JP3571498B2 - 組版方法および組版装置、並びに、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
組版方法および組版装置、並びに、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンピュータシステムを用いてチラシ等のような複数の文字列を含む画像の組版方法および組版装置、並びに、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、チラシ等の印刷物における組版処理は、コンピュータシステムを利用して行われている。チラシには、複数の「値組み」と呼ばれる組版を行う枠(値組み枠)が設定される。各値組み枠内には、商品名、その商品の説明、値段等の複数の文字列が配置される。
【0003】
チラシ組版技術の一例として特開平7−304148号公報に記載の文字列組版装置がある。これは、値組み枠とされる基本領域、および基本領域内に配置される複数の文字列の配置位置を示す内部領域を、組版領域情報として設定する。また、組版規則情報として、書体や文字サイズ等の情報を別に設定する。文字テキスト情報として、配置される内部領域(詳細は組版領域情報として保存)および組版規則(詳細は組版規則情報として保存)が文字列とともに文字列毎に指定される。文字テキスト情報を実際に配置する際には、組版領域情報および組版規則に基づいて、各内部領域に対応する文字列が、所定の書体、文字サイズ等で実際に配置されるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の組版技術においては、上述のように、文字列の配置位置を文字列毎にすべて指定する必要があり、値組み枠内の詳細な文字配置位置を、実際の配置処理実行前にあらかじめ決定しておかなければならない、という問題があった。また、一度配置した文字列を修正して配置し直すためには、値組み枠内の文字列配置位置をひとつずつ変更しなければならない。従って、文字列が値組み枠内に収まりきらなかった場合等に修正に手間がかかる、という問題があった。
【0005】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、従来技術に比べて簡易な方法で文字列の組版を実行可能とする技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、第1の発明は、
コンピュータを用いて文字列の配置を決定する組版方法であって、
(1)文字列の配置が実行される枠を作成する工程と、
(2)前記枠内を、あらかじめ、それぞれ1以上の文字列の配置が可能な複数の区分領域に区分し、前記複数の区分領域の相対的な位置関係を設定する工程と、
(3)前記枠内に配置される複数の文字列を採字する工程と、
(4)前記複数の文字列を前記複数の区分領域の何れに配置するか指定するとともに、前記複数の文字列の文字属性を指定し、ある区分領域に複数の文字列の配置を指定した場合において、指定された前記複数の文字列の文字属性を、それぞれ独立して指定する工程と、
(5)前記コンピュータに含まれるCPUが、前記複数の文字列の配置位置を、前記複数の区分領域の前記相対的な位置関係と、前記文字属性とに従った演算を行うことによって、前記複数の文字列の配置位置を決定する工程と、
を備え、
前記工程(5)は、
前記複数の区分領域における第1の区分領域に配置されるべき文字列のうち、第1番目の文字列を、前記枠内の所定の文字列位置に配置する工程と、
前記複数の区分領域における前記第1の区分領域を除く他の区分領域に配置されるべき文字列のうち、前記他の区分領域それぞれの第1番目の文字列を、該区分領域の直前に配置された区分領域の最後に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記最後に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する工程と、
前記複数の区分領域における各区分領域それぞれの第1番目の文字列を除く文字列を、該文字列の直前に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記直前に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
上記方法によれば、文字列を配置する枠内における詳細な文字列の配置位置をあらかじめ決定しておく必要がなく、あらかじめ決められた相対的な位置関係に基づいて指定するだけでよい。従って、従来技術に比べて簡易な方法でチラシ組版を実行可能とすることができる。また、上記方法によれば、文字列を配置する枠内における文字列の配置位置を、先に配置された文字列の配置位置から、自動的に計算して配置することができる。
【0010】
また、上記第1の発明において、
前記工程(4)は更に、
前記複数の文字列のうちの一つの文字列の後ろに連続して配置させる他の文字列を選択指定する工程
を備えることが好ましい。
【0011】
上記方法によれば、一つの文字列を、一つ前の文字列に連続して配置させるかその次の行に配置させるかを選択指定することができる。従って、配置すべき文字列が枠内に収まり切らなかった場合に、複数の文字列を一行に連続して配置させることにより、枠内に配置すべき文字列の行数を減らすことができる。
【0012】
また、上記第1の発明において、
前記工程(4)に記載の工程は、コンピュータシステムにおける一つの編集画面上において行われることが好ましい。
【0013】
上記方法によれば、組み上がりのイメージを把握しながら枠内における複数の文字列の相対的な位置関係の指定や、各文字列の文字属性の指定を簡単に行うことができる。
【0014】
第2の発明は、
文字列の配置を決定する組版装置であって、
文字列の配置が実行される枠を作成する値組み枠作成手段と、
前記枠内に配置される複数の文字列を採字する文字列採字手段と、
前記枠内をあらかじめ複数の区分領域に区分し、前記複数の文字列を前記複数の区分領域の何れかに配置することを指定することにより、前記枠内における前記複数の文字列の相対的な位置関係を指定するとともに、前記複数の文字列の文字属性を指定する体裁・配置位置設定手段と、
前記複数の文字列の配置位置を、前記複数の区分領域の前記相対的な位置関係と、前記文字属性とに従った演算を行うことによって決定する配置位置決定手段と、
を備え、
前記配置位置決定手段は、
前記複数の区分領域における第1の区分領域に配置されるべき文字列のうち、第1番目の文字列を、前記枠内の所定の文字列位置に配置する手段と、
前記複数の区分領域における前記第1の区分領域を除く他の区分領域に配置されるべき文字列のうち、前記他の区分領域それぞれの第1番目の文字列を、該区分領域の直前に配置された区分領域の最後に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記最後に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する手段と、
前記複数の区分領域における各区分領域それぞれの第1番目の文字列を除く文字列を、該文字列の直前に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記直前に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
第2の発明も、上記第1の発明と同様の作用・効果を有しており、従来技術に比べて簡易な方法でチラシ組版を実行可能とすることができる。
【0016】
第3の発明は、
文字列の配置を決定するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
文字列の配置が実行される枠を作成する機能と、
前記枠内をあらかじめ複数の区分領域に区分し、前記複数の区分領域の相対的な位置関係を設定する機能と、
前記枠内に配置される複数の文字列を採字する機能と、
前記複数の文字列を前記複数の区分領域の何れかに配置するとともに、前記複数の文字列の文字属性を指定する機能と、
前記複数の文字列の配置位置を、前記複数の区分領域の前記相対的な位置関係と、前記文字属性とに従った演算を行うことによって決定する機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記複数の文字列の配置位置を決定する機能は、
前記複数の区分領域における第1の区分領域に配置されるべき文字列のうち、第1番目の文字列を、前記枠内の所定の文字列位置に配置する機能と、
前記複数の区分領域における前記第1の区分領域を除く他の区分領域に配置されるべき文字列のうち、前記他の区分領域それぞれの第1番目の文字列を、該区分領域の直前に配置された区分領域の最後に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記最後に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する機能と、
前記複数の区分領域における各区分領域それぞれの第1番目の文字列を除く文字列を、該文字列の直前に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記直前に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する機能とを含むことを特徴とする。
【0017】
このような記録媒体に記録されたコンピュータプログラムがコンピュータシステムによって実行された場合にも、第1、第2の発明と同様の作用・効果を有し、従来技術に比べて簡易な方法でチラシ組版を実行することが可能である。
【0018】
【発明の他の態様】
この発明は、以下のような他の態様も含んでいる。第1の態様は、コンピュータシステムのマイクロプロセッサによって実行されることによって、上記の発明の各工程または各手段を実現するソフトウェアプログラムを通信回線を介して供給するプログラム供給装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、この発明の一実施例を適用する組版装置を示すブロック図である。この組版装置は、CPU10と、バスライン12とを備えており、バスライン12には、値組み枠データメモリ14と、採字データメモリ16と、組版情報メモリ18と、体裁・配置位置設定装置20と、配置位置演算装置22と、組版済データメモリ24とが接続されている。また、バスライン12には、入力装置としてキーボード30とマウス32とデジタイザ34とが接続されており、また、出力装置としてカラーCRT36が接続されている。さらに、外部記憶装置としては磁気ディスク38が接続されている。また、この組版装置は、伝送路に接続されて一般的なネットワークシステムを構成するようにしてもよい。なお、この発明における値組み枠作成手段はデジタイザ34あるいはマウス32若しくはキーボード30によって実現される。また、文字列採字手段はキーボード30によって、体裁・配置位置設定手段は体裁・配置位置設定装置20によって、配置位置決定手段は配置位置演算装置22によって実現されている。
【0020】
なお、本発明に示す各部の手段や機能はハードウエア回路だけでなくソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)によっても実現可能である。また、これらのソフトウエアプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の携帯型記憶媒体(可搬型記憶媒体(記録媒体))からコンピュータシステムのメインメモリまたは外部記憶装置に転送される。あるいは、通信回線を介してプログラム供給装置からコンピュータシステムに供給するようにしてもよい。
【0021】
図2は、この実施例における組版作業の手順を示すフローチャートである。ステップS1では、まずユーザがキーボード30を用いて組版される文字列データ(採字データ)を作成し、採字データメモリ16に登録する。このデータは、あらかじめ作成し磁気ディスク38に保存しておいたデータをロードして、採字データメモリ16に格納してもよい。図3は、採字データの一例を示す説明図であり、キーボード30により採字したテキスト画面を示している。採字データは、図示のように、採字した文字列と文字列の間を所定の「区切りコード」で区切って採字される。また、一つの値組み枠に配置される複数の文字列は、「リターンコード」で区切られた文字列群として採字され、複数の値組み枠に配置される文字列群が1つの採字データとして扱われる。図3は、2つの値組み枠に配置される2組の文字列群が入力された状態を示している。各文字列群は、図に示すように、採字NO.1、2、3…のように番号付けされる。
【0022】
ステップS2では、ユーザがデジタイザ34またはマウス32を用いて値組み枠を作図する。図4は、値組み枠の作図について説明する説明図であり、組版を行う1枚のチラシC上に、複数の値組み枠W1、W2、W3、…を作図し、CRT36に表示した状態を示している。まず、値組み枠W1の左下点P1 および右上点P2 をデジタイザ34またはマウス32を用いて指定することにより、一つの値組み枠W1を作図する。他の値組み枠W2、W3、…については、必要な値組み枠の数(行数と列数)をキーボード30等により設定することにより、値組み枠W1と同じサイズの値組み枠をチラシC上に自動的に作図する。このようにして作図された値組み枠データは、図5に示す値組み枠データメモリ14に登録される。値組み枠データメモリ14には、作図された値組み枠の数と、各値組み枠の左下点および右上点の座標データが記憶される。
【0023】
ステップS3では、体裁・配置位置設定装置20を用いて一つの値組み枠内における文字列の体裁や配置位置を設定する。以下の説明で「体裁」とは、各文字列の書体、文字サイズ、文字列行間等の文字属性をいうこととする。
【0024】
体裁・配置位置設定は、図6に示すような体裁・配置位置設定画面を用いて行う。体裁・配置位置設定画面は、採字データの名称を入力する採字テキスト欄(「採字テキスト:」)、採字データ内の採字番号を示す採字NO.欄(「採字NO.:」)、文字列の行間隔を設定するテキスト間隔設定欄(「テキスト間隔:」)、組版の配置フォーマットを設定する組方向設定欄(「組方向:」)、組版を開始するスタートボタン(「スタート」)を画面の「上段部」に備える。また、画面の右下に、組方向に対応した配置イメージを示す相対位置図を備え、更に、画面中央には、各相対位置(「上段部」、「中段部」、「価格部」、「下段部」)に対応した4つの体裁設定表を備える。
【0025】
各体裁設定表は、各相対位置に配置されるべき文字列の割り当ておよび各文字列の体裁設定を行うためのものである。体裁設定表の右端にある上方向スクロールボタンR1 および下方向スクロールボタンR2 は、体裁設定表の表示範囲をスクロールさせる指示ボタンである。表示位置記号P1 は体裁設定表の現在表示されている範囲を示しており、このP1 を指示して直接表示範囲を移動させることも可能である。
【0026】
画面上段にある組方向設定欄は、図7に示す組版の配置フォーマットを設定するためのものであり、組方向としては、図7(a)に示すように、「上段部」、「中段部」、「価格部」、「下段部」で構成される「よこ方向」と、図7(b)に示すように、「右段部」、「中段部」、「価格部」、「左段部」で構成される「「たて方向」とを用意する。通常は、「よこ方向」を設定し、組版の内容に応じて「たて方向」に設定する。図6の右下に示す相対位置図は、組方向によって、図7(a)、(b)のどちらかを表示し、体裁・配置設定における設定を視覚的に容易にするためのものである。また、組方向を「たて方向」とした場合は、「よこ方向」における「上段部」を「右段部」、「下段部」を「左段部」として扱うこととする。
【0027】
図6に示す体裁・配置設定画面の最上段にある採字テキスト欄に、あらかじめ採字しておいた採字データ名を入力すると、図3に示す採字NO.1の採字文字列群が、「上段部」体裁設定表の採字欄にすべてロードされる。ここでは、図3に示す採字データ名:「スーパー」を入力した場合を示している。ここで、組方向設定欄に例えば「よこ方向」を設定する(デフォルトを「よこ方向」としておいてもよい)と、画面右下の相対位置図に「よこ方向」における配置イメージが表示される。
【0028】
次に、ロードされた文字列のうち、「中段部」、「価格部」、「下段部」に配置すべき文字列をそれぞれ選択して上段部から各配置位置に移動させる。図8は、文字列の選択および移動について説明する説明図である。まず、組版されるべき文字列は、「上段部」の体裁設定表の採字欄にすべてロードされているので、スクロールボタンR1 、R2 を指示して移動させたい文字列を表示し、図8に示すように、移動させたい文字列、例えば文字列「100g当り」を選択して、「上段部」から「中段部」へ移動させる。選択移動の方法は、どんな方法でもよいが、例えば、「ドラッグ&ドロップ」等の方法が考えられる。移動後の「上段部」には、空欄が発生するが、空欄より下行の文字列が上にシフトするようにするか、あるいは、採字欄が空欄の場合は、その行は無視するようにするとよい。
【0029】
図6に示す各体裁設定表において、各文字列の体裁を設定する。各文字列の書体欄、文字サイズ欄には、デフォルト値あるいは、前回設定時の設定値が設定されたままとなっている。そこで、各文字列の書体、文字サイズを、各体裁設定表の「書体」欄、「文字サイズ」欄を選択して、キーボード30により直接設定する。図6は、書体の例として「ゴシック」等を、文字サイズおよびテキスト間隔の例として4Q=1mmとする記号「Q」を用いて設定した例を示している。なお、配置文字列を体裁設定表の採字欄に直接入力することも可能である。
【0030】
体裁設定表の「接続」欄は、その行の文字列を、その前の行の文字列の後ろに接続させるか否かを設定する欄である。図6に示すような「矢印」指示された行の文字列、即ち文字列「ロース」は、その前の行の文字列、即ち文字列「カンザスビーフ」の後ろに続けて配置される。こうすれば、配置すべき全文字列が値組み枠内に収まり切らなかった場合、その修正時に、複数の文字列を一行に連続して配置させることにより、複数の文字列すべてを枠内に収めることができる。また、接続された複数行の文字列の長さや、一行の文字列の長さが、値組み枠の幅よりも大きい場合は、いわゆる長体や平体などの文字変形を行って、枠内に収めるようにしてもよい。
【0031】
このようにして設定された各設定データは、図9に示す組版情報メモリ18に登録される。組版情報メモリ18には、ヘッダ部として採字テキスト名、テキスト間隔、採字NO.および組方向が記憶される。各項目には、相対位置、接続選択、採字文字列、書体、文字サイズの各データが記憶される。
【0032】
ここで、一つの採字データ内に、複数の値組み枠に対応する文字列群、即ち、図3に示すような複数の採字NO.データを有する場合には、最初の採字NO.データについて設定した体裁条件を、その他の採字NO.データに対しても適用することとする。こうすれば、一枚のチラシ内に同じ形式の複数の「値組み」を配置する場合に、体裁設定を各「値組み」毎に行う必要がなく、作業効率の向上を図ることができる。また、同じ体裁設定条件で全「値組み」を構成し、不具合箇所のみを修正することにすれば、作業効率の向上を図ることができる。もちろん、各「値組み」毎に別々に体裁設定を行ってもかまわない。
【0033】
次にステップS4では、ステップS2で作成して値組み枠データメモリ14に登録された値組み枠のなかから、「値組み」を行う値組み枠を選択して、処理をスタートする。値組み枠データの選択は、図4に示すチラシC1上の値組み枠のうち処理を実行したい値組み枠を選択することにより行われる。例えば、マウス32により、選択したい値組み枠を指定する方法や、キーボード30により選択したい値組み枠名を入力する方法等が考えられる。値組み枠名としては、例えば、各枠に採字データ内の採字NO.に対応した番号付け等が考えられる。処理のスタートは、図6に示す体裁・配置設定画面における「スタートボタン」を、マウス32により指示することにより実行される。
【0034】
ステップS5〜S8では、配置位置演算装置22を用いて、ステップS4で設定して組版情報メモリ18に登録されたデータに基づき、実際に各値組み枠における文字列の配置を実行する。以下、一つの値組み枠に、図6に示す設定条件において、文字列の配置を行う場合を例に説明する。
【0035】
図10は、組方向を「よこ方向」とした場合の「値組み」の構成例を示す説明図である。ステップS5において、「上段部」に配置されるべき文字列の配置を実行する。即ち、図6に示す「上段部」の体裁設定表の第1行目の文字列から順に配置を実行する。まず値組み枠の左上点を第1行目の文字列の配置を開始する点Pa (Pax,Pay)として、第1行目の文字列「アメリカ産」を配置する。なお、文字列の配置の開始点は、本願発明における基準配置位置に相当する。
【0036】
第2行目の文字列「カンザスビーフ」は、第1行目の文字列の文字サイズ(10Q)と図6で設定したテキスト間隔(4Q)を加算した長さ(14Q)分だけ、点Pa から下に移動した点Pb (Pbx,Pby)を開始点として配置される。なお、x座標Pbx、y座標Pbyは次の式で示される。
【0037】
Pbx=Pax
Pby=Pay−第1行目の文字サイズ(10Q)−テキスト間隔(4Q)
【0038】
第3行目の文字列「ロース」は図6に示すように前行への接続が指定されているので、第2行目の文字列の後ろに連続して配置されるように、点Pc (Pcx,Pcy)を開始点として配置される。なお、x座標Pcx、y座標Pcyは次の式で示される。
【0039】
【0040】
ここで、x座標Pcxは、第2行目の開始点Pb のx座標Pbx=Paxから、第2行目の文字列長l2 だけ右方向に移動した座標である。y座標Pcyは、第2行目の文字列の下側の座標(Pby−第2行目の文字サイズ(12Q))から、第2行目の文字サイズ(12Q)と第3行目の文字サイズ(10Q)の平均文字サイズだけ上方向に移動した座標である。こうすれば、文字列「カンザスビーフ」と水平方向の中心が一致するように、次の文字列「ロース」が配置される。この代わりに2つの文字列の下端位置が一致するようにすることも可能である。
【0041】
ステップS6において、「中段部」に配置されるべき文字列の配置を実行する。「中段部」に配置されるべき文字列の最初の文字列の配置位置は、あらかじめ決められているわけではなく、「上段部」の配置文字列のうち最下行に配置された文字列開始位置から求める。図6に示す「中段部」の第1行目の文字列「100g当り」は、「上段部」の最下行文字列が第2行目であるので、第2行目の文字サイズ(12Q)とテキスト間隔(4Q)を加算した長さ(16Q)分だけ、第2行目の開始点Pb から下に移動した点Pd (Pdx,Pdy)を開始点として配置される。なお、x座標Pdx、y座標Pdyは次の式で示される。
【0042】
Pdx=Pbx=Pax
Pdy=Pby−第2行目の文字サイズ(12Q)−テキスト間隔(4Q)
【0043】
更に、「中段部」に配置される文字列の設定がある場合は、上記「上段部」の手順と同様に配置を実行する。
【0044】
ステップS7において、「価格部」に配置されるべき文字列の配置を実行する。「価格部」に配置されるべき文字列の配置位置もあらかじめ決められているわけではなく、「上段部」の配置文字列のうち最下行に配置された文字列開始位置、あるいは「中段部」の第1行目の文字列開始位置から求める。図6に示す「価格部」の文字列「158円」は、値組み枠の右端に接して配置されるように、点Pe (Pex,Pey)を開始点として配置される。なお、x座標Pex、y座標Peyは次の式で示される。
【0045】
【0046】
ここで、x座標Pexは、「価格部」の文字列が値組み枠の右端に接するように、枠の右端のx座標P2xから文字列長l5 だけ左方向に移動した座標である。y座標Peyは、上記「中段部」と同様に、「上段部」の最下行文字列が第2行目であるので、第2行目の文字サイズ(12Q)とテキスト間隔(4Q)を加算した長さ(16Q)分だけ、第2行目の開始点Pb から下方向に移動した座標である。
【0047】
ステップS8において、下段に配置されるべき文字列の配置を実行する。「下段部」に配置されるべき文字列の配置位置も他と同様に、あらかじめ決められているわけではなく、「中段部」の文字列あるいは「価格部」の文字列のうちどちらか下側に配置される文字列の開始位置から求める。図6に示す「下段部」の文字列「先着100名様限り」は、「価格部」の文字列「158円」が最下行に配置されるので、「価格部」の字サイズ(20Q)とテキスト間隔(4Q)を加算した長さ(24Q)だけ、「価格部」の文字列の開始点Pe から下に移動した点で、値組み枠の左端に接して配置されるように、点Pf (Pfx,Pfy)を開始点として配置される。なお、x座標Pfx、Pfyは次の式で示される。
【0048】
Pfx=Pax
Pfy=Pey−「価格部」の文字サイズ(20Q)−テキスト間隔(4Q)
【0049】
以上のようにして、組方向を「よこ方向」とした場合に、一つの値組み枠内の文字列の配置が実行される。ここで、実行結果に問題があり修正する必要があった場合、例えば、文字列が値組み枠内に収まりきらなかった場合には、ステップS3にもどって図6に示す体裁・配置設定画面において修正をおこない、再度ステップS5〜S8を実行する。
【0050】
ステップS10では、ステップS4において複数の値組み枠を指示した場合にそれらの組版処理を全て終了したか判断し、終了していなければステップS5に戻り、他の値組み枠に対する処理を繰り返す。以上のようにして実行された「値組み」のデータは、組版済データメモリ24に登録される。
【0051】
本実施例によれば、上述のように、図6に示す体裁・配置位置設定画面上において、一つの値組み枠内の体裁や相対的な位置(「上段部」、「中段部」、「価格部」、「下段部」)を設定するだけで、簡単に「値組み」の組版処理を実行できる。また、同じ「値組み」形式の複数の組版処理を一括して実行できる。従って、従来必要であった詳細な配置位置の設定が不要とすることができ、チラシの組版作業効率の向上を図ることができる。
【0052】
図11は、組方向を「たて方向」とした場合の組版例を示す説明図である。これは、「よこ方向」の場合の「上段部」を「右段部」とし、「下段部」を「左段部」として、同様の手順で実行される。以下、ステップS5〜S8で実行される文字列の配置について説明する。
【0053】
ステップS5では、「右段部」に配置されるべき文字列の配置を実行する。即ち、図6の「右段部」の体裁設定表の第1行目の文字列から順に配置を実行する。まず値組み枠の右上点を第1行目の文字列の配置を開始する点Pa =(Pax,Pay)として、第1行目の文字列「アメリカ産」を配置する。第2行目の文字列「カンザスビーフ」は、第1行目の文字列の文字サイズ(10Q)と図6で設定したテキスト間隔(4Q)を加算した長さ(14Q)分だけ、点Pa から左に移動した点Pb (Pbx,Pby)を開始点として配置される。なお、x座標Pbx、y座標Pbyは次の式で示される。
【0054】
Pbx=Pax−第1行目の文字サイズ(10Q)−テキスト間隔(4Q)
Pby=Pay
【0055】
第3行目の文字列「ロース」は、図6に示すように前行への接続が指定されているので、第2行目の文字列の後ろに連続して配置されるように、点Pc (Pcx,Pcy)を開始点として配置される。なお、x座標Pcx、y座標Pcyは次の式で示される。
【0056】
【0057】
ここで、x座標Pcxは、第2行目の文字列の左側の座標(Pbx−第2行目の文字サイズ(12Q))から、第2行目の文字サイズ(12Q)と第3行目の文字サイズ(10Q)の平均文字サイズだけ右方向に移動した座標である。y座標Pcyは、第2行目の開始点Pb のy座標Pby=Payから、第2行目の文字列長l2 だけ下方向に移動した座標である。
【0058】
ステップS6では、「中段部」に配置されるべき文字列の配置を実行する。図6に示す「中段部」の第1行目の文字列「100g当り」は、「右段部」の最左行文字列が第2行目であるので、第2行目の文字サイズ(12Q)とテキスト間隔(4Q)を加算した長さ(16Q)分だけ、第2行目の開始点Pb から左に移動した点Pd (Pdx,Pdy)を開始点として配置される。なお、x座標Pdx、y座標Pdyは次の式で示される。
【0059】
Pdx=Pbx−第2行目の文字サイズ(12Q)−テキスト間隔(4Q)
Pdy=Pby=Pay
【0060】
ステップS7では、「価格部」に配置されるべき文字列の配置を実行する。「価格部」に配置されるべき文字列は、「右段部」の配置文字列のうち最左行に配置された文字列開始位置、あるいは「中段部」の第1行目の文字列開始位置から求める。図6に示す「価格部」の文字列「158円」は、値組み枠の下端に接して配置されるように、点Pe (Pex,Pey)を開始点として配置される。なお、x座標Pex、y座標Peyは次の式で示される。
【0061】
【0062】
ここで、y座標Peyは、「価格部」の文字列「158円」が値組み枠の下端に接するように、下端のy座標P1yから文字列長l5 だけ上方向に移動した座標である。x座標Pexは、上記「中段部」と同様に「右段部」の最左行文字列が第2行目であるので、第2行目の文字サイズ(12Q)とテキスト間隔(4Q)を加算した長さ(16Q)分だけ、第2行目の開始点Pb から左方向に移動した座標である。
【0063】
ステップS8では、「左段部」に配置されるべき文字列の配置を実行する。図6に示す「左段部」の文字列「先着100名様限り」は、「価格部」の文字列が最左行に配置されるので、「価格部」の文字サイズ(20Q)とテキスト間隔(4Q)を加算した長さ(24Q)だけ、「価格部」の文字列の開始点Pe から左方向に移動した点で、値組み枠の上端に接して配置されるように、点Pf (Pfx,Pfy)を開始点として配置される。なお、x座標Pfx、Pfyは次の式で示される。
【0064】
Pfx=Pex−「価格部」の文字サイズ(20Q)−テキスト間隔(4Q)
Pfy=Pay
【0065】
以上のようにして組方向が「たて方向」における一つの値組み枠内の文字列の配置が実行される。
【0066】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を適用する組版装置を示すブロック図。
【図2】この実施例における組版作業の手順を示すフローチャート。
【図3】採字データの一例を示す説明図。
【図4】値組み枠の作図について説明する説明図。
【図5】値組み枠データメモリ14に登録される内容を示す説明図。
【図6】体裁・配置位置設定の一例を示す説明図。
【図7】組版の配置フォーマットの例を示す説明図。
【図8】文字列の選択および移動について説明する説明図。
【図9】組版情報メモリ18に登録される内容を示す説明図。
【図10】組方向を「よこ方向」とした場合の組版例を示す説明図。
【図11】組方向を「たて方向」とした場合の組版例を示す説明図。
【符号の説明】
10…CPU
12…バスライン
14…枠データメモリ
16…採字データメモリ
18…組版情報メモリ
20…配置位置設定装置
22…配置位置演算装置
24…組版済データメモリ
30…キーボード
32…マウス
34…デジタイザ
36…カラーCRT
38…磁気ディスク
Claims (5)
- コンピュータを用いて文字列の配置を決定する組版方法であって、
(1)文字列の配置が実行される枠を作成する工程と、
(2)前記枠内を、あらかじめ、それぞれ1以上の文字列の配置が可能な複数の区分領域に区分し、前記複数の区分領域の相対的な位置関係を設定する工程と、
(3)前記枠内に配置される複数の文字列を採字する工程と、
(4)前記複数の文字列を、前記複数の区分領域の何れに配置するか指定するとともに、前記複数の文字列の文字属性を指定し、ある区分領域に複数の文字列の配置を指定した場合において、指定された前記複数の文字列の文字属性を、それぞれ独立して指定する工程と、
(5)前記コンピュータに含まれるCPUが、前記複数の区分領域の前記相対的な位置関係と、前記文字属性とに従った演算を行うことによって、前記複数の文字列の配置位置を決定する工程と、
を備え、
前記工程(5)は、
前記複数の区分領域における第1の区分領域に配置されるべき文字列のうち、第1番目の文字列を、前記枠内の所定の文字列位置に配置する工程と、
前記複数の区分領域における前記第1の区分領域を除く他の区分領域に配置されるべき文字列のうち、前記他の区分領域それぞれの第1番目の文字列を、該区分領域の直前に配置された区分領域の最後に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記最後に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する工程と、
前記複数の区分領域における各区分領域それぞれの第1番目の文字列を除く文字列を、該文字列の直前に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記直前に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する工程と、
を備えることを特徴とする組版方法。 - 請求項1記載の組版方法であって、
前記工程(4)は更に、
前記複数の文字列のうちの一つの文字列の後ろに連続して配置させる他の文字列を選択指定する工程
を備えることを特徴とする組版方法。 - 請求項1または2に記載の組版方法であって、
前記工程(4)に記載の工程は、前記コンピュータにおける一つの編集画面上において行われることを特徴とする組版方法。 - 文字列の配置を決定する組版装置であって、
文字列の配置が実行される枠を作成する値組み枠作成手段と、
前記枠内に配置される複数の文字列を採字する文字列採字手段と、
前記枠内を、あらかじめ、それぞれ1以上の文字列の配置が可能な複数の区分領域に区分し、前記複数の文字列を前記複数の区分領域の何れに配置するか指定することにより、前記枠内における前記複数の区分領域の相対的な位置関係を指定するとともに、前記複数の文字列の文字属性を指定し、ある区分領域に複数の文字列の配置を指定した場合において、指定された前記複数の文字列の文字属性を、それぞれ独立して指定する体裁・配置位置設定手段と、
前記複数の文字列の配置位置を、前記複数の区分領域の前記相対的な位置関係と、前記文字属性とに従った演算を行うことによって決定する配置位置決定手段と、
を備え、
前記配置位置決定手段は、
前記複数の区分領域における第1の区分領域に配置されるべき文字列のうち、第1番目の文字列を、前記枠内の所定の文字列位置に配置する手段と、
前記複数の区分領域における前記第1の区分領域を除く他の区分領域に配置されるべき文字列のうち、前記他の区分領域それぞれの第1番目の文字列を、該区分領域の直前に配 置された区分領域の最後に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記最後に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する手段と、
前記複数の区分領域における各区分領域それぞれの第1番目の文字列を除く文字列を、該文字列の直前に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記直前に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する手段と、
を備えることを特徴とする組版装置。 - 文字列の配置を決定するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
文字列の配置が実行される枠を作成する機能と、
前記枠内を、あらかじめ、それぞれ1以上の文字列の配置が可能な複数の区分領域に区分し、前記複数の区分領域の相対的な位置関係を設定する機能と、
前記枠内に配置される複数の文字列を採字する機能と、
前記複数の文字列を前記複数の区分領域の何れかに配置するとともに、前記複数の文字列の文字属性を指定し、ある区分領域に複数の文字列の配置を指定した場合において、指定された前記複数の文字列の文字属性を、それぞれ独立して指定する機能と、
前記複数の文字列の配置位置を、前記複数の区分領域の前記相対的な位置関係と、前記文字属性とに従った演算を行うことによって決定する機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記複数の文字列の配置位置を決定する機能は、
前記複数の区分領域における第1の区分領域に配置されるべき文字列のうち、第1番目の文字列を、前記枠内の所定の文字列位置に配置する機能と、
前記複数の区分領域における前記第1の区分領域を除く他の区分領域に配置されるべき文字列のうち、前記他の区分領域それぞれの第1番目の文字列を、該区分領域の直前に配置された区分領域の最後に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記最後に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する機能と、
前記複数の区分領域における各区分領域それぞれの第1番目の文字列を除く文字列を、該文字列の直前に配置された文字列の配置の基準となる基準配置位置と前記直前に配置された文字列の文字属性とに従って求められる位置に配置する機能とを含むことを特徴とするコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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JP17110497A JP3571498B2 (ja) | 1996-10-11 | 1997-06-11 | 組版方法および組版装置、並びに、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体 |
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JPH10172000A JPH10172000A (ja) | 1998-06-26 |
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