JP3569882B2 - フロントピラー構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は乗用車のボディ構造に係り、特にフロントピラーの構造に関するものであれる。
【0002】
【従来の技術】
図7はこの種の車両におけるフロントピラーまわりの構造例を示している。
このボディ構造において、図示のように乗員の前方にフロントピラー1が配置される。この場合、フロントピラー1は、乗員の安全上極めて重要である。すなわち、仮に乗員の頭部がフロントピラー1に衝突した際、そのときの衝撃を有効に吸収し得るボディ構造が不可欠となる。
【0003】
図8は、従来のフロントピラー1の断面構造を示している。図において、2はアウタパネル、3はインナパネル、4はリインフォースである。これらの部材によりピラー本体が構成される。ピラー本体のインナパネル3側にはガーニッシュ5が付設され、またガーニッシュ5内にはパッド材として樹脂リブ6が装着されている。アウタパネル2およびインナパネル3を図示のように接合することにより閉断面を形成し、この閉断面における両端の接合部にてフロントピラー1の長手方向に沿ってフランジ部1a,1bが延設される。
【0004】
ところで、ボディ構造における頭部保護構造については、法規制の適用範囲になり、たとえば北米法規FMVSS201に準拠した試験条件によれば、衝突位置は最も厳しい条件で決定される。その場合の評価としては、速度24km/hで衝突したときの衝撃(加速度)から決定される頭部障害値HIC(d)で判断する。このような基準に対応するために最も重要な事項は、乗員の頭部の加速度を低下することである。
【0005】
従来のフロントピラー構造において、フロントピラー1に対する乗員の頭部保護のために、頭部が直接ピラー本体に衝突しないようにしている。たとえば内装品であるガーニッシュ5の厚みを増加させることで、頭部Mがピラー本体に衝突するまでの距離Lを増加させたり、あるいはまた、図8の例のようにガーニッシュ5内に樹脂リブ6を装着することで、衝突時のエネルギ吸収効果を高めるようにしている。このような対策を施すことにより、乗員の頭部が実質的にピラー本体に衝突する前に衝突現象を終了させようというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のフロントピラー構造において、乗員の頭部保護を実効あらしめるにはガーニッシュ5の厚みを一定以上確保しなければならない。このため有効な室内スペースを制約する原因となる。
【0007】
本発明は以上の点に鑑み、乗員に対する安全性を高めると共に、室内スペースを有効に確保し得るフロントピラー構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のフロントピラー構造は、アウタパネルとインナパネルを接合することにより閉断面を形成すると共に、その接合部をフランジとして形成したピラー本体と、このピラー本体のインナパネル側に付設したガーニッシュと、このガーニッシュ内部にガーニッシュと一体化して形成した樹脂リブと、を備えるフロントピラーにおいて、上記樹脂リブを、第1のリブ、第2のリブ及び第3のリブで構成し、該第1のリブを、上記アウタパネルおよび上記インナパネルの一方の接合部の至近位置で、外荷重に対する横方向の対抗荷重を発生させるように上記インナパネル側から立て、上記第2のリブを、上記アウタパネルおよび上記インナパネルの他方の接合部の至近位置で、乗員の頭部の軌道変更に必要な対抗荷重を発生させるように上記インナパネル側から立て、さらに、第3のリブを上記第1のリブに隣接配置し、外荷重によるガーニッシュの変形方向を制御する対抗荷重を発生させるようにしたものである。
【0011】
本発明によれば、乗員の頭部が実質的に車両ボディ(ピラー本体)に衝突しないように、ピラー本体に付設されたガーニッシュ部分で頭部の軌道を変更させるようにしている。すなわちガーニッシュ内部に樹脂リブを一体化して形成し、ガーニッシュが頭部から受ける外荷重による変形方向を制御する対抗荷重を発生させる。このように対抗荷重を発生させることで、頭部の軌道は減速距離が長くなるように変更され、衝撃エネルギに対する吸収性を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6に基づき、従来例と実質的に同一または対応する部材には同一符号を用いて、本発明によるフロントピラー構造の好適な実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、この実施形態におけるフロントピラー1の要部構成例を示している。フロントピラー1は、アウタパネル2とインナパネル3の間にリインフォース4を介在させるかたちで、これらの部材を接合することにより閉断面を形成して成るピラー本体を有する。このピラー本体のインナパネル3側にガーニッシュ5が付設される。ピラー本体の閉断面の両端接合部にて長手方向に沿ってフランジ部1a,1bが延設される。
【0014】
また、ガーニッシュ5の内部に樹脂リブ7が一体化して形成される。樹脂リブ7は、外荷重に対する横方向の対抗荷重を発生させるようにインナパネル3側から立てた第1のリブ7aを含んでいる。この第1のリブ7aは、アウタパネル2およびインナパネル3の一方の接合部すなわちフランジ部1aの至近位置に設けられる。ここに、フロントピラー1は外荷重として、乗員の頭部Mから荷重を受けるものとする。
【0015】
樹脂リブ7は、アウタパネル2およびインナパネル3の他方の接合部すなわちフランジ部1bの至近位置で、インナパネル3側から立てた第2のリブ7bをさらに含んでいる。第1のリブ7aおよび第2のリブ7bは、後述のように乗員の頭部Mの軌道変更に必要な対抗荷重を発生させることができる。特に、第1のリブ7aにあっては、衝突初期において頭部Mの軌道変更と回転を促進させる機能を備えている。
【0016】
さらに樹脂リブ7は、第1のリブ7aに隣接配置された第3のリブ7cを含んでいる。この第3のリブ7cは、後述のように乗員の頭部Mの移動の妨げとならないように、ガーニッシュ5の変形モードを制御する機能を備えている。
【0017】
ここで、本発明は図2に模式的に示したように、乗員の頭部Mの軌道を変更することにより、車両ボディ(特にピラー本体のフランジ部1a)との実質的な衝突を回避することを意図している。さらに、このような軌道の変更に加えて、頭部Mの回転(自転)を併発させるようにしている。また、ガーニッシュ5の変形モードによって減速距離をコントロールすることを意図している。つまり乗員の頭部Mが実質的にピラー本体に衝突する前に衝突現象を終了させるものである。
【0018】
図3は、この実施形態における頭部Mの軌道変更を行うための原理作用を示している。頭部Mの軌道変更の大きさを増すためには、頭部Mに対する横方向の対抗荷重を増加させる必要がある。すなわち、図において荷重F2を増加させるために角度φを増加させることになる。また、頭部Mの回転量を増すためには、重心Oまわりの回転モーメントを増加させる必要がある。すなわち、図においてオフセット距離dを増加させることになる。
【0019】
上述したような配置関係で第1のリブ7a、第2のリブ7bおよび第3のリブ7cを含む樹脂リブ7をガーニッシュ5の内部に一体形成することで、これらのリブが頭部Mの軌道を変更させあるいは回転させるための荷重を発生させる。
【0020】
つぎに、上記構成で成るフロントピラー構造において、簡易モデルを用いて行った効果確認試験を説明する。
この例では、図4に示すようなモデルでFEM(有限要素法)によって効果を確認したものである。この場合、ガーニッシュ5の厚みを18.3mmとして検討した。安全上達成すべき頭部障害値は800以下とし、従来例に対しても同様な試験を行った。
【0021】
本発明によれば、頭部障害値615であり、これは目標値を大幅に上回る好結果が得られた。ちなみに従来例の場合にあっては目標値を達成するのが難しい。本発明では結果としてガーニッシュ5の厚みを小さくしても、頭部保護性能を効果的に確保することができる。これにより安全性を維持向上させながら室内スペースを実質的に拡大することが可能になる。
【0022】
図5および図6は、本発明と従来例それぞれの計算モデルにおいて衝突の前後における断面の変形状態を示している。図から明らかなように、本発明によれば衝突後、頭部Mに何ら障害もしくは変形等が起こらないのに対して、従来例の場合ボディ(ピラー本体のフランジ部1a)との衝突で頭部Mに変形が起こる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ガーニッシュの内部に樹脂リブを特定の配置状態で設定することでガーニッシュの厚みを小さくしても、頭部保護性能を有効に確保することができ、室内スペースを有効に拡大した上で、乗員に対する高い安全性を確保することができる。また、ガーニッシュおよび樹脂リブの一体化構造であるから、樹脂リブの製造コストを低減させコスト的に極めて有利である等の利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロントピラー構造の実施形態における要部構成例を示す断面図である。
【図2】本発明の基本原理を模式的に説明する図である。
【図3】本発明における頭部の軌道変更を行うための原理作用を示す図である。
【図4】本発明における効果確認試験に使用する計算モデルの例を示す図である。
【図5】本発明における計算モデルでの衝突の前後における断面の変形状態をそれぞれ示す図である。
【図6】従来例における計算モデルでの衝突の前後における断面の変形状態をそれぞれ示す図である。
【図7】従来例に係るフロントピラーまわりの構造例を示す図である。
【図8】従来例に係るフロントピラー構造の構成例を示す図7のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 フロントピラー
2 アウタパネル
3 インナパネル
4 ピラー本体
5 ガーニッシュ
7 樹脂リブ
7a 第1のリブ
7b 第2のリブ
7c 第3のリブ
Claims (1)
- アウタパネルとインナパネルを接合することにより閉断面を形成すると共に、その接合部をフランジとして形成したピラー本体と、このピラー本体のインナパネル側に付設したガーニッシュと、このガーニッシュ内部にガーニッシュと一体化して形成した樹脂リブと、を備えるフロントピラーにおいて、
上記樹脂リブを、第1のリブ、第2のリブ及び第3のリブで構成し、
該第1のリブを、上記アウタパネルおよび上記インナパネルの一方の接合部の至近位置で、外荷重に対する横方向の対抗荷重を発生させるように上記インナパネル側から立て、 上記第2のリブを、上記アウタパネルおよび上記インナパネルの他方の接合部の至近位置で、乗員の頭部の軌道変更に必要な対抗荷重を発生させるように上記インナパネル側から立て、さらに、
第3のリブを、上記第1のリブに隣接配置し、
外荷重によるガーニッシュの変形方向を制御する対抗荷重を発生させるようにしたことを特徴とするフロントピラー構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15083197A JP3569882B2 (ja) | 1997-06-09 | 1997-06-09 | フロントピラー構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15083197A JP3569882B2 (ja) | 1997-06-09 | 1997-06-09 | フロントピラー構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10338165A JPH10338165A (ja) | 1998-12-22 |
JP3569882B2 true JP3569882B2 (ja) | 2004-09-29 |
Family
ID=15505350
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15083197A Expired - Lifetime JP3569882B2 (ja) | 1997-06-09 | 1997-06-09 | フロントピラー構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3569882B2 (ja) |
-
1997
- 1997-06-09 JP JP15083197A patent/JP3569882B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10338165A (ja) | 1998-12-22 |
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