JP3564730B2 - 投影露光装置及び方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体素子や液晶表示素子等を製造する投影露光装置及び方法に関し、特に感光基板の焦点合わせを行なうことが可能な投影露光装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の投影露光装置において、マスク(レチクル)のパターンを投影光学系を介して感光基板(ウェハ)上に結像する際、パターンの結像面にウェハ表面を正確に合致させること、即ち焦点合わせが必須のこととなっている。近年投影光学系の焦点深度は狭くなる一方で、露光用照明として波長365nmのi線を用いたものでも、±0.7μm程度の焦点深度しか得られないのが現状である。従ってこの種の投影露光装置に備えられる焦点検出系は、投影光学系の結像面とウェハ表面との投影光学系の光軸方向における偏差量を高精度に検出することが要求されている。
【0003】
このように投影光学系の結像面とウェハ表面との投影光学系の光軸方向における偏差量を高精度に検出して焦点合わせを行う手法として、例えば特開昭58−113706号公報等に開示された技術が知られている。これは、ウェハ上にレーザビーム(ウェハ上のレジストに対して非感光性のビーム)をパターン像として照射し、その反射光を同期検波方式によって光電検出して投影光学系の結像面とウェハ表面との投影光学系の光軸方向における偏差量を高精度に検出するものである。
【0004】
ここで、投影光学系の光軸方向をZ方向とし、Z方向に垂直な平面内におけるステージの移動位置を規定する座標系をXY座標系とすると、ウェハ表面の高さ位置を検出する際、焦点検出系がウェハ上に投射するパターン像(以下、「スリット像」と記す)の形成位置(XY座標位置)は、投影光学系の結像面内において投影光学系の光軸位置を設定位置として予め調整される。従って、焦点検出系はウェハ上に既に露光された各ショット領域の中心点にスリット像を投射して焦点検出を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の投影露光装置においては、スリット像は投影光学系の結像面における上述の設定位置を中心とする所定の許容範囲内にはいるように調整されているので、実際に投影光学系の結像面においてスリット像が形成される座標位置は投影露光装置毎にばらついている。
【0006】
一般にウェハ上に露光される各ショット領域の表面は露光工程を経ることによって段差(凹凸)を生じる。この凹凸の一例として、スクライブラインが挙げられる。これは1つのショット領域内に2つの回路パターン領域を形成するようなとき、それら2つの回路パターン領域の間に存在する溝のことであり、溝の幅は2mm程度、溝の段差は1〜5μm程度である。
【0007】
このようなショット領域にスリット像を照射して焦点検出を行う場合、上述した従来の装置ではショット領域の中心点、すなわちスクライブライン上にスリット像を照射するものと、ショット領域の中心点からずれた位置、即ちスクライブライン部分ではなく回路パターン領域上にスリット像を照射するものとがあり、装置によっては焦点検出に最大5μmもの高度差を生じてしまう。このような露光装置では±0.7μmもの狭い焦点深度内にウェハ表面を配置することが困難になる。また、スクライブラインのないショット領域においても、回路パターンが露光された領域には微小な段差が存在しており、これも焦点検出に大きな影響を及ぼす。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、ショット領域内に凹凸が存在していても、常に高精度な焦点検出を行うことが可能な投影露光装置及び方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一実施例を示す図1に対応付けて説明する。上述の問題点を解決するため本発明の装置は、マスク(R)に形成された回路パターンの像を基板(W)上に結像投影する投影光学系(PL)と、基板(W)を保持して投影光学系(PL)の光軸方向、及び該光軸にほぼ垂直な方向に移動可能なステージ(ST)と、を有する投影露光装置であって、基板上に焦点検出用パターンの像(SP)を投射するとともに、基板からの反射光を光電検出することによって、投影光学系の結像面と基板の表面との投影光学系の光軸方向の偏差に応じた検出信号を出力する焦点検出手段(15〜21)と、その検出信号に基づいてステージの光軸方向における位置を制御する制御手段(WSC)と、ステージの一部に配置された基準パターン(30x、30y)と、基準パターンと焦点検出用パターンの像とを相対走査したときに焦点検出手段から得られる検出信号の変化に基づいて、焦点検出用パターンの像の光軸にほぼ垂直な面内における位置を検出するパターン位置検出手段(103、MCS)と、を有することを特徴とするものである。
【0010】
ここで、パターン位置検出手段の検出結果に基づいて、焦点検出用パターンの像の形成位置と光軸にほぼ垂直な面内における所定の設定位置との位置ずれ量が所定の許容範囲内であるか否かを表示する表示手段(CRT)を有することが好ましい。このことにより、オペレータが焦点検出用パターンの像の位置ずれの状態を確認することができる。また、焦点検出手段は、パターン位置検出手段の検出信号に基づいて、焦点検出用パターンの像の位置を光軸にほぼ垂直な面内における所定の設定位置に移動させる移動手段(18a、16)をさらに有することが好ましい。このことにより、常にショット領域内の所定の測定点(例えばショット領域の中心点)に焦点検出用パターンの像が投射される。また、その移動手段は、光軸にほぼ垂直な面内における焦点検出用パターンの像の位置をシフトさせる第1の光学部材(16)と、設定位置に焦点検出用パターンの像を配置するように第1の光学部材を駆動する第1の駆動手段(18a)とを有することが好ましい。このことにより、自動的に焦点検出用パターンの像の投射位置を調整できる。また、焦点検出手段は、反射光を光電検出する光電検出器(21)上における反射光の位置を変化させる第2の光学部材(20)と、第2の光学部材を駆動する第2の駆動手段(18b)とを有することが好ましい。また、設定位置は、マスク上の基準点の投影光学系による投影位置であることが好ましい。また、マスク上の基準点、又は基準点と一定の位置関係で形成されたマスクマーク(RMx、RMy)と、ステージの一部に配置されたマスク計測用パターン(31x、31y)と、マスクマークとマスク計測用パターンとを投影光学系を介して検出することによってマスク上の基準点の投影光学系による投影位置を検出するマスク位置検出手段(6)と、をさらに有することが好ましい。また、基準パターンがマスク計測用パターンの機能を果たすことが好ましい。また、焦点検出手段は、基板上に焦点検出用パターンの像を複数個投射することが好ましい。また、パターン位置検出手段の検出信号に基づいて、露光処理中におけるステージの光軸にほぼ垂直な面内における位置を制御するステージ制御手段(MCS)をさらに有することが好ましい。また、パターン位置検出手段の検出信号と、基板上の凹凸情報とに基づいて、焦点検出手段の検出結果を補正する補正手段(MCS)をさらに有することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明における投影露光方法は、マスク(R)に形成された回路パターンの像を投影光学系(PL)を介してステージ(ST)上に載置された基板(W)上に露光する際、基板上に焦点検出用パターンの像(SP)を投射するとともに該基板からの反射光を光電検出することにより、投影光学系の結像面と基板の表面との投影光学系の光軸方向における偏差に対応した検出信号を得、その検出信号に基づいて基板の表面を結像面に配置する投影露光方法であって、ステージ(ST)上に配置された所定形状の基準パターン(30x、30y)に対して焦点検出用パターンの像を照射したときの照射光を光電検出することによって、光軸にほぼ垂直な面内における焦点検出用パターンの像の形成位置を検出することを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
本発明は、焦点検出系によって基板上に投射されるパターン像(SP)と、反射率の異なる2つの領域を有する基準パターンとを相対走査することによって、パターン像(SP)の静止座標系上における形成位置を求める。そして、投影光学系の光軸(AX)の位置からの位置ずれを求める。この位置ずれに基づいて、移動手段はこのスリット像と基板との少なくとも一方を移動させて基板上の測定点とスリット像の形成位置とを一致させる。このことによって、焦点検出系は常に基板(ウェハ)上の所定の測定点(例えばショット領域の中心点)にスリット像を照射して焦点検出を行うことができる。
【0013】
【実施例】
図1は本発明の第1実施例による投影露光装置と、それに組み込まれる焦点検出系との概略的な構成を示す図である。以下図1を用いて説明を行なう。
露光用の照明光(水銀ランプからのg線、i線、あるいはエキシマレーザ光源からの紫外線パルス光)ILはフライアイレンズFLを通った後、コンデンサーレンズCL、ミラーMを介してレチクルRのパターン領域PAを均一な照度で照射する。パターン領域PAを通過した照明光ILは投影光学系(図1においては両側テレセントリックであるが片側テレセントリックでもよい)PLを介してウェハステージST上に載置されているウェハW上に達する。ウェハステージSTはXYステージST1とZステージST2とから構成されている。そして、XYステージST1はXY駆動系1によって投影光学系PLの光軸AXに垂直な方向(XY方向)に移動可能であり、ZステージST2はZ駆動系2によって投影光学系PLの光軸AX方向(Z軸方向)に移動可能である。XYステージST1の位置(XY座標値)は、ステージ干渉計3により逐次計測される。ZステージST2のZ軸方向における位置(Z座標値)は、Zステージ駆動系2内に設けられているエンコーダによって求められる。ウェハステージコントローラWSCはステージ干渉計3からのXY座標値、Z駆動系2からのZ座標値、及び主制御系MCSからの指令等に基づいて、XY駆動系1とZ駆動系2を介してXYステージST1とZステージST2の移動や位置決めを制御する。
【0014】
レチクルRはレチクルホルダーRHによって保持されており、このレチクルホルダーRHはレチクルステージRST上に設けられている。レチクルステージRSTはレチクル駆動系4によってXY方向に移動可能であり、レチクルRの座標値はレチクル干渉計5によって逐次計測されている。レチクルステージコントローラRSCはレチクル干渉計5からの座標値や主制御系MCSからの指令等に基づいて、レチクル駆動系4を介してレチクルステージRSTの移動や位置決めを制御する。
【0015】
ここで、レチクルRをミラーM側(図1における上側)から見た図を図2に示す。レチクルRの内部の回路パターン領域PAには半導体素子製造用の回路パターンが形成されている。パターン領域PAはほぼ正方形であり、この正方形のとなりあう2辺の外側(パターン領域の外側)にはパターン領域PAに隣接して夫々アライメントマークRMx、RMyが設けられている。アライメントマークRMxはX方向に延びた矩形状のマーク部を有し、アライメントマークRMyはY方向に延びた矩形状のマーク部を有する。そして夫々のマーク部の両側(各マーク部の長手方向に垂直な方向)には開口部が設けられている。そして夫々のマークの長手方向における中心線の延長線上にレチクルRの中心点(パターン領域の中心点)RCが存在する。このアライメントマークRMx、RMyはレチクルRの位置を計測するときに用いられるもので、このことについては後で詳しく述べる。
【0016】
また図2に示すようにレチクルRには、レチクルRの外周(正方形)の向かい合う2辺(図2ではY方向に平行な2辺)に隣接してレチクルマークRMa、RMbが設けられている。レチクルマークRMa、RMbは夫々X方向とY方向とに延びる十字の形状をしたマーク部を有し、夫々のマーク部の中心点MCa、MCbは、レチクルRの中心点RCを通りY方向に延びる直線上に夫々存在する。このレチクルマークRMa、RMbはレチクルRを所定の位置に位置決めする際に、後述するレチクルアライメント系によって読み取られるものである。
【0017】
さて、図1においてレチクルRの上部にはマーク検出系6、ミラー7から成るレチクルアライメント系(6、7)が設けられている。このレチクルアライメント系(6、7)は、図2に示したレチクルマークRMbを検出する。また、本実施例の投影露光装置には、レチクルアライメント系(6、7)と同一の構成からなり、レチクルマークRMaを検出するアライメント系が設けられている(不図示)。レチクルアライメント系(6、7)は例えばHe−Neレーザ等のレーザビームをレチクルマークRMb上に照射して、その反射光を検出する。主制御系MCSはレチクルマークRMbの像がマーク検出系6中の指標に合うようにレチクルステージコントローラRSCを介してレチクルRの位置を制御する。レチクルマークRMaも不図示のアライメント系によって同様に検出され、これらのレチクルアライメント系によってレチクルRは中心点RCが光軸AXと一致するように位置決めされる。
【0018】
さらに、ステージST(図1ではZステージST2)上には基準板FMが設けられている。この基準板FMの表面とウェハWの表面とはほぼ同一平面内に存在する。基準板FMを投影光学系PL側(図1における上側)から見た図を図3に示す。図3において基準板FM上にはX方向、及びY方向を長手方向とする矩形状のパターン(フィデューシャル・マーク)30x、30y、光透過性の発光マーク31x、31y、後述するベースライン計測用のマーク32x、32yが形成されている。そして、フィデューシャル・マーク30xは高反射領域30xaと低反射領域30xbとから構成されている。フィデューシャル・マーク30yも同様に高反射領域30yaと低反射領域30ybとから構成されている。これらのマーク30x、30y、31x、31y、32x、32yは、夫々基準板FM上の予め決められた位置に配置されており、主制御系MCSは夫々のマーク間の距離(夫々のマークの中心点の間隔)を予め記憶している。
【0019】
次にこの基準板FMに関して投影光学系PLと反対側(図1における下側)から、基準板FMに設けられた発光マーク31x、31yに対して光を照射する照明系、及び発光マーク31x、31yを透過した光を受光する受光系について図1を用いて説明する。この検出系(以下、「ISS系」と記す)はレチクルRの位置を計測するためのものである。
【0020】
図1において光源8は露光用の照明光ILの波長と同一か、又はその近傍の波長の照明光IEを発生する。この照明光IEはレンズ9、ファイバー10を介してステージSTの内部(基準板FMの下方)に送られる。ファイバー10を射出した照明光IEはレンズ11によって集光され、ミラー12を介して発光マーク31x、31yを下側から照射する。発光マーク31x、31yの像はレチクルRに設けられたアライメントマークRMy上で結像する。このとき、主制御系MCSはウェハステージWSをY方向に走査することによって、アライメントマークRMyと発光マーク31yとを相対走査させる。アライメントマークRMyを透過した光はミラーM、コンデンサーレンズCL、ビームスプリッタ13等を介して光電検出器14に受光される。図4(a)はレチクルRのパターン面上に結像される発光マーク31yの像31y’がアライメントマークRMyを走査する様子を示し、図4(b)はこのときに光電検出器14から得られる光電信号の変化を示す図である。図4(b)において縦軸は信号のレベル、横軸はステージ干渉計3から得られるステージのY方向の座標値である。ここで、マークの像31y’がアライメントマークRMyのマーク部と重なったとき、光電検出器14は照明光IEをほとんど受光しないため、光電信号のレベルはボトムとなる。信号処理装置101はステージ干渉計3からの信号S2 に基づいてこのボトムの中心位置Yrmを検出する。
【0021】
これと同様に主制御系MCSは、レチクルRのパターン面上に結像される発光マーク31xの像をアライメントマークRMx上で走査させる。そして、信号処理装置101はこのとき光電検出器14から得られる検出信号がボトムとなる位置Xrmを検出する。そして主制御系MCSはこれらの計測値(Xrm、Yrm)を信号処理装置101から入力する。
【0022】
主制御系MCSは予めアライメントマークRMx、RMyとレチクルRの中心点RCとの位置関係を記憶しているため、上述した2つの計測値(Xrm、Yrm)に基づいて、レチクルRの中心点RCの位置を検出することができる。
再び図1に戻り、本装置に組み込まれている焦点検出系の構成について説明する。
【0023】
投光器15はウェハWに塗布されている感光剤を感光させない波長の光(例えば赤外光等)を射出する。この投光器15中には送光用のスリット板が設けられているため、このスリット板を透過した光が投光器15から射出する。そしてこの光は平行平板ガラス(プレーンパラレルガラス)16、集光レンズ17を通って、ウェハW上にスリット像SPとなって照射される。このスリット像SPの中心点は、図1に示すように投影光学系PLの光軸AXとウェハWの表面とが交差する点に位置する。図1において、ウェハ表面は投影光学系PLの結像面に配置されている。また、平行平板ガラス16は送光用のスリット板の近傍に配置されている。さらに平行平板ガラス16は図1の紙面と垂直な方向(Y方向)、及び紙面に平行な方向に回転軸を有し、これらの回転軸を中心に微小量回転することができる。駆動部18aは平行平板ガラス16を夫々の回転軸の回りに所定の角度範囲内で回転させる。この回転によってスリット像SPの結像位置はウェハWの表面とほぼ平行な方向(XY方向)に変位する。
【0024】
ウェハWで反射した光束(反射光)はレンズ19、平行平板ガラス20を通って受光器21に受光される。この受光器21中には受光用のスリット板が設けられており、この受光用スリット板を通過した光を光電検出する。また平行平板ガラス20もY方向に回転軸を有し、駆動部18bによって所定の角度範囲内で回転する。平行平板ガラス20が回転すると、受光器21による反射光の受光位置が変化する。この反射光の受光位置の変位方向は、ウェハWがZ軸方向に移動したときに反射光の受光位置が変位する方向と同じである。受光器21からの検出信号Saは信号処理装置103に出力される。信号処理装置103は、ウェハWの表面と焦点検出系によって規定されている基準面との光軸AX方向の偏差量を検出する。この偏差量は主制御系MCSに出力される。尚、本実施例において焦点検出系の基準面は投影光学系PLの結像面と一致するように、予め設定されている。
【0025】
さて、さらに本装置はウェハW上のマークを検出するためにオフ・アクシス方式のアライメント系を備えている。このアライメント系の詳細な構成については特開昭62−171125号公報に開示されているのでここでは簡単に説明する。
図1においてアライメント光学系22の光軸lは投影光学系PLの光軸AXから距離LだけX軸方向に離れている。そしてアライメント光学系22は照明光としてある帯域幅をもつブロードな波長分布の光をウェハW上に照射する。そしてアライメント光学系22のウェハW上における検出中心P2 はステージ干渉計3の測定軸上に一致するように定められる。
【0026】
さて、ウェハW上のマークからの反射光は再びアライメント光学系22に入射し、そのマークの像はアライメント光学系22中に設けられている指標板の下面に結像する。この指標板は図5(a)に示すように矩形の透明窓内にX方向とY方向の夫々に伸びた直線状の指標マーク40a、40b、40c、40dを有する。そしてウェハW上のマークの像は、指標板に形成された指標マーク40a〜40dの像とともに撮像管23の撮像面に結像する。図5(b)は撮像管23によってウェハW上のマークWMxを検出する様子を示す。主制御系MCSはXY駆動系1を制御して指標マーク40aと40bとの間にウェハW上のマークWMxの像WMx’が位置するようにウェハWを位置決めする。このとき、指標マーク40aと40bとのX方向の中心位置Xcに対してマーク像WMx’の中心位置X3 はΔxだけX方向にずれているものとする。このずれ量Δxが所謂アライメント誤差である。これらのマーク40a、40b、WMx’を所定の走査領域内に位置させると、走査線SLによる画像信号は図5(c)のような波形になる。図5(c)で縦軸は信号の大きさ(レベル)Iを表し、横軸は走査線SL方向の位置(X)を表す。指標マーク40aと40bとはウェハWからの反射光によって照明されるためレベルIは位置X1 、X2 でボトムになる。また、ウェハW上のマークWMxは走査線SLと直交する方向に平行に延びた2つの段差エッジによって散乱光が生じるため、マーク像WMx’のレベルIは位置E1 、E2 でボトムとなる。信号処理装置102は位置X1 とX2 との中点として位置Xcを検出し、位置E1 とE2 との中点として位置X3 を検出する。従って、アライメント誤差Δxは次式で表される。
【0027】
【数1】
Δx=(X1+X2)/2−(E1+E2 )/2・・・(1)
そして、ステージSTを現在の位置から−ΔxだけX方向に移動させれば、アライメントが達成されたことになる。ウェハW上のマークWMyについても上述と同様に検出可能である。
【0028】
また、本実施例においては表示装置CRTが設けられており、例えば本装置での各種計測結果を画面上に表示して、オペレータに計測結果を知らせる。また、オペレータはこの表示装置CRTから主制御系MCSに対して露光動作の条件等を入力することができる。さらに図1において、主制御系MCSは信号処理装置101〜103からの信号に基づいてウェハステージコントローラーWSCやレチクルステージコントローラーRSCに制御信号S1 を出力する他、本装置全体を統括制御する。
【0029】
さて、次に本実施例における動作について図11に示すフローチャートに沿って説明する。また、本実施例においては、レチクルRは先に説明したレチクルアライメント系、又はISS系等によって、中心点RCと光軸(AX)とが一致するように位置決めされているものとする。
まず、ステップ110においてウェハWがステージST上に搬送されると、主制御系MCSはスリット像SPが基準板FM上のマークが形成されていない部分に照射されるようにステージSTを移動し、焦点検出を行う(ステップ120)。次にステップ130において、スリット像SPの座標位置を求める。主制御系MCSはウェハステージコントローラWSCを制御してステージSTをX方向に移動させ、図6(a)に示すようにX方向に延びた矩形状のフィデューシャルマーク30xをスリット像SPに対して走査させる。図6(a)は便宜上、フィデューシャルマーク30xを固定としてスリット像SPが走査している様子を示す。また図6(b)はこのときに受光器21で得られ光電信号を示す図である。図6(b)において縦軸は光電信号のレベル(電圧値)、横軸はステージ干渉計3から得られるステージのX方向の座標値である。また、スリット像SPの全体がフィデューシャルマーク30xの高反射領域30xaに照射されているときのレベルをSh、低反射領域30xbに照射されているときのレベルをSlとする。そして信号のレベルがShからSlに向かって小さくなり始める点をHP、レベルがSlに達したときの点をLPとする。信号処理回路103はステージ干渉計3からの位置情報に基づいて点HPにおけるX座標値Xhと、点LPにおけるX座標値Xlとの中心点Xspを計測する。この点Xspはスリット像SPの中心点が高反射領域30xaと低反射領域30xbとの境界線を通ったときのX座標値である。
【0030】
同様に主制御系MCSはウェハステージコントローラWSCを制御して、スリット像SPとフィデューシャルマーク30yとを相対走査する。そして信号処理装置103はスリット像SPの中心点が高反射領域30yaと低反射領域30ybとの境界線を通るときのY座標値Yspを計測する。主制御系MCSはこれらの計測値(Xsp、Ysp)に基づいて、光軸AXを原点(0、0)としてスリット像SPのXY座標系上の位置(σx、σy)を求める。
【0031】
次に、主制御系MCSはステップ140において、このスリット像SPの光軸AXからの位置ずれを表示装置CRTに表示する。図7はその表示画面の一例を示す図である。スリット像SPの設定位置は光軸AXの位置(0、0)であり、この設定位置は図7に示す枠内の中心点である。そしてこの設定位置に対するスリット像SPの位置をマップ上に“A”で示す。図7の内側の正方形の枠は、スリット像SPの設定位置からの位置ずれの許容範囲を示し、この枠の外に位置しているときは、スリット像SPの位置を調整する必要がある。この許容範囲は、オペレータが自由に設定できる。オペレータはこの表示装置CRTに表示されたスリット像SPの位置ずれの状態に応じて、スリット像SPの位置を調整するか否かを判断する(ステップ150)。そしてオペレータがスリット像SPの位置を調整する指令を表示装置CRTを介して主制御系MCSに送る。この指令に基づいて主制御系MCSは駆動部18aを介して平行平板ガラス16の回転角を調整し、スリット像SPの位置を調整して設定位置と一致させる(ステップ160)。
【0032】
ここで、スリット像SPの位置を調整するか否かの判断は、主制御系MCSが自動的に行ってもよい。また、スリット像SPの位置調整はオペレータがマニュアルで行ってもよいし、位置ずれが許容範囲以上のときに主制御系MCSが自動的に行うようにしてもよい。
スリット像SPの位置調整が終了すると、レチクルのパターンを各ショット領域に露光する露光工程に入る。先ず、露光すべき最初のショット領域を投影光学系PLの下方に配置し、ショット領域の焦点検出を行う(ステップ170)。そしてそのショット領域を投影光学系PLの結像面に配置したのち、レチクルRのパターンをそのショット領域に重ね合わせて露光する(ステップ180)。そして、ウェハW上の全てのショット領域への露光が終了するまで、ステップ170とステップ180とを繰り返し行う(ステップ190)。
【0033】
以上の動作によって、各ショット領域の焦点検出を行う際、スリット像SPは常に各ショット領域の中心位置に形成されるため、ショット領域内の凹凸に関係なく常に安定して高精度な焦点検出が可能となる。
さて、本実施例ではウェハW上に1つのスリット像SPを照射してショット領域内の1点の焦点位置を計測する焦点検出系について説明した。しかし、例えば特開平5−190423号公報に開示されているような、ウェハ上のショット領域内の複数点の焦点検出を行う焦点検出系についても同様に本発明を用いることができる。主制御系MCSは先の第1実施例と同様の動作によって、各スリット像(例えば5個)の座標位置を計測し、各スリット像の設定位置からのずれ量を計測する。このときの表示装置CRTによる画面表示の一例を図8(a)、図8(b)に示す。図8(a)は先の図7に示した表示画面と同様に、各測定点(A、B、C、D、E)の実際の位置が予め定められた設定位置からどの方向にとれだけずれているかを示す図であり、オペレータは夫々のスリット像のずれ量が所定の許容範囲内であるか否かを簡単に知ることができる。また、図8(b)はショット領域内の設計上の各測定点と、実際の測定点との位置関係を表す表示画面を示す図である。このような表示方法によって、各測定点がショット領域内のどの位置に存在するのかを知ることができる。また、図8(b)においては、ずれ量が所定の許容範囲内である場合は○付きのアルファベットで記されているため、どのスリット像の位置を調整しなければならないかを知ることができる。
【0034】
次に本発明の第2実施例について図12に示すフローチャートに沿って説明する。本実施例で使用する装置は先の第1実施例と全く同じである。本実施例はレチクルRの位置ずれを考慮してスリット像の位置を調整することが第1実施例と異なる点である。
さて、先の第1実施例と同様の動作(ステップ110〜130)によって、主制御系MCSはスリット像SPのXY座標系上の位置(σx、σy)を検出する。次に、先の第1実施例で説明したように、発光マーク31x、31yを用いてアライメントマークRMx、RMyを検出し、レチクルRの中心点の投影光学系PLによる投影位置(Rx、Ry)を求める(ステップ135)。図9はウェハW上におけるスリット像SP、光軸AX、及びレチクルRの中心点RCの投影光学系PLによる投影点(ショット領域の中心点)RC’の位置関係を示した図である。重ね合わせ露光を行う際、各ショット領域は、その中心点がレチクルRの中心点の投影位置と一致するように配置される。即ち、レチクルの中心点の投影位置が光軸AXからずれていると、当然にショット領域の中心点も光軸AXからずれて配置される。従って、焦点検出系のスリット像が光軸AX上にあっても、ショット領域の中心点に照射されるとは限らない。このため、主制御系MCSは先に検出したスリット像SPの座標値(σx、σy)と点RC’の座標値(Rx、Ry)とに基づいて、スリット像SPの位置とショット領域の中心点RC’の位置との位置ずれ量(ΔX、ΔY)=(Rx−σx、Ry−σy)を計測する。そして、表示装置CRTはレチクルRの中心点の投影位置を基準として、先の第1実施例と同様、図7に示すようにスリット像の形成位置を表示をする(ステップ140)。そして、第1実施例のステップ150以降の動作と同様の動作によって、スリット像SPの中心点とショット領域の中心点RC’とを一致させる。このことによって、常に各ショット領域の中心点にスリット像を形成することができる。
【0035】
また、スリット像の位置を検出するためのフィデューシャルマーク30x、30yは上述の第1及び第2実施例に限らず、以下に説明するようなマークでもよい。このフィデューシャルマークの他の例について図10(a)、図10(b)を用いて説明する。
図10(a)に示すように、フィデューシャルマーク30は、例えば石英等からなる低反射領域のマーク部30aと、クロム層が塗布された高反射領域の周辺部30bとの反射率の異なる2つの領域から構成される。このフィデューシャルマーク30は、図3に示す基準板FM上に形成されている。主制御系MCSはウェハステージSTをX方向に移動させることによって、スリット像SPとフィデューシャルマーク30とを相対走査する。図10(a)は便宜上、フィデューシャルマーク30を固定としてスリット像SPが走査している様子を示す。図10(b)はそのときに受光器21で得られる光電信号のレベルである。ここで、スリット像SPが周辺部30bを走査しているときの光電信号のレベルをSh、スリット像SPがマーク部30aを走査しているときの光電信号のレベルをSlとする。そして図10(b)に示すように、ShからSlに向かって信号のレベルが小さくなる点をA1 、Slに達したときの点をA2 、SlからShに向かってレベルが大きくなる点をA3 、そして再びShに達したときの点をA4 とする。受光器21からの光電信号は信号処理装置103に出力され、信号処理装置103は、点A1 とA2 との中点のX座標値Xsa、及び点A3 とA4 との中点のX座標値Xsbを計測し、各々のX座標値Xsa、Xsbの中心をスリット像SPのX座標位置Xscとして計測する。同様にスリット像SPとフィデューシャルマーク30とをY方向に相対走査することによって処理装置103はスリット像SPのY座標値Yspを計測する。これらの座標信号は主制御系MCSに出力される。そして主制御系MCSはこれらの座標信号に基づいてスリット像SPのXY座標系における位置(σx、σy)を求める。
【0036】以上のように、スリット像SPの位置は、反射率の異なる2つの領域を有するフィデューシャルマークとスリット像SPとを相対走査させたときの受光器21からの光電信号の変化に基づいて検出する。また、スリット像SPのXY座標値を算出するアルゴリズムは上述の実施例に限るものではない。また、上述した第1及び第2実施例ではステージSTをX方向、及びY方向に移動することにより、スリット像SPに対してフィデューシャルマークを走査したが、逆に平行平板ガラス16を駆動してフィデューシャルマークに対してスリット像SPを走査してもよい。このとき主制御系MCSは、フィデューシャルマークの中心点を光軸AX、若しくはレチクルRの中心点の投影位置に一致させる。そして、スリット像の中心点がフィデューシャルマークの中心点を通るときの平行平板ガラスの回転角を計測し、その後この角度にあわせれば、スリット像は光軸AX、若しくはレチクルRの中心点の投影位置に形成される。また、フィデューシャルマーク30x、30yの下側から光を照射することによって、発光マーク31x、31yの機能を果たすようにしてもよい。
【0037】
また、上述の第2実施例においては、スリット像SPの位置を調整したが、レチクルRを移動させてレチクルRの中心点の投影位置をスリット像SPの位置にあわせてもよい。しかし、レチクルRを移動させると、ウェハW上のショット領域のアライメント位置と、そのショット領域の露光位置との間隔(ベースライン量)が変化してしまう。従って、レチクルRを移動させた場合は、このベースライン量を計測する必要がある。そこで、主制御系MCSはステージST上の発光マーク31xとレチクルR上のアライメントマークRMxとが重なり合う位置(X座標値)Xb1 を記憶する。次に主制御系MCSは基準板FMに設けられているベースライン計測用マーク32xがオフ・アクシス方式のアライメント系(22、23)によって検出される位置(X座標値)Xb2 を記憶する。発光マーク31xとマーク32xとのX方向におけるずれ量をΔXbとすると、主制御系MCSはX方向のベースライン量として(Xb1 −Xb2 −ΔXb)を算出して記憶する。またこれと同様にY方向のベースライン量についても求める。このようにレチクルRを移動させたときは、その都度上述の如くベースラインチェック行えばよい。
【0038】
次に本発明の第3実施例を説明する。本実施例も先の第1実施例で説明した装置を用いる。本実施例は先の第2実施例において計測されたスリット像SPの位置とショット領域の中心点RC’の位置とのずれ量(ΔX、ΔY)と、代表的なアライメント方式とを利用したものである。本実施例では高いスループットと、高いアライメント精度の両立を計るエンハンスメント・グローバルアライメント(EGA)方式を利用する。このEGA方式の詳細については特開昭61−44429号公報に開示されているので、ここでは簡単に説明する。
【0039】
EGA方式では、ウェハW上の複数(3〜9)個のショット領域SnのマークMYn、MXnの位置を計測し、その計測値に基づいてウェハWのステージSTの走り座標系、すなわちステージ干渉計によって規定されるXY座標系内での微小回転誤差θ、ウェハ上のショット配列(又はステージSTの走り)の直交度w、ウェハの線形な微小伸縮によるスケーリング誤差Rx、Ry、そして、ウェハのX、Y方向の微小位置ずれ、すなわちオフセット誤差Ox、Oyの夫々に関するパラメータを最小二乗近似により求める。そしてそれら各パラメータを介在として設計上のショット配列座標を実際のショット配列座標に変換して、露光時のステッピング位置を求める。
【0040】
さて、本実施例ではウェハW上のサンプルアライメント用のショット領域として8個のショット領域S1 〜S8 を有するものとする。そして、各サンプルショットS1 〜S8 には、図2に示したアライメントマークRMx、RMyがウェハW上に投影露光されたマークMXn、MYn(nは1〜8)が形成されている。また各サンプルショットS1 〜S8 の中心点をRCn(nは1〜8)とする。主制御系MCSは図5(b)に示すように上述の8つのサンプルショットS1 〜S8 の各マークMXn、MYnをオフ・アクシス方式のアライメント系(22、23)が検出するようにステージ駆動系1を制御する。主制御系MCSは各サンプルショットのアライメントマークを検出し、露光時のステッピング位置(Xn、Yn)を求める。
【0041】
さて、ここで主制御系MCSはステッピング位置(Xn、Yn)にステージSTを位置決めする前に、図1に示す焦点検出系によって焦点検出を行なう。このときのスリット像SPの座標値は図9に示すようにショットの中心点RC’からXY方向に(ΔX、ΔY)だけずれている。これは先の第2実施例で説明した動作によって求められる。従って、主制御系MCSは座標値(Xn+ΔX、Yn+ΔY)となる位置にステージSTを位置決めして焦点検出を行い、ウェハ表面を投影光学系PLの結像面に位置決めする。そしてステージSTをステッピング位置(Xn、Yn)に位置決めして露光を行なう。
【0042】以上のシーケンスによって、常にショット領域内の中心点RC’にスリット像SPを照射して焦点検出を行うことができる。また、図1に示した平行平板ガラス16がない場合、即ちスリット像の位置調整ができない場合でも、本実施例によって先の第1及び第2実施例と同様の効果を得ることができる。さて、上述した3つの各実施例では焦点検出の際、各ショット領域の中心点RC’にスリット像SPが形成されるようにスリット像SP、レチクルR、又はウェハWを移動したが、必ずしも各ショット領域の中心点RC’にスリット像SPを形成させる必要はない。例えば主制御系MCSが各ショット領域内の任意の位置における高さ位置(凹凸)に関する情報を予め記憶していれば、中心点RC’における高さ位置と、スリット像が形成された点における高さ位置とのずれ量に応じて、焦点検出系による検出結果を補正すればよい。このことによって、ショット領域内の任意の位置で焦点検出を行ことができる。
【0043】
また、ショット領域の中心点RC’ではなく、中心点RC’同じ高さ位置の部分にスリット像SPを投射してもよい。このときも上述と同様に、主制御系MCSは各ショット領域内の任意の位置における高さ位置(凹凸)に関する情報を予め記憶しておく必要がある。
また、上述の各実施例の焦点検出系は、予めショット領域の中心点RC’を焦点検出位置として設定していたが、当然焦点検出位置の設定はショット領域の中心点に限らず、ショット領域内のどの位置に設定しても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、基板上に投射するパターン像(スリット像)の位置を高精度に検出することができるため、予め定められた設定位置からのずれ量を簡単に求めることができる。そして、この位置ずれ量に基づいてスリット像、又は基板を移動させることにより、常に基板上の所定の測定点(例えばショット領域の中心点)にスリット像を照射して焦点検出を行うことができる。従って、ショット領域内に凹凸が存在していても、常に高精度な焦点検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による投影露光装置の概略的な構成を示す図である
【図2】レチクルR上のマークの配置を示す図である。
【図3】基準板FM上に形成されたマークの配置を示す図である
【図4】図4(a)はレチクルRのパターン面上に結像される発光マーク31xの像31x’がアライメントマークRMyを走査する様子を示し、図4(b)はこのときに光電検出器14から得られる光電信号の変化を示す図である。
【図5】図5(a)はオフ・アクシスアライメント系中に設けられている指標板を示す図であり、図5(b)はオフ・アクシスアライメント系がウェハW上のマークWMxを検出する様子を示す図であり、図5(c)はそのときの画像信号の波形を示す図である。
【図6】図6(a)はフィデューシャル・マーク30xとスリット像SPとを相対走査している様子を示し、図6(b)はこのとき受光器21で得られる光電信号の変化を示す図である。
【図7】表示装置CRTによるスリット像SPの形成位置の表示の一例を示す図である。
【図8】図8(a)、図8(b)ともにスリット像が複数のときの表示装置CRTによる各スリット像の形成位置の表示の一例を示す図である。
【図9】ウェハW上におけるスリット像SP、光軸AX、及びレチクルRの中心位置RCの投影位置RC’の位置関係を示した図である。
【図10】図10(a)はスリット像SPとフィデューシャルマーク30とを相対走査する様子を示し、図10(b)はそのときに受光器21で得られる光電信号の変化を示す図である。
【図11】本発明の第1実施例におけるフローチャート図である。
【図12】本発明の第2実施例におけるフローチャート図である。
【符号の説明】
R・・・レチクル
PL・・・投影光学系
W・・・ウェハ
FM・・・基準板
MCS・・・主制御系
CRT・・・表示装置
WSC・・・ウェハステージコントローラ
RSC・・・レチクルステージコントローラ
ST1・・・XYステージ
ST2・・・Zステージ
SP・・・スリット像
15・・・投光器
16、20・・・平行平板ガラス
18a、18b・・・駆動部
21・・・受光器
101、102、103・・・信号処理装置
30x、30y・・・フィデューシャルマーク
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体素子や液晶表示素子等を製造する投影露光装置及び方法に関し、特に感光基板の焦点合わせを行なうことが可能な投影露光装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の投影露光装置において、マスク(レチクル)のパターンを投影光学系を介して感光基板(ウェハ)上に結像する際、パターンの結像面にウェハ表面を正確に合致させること、即ち焦点合わせが必須のこととなっている。近年投影光学系の焦点深度は狭くなる一方で、露光用照明として波長365nmのi線を用いたものでも、±0.7μm程度の焦点深度しか得られないのが現状である。従ってこの種の投影露光装置に備えられる焦点検出系は、投影光学系の結像面とウェハ表面との投影光学系の光軸方向における偏差量を高精度に検出することが要求されている。
【0003】
このように投影光学系の結像面とウェハ表面との投影光学系の光軸方向における偏差量を高精度に検出して焦点合わせを行う手法として、例えば特開昭58−113706号公報等に開示された技術が知られている。これは、ウェハ上にレーザビーム(ウェハ上のレジストに対して非感光性のビーム)をパターン像として照射し、その反射光を同期検波方式によって光電検出して投影光学系の結像面とウェハ表面との投影光学系の光軸方向における偏差量を高精度に検出するものである。
【0004】
ここで、投影光学系の光軸方向をZ方向とし、Z方向に垂直な平面内におけるステージの移動位置を規定する座標系をXY座標系とすると、ウェハ表面の高さ位置を検出する際、焦点検出系がウェハ上に投射するパターン像(以下、「スリット像」と記す)の形成位置(XY座標位置)は、投影光学系の結像面内において投影光学系の光軸位置を設定位置として予め調整される。従って、焦点検出系はウェハ上に既に露光された各ショット領域の中心点にスリット像を投射して焦点検出を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の投影露光装置においては、スリット像は投影光学系の結像面における上述の設定位置を中心とする所定の許容範囲内にはいるように調整されているので、実際に投影光学系の結像面においてスリット像が形成される座標位置は投影露光装置毎にばらついている。
【0006】
一般にウェハ上に露光される各ショット領域の表面は露光工程を経ることによって段差(凹凸)を生じる。この凹凸の一例として、スクライブラインが挙げられる。これは1つのショット領域内に2つの回路パターン領域を形成するようなとき、それら2つの回路パターン領域の間に存在する溝のことであり、溝の幅は2mm程度、溝の段差は1〜5μm程度である。
【0007】
このようなショット領域にスリット像を照射して焦点検出を行う場合、上述した従来の装置ではショット領域の中心点、すなわちスクライブライン上にスリット像を照射するものと、ショット領域の中心点からずれた位置、即ちスクライブライン部分ではなく回路パターン領域上にスリット像を照射するものとがあり、装置によっては焦点検出に最大5μmもの高度差を生じてしまう。このような露光装置では±0.7μmもの狭い焦点深度内にウェハ表面を配置することが困難になる。また、スクライブラインのないショット領域においても、回路パターンが露光された領域には微小な段差が存在しており、これも焦点検出に大きな影響を及ぼす。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、ショット領域内に凹凸が存在していても、常に高精度な焦点検出を行うことが可能な投影露光装置及び方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一実施例を示す図1に対応付けて説明する。上述の問題点を解決するため本発明の装置は、マスク(R)に形成された回路パターンの像を基板(W)上に結像投影する投影光学系(PL)と、基板(W)を保持して投影光学系(PL)の光軸方向、及び該光軸にほぼ垂直な方向に移動可能なステージ(ST)と、を有する投影露光装置であって、基板上に焦点検出用パターンの像(SP)を投射するとともに、基板からの反射光を光電検出することによって、投影光学系の結像面と基板の表面との投影光学系の光軸方向の偏差に応じた検出信号を出力する焦点検出手段(15〜21)と、その検出信号に基づいてステージの光軸方向における位置を制御する制御手段(WSC)と、ステージの一部に配置された基準パターン(30x、30y)と、基準パターンと焦点検出用パターンの像とを相対走査したときに焦点検出手段から得られる検出信号の変化に基づいて、焦点検出用パターンの像の光軸にほぼ垂直な面内における位置を検出するパターン位置検出手段(103、MCS)と、を有することを特徴とするものである。
【0010】
ここで、パターン位置検出手段の検出結果に基づいて、焦点検出用パターンの像の形成位置と光軸にほぼ垂直な面内における所定の設定位置との位置ずれ量が所定の許容範囲内であるか否かを表示する表示手段(CRT)を有することが好ましい。このことにより、オペレータが焦点検出用パターンの像の位置ずれの状態を確認することができる。また、焦点検出手段は、パターン位置検出手段の検出信号に基づいて、焦点検出用パターンの像の位置を光軸にほぼ垂直な面内における所定の設定位置に移動させる移動手段(18a、16)をさらに有することが好ましい。このことにより、常にショット領域内の所定の測定点(例えばショット領域の中心点)に焦点検出用パターンの像が投射される。また、その移動手段は、光軸にほぼ垂直な面内における焦点検出用パターンの像の位置をシフトさせる第1の光学部材(16)と、設定位置に焦点検出用パターンの像を配置するように第1の光学部材を駆動する第1の駆動手段(18a)とを有することが好ましい。このことにより、自動的に焦点検出用パターンの像の投射位置を調整できる。また、焦点検出手段は、反射光を光電検出する光電検出器(21)上における反射光の位置を変化させる第2の光学部材(20)と、第2の光学部材を駆動する第2の駆動手段(18b)とを有することが好ましい。また、設定位置は、マスク上の基準点の投影光学系による投影位置であることが好ましい。また、マスク上の基準点、又は基準点と一定の位置関係で形成されたマスクマーク(RMx、RMy)と、ステージの一部に配置されたマスク計測用パターン(31x、31y)と、マスクマークとマスク計測用パターンとを投影光学系を介して検出することによってマスク上の基準点の投影光学系による投影位置を検出するマスク位置検出手段(6)と、をさらに有することが好ましい。また、基準パターンがマスク計測用パターンの機能を果たすことが好ましい。また、焦点検出手段は、基板上に焦点検出用パターンの像を複数個投射することが好ましい。また、パターン位置検出手段の検出信号に基づいて、露光処理中におけるステージの光軸にほぼ垂直な面内における位置を制御するステージ制御手段(MCS)をさらに有することが好ましい。また、パターン位置検出手段の検出信号と、基板上の凹凸情報とに基づいて、焦点検出手段の検出結果を補正する補正手段(MCS)をさらに有することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明における投影露光方法は、マスク(R)に形成された回路パターンの像を投影光学系(PL)を介してステージ(ST)上に載置された基板(W)上に露光する際、基板上に焦点検出用パターンの像(SP)を投射するとともに該基板からの反射光を光電検出することにより、投影光学系の結像面と基板の表面との投影光学系の光軸方向における偏差に対応した検出信号を得、その検出信号に基づいて基板の表面を結像面に配置する投影露光方法であって、ステージ(ST)上に配置された所定形状の基準パターン(30x、30y)に対して焦点検出用パターンの像を照射したときの照射光を光電検出することによって、光軸にほぼ垂直な面内における焦点検出用パターンの像の形成位置を検出することを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
本発明は、焦点検出系によって基板上に投射されるパターン像(SP)と、反射率の異なる2つの領域を有する基準パターンとを相対走査することによって、パターン像(SP)の静止座標系上における形成位置を求める。そして、投影光学系の光軸(AX)の位置からの位置ずれを求める。この位置ずれに基づいて、移動手段はこのスリット像と基板との少なくとも一方を移動させて基板上の測定点とスリット像の形成位置とを一致させる。このことによって、焦点検出系は常に基板(ウェハ)上の所定の測定点(例えばショット領域の中心点)にスリット像を照射して焦点検出を行うことができる。
【0013】
【実施例】
図1は本発明の第1実施例による投影露光装置と、それに組み込まれる焦点検出系との概略的な構成を示す図である。以下図1を用いて説明を行なう。
露光用の照明光(水銀ランプからのg線、i線、あるいはエキシマレーザ光源からの紫外線パルス光)ILはフライアイレンズFLを通った後、コンデンサーレンズCL、ミラーMを介してレチクルRのパターン領域PAを均一な照度で照射する。パターン領域PAを通過した照明光ILは投影光学系(図1においては両側テレセントリックであるが片側テレセントリックでもよい)PLを介してウェハステージST上に載置されているウェハW上に達する。ウェハステージSTはXYステージST1とZステージST2とから構成されている。そして、XYステージST1はXY駆動系1によって投影光学系PLの光軸AXに垂直な方向(XY方向)に移動可能であり、ZステージST2はZ駆動系2によって投影光学系PLの光軸AX方向(Z軸方向)に移動可能である。XYステージST1の位置(XY座標値)は、ステージ干渉計3により逐次計測される。ZステージST2のZ軸方向における位置(Z座標値)は、Zステージ駆動系2内に設けられているエンコーダによって求められる。ウェハステージコントローラWSCはステージ干渉計3からのXY座標値、Z駆動系2からのZ座標値、及び主制御系MCSからの指令等に基づいて、XY駆動系1とZ駆動系2を介してXYステージST1とZステージST2の移動や位置決めを制御する。
【0014】
レチクルRはレチクルホルダーRHによって保持されており、このレチクルホルダーRHはレチクルステージRST上に設けられている。レチクルステージRSTはレチクル駆動系4によってXY方向に移動可能であり、レチクルRの座標値はレチクル干渉計5によって逐次計測されている。レチクルステージコントローラRSCはレチクル干渉計5からの座標値や主制御系MCSからの指令等に基づいて、レチクル駆動系4を介してレチクルステージRSTの移動や位置決めを制御する。
【0015】
ここで、レチクルRをミラーM側(図1における上側)から見た図を図2に示す。レチクルRの内部の回路パターン領域PAには半導体素子製造用の回路パターンが形成されている。パターン領域PAはほぼ正方形であり、この正方形のとなりあう2辺の外側(パターン領域の外側)にはパターン領域PAに隣接して夫々アライメントマークRMx、RMyが設けられている。アライメントマークRMxはX方向に延びた矩形状のマーク部を有し、アライメントマークRMyはY方向に延びた矩形状のマーク部を有する。そして夫々のマーク部の両側(各マーク部の長手方向に垂直な方向)には開口部が設けられている。そして夫々のマークの長手方向における中心線の延長線上にレチクルRの中心点(パターン領域の中心点)RCが存在する。このアライメントマークRMx、RMyはレチクルRの位置を計測するときに用いられるもので、このことについては後で詳しく述べる。
【0016】
また図2に示すようにレチクルRには、レチクルRの外周(正方形)の向かい合う2辺(図2ではY方向に平行な2辺)に隣接してレチクルマークRMa、RMbが設けられている。レチクルマークRMa、RMbは夫々X方向とY方向とに延びる十字の形状をしたマーク部を有し、夫々のマーク部の中心点MCa、MCbは、レチクルRの中心点RCを通りY方向に延びる直線上に夫々存在する。このレチクルマークRMa、RMbはレチクルRを所定の位置に位置決めする際に、後述するレチクルアライメント系によって読み取られるものである。
【0017】
さて、図1においてレチクルRの上部にはマーク検出系6、ミラー7から成るレチクルアライメント系(6、7)が設けられている。このレチクルアライメント系(6、7)は、図2に示したレチクルマークRMbを検出する。また、本実施例の投影露光装置には、レチクルアライメント系(6、7)と同一の構成からなり、レチクルマークRMaを検出するアライメント系が設けられている(不図示)。レチクルアライメント系(6、7)は例えばHe−Neレーザ等のレーザビームをレチクルマークRMb上に照射して、その反射光を検出する。主制御系MCSはレチクルマークRMbの像がマーク検出系6中の指標に合うようにレチクルステージコントローラRSCを介してレチクルRの位置を制御する。レチクルマークRMaも不図示のアライメント系によって同様に検出され、これらのレチクルアライメント系によってレチクルRは中心点RCが光軸AXと一致するように位置決めされる。
【0018】
さらに、ステージST(図1ではZステージST2)上には基準板FMが設けられている。この基準板FMの表面とウェハWの表面とはほぼ同一平面内に存在する。基準板FMを投影光学系PL側(図1における上側)から見た図を図3に示す。図3において基準板FM上にはX方向、及びY方向を長手方向とする矩形状のパターン(フィデューシャル・マーク)30x、30y、光透過性の発光マーク31x、31y、後述するベースライン計測用のマーク32x、32yが形成されている。そして、フィデューシャル・マーク30xは高反射領域30xaと低反射領域30xbとから構成されている。フィデューシャル・マーク30yも同様に高反射領域30yaと低反射領域30ybとから構成されている。これらのマーク30x、30y、31x、31y、32x、32yは、夫々基準板FM上の予め決められた位置に配置されており、主制御系MCSは夫々のマーク間の距離(夫々のマークの中心点の間隔)を予め記憶している。
【0019】
次にこの基準板FMに関して投影光学系PLと反対側(図1における下側)から、基準板FMに設けられた発光マーク31x、31yに対して光を照射する照明系、及び発光マーク31x、31yを透過した光を受光する受光系について図1を用いて説明する。この検出系(以下、「ISS系」と記す)はレチクルRの位置を計測するためのものである。
【0020】
図1において光源8は露光用の照明光ILの波長と同一か、又はその近傍の波長の照明光IEを発生する。この照明光IEはレンズ9、ファイバー10を介してステージSTの内部(基準板FMの下方)に送られる。ファイバー10を射出した照明光IEはレンズ11によって集光され、ミラー12を介して発光マーク31x、31yを下側から照射する。発光マーク31x、31yの像はレチクルRに設けられたアライメントマークRMy上で結像する。このとき、主制御系MCSはウェハステージWSをY方向に走査することによって、アライメントマークRMyと発光マーク31yとを相対走査させる。アライメントマークRMyを透過した光はミラーM、コンデンサーレンズCL、ビームスプリッタ13等を介して光電検出器14に受光される。図4(a)はレチクルRのパターン面上に結像される発光マーク31yの像31y’がアライメントマークRMyを走査する様子を示し、図4(b)はこのときに光電検出器14から得られる光電信号の変化を示す図である。図4(b)において縦軸は信号のレベル、横軸はステージ干渉計3から得られるステージのY方向の座標値である。ここで、マークの像31y’がアライメントマークRMyのマーク部と重なったとき、光電検出器14は照明光IEをほとんど受光しないため、光電信号のレベルはボトムとなる。信号処理装置101はステージ干渉計3からの信号S2 に基づいてこのボトムの中心位置Yrmを検出する。
【0021】
これと同様に主制御系MCSは、レチクルRのパターン面上に結像される発光マーク31xの像をアライメントマークRMx上で走査させる。そして、信号処理装置101はこのとき光電検出器14から得られる検出信号がボトムとなる位置Xrmを検出する。そして主制御系MCSはこれらの計測値(Xrm、Yrm)を信号処理装置101から入力する。
【0022】
主制御系MCSは予めアライメントマークRMx、RMyとレチクルRの中心点RCとの位置関係を記憶しているため、上述した2つの計測値(Xrm、Yrm)に基づいて、レチクルRの中心点RCの位置を検出することができる。
再び図1に戻り、本装置に組み込まれている焦点検出系の構成について説明する。
【0023】
投光器15はウェハWに塗布されている感光剤を感光させない波長の光(例えば赤外光等)を射出する。この投光器15中には送光用のスリット板が設けられているため、このスリット板を透過した光が投光器15から射出する。そしてこの光は平行平板ガラス(プレーンパラレルガラス)16、集光レンズ17を通って、ウェハW上にスリット像SPとなって照射される。このスリット像SPの中心点は、図1に示すように投影光学系PLの光軸AXとウェハWの表面とが交差する点に位置する。図1において、ウェハ表面は投影光学系PLの結像面に配置されている。また、平行平板ガラス16は送光用のスリット板の近傍に配置されている。さらに平行平板ガラス16は図1の紙面と垂直な方向(Y方向)、及び紙面に平行な方向に回転軸を有し、これらの回転軸を中心に微小量回転することができる。駆動部18aは平行平板ガラス16を夫々の回転軸の回りに所定の角度範囲内で回転させる。この回転によってスリット像SPの結像位置はウェハWの表面とほぼ平行な方向(XY方向)に変位する。
【0024】
ウェハWで反射した光束(反射光)はレンズ19、平行平板ガラス20を通って受光器21に受光される。この受光器21中には受光用のスリット板が設けられており、この受光用スリット板を通過した光を光電検出する。また平行平板ガラス20もY方向に回転軸を有し、駆動部18bによって所定の角度範囲内で回転する。平行平板ガラス20が回転すると、受光器21による反射光の受光位置が変化する。この反射光の受光位置の変位方向は、ウェハWがZ軸方向に移動したときに反射光の受光位置が変位する方向と同じである。受光器21からの検出信号Saは信号処理装置103に出力される。信号処理装置103は、ウェハWの表面と焦点検出系によって規定されている基準面との光軸AX方向の偏差量を検出する。この偏差量は主制御系MCSに出力される。尚、本実施例において焦点検出系の基準面は投影光学系PLの結像面と一致するように、予め設定されている。
【0025】
さて、さらに本装置はウェハW上のマークを検出するためにオフ・アクシス方式のアライメント系を備えている。このアライメント系の詳細な構成については特開昭62−171125号公報に開示されているのでここでは簡単に説明する。
図1においてアライメント光学系22の光軸lは投影光学系PLの光軸AXから距離LだけX軸方向に離れている。そしてアライメント光学系22は照明光としてある帯域幅をもつブロードな波長分布の光をウェハW上に照射する。そしてアライメント光学系22のウェハW上における検出中心P2 はステージ干渉計3の測定軸上に一致するように定められる。
【0026】
さて、ウェハW上のマークからの反射光は再びアライメント光学系22に入射し、そのマークの像はアライメント光学系22中に設けられている指標板の下面に結像する。この指標板は図5(a)に示すように矩形の透明窓内にX方向とY方向の夫々に伸びた直線状の指標マーク40a、40b、40c、40dを有する。そしてウェハW上のマークの像は、指標板に形成された指標マーク40a〜40dの像とともに撮像管23の撮像面に結像する。図5(b)は撮像管23によってウェハW上のマークWMxを検出する様子を示す。主制御系MCSはXY駆動系1を制御して指標マーク40aと40bとの間にウェハW上のマークWMxの像WMx’が位置するようにウェハWを位置決めする。このとき、指標マーク40aと40bとのX方向の中心位置Xcに対してマーク像WMx’の中心位置X3 はΔxだけX方向にずれているものとする。このずれ量Δxが所謂アライメント誤差である。これらのマーク40a、40b、WMx’を所定の走査領域内に位置させると、走査線SLによる画像信号は図5(c)のような波形になる。図5(c)で縦軸は信号の大きさ(レベル)Iを表し、横軸は走査線SL方向の位置(X)を表す。指標マーク40aと40bとはウェハWからの反射光によって照明されるためレベルIは位置X1 、X2 でボトムになる。また、ウェハW上のマークWMxは走査線SLと直交する方向に平行に延びた2つの段差エッジによって散乱光が生じるため、マーク像WMx’のレベルIは位置E1 、E2 でボトムとなる。信号処理装置102は位置X1 とX2 との中点として位置Xcを検出し、位置E1 とE2 との中点として位置X3 を検出する。従って、アライメント誤差Δxは次式で表される。
【0027】
【数1】
Δx=(X1+X2)/2−(E1+E2 )/2・・・(1)
そして、ステージSTを現在の位置から−ΔxだけX方向に移動させれば、アライメントが達成されたことになる。ウェハW上のマークWMyについても上述と同様に検出可能である。
【0028】
また、本実施例においては表示装置CRTが設けられており、例えば本装置での各種計測結果を画面上に表示して、オペレータに計測結果を知らせる。また、オペレータはこの表示装置CRTから主制御系MCSに対して露光動作の条件等を入力することができる。さらに図1において、主制御系MCSは信号処理装置101〜103からの信号に基づいてウェハステージコントローラーWSCやレチクルステージコントローラーRSCに制御信号S1 を出力する他、本装置全体を統括制御する。
【0029】
さて、次に本実施例における動作について図11に示すフローチャートに沿って説明する。また、本実施例においては、レチクルRは先に説明したレチクルアライメント系、又はISS系等によって、中心点RCと光軸(AX)とが一致するように位置決めされているものとする。
まず、ステップ110においてウェハWがステージST上に搬送されると、主制御系MCSはスリット像SPが基準板FM上のマークが形成されていない部分に照射されるようにステージSTを移動し、焦点検出を行う(ステップ120)。次にステップ130において、スリット像SPの座標位置を求める。主制御系MCSはウェハステージコントローラWSCを制御してステージSTをX方向に移動させ、図6(a)に示すようにX方向に延びた矩形状のフィデューシャルマーク30xをスリット像SPに対して走査させる。図6(a)は便宜上、フィデューシャルマーク30xを固定としてスリット像SPが走査している様子を示す。また図6(b)はこのときに受光器21で得られ光電信号を示す図である。図6(b)において縦軸は光電信号のレベル(電圧値)、横軸はステージ干渉計3から得られるステージのX方向の座標値である。また、スリット像SPの全体がフィデューシャルマーク30xの高反射領域30xaに照射されているときのレベルをSh、低反射領域30xbに照射されているときのレベルをSlとする。そして信号のレベルがShからSlに向かって小さくなり始める点をHP、レベルがSlに達したときの点をLPとする。信号処理回路103はステージ干渉計3からの位置情報に基づいて点HPにおけるX座標値Xhと、点LPにおけるX座標値Xlとの中心点Xspを計測する。この点Xspはスリット像SPの中心点が高反射領域30xaと低反射領域30xbとの境界線を通ったときのX座標値である。
【0030】
同様に主制御系MCSはウェハステージコントローラWSCを制御して、スリット像SPとフィデューシャルマーク30yとを相対走査する。そして信号処理装置103はスリット像SPの中心点が高反射領域30yaと低反射領域30ybとの境界線を通るときのY座標値Yspを計測する。主制御系MCSはこれらの計測値(Xsp、Ysp)に基づいて、光軸AXを原点(0、0)としてスリット像SPのXY座標系上の位置(σx、σy)を求める。
【0031】
次に、主制御系MCSはステップ140において、このスリット像SPの光軸AXからの位置ずれを表示装置CRTに表示する。図7はその表示画面の一例を示す図である。スリット像SPの設定位置は光軸AXの位置(0、0)であり、この設定位置は図7に示す枠内の中心点である。そしてこの設定位置に対するスリット像SPの位置をマップ上に“A”で示す。図7の内側の正方形の枠は、スリット像SPの設定位置からの位置ずれの許容範囲を示し、この枠の外に位置しているときは、スリット像SPの位置を調整する必要がある。この許容範囲は、オペレータが自由に設定できる。オペレータはこの表示装置CRTに表示されたスリット像SPの位置ずれの状態に応じて、スリット像SPの位置を調整するか否かを判断する(ステップ150)。そしてオペレータがスリット像SPの位置を調整する指令を表示装置CRTを介して主制御系MCSに送る。この指令に基づいて主制御系MCSは駆動部18aを介して平行平板ガラス16の回転角を調整し、スリット像SPの位置を調整して設定位置と一致させる(ステップ160)。
【0032】
ここで、スリット像SPの位置を調整するか否かの判断は、主制御系MCSが自動的に行ってもよい。また、スリット像SPの位置調整はオペレータがマニュアルで行ってもよいし、位置ずれが許容範囲以上のときに主制御系MCSが自動的に行うようにしてもよい。
スリット像SPの位置調整が終了すると、レチクルのパターンを各ショット領域に露光する露光工程に入る。先ず、露光すべき最初のショット領域を投影光学系PLの下方に配置し、ショット領域の焦点検出を行う(ステップ170)。そしてそのショット領域を投影光学系PLの結像面に配置したのち、レチクルRのパターンをそのショット領域に重ね合わせて露光する(ステップ180)。そして、ウェハW上の全てのショット領域への露光が終了するまで、ステップ170とステップ180とを繰り返し行う(ステップ190)。
【0033】
以上の動作によって、各ショット領域の焦点検出を行う際、スリット像SPは常に各ショット領域の中心位置に形成されるため、ショット領域内の凹凸に関係なく常に安定して高精度な焦点検出が可能となる。
さて、本実施例ではウェハW上に1つのスリット像SPを照射してショット領域内の1点の焦点位置を計測する焦点検出系について説明した。しかし、例えば特開平5−190423号公報に開示されているような、ウェハ上のショット領域内の複数点の焦点検出を行う焦点検出系についても同様に本発明を用いることができる。主制御系MCSは先の第1実施例と同様の動作によって、各スリット像(例えば5個)の座標位置を計測し、各スリット像の設定位置からのずれ量を計測する。このときの表示装置CRTによる画面表示の一例を図8(a)、図8(b)に示す。図8(a)は先の図7に示した表示画面と同様に、各測定点(A、B、C、D、E)の実際の位置が予め定められた設定位置からどの方向にとれだけずれているかを示す図であり、オペレータは夫々のスリット像のずれ量が所定の許容範囲内であるか否かを簡単に知ることができる。また、図8(b)はショット領域内の設計上の各測定点と、実際の測定点との位置関係を表す表示画面を示す図である。このような表示方法によって、各測定点がショット領域内のどの位置に存在するのかを知ることができる。また、図8(b)においては、ずれ量が所定の許容範囲内である場合は○付きのアルファベットで記されているため、どのスリット像の位置を調整しなければならないかを知ることができる。
【0034】
次に本発明の第2実施例について図12に示すフローチャートに沿って説明する。本実施例で使用する装置は先の第1実施例と全く同じである。本実施例はレチクルRの位置ずれを考慮してスリット像の位置を調整することが第1実施例と異なる点である。
さて、先の第1実施例と同様の動作(ステップ110〜130)によって、主制御系MCSはスリット像SPのXY座標系上の位置(σx、σy)を検出する。次に、先の第1実施例で説明したように、発光マーク31x、31yを用いてアライメントマークRMx、RMyを検出し、レチクルRの中心点の投影光学系PLによる投影位置(Rx、Ry)を求める(ステップ135)。図9はウェハW上におけるスリット像SP、光軸AX、及びレチクルRの中心点RCの投影光学系PLによる投影点(ショット領域の中心点)RC’の位置関係を示した図である。重ね合わせ露光を行う際、各ショット領域は、その中心点がレチクルRの中心点の投影位置と一致するように配置される。即ち、レチクルの中心点の投影位置が光軸AXからずれていると、当然にショット領域の中心点も光軸AXからずれて配置される。従って、焦点検出系のスリット像が光軸AX上にあっても、ショット領域の中心点に照射されるとは限らない。このため、主制御系MCSは先に検出したスリット像SPの座標値(σx、σy)と点RC’の座標値(Rx、Ry)とに基づいて、スリット像SPの位置とショット領域の中心点RC’の位置との位置ずれ量(ΔX、ΔY)=(Rx−σx、Ry−σy)を計測する。そして、表示装置CRTはレチクルRの中心点の投影位置を基準として、先の第1実施例と同様、図7に示すようにスリット像の形成位置を表示をする(ステップ140)。そして、第1実施例のステップ150以降の動作と同様の動作によって、スリット像SPの中心点とショット領域の中心点RC’とを一致させる。このことによって、常に各ショット領域の中心点にスリット像を形成することができる。
【0035】
また、スリット像の位置を検出するためのフィデューシャルマーク30x、30yは上述の第1及び第2実施例に限らず、以下に説明するようなマークでもよい。このフィデューシャルマークの他の例について図10(a)、図10(b)を用いて説明する。
図10(a)に示すように、フィデューシャルマーク30は、例えば石英等からなる低反射領域のマーク部30aと、クロム層が塗布された高反射領域の周辺部30bとの反射率の異なる2つの領域から構成される。このフィデューシャルマーク30は、図3に示す基準板FM上に形成されている。主制御系MCSはウェハステージSTをX方向に移動させることによって、スリット像SPとフィデューシャルマーク30とを相対走査する。図10(a)は便宜上、フィデューシャルマーク30を固定としてスリット像SPが走査している様子を示す。図10(b)はそのときに受光器21で得られる光電信号のレベルである。ここで、スリット像SPが周辺部30bを走査しているときの光電信号のレベルをSh、スリット像SPがマーク部30aを走査しているときの光電信号のレベルをSlとする。そして図10(b)に示すように、ShからSlに向かって信号のレベルが小さくなる点をA1 、Slに達したときの点をA2 、SlからShに向かってレベルが大きくなる点をA3 、そして再びShに達したときの点をA4 とする。受光器21からの光電信号は信号処理装置103に出力され、信号処理装置103は、点A1 とA2 との中点のX座標値Xsa、及び点A3 とA4 との中点のX座標値Xsbを計測し、各々のX座標値Xsa、Xsbの中心をスリット像SPのX座標位置Xscとして計測する。同様にスリット像SPとフィデューシャルマーク30とをY方向に相対走査することによって処理装置103はスリット像SPのY座標値Yspを計測する。これらの座標信号は主制御系MCSに出力される。そして主制御系MCSはこれらの座標信号に基づいてスリット像SPのXY座標系における位置(σx、σy)を求める。
【0036】以上のように、スリット像SPの位置は、反射率の異なる2つの領域を有するフィデューシャルマークとスリット像SPとを相対走査させたときの受光器21からの光電信号の変化に基づいて検出する。また、スリット像SPのXY座標値を算出するアルゴリズムは上述の実施例に限るものではない。また、上述した第1及び第2実施例ではステージSTをX方向、及びY方向に移動することにより、スリット像SPに対してフィデューシャルマークを走査したが、逆に平行平板ガラス16を駆動してフィデューシャルマークに対してスリット像SPを走査してもよい。このとき主制御系MCSは、フィデューシャルマークの中心点を光軸AX、若しくはレチクルRの中心点の投影位置に一致させる。そして、スリット像の中心点がフィデューシャルマークの中心点を通るときの平行平板ガラスの回転角を計測し、その後この角度にあわせれば、スリット像は光軸AX、若しくはレチクルRの中心点の投影位置に形成される。また、フィデューシャルマーク30x、30yの下側から光を照射することによって、発光マーク31x、31yの機能を果たすようにしてもよい。
【0037】
また、上述の第2実施例においては、スリット像SPの位置を調整したが、レチクルRを移動させてレチクルRの中心点の投影位置をスリット像SPの位置にあわせてもよい。しかし、レチクルRを移動させると、ウェハW上のショット領域のアライメント位置と、そのショット領域の露光位置との間隔(ベースライン量)が変化してしまう。従って、レチクルRを移動させた場合は、このベースライン量を計測する必要がある。そこで、主制御系MCSはステージST上の発光マーク31xとレチクルR上のアライメントマークRMxとが重なり合う位置(X座標値)Xb1 を記憶する。次に主制御系MCSは基準板FMに設けられているベースライン計測用マーク32xがオフ・アクシス方式のアライメント系(22、23)によって検出される位置(X座標値)Xb2 を記憶する。発光マーク31xとマーク32xとのX方向におけるずれ量をΔXbとすると、主制御系MCSはX方向のベースライン量として(Xb1 −Xb2 −ΔXb)を算出して記憶する。またこれと同様にY方向のベースライン量についても求める。このようにレチクルRを移動させたときは、その都度上述の如くベースラインチェック行えばよい。
【0038】
次に本発明の第3実施例を説明する。本実施例も先の第1実施例で説明した装置を用いる。本実施例は先の第2実施例において計測されたスリット像SPの位置とショット領域の中心点RC’の位置とのずれ量(ΔX、ΔY)と、代表的なアライメント方式とを利用したものである。本実施例では高いスループットと、高いアライメント精度の両立を計るエンハンスメント・グローバルアライメント(EGA)方式を利用する。このEGA方式の詳細については特開昭61−44429号公報に開示されているので、ここでは簡単に説明する。
【0039】
EGA方式では、ウェハW上の複数(3〜9)個のショット領域SnのマークMYn、MXnの位置を計測し、その計測値に基づいてウェハWのステージSTの走り座標系、すなわちステージ干渉計によって規定されるXY座標系内での微小回転誤差θ、ウェハ上のショット配列(又はステージSTの走り)の直交度w、ウェハの線形な微小伸縮によるスケーリング誤差Rx、Ry、そして、ウェハのX、Y方向の微小位置ずれ、すなわちオフセット誤差Ox、Oyの夫々に関するパラメータを最小二乗近似により求める。そしてそれら各パラメータを介在として設計上のショット配列座標を実際のショット配列座標に変換して、露光時のステッピング位置を求める。
【0040】
さて、本実施例ではウェハW上のサンプルアライメント用のショット領域として8個のショット領域S1 〜S8 を有するものとする。そして、各サンプルショットS1 〜S8 には、図2に示したアライメントマークRMx、RMyがウェハW上に投影露光されたマークMXn、MYn(nは1〜8)が形成されている。また各サンプルショットS1 〜S8 の中心点をRCn(nは1〜8)とする。主制御系MCSは図5(b)に示すように上述の8つのサンプルショットS1 〜S8 の各マークMXn、MYnをオフ・アクシス方式のアライメント系(22、23)が検出するようにステージ駆動系1を制御する。主制御系MCSは各サンプルショットのアライメントマークを検出し、露光時のステッピング位置(Xn、Yn)を求める。
【0041】
さて、ここで主制御系MCSはステッピング位置(Xn、Yn)にステージSTを位置決めする前に、図1に示す焦点検出系によって焦点検出を行なう。このときのスリット像SPの座標値は図9に示すようにショットの中心点RC’からXY方向に(ΔX、ΔY)だけずれている。これは先の第2実施例で説明した動作によって求められる。従って、主制御系MCSは座標値(Xn+ΔX、Yn+ΔY)となる位置にステージSTを位置決めして焦点検出を行い、ウェハ表面を投影光学系PLの結像面に位置決めする。そしてステージSTをステッピング位置(Xn、Yn)に位置決めして露光を行なう。
【0042】以上のシーケンスによって、常にショット領域内の中心点RC’にスリット像SPを照射して焦点検出を行うことができる。また、図1に示した平行平板ガラス16がない場合、即ちスリット像の位置調整ができない場合でも、本実施例によって先の第1及び第2実施例と同様の効果を得ることができる。さて、上述した3つの各実施例では焦点検出の際、各ショット領域の中心点RC’にスリット像SPが形成されるようにスリット像SP、レチクルR、又はウェハWを移動したが、必ずしも各ショット領域の中心点RC’にスリット像SPを形成させる必要はない。例えば主制御系MCSが各ショット領域内の任意の位置における高さ位置(凹凸)に関する情報を予め記憶していれば、中心点RC’における高さ位置と、スリット像が形成された点における高さ位置とのずれ量に応じて、焦点検出系による検出結果を補正すればよい。このことによって、ショット領域内の任意の位置で焦点検出を行ことができる。
【0043】
また、ショット領域の中心点RC’ではなく、中心点RC’同じ高さ位置の部分にスリット像SPを投射してもよい。このときも上述と同様に、主制御系MCSは各ショット領域内の任意の位置における高さ位置(凹凸)に関する情報を予め記憶しておく必要がある。
また、上述の各実施例の焦点検出系は、予めショット領域の中心点RC’を焦点検出位置として設定していたが、当然焦点検出位置の設定はショット領域の中心点に限らず、ショット領域内のどの位置に設定しても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、基板上に投射するパターン像(スリット像)の位置を高精度に検出することができるため、予め定められた設定位置からのずれ量を簡単に求めることができる。そして、この位置ずれ量に基づいてスリット像、又は基板を移動させることにより、常に基板上の所定の測定点(例えばショット領域の中心点)にスリット像を照射して焦点検出を行うことができる。従って、ショット領域内に凹凸が存在していても、常に高精度な焦点検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による投影露光装置の概略的な構成を示す図である
【図2】レチクルR上のマークの配置を示す図である。
【図3】基準板FM上に形成されたマークの配置を示す図である
【図4】図4(a)はレチクルRのパターン面上に結像される発光マーク31xの像31x’がアライメントマークRMyを走査する様子を示し、図4(b)はこのときに光電検出器14から得られる光電信号の変化を示す図である。
【図5】図5(a)はオフ・アクシスアライメント系中に設けられている指標板を示す図であり、図5(b)はオフ・アクシスアライメント系がウェハW上のマークWMxを検出する様子を示す図であり、図5(c)はそのときの画像信号の波形を示す図である。
【図6】図6(a)はフィデューシャル・マーク30xとスリット像SPとを相対走査している様子を示し、図6(b)はこのとき受光器21で得られる光電信号の変化を示す図である。
【図7】表示装置CRTによるスリット像SPの形成位置の表示の一例を示す図である。
【図8】図8(a)、図8(b)ともにスリット像が複数のときの表示装置CRTによる各スリット像の形成位置の表示の一例を示す図である。
【図9】ウェハW上におけるスリット像SP、光軸AX、及びレチクルRの中心位置RCの投影位置RC’の位置関係を示した図である。
【図10】図10(a)はスリット像SPとフィデューシャルマーク30とを相対走査する様子を示し、図10(b)はそのときに受光器21で得られる光電信号の変化を示す図である。
【図11】本発明の第1実施例におけるフローチャート図である。
【図12】本発明の第2実施例におけるフローチャート図である。
【符号の説明】
R・・・レチクル
PL・・・投影光学系
W・・・ウェハ
FM・・・基準板
MCS・・・主制御系
CRT・・・表示装置
WSC・・・ウェハステージコントローラ
RSC・・・レチクルステージコントローラ
ST1・・・XYステージ
ST2・・・Zステージ
SP・・・スリット像
15・・・投光器
16、20・・・平行平板ガラス
18a、18b・・・駆動部
21・・・受光器
101、102、103・・・信号処理装置
30x、30y・・・フィデューシャルマーク
Claims (16)
- マスクに形成された回路パターンの像を基板上に結像投影する投影光学系と、前記基板を保持して前記投影光学系の光軸方向、及び該光軸にほぼ垂直な方向に移動可能なステージと、を有する投影露光装置において、
前記基板上に焦点検出用パターンの像を投射するとともに、前記基板からの反射光を光電検出することによって、前記投影光学系の結像面と前記基板の表面との前記投影光学系の光軸方向の偏差に応じた検出信号を出力する焦点検出手段と、
前記検出信号に基づいて前記ステージの前記光軸方向における位置を制御する制御手段と、
前記ステージの一部に配置された基準パターンと、
前記基準パターンと前記焦点検出用パターンの像とを相対走査したときに前記焦点検出手段から得られる前記検出信号の変化に基づいて、前記焦点検出用パターンの像の前記光軸にほぼ垂直な面内における位置を検出するパターン位置検出手段と、を有することを特徴とする投影露光装置。 - 前記パターン位置検出手段の検出結果に基づいて、前記焦点検出用パターンの像の形成位置と前記光軸にほぼ垂直な面内における所定の設定位置との位置ずれ量が所定の許容範囲内であるか否かを表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の投影露光装置。
- 前記焦点検出手段は、前記パターン位置検出手段の検出信号に基づいて、前記焦点検出用パターンの像の位置を前記光軸にほぼ垂直な面内における所定の設定位置に移動させる移動手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の投影露光装置。
- 前記移動手段は、前記光軸にほぼ垂直な面内における前記焦点検出用パターンの像の位置をシフトさせる第1の光学部材と、前記設定位置に前記焦点検出用パターンの像を配置するように前記第1の光学部材を駆動する第1の駆動手段とを有することを特徴とする請求項3に記載の投影露光装置。
- 前記焦点検出手段は、前記反射光を光電検出する光電検出器上における前記反射光の位置を変化させる第2の光学部材と、前記第2の光学部 材を駆動する第2の駆動手段とを有することを特徴とする請求項4に記載の投影露光装置。
- 前記設定位置は、前記マスク上の基準点の前記投影光学系による投影位置であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の投影露光装置。
- 前記マスク上の基準点、又は前記基準点と一定の位置関係で形成されたマスクマークと、
前記ステージの一部に配置されたマスク計測用パターンと
前記マスクマークと前記マスク計測用パターンとを前記投影光学系を介して検出することによって前記マスク上の基準点の前記投影光学系による投影位置を検出するマスク位置検出手段と、をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の投影露光装置。 - 前記基準パターンが前記マスク計測用パターンの機能を果たすことを特徴とする請求項7に記載の投影露光装置。
- 前記焦点検出手段は、前記基板上に前記焦点検出用パターンの像を複数個投射することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の投影露光装置。
- 前記パターン位置検出手段の検出信号に基づいて、露光処理中における前記ステージの前記光軸にほぼ垂直な面内における位置を制御するステージ制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の投影露光装置。
- 前記パターン位置検出手段の検出信号と、前記基板上の凹凸情報とに基づいて、前記焦点検出手段の検出結果を補正する補正手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の投影露光装置。
- マスクに形成された回路パターンの像を投影光学系を介してステージ上に載置された基板上に露光する際、前記基板上に焦点検出用パターンの像を投射するとともに該基板からの反射光を光電検出することにより、前記投影光学系の結像面と前記基板の表面との前記投影光学系の光軸方向における偏差に対応した検出信号を得、その検出信号に基づいて前記基板の表面を前記結像 面に配置する投影露光方法において、
前記ステージ上に配置された所定形状の基準パターンに対して前記焦点検出用パターンの像を照射したときの照射光を光電検出することによって、前記光軸にほぼ垂直な面内における前記焦点検出用パターンの像の形成位置を検出することを特徴とする投影露光方法。 - 前記焦点検出用パターンの像の形成位置を検出したときの検出結果に基づいて、前記焦点検出用パターンの像の形成位置が前記光軸にほぼ垂直な面内における所定の設定位置に対して所定の許容範囲内にあるか否かを判断することを特徴とする請求項12に記載の投影露光方法。
- 前記焦点検出用パターンの像の形成位置を検出したときの検出結果に基づいて、前記焦点検出用パターンの像の位置を前記光軸にほぼ垂直な面内における所定の設定位置に移動させることを特徴とする請求項12又は13に記載の投影露光方法。
- 前記焦点検出用パターンの像の形成位置を検出したときの検出結果に基づいて、露光処理中における前記ステージの前記光軸にほぼ垂直な面内における位置を制御することを特徴とする請求項12に記載の投影露光方法。
- 前記焦点検出用パターンの像の形成位置を検出したときの検出結果と、前記基板上の凹凸情報とに基づいて、前記偏差に対応した検出信号を補正することを特徴とする請求項12に記載の投影露光方法。
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