JP3563206B2 - 新規なフラーレン化合物及びその製造方法と使用方法 - Google Patents

新規なフラーレン化合物及びその製造方法と使用方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の利用分野】
この発明は、C60等のフラーレンの会合体や多量体に関する。この発明は特に、フラーレン単量体溶液の凝固等を用いて会合体を製造し、会合体の励起により多量体を製造することに関する。またこの発明は、フラーレンの会合体や多量体を用いたリソグラフィーに関する。
【0002】
【従来技術】
フラーレンは炭素のみからなる物質で、その構造はグラファイト構造とダイアモンド構造との中間的なもので、炭素の6員環を中心とし、一部に5員環が存在する。フラーレンの炭素原子の一部を異元素で置換し、あるいはフラーレンに異元素を付加したものも知られている。さらにボール状のフラーレン分子の内部に金属原子等を内包させたものや、フラーレン分子間に酸素や金属等の異元素を配置したものも知られている。なおこの明細書では、フラーレンは狭義には炭素骨格のみからなる本来のフラーレンを指し、広義には本来のフラーレンにその誘導体を含めたものとする。
【0003】
代表的なフラーレンはC60で、これ以外にC70,C76,C78,C82,C84,C240,C540,C720等が知られている。これらは中空のボール状のフラーレンである。またこれ以外にチューブ状のフラーレンが知られている。ボール状やチューブ状のフラーレンの内で重要なのはボール状のフラーレンで、以下特に断らない限りボール状のフラーレンを中心に説明する。
【0004】
フラーレンは溶液や単結晶等として存在し、溶媒には例えばベンゼン,トルエン,CS2,アセトン,トリクレン,クロルベンゼン等がある。溶液でも単結晶でもフラーレンには回転の自由度があり、例えば室温の単結晶ではフラーレン分子、即ちフラーレン単量体は、並進自由度が失われているだけで、熱運動で回転している。これはフラーレンが等方的なボール状で、フラーレン分子相互の結合が弱く、かつ結合のポテンシャルの異方性が小さいことと関連している。そしてフラーレン分子間の結合は、主としてπ電子間の相互作用に基づくファンデルワールス結合である。
【0005】
フラーレンの応用の1つとして、リソグラフィーが注目されている。フラーレンには昇華性が有り、薄膜を形成できる。そこでこの薄膜に潜像を形成した後に現像できれば、リソグラフィーへの応用が可能になる。これに関して、工業技術院のアトムテクノロジー研究グループは、フラーレン薄膜に電子線で描画することにより解像度20〜30nmでの露光ができ、次にモノクロルベンゼン等で未露光のフラーレンを除去できると発表している(日刊工業新聞,1996年3月12日)。電子線照射によるフラーレンからの生成物はグラファイトとされ、フラーレンのボール状構造は電子線照射で破壊されるとされる。
【0006】
特開平7−134413号公報は、酸素雰囲気中でC60薄膜に350〜405nmの紫外線を照射して露光し、フラーレンをレジスト膜に変化させることを提案している。この場合、未露光のフラーレンはCF4等によるイオンエッチングで除かれる。酸素はC60の表面に吸着して存在し、紫外線励起は酸素の存在下でフラーレン間の反応をもたらす。なお生成物がフラーレンの構造を保っているのかグラファイトであるのかは明らかでない。しかしながら吸着酸素が存在しない場合、フラーレンはこの波長での紫外線照射では相互に反応しない。
【0007】
【発明の課題】
この発明の課題は、フラーレンの多量体を得ること、即ちフラーレンの分子,言い替えると単量体が、ファンデルワールス力以上の力で相互に結合し、単量体の回転自由度が失われた物質を得ること(請求項1,2)と、その製造方法を提供することにある(請求項3,4)。
またこの発明の課題は、得られたフラーレンの会合体や多量体を利用したリソグラフィーを提供することにある(請求項5,6)。
【0008】
【発明の構成】
この発明では、フラーレン単量体を、単量体の回転自由度を奪うように相互に結合したフラーレン多量体が得られる。多量体では、当然のことながら単量体の並進自由度は失われている。このようなフラーレン多量体は、一般にフラーレン単量体が特定の個数で多量化したものである。例えば単量体がC60の場合、多量体は多量化度、即ち多量体当たりの単量体の数が、12〜14,、22〜25,50〜55となり、より詳細には 13,23〜24,52〜53となる。
【0009】
またこの発明のフラーレン多量体は、フラーレン単量体の溶液を除冷しながら凝固させることにより単量体を溶液中で会合させて多量体の中間体の会合体とし、次いで会合体にレーザー照射等で光励起することにより会合体中のフラーレン単量体を相互に結合して、特定個数のフラーレン単量体が結合して、離散的な質量分布を持ち、かつ元のフラーレン骨格が維持された多量体としたものである(請求項1)。中間体のフラーレン会合体は、単量体の溶液にフラーレンの貧溶媒を加えることでも生成し、同様にして会合体を光励起すると特定個数のフラーレン単量体が結合して、離散的な質量分布を持ち、かつ元のフラーレン骨格が維持された多量体が得られる(請求項2)。ここに貧溶媒には例えばアルコール類を用い、フラーレンの溶解度が低いあるいは0のものを用い、元々のフラーレン単量体溶液の溶媒よりもフラーレンの溶解度が低いものであれば良い。貧溶媒を添加する場合、溶液を凝固させる必要はない。なおこれらの請求項は、物質としてのフラーレン多量体をその製法により特定したプロダクトバイプロセスの請求項で、製法自体の請求項ではない。
【0010】
このようなフラーレン多量体は、例えばフラーレン単量体の溶液を凝固させ、あるいはフラーレン単量体の溶液にフラーレンの貧溶媒を添加して、フラーレン会合体の溶液とした後、溶液中のフラーレン会合体を光励起することにより、会合体中のフラーレン単量体を結合してフラーレン多量体とすることにより製造する(請求項3,4)。
【0011】
フラーレン多量体の製造上の中間体はフラーレンの会合体で、これは、例えば数個〜数百個程度、多くの場合数個〜数十個程度のフラーレン分子が、溶液中で会合したものである。そしてフラーレン会合体は、例えばフラーレン単量体の溶液を凝固させることにより、あるいはフラーレン単量体の溶液にフラーレンの貧溶媒を添加することにより、簡単に製造できる。単量体溶液の溶媒は、例えばトルエン,ベンゼン,あるいはCS2とし、これ以外にもフラーレンを溶解し得る溶媒であれば良い。またフラーレン会合体の製造には濃度依存性があり、いずれの溶媒の場合も、単量体濃度を少なくとも1×10-3mol/L以上とすることが、会合体の発生上好ましい。
【0012】
溶液中でのフラーレン単量体の濃度を好ましくは、トルエン溶媒の場合で2.5×10−3mol/L以上,ベンゼン溶媒の場合で1.5×10−3mol/L以上,CS2溶媒の場合で1.5×10−3mol/L以上とする。このようにすると、凝固後あるいは貧溶媒の添加後のフラーレンは、実質上会合体のみとなる。なお一旦生成した会合体は、ベンゼン等の高融点溶媒を除き、溶媒の再溶解後もある程度の温度まで安定で、多量体の生成には会合体の凝固溶液を用いても良く、あるいは溶媒を再溶解させたものを用いても良い。なおこの明細書では、特に断らない限り、溶媒の再溶解はフラーレンの会合体溶液を会合体を分解しない温度で再溶解させることを意味する。
【0013】
会合体から多量体への転換では、会合体の製造に用いた溶液をそのまま用いる必要はなく、例えば会合体溶液を基板上に塗布し、溶媒を一部蒸発させた後に、多量体を調製しても良い。
【0015】
この発明はまた、基板上にフラーレン会合体溶液の膜を設け、該溶液膜に光照射することにより、溶液中の会合体を基板に付着したフラーレン多量体の膜に変化させるフラーレン多量体膜の製造方法にある(請求項5)。会合体は前記の膜の形成前に生成させても、あるいは単量体溶液の膜を設けて凝固により形成させても良い。好ましくは、光照射を局所的に行うことによりフラーレン多量体膜の潜像を形成し、潜像の形成後に残存する会合体をフラーレンの溶媒や,昇華,イオン照射等で除去して潜像を現像する(請求項6)。
【0016】
【発明の作用と効果】
発明者は、C60等のフラーレンをベンゼン,トルエン,CS2等の溶媒に溶かし凝固させると、フラーレンが会合することを見い出した。さらにフラーレンの溶液にフラーレンの貧溶媒を添加しても会合体が生成することを見い出した。会合体の生成は、例えば溶液の色が変化することから確認される。また凝固に伴って溶液のスペクトル、例えばArイオンレーザ(514.5nm)での励起後の発光スペクトルが変化し、このことも会合体の生成を裏付ける。さらに一旦生成した会合体は溶媒を再溶解させた後も、多くの場合ある程度の温度まで安定で、凝固後のスペクトルの特徴が再溶解後もある程度の温度まで保たれる。このことはトルエンやCS2等の低融点溶媒に当てはまり、ベンゼン等の高融点溶媒では再溶解と共に会合体は分解する。このように溶液のスペクトルには冷却時と加熱時との間でヒステリシスがあり、再溶解時(加熱側)のスペクトルは会合体の分解まで凝固時のスペクトルに近似する。そしてスペクトルにヒステリシスがあることは、会合体の発生を強く裏付ける。
【0017】
溶媒はベンゼン,トルエン,CS2に限らず、フラーレンの溶媒となるもので有れば良い。フラーレンの種類はC60に限らず、C70,C76,C78,C82,C84,C240,C540,C720等のボール状フラーレンやC500等のチューブ状フラーレンでも良いが、ボール状のフラーレンの場合が特に重要である。さらにフラーレンは炭素骨格のみからなり、置換基や付加元素、あるいは表面に吸着した異元素や、フラーレンの骨格内に内包された異元素等を含まないものが好ましいが、このような置換基等を含むフラーレン誘導体でも良い。
【0018】
会合体の生成には濃度依存性があり、会合体は例えば1×10−3mol/L以上の濃度(特に指摘しない限り、単量体に換算した濃度)で生成し、特に単量体濃度をあるいき値以上に増すと、凝固溶液中では会合体のみが存在し、単量体は実質的に存在しなくなる。この濃度は、トルエン溶媒の場合で2.5×10−3mol/L,ベンゼン溶媒の場合で1.5×10−3mol/L,CS2溶媒の場合で1.5×10−3 mol/Lである。
【0019】
会合体の生成に伴い、溶液のスペクトル,即ちフラーレンに起因するスペクトルは変化する。スペクトルのピーク位置の変化を、レーザ照射により生成した励起子の閉じ込め効果によるものとすると、会合体のサイズはトルエン溶媒の場合で直径3分子程度となる。即ち会合体の生成にともない、励起子は会合体の内部に非局在化され、このことは発光波数の減少をもたらす。なお会合体のサイズは、ベンゼン溶媒の場合で直径が3分子程度,CS2溶媒の場合で直径が5分子程度と考えられる。
【0020】
このような会合体は現在のところ溶液中にのみ存在し、溶液を濃縮し会合体濃度を高めることは可能であるが、溶媒を完全に除いて単離することはできていない。
【0021】
会合体の生成機構を検討すると、周知のように溶媒の凝固に伴い溶解度が減少し、溶解したフラーレン分子は析出しようとする。同様にフラーレン溶液にフラーレンの貧溶媒を加えても、フラーレン分子は析出しようとする。これは、溶媒からフラーレンを押し出そうとする一種の圧力である。次にフラーレン分子間にはファンデルワールス力が働き、この力はフラーレンを会合させようとする。会合体は、溶媒からフラーレンを押し出そうとする圧力と、フラーレン分子間のファンデルワールス力により生成するものと考えられる。
【0022】
特異的なことは、会合体には特定の会合度があり、それ以上に会合体の成長が進行しないことである。例えばトルエン溶媒での会合体のサイズは直径で3分子程度であり、会合体を多量体に変換した後のレーザーマススペクトルは、多量化度が13程度,23程度と53程度である。そしてレーザーマススペクトルは離散的で、中間の質量の粒子はほとんど観測されない。このことは、多量体の出発材料の会合体も特定の会合度を持つことを意味する。そして前記のように、会合度は溶媒の種類によって変化する。
【0023】
特定の会合度の会合体が生成することは、会合体に何等かの構造があり、この構造で会合体は安定となり、それ以上に会合体を成長させる機構に乏しいことを意味する。言い替えれば通常の沈澱の場合のように、会合体が成長するほど安定になるのではなく、ある会合度で安定になるのである。そしてこのような会合度を定めている要因の1つは、フラーレンが会合した際に密な構造となる立体的な因子である。いま1つの要素は恐らく溶媒の側にあり、これは会合体は溶媒の側からみると空孔(ポア)となることと関連する。ポアとの界面での溶媒側の安定性はポアの形状やサイズに依存し、例えばポアが凝固時の溶媒の配列を乱さない構造が安定なものと考えられる。なお会合体への溶媒の寄与の内で、会合体の内部に溶媒が存在するか、特に会合体の分子間,即ちフラーレン分子間に溶媒が存在するかどうかは、今のところ不明である。
【0024】
会合体はフラーレン多量体の出発材料となる。会合体の溶液を励起すると、例えばYAGレーザ(波長355nmの3倍波)を照射すると、会合体は多量体に変化する。励起は例えば電子線照射でも良いが、溶媒蒸気の存在下での電子線照射は困難である。電子線照射では、溶媒の蒸気圧を低下させるために極低温での照射が必要になる。これに対してレーザ照射は溶媒蒸気の存在下で行え、かつフラーレンのグラファイトへの分解が無い。また照射光波長への多量体生成の依存性は小さく、波長は会合体の吸収波長であれば良い。例えばより簡単に、集光した紫外線ランプ等を励起光源に用いても良い。
【0025】
励起は会合体の溶液に対して行い、溶液は凝固していても再溶解していても良い。次に会合体溶液中に適宜の基板を浸し例えばレーザ照射すると、多量体の一部は上澄み状になり基板に付着する。また他の一部は多量体が成長して沈澱する。沈澱と上澄みとの比率はレーザパルスの時間幅に依存し、短パルス程上澄みの比率が増加する。このことは多量体の生成で、連鎖反応的な側面が少ないことを示唆する。同様に会合体溶液を凝固させたままレーザ照射すると、多量体の成長が少なく、比較的分子量の小さな多量体が得られる。そして基板に付着した多量体は剥離せず、レジストとして使用できる。同様に沈澱成分は、例えば固体潤滑剤や、マイクロデバイスでのベアリング、超導電体の素材等に使用できる。
【0026】
多量体の質量分布を公知のレーザマススペクトロスコピーによる分析すると、離散的な質量分布を示す。例えば前記のように、トルエン溶媒からのC60の多量体は、C60換算で約13個,23個と53個とに分布のピークがあり、その間にはほとんど質量分布が無い。このことは多量体に構造があり、グラファイトのようなランダムな構造ではなく、元のフラーレン骨格が維持された巨大な分子構造を持っていることを示している。ただしフラーレンの閉曲面が破れずに結合しているのか、部分的にフラーレンの閉曲面に破れ目が生じているのかは明らかでない。さらに特定個数のフラーレンが結合していることは、フラーレン分子が立体的に結合して特定の構造を取ることを示している。また多量体を溶媒から分離できることは、多量体の内部でフラーレン単量体の回転の自由度が失われ、単量体が相互に化学結合していることを示している。即ち多量体は安定な物質である。
【0027】
この発明では例えば炭素のみからなるフラーレン多量体を調製でき、特に限定するものではないが、酸素等の異元素を導入する必要が無い。この発明で得られる多量体は、例えばフラーレン自体が相互に結合したネットワークで、単なるフラーレン分子とは異なる物質である。
【0028】
フラーレン多量体は、例えばリソグラフィーに用いることができる。例えばフラーレンの会合体溶液を、好ましくは溶媒を再溶解させた後に、スピンコート等により基板に塗布する。このようにして会合体溶液の膜を形成し、光等で励起して多量体を生成させる。生成物の多量体は基板に付着し、レジストとなる。残余の会合体や単量体は、例えば溶媒に溶解させて除去する。しかし多量体膜をレジストにする場合、残余の会合体が存在すれば、次の工程での加熱で会合体は単量体に変化し、単量体は例えば昇華で除かれる。
【0029】
多量体の多量化度を例えば20〜50程度とすると、C60の場合、多量体の直径は数nm程度で、リソグラフィーでの分解能は例えば10〜100nm程度となる。これはサブミクロン領域でのリソグラフィーに最適である。即ちこの発明では、サブミクロン領域でのパターニングに適したリソグラフィーができる。
【0030】
【実施例】
図1はフラーレン会合体の製造方法を模式的に示す図で、溶媒にはトルエン,ベンゼン,CS2の場合を示したが、フラーレンを溶解できるものであれば良い。また実施例ではフラーレンとしてC60を示したが、これ以外のボール状あるいはチューブ状のフラーレンでも良い。好ましいことではないが、フラーレンの内部に異元素を内包させたり、あるいはフラーレンに置換基を導入したり付加したりしたものでも良い。C60の溶液は常温ではいずれも藤色で、脱酸素したトルエンのC60を溶解し徐々に冷却すると、凝固点付近で色調は藤色から黄色に変化する。凝固したトルエン溶液を再溶解させても色調は変化せず、210K以上で溶液の色は黄色から元の藤色に変化する。
【0031】
このような現象はトルエン溶媒以外でも生じ、例えばベンゼン溶媒の場合、融点の270K以下で色調は藤色から黄色に変化し、凝固溶液を再溶解させるまでは色調は黄色のままである。またCS2溶液の場合、凝固点の160K以下に冷却すると溶液の色は藤色から黄色に変化し、凝固した溶液を再溶解させても210Kまでは溶液の色は黄色のままである。このような色調の変化はフラーレンの状態に変化が生じたことを示し、色調の変化は溶液の徐冷で生じ、急冷では生じない。このため、凝固点付近での冷却速度を好ましくは1K/分以下とする。
【0032】
図2に、トルエン溶媒でのC60溶液の発光スペクトルを示す。図の(a)は、C60濃度が7×10−4mol/Lでのスペクトルを示し、(b)はC60濃度を2.2×10−3mol/Lに増加させた際のスペクトルを、(c)は濃度2.5×10−3mol/Lでのスペクトルを示す。また(d)は、比較用のC60単結晶の発光スペクトルである。これらの発光スペクトルは、514.5nmのArイオンレーザーで励起した際のスペクトルで、常温(300K)でのスペクトルを点線で、120Kでのスペクトルを実線で示す。(a)に示すように、514.5nm(波数19440cm−1)の光はC60に吸収され、これに伴う発光スペクトルが観測される。C60濃度が7×10−4mol/Lの(a)では、120Kでの発光スペクトルは、バンド幅が狭いだけで、300Kでの発光スペクトルと本質的に同一である。
【0033】
C60濃度を2.2×10−3mol/Lに増すと(b)120Kのスペクトルは300Kのスペクトルから低波数側へシフトし、C60濃度を2.5×10−3mol/L(c)に増すとスペクトルの変化はさらに著しく、(d)の単結晶のスペクトルに類似するようになる。(a)の低濃度のスペクトルでは、波数15000cm−1の付近にスペクトルの肩が見られ、(b)や(c)ではこの肩が消失し、14000cm−1付近の発光ピークに移動している。このことは15000cm−1付近の発光の肩が、波数14000cm−1付近の発光ピークにシフトしたことを示している。
【0034】
図1や図2は、C60のトルエン溶液を凝固させるとC60の会合体が生成することを示している。即ち色調の変化や発光スペクトルの変化は会合体の生成を示し、スペクトルの波数シフトは会合体の生成による励起子の安定化を示すものである。さらに図2(c)のスペクトルは、(d)の単結晶のスペクトルに類似し、凝固した溶液中に単量体が殆ど存在しないことを示している。図2は、会合体の生成に濃度依存性があり、C60濃度が7×10−4mol/L以下では会合体が生成せず、2.2×10−3mol/Lで会合体が生成することを示している。そして図2と類似のスペクトルはベンゼンやCS2等の他の溶媒でも得られ、各種の溶媒での結果をまとめると、会合体の生成条件はC60濃度を1×10−3mol/L以上とすることである。また図2(c)が示すように、C60濃度が特定の値以上で溶液中には会合体のみが存在し、単量体がほとんど存在しなくなる。このような濃度はトルエン溶媒の場合2.5×10−3mol/Lで、ベンゼン溶媒の場合1.5×10−3mol/Lであり、CS2溶媒の場合1.5×10−3mol/Lである。
【0035】
図3に、C60のトルエン溶液(2.3×10−3mol/L)での発光スペクトルの温度依存性を示す。図には測定温度を示し、左側が冷却時の特性を右側が凝固後の再加熱時の特性を示す。220Kの発光スペクトルは冷却時も加熱時も本質的に同一で、これは凝固により生成したC60会合体が単量体に分解していることを示している。これに対して210Kや190Kのスペクトルには冷却時と加熱時との間でヒステリシスがあり、凝固によって生成したC60会合体が約210Kまで存在していることを示している。既に述べたように、会合体の生成により発光スペクトルは低波数側にシフトし、波数15000cm−1付近のC60単量体の発光スペクトルの肩は、会合体の生成に伴って波数14000cm−1付近のピークにシフトする。そして冷却に伴い単量体のスペクトルの寄与が小さくなり、会合体のスペクトルの寄与が増大する。
【0036】
図2,図3と同様の現象は他の溶媒でも生じ、図4にC60のベンゼン溶液(2.0×10−3mol/L)の発光スペクトルについて温度依存性を示す。図の左側に冷却時の特性を、右側に加熱時の特性を示す。ベンゼンの凝固点は約270Kで、それ以下ではベンゼン溶液はガラス状となり、発光スペクトルは280Kと270Kとの間を境に変化する。280Kでの発光スペクトルは室温でのスペクトルに類似した単量体のスペクトルで、270Kのスペクトルは会合体のスペクトルである。会合体のスペクトルは温度の低下と共に割合が増し、120Kではほとんど会合体のみのスペクトルである。またC60単量体での15000cm−1付近での発光の肩は、会合体では14000cm−1付近にシフトする。
【0037】
図5は、C60のCS2溶液(2.0×10−3mol/L)の発光スペクトルについて温度依存性を示す。図3と同様に測定温度を各データに記入し、左側が冷却側を、右側が再加熱側を示す。CS2溶液では加熱時と冷却時との間のスペクトルのヒステリシスは極めて大きい。そして200K以下では溶液中には実質的に会合体のみが存在し、単量体から会合体への変化に伴うエネルギーシフトはトルエンやベンゼンの場合よりも大きい。また200K付近まで120Kや150Kでの発光スペクトルの特徴が保たれていることは、凝固により発生した会合体が200K程度まで安定に存在することを示している。
【0038】
ここで会合体の生成機構を検討する。フラーレン溶液を凝固させると、溶媒分子の配列の規則性が増し、溶質を析出させようとする。また溶液にフラーレンの貧溶媒を加えると、フラーレンは析出しようとする。これらは溶媒中からC60分子を押し出し、会合させようとする力である。これと同時に、フラーレン分子間にはファンデルワールス力が働き、この力でフラーレン分子は会合しようとする。そこで溶媒の凝固により溶媒から働く圧力と、フラーレン分子間のファンデルワールス力により、フラーレン分子は会合体を形成するものと考えることができる。
【0039】
図6に、C60のトルエン溶液(2.2×10−3mol/L)での単量体と会合体の発光スペクトルを示す。また比較のため、実線に単結晶の発光スペクトルを示す。単量体の15000cm−1強でのスペクトルの肩は、会合体では14000cm−1弱にシフトし、これに対応するピークは単結晶では約13800cm−1にある。これらのスペクトルはArイオンレーザーでの励起により生じた励起子の発光スペクトルで、波数の変化は励起子の非局在化による安定化を示している。そして周知のように、非局在化によるエネルギーシフト△Eは、励起子が非局在化した長さの2乗に反比例する。そこで会合体から単結晶へのエネルギーシフト△Eと、C60分子から短結晶へのエネルギーシフト△Emとを考える。単結晶では励起子は完全に非局在化され、無限大の範囲を運動できる。そこで△Eと△Emとの比は、会合体のサイズの2乗に反比例する。このことからトルエン溶媒中でのC60会合体のサイズは直径で約2nmとなり、これは直径方向にC60分子が3分子程度配列した会合体である。
【0040】
図7に、各120KでのC60のトルエン溶液とベンゼン溶液並びにCS2溶液の発光スペクトルを示す。また参照のために単結晶の発光スペクトルを示す。C60濃度は各溶液で1.0×10−3mol/Lである。発光スペクトルのピーク位置から求めたエネルギーシフトは、トルエン溶媒とベンゼン溶媒でほぼ等しく、CS2溶媒で大きく、CS2溶媒で大きな会合体が生成することを示している。そしてこれから求めた会合体のサイズは、直径でトルエン溶媒の場合3分子程度、ベンゼン溶媒の場合3分子程度、CS2溶媒の場合5分子程度となる。ここではC60について会合体の生成を示したが、C60以外のフラーレンでも同様の会合体が生成し、溶媒はトルエンやベンゼンあるいはCS2以外のものでも良い。
【0041】
フラーレン単量体は紫外光で励起しても、相互に結合しない。しかしながらフラーレン会合体を紫外光で励起すると、会合体中のフラーレン分子が相互に結合し、多量体が生成する。このことはトルエン,ベンゼン,CS2の溶媒の種類を問わず、任意の溶媒で生じる。また光励起時の溶媒温度は会合体が存在する温度であればよく、溶液は凝固していてもしていなくても良い。
【0042】
C60のトルエン溶液(濃度1.0×10−3mol/L)にYAGレーザー(波長355nm)をパルス照射し、会合体を多量体に変化させた。レーザー照射に伴い、会合体溶液中には茶褐色ないし黒褐色の上澄みが生じ、同時に黒褐色の沈殿が生成した。上澄みと沈殿との生成比率はYAGレーザーのパルスの時間幅に依存し、時間幅を延ばすほど沈殿の比率が増加した。このことはレーザー照射により多量体が生成し、一旦生成した多量体にさらにレーザー照射すると、多量体が相互に結合して多量体がさらに成長することを示唆している。また沈殿や上澄みは容器の壁等に膜状に付着し、溶媒を除去して単離することができる。
【0043】
図8は、C60会合体のトルエン溶液中(濃度2.2×10−3mol/L)にガラス基板を浸して、多量体のを発生させた際の10000倍の電子顕微鏡写真である。多量体はボール状で、ガラス基板上に密着している。図9は同じガラス基板上の多量体膜の原子間力顕微鏡写真で、1000nm×1000nmの範囲の像を示している。ボール状の多量体がガラス基板上に堆積している。
【0044】
これらのことは、多量体を用いたリソグラフィーが可能であることを示している。即ち会合体の溶液を適宜の基板上に塗布して会合体溶液の膜を形成し、必要であれば減圧乾燥等により会合体溶液を濃縮する。この間基板は会合体が安定な温度に冷却したままとする。次いでレーザー照射等により会合体溶液中の会合体を多量体に変化させる。生じた多量体は図8,図9に示したように、基板上に密着しレジスト膜となる。一方残存する会合体や単量体は例えば溶媒で簡単に除くことができ、あるいは基板を加熱して昇華させることができる。
【0045】
図10,図11に、図8,図9の試料と類似の方法で調製したガラス基板上の多量体のマススペクトルを示す。これらの図は、公知の窒素レーザーマススペクトルによるもので、図10はベンゼン溶液(単量体濃度濃度2.0×10−3mol/L)を凝固させて会合体を製造した際のもので、図11は同じ濃度のベンゼン−C60溶液に、室温でエタノール(ベンゼン30VOl%:エタノール70VOl%)を添加し、C60を会合体として析出させた際のものである。これらの会合体を用い、レーザー照射で、基板上に多量体を析出させた。
【0046】
図10から明らかなように、ベンゼン溶液を凝固させた会合体から出発した際の質量分布には、多量化度5〜6に相当する4219.5のピークと、多量化度23〜24に相当する16845のピーク,及び多量化度52〜53に相当する37877の3つのピークがある。図11に示すように、ベンゼン溶液にエタノールを添加した会合体を用いた際には、多量化度5〜6や23〜24,52〜53のピーク以外に多量化度13に相当するピークがみられる。図11では、質量数16000までの結果を示し、それより質量数の大きな部分は省略した。そして各ピーク間には質量分布が観測されない。このことは多量体が極めて狭い質量分布を持ち、同時にその出発材料となる会合体も極めて限られた特定の会合度を持つことを示している。
【0047】
さて図10での多量化度が5〜6は最も低次の会合体あるいは最も低次の多量体に対応するものと考えられ、多量体の大部分は多量化度が12付近と23付近もしくは53付近にある。一方、マーチン等は、C60を最密充填すると、会合度が13や23,55の付近で、隙間のない密な構造が得られることを示してる(フィジカル レビュー レターズ (Physical Review Letters) 73−3079, 1993)。多量化度が53のピークはマーチンの55会合体に対応し、多量化度23のピークはマーチンの23会合体に対応し、多量化度が13のピークはマーチンの13会合体に対応する。このことは多量体がC60を最密に充填したものに近いものであることを示している。多量体の質量スペクトルに特定のピークがあり、ピーク間には質量の分布が存在しないことは、フラーレンの構造が多量体の生成により破壊されていないことを示唆している。従って多量体にはフラーレンの閉曲面が相互に結合されたもので、グラファイトは生成していないはずである。さらに多量体は溶媒が存在しなくても存在し、極めて安定である。このことは多量体の内部でフラーレン分子の回転の自由度が奪われ、フラーレン分子が相互に化学結合していることを示している。
【0048】
図10,図11は多量体のサイズを示しており、このサイズは数nm程度である。このことはリソグラフィーでの分解能が10〜100nm程度となることを示し、サブミクロン領域でのパターニングに極めて適している。
【0049】
図12,13,14にC60多量体の構造をより詳細に示す。図11の試料と同様に、C60単量体のベンゼン溶液に10倍容のエタノールを加え、C60の会合体を生成させた。会合体溶液にレーザ照射し、図12,図13では電子顕微鏡用の炭素ネットに多量体を付着させて観察した。図12は透過型の電子顕微鏡写真で、直径30nm程度の多量体が観察され、これ以外に直径10nm程度の多量体と、直径が30nmよりも大きな多量体とが観察された。次に図12中央部やや左の球状に見える多量体粒子(直径30nm程度)に電子線を照射し、電子線回折を行った際の結果が図13である。図13は、多量体粒子が面心立方(f.c.c.)型の構造を有することを示している。
【0050】
さらに図12,図13と類似の試料をダイアモンド表面に析出させ、透過型電子顕微鏡で観察したのが図14である。直径50nm弱の粒子が観察され、各粒子内には単量体に相当すると見られる、より微細な粒子が見られ、単量体がボール状に多量化していることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】フラーレン会合体の製造方法を示す図で、凝固による会合体の生成温度と単量体への分解温度とを示す
【図2】トルエン溶媒中でのC60会合体の発光スペクトルを示す特性図で、(a)は濃度が7×10−4mol/L,(b)は2.2×10−3mol/L,(c)は2.5×10−3mol/LでのC60の発光スペクトルを示し,(d)はC60単結晶の発光スペクトルを示し、図中の点線は300Kでのスペクトルを、実線は120Kでのスペクトルを示す
【図3】C60濃度2.3×10−3mol/Lのトルエン溶液の発光スペクトルの温度依存性を示す特性図
【図4】C60濃度2.0×10−3mol/Lのベンゼン溶液の発光スペクトルの温度依存性を示す特性図
【図5】C60濃度2.0×10−3mol/LのCS2溶液の発光スペクトルの温度依存性を示す特性図
【図6】120KでのC60トルエン溶液(C60濃度2.2×10−3mol/L)の吸収スペクトルと、励起子の閉じ込め効果によるエネルギーシフト△Eとを示す特性図
【図7】120KでのC60のトルエン,ベンゼン,CS2溶液(C60濃度各1.0×10−3mol/L)と、C60単結晶の吸収スペクトルを示す図
【図8】ガラスに付着したC60多量体のセラミック粒子構造を示す、1万倍の電子顕微鏡写真
【図9】ガラスに付着したC60多量体のセラミック粒子構造を示す、原子間力顕微鏡写真
【図10】ベンゼン溶媒を用いたフラーレン多量体のレーザーマススペクトルを示す特性図
【図11】ベンゼン−エタノール溶媒を用いたフラーレン多量体の、レーザーマススペクトルを示す特性図
【図12】カーボンネットに付着したC60多量体のセラミック粒子構造を示す、透過電子顕微鏡写真
【図13】カーボンネットに付着したC60多量体の結晶構造を示す、電子線回折図
【図14】ダイアモンドに付着したC60多量体のセラミック粒子構造を示す、透過電子顕微鏡写真

Claims (6)

  1. フラーレン単量体の溶液を除冷しながら凝固させることにより、単量体を前記溶液中で会合させて会合体とし、次いで会合体にレーザー照射することにより、会合体中のフラーレン単量体を相互に結合して、特定個数のフラーレン単量体が結合して、離散的な質量分布を持ち、かつ元のフラーレン骨格が維持された多量体としたフラーレン多量体。
  2. フラーレン単量体の溶液にフラーレンの貧溶媒を添加することにより、単量体を会合させて会合体とし、次いで会合体を光励起することにより、会合体中のフラーレン単量体を相互に結合して、特定個数のフラーレン単量体が結合して、離散的な質量分布を持ち、かつ元のフラーレン骨格が維持された多量体としたフラーレン多量体。
  3. フラーレン単量体の溶液を除冷しながら凝固させてフラーレン会合体の溶液とした後、溶液中のフラーレン会合体を光励起することにより、会合体中のフラーレン単量体を結合してフラーレン多量体とする、フラーレン多量体の製造方法。
  4. フラーレン単量体の溶液にフラーレンの貧溶媒を添加してフラーレン会合体の溶液とした後、溶液中のフラーレン会合体を光励起することにより、会合体中のフラーレン単量体を結合してフラーレン多量体とする、フラーレン多量体の製造方法。
  5. 基板上にフラーレン会合体溶液の膜を設け、該溶液膜に光照射することにより、溶液中の会合体を基板に付着したフラーレン多量体の膜に変化させる、フラーレン多量体膜の製造方法。
  6. 光照射を局所的に行うことによりフラーレン多量体膜の潜像を形成し、潜像の形成後に残存する会合体を除去して潜像を現像することを特徴とする、請求項5のフラーレン多量体膜の製造方法。
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