点に起因する。
【0019】
また、従来の雲母、カオリン、スメクタイト系粘土鉱物、シリカゲルやコロイダルシリカ、ゼオライト、セピオライト等に比し、細孔容量が0.1cc/g以上と極めて大きいので、多量の薬剤等を含浸させることができる。
なお、このような細孔容量の大きさは、徐放剤用担体が薄い層状結晶により構成され、この層状結晶がそのまま細孔の壁部となっている点に起因する。即ち、細孔の多さ、大きさに比して細孔の壁部を構成する成分が少ないため、極めて大きい細孔容量が得られるのである。
【0020】
ちなみに、本発明の徐放剤用担体は、その成分の殆どが環境や生物体に対して無害なSiOである。またその粒子形状も顆粒状であって、人体への有害性が云々されている繊維状や板状ではない。また、本発明の徐放剤用担体はSiOを主体とするため700°C以上の耐熱性を有しているが、特に、含水率が10wt%以上である結晶性層状珪酸塩を原料とした場合は、800〜1000°Cの高温に耐える担体が得られる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の徐放剤用担体は、薬剤等の種類や機能性分子の大きさに対する選択の幅が広く、これらを多量に含浸させることができ、しかも長期間にわたる徐放効果を期待できる。
【0022】
【実施態様】
次に本願第一発明、第二発明の実施態様について説明する。
【0023】
(徐放剤用担体の構成)
本発明の徐放剤用担体は、後述する製造プロセスにおいて、例えば細孔形成用の有機物の分子サイズを選択することにより、その細孔の孔径を種々にコントロールできる。そこで、孔径が1〜10nmの範囲にあるようにコントロールしたものが良い。なぜなら、徐放剤用担体の細孔の孔径は、機能性分子に対する最適の吸着機能を持たせるために、機能性分子のサイズの約10倍〜約100倍程度であることが望まれ、かかる孔径が具体的には1〜10nmの範囲に相当するからである。
【0024】
上記細孔の孔径が1nm未満の場合は、孔径の不足から、機能性分子の吸着が難しくなったり、吸着しても放出され難くなったりする。細孔の孔径が100nmを超える場合は、孔径が過大であるために機能性分子に対する吸着力が不足しがちになる。
【0025】
本発明の徐放剤用担体の細孔容量は、後述する製造プロセスにおいて、例えば細孔形成用の有機物の使用量を選択することにより、種々にコントロールできる。そこで、細孔容量が0.1cc/g以上であるようにコントロールしたものが良い。細孔容量がこれ以下では、薬剤等の吸着量が必ずしも満足できないからである。
【0026】
本発明の徐放剤用担体における細孔の奥行きは、後述する製造プロセスにおいて、例えば徐放剤用担体の粒径を調製することにより、種々にコントロールできる。そこで、細孔の奥行きが孔径の10倍〜100,000倍であるようにコントロールしたものが良い。これを具体的なサイズで言えば、奥行きが10nm〜100μmであるものが良い。奥行きが10nm未満であると、機能性分子の長期間にわたる徐放効果を期待し難く、奥行きが100μmを超える場合は、100μmを超える奥行き部分について徐放用細孔としての実質的な機能を期待し難い。
【0027】
本発明の徐放剤用担体の代表的な具体例として、層状シリカ多孔体、あるいは、層状シリカ金属酸化物多孔体を挙げることができる。
【0028】
図1、図2に示すように、層状シリカ多孔体1は、珪素四面体SiOの層状結晶2が波形に湾曲した状態で積層することにより、多数の細孔3を有するハニカム状の多孔構造を形成するとともに、この積層した層状結晶の層間における接合部4には珪酸の脱水縮合によるSiOの層間架橋を形成したものである。即ち、層状シリカ多孔体は、骨格の組成がSiOである(図3参照)。
【0029】
一方、層状シリカ金属酸化物多孔体は、前記層状シリカ多孔体1における珪素四面体SiOの層状結晶2を構成する珪素のうちの一部の珪素に、珪素以外の金属原子(M)が結合したものである。即ち、層状シリカ金属酸化物多孔体は、骨格の組成がSiO金属複合酸化物である。
【0030】
上記金属原子(M)としては、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、ガリウム(Ga)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、スズ(Sn)、鉛(Pb)等が用いられる。
【0031】
(層状シリカ多孔体の製造方法)
次に、徐放剤用担体の代表的な製造方法について説明する。この方法は、層間拡張工程と、焼成工程とからなるものである。但し、本発明の徐放剤用担体の範囲が、これらの製造方法によって製造されたものに限定されることを意味するものではない。
【0032】
層間拡張工程においては、カネマイト等の結晶性層状珪酸塩を交換性有機物イオンの水溶液中で加熱攪拌処理することにより層状結晶の層間に有機物陽イオンを導入するとともに、SiOの層間架橋を形成させる。
【0033】
上記有機物陽イオンは、珪素四面体層の層間に含まれるナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンとの交換によって導入されるが、有機物陽イオンはアルカリ金属イオンよりも嵩高であるため、結晶性層状珪酸塩の層間は拡幅される。一方、有機物陽イオンが導入された部分を除く、隣合うシート層中のシラノール(Si−OH)同士が脱水縮合され、シロキサン結合(Si−O−Si)が形成される。このようなSiOの層間架橋が形成されている部分では層間は拡幅されない。この結果、図1、図2に示すようなハニカム状の多孔構造が形成されるのである。なお、結晶性層状珪酸塩は粘土と異なり水に対する膨潤性がないため、一般的な水膨潤の手法ではかかる層間拡張は困難である。
【0034】
上記の結晶性層状珪酸塩としては、珪素四面体層の層間にナトリウムイオンを含んだ結晶性層状珪酸ナトリウム、例えばカネマイトNaHSi・3HO、ジ珪酸ナトリウムNa、マカタイトNaSi・5HO、アイラアイトNaSi17・xHO、マガディアイトNaSi1423・xHO、ケニヤアイトNaSi2041・xHO等が代表的であるが、これらに限定されない。
【0035】
層状シリカ多孔体の細孔の奥行きは、原料である結晶性層状珪酸塩の平面芳香のサイズに一致するので、上記の結晶性層状珪酸塩のサイズを選択することにより、細孔の奥行きを調整できる。そのサイズの選択は、結晶性層状珪酸塩自体を結晶化処理により合成するときは結晶化の処理時間の長短により可能であり、既存の結晶性層状珪酸塩を用いるときは適宜な手段による粉砕処理により可能である。
【0036】
上記の結晶性層状珪酸塩のうち、特にカネマイトのように層状結晶が単一の珪素四面体層からなるものは単位重量当たりの表面積が大きいので、これを用いて製造した層状シリカ多孔体も比表面積が大きくなる。
カネマイトを用いて製造される層状シリカ多孔体の場合、単一層構造が保持されたままで上下のシート層が部分的に接合するので、典型的なハニカム状の多孔構造となる。
【0037】
上記の結晶性層状珪酸塩における含水率は10wt%以上であることが望ましい。この場合、層間拡張工程において結晶性層状珪酸塩が水に良く分散し、層間のアルカリ金属イオンと有機物陽イオンとのイオン交換が短時間で十分に行われる。含水率が10wt%未満では、結晶性層状珪酸塩が凝集し易くなり、上記のイオン交換が起こり難くなる。
【0038】
含水率が10wt%以上である結晶性層状珪酸塩を原料に用いると、層状シリカ多孔体の比表面積が1000m/g以上と特に大きくなり、またアルカリ金属イオンの残存量が0.2wt%以下になる。このため、800°C〜1000°Cの高温下でも結晶化し難く、細孔も安定な優れた耐熱性の担体になる。
【0039】
上記の有機物陽イオンの種類は限定されないが、好ましくは有機オニウムイオン、特にアルキルアンモニウムイオン等が、試料調製の容易さやイオン交換能力の高さ等の点から優れている。
他の好ましい有機物陽イオンとして、アルキルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオン、テトラデシルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジアルキルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン等を挙げることができる。
【0040】
一例としてセチルトリメチルアンモニウムイオンを用いた場合、細孔径は約3nm、細孔容量は約1cc/gのものが得られる。
【0041】
有機物陽イオンの分子サイズは層状シリカ多孔体における細孔径を直接に規定するので、有機物陽イオンの選択により細孔径を任意に設計することができる。そして、単一種類の有機物陽イオンを用いれば細孔径の分布を狭い範囲でほぼ均一に設計でき、分子サイズの異なる複数種類の有機物陽イオンを用いれば細孔の径を幅広く分布させることができる。
【0042】
次いで、焼成工程においては、層間拡張工程によって得られた固形分を濾過、乾燥し、次いでこれを焼成する。かかる操作によって、層間拡張工程で導入された有機物陽イオンが層間から除去され、層状シリカ多い孔体が完成する。
【0043】
上記の焼成は、通常は500〜1000°C位の温度で数時間行うのが良い。焼成温度が高すぎると多孔体構造が崩壊する恐れがあり、逆に焼成温度が低すぎると細孔の形成が不十分となる恐れがある。
【0044】
(層状シリカ金属酸化物多孔体の製造方法)
層状シリカ金属酸化物多孔体の製造に当たっては、上記の層間拡張工程によって得られた固形分を濾過したところで、これを珪素と異なる金属の塩と接触させる金属付加工程を設定し、その後焼成する。
【0045】
この金属付加工程において、金属塩の種類や使用態様は限定されず、例えば金属塩の溶液を用いたり、上記固形分を乾燥させた粉末を金属塩の粉末と混合して接触させても良い。
【0046】
(徐放剤用担体の使用)
徐放剤用担体に含浸させる薬剤等は、用途に応じて自由に選択できる。それらの一例を挙げれば、農薬用殺虫剤としてのサリチオン、マラソン、ジメトエート、ダイアジノン、ジエチルアミド、2−エチルチオメチルフェニル=メチルカルバメート、チオリン酸、2−メチル−3−シクロヘキセン−1−カルボン酸等があり、殺菌剤としてはノニルフェノールスルホン酸銅、ジネブ、アンゼブ、チウラム、ポリオキシン、シクロヘキシミド等があり、除草剤ではクロメトキシニル、ニトラリン、3−(3,3−ジメチルウレイド)フェニル=ターシャリーブチルカルバマート等があり、抗菌剤としてはヒノキオール、害虫忌避剤としてはフェノール系化合物、プラスチック用酸化防止剤としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノール、シクロヘキサンの縮合物、ジサリチルレゾルシン、亜リン酸エステル等があり、老化防止剤としてはフェニル−β−ナフチルアミン等のアミン化合物、スチレン化フェノール等のフェノール化合物、チオ尿素誘導体、ベンゾイミダゾール類があり、肥料としては尿素、硫安、硝安等のアンモニア系化合物、過リン酸石灰、重過リン酸石灰等のリン化合物、カリを含む化合物等がある。
【0047】
これらの薬剤等は、目的に応じ、適当な割合で任意に組み合わせて徐放剤用担体に含浸させても良い。
【0048】
徐放剤用担体に薬剤等を含浸させる方法は限定がなく、任意の方法を用いることができる。そのような方法の例として、次のようなものがある。これらの方法例は、単独に用いても良く、適宜に組み合わせて用いても良い。
【0049】
▲1▼徐放剤用担体と薬剤等を容器に密封し、加熱して機能性分子をガス化させ、徐放剤用担体をこのガス中に晒して、徐放剤用担体の細孔中に機能性分子を吸着させる方法。
【0050】
▲2▼薬剤等を加熱して溶融させ、その溶融液中に徐放剤用担体を浸漬して薬剤等を含浸させる方法。
【0051】
▲3▼薬剤等を溶媒に溶解してその溶媒を蒸発させ、この蒸気中に徐放剤用担体を晒して、徐放剤用担体に薬剤等を含浸させる方法。
【0052】
▲4▼その他、徐放剤用担体と薬剤等を適当な量比で混合した後にその混合物を薬剤等の融点以上に加熱する方法、薬剤等の原料物質を徐放剤用担体の細孔中に含浸させた後に加熱等により細孔中で薬剤等を合成する方法。
【0053】
以上のような含浸処理の後、更に、徐放剤用担体の表面を高分子膜やデキストリン等で覆うことにより、薬剤等の放出速度が一層遅くなるように調節することもできる。一方、以上のプロセスにより製造した徐放剤の濃度が高すぎる場合には、これを粘土やシリカゲル等の安価な粉体やバインダで増量しても良い。
【0054】
本発明の徐放剤用担体を用いた徐放剤は、そのまま使用され、あるいは他の徐放剤の使用方法にならい適宜な形状に成形したり、通気、通水性の容器に封入されたりして、使用される。
【0055】
【実施例】
(実施例1)
非晶質水和珪酸ナトリウムを700°Cで6時間空気中で焼成し、1000mlの水に分散させ、3時間攪拌することにより、結晶性層状珪酸塩としてのカネマイトを合成した。
【0056】
次いで、0.1mol/dmセチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液1リットルに上記カネマイト50gを分散させ、70°Cで3時間攪拌して、カネマイトをセチルトリメチルアンモニウムイオンでイオン交換した。
【0057】
その後、室温に冷却した後、2N−HCl水溶液を加え、pHを8.5に調整し、ろ過、水洗を行った。次いでこれを乾燥し、空気中700°Cで6時間焼成して層状シリカ多孔体の粉末を得た。
【0058】
(実施例2)
ジチオリン酸−O,O−ジメチル−S−(1,2−ジエトキシカルボニルエチル)(いわゆるマラソン剤)をアセトンに30wt%の濃度で溶解し、この溶液50ccに実施例1の層状シリカ多孔体10gを添加して攪拌した後、ろ過してアセトンを乾燥除去した。このもののマラソン剤分子の含浸量を熱重量分析で測定したところ、20wt%であった。
【0059】
(比較例1)
実施例2と同じ条件で合成ゼオライト(東ソー(株)製、規格No. A−3)10gにマラソン剤を含浸させたところ、その含浸量は3wt%であった。
【0060】
(実施例3)
実施例2で得られたマラソン剤含浸層状シリカ多孔体10gをカオリン(ジョージアカオリン社製 Hydnite−PXS )50gと乳鉢中で混合し、内径10mmφ、長さ20mmのガラス管中に入れてこのガラス管の下端にろ紙を当て、室温下、送液ポンプにより蒸留水を1cc/分の割合で上から流した。そしてガラス管通過液中のTOC(Total Organic Carbon)をBeckman 社製 Model 915B Total Organic Carbon Analyzer により分析し、これに基づいてマラソン剤の水への溶解量(層状シリカ多孔体からの放出量)を推定した。その結果、溶解量は10ppmであった。
【0061】
(比較例2)
実施例3で用いたのと同一のカオリン50gにマラソン剤2gを乳鉢中で混合し、実施例3と同じ試験方法でマラソン剤の水への溶解量を推定した。その結果、溶解量は200ppmであった。
【0062】
(実施例4)
実施例1で得た層状シリカ多孔体10gを大内新興化学(株)製のゴム用老化防止剤ノクラック810−NA(N−フェニレン−N’−イソプロピル−P−フェニレンジアミン)5gとアルミナ製乳鉢中で十分に混合した後、ガラス製容器に密封して、85°Cで20分間加熱し、ノクラック810−NAの層状シリカ多孔体への溶融、含浸を行わせた。
【0063】
その後、ノクラック810−NA含浸層状シリカ多孔体をガラス製容器から取り出して、その15重量部に対し、天然ゴムRSS#1を100重量部、酸化亜鉛を5重量部、ステアリン酸を1重量部、硫黄を2.5重量部、加硫促進剤(ノクセラ−MSA−F)を1重量部を配合し、140°C×25分の加硫処理を行った。
【0064】
そして上記の加硫処理を行ったものについて、所定日数経過後のノクラック810−NAの揮発量をギヤー式老化試験機を用い、JIS63−1の空気加熱老化試験法に準じて80°Cで処理した後の加熱減量率(%)により調べた。その結果、層状シリカ多孔体に含浸されたノクラック810−NAの減量率は、5日経過後で20%、10日経過後で25%、20日経過後で30%であった。
【0065】
(比較例3)
ノクラック810−NAの5重量部に対し、天然ゴムRSS#1を100重量部、酸化亜鉛を5重量部、ステアリン酸を1重量部、硫黄を2.5重量部、加硫促進剤(ノクセラ−MSA−F)を1重量部を配合し、140°C×25分の加硫処理を行い、実施例4と同じ方法でノクラック810−NAの減量率を調べたところ、5日経過後で60%、10日経過後で73%、20日経過後で78%であった。
【0066】
(実施例5)
実施例4で得た加硫ゴムをオゾン劣化試験(JIS−K−6301)に供した。即ち、前記加硫ゴムを10%伸長した状態で50pphmのオゾンに40°Cで5時間晒し、ゴムの亀裂の有無を観測したが、亀裂は観測されなかった。一方、比較例3で得た加硫ゴムを同じオゾン劣化試験に供したところ、細かい亀裂が僅かに観測された。
【0067】
(実施例6)
実施例4で得た加硫ゴムと、比較例3で得た加硫ゴムとを、それぞれ室温でアセトン抽出(14日間、その間アセトンを3回交換)した後、いずれも実施例5と同じ条件でオゾン劣化試験に供した。その結果、実施例4で得た加硫ゴムには亀裂が観測されず、比較例3で得た加硫ゴムには多数の亀裂が発生した。
【0068】
(実施例5,6の評価)
実施例5,6のオゾン劣化試験は促進試験の性格があり、これらの試験結果より、ノクラック810−NA含浸層状シリカ多孔体はノクラック810−NAを長期間にわたり徐々に放出することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の徐放剤用担体の多孔構造を示す図である。
【図2】本発明の徐放剤用担体の多孔構造の要部を示す図である。
【図3】本発明の徐放剤用担体の骨格構造を示す図である。

Claims (2)

  1. 珪素四面体SiO4の層状結晶が波形に湾曲した状態で積層することによりハニカム状の多孔構造を形成するとともに、この積層した層状結晶の層間には珪酸の脱水縮合によるSiO2の層間架橋が形成されることにより、多孔性の担体が構成されており、孔径が1〜10nmの範囲にあり、かつ奥行きが孔径の10倍〜100,000倍の範囲にある多孔性の担体であって、その細孔容量が0.1cc/g以上であることを特徴とする徐放剤用担体。
  2. 珪素四面体SiO4の層状結晶が波形に湾曲した状態で積層することによりハニカム状の多孔構造を形成するとともに、この積層した層状結晶の層間には珪酸の脱水縮合によるSiO2の層間架橋が形成されることにより、多孔性の担体が構成されており、孔径が1〜10nmの範囲にあり、かつ奥行きが孔径の10倍〜100,000倍の範囲にある多孔性の担体であって、その細孔容量が0.1cc/g以上である徐放剤用担体と、前記徐放剤用担体に含浸された薬剤とからなることを特徴とする徐放剤。
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