JP3560014B2 - オーバーサンプリング型a/d変換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アナログ電圧信号を対応するディジタル信号に変換するためのアナログ−ディジタル(A/D)変換器さらには半導体集積回路で実現するのに好適なオーバーサンプリング型A/D変換器に関し、特に、ΔΣ変調型A/D変換器に利用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、A/D変換器には、逐次比較型やオーバーサンプリング型など種々の形式のものが開発されている。一般に、非線形歪みの無いA/D変換器でアナログ入力信号をディジタル信号に変換する場合、入力アナログ入力信号が最小分解能の数倍以上であれば、量子化雑音は、直流からナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2)の間にほぼ均一に分布される。このため、量子化ビット数が等しければ、雑音電力の総和は一定とされ、基本的にはサンプリング周波数を高くすれば、信号周波数近傍のS/N(Signal to Noise Ratio)特性を向上させることができる。オーバーサンプリング型A/D変換器は、オーバーサンプリング比(信号帯域の周波数に対するサンプリングクロックの周波数の比)を高くすることによりS/N特性を向上させた方式である。
【0003】
オーバーサンプリング型A/D変換器は変調手段を含み、この変調手段は逐次比較型のA/D変換器などと同様にフィードバックループを形成する。つまり、電圧比較を行う量子化手段と、フィードバックに必要なD/A変換器を内蔵する。フィードバックループ内にフィルタを配置することが、他の方式のA/D変換器と大きく異なる点であるが、このフィルタをどこに配置するか、そして信号入力点の位置関係によって、Δ(デルタ)変調方式、ΔΣ(デルタ・シグマ)変調方式、それらの混合方式に大別できる。
【0004】
このうち、ΔΣ変調方式は、出力信号と入力信号との差を積分し、この積分手段の出力が最小となるようにフィードバック制御するもので、このΔΣ変調方式においては、アナログ積分の次数すなわち変調器の数を増やすことにより、S/N特性をさらに改善することができる。つまり、アナログ積分の次数を1次増やす毎に、ほぼオーバーサンプリング比の2乗に逆比例したノイズシェイピング特性(雑音減少)が期待できる。しかしながら、積分の次数を増やすとキャパシタの比が大きくなり、回路の面積が大きくなると共に消費電力も増大し半導体集積回路化が困難になるため、一般には2次のΔΣ変調方式とされる。尚、ΔΣ変調方式のオーバーサンプリング型A/D変換器に関する発明としては、例えば特開平9−294075号などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のΔΣ変調方式のオーバーサンプリング型A/D変換器おいては、例えば上記先願に見られるように、差動型演算増幅回路が用いられており、最終段の電圧比較手段ではアナログ信号の極性のみ判定し、前段の変調手段にフィードバックをかける1ビット帰還方式が一般的であった。その理由は、最終段の電圧比較手段で差動信号のまま電圧比較を行なって極性だけでなく振幅のレベルまで判定して複数ビット帰還方式にしようとすると、電圧比較手段が非常に複雑になり、かつ精度的にも充分なものが期待できないためであった。しかしながら、1ビット帰還方式では、S/N特性を充分に向上させることができないという課題があった。なお、オーバーサンプリング型A/D変換器おいてS/N特性を向上させる方法としては、サンプリング周波数を高くすることも考えられるが、そのようにすると回路の消費電力が増大するという問題が発生する。
【0006】
また、近年A/D変換器は、例えばCODEC(符号器復号器)のようにディジタル回路とともに1チップに搭載される場合が多くなってきているが、ディジタル回路とともに1チップ化されると、ディジタル回路の動作で生じる基板ノイズによってA/D変換器のS/N特性が悪化するという課題もある。
【0007】
本発明の目的は、比較的簡単な構成によりΔΣ変調方式のオーバーサンプリング型A/D変換器におけるS/N特性の向上を図ることができる技術を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、消費電力を増大させることなくΔΣ変調方式のオーバーサンプリング型A/D変換器におけるS/N特性の向上を図ることができる技術を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、ディジタル回路とともに1チップに搭載した場合に生じる基板ノイズによるS/N特性の悪化を防止することができるオーバーサンプリング型A/D変換器を提供することにある。
【0010】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0012】
すなわち、入力されたアナログ信号と帰還信号との差を求める加算手段および該加算手段の出力信号を積分する差動型の積分手段からなるΔΣ型変調手段と、上記積分手段の積分結果を量子化する量子化手段と、上記量子化手段の出力信号に基づいて上記帰還信号を生成するローカルD/A変換器とを含んで構成されるオーバーサンプリング型A/D変換器において、上記積分手段を差動型の積分手段とするとともに、上記量子化手段を、上記積分手段の差動出力を増幅して差動でない信号として出力するアナログ差動増幅回路と該アナログ差動増幅回路の出力電圧を複数の参照電圧と比較する電圧比較手段とにより構成し、該電圧比較回路から得られる複数ビットの信号を上記ローカルD/A変換器でアナログ信号に変換して上記変調手段に帰還させるようにしたものである。
【0013】
上記した手段によれば、差動型の積分手段を用いるためS/N特性を向上させることができ、しかも電圧比較手段は差動でない信号の振幅を判定するため比較的精度の高い回路を簡単な回路で構成することができる。
【0014】
また、望ましくは、上記変調手段は、入力されたアナログ信号と帰還信号との差を求める第1加算手段(11a,11b)および第1加算手段の出力信号を積分する差動型の第1積分手段(13)からなる第1の変調手段(10)と、上記第1積分手段の出力信号と上記帰還信号との差を求める第2加算手段(22a,22b)および第2加算手段の出力信号を積分する差動型の第2積分手段(24)からなる第2の変調手段(20)とからなる2次のΔΣ変調手段とする。
【0015】
上記したA/D変換器において、サンプリング周波数をfs、信号帯域幅をB、オーバーサンプリング比をK、帰還信号のビット数をnとすると、1次のΔΣ変調方式のA/D変換器のS/Nは、
S/N=10Log{9(2n−1)2K3/(2π2)}
で表わされる。ここで、K=fs/(2B)である。
【0016】
また、2次のΔΣ変調方式のA/D変換器のS/Nは、
S/N=10Log{15(2n−1)2K5/(2π4)}
となる。上記2つの式より、K>2.43であれば1次のΔΣ変調方式のA/D変換器よりも2次のΔΣ変調方式のA/D変換器のS/Nの方が良好であることが分かる。また、上記式より、帰還信号のビット数が多いほどS/Nが向上することが分かる。具体的には、例えば2次のΔΣ変調方式のA/D変換器では、1ビット帰還(n=1)に対して、2ビット帰還とした方がS/Nが9.5dB向上し、3ビット帰還とした方がS/Nが16.9dB向上する。
【0017】
また、上記第1積分手段(13)の前段には、「1」より小さく設定されたゲインGlを有する第1増幅手段(12a,12b)を、上記ローカルD/A変換器(50)と上記第2加算手段(22a,22b)との間には上記第1増幅手段(11a,11b)と略等しいゲインGlを有する第2増幅手段(21a,21b)を、さらに上記第2積分手段(24)の前段には「1」より小さく設定されたゲインG2を有する第3増幅手段(23a,23b)を設ける。
【0018】
上記のように、「1」より小さく設定されたゲインを有する第1増幅手段、第2増幅手段および第3増幅手段を設けることにより、各積分手段で出力が蝕和して回路が動作しなくなるのを防止することができるとともに、積分手段を構成する容量の比精度や演算増幅器のオフセット、セトリング等のばらつきによるS/N特性の低下を防止することができる。上記の場合、S/N特性を向上させるために好適な上記第1増幅手段、第2増幅手段および第3増幅手段の各ゲインは2/3以下、より好ましくは1/2である。
【0019】
さらに、上記変調手段もしくは第1の変調手段および第2の変調手段は、それぞれ対応する入力信号をサンプリングするためのサンプリング容量と、該サンプリング容量の端子切換えのための複数のスイッチとを含むスイッチドキャパシタ回路と、演算増幅器と、積分動作のための積分容量とにより構成するとよい。これにより、変調器を構成する加算手段および積分手段さらには増幅手段を一体に構成することができるとともに、上記第1増幅手段、第2増幅手段および上記第3増幅手段のゲインは、それぞれ対応する上記サンプリング容量と上記積分容量との比によって設定することができるため、ゲインの設定が容易になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0021】
図1には、本発明にかかるΔΣ変調方式のオーバーサンプリング型A/D変換器の一実施例が示されている。
【0022】
図1に示されているオーバーサンプリング型A/D変換器は、2次のΔΣ変調方式とされ、特に制限されないが、公知の半導体集積回路製造技術により単結晶シリコンチップのような一つの半導体基板に形成される。
【0023】
実施例のオーバーサンプリング型A/D変換器は、アナログ入力信号X,−Xと帰還信号VR,−VRとの差分をとって積分を行なう差動入力差動出力型の第1のΔΣ変調回路10と、該第1のΔΣ変調回路10の差動出力A1,−A1と帰還信号VR,−VRとの差分をとって積分を行なう差動入力差動出力型の第2のΔΣ変調回路20と、該第2のΔΣ変調回路20の差動出力を増幅して差動でない信号として出力する差動入力シングル出力のアナログ差動増幅回路30と、該アナログ差動増幅回路30の出力電圧をN個(Nは3以上の整数)の参照電圧と比較する電圧比較手段40と、該電圧比較回路40から得られるNビットの信号YをD/A変換するローカルD/A変換器50とにより構成されている。
【0024】
そして、上記電圧比較手段30の出力信号Yが、この実施例のオーバサンプリング型A/D変換器の出力信号として後段回路に伝達されるとともに、ローカルD/A変換器50へも伝達され、ローカルD/A変換器50でA/D変換されたアナログ信号が、上記帰還信号VR,−VRとして上記ΔΣ変調回路10および20に帰還されるようにされている。
【0025】
上記第1のΔΣ変調回路10は、アナログ入力信号X,−Xと帰還信号VR,−VRとのそれぞれの差分をとる加算手段11a,11bと、その差分のレベルを下げて積分手段13に伝える「1」より小さなゲインG1を有する増幅手段12a,12bと、この増幅手段12a,12bの出力信号の積分を行なう差動型のアナログ積分手段13とにより構成されている。「1」より小さなゲインG1を有する増幅手段12a,12bで上記差分を減衰して積分手段13に伝えることで、積分手段13が飽和するのを防止することができる。なお、aからbを減算する減算手段は、aに−bを加算する加算手段とみることもできるので、この明細書では減算手段を加算手段と記すこととした。
【0026】
上記第2のΔΣ変調回路20は、上記増幅手段12a,12bと同じゲインG1を有する増幅手段21a,21bと、該増幅手段21a,21bで上記帰還信号VR,−VRのレベルを下げた信号G1・VR,G1・−VRと上記第1のΔΣ変調回路10の差動出力A1,−A1との差分をとる加算手段22a,22bと、その差分を減衰して積分手段24に伝える「1」より小さなゲインG2を有する増幅手段23a,23bと、増幅手段23a,23bの出力信号の積分を行なう差動型のアナログ積分手段24とにより構成されている。
【0027】
増幅手段12a,12bと同じゲインG1を有する増幅手段21a,21bを設けて、帰還信号VR,−VRのレベルを下げた信号G1・VR,G1・−VRを加算手段22a,22bに供給することにより、帰還信号のレベルと第1のΔΣ変調回路10の差動出力A1,−A1のレベルをマッチングさせることができるとともに、「1」より小さなゲインG2を有する増幅手段23a,23bで上記差分を減衰して積分手段24に伝えることで、積分手段24が飽和するのを防止することができる。
【0028】
さらに、この実施例では、第2のΔΣ変調回路20の差動出力A2,−A2を差動でない信号に変換するアナログ差動増幅回路30のゲインG3も「1」より小さな値に設定されている。これによって、このアナログ差動増幅回路30も飽和しないようにされる。上記ゲインG1,G2,G3の望ましい値は2/3以下、さらに好ましくは1/2である。また、N=3の場合における上記比較手段40の参照電圧の好ましい関係は、Vr/2,0,−Vr/2である。そして、N=3の場合における上記ローカルD/A変換器50の出力信号すなわち帰還信号VRの好ましい値は、アナログ差動増幅回路30の出力A3が、Vr/2≦A3のときはVR=Vr、0≦A3≦Vr/2のときはVR=Vr/4、−Vr/2≦A3≦0のときはVR=−Vr/4、A3≦−Vr/2のときはVR=−Vrである。
【0029】
図2には、図1に示されている加算手段11a,11b、増幅手段12a,12bおよび積分手段13からなる第1のΔΣ変調回路10の具体的な回路構成例が示されている。図2に示されているように、加算手段11a,11b、増幅手段12a,12bおよび積分手段13は、サンプリング容量Cs1〜Cs4とその端子切換えのためのスイッチSW1〜SW8とから成るスイッチドキャパシタ回路と、オペアンプ(演算増幅器)OP1及び積分容量Ci1,Ci2とにより構成される。
【0030】
サンプリング容量Cs1の一端は、スイッチSW1を介して入力信号X1が入力される端子31またはアナロググランドのような定電位点に接続されるとともに、サンプリング容量Cs1の他端は、スイッチSW2を介してオペアンプOP1の反転入力端子または定電位点に接続される。また、サンプリング容量Cs2の一端は、スイッチSW3を介して帰還信号VRが入力される端子32またはアナロググランドのような定電位点に接続されるとともに、サンプリング容量Cs2の他端は、スイッチSW4を介してオペアンプOP1の反転入力端子または定電位点に接続される。
【0031】
一方、サンプリング容量Cs3の一端は、スイッチSW5を介して入力信号−X1が入力される端子33またはアナロググランドのような定電位点に接続されるとともに、サンプリング容量Cs3の他端は、スイッチSW6を介してオペアンプOP1の非反転入力端子または定電位点に接続される。また、サンプリング容量Cs4の一端は、スイッチSW7を介して帰還信号−VRが入力される端子34またはアナロググランドのような定電位点に接続されるとともに、サンプリング容量Cs4の他端は、スイッチSW8を介してオペアンプOP1の非反転入力端子または定電位点に接続される。
【0032】
この実施例のΔΣ変調回路10は、積分容量Ci1,Ci2の容量値をC1としたときに、サンプリング容量Cs1〜Cs4の容量値を上記積分容量の値C1のゲイン倍(G1倍)すなわちG1・C1とすること、つまり積分容量Ci1,Ci2とサンプリング容量Cs1〜Cs4との容量比によってゲインG1を設定することができる。
【0033】
この実施例のΔΣ変調回路10は、スイッチSW1〜SW8の状態によってサンプリング状態と積分状態とが形成される。サンプリング状態は、図2に示されるように、スイッチSW1,SW5が入力端子31、33に接続され、スイッチSW2,SW3,SW4;SW6,SW7,SW8が定電位点に接続された状態である。このとき、入力端子31,33から入力されるアナログ信号X1,−X1による電荷がサンプリング容量Cs1,Cs3に蓄積される。
【0034】
積分状態は、スイッチSW1〜SW8が図2に示されているのと逆の端子側に接続された状態である。この積分状態では、サンプリング容量Cs2とCs4の一方の端子が帰還信号VR,−VRの入力端子32,34に接続され、サンプリング容量Cs1,Cs2の他方の端子がオペアンプOP1の反転入力端子に、またサンプリング容量Cs3,Cs4の他方の端子がオペアンプOP1の非反転入力端子に接続される。これによって、上記サンプリング状態でサンプリングされた電荷と帰還信号VR,−VRの電荷とが加算されるとともに、オペアンプOP1の出力端子にそのときの積分結果が現れる。
【0035】
上記スイッチSW1〜SW8が図3に示されているようなタイミングで変化するクロックφ1,φ2によって切替え動作されて、上記サンプリング状態(図2参照)と積分状態とが交互に繰り返されることにより、アナログ入力信号X1,−X1とローカルD/A変換器50からの帰還信号VR,−VRとの加算(減算)とその差分の積分とが同時に行われる。連続した2つのサンプリングタイミングをn,n+1で表わすと、図2の回路のタイミングn+1時点での出力A1(n+1)は、次式
A1(n+1)=G1(X1(n)−VR(n))+A1(n)
のようになる。
【0036】
上記式より、ローカルD/A変換器50から伝達される帰還信号VR,−VRのレベルよりも入力信号X1,−X1のレベルが高ければ積分電荷量が増加され、低ければ積分電荷量が減少されることが分かる。
【0037】
図4には、図1に示されている第2のΔΣ変調回路20の具体的な回路構成例が示されている。図1に示されている増幅手段21a,21b、加算手段22a,22b、増幅手段23a,23bおよび積分手段24は、図4に示されているように、サンプリング容量Cs11〜Cs14とその端子切換えのためのスイッチSW11〜SW18とから成るスイッチドキャパシタ回路と、オペアンプ(演算増幅器)OP2及び積分容量Ci11,Ci12とにより構成される。つまり、回路形式は図2に示されている第1のΔΣ変調回路10と同じである。スイッチSW11〜SW18を動作させるクロックも図2の回路と同様に、図3に示されているφ1とφ2であり、同じように動作される。
【0038】
第2のΔΣ変調回路20が第1のΔΣ変調回路10と異なるのは、図2の第1のΔΣ変調回路10ではサンプリング容量Cs1〜Cs4が同一容量値を有しかつ積分容量Ci1,Ci2の値C1のG1倍とされているのに対し、図4の第2のΔΣ変調回路20では、サンプリング容量Cs11とCs13が同一容量値で積分容量Ci11,Ci12の値C2のG2倍とされ、サンプリング容量Cs12とCs14が同一容量値で積分容量の値C2のG1・G2倍とされている点である。
【0039】
スイッチSW11〜SW18が図4に示すような側に切り替えられているサンプリング状態とスイッチSW11〜SW18が図4と逆の側に切り替えられる積分状態とが交互に繰り返されることにより、ローカルD/A変換器50からの帰還信号VR,−VRの減衰(G1倍)と、第1のΔΣ変調回路10の出力信号A1,−A1とローカルD/A変換器50からの帰還信号VR,−VRとの加算(減算)と、その差分の積分とが同時に行われる。連続した2つのサンプリングタイミングをn,n+1で表わすと、図4の回路のタイミングn+1時点での出力A2(n+1)は、次式
A2(n+1)=G2(X1(n)−G1・VR(n))+A2(n)
のようになる。
【0040】
図5には、図1に示されているアナログ差動増幅回路30および電圧比較回路40の具体的な回路構成例が示されている。図5に示されているように、アナログ差動増幅回路30は、サンプリング容量Cs21,Cs22とその端子切換えのためのスイッチSW21〜SW24とから成るスイッチドキャパシタ回路と、オペアンプ(演算増幅器)OP3と、このオペアンプOP3の出力端子と反転入力端子との間に接続された帰還容量Cfおよびこれと並列なスイッチSW25とにより構成される。また、オペアンプOP3の非反転入力端子は、アナロググランドのような定電位点に接続される。
【0041】
また、電圧比較回路40は、例えば3個(N=3の場合)のコンパレータCMP1〜CMP3により構成されており、これらのコンパレータCMP1〜CMP3の非反転入力端子にアナログ差動増幅回路30の出力電圧A3が共通に入力されると共に、反転入力端子にそれぞれ参照電圧としてVr/2,0,−Vr/2が入力されている。
【0042】
アナログ差動増幅回路30は、図3に示されているようなタイミングのクロックφ2とφ3によって、スイッチSW21〜SW25が図5に示すような側に切り替えられている第1状態と、スイッチSW21〜SW25が図5と逆の側に切り替えられる第2状態とを交互に繰り返すように制御されることにより、第2のΔΣ変調回路20の差動出力信号A2と−A2の差を増幅し、差動でない信号A3(=2G3・A2)を出力する。このアナログ差動増幅回路30のゲインG3は、サンプリング容量Cs21,Cs22と帰還容量Cfとの比によって決定される。具体的にはサンプリング容量Cs21,Cs22の容量値は、帰還容量Cfの容量値をC3とすると、そのゲイン倍すなわちG3・C3のように設定される。
【0043】
電圧比較回路40は、図3に示されているクロックφ4のようなタイミングで動作される。これによって、電圧比較回路40の各コンパレータCMP1〜CMP3は、アナログ差動増幅回路30の出力A3と参照電圧Vr/2,0,−Vr/2とを比較して、その大小関係に応じて、3ビットの信号Y(0,1),Y(0,0),Y(0,−1)を出力する。
【0044】
なお、図5には、アナログ差動増幅回路30をスイッチドキャパシタ回路を利用して構成した実施例を示したが、アナログ差動増幅回路30は、図6に示すように、入力抵抗R1,R2と、オペアンプOP4と、オペアンプOP4の非反転入力端子と接地点(アナロググランド)との間に接続された抵抗R3と、オペアンプOP3の出力端子と反転入力端子との間に接続された帰還抵抗R4とにより構成することができる。この場合、回路のゲインは、帰還抵抗Rfおよびオペアンプの非反転入力端子側の抵抗R3の抵抗値を、入力抵抗R1,R2の抵抗値rのゲイン倍(G3倍)に設計することにより設定することができる。
【0045】
上記実施例によれば、以下の作用効果を得ることができる。
【0046】
(1)ΔΣ型変調手段と、量子化手段と、ローカルD/A変換器とを含んで構成されるオーバーサンプリング型A/D変換器において、上記量子化手段を、上記積分手段の差動出力を増幅して差動でない信号として出力するアナログ差動増幅回路と該アナログ差動増幅回路の出力電圧を複数の参照電圧と比較する電圧比較手段とにより構成し、該電圧比較回路から得られる複数ビットの信号を上記ローカルD/A変換器でアナログ信号に変換して上記変調手段に帰還させるようにしたので、電圧比較回路は差動でない信号の振幅を判定するため比較的精度の高い回路を簡単な回路で構成することができかつS/N特性を向上させることができる。しかも、サンプリング周波数をそれほど高くすることなくS/N特性を向上させることができる。
【0047】
(2)上記変調手段を2次のΔΣ変調手段とした場合には、1次のΔΣ変調手段よりもS/N特性を向上させることができるとともに、3次以上とした場合に比べて容量比もそれほど大きくならないので半導体集積回路化するのに好適である。
【0048】
(3)第1増幅手段、第2増幅手段および第3増幅手段のゲインGlを略1/2に設定したことにより、第1積分手段および第2積分手段における演算増幅手段の飽和を抑え、S/N特性の一層の向上を図ることができる。
【0049】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、実施例における第1および第2のΔΣ変調回路10、20もアナログ差動増幅回路30と同様にスイッチドキャパシタ回路でなく抵抗を用いて構成することができる。また、本発明は、2次の変調方式のみでなく3次以上の変調方式のオーバーサンプリング型A/D変換器にも適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0051】
すなわち、ΔΣ変調方式のオーバーサンプリング型A/D変換器において、差動入力差動出力の変調手段を用いるとともに変調手段の差動出力を増幅して差動でない信号として出力するアナログ差動増幅回路と該アナログ差動増幅回路の出力電圧を複数の参照電圧と比較する電圧比較手段とを設け、該電圧比較回路から得られる複数ビットの信号を上記ローカルD/A変換器でアナログ信号に変換して上記変調手段に帰還させるようにしたので、電圧比較回路は差動でない信号の振幅を判定するため比較的精度の高い回路を簡単な回路で構成することができかつS/N特性を向上させることができる。また、本発明に従うとディジタル回路とともに1チップに搭載した場合に生じる基板ノイズによるS/N特性の悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオーバーサンプリング型A/D変換器の一実施例の機能ブロック図である。
【図2】上記オーバーサンプリング型A/D変換器における第1のΔΣ変調回路の具体例を示す回路図である。
【図3】上記オーバーサンプリング型A/D変換器を動作させるクロックのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】上記オーバーサンプリング型A/D変換器における第2のΔΣ変調回路の具体例を示す回路図である。
【図5】上記オーバーサンプリング型A/D変換器におけるアナログ差動増幅回路の具体例を示す回路図である。
【図6】上記オーバーサンプリング型A/D変換器におけるアナログ差動増幅回路の他の具体例を示す回路図である。
【符号の説明】
10 第1のΔΣ変調回路
11a,11b 加算手段
12a,12b 増幅手段
13 アナログ積分手段
20 第2のΔΣ変調回路
21a,21b 加算手段
22a,22b 加算手段
23a,23b 増幅手段
24 アナログ積分手段
30 差動入力シングル出力のアナログ差動増幅回路
40 電圧比較手段
50 ローカルD/A変換器
VR,−VR 帰還信号
Claims (1)
- 入力された差動のアナログ信号と差動の帰還信号との差分を求める1組の加算手段および該加算手段の差動の出力信号を積分する差動型の積分手段からなるΔΣ型変調手段と、該変調手段の差動出力を増幅して差動でない信号として出力するアナログ差動増幅回路と、該アナログ差動増幅回路の差動でない出力電圧を複数の参照電圧のそれぞれと比較する電圧比較手段と、該電圧比較回路から得られる差動でない複数ビットの信号をアナログ信号に変換して上記変調手段に帰還させる差動の帰還信号を生成するローカルD/A変換器とを含み、1つの半導体チップに形成されてなるオーバーサンプリング型A/D変換器であって、
上記変調手段は、入力された差動のアナログ信号と差動の帰還信号との差分を求める1組の第1加算手段および該第1加算手段の差動の出力信号を積分する差動型の第1積分手段からなる第1の変調手段と、上記第1積分手段の差動の出力信号と上記差動の帰還信号との差分を求める1組の第2加算手段および該第2加算手段の差動の出力信号を積分する差動型の第2積分手段からなる第2の変調手段と、からなる2次のΔΣ変調手段であり、
上記アナログ差動増幅回路は、サンプリング容量とその端子切換えのためのスイッチとから成るスイッチドキャパシタ回路と、演算増幅器と、該演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間に接続された帰還容量およびこれと並列に設けられたスイッチとにより構成され、
上記第1積分手段の前段には「1」より小さく設定されたゲインを有する1組の第1増幅手段が設けられ、上記第2積分手段の前段には「1」より小さく設定されたゲインを有する1組の第2増幅手段が設けられ、
上記第1の変調手段および第2の変調手段は、それぞれ対応する入力信号をサンプリングするためのサンプリング容量と、該サンプリング容量の端子切換えのための複数のスイッチとを含むスイッチドキャパシタ回路と、演算増幅器と、積分動作のための積分容量とにより構成され、上記積分容量と上記サンプリング容量との容量比によって上記ゲインがそれぞれ設定され、上記第1の変調手段がサンプリング状態のとき上記第2の変調手段は積分状態であり、上記第2の変調手段がサンプリング状態のとき上記第1の変調手段は積分状態であり、上記第2の変調手段における積分動作の後に上記アナログ差動増幅回路は上記第2の変調手段の積分出力の増幅動作を行い、該アナログ差動増幅回路の増幅動作の後に上記電圧比較手段が電圧比較を行うことを特徴とするオーバーサンプリング型A/D変換器。
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