JP3568547B2 - ジョセフソン接合構造体 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ジョセフソン接合構造体に関する。より詳細には、酸化物超電導体を用いており、作製が容易であるジョセフソン接合構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジョセフソン接合を実現する構成は各種あって、最も好ましい構造は、一対の超電導体で薄い非超電導体をはさんだトンネル型の接合である。しかしながら、点接触型、マイクロブリッジ型等一対の超電導体を弱く結合した超電導接合も、特性は異なるもののジョセフソン効果を発揮する。一般に、このような超電導接合は非常に微細な構成であり、上記の超電導体および非超電導体は、いわゆる薄膜で構成されている。
【0003】
例えば、超電導体に酸化物超電導体を使用してトンネル型超電導接合を実現する場合には、基板上に第1の酸化物超電導薄膜、非超電導体薄膜および第2の酸化物超電導薄膜を順に積層する。
【0004】
非超電導体には、用途により例えばMgO等の絶縁体、Si等の半導体、Au等の金属が使用され、それぞれ異なる特性の超電導接合を構成する。
【0005】
トンネル型超電導接合における非超電導体層の厚さは、超電導体のコヒーレンス長によって決まる。酸化物超電導体は、コヒーレンス長が非常に短いため、酸化物超電導体を使用したトンネル型超電導接合においては、非超電導体の厚さは数nm程度にしなければならない。
【0006】
また、点接触型超電導接合、マイクロブリッジ型超電導接合は、いずれも一対の超電導体の弱結合が実現するような非常に微細な加工を必要とする。
一方、超電導接合の動作特性を考慮すると、超電導接合を構成する各層の結晶性がよく、単結晶または単結晶にごく近い配向性を有する多結晶でなければならない。
【0007】
さらに、dcSQUIDのように、複数のジョセフソン接合を有する素子では、各ジョセフソン接合の特性が揃っていることが必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のトンネル型超電導接合では、それぞれ結晶性のよい第1の酸化物超電導薄膜、非超電導体の薄膜および第2の酸化物超電導薄膜を積層しなければならない。酸化物超電導薄膜上にごく薄く、且つ結晶性のよい非超電導体の薄膜を積層することは困難であり、この非超電導体薄膜のさらに上に結晶性のよい酸化物超電導薄膜を形成するのは酸化物超電導体の特性上非常に困難である。
また、上記の積層構造が実現しても、従来は酸化物超電導体と非超電導体との界面の状態が良好でなく所望の特性が得られなかった。
【0009】
一方、点接触型超電導接合、マイクロブリッジ型超電導接合を実現するような、微細な加工を酸化物超電導薄膜に施すことも非常に困難であり、安定した性能の超電導接合を再現性よく作製することができなかった。従って、従来は、dcSQUIDのように複数のジョセフソン接合を有する素子で、複数のジョセフソン接合の特性を揃えることは、ほとんど不可能であり、性能の向上に限界があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決した、酸化物超電導体を用いたジョセフソン接合構造体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に従うと、2つの高さの異なる水平面と、これらの水平面の間に配置された傾斜角が5〜30°である平坦な傾斜面を有するMgO(100)基板上に成膜され、前記傾斜面上の部分を構成する酸化物超電導体の結晶方向と、水平面の部分を構成する酸化物超電導体の結晶方向とが異なる酸化物超電導薄膜で形成され、該酸化物超電導薄膜の前記傾斜面上の部分と水平面の部分との間のそれぞれの結晶粒界のみが障壁となっていることを特徴とするジョセフソン接合構造体が提供される。
【0013】
【作用】
本発明のジョセフソン接合構造体は、一部に緩い傾斜面を有する基板成膜面上に成膜された酸化物超電導薄膜で構成されている。この酸化物超電導薄膜の基板成膜面の傾斜面上の部分は、他の部分と結晶方向が異なる酸化物超電導体結晶で構成されていて、この傾斜面上の部分と他の部分との間の結晶粒界がジョセフソン接合の障壁となっている。本発明のジョセフソン接合構造体では、酸化物超電導体結晶の結晶粒界が障壁になっているので、障壁が非常にシャープであり、ジョセフソン接合としての特性が優れている。
【0014】
本発明のジョセフソン接合構造体では、上記の傾斜面の傾斜角は5〜30°であ
る。緩い傾斜面を有する成膜面上に形成された酸化物超電導薄膜で構成されている本発明のジョセフソン接合構造体は、上面を平坦にすることが容易であり、素子を作製する場合に有利である。
【0015】
本発明のジョセフソン接合構造体のより具体的な構成としては、基板にMgO(
100)基板を使用する。酸化物超電導体としては、Y1 Ba2 Cu3 O7-X 、を好ましく使用できる。MgO(100)基板上に成長するY1 Ba2 Cu3 O7-X 酸化物超電導薄膜は、5〜30°の緩い傾斜面上でも結晶方向が変わり、他の部分との間に結晶粒界を生ずるからである。
【0016】
上記本発明のジョセフソン接合構造体は、複数のジョセフソン接合を有する超電導素子とすることも可能である。すなわち、上記酸化物超電導薄膜の複数の箇所が上記の傾斜面にある形状にすると、傾斜面上のそれぞれの位置にジョセフソン接合が形成される。これらのジョセフソン接合は、いずれも上述の結晶粒界を障壁としているので特性が揃っている。
【0017】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過ぎず、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではない。
【0018】
【実施例】
図1に本発明のジョセフソン接合構造体の一例を示す。図1(a)は、本発明のジョセフソン接合構造体に共通な構成の断面図であり、図1(b)および(c)はそれぞれ本発明のジョセフソン接合構造体の異なる例の平面図である。
【0019】
図1(a)を参照して本発明のジョセフソン接合構造体の実施例の断面構造を説明する。図1(a)に示した本発明のジョセフソン接合構造体は、MgO基板3上に成膜されたY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1で主に構成されている。MgO基板3は、成膜面としてそれぞれ高さの異なる(100)面31および32と、(100)面31および32間の傾斜面33を具備する。本実施例のジョセフソン接合構造体では、傾斜面33の傾斜角は20°であるが、この角度は5〜30°の範囲であれば任意に選択することができる。
【0020】
Y1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1は、厚さ約300nmであり、分離領域13により超電導領域11および12に分離されている。分離領域13は、MgO基板の傾斜面33の影響により、傾斜面33上に形成される。即ち、MgO基板は、その上に成長するY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導体結晶の結晶方向に影響を大きく与える。例えば、MgO(100)基板の場合、(100)面に対して僅かに傾斜している部分があると、その部分に成長するY1Ba2Cu3O7−X結晶の結晶方向は、(100)面上に成長するY1Ba2Cu3O7−X結晶の結晶方向と異なる。従って、超電導領域11および12と分離領域13との間には結晶粒界41、42が生じて、障壁となる。分離領域13の幅を適正にすることにより、分離領域13および結晶粒界41、42が単一の障壁となり、超電導領域11および12によるジョセフソン接合構造体が形成される。
【0021】
図1(b)に本発明のジョセフソン接合構造体の一例の平面図を示す。図1(b)のジョセフソン接合構造体は、Y1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1が傾斜面33を1か所で横切る形状に形成されており、傾斜面33上の分離領域13が障壁となったジョセフソン接合を構成していて、ジョセフソン素子に適した形状になっている。図1(b)に示した形状の本発明のジョセフソン接合構造体を作製する場合には、傾斜面33を有するMgO(100)基板3上にY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜を成膜し、反応性イオンエッチング、Arイオンミリング等の方法によりY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜を加工する。本実施例では図1(b)のくびれた部分は長さ10μm、幅5μmとした。
【0022】
また、Y1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜は、高周波マグネトロンスパッタリング法に成膜を行ったが、成膜条件は以下の通りである。
【0023】
上記本発明の超電導接合構造体を使用したジョセフソン素子の特性を測定した。85Kに冷却し、周波数15GHz、出力0.2 mWのマイクロ波を印加したところ、31μVの倍数の電圧点でシャピロステップが観測され、ジョセフソン結合が実現していることが確認された。
【0024】
図1(c)に、本発明の超電導接合構造体の他の一例の概略平面図を示す。図1(c)の超電導素子は、Y1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1が傾斜面33を2か所で横切る形状に形成されており、傾斜面33上の2か所の分離領域13がそれぞれ障壁となった2個のジョセフソン接合を構成している。図1(c)に示した形状の本発明のジョセフソン接合構造体を作製する場合には、傾斜面33を有するMgO(100)基板3上にSi板のマスクを配置して、図1(c)に示した形状になるようY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1を成膜すればよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に従うと、新規な構成の超電導接合構造体を酸化物超電導体により実現できる。本発明の超電導接合構造体は、実質的に1枚の酸化物超電導薄膜で形成されており、酸化物超電導体結晶の結晶粒界が障壁となって構成されている。また、本発明の超電導接合構造体は、微細加工を行うことなく容易に作製することが可能である。
さらに、本発明の超電導接合構造体は、特性の揃った複数の超電導接合を備える構成にすることも可能である。
本発明により、超電導技術の電子デバイスへの応用がさらに促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の超電導接合構造体の一例の断面概略図であり、(b)および(c) は、本発明の超電導接合構造体のそれぞれ異なる例の平面図である。
【符号の説明】
1 酸化物超電導薄膜
3 基板
41、42 結晶粒界
【産業上の利用分野】
本発明は、ジョセフソン接合構造体に関する。より詳細には、酸化物超電導体を用いており、作製が容易であるジョセフソン接合構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジョセフソン接合を実現する構成は各種あって、最も好ましい構造は、一対の超電導体で薄い非超電導体をはさんだトンネル型の接合である。しかしながら、点接触型、マイクロブリッジ型等一対の超電導体を弱く結合した超電導接合も、特性は異なるもののジョセフソン効果を発揮する。一般に、このような超電導接合は非常に微細な構成であり、上記の超電導体および非超電導体は、いわゆる薄膜で構成されている。
【0003】
例えば、超電導体に酸化物超電導体を使用してトンネル型超電導接合を実現する場合には、基板上に第1の酸化物超電導薄膜、非超電導体薄膜および第2の酸化物超電導薄膜を順に積層する。
【0004】
非超電導体には、用途により例えばMgO等の絶縁体、Si等の半導体、Au等の金属が使用され、それぞれ異なる特性の超電導接合を構成する。
【0005】
トンネル型超電導接合における非超電導体層の厚さは、超電導体のコヒーレンス長によって決まる。酸化物超電導体は、コヒーレンス長が非常に短いため、酸化物超電導体を使用したトンネル型超電導接合においては、非超電導体の厚さは数nm程度にしなければならない。
【0006】
また、点接触型超電導接合、マイクロブリッジ型超電導接合は、いずれも一対の超電導体の弱結合が実現するような非常に微細な加工を必要とする。
一方、超電導接合の動作特性を考慮すると、超電導接合を構成する各層の結晶性がよく、単結晶または単結晶にごく近い配向性を有する多結晶でなければならない。
【0007】
さらに、dcSQUIDのように、複数のジョセフソン接合を有する素子では、各ジョセフソン接合の特性が揃っていることが必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のトンネル型超電導接合では、それぞれ結晶性のよい第1の酸化物超電導薄膜、非超電導体の薄膜および第2の酸化物超電導薄膜を積層しなければならない。酸化物超電導薄膜上にごく薄く、且つ結晶性のよい非超電導体の薄膜を積層することは困難であり、この非超電導体薄膜のさらに上に結晶性のよい酸化物超電導薄膜を形成するのは酸化物超電導体の特性上非常に困難である。
また、上記の積層構造が実現しても、従来は酸化物超電導体と非超電導体との界面の状態が良好でなく所望の特性が得られなかった。
【0009】
一方、点接触型超電導接合、マイクロブリッジ型超電導接合を実現するような、微細な加工を酸化物超電導薄膜に施すことも非常に困難であり、安定した性能の超電導接合を再現性よく作製することができなかった。従って、従来は、dcSQUIDのように複数のジョセフソン接合を有する素子で、複数のジョセフソン接合の特性を揃えることは、ほとんど不可能であり、性能の向上に限界があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決した、酸化物超電導体を用いたジョセフソン接合構造体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に従うと、2つの高さの異なる水平面と、これらの水平面の間に配置された傾斜角が5〜30°である平坦な傾斜面を有するMgO(100)基板上に成膜され、前記傾斜面上の部分を構成する酸化物超電導体の結晶方向と、水平面の部分を構成する酸化物超電導体の結晶方向とが異なる酸化物超電導薄膜で形成され、該酸化物超電導薄膜の前記傾斜面上の部分と水平面の部分との間のそれぞれの結晶粒界のみが障壁となっていることを特徴とするジョセフソン接合構造体が提供される。
【0013】
【作用】
本発明のジョセフソン接合構造体は、一部に緩い傾斜面を有する基板成膜面上に成膜された酸化物超電導薄膜で構成されている。この酸化物超電導薄膜の基板成膜面の傾斜面上の部分は、他の部分と結晶方向が異なる酸化物超電導体結晶で構成されていて、この傾斜面上の部分と他の部分との間の結晶粒界がジョセフソン接合の障壁となっている。本発明のジョセフソン接合構造体では、酸化物超電導体結晶の結晶粒界が障壁になっているので、障壁が非常にシャープであり、ジョセフソン接合としての特性が優れている。
【0014】
本発明のジョセフソン接合構造体では、上記の傾斜面の傾斜角は5〜30°であ
る。緩い傾斜面を有する成膜面上に形成された酸化物超電導薄膜で構成されている本発明のジョセフソン接合構造体は、上面を平坦にすることが容易であり、素子を作製する場合に有利である。
【0015】
本発明のジョセフソン接合構造体のより具体的な構成としては、基板にMgO(
100)基板を使用する。酸化物超電導体としては、Y1 Ba2 Cu3 O7-X 、を好ましく使用できる。MgO(100)基板上に成長するY1 Ba2 Cu3 O7-X 酸化物超電導薄膜は、5〜30°の緩い傾斜面上でも結晶方向が変わり、他の部分との間に結晶粒界を生ずるからである。
【0016】
上記本発明のジョセフソン接合構造体は、複数のジョセフソン接合を有する超電導素子とすることも可能である。すなわち、上記酸化物超電導薄膜の複数の箇所が上記の傾斜面にある形状にすると、傾斜面上のそれぞれの位置にジョセフソン接合が形成される。これらのジョセフソン接合は、いずれも上述の結晶粒界を障壁としているので特性が揃っている。
【0017】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過ぎず、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではない。
【0018】
【実施例】
図1に本発明のジョセフソン接合構造体の一例を示す。図1(a)は、本発明のジョセフソン接合構造体に共通な構成の断面図であり、図1(b)および(c)はそれぞれ本発明のジョセフソン接合構造体の異なる例の平面図である。
【0019】
図1(a)を参照して本発明のジョセフソン接合構造体の実施例の断面構造を説明する。図1(a)に示した本発明のジョセフソン接合構造体は、MgO基板3上に成膜されたY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1で主に構成されている。MgO基板3は、成膜面としてそれぞれ高さの異なる(100)面31および32と、(100)面31および32間の傾斜面33を具備する。本実施例のジョセフソン接合構造体では、傾斜面33の傾斜角は20°であるが、この角度は5〜30°の範囲であれば任意に選択することができる。
【0020】
Y1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1は、厚さ約300nmであり、分離領域13により超電導領域11および12に分離されている。分離領域13は、MgO基板の傾斜面33の影響により、傾斜面33上に形成される。即ち、MgO基板は、その上に成長するY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導体結晶の結晶方向に影響を大きく与える。例えば、MgO(100)基板の場合、(100)面に対して僅かに傾斜している部分があると、その部分に成長するY1Ba2Cu3O7−X結晶の結晶方向は、(100)面上に成長するY1Ba2Cu3O7−X結晶の結晶方向と異なる。従って、超電導領域11および12と分離領域13との間には結晶粒界41、42が生じて、障壁となる。分離領域13の幅を適正にすることにより、分離領域13および結晶粒界41、42が単一の障壁となり、超電導領域11および12によるジョセフソン接合構造体が形成される。
【0021】
図1(b)に本発明のジョセフソン接合構造体の一例の平面図を示す。図1(b)のジョセフソン接合構造体は、Y1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1が傾斜面33を1か所で横切る形状に形成されており、傾斜面33上の分離領域13が障壁となったジョセフソン接合を構成していて、ジョセフソン素子に適した形状になっている。図1(b)に示した形状の本発明のジョセフソン接合構造体を作製する場合には、傾斜面33を有するMgO(100)基板3上にY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜を成膜し、反応性イオンエッチング、Arイオンミリング等の方法によりY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜を加工する。本実施例では図1(b)のくびれた部分は長さ10μm、幅5μmとした。
【0022】
また、Y1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜は、高周波マグネトロンスパッタリング法に成膜を行ったが、成膜条件は以下の通りである。
【0023】
上記本発明の超電導接合構造体を使用したジョセフソン素子の特性を測定した。85Kに冷却し、周波数15GHz、出力0.2 mWのマイクロ波を印加したところ、31μVの倍数の電圧点でシャピロステップが観測され、ジョセフソン結合が実現していることが確認された。
【0024】
図1(c)に、本発明の超電導接合構造体の他の一例の概略平面図を示す。図1(c)の超電導素子は、Y1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1が傾斜面33を2か所で横切る形状に形成されており、傾斜面33上の2か所の分離領域13がそれぞれ障壁となった2個のジョセフソン接合を構成している。図1(c)に示した形状の本発明のジョセフソン接合構造体を作製する場合には、傾斜面33を有するMgO(100)基板3上にSi板のマスクを配置して、図1(c)に示した形状になるようY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1を成膜すればよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に従うと、新規な構成の超電導接合構造体を酸化物超電導体により実現できる。本発明の超電導接合構造体は、実質的に1枚の酸化物超電導薄膜で形成されており、酸化物超電導体結晶の結晶粒界が障壁となって構成されている。また、本発明の超電導接合構造体は、微細加工を行うことなく容易に作製することが可能である。
さらに、本発明の超電導接合構造体は、特性の揃った複数の超電導接合を備える構成にすることも可能である。
本発明により、超電導技術の電子デバイスへの応用がさらに促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の超電導接合構造体の一例の断面概略図であり、(b)および(c) は、本発明の超電導接合構造体のそれぞれ異なる例の平面図である。
【符号の説明】
1 酸化物超電導薄膜
3 基板
41、42 結晶粒界
Claims (1)
- 2つの高さの異なる水平面と、これらの水平面の間に配置された傾斜角が5〜30°である平坦な傾斜面を有するMgO(100)基板上に成膜され、前記傾斜面上の部分を構成する酸化物超電導体の結晶方向と、水平面の部分を構成する酸化物超電導体の結晶方向とが異なる酸化物超電導薄膜で形成され、該酸化物超電導薄膜の前記傾斜面上の部分と水平面の部分との間のそれぞれの結晶粒界のみが障壁となっていることを特徴とするジョセフソン接合構造体。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16415092A JP3568547B2 (ja) | 1992-05-29 | 1992-05-29 | ジョセフソン接合構造体 |
US08/068,189 US5422337A (en) | 1992-05-29 | 1993-05-28 | Step-edged grain boundary Josephson junction with 5 to 30 degrees inclined angle |
DE69318473T DE69318473T2 (de) | 1992-05-29 | 1993-05-28 | Josephson-Uebergangseinrichtung aus oxidischem Supraleiter |
EP93401378A EP0573340B1 (en) | 1992-05-29 | 1993-05-28 | Josephson junction device formed of oxide superconductor |
US08/461,295 US5612290A (en) | 1992-05-29 | 1995-06-05 | Josephson junction device formed of oxide superconductor |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16415092A JP3568547B2 (ja) | 1992-05-29 | 1992-05-29 | ジョセフソン接合構造体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05335637A JPH05335637A (ja) | 1993-12-17 |
JP3568547B2 true JP3568547B2 (ja) | 2004-09-22 |
Family
ID=15787696
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16415092A Expired - Fee Related JP3568547B2 (ja) | 1992-05-29 | 1992-05-29 | ジョセフソン接合構造体 |
Country Status (4)
Country | Link |
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US (1) | US5422337A (ja) |
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