JP3564599B2 - 陽電子線源及びその製造方法並びに陽電子線源自動供給装置 - Google Patents

陽電子線源及びその製造方法並びに陽電子線源自動供給装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽電子ビームを高強度で発生することのできる陽電子線源及びその製造方法並びに陽電子線源自動供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
低速陽電子ビームは、陽電子顕微鏡や物性研究、半導体や金属材料の表面、界面の結晶欠陥評価等に利用され、近年その利用は益々盛んになってきている。現在、低速陽電子ビームは、陽電子放出体(ラジオアイソトープ)から放出されたり、制動放射からの対生成で作られた陽電子をモデレータに入射させて減速することで得ている。陽電子放出体を得るには、アルミニウムや窒化ホウ素等の固体ターゲットをサイクロトロン等で加速した陽子等の荷電粒子で照射し、固体ターゲット中に生成させた陽電子放出体を使う方法が多くとられている。また、制動放射を得るには、線形加速器等で加速した電子線を重金属ターゲットに照射する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
陽電子ビームの利用にあたっては、強度の大きな陽電子放出体の点線源が必要である。陽電子ビームの強度を増大させる方法にはモデレータ効率の改善、強力な陽電子源の使用等の方法が考えられる。現在のところ、モデレータとしてはタングステン箔を2000℃でアニールしたものが用いられているが、10−4以上の効率は得られていない。モデレータの改善には多くの努力が払われているが飛躍的な実用上の改善は望み薄なのが現状である。また、強力な陽電子源のためには大規模で高価な装置を必要とする。
【0004】
高強度陽電子源のための固体ターゲットを用いる方法では、大電流照射における熱除去の問題が大きい。また、固体ターゲットは、ターゲット内に生成された陽電子放出体から放出されたり、制動放射から対生成される陽電子のモデレータへの入射効率を上げるためにモデレータに近接して配置される。このようにモデレータに近接した固体ターゲットに電子ビームやイオンビームを照射すると、発生する陽電子以外の2次放射線によってモデレータが損傷を受けたり、放射化されるという問題がある。モデレータから離れた照射位置で固体ターゲットに放射線を照射し、そののちターゲットをモデレータの位置まで運んで固体ターゲット内に生成された陽電子放出体から放出される陽電子をモデレータに入射させることにより、ターゲット照射時の2次放射線の影響を回避する方法も考えられるが、固体ターゲットには照射による発熱を除去するための冷却装置などが付随しており、固体ターゲットを移送しようとすると装置が大がかりなものになってしまい実際的ではない。電子ビームによる制動放射を用いる方法では、重金属ターゲットとモデレータの分離は原理的に不可能である。更に、オペレータの放射線被曝を回避するためには、陽電子ビーム発生装置への陽電子線源の供給を自動化する必要がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、モデレータに損傷を与えることなく高強度の陽電子ビームを発生することのできる陽電子線源及びその製造方法並びに陽電子線源自動供給装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、陽電子放出体を生成するためのターゲットとしてH 18O(18O水)を含む液体ターゲットを用い、液体ターゲットを陽子照射することにより18O(p,n)18F反応によって生成させた陽電子放出体18Fを炭素部材上に結合させて捕集することを検討し、本発明に至った。
すなわち、本発明による陽電子線源は、炭素部材の表面に18Fが結合していることを特徴とする。炭素部材はグラファイト又はガラス状カーボンからなることが好ましい。また、炭素部材は柱状の形状を有し、その端面に18Fが結合していることが好ましい。
【0007】
本発明による陽電子線源の製造方法は、H 18Oを含む液体ターゲットに荷電粒子線を照射して18Fを生成させるステップと、炭素部材を陽極として液体ターゲットに通電し炭素部材の表面に18Fを結合させるステップとを含むことを特徴とする。このとき、液体ターゲットには天然フッ素イオンを微量含ませておく。天然フッ素イオンは、液体ターゲットに可溶性で強電解質であるアルカリ金属のフッ化物、例えばNaF,NaHF,KFなどを添加することによって含ませることができる。
【0008】
天然のフッ素イオンを液体ターゲット(18O水)に予め極微量含有させておくのは、次のような理由からである。核反応で生成する18Fの原子数は高々3.5×1015個であり、これはフッ素としては1.1×10−8gにすぎない。このような極微量の原子では、電着の電流が充分に得られないおそれがある。これを防ぐために、この100倍程度になるように天然のフッ素イオンを2μg/mlの濃度で加える。これによって、生成した18Fは水溶液中でのFとしての化学挙動を保証されることになる。しかし、加えるフッ素の量は極めて微量であるので、これを照射前に予め加えておくものである。
【0009】
陽極とする炭素部材は棒状又は板状とし、その端面を液体ターゲットに接触させた状態で通電することで18Fを炭素部材の端面に集中的に結合させるのが望ましい。炭素部材の表面への18Fの結合はC−Fのような炭素との直接の結合か、黒鉛構造の結晶の層間化合物であるのかは未だ明らかではない。
本発明による陽電子線源自動供給装置は、18Fを含有する溶液が入った容器を通電位置に移動させる手段と、通電位置において炭素部材を陽極として前記溶液に通電する手段と、通電後の炭素部材を陽電子ビーム発生装置に移送する手段とを備えることを特徴とする。18Fを含有する溶液は、別室に置かれた通電容器に移送される。また、通電後の溶液を回収する手段を併設してもよい。
【0010】
本発明による陽電子線源自動供給装置は、また、容器を載置して回転する回転台と、前記容器に18Fを含有する溶液を供給する手段と、回転台を回転駆動して容器を溶液供給位置と通電位置との間に移動させる第1の駆動手段と、炭素部材が取り付けられた回転体と、回転体を回転駆動して炭素部材を通電位置にある容器内の溶液に対向する位置と陽電子ビーム発生装置の陽電子線源受け入れ部に対向する位置との間に移動させる第2の駆動手段と、回転体を上下動させる昇降手段と、炭素部材を陽極として前記容器内の溶液に通電する電源とを備え、通電位置に置かれた容器内の溶液に前記炭素部材を陽極として通電することで表面に18Fを結合させた炭素部材を陽電子ビーム発生装置の陽電子線源受け入れ部に結合させることを特徴とする。
【0011】
炭素部材と容器内の溶液との接触を検知する接触感知手段を備えると、溶液への炭素部材の浸漬深さを正確に管理することができる。この接触感知手段は、炭素部材が溶液の液面に接触した瞬間に流れる微小電流を検出する手段とすることができる。また、回転台に複数個の容器を載置し、回転体には容器の個数と同数の炭素部材を取り付けることにより、長時間の連続運転が可能となる。
【0012】
18Oを含む液体ターゲットは配管を通して任意の場所に移送することが容易なため、H 18Oを含む液体ターゲットを照射してその中に陽電子放出体18Fを生成させ、その陽電子放出体を含む液体を遠隔操作によって移動し、陽電子を使用する場所で18Fを炭素部材の微小な表面に結合させて捕集することができれば、18Fを結合させた炭素部材(陽電子線源)だけをモデレータの設置位置まで運ぶことにより、ターゲット照射時の2次放射線によるモデレータの損傷や測定ノイズの発生を防ぐことができる。また、陽電子放出体18Fを結合させる炭素部材の表面積を小さく限定することにより、陽電子放出体の密度を高めて高強度の陽電子ビームを発生させることができる。また、本発明では、ターゲット照射をモデレータから離れた場所で行うため、ターゲット照射により発生する2次放射線の影響を受けることがない。
【0013】
また、H 18O水は非常に高価であるが、1回の照射で18Fに変換する18Oはごく微量である。そこで線源作成後、速やかにこれを回収する。速やかに回収せずに放置すると、H 18Oが水蒸気として蒸発するのみならず、通常水の蒸気が溶け込んでH 18Oの濃度を低下させる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、液体ターゲットに荷電粒子ビームを照射して液体ターゲット中に陽電子放出体(ラジオアイソトープ)を生成させる陽電子放出体生成部の略断面図である。陽電子放出体生成部10は、各々貫通穴を有する上部ブロック12と中間ブロック13、及び凹部を有する下部ブロック14の3個のブロックを貫通穴及び凹部の位置を合わせてねじ結合して構成されている。中間ブロック13には、貫通穴の上方をチタン等の金属フォイル15で閉じ、下方も銀等の金属フォイル16で閉じることにより液体ターゲットが収容される空間(液体ターゲット容器)17が形成されている。各ブロック12,13,14の間はOリング13a,13b,14aによってシールされている。
【0015】
荷電粒子ビーム11は、上部ブロック12の開口12a、チタン等の金属フォイル15を通過して、容器17内に収容されている液体ターゲットに照射される。下部ブロック14に設けられた凹部18には冷却水配管19a,19bが接続され、冷却水配管19a,19bから凹部18に冷却水を流すことにより、荷電粒子ビーム11の照射を受けて発熱したターゲット液体を冷却する。また、容器17には図示した液体ターゲット配管23と、図1の紙面前後方向から容器17に通じている図示しない液体ターゲット配管、及びNガスを導入するための図示しないガス配管が接続されている。
【0016】
陽電子放出体生成部10では、弁23aを閉じ、容器17内に液体ターゲットを貯留した状態で荷電粒子ビーム11を照射し、容器17内の液体ターゲット中に陽電子放出体を生成させる。ここでは、液体ターゲットとしてH 18O及び2ppmのNaFを含有する水を用い、容器内のH 18Oに加速器で16MeVに加速した陽子ビーム11を照射することにより、18O(p,n)18Fの反応によって18Fを生成させる。陽子ビーム11の照射は、例えば30分間行われる。その後、弁23aを開き、ガス配管から容器17内にNガスを導入することにより、18Fを含む容器17内のH 18Oを配管23を通じて別の部屋に置かれた容器30に移す。容器30は、銅製のブロックに半球状の凹部31を形成したもので、凹部31の内面にロジウム鍍金32を施してある。
【0017】
図2は、容器30に移されたターゲット液体35中の陽電子放出体18Fを炭素部材の端面に結合させて陽電子線源を作製する工程を説明する部分断面図である。容器30には、陽子ビーム照射を受けた、18F及び2ppmのNaFを含有する液体35が入っている。炭素部材40は、上端をプラスチック製の絶縁ホルダー45で把持されてスタンド46に固定されている。炭素部材40と容器30は、炭素部材40が陽極側となり容器30が陰極側となるようにして定電圧電源47に接続されている。炭素部材40は、18Fが主に下端面に結合し、側面への18Fの結合が最小限になるように、液体35中への浸漬量をできるだけ少なくして下端面を液体35に接触させた状態で通電するのが好ましい。
【0018】
そのためには、例えば炭素部材40を一旦容器30中に入った液体35の液面の上方に位置させ、その後、炭素部材40を液体35の液面に向けて徐々に降下させる。定電圧電源47を流れる電流により炭素部材40の下端面が液面に接触したのを確認した後、更に例えば0.1mmだけ降下させた位置でスタンド46に固定することにより、側面への液体35の接触を最小限に抑えて炭素部材40の下端面を確実に液体35に接触させることができる。炭素部材40が液体35に接触した状態で定電圧電源47から通電すると、液体35中のFは炭素部材(陽極)40側に集まり、炭素部材40と結合する。こうして端面に陽電子放出体である18Fが高濃度に結合した陽電子線源が得られる。
【0019】
図3は、本発明によって得られた陽電子線源の一例を示す模式図である。図3(a)は、図2に示した工程で得られた陽電子線源を示し、細い柱状の炭素部材40の端面41に陽電子放出体である18Fが高濃度に結合している。図3(b)は、本発明による陽電子線源の他の例を示す模式図である。この陽電子線源40aは、細い柱状の炭素部材40aの先端部の側面に電気絶縁被覆42が施されている。絶縁被覆42の存在により、図2に示す工程で通電する際に炭素部材40aを液体35中へ比較的深く浸漬したとしても、炭素部材40aの側面への18Fの結合が阻止され、陽電子放出体18Fは端面41aのみに選択的に結合する。
【0020】
本発明による陽電子線源においては、陽電子放出体18Fが炭素部材40,40aの端面41,41aに厚みを無視できる無担体の状態で均一に結合しているため、陽電子放出体18Fから放出された陽電子は点線源に近い微小面積から散乱や吸収を受けることなく効率よく放出される。
【0021】
ここで、炭素部材への陽電子放出体18Fの結合効率について調べた。純度90%のH 18Oに2μgのNaFを加えた水1mlを液体ターゲットとし、それに16MeVに加速した陽子ビームを30分間照射した。照射後の液体ターゲットを、図2に示す半径8mmの半球型の容器(容積1ml)30に入れ、炭素部材40を図2に示すようにセットした。炭素部材40としては、分光分析用高純度黒鉛を直径5mm及び直径3mm、長さ3cmの円柱状に加工した黒鉛棒を用いた。黒鉛棒の一端には銅製の端子を取り付け、他端は断面を平滑に加工して研磨した。この黒鉛棒をプラスチック製のホルダー45に取り付け、断面の中心が容器30の中心に一致するように調節した後、定電圧電源47に接続して通電した。印加電圧は70Vから180Vまで10V間隔で変化させ、通電時間は5分間、10分間、20分間と変化させた。黒鉛棒の端面から放出される0.511MeVのガンマ線を半導体検出器で測定し、陽子ビーム照射後の液体ターゲット1mlをアルミ箔上で乾燥させた時、乾燥物から放出される0.511MeVのガンマ線を半導体検出器で測定した標準と比較して結合効率を求めた。
【0022】
図4は、電着電圧を120Vとしたときの3mmφ黒鉛棒への18Fの結合効率を示す図であり、横軸は通電時間、縦軸は結合効率である。図から、20分間あるいは30分間通電することで50%以上の結合効率が得られることが分かる。
ここでは、炭素部材として直径3mmと直径5mmの黒鉛棒を用いたが、ガラス状カーボンなど導電性に優れていて十分な材料強度を有する他の炭素部材を用いても同様の結果が得られる。炭素部材の太さは、ここでは直径3mmと5mmとしたが、直径3mm未満、例えば直径1mmとすることも可能である。炭素部材の断面形状も四角形、六角形など、円形に限られないのは勿論である。
【0023】
図5は、本発明の陽電子線源を用いた低速陽電子ビーム発生装置の一例を示す断面図である。段部73を有する真空容器72の端部は強度補強用のチタンフォイル75及びモデレータ76によって閉じられており、その前方にはグリッド77が配置されている。グリッド77には、電源78により−30V程度の電圧が印可されている。モデレータ76は厚さ約10μmのタングステンフォイルからなる。端面に陽電子放出体18Fが結合した陽電子線源50は、真空容器72の段部73に係合することでモデレータ76に対して位置決めして配置される。
【0024】
この状態で陽電子線源50の端面に存在する陽電子放出体から放出された陽電子は、チタンフォイル75を透過して真空容器72内に入る。その後、陽電子はモデレータ76に入射して減速され、グリッド77によって発生される電界によって加速され、コイル79の発生する磁界に沿って低速陽電子ビーム71となって利用位置に輸送される。
【0025】
図6は本発明による陽電子線源自動供給装置の概略図、図7は装置の駆動系統図である。この陽電子線源自動供給装置は、複数個の容器30a〜30fが載置された回転台80、及び容器の個数と同じ数の炭素部材40a〜40fが着脱可能に固定された回転体90を備える。容器30a〜30fは、銅製のブロックに半球状の凹部を形成し、凹部内面をロジウムでめっきしたものである。回転台80はパルスモータ81によって360゜回転することができ、回転体90はパルスモータ91によって360゜回転することができる。また、回転体90は、パルスモータ92の駆動によって上下動することができる。
【0026】
パルスモータ81,91,92は、インターフェース105を介してコンピュータ106で制御されるモータドライバ95,96,97によって駆動される。また、定電圧電源100の出力は、リン青銅製のブラシ83,84を介してマイナス側が回転台80に、プラス側が回転体90に接続されている。電源100と回転体90の間には液面感知回路101が接続されており、液面感知回路101の出力はインターフェース105を介してコンピュータ106に入力される。
【0027】
装置内には溶液供給位置Aと通電位置Bが設定されている。溶液供給位置Aでは、液体ターゲット配管23を介して、図1に示した陽電子放出体生成部から陽電子放出体18Fを含有する溶液が一つの容器30aに注入される。容器30aへの18F含有溶液の注入が終わると、パルスモータ81を駆動して回転台80を回転し、容器30aを回転体90に取り付けられた炭素部材40aの下方位置である通電位置Bに移動する。
【0028】
次に、パルスモータ92を駆動して回転体90をゆっくりと下降させる。回転体90に取り付けられた炭素部材40aが容器30a内に蓄えられた溶液に向かって徐々に下降し、プラス電位を持つ炭素部材40aが容器30a内のマイナス電位を持つ溶液の液面に接触すると、その瞬間に数mAの電流が流れる。液面感知回路101は、このとき生じた微小電流をフォトカプラで検出し、超小型のリレーを介してコンピュータ106に液面感知信号として送信する。液面感知信号を受信したコンピュータ106は、ドライバ97を制御して、その位置から更に0.1mm程度降下させる。その後、定電圧電源100から90Vで20分間通電し、炭素部材40aの端面に陽電子放出体18Fを結合させて、陽電子線源とする。
【0029】
こうして陽電子線源が製造されると、パルスモータ92を駆動して回転体90を上昇させて、陽電子線源(炭素部材40a)を容器30aの上方に引き上げ、更にパルスモータ91を駆動して炭素部材40aを陽電子ビーム発生装置110の陽電子線源受け入れ部(段部)73に対向する位置に移動する。その後、パルスモータ92を駆動して回転体90を所定距離上方に移動し、炭素部材40aを陽電子ビーム発生装置110の陽電子線源受け入れ部(段部)73に結合させる。こうした一連の動作によって、陽電子ビーム発生装置110から低速陽電子ビーム71が発生される。この一連の動作は、コンピュータ106の制御によって自動的に行われる。
【0030】
陽電子放出体18Fの半減期は約110分であるため、この陽電子線源(炭素部材40a)を用いて約2時間の間陽電子ビームを発生することができる。陽電子ビーム71の強度が低下してきたら、予め図1に示した陽電子放出体生成部で生成していた陽電子放出体18Fを含有する溶液を液体ターゲット配管23を介して回転台80上の次の容器30bに注入する。そして、容器30b内の陽電子放出体18Fを回転体90の炭素部材40bに結合させて陽電子ビーム発生装置110に供給する。このような運転を行うことで、例えば通電位置Bでの20分間の通電とそれに続く2時間の陽電子ビーム発生を繰り返すことができ、装置に例えば6個の容器30a〜30fと6個の炭素部材40a〜40fを装着しておけば12時間の連続運転が可能となり、12個の容器30と12個の炭素部材40を装着しておけば24時間の連続運転が可能となる。なお、通電の終わった溶液は回収配管109から回収される。
【0031】
【発明の効果】
本発明によると、点線源に近い微小面積から高強度の陽電子を効率よく発生することのできる陽電子線源を得ることができる。また、陽電子線源を陽電子ビーム発生装置に自動運転で供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】陽電子放出体生成部の略断面図。
【図2】陽電子線源を作製する工程を示す図。
【図3】本発明によって得られた陽電子線源の一例を示す模式図。
【図4】18Fの結合効率を示す図。
【図5】本発明の陽電子線源を用いた低速陽電子ビーム発生装置の一例を示す断面図。
【図6】本発明による陽電子線源自動供給装置の概略図。
【図7】陽電子線源自動供給装置の駆動系統図。
【符号の説明】
10…陽電子放出体生成部、11…荷電粒子ビーム、12…上部ブロック、12a…開口、13…中間ブロック、13a,13b…Oリング、14…下部ブロック、14a…Oリング、15…チタンフォイル、16…チタンフォイル、17…液体ターゲット容器、18…凹部、19a,19b…冷却水配管、23…液体ターゲット配管、23a…弁、30,30a〜30f…容器、31…凹部、32…ロジウム鍍金、35…液体、40,40a〜40f…炭素部材、41,41a…端面、42…絶縁被覆、45…絶縁ホルダー、46…スタンド、47…定電圧電源、50…陽電子線源、71…低速陽電子ビーム、72…真空容器、73…段部、75…チタンフォイル、76…モデレータ、77…グリッド、78…電源、79…コイル、80…回転台、81…パルスモータ、83,84…ブラシ、90…回転体、91,92…パルスモータ、95,96,97…パルスモータ用ドライバ、100…電源、101…液面感知回路、105…インターフェース、106…コンピュータ、109…回収配管、110…陽電子ビーム発生装置、A…溶液供給位置、B…通電位置

Claims (8)

  1. 棒状又は板状の形状を有する炭素部材の面に18Fが結合していることを特徴とする陽電子線源。
  2. 前記炭素部材はグラファイト又はガラス状カーボンからなることを特徴とする請求項1記載の陽電子線源。
  3. 18Oを含む液体ターゲットに荷電粒子線を照射して18Fを生成させるステップと、
    棒状又は板状の形状を有する炭素部材の先端領域を前記液体ターゲットに接触させるステップと、
    前記炭素部材を陽極として前記液体ターゲットに通電し前記炭素部材の面に18Fを結合させるステップとを含むことを特徴とする陽電子線源の製造方法。
  4. 前記液体ターゲットは微量の天然フッ素イオンを含むことを特徴とする請求項記載の陽電子線源の製造方法。
  5. 18Fを含有する溶液が入った通電容器を通電位置に移動させる手段と、前記通電位置において炭素部材を陽極として前記溶液に通電する手段と、前記通電後の炭素部材を陽電子ビーム発生装置に移送する手段とを備えることを特徴とする陽電子線源自動供給装置。
  6. 容器を載置して回転する回転台と、前記容器に18Fを含有する溶液を供給する手段と、前記回転台を回転駆動して前記容器を溶液供給位置と通電位置との間に移動させる第1の駆動手段と、炭素部材が取り付けられた回転体と、前記回転体を回転駆動して前記炭素部材を前記通電位置にある容器内の溶液に対向する位置と陽電子ビーム発生装置の陽電子線源受け入れ部に対向する位置との間に移動させる第2の駆動手段と、前記回転体を上下動させる昇降手段と、前記炭素部材を陽極として前記容器内の溶液に通電する電源とを備え、
    前記通電位置に置かれた容器内の溶液に前記炭素部材を陽極として通電することで表面に18Fを結合させた炭素部材を前記陽電子ビーム発生装置の陽電子線源受け入れ部に結合させることを特徴とする陽電子線源自動供給装置。
  7. 前記炭素部材と前記容器内の溶液との接触を検知する接触感知手段を備えることを特徴とする請求項記載の陽電子線源自動供給装置。
  8. 前記回転台には複数個の容器が載置され、前記回転体には前記容器の個数と同数の炭素部材が取り付けられていることを特徴とする請求項又は記載の陽電子線源自動供給装置。
JP30853398A 1998-09-02 1998-10-29 陽電子線源及びその製造方法並びに陽電子線源自動供給装置 Expired - Fee Related JP3564599B2 (ja)

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