JP3559164B2 - 内燃機関の大気圧補正進角制御方法 - Google Patents
内燃機関の大気圧補正進角制御方法 Download PDFInfo
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- Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
- Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気圧が変化した場合における点火時期を調整するための内燃機関の大気圧補正進角制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の点火時期は、燃料供給量をフィードバック制御している場合には、吸入空気量に基づいて決定している。一般的に、平地と高地とでは、大気圧が異なるために、同じスロットル開度でスロットルバルブが開いていても、吸入空気量は異なっている。特に、スロットルバルブを全開にした場合には、平地と高地とで吸入空気量の差が顕著に現れる。したがって、最適な点火時期が高地ではより進角側に移行するので、点火時期を進角する補正が必要になってくる。
【0003】
例えば、特開昭64−3265号公報のもののように、大気圧を検出する大気圧センサを設け、検出した大気圧に応じて点火時期を補正するようにしたものが知られている。同様に、燃料供給制御を行うために、吸気圧を検出するものでは、その吸気圧センサを用いて大気圧を検出し、それによって平地と高地との吸入空気量の違いを検出でき、よって高地における点火時期を進角側に補正するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料供給制御のために、吸気圧を検知せずに、スロットルバルブの開度とエンジン回転数とに基づいて決定するいわゆるα−N方式と呼ばれるものが、近年普及してきている。この方式のものでは、スロットル開度に基づいて吸入空気量を演算しているため、平地と高地とで同一のスロットル開度である場合に、実際には吸入空気量は大気圧の違いにより異なるにもかかわらず、その差異を検出できないものである。したがって、スロットル開度が全開でない、低、中負荷運転状態で燃料供給をフィードバック制御している場合では、フィードバック補正係数の学習値の変化に基づいて大気圧の変化を推定し、学習値に基づいて点火時期を補正制御するものである。
【0005】
しかしながら、スロットルバルブが全開に開成された場合は、フィードバック制御が実行されないので、学習値の基づいて点火時期を補正することができないことになる。このため、スロットルバルブ全開時の点火時期を補正するために、走行頻度が高い平地の大気圧に合わせて補正量を設定している。つまり、スロットルバルブが全開になった場合には、走行場所が何れであろうとも、設定された補正量により点火時期を補正するものである。
【0006】
ところが、補正量を平地における大気圧に基づいて設定しておくと、高地を走行した場合に大気圧が平地とは異なるため、補正量により点火時期を補正しても十分な補正とはならない。したがって、エンジンの出力が、大気圧の降下分以上に低下することがあり、燃費や登坂性能が低下することがある。
このような不具合を解消するために、
本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係る内燃機関の大気圧補正進角制御方法は、スロットルバルブの開度が略全開である場合に、パワー増量運転を行い空燃比のフィードバック制御を中止するとともに、高負荷高回転運転領域に対応する学習ゾーンのフィードバック補正係数の学習値に基づいて点火時期の補正量を設定し、その補正量により点火時期を補正する構成である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、内燃機関の運転状態に応じて設定する複数の学習ゾーンに対して設定するフィードバック補正量の学習値にて、スロットルバルブの開度と回転数とに基づいて決定した基本燃料噴射量を補正して内燃機関の空燃比が理論空燃比となるようにフィードバック制御するとともに学習値により点火時期を補正する内燃機関の大気圧補正進角方法において、スロットルバルブの開度を検出し、スロットルバルブの開度が略全開であることを検出した場合に、パワー増量運転を行い空燃比のフィードバック制御を中止するとともに、高回転で、かつ高負荷運転に対応する学習ゾーンの学習値に基づいて進角量を設定し、設定した進角量により点火時期を進角補正することを特徴とする内燃機関の大気圧補正進角制御方法である。
【0009】
このような構成のものであれば、フィードバック制御を実行していない場合であって、大気圧が低い高地等の走行中に、点火時期を補正することができるので、所期の内燃機関の性能を確保することが可能になる。したがって、燃費や登坂性能の低下を防止することができる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。
図1に概略的に示したエンジン100は、α−N方式において燃料供給(噴射)制御を行う自動車用のもので、その吸気系1には図示しないアクセルペダルに応動して開閉するスロットルバルブ2が配設され、その下流側にはサージタンク3が設けられている。スロットルバルブ2には、その回動軸2aの回転変位すなわちスロットルバルブ2の開度(以下、スロットル開度と称する)を電気的信号に変換するスロットルセンサ21が、回動軸2aに機械的に連結されて取り付けられているとともに、スロットルバルブ2の全開位置近傍において作動するパワースイッチ22が設けてある。パワースイッチ22は、高負荷高回転領域、つまりパワー増量が必要な運転領域を検出するためのものである。スロットルセンサ21は、例えば代表的にはポテンショメータが適用でき、スロットル開度に比例したアナログ電圧dを出力するように構成する。スロットルセンサ21の出力するアナログ電圧dは、電子制御装置6に入力されるもので、回転角度に比例した、すなわちスロットル開度に比例した電圧となる。サージタンク3に連通する吸気系1の吸気マニホルド4の一方の端部近傍には、さらに燃料噴射弁(インジェクタ)5が設けてあり、この燃料噴射弁5を、電子制御装置6により制御するようにしている。また排気系7には、排気ガス中の酸素濃度を測定するためのO2 センサ8が、図示しないマフラに至るまでの管路に配設された三元触媒9の上流の位置に取り付けられている。このO2 センサ8からは、酸素濃度に対応して電圧信号hが出力される。
【0011】
電子制御装置6は、例えば3気筒の自動車用エンジンのもので、中央演算処理装置(CPU)6aと記憶装置6bと入、出力インターフェース6c,6dとを具備してなるマイクロコンピュータシステムから構成されている。
入力インターフェース6cには、スロットルセンサ21、O2センサ8、水温センサ17、水温センサ17、回転角センサ14、車速センサ15及びパワースイッチ22が接続されている。水温センサ17は、エンジン100の冷却水温に応じて水温信号eを出力するもので、例えばサーミスタが好ましい。回転角センサ14は、エンジン回転数NEを検出するための回転数信号Neとクランク角度を検出するための気筒判別信号G1及びクランク角度基準信号G2とを出力する。この回転角センサ14は、図示しないクランク軸に機械的に直結されるものが、精度の高い信号を出力するので好適である。車速センサ15は、車速を検出するための車速信号cを出力する。
【0012】
一方、出力インターフェース6dには、各気筒毎の燃料噴射弁5、気筒別点火信号を出力するイグナイタ19等が接続されている。イグナイタ19は、電子制御装置6から出力される信号に基づいて、閉角度制御、定電流制御等を行い、二次側にスパークプラグSPが電気的に接続された各イグニッションコイルに、点火順序に合わせて気筒別点火信号gを出力する。
【0013】
電子制御装置6には、スロットルセンサ21から出力されるスロットル開度信号dと回転角センサ14から出力される回転数信号Neとを主な情報として基本噴射時間TPを設定し、エンジン状況に応じて決まる各種の補正係数で基本噴射時間TPを補正して燃料噴射弁開成時間すなわちインジェクタ最終通電時間Tを決定し、その決定された通電時間により燃料噴射弁5を制御して、エンジン負荷に応じた燃料を該燃料噴射弁5から吸気系1に噴射させるためのプログラムが内蔵してある。しかもこのプログラムにおいては、O2 センサ8から出力される出力信号hに基づいて所定周期でフィードバック補正量たるA/Fフィードバック補正係数FAFを演算し、少なくとも演算されたA/Fフィードバック補正係数FAFにより基本噴射時間TPを補正して最終的な燃料噴射量を決定するとともに、空燃比を学習制御するように構成されている。
【0014】
空燃比の学習制御は、当該分野で知られているものが広く適用できるもので、例えば、A/Fフィードバック補正係数FAFの平均値を求め、その平均値から学習値KGを演算するものであってよい。すなわち、A/Fフィードバック補正係数FAFの制御中心からのずれを検出した際に、運転状態に応じて設定してある学習ゾーンAKGに記憶される学習値KGに対し、一定値をそのずれが消滅するまで加減し、その時の学習値KGを記憶するようになっている。学習ゾーンは、例えば4つのゾーンからなり、アイドル運転状態を含む学習ゾーンAKG1、低負荷の学習ゾーンAKG2、中負荷の学習ゾーンAKG3、高負荷の学習ゾーンAKG4で構成される。
【0015】
これに加えて、点火時期制御のためのプログラムは、フィードバック制御を行っていないつまりオープン制御を実行している場合の点火時期の制御として、スロットル開度が略全開であることをパワースイッチ22から出力される信号により検出した場合に、高回転で、かつ高負荷運転に対応する学習ゾーンAKG4の学習値KG4に基づいて点火時期の進角量を設定し、設定した進角量により点火時期を進角補正するようにプログラムされている。なお、平地等を走行中のフィードバック制御時の点火時期は、スロットル開度に基づいて、言い換えれば吸入空気量に基づいて決定されるものである。
【0016】
この点火時期制御における大気圧補正進角制御プログラムの概要は、図3に示すようなものである。なお、このプログラムは、所定時間毎、例えば13.3m秒毎に繰り返し実行されるものである。
まず、ステップS1では、パワースイッチ22がオンしているか否かを判定する。この判定は、パワースイッチ22の状態を表すパワーオンフラグINPFLAG2’PSW’がセットされているかどうかにより判定する。ステップS2では、点火時期の大気圧補正進角APA_COMPを、高負荷高回転の運転領域に対応する学習ゾーンAKG4の学習値KG4に基づいて設定された補正量FAPACOMP(KG4)により設定する。ステップS3では、点火時期を次の式により決定する。
REAL_SA=REALSA+APA_COMP (1)
【0017】
ステップS4では、大気圧補正進角APA_COMPを0に設定する。
このような構成において、平地あるいは高地の走行でスロットルバルブ2を略全開まで開かない場合、つまり空燃比をフィードバック制御している場合は、パワースイッチ22がオンしないので、パワーオンフラグINPFLAG2’PSW’がリセットされている。したがって、制御は、ステップS1→S4→S3と進み、大気圧補正進角APA_COMPを0に設定するので、点火時期REAL_SAは、スロットル開度に基づいて算出されたものを補正せずに決定する。
【0018】
次に、高地等の登坂走行において、スロットルバルブ2が略全開の状態まで開かれると、パワースイッチ22がオンし、空燃比をオープン制御するので、制御は、ステップS1→S2→S3と進み、点火時期REAL_SAを大気圧補正進角APA_COMPだけ進角させて決定する。つまり、オープン制御時には、大気圧により吸入空気量の変化を反映する学習値KG4に基づく大気圧補正進角APA_COMPにより点火時期REAL_SAを補正するので、大気圧の変化を反映したものとなる。
【0019】
このように、点火時期REAL_SAを学習ゾーンの学習値に基づく補正量FAPACOMP(KG4)に基づいて進角補正するので、点火時期REAL_SAがフラットな軸トルクに至る直前の点火時期MTBに近づき、エンジン100の出力の減少を最小限に抑えることができる。また、点火時期REAL_SAが最適なものとなるために、燃費や登坂性能の低下を確実に防止することができる。
【0020】
このように、学習値KGは、高地を走行した際の大気圧変化によるフィードバック制御中心からのずれを学習しており、大気圧の変化を反映したものとなるので、高地走行時の運転性能を平地走行時と同じに確保することができる。すなわち、平地から高地へ移動して大気圧が変化すると、それに伴って吸入空気量が変化する。O2 センサ8から出力される出力信号は吸入空気量の変化に応じて変化し、その出力信号に基づいてA/Fフィードバック補正係数FAFが設定される。このA/Fフィードバック補正係数FAFは、大気圧の変化を反映したものとなっており、したがって、学習値KGについても大気圧の変化を反映するものとなる。そして、この学習値KGにより基本噴射時間TPを補正することにより、基本噴射時間TPについても大気圧の変化を反映したものとなり、この学習値KGに基づいて設定した補正量FAPACOMP(KG4)に基づいて進角補正するので、点火時期は大気圧の変化を反映したものとなる。この結果、高地を走行する場合であっても、その時の大気圧の変化に応じた最適な点火時期を設定することができる。
【0021】
なお、本発明は以上に説明した実施例に限定されるものではない。
その他、各部の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、フィードバック制御を実行していない場合であって、大気圧が低い高地等の走行中に、点火時期を補正することができるので、所期の内燃機関の性能を確保することができる。したがって、燃費や登坂性能の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成説明図。
【図2】同実施例の概略的な制御手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
2…スロットルバルブ
6…電子制御装置
6a…中央演算処理装置
6b…記憶装置
6c…入力インターフェース
6d…出力インターフェース
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気圧が変化した場合における点火時期を調整するための内燃機関の大気圧補正進角制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の点火時期は、燃料供給量をフィードバック制御している場合には、吸入空気量に基づいて決定している。一般的に、平地と高地とでは、大気圧が異なるために、同じスロットル開度でスロットルバルブが開いていても、吸入空気量は異なっている。特に、スロットルバルブを全開にした場合には、平地と高地とで吸入空気量の差が顕著に現れる。したがって、最適な点火時期が高地ではより進角側に移行するので、点火時期を進角する補正が必要になってくる。
【0003】
例えば、特開昭64−3265号公報のもののように、大気圧を検出する大気圧センサを設け、検出した大気圧に応じて点火時期を補正するようにしたものが知られている。同様に、燃料供給制御を行うために、吸気圧を検出するものでは、その吸気圧センサを用いて大気圧を検出し、それによって平地と高地との吸入空気量の違いを検出でき、よって高地における点火時期を進角側に補正するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料供給制御のために、吸気圧を検知せずに、スロットルバルブの開度とエンジン回転数とに基づいて決定するいわゆるα−N方式と呼ばれるものが、近年普及してきている。この方式のものでは、スロットル開度に基づいて吸入空気量を演算しているため、平地と高地とで同一のスロットル開度である場合に、実際には吸入空気量は大気圧の違いにより異なるにもかかわらず、その差異を検出できないものである。したがって、スロットル開度が全開でない、低、中負荷運転状態で燃料供給をフィードバック制御している場合では、フィードバック補正係数の学習値の変化に基づいて大気圧の変化を推定し、学習値に基づいて点火時期を補正制御するものである。
【0005】
しかしながら、スロットルバルブが全開に開成された場合は、フィードバック制御が実行されないので、学習値の基づいて点火時期を補正することができないことになる。このため、スロットルバルブ全開時の点火時期を補正するために、走行頻度が高い平地の大気圧に合わせて補正量を設定している。つまり、スロットルバルブが全開になった場合には、走行場所が何れであろうとも、設定された補正量により点火時期を補正するものである。
【0006】
ところが、補正量を平地における大気圧に基づいて設定しておくと、高地を走行した場合に大気圧が平地とは異なるため、補正量により点火時期を補正しても十分な補正とはならない。したがって、エンジンの出力が、大気圧の降下分以上に低下することがあり、燃費や登坂性能が低下することがある。
このような不具合を解消するために、
本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係る内燃機関の大気圧補正進角制御方法は、スロットルバルブの開度が略全開である場合に、パワー増量運転を行い空燃比のフィードバック制御を中止するとともに、高負荷高回転運転領域に対応する学習ゾーンのフィードバック補正係数の学習値に基づいて点火時期の補正量を設定し、その補正量により点火時期を補正する構成である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、内燃機関の運転状態に応じて設定する複数の学習ゾーンに対して設定するフィードバック補正量の学習値にて、スロットルバルブの開度と回転数とに基づいて決定した基本燃料噴射量を補正して内燃機関の空燃比が理論空燃比となるようにフィードバック制御するとともに学習値により点火時期を補正する内燃機関の大気圧補正進角方法において、スロットルバルブの開度を検出し、スロットルバルブの開度が略全開であることを検出した場合に、パワー増量運転を行い空燃比のフィードバック制御を中止するとともに、高回転で、かつ高負荷運転に対応する学習ゾーンの学習値に基づいて進角量を設定し、設定した進角量により点火時期を進角補正することを特徴とする内燃機関の大気圧補正進角制御方法である。
【0009】
このような構成のものであれば、フィードバック制御を実行していない場合であって、大気圧が低い高地等の走行中に、点火時期を補正することができるので、所期の内燃機関の性能を確保することが可能になる。したがって、燃費や登坂性能の低下を防止することができる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。
図1に概略的に示したエンジン100は、α−N方式において燃料供給(噴射)制御を行う自動車用のもので、その吸気系1には図示しないアクセルペダルに応動して開閉するスロットルバルブ2が配設され、その下流側にはサージタンク3が設けられている。スロットルバルブ2には、その回動軸2aの回転変位すなわちスロットルバルブ2の開度(以下、スロットル開度と称する)を電気的信号に変換するスロットルセンサ21が、回動軸2aに機械的に連結されて取り付けられているとともに、スロットルバルブ2の全開位置近傍において作動するパワースイッチ22が設けてある。パワースイッチ22は、高負荷高回転領域、つまりパワー増量が必要な運転領域を検出するためのものである。スロットルセンサ21は、例えば代表的にはポテンショメータが適用でき、スロットル開度に比例したアナログ電圧dを出力するように構成する。スロットルセンサ21の出力するアナログ電圧dは、電子制御装置6に入力されるもので、回転角度に比例した、すなわちスロットル開度に比例した電圧となる。サージタンク3に連通する吸気系1の吸気マニホルド4の一方の端部近傍には、さらに燃料噴射弁(インジェクタ)5が設けてあり、この燃料噴射弁5を、電子制御装置6により制御するようにしている。また排気系7には、排気ガス中の酸素濃度を測定するためのO2 センサ8が、図示しないマフラに至るまでの管路に配設された三元触媒9の上流の位置に取り付けられている。このO2 センサ8からは、酸素濃度に対応して電圧信号hが出力される。
【0011】
電子制御装置6は、例えば3気筒の自動車用エンジンのもので、中央演算処理装置(CPU)6aと記憶装置6bと入、出力インターフェース6c,6dとを具備してなるマイクロコンピュータシステムから構成されている。
入力インターフェース6cには、スロットルセンサ21、O2センサ8、水温センサ17、水温センサ17、回転角センサ14、車速センサ15及びパワースイッチ22が接続されている。水温センサ17は、エンジン100の冷却水温に応じて水温信号eを出力するもので、例えばサーミスタが好ましい。回転角センサ14は、エンジン回転数NEを検出するための回転数信号Neとクランク角度を検出するための気筒判別信号G1及びクランク角度基準信号G2とを出力する。この回転角センサ14は、図示しないクランク軸に機械的に直結されるものが、精度の高い信号を出力するので好適である。車速センサ15は、車速を検出するための車速信号cを出力する。
【0012】
一方、出力インターフェース6dには、各気筒毎の燃料噴射弁5、気筒別点火信号を出力するイグナイタ19等が接続されている。イグナイタ19は、電子制御装置6から出力される信号に基づいて、閉角度制御、定電流制御等を行い、二次側にスパークプラグSPが電気的に接続された各イグニッションコイルに、点火順序に合わせて気筒別点火信号gを出力する。
【0013】
電子制御装置6には、スロットルセンサ21から出力されるスロットル開度信号dと回転角センサ14から出力される回転数信号Neとを主な情報として基本噴射時間TPを設定し、エンジン状況に応じて決まる各種の補正係数で基本噴射時間TPを補正して燃料噴射弁開成時間すなわちインジェクタ最終通電時間Tを決定し、その決定された通電時間により燃料噴射弁5を制御して、エンジン負荷に応じた燃料を該燃料噴射弁5から吸気系1に噴射させるためのプログラムが内蔵してある。しかもこのプログラムにおいては、O2 センサ8から出力される出力信号hに基づいて所定周期でフィードバック補正量たるA/Fフィードバック補正係数FAFを演算し、少なくとも演算されたA/Fフィードバック補正係数FAFにより基本噴射時間TPを補正して最終的な燃料噴射量を決定するとともに、空燃比を学習制御するように構成されている。
【0014】
空燃比の学習制御は、当該分野で知られているものが広く適用できるもので、例えば、A/Fフィードバック補正係数FAFの平均値を求め、その平均値から学習値KGを演算するものであってよい。すなわち、A/Fフィードバック補正係数FAFの制御中心からのずれを検出した際に、運転状態に応じて設定してある学習ゾーンAKGに記憶される学習値KGに対し、一定値をそのずれが消滅するまで加減し、その時の学習値KGを記憶するようになっている。学習ゾーンは、例えば4つのゾーンからなり、アイドル運転状態を含む学習ゾーンAKG1、低負荷の学習ゾーンAKG2、中負荷の学習ゾーンAKG3、高負荷の学習ゾーンAKG4で構成される。
【0015】
これに加えて、点火時期制御のためのプログラムは、フィードバック制御を行っていないつまりオープン制御を実行している場合の点火時期の制御として、スロットル開度が略全開であることをパワースイッチ22から出力される信号により検出した場合に、高回転で、かつ高負荷運転に対応する学習ゾーンAKG4の学習値KG4に基づいて点火時期の進角量を設定し、設定した進角量により点火時期を進角補正するようにプログラムされている。なお、平地等を走行中のフィードバック制御時の点火時期は、スロットル開度に基づいて、言い換えれば吸入空気量に基づいて決定されるものである。
【0016】
この点火時期制御における大気圧補正進角制御プログラムの概要は、図3に示すようなものである。なお、このプログラムは、所定時間毎、例えば13.3m秒毎に繰り返し実行されるものである。
まず、ステップS1では、パワースイッチ22がオンしているか否かを判定する。この判定は、パワースイッチ22の状態を表すパワーオンフラグINPFLAG2’PSW’がセットされているかどうかにより判定する。ステップS2では、点火時期の大気圧補正進角APA_COMPを、高負荷高回転の運転領域に対応する学習ゾーンAKG4の学習値KG4に基づいて設定された補正量FAPACOMP(KG4)により設定する。ステップS3では、点火時期を次の式により決定する。
REAL_SA=REALSA+APA_COMP (1)
【0017】
ステップS4では、大気圧補正進角APA_COMPを0に設定する。
このような構成において、平地あるいは高地の走行でスロットルバルブ2を略全開まで開かない場合、つまり空燃比をフィードバック制御している場合は、パワースイッチ22がオンしないので、パワーオンフラグINPFLAG2’PSW’がリセットされている。したがって、制御は、ステップS1→S4→S3と進み、大気圧補正進角APA_COMPを0に設定するので、点火時期REAL_SAは、スロットル開度に基づいて算出されたものを補正せずに決定する。
【0018】
次に、高地等の登坂走行において、スロットルバルブ2が略全開の状態まで開かれると、パワースイッチ22がオンし、空燃比をオープン制御するので、制御は、ステップS1→S2→S3と進み、点火時期REAL_SAを大気圧補正進角APA_COMPだけ進角させて決定する。つまり、オープン制御時には、大気圧により吸入空気量の変化を反映する学習値KG4に基づく大気圧補正進角APA_COMPにより点火時期REAL_SAを補正するので、大気圧の変化を反映したものとなる。
【0019】
このように、点火時期REAL_SAを学習ゾーンの学習値に基づく補正量FAPACOMP(KG4)に基づいて進角補正するので、点火時期REAL_SAがフラットな軸トルクに至る直前の点火時期MTBに近づき、エンジン100の出力の減少を最小限に抑えることができる。また、点火時期REAL_SAが最適なものとなるために、燃費や登坂性能の低下を確実に防止することができる。
【0020】
このように、学習値KGは、高地を走行した際の大気圧変化によるフィードバック制御中心からのずれを学習しており、大気圧の変化を反映したものとなるので、高地走行時の運転性能を平地走行時と同じに確保することができる。すなわち、平地から高地へ移動して大気圧が変化すると、それに伴って吸入空気量が変化する。O2 センサ8から出力される出力信号は吸入空気量の変化に応じて変化し、その出力信号に基づいてA/Fフィードバック補正係数FAFが設定される。このA/Fフィードバック補正係数FAFは、大気圧の変化を反映したものとなっており、したがって、学習値KGについても大気圧の変化を反映するものとなる。そして、この学習値KGにより基本噴射時間TPを補正することにより、基本噴射時間TPについても大気圧の変化を反映したものとなり、この学習値KGに基づいて設定した補正量FAPACOMP(KG4)に基づいて進角補正するので、点火時期は大気圧の変化を反映したものとなる。この結果、高地を走行する場合であっても、その時の大気圧の変化に応じた最適な点火時期を設定することができる。
【0021】
なお、本発明は以上に説明した実施例に限定されるものではない。
その他、各部の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、フィードバック制御を実行していない場合であって、大気圧が低い高地等の走行中に、点火時期を補正することができるので、所期の内燃機関の性能を確保することができる。したがって、燃費や登坂性能の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成説明図。
【図2】同実施例の概略的な制御手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
2…スロットルバルブ
6…電子制御装置
6a…中央演算処理装置
6b…記憶装置
6c…入力インターフェース
6d…出力インターフェース
Claims (1)
- 内燃機関の運転状態に応じて設定する複数の学習ゾーンに対して設定するフィードバック補正量の学習値にて、スロットルバルブの開度と回転数とに基づいて決定した基本燃料噴射量を補正して内燃機関の空燃比が理論空燃比となるようにフィードバック制御するとともに学習値により点火時期を補正する内燃機関の大気圧補正進角方法において、
スロットルバルブの開度を検出し、
スロットルバルブの開度が略全開であることを検出した場合に、パワー増量運転を行い空燃比のフィードバック制御を中止するとともに、高回転で、かつ高負荷運転に対応する学習ゾーンの学習値に基づいて進角量を設定し、
設定した進角量により点火時期を進角補正することを特徴とする内燃機関の大気圧補正進角制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13055198A JP3559164B2 (ja) | 1998-05-13 | 1998-05-13 | 内燃機関の大気圧補正進角制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13055198A JP3559164B2 (ja) | 1998-05-13 | 1998-05-13 | 内燃機関の大気圧補正進角制御方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11324876A JPH11324876A (ja) | 1999-11-26 |
JP3559164B2 true JP3559164B2 (ja) | 2004-08-25 |
Family
ID=15036986
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP13055198A Expired - Fee Related JP3559164B2 (ja) | 1998-05-13 | 1998-05-13 | 内燃機関の大気圧補正進角制御方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3559164B2 (ja) |
-
1998
- 1998-05-13 JP JP13055198A patent/JP3559164B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11324876A (ja) | 1999-11-26 |
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