JP3567795B2 - ワイパ取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイパ取付構造に関し、特に、車両用ワイパ装置のワイパピボット取付部の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両に搭載されるワイパ装置は、特開平8−2444号公報に記載されたように、一端にはフロントウインドを払拭するワイパアームが固定され、他端にはアーム部材やリンク部材等を介してワイパモータとが連結されたワイパピボットと、外側に複数のスタッドボルトが植設された板状のベース部と内側に軸受を介してワイパピボットを回動可能に支持するピボットホルダとを備え、車体のフロントウエスト部の車幅方向骨格部材の一部を構成するカウルトップパネルに形成された取付孔に各スタットボルトを差し込み、ナットで締め付けることによりピボットホルダをカウルトップパネルに取り付ける構造が採用されている。
【0003】
また、実開平3−86873号公報,実公平8−1162号公報に記載されたように、ピボットホルダと車両構成部材とを連結するブラケットに、ブラケットが容易に屈曲する易屈曲部や、ピボットホルダが容易に脱落する構造を設け、車両が衝突してワイパピボット部に前方から所定以上の荷重が加わった際に荷重が車両構成部材に加わらないようにした構造を採用したものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のワイパ取付構造において、ワイパピボットにワイパピボット軸方向の衝撃が加わる場合には、剛体であるピボットホルダから伝達された衝撃はカウルトップパネルに伝えられるが、車体骨格部材を構成するカウルトップパネルでは衝撃を効果的に吸収することが出来ず、ワイパピボットに物体が衝突する場合に、衝突した物体に加わる衝撃を低減出来ないという問題が有った。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたもので、ワイパピボットに軸方向から衝撃が加わった際に、ワイパピボットを移動させながら衝撃を吸収して、衝突物に加わる衝撃を低減可能にした、ワイパ取付構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のワイパ取付構造(請求項1)では、一端にワイパアームが取り付けられ他端に該ワイパアームを駆動するリンクが取り付けられたワイパピボットと、該ワイパピボットを軸支するピボットホルダとを備え、該ピボットホルダには車体構成部材の下方から当接するフランジ部が設けられ、該ピボットホルダは該フランジ部を車体構成部材に対して当接させて締結部材を介して取り付けられ、該締結部材は、該車体構成部材の上方において、該ピボットホルダの外周に形成された溝部に係合装着されて該フランジ部と協働して該車体構成部材を挟持する可撓性のリングであって、該リングは、加わる衝撃が所定荷重を越えた場合には該ワイパピボットの軸方向に所定以上の荷重が加わった際に変形して該ピボットホルダを該車体構成部材から該ワイパピボットの軸方向の下方に脱落可能になっている。これにより、ワイパピボットに軸方向から物体が衝突した際には、ピボットホルダが下方に脱落するとともに衝撃を吸収することができ、物体に加わる衝撃を低減することができる。また、ワイパ作動時には、ピボットホルダは、軸方向に対してはリングとフランジ部とで車体構成部材を挟んでいるので、十分な剛性を有して車体構成部材に支持されているが、ワイパピボットの上方から軸方向の衝撃が加わって、リングに加わる衝撃が所定荷重を越えた場合には、リングが変形して脱落し、ワイパ装置全体が下方に移動すると同時に衝撃が吸収されるようになる。
なお、該リングには切れ目が設けられていることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本願の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1,図2に示すように、車体構成部材であるカウル1は、カウルトップアウタ2とカウルトップインナ3とを上下に重ね合わせて閉断面構造となるように構成されている。カウルトップアウタ2の車体後方側にはウインドシールドガラス4の下端が接着剤5を介して強固に接着固定されている。また、カウルトップアウタ2の前側にはボンネット6の裏に圧接してエンジンルームとカウル1との間をシールするシール部材7が設けられている。また、カウルトップアウタ2の車両前後方向の略中央にはワイパ装置8を取り付けるための貫通孔2aと取付孔2bが形成されている。
【0008】
ワイパ装置8は、図示しない駆動用モータ,ワイパリンク9,揺動アーム10,ピボットホルダ11,ワイパピボット12,ワイパアーム13から構成される。
ワイパピボット12の下端には揺動アーム10の一端が図示しない取付ナットにより固定され、揺動アーム10の他端にはワイパリンク9が接続される。また、ワイパピボット12の上端にはワイパアーム13がナット14により固定されている。
【0009】
ワイパピボット12はピボットホルダ11により回動可能に周囲を軸支されており、ピボットホルダ11の軸方向の略中央には軸に直角方向に向かって広がる板状のフランジ部11aが一体に形成され、フランジ部11aには複数の貫通孔11bが形成されている。
ピボットホルダ11はフランジ部11aがカウルトップアウタ2の下部に重なるように貫通孔2aに挿入され、フランジ部11aに形成された貫通孔11bとカウルトップアウタ2に形成された取付孔2bとが重なるように位置決めされた後に両孔に取付部としての取付ボルト15を貫通させ、取付ナット16で締結することによりカウルトップパネル2に取り付けられる。
【0010】
取付ナット16は樹脂により形成され、軸方向に所定以上の荷重が加わるとねじ山が破壊されて取付ナット16が脱落するもので、締結部材を構成している。なお、取付ナット16以外に、取付ボルト15、或いは取付ボルト15と取付ナット16の両方を所望の軸方向荷重で脱落すると同時にワイパ作動時にピボット軸に垂直な方向に加わる荷重を支えることが可能な樹脂或いは金属で形成しても良く、材質や径を変更することにより脱落時の荷重を容易に調整することが可能である。
【0011】
また、ピボットホルダ11下方のカウルトップ1内部には衝撃吸収部材17が設けられている。
このような構成により、ワイパ作動時には、ピボットホルダ11は取付ボルト15と取付ナット16の締結により軸方向、回転方向共に十分な剛性を有してカウルトップアウタ2に支持されているが、例えば車両が歩行者等と衝突して歩行者が跳ね上げられ、歩行者がワイパピボット12に衝突すると、ワイパピボット12の上方から矢印Aのような軸方向の衝撃が加わることになり、ピボットホルダ11からフランジ部11aに伝わって、取付部である取付ボルト15,取付ナット16からカウルトップアウタ2へと伝達される。その際、取付ボルト15,取付ナット16に加わる衝撃が所定荷重を越えた場合にはナット20が破壊して脱落する際に衝撃が吸収され、さらにワイパ装置8全体が下方に移動してピボットホルダ11の下端が衝撃吸収部材17に接触して衝撃吸収部材を変形させることで衝撃を吸収するので、歩行者に加わる衝撃を低減することが可能となる。
【0012】
また、取付ボルト15,取付ナット16以外は従来のワイパ装置に用いられた部品を流用することが可能なため新たにワイパ装置等を設計することが不要で製品コストを抑えることも可能である。
なお、図1,図2に示された上述の第1実施形態の取付部の構造に変えて、図3に示すように取付ナット16の代わりにフランジ部11aの貫通孔11b′にねじ山を設け、これと締結される取付ボルト15の方を樹脂製にして軸方向に所定以上の荷重が加わるとねじ山が破壊されるようにすれば、上述と同様の効果を得ることができる上、取付ボルト15の締結のみでピボットブラケット11をカウルトップアウタ2に取り付けることができるので取付作業を容易に行なうことができる。
【0013】
また、図4に示すように、取付ボルト15の代わりにカウルトップアウタ2から下方に向かって突出する取付ボルト15′を植設し、樹脂製の取付ナット16と締結することにより締結部材を構成する他、図5に示すように、取付ボルト15の代わりにフランジ部11aから上方に向かって突出する取付ボルト15″を植設し、樹脂製の取付ナット16と締結することにより締結部材を構成するようにしても、上述と同様の効果を得ることができる。
【0014】
次に、本願の第2実施形態を図6,図7に基づいて説明する。
ピボットホルダ11のフランジ部11aの上方には溝部11cが形成され、フランジ部11aには突起11dが形成されている。
ピボットホルダ11はフランジ部11aがカウルトップアウタ2の下部に重なるように貫通孔2aに挿入され、フランジ部11aに形成された突起11dとカウルトップアウタ2に形成された取付穴2bとが重なるように位置決めされた後にカウルトップアウタ2の上方からリング18を溝部11cに係合することによりカウルトップパネル2に取り付けられる。
【0015】
締結部材を構成するリング18は切れ目を有し、溝部11cに係合するとともに貫通孔2a周縁近傍でカウルトップアウタ2を覆うように形成され、ワイパピボット12の軸方向に所定以上の荷重が加わると、リング18が撓むことにより溝部11cから脱落するもので、金属或いは樹脂により形成されている。
ワイパ作動時には、ピボットホルダ11は軸方向にはリング18とフランジ部11aでカウルトップアウタ2を挟み、回転方向にたいしては突起11dと取付孔2bの係合しているので、十分な剛性を有してカウルトップアウタ2に支持されているが、例えば車両が歩行者等と衝突して歩行者が跳ね上げられ、歩行者がワイパピボット12に衝突すると、ワイパピボット12の上方から矢印A(図1参照)のような軸方向の衝撃が加わることになり、衝撃はピボットホルダ11とカウルトップアウタ2との間に設けられたリング18に伝達する。そして、リング18に加わる衝撃が所定荷重を越えた場合にはリング18が変形して脱落し、ワイパ装置8全体が下方に移動すると同時に衝撃が吸収され、さらにピボットホルダ11の下端が衝撃吸収部材17に接触して衝撃吸収部材を変形させることで衝撃を吸収するので、歩行者に加わる衝撃を低減することが可能となる。
【0016】
また、ピボットホルダ11をカウルトップパネルアウタ2の取付作業はピボットホルダ11の位置決め後、リング18を係合させることで行なえるので、作業性を向上させることができる。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明のワイパ取付構造(請求項1)によれば、一端にワイパアームが取り付けられ他端に該ワイパアームを駆動するリンクが取り付けられたワイパピボットと、該ワイパピボットを軸支するピボットホルダとを備え、該ピボットホルダは車体構成部材に対して締結部材を介して取り付けられ、該締結部材は該ワイパピボットの軸方向に所定以上の荷重が加わった際に変形して該ピボットホルダを該車体構成部材から該ワイパピボットの軸方向の下方に脱落可能にしたので、ワイパピボットに軸方向から物体が衝突した際には、ピボットホルダが下方に脱落するとともに衝撃を吸収することができ、物体に加わる衝撃を低減することができる。
特に、本発明のワイパ取付構造(請求項1)によれば、ワイパ作動時には、ピボットホルダは軸方向に対してはリングとフランジ部とで車体構成部材を挟んでいるので、十分な剛性を有して車体構成部材に支持されているが、ワイパピボットの上方から軸方向の衝撃が加わり、リングに加わる衝撃が所定荷重を越えた場合にはリングが変形して脱落し、ワイパ装置全体が下方に移動すると同時に衝撃が吸収され、リングというシンプルな部材により衝撃吸収を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としてのワイパ取付構造にかかる断面図である。
【図2】図1の要部断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の第1変形例を示す要部断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の第2変形例を示す要部断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の第3変形例を示す要部断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態としてのワイパ取付構造にかかる要部断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態としてのワイパ取付構造のリングを示す正面図である。
【符号の説明】
2 カウルトップアウタ(車体構成部材)
2a 貫通孔
4 ウインドシールドガラス
6 ボンネット
8 ワイパ装置
9 ワイパリンク
10 揺動アーム
11 ピボットホルダ
11a フランジ部
12 ワイパピボット
13 ワイパアーム
15 取付ボルト(締結部材)
16 取付ナット(締結部材)
17 衝撃吸収部材
Claims (2)
- 一端にワイパアームが取り付けられ他端に該ワイパアームを駆動するリンクが取り付けられたワイパピボットと、
該ワイパピボットを軸支するピボットホルダとを備え、
該ピボットホルダには車体構成部材の下方から当接するフランジ部が設けられ、該ピボットホルダは該フランジ部を車体構成部材に対して当接させて締結部材を介して取り付けられ、
該締結部材は、該車体構成部材の上方において、該ピボットホルダの外周に形成された溝部に係合装着されて該フランジ部と協働して該車体構成部材を挟持する可撓性のリングであって、該リングは、加わる衝撃が所定荷重を越えた場合には変形して該ピボットホルダを該車体構成部材から該ワイパピボットの軸方向の下方に脱落可能になっている
ことを特徴とする、ワイパ取付構造。 - 該リングには切れ目が設けられていることを特徴とする、請求項1記載のワイパ取付構造。
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