JP3570060B2 - ノズルプレートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、インクジェット式印字ヘッドに用いられるノズルプレートの製造方法であって、詳しくは、基板と撥水性膜とを貫通する微小な孔開け加工によりインク液滴を噴射させるノズルを形成した後、ノズルからインクが適正かつ良好に噴射されるように、当該ノズルの周囲に形成される撥水性膜のバリを熱処理により無くすノズルプレートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクを噴射するヘッドでは、ノズルの周囲表面にインクの濡れができるとインク滴の飛翔方向にズレが生じたり、さらに濡れがひどくなるとインク滴が飛ばないといった問題がおきる。このような問題に対して、特開昭55−65564号公報あるいは特開平2−55140号公報において、ノズルが形成されたノズルプレートの表面に撥水性膜を設けて濡れが生じるのを抑えるようにした技術が示されている。以下、添付図面を参照して説明すると、図6の(a)に示すように、ノズルプレート1の基板2の表面に撥水性膜3を塗布すると、撥水性膜3の一部3a´がノズル4の内部に不均一に回り込んだり、またはノズル4を塞いでしまったりする。その結果、ノズル4で形成されるインクのメニスカスがノズル4毎に異なって、図6の(b)に示すように、インク5の噴射タイミングにばらつきが生じて、インク5が適正に噴射されないといった不都合が生じる。
【0003】
このため、ノズルの内部に被覆材を完全に埋め込んだ後、ノズルプレートの表面に撥水性膜を施すことも考えられているが、ノズルの内部に被覆材を完全に埋め込むことが非常に難しく、実用的でない。
【0004】
このような背景から、特開平2−187342号公報には、インクジェットプリンタのノズルプレートを、基板に撥水性膜を施した後、当該基板と撥水性膜とをエキシマレーザ等によって孔開け加工して作製する方法が記載されている。このノズルプレートの作製方法において、ノズルプレートには、ドライフイルムが用いられ、撥水性膜には、ポリイミドフイルムが用いられている。
【0005】
しかしながら、撥水性膜として、一般的に、フッ素系またはシリコン系の撥水膜を用いてその撥水性を向上させているが、フッ素系やシリコン系の材質の撥水性膜は、紫外線用レーザであるエキシマレーザ(例えば、ArF=198nm,KrF=248nm,XeKr=308nm)を吸収しないので、エキシマレーザでは撥水性膜の孔開け加工はされず、上述したプレートの分子、原子の分解、飛散によるエネルギによって孔開け加工される。このため、撥水性膜の加工が良好に行われずに、バリが残り、このバリによってノズルから噴射されるインク滴の飛翔方向に滴液曲がりによるばらつきが生じて、印字品質が悪くなる問題があった。また、プレス加工やドリル加工してノズルを形成するときには、フッ素系またはシリコン系以外の撥水性膜においても、ノズル形成時に上記問題と同様のバリによる問題が生じていた。
【0006】
このような問題を解決するための方策として、エキシマレーザ、プレス加工、ドリル加工の何れにおいても、バリが残らないような孔開け加工をすることができないことから、孔開け加工後にバリを無くすことが必要である。このバリを無くすための方策として、特開平7−108683号公報において、基板に熱可塑性を有する撥水性材料により撥水性膜を形成し、その基板及び撥水性膜に孔開け加工によりノズルを形成した後、前記撥水性膜の軟化温度より所定温度高い温度で所定時間前記撥水性膜を熱処理して、撥水性膜の孔開け加工時に残ったバリを溶融して平坦化する技術が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平7−108683号公報に記載の技術は、同公報における図3に示すように、基板の上面側に撥水性膜を向けた姿勢で、バリを軟化溶融させる手法を採っているため、同公報の図4及び対応する明細書中の記載のように、「処理温度が撥水性膜の溶融温度よりかなり高い場合あるいは熱処理時間が長すぎる場合は、図4に示すように、撥水性膜がノズル内に流れ込む恐れがあるため、温度及び時間管理には注意を要する。」といった問題が生じる。
【0008】
なお、同公報の明細書において、実験の結果、設定温度をT、熱処理温度をt、とした場合に、15≦T≦70(度)、及び5≦t≦100(分)を満たし、−2t+40≦T≦−t/3+80の関係を満たす条件で熱処理を行うと、ノズル加工時に残った撥水性膜のバリが軟化溶融して、バリの無いノズルを有するノズルプレートが作製できることが記載されているが、上記条件下で熱処理を行ってバリを溶融軟化させても、図7に示すように、溶融軟化に伴なってバリ相当部分3cがノズルの径を小さくする方向に平坦化して広がることも予想され、これがインクの適正な噴射量や噴射方向を妨げて、印字品質を悪くするという新たな問題が生じる。とくに、上記公報の図2及び図3に示すように、ノズルが基板の一面側から撥水性膜を貫通する方向に向かうに従って次第に小径になる斜面状に形成されていると、上述した問題はさらに大きくなる。勿論、同公報の図3に示すように、ノズルを変化させることなくバリを無くすことは可能であるが、上記条件を満たす熱処理環境を得ることは、設定温度を満たした加熱室内であっても、例えば、その室内の位置によって温度差が生じるため、また、複数のノズルプレートを一定間隔毎に間隔をあけて多数枚並べたときには、ノズルプレートの置く位置等によって、加熱温に差が生じるため、バリを均一な温度で熱処理し難いという問題が残る。
【0009】
本発明は上記問題を解消すべく提案されたものであり、基板と撥水性膜とを貫通するノズルの孔開け加工により生じるバリを無くすことができ、しかも、バリの軟化溶融によるノズルの内側への流れ込みやノズルの孔の径を狭くする方向への脹らみによるインクの噴射時における液滴曲がりやバラツキが生じず、高印字品質を確保することができる、ノズルプレートの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載のノズルプレートの製造方法は、インクが噴射されるノズルが形成された基板の少なくとも当該ノズルが形成される部位の周囲に撥水性膜が形成されたノズルプレートの製造方法であって、基板に熱可塑性を有する撥水性材料により撥水性膜を形成し、その基板及び撥水性膜に孔開け加工によりノズルを形成した後、前記撥水性膜が重力方向下向きになるように前記基板を配置し、撥水性膜の軟化温度より所定温度高い温度で所定時間前記撥水性膜を熱処理するものである。
【0011】
上述した本発明のノズルプレートの製造方法によって、熱可塑性を有する撥水性膜を、孔開け加工後に撥水性膜の軟化温度より所定温度高い温度で所定時間熱処理すると、撥水性膜の孔開け加工時に残ったバリは軟化溶融して無くなる。すなわち、バリが軟化溶融すると、その分子間に表面張力が生じて、全体が丸くなったり、その周囲の撥水性部分に引き寄せられる。なお、熱処理温度が高い場合には、バリが軟化溶融して、その一部が垂れ落ち、残った部分が丸くなったり、その周囲の撥水性部分に引き寄せられたりする。これらの現象は、撥水性膜、すなわちバリを下向けにしているために、軟化溶融したバリの自重が基板と反対方向にかかることに起因する。このため、バリが軟化溶融しても、少なくとも撥水性膜のノズルの径を狭める方向に膨らんだり、流れたりするようなことはない。
【0012】
なお、上記所定温度及び所定時間に基づく熱処理条件は、少なくとも、バリが軟化溶融する以上の温度であって、基板を加熱による変形や変質を生じさせない以下の温度であればよい。具体的には、上記従来技術による公報に記載の明細書において示した、バリを無くす加熱処理に必要である条件、すなわち、所定温度をT、所定時間をt、としたとき、熱処理は、15≦T≦70(度)、及び5≦t≦100(分)を満たし、さらに−2t+40≦T≦−t/3+80、であっても構わない。しかしこの条件に限定されるものではない。
【0013】
また、請求項2に記載のノズルプレートの製造方法は、上記構成に加えて、前記撥水性膜はフッ素系の樹脂であるものである。
【0014】
上記ノズルプレートの製造方法によれば、撥水性膜として、インク溶剤に対する揮発特性、耐溶剤性が優れるフッ素系の樹脂が使用されるため、長期間高品質が維持される撥水性膜を有するノズルプレートが得られる。すなわち鮮明な印字出力が得られる。撥水性膜に好適なフッ素系の樹脂として、FEP樹脂(4フッ化エチレン−6フッ化プロプレン共重合樹脂)の他、ポリ4エチレン樹脂(PTFE樹脂)、4フッ化エチレン−パ−フルオロアルコキシエチレン共重合樹脂 (PFA樹脂)、3フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE樹脂)、4フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE樹脂)、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂等が挙げられる。なお、限定されるものではないが、これら何れかの樹脂は、基板面に約1μm程度に塗布成膜される。
【0015】
また、請求項3に記載のノズルプレートの製造方法は、請求項1又は請求項2の何れかに記載の構成に加えて、前記基板は、ポリイミド樹脂であるものである。
【0016】
上記ノズルプレートの製造方法によれば、ポリイミド樹脂は、融点がなく非常に熱的特性の優れた樹脂であるため、バリを無くすための熱処理時においても、軟化溶融して変形したり、変質するようなことがなく、高品質な基板、すなわちノズルプレートが得られる。
【0017】
また、請求項4に記載のノズルプレートの製造方法は、請求項1〜3のうちの何れかの構成に加えて、前記孔開け加工は、エキシマレーザによる加工であるものである。
【0018】
上記ノズルプレートの製造方法によれば、基板から撥水性膜を貫通する、ノズルとなる微孔を多数正確に形成することができるため、高精度のノズルを有するノズルプレートが得られる。エキシマレーザは248nmの波長をもつKrFエキシマレーザであることが好ましく、その加工時には、例えば、300μmの穴を開けたマスクを利用して行う。
【0019】
また、請求項5に記載のノズルプレートの製造方法は、請求項1乃至請求項4の何れかの構成に加えて、前記ノズルプレートが、インク液滴を噴射して印字するインクジェット式印字ヘッドに用いられているものである。
【0020】
上記ノズルプレートの製造方法によれば、ノズルプレートに形成されているノズルが高精度に形成され、特に撥水性膜側のノズル出口周辺にバリ等のインク液滴の噴射を障害するものが残らないので、精度の高い印字が出力される。また、ノズルプレートを構成する撥水性膜が耐インク特性を有するため、長期間高品質な印字出力が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の一形態を図面を参照して説明する。図1(a)は本発明のノズルプレートを示す正面図、(b)は同じく正面方向から見た斜視図、図2はノズルプレートの孔開け加工の方法を示す図、図3の(a)は孔開け加工により生じるバリを残したノズルプレートを簡略して示した正面図、(b)は同斜視図、図4の(a)はバリを無くしたノズルプレートを簡略して示した断面図、(b)はバリを無くしたノズルプレートによるインク噴射の状態を簡略して示した斜視図、図5はノズルプレートの使用例を示す図である。
【0022】
図1の(a),(b)に示すように、ノズルプレート1は、基板2の一面に撥水性膜3が塗布され、適所にインクを噴射するための多数のノズル4が一列に形成されたものからなる。
【0023】
図1の(a)及び(b)に示すように、基板2は、使用インク成分中に含まれる溶剤に対して耐溶剤性のある材質であり、また、後述する撥水性膜3より軟化温度の高い材料、すなわち、後述する熱処理による温度以上の融点を有する材料、もしくは熱により軟化しない材料で形成されており、その一例として、融点がなく非常に熱的特性の優れたポリイミド樹脂が使用されるが、これに限定することなく、熱硬化性樹脂や軟化温度が撥水性膜3として用いた材料より比較的高い樹脂であっても構わない。
【0024】
撥水性膜3は、本実施例の一例として、250℃〜280℃の軟化点(融点)を有する、4フッ化エチレン−6フッ化プロプレン共重合樹脂(FEP樹脂)を約1μm程度に基板2の一面に塗布成膜したもので形成される。なお、撥水性膜3を形成するフッ素系の樹脂として、上記FEP樹脂の他に、例えば、ポリ4エチレン樹脂(PTFE樹脂)、4フッ化エチレン−パ−フルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA樹脂)、3フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE樹脂)、4フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE樹脂)、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂等の樹脂で形成しても構わない。また、用いるインク溶剤によっては、シリコン系樹脂等でも構わない。
【0025】
次に、撥水性膜3が塗布された基板2の孔開け加工を図2に基づいて説明する。本図はエキシマレーザを利用する加工を示しており、エキシマレーザを発するレーザ発振器10より出たエキシマレーザビーム11を、所望する加工形状と相似形のマスク12を通し、レンズ13によりマスク形状を基板2上に結像させてノズル加工を行う。本実施例においては、エキシマレーザは248nmの波長をもつKrFエキシマレーザが使用される。また、マスク12及びレンズ13はノズル形状やレーザ加工条件等によって適切に設定する。本実施例では、1/5の縮小レンズ13および直径300μmの孔を開けたマスク12が用いられている。
【0026】
この加工によって形成されたノズル4の噴射口付近には、図3の(a)及び (b)に示すように、撥水性膜3からなるバリ3aが存在し、このバリ3aによってノズル4から噴射されるインク滴の飛翔方向に滴液曲がりによるばらつきが生じて、印字品質を悪くすることから、このバリ3aを除去する加工が必要になる。この加工は、バリ3aを軟化溶融させて行い、具体的には、図4の(a)に示すように、撥水性膜3を重力方向において基板2の下側に向けて、300度に加熱されたオーブン中に、少なくとも上記バリ3aが軟化溶融する時間、例えば1時間放置すると、バリ3aが軟化し、図4の(a)に示すように、バリ3aはその表面張力によって丸く縮小して撥水性膜3に吸収されるようにして無くなる。しかも、撥水性膜3を基板2の下側に向けているため、軟化したバリ3aは、その自重によってノズル4の径を狭くする方向に広がることはない。なお、加熱温が高い場合には、バリ3aは雫の如く垂れ落ち、その残った部分はその表面張力によってその周囲の撥水性膜部分3dに引き寄せられて凝固し、バリ3aのない略平坦化されたノズルが形成される。
【0027】
なお、加熱処理の温度・時間は、少なくとも、バリ3aを軟化溶融させるに必要な温度であって、基板2を加熱による軟化・変形や変質を生じさせない以下の温度であればよい。なお参考までに説明しておくと、撥水性膜3としてFEP樹脂を使用したときには、FEP樹脂の軟化点(融点)は、250℃〜280℃であるが、この温度で熱処理すると、基板2面に塗布されている撥水性膜3も溶融するおそれがあるため、少なくとも、バリ3aを軟化溶融させるに必要な温度と時間を総合した条件下での加熱処理であることが必要である。とくにバリ3aは基板2面から突出しているため、基板2面に塗布されている撥水性膜3の部分よりも軟化し易くなることを考慮する必要がある。これらを考慮した加熱処理の一例として、特開平7−108683号公報の明細書中に記載されている、所定温度をT、所定時間をt、としたとき、熱処理は、15≦T≦70(度)、及び5≦t≦100(分)であって、さらに−2t+40≦T≦−t/3+80、の条件を満たす環境であっても構わない。しかし、バリ3aが融けてノズル4内に流れ込むことがないので、上記温度が多少高くなったり、また時間が多少長くなっても何ら問題は生じない。
【0028】
このようにして、バリ3aを無くしたノズルプレート1は、図1の各図、及び図4の(a)に示すように、ノズル4内及びその周縁には、インクを適正に噴射させるに障害となるようなものは残らず、図4の(b)に示すように、適量のインク液滴5を適正な方向に噴射することができる。
【0029】
次に、本発明の製造方法によって得られるノズルプレート1を備えたインクジェット記録装置10について説明する。図5は、その実施の一形態であるプリンタの内部機構を示した斜視図であり、印字機構、紙送り機構、及びパージ装置等が示されている。印字機構20は、インクジェット式のノズルプレート1(印字ヘッド)を備えるヘッドユニット21と、ノズルプレート1にインクを供給するインクカートリッジ22等からなり、ヘッドユニット21とインクカートリッジ22は、キャリッジ23に搭載されている。ここで、キャリッジ23は、ベルト24を介してキャリッジモータ25により駆動されており、キャリッジ軸26に沿って水平移動するようになっている。なお、ノズルプレート1は、図示しない複数個のノズルを有しており、キャリッジ23の移動に対応して、ノズルからインクを噴射する。
【0030】
紙送り機構30は、給紙カセット又は手差給紙部から供給された印刷用紙をノズルプレート1に対面させながら移動させるものであり、プラテンローラ31、圧ローラ32、及び図示しないラインフィールド(LF)モータ等で構成されている。給紙カセット等から供給された印字用紙は、プラテンローラ31と圧ローラ32に圧接されて保持され、ラインフィールドモータの回転に合わせて移動される。
【0031】
パージ装置(吸引手段)40は、ノズルプレート1(印字ヘッド)の使用中に内部に気泡が発生したり、吐出面上にインクの液滴が付着することにより吐出不良を起こすことを解消し、良好な吐出状態に回復させるための措置である。パージ装置40の先端には、キャップ41が設けられていて、このキャップ41にノズルプレート1が覆われているときにポンプにより負圧を発生させて、ノズルプレート1の内部の不良インクを吸引してノズルプレート1を回復させる。また、フラッシング用吐出インク吸収体42は、ノズルプレート1のノズルを良好な状態に保つために行われるフラッシングによって吐出されるインクを吸収するためのものであり、印字領域の外に配置されている。
【0032】
【発明の効果】
以上において示した本発明のノズルプレートの製造方法によると、次のような効果を奏する。第1に、熱可塑性を有する撥水性膜を、孔開け加工後に撥水性膜の軟化温度より所定温度高い温度で所定時間熱処理して、撥水性膜の孔開け加工時に残ったバリを軟化溶融する工程を、撥水性膜を基板の重力方向下側に向けて、バリを軟化溶融して無くすようにしたことによって、溶融した撥水性膜が、ノズル内に流れ込んだり、ノズルの孔方向に膨らんだりして、インク液滴の噴射の障害となるようなことはない。この結果、インク液滴の吐出が良好に行われるノズルプレートを、簡単に製造することができる。
【0033】
第2に、ノズルプレートの撥水性膜を形成する撥水性材料として、フッ素系の樹脂、または、FEP樹脂を用いるようにしたことによって、インク溶剤に対する揮発特性、耐溶剤性が優れた、高品質な撥水性膜を有するノズルプレートを製造することができる。
【0034】
第3に、ノズルプレートの基板として、融点がなく非常に熱的特性が優れた樹脂であるポリイミド樹脂が用いられるため、バリを無くす熱処理時に、加熱による溶融変形や変質などが生じない、高品質な基板を有するノズルプレートが得られる。
【0035】
第4に、ノズルプレートの基板と撥水性膜とを貫通するノズルの孔開け加工を、エキシマレーザを利用して行うようにしたので、微小なノズルを高精度に多数形成され、高品質な印字が得られるノズルプレートを形成することができたのである。
【0036】
第5に、上記効果を奏するノズルプレートを、インク液滴を噴射して印字するインクジェット式印字ヘッドに用いると、ノズルプレートに形成されているノズルが高精度に形成され、特に撥水性膜側のノズル出口周辺にバリ等のインク液滴の噴射を障害するものが残っていないので、精度の高い印字を出力することができる。また、ノズルプレートを構成する撥水性膜が耐インク特性を有しているため、長期間高品質な印字出力を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の一形態によるノズルプレートの正面図、(b)は正面方向から見た斜視図である。
【図2】ノズルプレートの孔開け加工の方法を示す図である。
【図3】(a)は孔開け加工により生じるバリを残したノズルプレートを簡略して示した正面図、(b)は同斜視図である。
【図4】(a)はバリを無くしたノズルプレートを簡略して示した断面図、(b)はバリを無くしたノズルプレートによるインク噴射の状態を簡略して示した斜視図である。
【図5】ノズルプレートの使用例を示す図である。
【図6】(a)はノズル内にバリが軟化溶融して流れ込んだ状態のノズルプレートを示す断面図、(b)はノズル内にバリが軟化溶融して流れ込んだ状態のノズルプレートによるインク噴射の状態を簡略して示した斜視図である。
【図7】軟化溶融したバリがノズルの噴射口を狭める方向に広がって凝固した状態を示すノズルプレートの断面図である。
【符号の説明】
1 ノズルプレート
2 基板
3 撥水性膜
3a バリ
4 ノズル
5 インク液滴

Claims (5)

  1. インクが噴射されるノズルが形成された基板の少なくとも当該ノズルが形成される部位の周囲に撥水性膜が形成されたノズルプレートの製造方法であって、
    前記基板に熱可塑性を有する撥水性材料により撥水性膜を形成し、その基板及び撥水性膜に孔開け加工によりノズルを形成した後、前記撥水性膜が重力方向下向きになるように前記基板を配置し、前記撥水性膜の軟化温度より所定温度高い温度で所定時間前記撥水性膜を熱処理することを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  2. 前記撥水性膜は、フッ素系の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレートの製造方法。
  3. 前記基板は、ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のノズルプレートの製造方法。
  4. 前記孔開け加工は、エキシマレーザによる加工であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のノズルプレートの製造方法。
  5. 前記ノズルプレートが、インク液滴を噴射して印字するインクジェット式印字ヘッドに用いられているものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のノズルプレートの製造方法。
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