JP3552001B2 - 画像形成装置とそのバイアスロールおよび同ロールの製造方法 - Google Patents
画像形成装置とそのバイアスロールおよび同ロールの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機,レーザプリンター,ファクシミリ,これらの複合OA機器等の電子写真方式を利用した画像形成装置に関する。より具体的には、像担持体に形成されたトナー像を一旦中間転写ベルトに一次転写した後、これを用紙等の記録媒体に二次転写して再生画像を得るようにした画像形成装置、および一次転写されたトナー像を記録媒体に二次転写するバイアスロールとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を利用した画像形成装置は、無機または有機光導電性材料で構成された感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーにより静電潜像を現像して可視化されたトナー像とする。そして、このトナー像を中間転写体を介して、あるいは直接用紙等の記録媒体に転写することにより所要の再生画像を得る。
像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写し、更に中間転写体上のトナー像を記録媒体に二次転写する方式を採用したものでは、導電性のバイアスロールを用いて記録媒体を中間転写体に押圧し、電界の作用によりトナー像を静電的に転写するバイアスロール方式の画像形成装置が知られている。導電性のバイアスロールに転写電圧を印加しながら静電転写するバイアスローラ転写法は、バイアスロールの押圧力を受けると共に転写電流の通路を形成するバックアップロールを備えている。
【0003】
上記方式を採用した画像形成装置の従来例としては、例えば特開平6−95521号公報,特開平6−124049号公報等に開示されている。
図6は前者の公報に開示された転写装置における二次転写部の説明図である。同図において、中間転写体01は、バックアップロール02と複数の支持ローラ03により張架され、矢印方向に移動する。また、二次転写部には、電源04からバックアップロール02に転写電圧を印加するためのバイアスロール05と、転写電圧に基づく転写電流の通路を形成するためにバックアップロール02に押圧して回転する電極ロール(アースロール)06を備えている。バイアスロール05としては、アルミニウム製の金属ロールが用いられる。そして、上記電源04からバイアスロール05とバックアップロール02との間に転写電圧を印加すると、中間転写体01上のトナー像が用紙Pへ転写される。
さらに、後者の公報には、芯金とその外周面を被覆する次の弾性部材とでバイアスロール(転写ローラ)を形成した画像形成装置が開示されている。弾性部材としては、導電剤を分散して体積固有抵抗を107 〜1010Ωcmに設定したEPDMからなる弾性体、または厚さ50μmで体積固有抵抗108〜109ΩcmのPFAチューブを被覆した体積固有抵抗108〜109Ωcmのエピクロルヒドリンゴムが用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バイアスロールとして金属ロールを用いる特開平6−95521号公報に開示された転写装置においては、用紙Pが中間転写体01を介してバイアスロール05によりバックアップロール02に押圧されるので、電界の作用によりトナー像を静電的に転写する二次転写部にバイアスロール05による押圧力の荷重が集中する。そのため、トナー像が凝集し、電荷密度が高くなり、引いてはトナー層内部で放電が発生してトナーの極性を変化させることがある。このような要因によって、上記従来の技術では、ライン画像が中抜けするホローキャラクタの画質欠陥を発生するという問題がある。
この問題の対策として、バイアスロールをアスカーC硬度で20〜45°の範囲の低硬度にする必要がある。ゴム材を低硬度にする方法としては、a)ゴム材料に可塑剤等の低分子成分を配合する方法と、b)ゴム材料を発泡体とする方法がある。しかし、前者の低分子成分を配合する方法a)では、ロール表面から滲み出る低分子成分が汚染物質として画質に悪影響を与えるので、好ましくない。
【0005】
前記特開平6−95521号公報に開示された転写装置では、また、用紙Pがバイアスロール05を通過してから次の用紙Pがバイアスロール05に搬送されるまでの間に、中間転写体01に残留したトナーがバイアスロール05に転移して、これが用紙Pに裏汚れを発生させるという問題がある。この問題を解消するために、例えばc)クリーニングブレード等によりバイアスロールをクリーニングする方法、d)非転写時に、トナーが像担持体へ変位する方向の電界をバイアスロールと像担持体との間に形成する方法、などが提案されている。
しかし、方法c)では、前記方法b)のようにバイアスロールの硬度が比較的低い場合には、クリーニングブレードによるスクレープ作用を充分に発揮させることが困難である。一方、バイアスロールがウレタンゴムや前記特開平6−124049号公報に開示されたEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等の摩擦係数の大きいゴム材料で構成される場合は、ブレードの摺擦によって、バイアスロールが損傷されたり回転トルクが増大する等の理由により実用的でない。
方法d)では、バイアスロールが像担持体に圧接して凹状に変形するので、付着しているトナーがバイアスロールによって押圧されて凝集しやすくなる。そのため、充分にクリーニングするには高電界を必要とするので好ましくない。
【0006】
このような記録媒体の裏汚れの防止対策として、前記方法b)に挙げた発泡ゴム体に弗素系樹脂をコーティングする方法がある。
例えば、特開平6−149097号公報には、可塑剤等のブリード成分による感光体ドラム表面の汚染防止を目的として、シリコーンゴムやウレタンゴム等の発泡弾性体表面が、弗素樹脂またはシリコーン樹脂により、微細な斑状に部分的にコーティングされた転写ローラが開示されている。
また、特開平6−175470号公報には、低湿環境下での被帯電体の帯電不均一による網目状画像の発現防止を目的として、導電材を配合した可溶性弗素樹脂により形成された導電膜層でEPDM等の発泡弾性体層を被覆した導電性ロールが開示されている。
しかしながら、上記発泡弾性体は、いずれも表面に発泡セルの凹凸が残存して表面粗さが大きいために、表面に弗素系の樹脂をコーティングしてもクリーニングブレードによるスクレープ作用を充分に発揮することができない。
【0007】
スクレープ作用を充分に発揮させるために、例えばゴムライニング層上に離型性の良い樹脂をコーティングしたローラ転写器が、特開平4−208973号公報に開示されている。同様に、表面エネルギーの小さい弗素系樹脂、例えば前述のPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブ材料を発泡弾性体に被覆する方法がある。このチューブ材料をゴムロールに被覆加工するには、例えば下記の方法が知られている。
一つの方法e)は、所定のフィルム材料をチューブ状に加工し、その内部から空気等の流体を圧入することで膨らまし、その中にゴムロールを挿入した後、上記流体の圧力を減圧して収縮させることにより、表面層を形成する加工法がある。別の方法f)としては、チューブ材料をシリンダ形状の金型内面に引き伸ばしてチューブ状に張り付け、その中に液状のゴム材料を注入し、加硫して硬化させることにより、フィルム被覆のゴムロールに成形する方法がある。
【0008】
上記した両加工法において使用されるチューブ(フィルム)材料は、加工時に50〜200%の伸度が付与されるので、当該チューブ材料の特性としては、弾性領域内で50〜200%の変形量を必要とする。この伸度の範囲内で、チューブ材料の破断を伴わずにチューブ材料を被覆するには、その厚みを50μmより薄くすることはできない。
しかしながら、50μmより厚いチューブ材料をゴムロールに被覆した場合、ゴムロールの硬度(アスカーC)が15〜20°程度上昇する。したがって、前述したホローキャラクタの発生を回避するための硬度条件を満足する低硬度、アスカーCで20〜45°のバイアスロールが、安定して得られないという問題がある。
【0009】
このように、従来のバイアスローラ転写法においては、硬度と表面特性を両立させたバイアスロールが得られなかったことから、非転写時にバイアスロールに転移したトナーを除去して記録媒体の裏汚れを防止する効果的な手段が存在せず、良質な画像が得られないという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題点を解決しようとするものであって、非転写時等にバイアスロールに転移したトナーによる用紙の汚染を確実に防止して、高品質の画像を得ることが可能な画像形成装置およびそのバイアスロールと同ロールの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、中間転写体を用いてトナー像を二次転写するバイアスローラ転写法において、バイアスロールに転移したトナーを効率よく除去し得る手段について鋭意検討を重ねてきたところ、表面エネルギーの小さい表面層と発泡弾性体の間にスキン層を介在させることによって、バイアスロールの硬度と表面層の膜厚および表面粗さを相互に満足できる範囲に低下させることを可能にしたもので、かかる知見に基づいて本発明をなすに到ったものである。
すなわち、本発明の画像形成装置は、画像情報に応じた静電潜像が形成される像担持体と、像担持体に形成された静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像装置と、像担持体に担持されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、中間転写ベルト上の未定着トナー像を記録媒体に二次転写するバイアスロールと、バイアスロールに対向して中間転写ベルトをその裏面から支持するバックアップロールとから構成され、上記バイアスロールは、芯金と前記芯金の外周面に固定されたEPDM系発泡ゴム材料または発泡ウレタンゴムを構成成分とするコア層と、前記コア層の表面粗さおよび硬度を調節するスキン層と、水の濡れ性で表示した場合の水滴との接触角が90°以上である表面エネルギーの小さい材料を構成成分とする膜厚5〜30μmのコーティング層とからなり、
前記芯金と前記スキン層外表面との間の材料層が均一であると仮定して計算した前記芯金と前記スキン層外表面との間の材料層の体積抵抗率(以下、「発泡ロールの体積抵抗率」という。)が10 4 〜10 7 Ω・ cm の範囲にあり、前記コーティング層の体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 2 〜10 5 Ω cm の範囲にあり、前記芯金とコーティング層外表面との間の材料層が均一な材料層であると仮定して計算した前記芯金とコーティング層外表面との間の材料層の体積抵抗率(以下、「バイアスロールの体積抵抗率」という。)が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 4 〜10 7 Ω cm の範囲にあり、かつ前記バイアスロールの硬度がアスカーC硬度で20〜45°の範囲にあることを特徴とする。
本発明はまた、上記バイアスロールおよびその製造方法も含まれる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、さらに、前記した像担持体,現像装置,中間転写ベルト,バイアスロールおよびバックアップロールから構成され、上記バイアスロールは、芯金と前記芯金の外周面に固定された発泡ゴム材料を構成成分とするコア層と、前記コア層の表面粗さおよび硬度を調節するスキン層と、水の濡れ性で表示した場合の水滴との接触角が90°以上である表面エネルギーの小さい材料を構成成分とする膜厚5〜30μmのコーティング層とからなり、
前記発泡ロールの体積抵抗率が10 4 〜10 7 Ω・ cm の範囲にあり、前記コーティング層の体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 2 〜10 5 Ω cm の範囲にあり、前記バイアスロールの体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 4 〜10 7 Ω cm の範囲にあり、コーティング層の表面粗さRzが15μm以下であり、かつバイアスロールの硬度がアスカーC硬度で20〜45°の範囲にあることを特徴とする。
本発明はさらにまた、上記バイアスロールも含まれる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の画像形成装置における二次転写部の説明図である。同図において、一次転写された未定着トナー像を担持する中間転写ベルト1を介して、バイアスロール2と対向する位置にバックアップロール3が配置され、このバックアップロール3は中間転写ベルト1を裏面から支持する。バックアップロール3には、バイアスロール2に転写電圧を印加する電極ロール4が押接している。上記バイアスロール2は接地されており、電極ロール4は電源5に接続している。また、バイアスロール2表面にはポリウレタン等で成形されたクリーニングブレード6が当接している。
上記中間転写ベルト1は、各種樹脂またはゴム材料にカーボンブラック等の導電剤を適量配合させ、例えば0.05〜0.15mm厚に成形したベルトが用いられ、その表面抵抗率が108 〜1014Ω/□の範囲に調整されている。各種樹脂としては、アクリル樹脂,ポリ塩化ビニル,ポリエステル,ポリカーボネート,ポリアミド,ポリイミド等が挙げられる。
【0013】
転写電極を構成するバイアスロール2は、像担持体に担持されたトナー像が中間転写ベルト1上に一次転写される間は転写ベルト1から離間しており、転写ベルト1に担持されたトナー像を例えば用紙P等の記録媒体(以下、用紙Pで代表する)に二次転写する時は、転写ベルト1に圧接してこれをバックアップロール3に押圧するように構成される。
上記バイアスロール2は、芯金2aの外周面に固定されたEPDM系発泡ゴム材料または発泡ウレタンゴムのゴム材料を構成成分とするコア層2bに、スキン層2cを介して、表面エネルギーの小さい材料を構成成分とするコーティング層2dを被覆した3層構造からなる。また、コーティング層2dの表面粗さRzが後述の所定値以下にある場合には、コア層2bは任意の発泡ゴム材料で構成することができる。これらの層(2b〜2d)には、抵抗を調節するために導電剤が分散されている。
各層に分散される導電剤としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、銅,アルミニウム,銅合金,ステンレス鋼(SUS)等の金属または合金、酸化錫,酸化亜鉛,酸化チタン,酸化インジウム,酸化アンチモン,チタン酸カリウム,SnO2 −In2O3複合酸化物,SnO2 −Sb2O5複合酸化物等の導電性金属酸化物などの微粉末が用いられる。中でもカーボンブラックは、ゴム材料や各種樹脂との分散性が良好であるため好適である。
【0014】
バイアスロールにおいて、芯金とコーティング層外表面との間の材料層が均一な材料であると仮定して計算した芯金とコーティング層外表面との間の材料層の体積抵抗率(以下、バイアスロールの体積抵抗率という)は、104〜107Ωcmの範囲にある。この体積抵抗率が104 Ωcmより低いと、二次転写時に搬送される用紙とバイアスロールとの間にエアギャップを生じることがあり、その場合放電が発生する。一方、体積抵抗率が107 Ωcmより高いと、バックアップロールの抵抗とのバランスが崩れ、高画質のトナー像を維持することが可能な転写ラチチュードが狭まる。いずれにしても、バイアスロールの体積抵抗率が上記範囲内にないと、画質不良を生じる可能性があり、その好ましい範囲は104.5〜106Ωcmである。
バイアスロールの硬度はアスカーC硬度で20〜45°(以下、硬度はアスカーCで表示する)の範囲にある。すなわち、発泡ロール(2b,2c)に導電剤を分散した表面エネルギーの小さい材料の薄膜を被覆した場合、硬度が20°より低いロールを製造することはコスト的に不利である。また、硬度が45°より高くなると、用紙を介して圧接する中間転写ベルトとのニップ圧が必要以上に高まり、画質の粒状性が悪化すると共に、ホローキャラクタの発生、つまりライン画像が中抜けするようになる。
【0015】
前記芯金は、バイアスロールの電極および支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム,鉄,銅合金,SUS等の金属または合金、クロム,ニッケル等で鍍金処理を施した鉄,合成樹脂などの導電性の材質で構成される。芯金の外径は通常10〜20mmの範囲にある。
コア層は、前記したように、導電剤分散のEPDM系ゴム材料またはウレタンゴムの発泡体からなる。ここで、EPDM系ゴム材料とは、EPDM単独またはEPDMを50重量(wt)%以上含有する他のゴム材料とのブレンドゴムを意味する。さらに、コーティング層の後記表面粗さRzが15μm以下である場合には、上記発泡体に限定されるものではなく、任意の発泡ゴム材料を用いることができる。その具体例としては、上記EPDMおよびウレタンゴムの他に、イソプレンゴム,クロロプレンゴム,ブチルゴム,エピクロルヒドリン系ゴム,ノルボルネンゴム,シリコーンゴム,フッ素系ゴム,アクリルゴム,SBR(スチレン−ブタジエンゴム),NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム等の発泡ゴム材料が挙げられ、これらのブレンド材料であってもよい。中でも、シリコーンゴム,ウレタンゴム,EPDM等が好ましく用いられる。
【0016】
上記コア層の厚さは4〜10mmの範囲にあることが好ましい。また、ゴム材料の種類や発泡成形法等によりコア層に形成される気泡のサイズが異なり、その平均セル径は一般に40〜1200μmの範囲に調整される。所定の硬度と表面特性を有するバイアスロールを製造するためには、例えば、EPDM系発泡ゴム材料の場合は上記平均セル径が50〜300μmの範囲、また発泡ウレタンゴムの場合は50〜1000μmの範囲にあることがそれぞれ好ましい。
平均セル径が40μmより小さくなると、特性の安定したバイアスロールが得られないだけでなく、バイアスロールの硬度が45°より高くなる。一方、平均セル径が1200μmより大きくなると、バイアスロールの内部構造にバラツキが生じるようになり、安定した体積抵抗率および硬度を有するバイアスロールが得られなくなる。
【0017】
コア層表面を被覆するスキン層は、バイアスロール表面に発泡セルによる凹凸をなくすと共に、前記20〜45°の範囲内でバイアスロールの硬度を調節するために介在させたものである。このスキン層は、i)導電剤分散の無発泡ゴム素材をコア層表面に被覆成形する、ii)そのフィルムないしチューブ(以下、チューブで代表する)をコア層表面に被覆接着する、およびiii)導電剤や発泡剤等を配合した未発泡の弾性体素材を発泡させて成形加工する時に、コア層と同時に緻密な表面層を成形することにより、形成される。
スキン層を構成するゴム材料としては、特に限定されるものではなく、前記コア層の構成成分として例示したものと同様の無発泡ゴム材料が用いられる。特に、コア層の発泡体と同じ材質のゴム材料を用いることが好適である。その場合、両層の接着性が良好であり、上記成形加工法iii)を採用したときはコア層とスキン層を同時に成形することが可能である。
【0018】
バイアスロールの表面粗さおよび硬度を調節するためには、スキン層の厚さは一般に10μm〜1.50mmの範囲にあることが好ましい。例えば、発泡体がEPDM系発泡ゴム材料の場合は厚さが10〜800μmの範囲、発泡ウレタンゴムの場合は10μm〜1.50mmの範囲にあることが好ましい。スキン層の形成法において、i)ゴム素材をコア層表面に被覆するときは、一般的には0.10〜1.50mmの範囲内、例えばEPDM系発泡ゴム材料の場合で0.20〜0.80mm、また発泡ウレタンゴムの場合で0.20〜1.50mmの範囲内で、それぞれスキン層の厚さを調整すればよい。ii)チューブ材料をコア層表面に接着するときは、厚さ50〜500μmの範囲にあるチューブ材料が用いられる。iii)コア層と同時に成形するときは、厚さが10〜200μmの範囲にあるスキン層を容易に形成することができる。
また、スキン層の表面粗さRzを20μm以下とすることが好ましい。その場合、表面粗さRzが15μm以下のコーティング層を容易に形成することができる。
【0019】
コーティング層は導電剤が分散された表面エネルギーの小さい材料からなる。
ここで、「表面エネルギーの小さい材料」とは、前記したように、水の濡れ性で表示した場合の水滴との接触角が90°以上である。水の濡れ性は、半導電性コーティング層を構成する導電剤分散前の材料を試験片として用い、この試験片平面と水滴との接触角を尺度として表示される。より具体的には、試験片表面に水滴をおくと、試験片の表面張力γs ,液体/試験片間の界面張力γi ,液体の表面張力γl が釣り合って、図2に示すように、ある一定の形を形成する。この時、液滴が小さく重力の影響を無視できれば、下記のヤング(Young )の式が成り立つ。すなわち、本発明における「表面エネルギーの小さい材料」とは、上記接触角θが90°以上の材料を意味する。
γs = γi + γlcosθ
【0020】
表面エネルギーの小さい材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(テトラフルオロエチレン:TFE),ポリ弗化ビニリデン,ポリクロロトリフルオロエチレン,PFA,エチレン−TFE共重合体,TFE−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体,TFE−PFA共重合体,PFA−FEP共重合体等の弗素系樹脂、ポリジメチルシロキサン,ポリメチルフェニルシロキサン,ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体,ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体,ジメチルシロキサン−メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合等のシリコーンゴムまたは樹脂などが挙げられる。これらの材料は、表面エネルギーが小さいので、バイアスロール表面にトナーが付着し難いという特性を有する。
コーティング層の膜厚は5〜30μmの範囲にある。二次転写部では、用紙および中間転写ベルトを介して、バックアップロールへのバイアスロールの圧接と回転が繰り返されることにより、上記膜厚が5μm未満であると、コーティング層が摩耗して前記スキン層が露出する恐れがある。一方、膜厚が30μmを超えると、塗布法により導電剤含有の上記材料でスキン層を被覆する場合、表面に液ダレが生じやすく、平滑かつ均一な塗膜を安定して形成することが困難となる。そして、コーティング層の膜厚が上記範囲内にあれば、硬度が20〜45°の範囲内にあるバイアスロールを安定的に得ることができる。
【0021】
クリーニングブーレードによるスクレープ作用を充分に発揮させるには、バイアスロール表面は平滑であることが望ましい。本発明において、コーティング層の表面粗さRzは一般に15μm以下に調整される。尤も、コア層がEPDM系発泡ゴム材料または発泡ウレタンゴムで構成されたバイアスロールによれば、不完全なスクレープ作用による用紙の裏汚れが発生しないので、コーティング層の表面粗さRzを必ずしも15μm以下に調整する必要はない。
このような表面粗さRzを有するコーティング層は、スプレー法等の塗布法を採用することにより簡便に形成することができる。塗布法によれば、表面粗さRzを前記20μm以下としたスキン層上に膜厚を15〜30μmの範囲に調整することにより、表面粗さRzが15μm以下のコーティング層が形成される。
形成されるコーティング層の表面粗さRzが15μmより大きい場合は、例えば砥石の送り速度やバイアスロールの回転速度,その他加工時間等の研磨条件を適切に設定することにより、表面粗さRzを15μm以下に調整することができる。これは、スキン層の表面粗さRzを20μm以下に調整するときも同様である。なお、本発明における表面粗さRzは、JIS B 0610による十点平均粗さに従って求めた値をいう。
【0022】
以上のようなバイアスロールにおいて、芯金とスキン層外表面との間の体積抵抗率(以下、発泡ゴムロールの体積抵抗率という)を104〜107Ωcmの範囲およびコーティング層の体積抵抗率を102〜105Ωcmの範囲に設定しておくことが好ましい。
そのためには、導電剤の種類によっても異なるが、発泡ロールに配合される導電剤の割合が5〜30wt%の範囲、コーティング層に配合される導電剤の割合が10〜30wt%の範囲にあることが好ましい。配合割合が上記各範囲を外れると、バイアスロールの体積抵抗率を前記所望の範囲に調整することが困難であるばかりでなく、例えば各配合割合が30wt%を超えると、バイアスロールの硬度が45°より高くなることがある。
発泡ロールおよびコーティング層の体積抵抗率を上記範囲に設定することにより、これらの抵抗を合成して得られるバイアスロールの体積抵抗率を前記104〜107Ωcmの範囲内で任意に設定することが可能である。したがって、上記発泡ロールの体積抵抗率について自由度をもたせることができる。
【0023】
対向電極を構成するバックアップロール3は、EPDM,シリコーンゴム,ウレタンゴム等の絶縁性ゴムロールに適量の前記導電剤が配合されたロールからなる。その表面抵抗率は108 〜1010Ω/□の範囲に、硬度は58〜73°の範囲にあることが好ましい。
前記電極ロール4を構成する材料は、電気良導性の金属または合金であれば特に限定されるものではなく、例えばSUS,銅,アルミニウム等が用いられる。この電極ロール4からはバックアップロール3を通じて−2〜−5kVの転写電圧がバイアスロール2に印加される。転写電圧が2kV(絶対値)より低いと、中間転写ベルト1上の未定着トナー像を用紙Pに転写させる電界の強度が充分でない。一方、電圧が5kVより高いと、長期にわたる使用において、バックアップロール3の表面抵抗率の変化が大きくなり好ましくない。
なお、以上の二次転写部において、上記電極ロール4は必ずしも必要な部材ではなく、例えばバックアップロール3に設けられる芯金を電極部材として利用することが可能である。
【0024】
本発明のバイアスロールは、前記スキン層の形成法i)〜iii)の相違により、例えば次のようにして製造することができる。
i)導電剤分散の無発泡ゴム材料をコア層表面に被覆成形する方法
導電性や硬度を調節するために、カーボンブラック等の導電剤、金属酸化物または非金属酸化物等のフィラーや、発泡剤、加硫剤等を未発泡のEPDM系ゴム材料またはウレタンゴム材料等のゴム材料に添加し、発泡ゴムコンパウンドを調製する。所定の導電性および硬度を有する発泡弾性体を形成するためには、発泡剤の量や発泡条件を調節することが重要である。
次いで、発泡ゴムコンパウンドの混練物を押出機で成形した後、これを加熱してゴム材料を発泡・加硫し、チューブ状の発泡弾性体を形成する。その後、発泡弾性体の空洞に芯金を圧入して固定し、必要に応じて発泡弾性体表面を研磨してコア層を形成する。
次に、芯金を金型の中心に位置させ、発泡剤を除いた上記ゴムコンパウンドをチューブクロスヘッド押出成形機によりコア層外周面に被覆するか、あるいはコア層外周面と金型内面との間に注入した後、加硫してコア層外周面にスキン層を形成する。この際、スキン層の厚さは、一般的には0.10〜1.50mm、例えば発泡体が発泡EPDM系ゴム材料の場合には0.20〜0.80mm、発泡ウレタンゴムの場合には0.20〜1.50mmに成形される。なお、ゴムコンパウンド中のゴム材料は必ずしもコア層のものと一致させる必要はない。また、成形されたスキン層の表面粗さRzが20μmより大きい場合は、必要に応じて研磨加工を行うことが好ましい。この点は次の方法ii),iii)も同様である。
【0025】
成形された発泡ゴムロールは、その後表面エネルギーの小さい材料にカーボンブラック等の導電剤を分散した分散液をスキン層表面に塗布して、膜厚5〜30μmのコーティング層を形成する。
上記分散液としては、ウレタン変性TFE樹脂を含有した水性エマルジョン塗料(エムラロン345E:日本アチソン(株)製)や、TFE−PFA共重合体を含有した塗料(ベルフロン:日本油脂(株)製)等に、カーボンブラックを配合したものが好適である。これらの塗料は、室温から150℃までの比較的低温で架橋する2液型として用いられる。また、FEP系導電塗料(GLS−213R:ダイキン工業(株)製)も好ましく用いられる。
分散液の塗布方法としては、特に限定されるものではないが、刷毛塗り法,スプレー法,浸漬法,ロールコータ法等が挙げられる。中でもスプレー法は、発泡ゴムロールを固定した芯金を軸芯として回転させながら、噴霧機から分散液を噴霧するもので、コーティング層の形成が簡便である。しかも、膜厚の調節も容易に行うことができる。形成されるコーティング層の表面粗さRzが15μmより大きい場合は、研磨加工を施すことが好ましい。特に、コア層がEPDM系発泡ゴム材料または発泡ウレタンゴム以外のゴム材料で構成されるときは、下記の方法ii),iii)も同じであるが、表面粗さRzが15μm以下となるように研磨加工が行われる。
【0026】
ii)導電剤分散のチューブ材料をコア層表面に被覆接着する方法
厚さが50〜500μm程度の平滑なチューブ材料をシリンダ状の金型内面に張り付ける。次いで、チューブ材料の内側に前記方法i)と同様の発泡ゴムコンパウンドを注入した後、発泡・加硫してコア層を形成すると同時に、コア層とチューブ材料を接着する。スキン層となるチューブ材料とコア層の接着性が劣る場合は、チューブ材料の内面に予め接着剤を塗布しておくことが好ましい。その後は、方法i)と同様にして、コーティング層を形成する。
iii)未発泡ゴムコンパウンドの成形時にコア層と同時にスキン層を成形する方法上記方法i)と同様にして、発泡ゴムコンパウンドを調製し、この混練物を押出機で押し出し、クロスヘッドに送られる芯金の外周面に巻き付ける。次いで、芯金を金型に支持して上記発泡ゴムコンパウンドを加熱し、発泡した弾性体が芯金に固着されてコア層が形成されると同時に、金型内面に厚さ10〜200μmの範囲にある緻密なスキン層が形成される。その後は、方法i)と同様にして、コーティング層を形成する。
さらに、上記コーティング方法に代えて、上述のようにして成形されるコア層にスキン層を被覆した後または発泡ゴムロールに、表面エネルギーの小さいチューブ材料を被覆する前述の方法e),f)を採用してもよい。
【0027】
本発明の作用は次のとおりである。なお、括弧内の番号は図3に付した番号の構成要素に対応する。
画像情報に応じて像担持体(19)に形成された静電潜像は、現像装置(21)内のトナーにより現像されて、未定着トナー像として可視化される。このトナー像は、像担持体(19)に担持されたまま一次転写部において、中間転写ベルト1に転写される。多色画像を転写する場合は、現像装置(21)内に収容されたトナーの各色毎に一次転写を繰り返す。
像担持体(19)から中間転写ベルト1上へのトナー像の一次転写が終了して、所望の色相のトナー像を担持した中間転写ベルト1が二次転写部に移動してくると、これと同期して用紙Pが二次転写部に搬送される。この時、バイアスロール2は、バックアップロール3に裏面側が支持された転写ベルト1に圧接した状態にある。そして、用紙Pがバイアスロール2とバックアップロール3との間の圧接力を受けながら二次転写部を通過する際に、例えば電極ロール4からトナー像の帯電極性と同極性の転写電圧を印加することにより、転写ベルト1に担持されていたトナー像が中間転写ベルト1表面から用紙Pに二次転写される。
【0028】
請求項1発明の画像形成装置および請求項5発明のバイアスロールによれば、バイアスロール2は、芯金2aの外周面に順次発泡ゴム材料を構成成分とするコア層2b、スキン層2c、表面エネルギーの小さい材料を構成成分とするコーティング層2dを積層した3層構造からなる。したがって、バイアスロール2表面は、発泡セルによる凹凸がなく、かつ表面エネルギーの小さい材料で表面がコーティングされているので、非転写時にバイアスロール2に移転したトナーをクリーニングブレード6等のクリーニング部材で容易に除去することができる。
また、コーティング層2dの膜厚が5〜30μmの範囲にあるので、転写ロールとして必要なロール硬度が20〜45°の範囲で安定して得られる。そのため、用紙Pを介してバイアスロール2を中間転写ベルト1に押圧した状態で、電界の作用によりトナー像を静電的に転写する二次転写部において、バイアスロール2による押圧力の荷重が集中することがないので、ライン画像が中抜けするホローキャラクタの画質欠陥を発生するようなことがない。
しかも、バイアスロール2の体積抵抗率が104〜107Ωcmの範囲にあるため、中間転写ベルト1上の未定着トナー像を用紙Pに転写する上記二次転写部において、適切な転写電界の作用により良質の転写画像が得られる。
【0029】
また、請求項1記載の発明の画像形成装置によれば、上述の良質の転写画像を形成するために必要なバイアスロール2の体積抵抗率104〜107Ωcmが得られるよう、発泡ロール(2b,2c)の体積抵抗率をバイアスロールよりも高い104〜107Ωcmの範囲とし、かつコーティング層2dの体積抵抗率を発泡ロールより低い102〜105Ωcmの範囲に設定したものである。したがって、コア層2bの体積抵抗率のバラツキと比較して、上記発泡ロールとコーティング層2dを合成して得られるバイアスロール2の体積抵抗率104〜107Ωcmのバラツキ(標準偏差値)をより小さくすることができる。
【0030】
請求項2記載の発明の画像形成装置によれば、EPDM系発泡ゴム材料を構成成分とするコア層2bの平均セル径が50〜300μmの範囲にあり、EPDM系ゴム材料を構成成分とするスキン層2cの厚さが10〜800μmの範囲にあり、コーティング層2dの樹脂成分が弗素系樹脂であり、各層(2b〜2d)には導電剤としてカーボンブラックを分散したものである。そのため、コーティング層2dの膜厚を前記5〜30μmの範囲に設定したことと相俟って、転写ロールとしてのバイアスロール2の硬度が前記20〜45°の範囲でより一層安定して得られる。しかも、バイアスロール2が安価な材料で構成されている。
請求項3記載の発明の画像形成装置によれば、発泡ウレタンゴムを構成成分とするコア層2bの平均セル径が50〜1000μmの範囲にあり、ウレタンゴムを構成成分とするスキン層2cの厚さが10μm〜1.50mmの範囲にあり、コーティング層2dの樹脂成分が弗素系樹脂であり、各層(2b〜2d)には導電剤としてカーボンブラックを分散したものである。そのため、請求項2記載の発明と同様に、バイアスロール2の硬度が20〜45°の範囲でより一層安定して得られる。
請求項4記載の発明の画像形成装置用バイアスロールによれば、芯金と前記芯金の外周面に固定されたEPDM系発泡ゴム材料または発泡ウレタンゴムを構成成分とするコア層と、前記コア層の表面粗さおよび硬度を調節するスキン層と、水の濡れ性で表示した場合の水滴との接触角が90°以上である表面エネルギーの小さい材料を構成成分とする膜厚5〜30μmのコーティング層とからなり、
前記発泡ロールの体積抵抗率が10 4 〜10 7 Ω・ cm の範囲にあり、前記コーティング層の体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 2 〜10 5 Ω cm の範囲にあり、前記バイアスロールの体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 4 〜10 7 Ω cm の範囲にあり、かつ前記バイアスロールの硬度がアスカーC硬度で20〜45°の範囲にある。この請求項4記載の画像形成装置用バイアスロールを使用することにより前記請求項1記載の画像形成装置を得ることができる。
【0031】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置用バイアスロールの製造方法において、カーボンブラックが分散された発泡EPDM系ゴム材料のコア層を芯金の外周に形成した後、少なくともカーボンブラックを配合したEPDM系ゴム材料を押出成形し、次いで加熱して形成される厚さ0.20〜0.80mmのスキン層でコア層を被覆し、更にカーボンブラックを分散した弗素系樹脂をスキン層表面に塗布してコーティング加工することを特徴とする。
前記請求項5発明の画像形成装置用バイアスロールの製造方法によれば、カーボンブラック分散のEPDM系ゴム材料をそれぞれ押出成形して、発泡したコア層2bと無発泡のスキン層2cを成形加工した後、カーボンブラック分散の弗素系樹脂液をスキン層2c表面に塗布してコーティング層2dを形成するものである。したがって、バイアスロール2の硬度が前記範囲内で安定して得られる。また、スキン層2cの厚さを0.20〜0.80mmの範囲内で均一かつ確実に形成することができ、しかも弗素系樹脂液の塗布によってコーティング層2dの厚さを容易に調節することができる。
請求項6記載の発明は、請求項4記載のバイアスロールの製造方法において、カーボンブラックが分散された発泡ウレタンゴム材料のコア層を芯金の外周に形成し、次いで芯金の外周面に固定されたコア層を金型内に位置させて、コア層表面と金型内面との間に少なくともカーボンブラックを配合した液状ウレタンゴム材料を注入した後、このウレタンゴム材料を加熱して厚さ0.20〜1.50mmのスキン層を形成し、更にカーボンブラックを分散した弗素系樹脂をスキン層表面に塗布してコーティング加工することを特徴とする。
前記請求項6発明の画像形成装置用バイアスロールの製造方法によれば、カーボンブラック分散のウレタンゴム材料を発泡させてコア層を形成し、次いでコア層表面と金型内面との間にカーボンブラック分散の液状ウレタンゴム材料を注入し、加熱してスキン層を形成した後、カーボンブラック分散の弗素系樹脂液をスキン層2c表面に塗布してコーティング層2dを形成するものである。したがって、請求項5発明と同様に、バイアスロール2の硬度が前記範囲内で安定して得られる。また、スキン層2cの厚さを0.20〜1.50mmの範囲内で均一かつ確実に形成することができ、しかも弗素系樹脂液の塗布によってコーティング層2dの厚さを容易に調節することができる。
【0032】
請求項7記載の発明の画像形成装置および請求項9記載の発明のバイアスロールは、前記請求項1発明または請求項4の発明において、コア層2bが各種発泡ゴム材料を構成成分とし、コーティング層について更にその表面粗さRzを15μm以下に限定したものである。したがって、前記請求項1発明および請求項5発明と同様の作用を奏する。しかも、バイアスロール2表面が平滑であるので、非転写時にバイアスロール2に移転したトナーをクリーニングブレード6等のクリーニング部材で確実に除去することができる。
請求項8記載の発明の画像形成装置によれば、表面粗さRzを20μm以下としたスキン層2c上に、例えば塗布法により膜厚が15〜30μmの範囲にあるコーティング層2dを形成すると、表面粗さRzが15μm以下のバイアスロール2が得られる。このような表面粗さRzは、コア層2bおよびスキン層2cの材質に影響されることなく得られる。したがって、請求項8発明は上記請求項7記載の発明と同様の作用を奏する。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(画像形成装置)
図3は本発明の画像形成装置として中間転写ベルトを備えたデジタルカラー複写機の全体図である。
図3において、プラテン11上に載置した原稿(図示せず)の下面に沿って移動する原稿照明用ランプ12から出射して、原稿で反射した光を移動ミラーユニット13、レンズ14、固定ミラー15を介して画像読取部のCCDに収束させる。CCDは、多数の光電変換素子とレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3色のフィルタにより、上記原稿画像を各色毎の電気信号に変換する。この電気信号は画像処理回路16に入力され、画像処理回路16は各色毎に入力された原稿画像読取信号をデジタル信号に変換して記憶する画像メモリを有している。
【0034】
光書込制御装置17は、上記画像処理回路16の画像データを所定のタイミングで読み出して、光ビーム書込装置18に出力する。光ビーム書込装置18は、矢印A方向に回転する感光体ドラムからなる像担持体19に前記各色に対応した静電潜像を書き込む。像担持体19の周囲には、その表面を一様に帯電させる帯電用チャ−ジャ20、像担持体19に書き込まれた静電潜像を各色のトナー像に現像する現像ユニット21、各色のトナー像を前記中間転写ベルト1に一次転写する転写コロトロン22、除電器およびクリーニングブレードを有するクリーナユニット23が配置されている。
上記現像ユニット21は、黒(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各色のトナーを収容した現像器を有し、それぞれ各色のトナーで上記静電潜像を現像して可視化する。
中間転写ベルト1は、前記電極ロール4が押接するバックアップロール3およびベルト搬送ロール24,25,26に張架され、像担持体19表面に当接しながらその接線方向に移動する。本実施例では、転写ベルト1を張架する各ロール(3,24〜26)のうち、転写ベルト1が矢印B方向に移動するよう、ベルト搬送ロール24を駆動ロールとし、他のロール(3,25,26)は従動ロールとして構成されている。また、転写ベルト1の撓みを防止するために、ベルト搬送ロール26の軸はバネ(図示せず)によって方向Cに付勢されている。
【0035】
中間転写ベルト1の裏面側には、前記転写コロトロン22が像担持体19と転写ベルト1表面とが接触する一次転写部に配置されている。一方、未定着トナー像を担持する転写ベルト1の表面側には、バックアップロール3およびベルト搬送ロール24に対向して、それぞれ前記バイアスロール2およびベルトクリーナ27が配置されている。バイアスロール2とバックアップロール3とが対向する部位が二次転写部となる。
また、バックアップロール3とベルト搬送ロール24との間には、二次転写されたトナー像を担持する用紙Pを転写ベルト1から剥がす剥離爪28が配置されている。上記バイアスロール2表面には、ウレタンゴムで形成されたクリーニングブレード6が常時当接していて、二次転写時等で付着したトナー粒子や紙粉等の異物が除去される。
【0036】
画像形成装置U本体の下部には抽出自在の給紙トレイ29が設けられ、その上方にピックアップローラ30が配置されている。このピックアップローラ30の下流側には、用紙Pの重送を防止する一対のフィードロール31、用紙搬送ロール32、用紙Pを案内するガイド部材33およびレジロール34が順次配置されている。
前記二次転写部の下流側には、順次、二次転写されたトナー像を担持した用紙Pを搬送する搬送ベルト35、用紙P上の未定着トナー像を定着処理する定着装置36、定着画像が形成された用紙Pを機外に排出する一対の排出ロール37、および排出された用紙Pを載置する排紙トレイ38が配置されている。
【0037】
(画像形成装置の作用)
矢印A方向に回転する像担持体19は、帯電用チャ−ジャ20により表面が一様に帯電される。この一様に帯電された像担持体19は光ビーム書込装置18により静電潜像が書き込まれる。像担持体19上の静電潜像は現像ユニット21により未定着トナー像に現像される。このトナー像の形成は、最初に第1色目のトナー像が形成され、以降像担持体19が1回転する毎に、第2色目から第4色目までのトナー像が形成される。本実施例では、K,Y,M,C色のトナー像が順次形成されるようになっている。像担持体19の表面は、前記トナー像が中間転写ベルト1に転写された後、クリーナユニット23のブレードによりクリーニングされる。
ここで、前記光書込制御装置17では、最初に第1色目のK色のデジタル信号を読出して光ビーム書込装置18に出力する。この書込装置18は像担持体19表面にK色に対応した静電潜像を書き込む。K色に対応した静電潜像は現像ユニット21内の現像器KによりK色の可視化されたトナー像に現像され、一次転写部へ移動する。一次転写部において、中間転写ベルト1の裏面側に配置された転写コロトロン22からトナー像にその帯電極性とは逆極性の電界を作用させることにより、一次転写部に到達したK色のトナー像を静電的に中間転写ベルト1に吸着させつつ、中間転写ベルト1の矢印B方向の移動で一次転写させる。
【0038】
中間転写ベルト1は、Kトナー像を吸着担持したまま像担持体19と同一周期で移動する。1色目のKトナー像の転写が終了すると、転写ベルト1におけるKトナー像の転写開始位置が一次転写部に到達する迄に、光書込制御装置17からの出力により第2色目のY色の静電潜像の書込が開始される。そして、Kトナー像を担持した転写ベルト1の上記転写開始位置が一次転写部に到達すると、転写コロトロン22によって2色目のYトナー像の転写が行われる。続いて、Mトナー像およびCトナー像の転写が、上記Yトナー像の転写と同様に行われる。
このようして、各色に重ね合わされた多重トナー像が中間転写ベルト1上に形成される。この各色のトナー像が中間転写ベルト1上に一次転写されるまで、転写ベルト1の表面側に配置された前記バイアスロール2,剥離爪28およびベルトクリーナ27は、中間転写ベルト1から離間した退避位置に保持されている。
【0039】
一方、給紙トレイ29に収容された用紙Pは、ピックアップローラ30により所定のタイミングで1枚ずつ取り出されて、一対のフィードロール31、用紙搬送ロール32により給紙され、一対のレジロール34で一旦停止される。用紙Pは、その後中間転写ベルト1上に転写された各色(K,Y,M,C)の多重トナー像が二次転写部に移動してくるのと同期して、レジロール34から二次転写部に搬送される。
二次転写部において、バイアスロール2は転写ベルト1を介してバックアップロール3に圧接した状態にある。そして、搬送されてきた用紙Pは、ロール2,3間の圧接搬送および転写ベルト1の移動によって二次転写部を通過する。この際、電極ロール4からのトナー像の帯電極性と同極性の転写電圧の印加による静電反撥により、転写ベルト1に吸着担持されていたトナー像が中間転写ベルト1表面から用紙Pに二次転写される。また、バイアスロール2がバックアップロール3に圧接すると、バイアスロール2表面に付着したトナー粒子等の異物は、前記クリーニングブレード6により除去される。
【0040】
以上フルカラー画像の転写について述べてきたが、単色画像を形成する場合は、中間転写ベルト1上に一次転写された例えばK色のトナー像が二次転写部に移動してきた時、直ちにトナー像は用紙Pに転写される。複数色の画像を形成する場合は、所望の色相を選択して、それらの色に重ね合わされた多色トナー像が二次転写部に移動してきた時、トナー像を用紙Pに転写すればよい。この多色画像の転写の場合は、各色のトナー像が一次転写部でズレることなく正確に一致するよう、前述のとおり、像担持体19の回転と中間転写ベルト1の移動とを同期させている。
上述のようにして、トナー像が所望の色相に転写された用紙Pは、剥離爪28の作動により剥離され、搬送ベルト35に載置されて定着装置36に搬送される。そして、定着装置36において、未定着トナー像を固定して永久画像に定着処理した後、用紙Pは一対の排紙ロール37により排紙トレイ38に排出される。二次転写が完了すると、中間転写ベルト1は、その表面が二次転写部の下流に設けられたベルトクリーナ27によりクリーニングされ、次の転写に備える。
【0041】
(二次転写部材)
図3に示した画像形成装置における二次転写部材の具体的な構成は次のとおのである。
中間転写ベルト(1)としては、厚さ80μmで表面抵抗率1012Ω/□のポリイミドが用いられた。バイアスロール(2)としては、下記「バイアスロールの製造」に示すように、外径15mmのSUS製芯金(2a)上に、コア層(2b)、スキン層(2c)、コーティング層(2d)が順次積層された長さ325mm,外径28mmのロールが用いられた。
バックアップロール(3)としては、厚さ6.5mmに成形された導電性のシリコーンゴムが用いられた。その硬度は62°であり、表面抵抗率は109 Ω/□であった。バックアップロール(3)の外径は、バイアスロール(2)と同径の28mmである。電極ロール(4)として直径12mmのSUS製金属ロールが用いられた。
【0042】
(バイアスロールの製造)
実施例に示した上記バイアスロールは、次のようにして製造された。なお、下記の「部」はゴム素材100重量部に対する「重量部」を意味する。
実施例1
加硫剤として硫黄1.5wt%と加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド0.6wt%を含有するゴム素材(EPDM EP33:日本合成ゴム(株)製)100部,導電剤としてケッチェンブラック(ライオンアグゾ(株)製)14部およびFTカーボン(旭カーボン(株)製)20部,発泡剤としてp,p′−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)6部と軟化剤として鉱油6部の組成比からなる発泡ゴムコンパウンドをニーダーおよびロール練りにより混練した。
この混練物を押出成形機によりチューブ形状に押出成形し、これを加硫缶内で温度126℃,圧力1.5kg/cm2Gの加圧蒸気下に加熱して発泡・加硫した。得られた発泡弾性体の空洞に外径15mmのSUS製芯金(2a)を圧入し、発泡弾性体表面を研磨して外径28mmのコア層(2b)を形成した。
【0043】
次いで、NBRとEPDMを重量比で4:6にブレンドしたゴム素材(NE40;日本合成ゴム(株)製)100部にケッチェンブラックを10部およびFTカーボンを25部の割合で添加し、混練した。この混練物をチューブクロスヘッド押出成形機により上記コア層(2b)外周面に被覆した。この時、チューブ材料の加圧によりコア層の外径は27.5mmに収縮した。このチューブ材料を加硫缶内で温度127℃,圧力1.55kg/cm2Gの加圧蒸気下に加熱して、加硫すると共にコア層に接着させた。その後、ロールの表面を研磨して寸法出しを行って、コア層外周面にスキン層(2c)が接着した発泡ゴムロール(2b,2c)の外径を28mmとした。
さらに、カーボンブラックを配合したウレタン変性TFE樹脂の水性エマルジョン塗料(前記エムラロン345E)をスキン層(2c)表面にスプレー法により塗布した後、100℃で35分間加熱・硬化して、膜厚15μmのコーティング層(2d)を形成した。
このようにして、3層構造のバイアスロール(2)を製造した。このバイアスロールにおいて、コア層中のセル径の殆どは50〜300μmの範囲にあり、発泡ゴムロールおよびバイアスロールの硬度は、それぞれ36°、40°であった。また、発泡ゴムロール、コーティング層およびバイアスロールの体積抵抗率は、それぞれ105.78Ωcm、104.55Ωcm、10Ω5.32cmであった。
【0044】
実施例2
ポリエーテル系ウレタン100部およびカーボンブラック15部の組成比からなる弾性体素材に発泡剤を配合した混練物を押出成形機によりチューブ形状に押出成形し、これを加熱して発泡・加硫して発泡弾性体を形成した。この発泡弾性体の空洞にホットメルト型接着剤を塗布した外径15mmのSUS製芯金(2a)を圧入し、これを加熱接着した後、発泡弾性体表面を研磨して、硬度が13°で外径25.5mmのコア層(2b)を形成した。
形成されたコア層を内径28mmの金型内に同心状に位置させ、コア層外周面と金型内面との間に発泡剤を除いた以外は上記弾性体素材と同様のウレタン弾性体素材を注入した。次いで、金型内部を160℃に加熱して加硫すると共に、弾性体素材をコア層外周面に固着させた。その後、成形された発泡ゴムロール表面を研磨して、表面粗さRzが20μmで厚さが1.25mmのスキン層(2c)を形成した。さらに、前記実施例1の場合と同様にして、コーティング層(2d)を形成した。この時のコーティング層(2d)の表面粗さRzは15μmであった。
このようにして、3層構造のバイアスロール(2)を製造した。このバイアスロール(2)において、コア層中のセル径の殆どは0.2〜1.0mmの範囲にあり、発泡ゴムロールおよびバイアスロールの硬度は、それぞれ30°、36°であった。また、発泡ゴムロール、コーティング層およびバイアスロールの体積抵抗率は、それぞれ105.46Ωcm、104.55Ωcm、105.18Ωcmであった。
【0045】
(バイアスロールの二次転写試験)
実施例1,2のバイアスロールが装着された図3に示す画像形成装置を作動させて、転写画質および用紙裏面の汚れを評価し、更にバイアスロールのクリーニングブレード(6)負荷による負荷トルクを測定した。その結果を下記の表1に示す。
また、比較例1〜4として、前記実施例のバイアスロールに代えて、1)ゴム材料を発泡シリコーンゴムで構成したコア層に、スキン層を形成しないで50μm厚のPFAチューブを直接被覆したバイアスロール、2)コーティング層を被覆しないで発泡させたコア層およびスキン層のゴム材料をシリコーンゴムで構成したバイアスロール、3)発泡シリコーンゴムのコア層のみからなるバイアスロール、および4)発泡EPDMのコア層のみからなるバイスロールをそれぞれ用い、上記試験に供した。それらの結果を表1に示す。なお、表1中の「用紙裏面の汚れ」は、トナーの除去に要するバイスロールの回転数で評価した。
【0046】
【表1】
転写画質
○ : 画質欠陥の発生なし
× : 画質欠陥の発生あり
− : 用紙の汚れがひどく、評価せず
用紙裏面の汚れ
○ : 1回
△ : 2〜4回
× : 5回以上
【0047】
バイアスロールの硬度が45°より高い比較例1では、転写画質のホローキャラクタ等の画質欠陥が発生し、転写画質が不良となった。また、実施例1,2および比較例1から明らかなように、バイアスロール表面を表面エネルギーの小さい材料で被覆することにより、バイアスロールへのトナーの付着力が小さくなり、クリーニングブレードによるスクレープ作用を充分に発揮させることができるので、用紙裏面の汚れがない。
また、コーティング層を被覆しないでスキン層を表面層とした比較例2においては、バイスロールの1回の回転では同ロールに付着したトナーを充分に除去することができなかった。一方、バイアスロールとして、発泡シリコーンゴム,発泡EPDMを用いた比較例3,4では、発泡ゴムの摩擦係数が大きいため、クリーニングブレードによる負荷トルクが0.11Nmと大きくなる。その結果、図3に示す画像形成装置において、中間転写ベルトが駆動ローラ(ベルト搬送ロール24)でスリップして回らないというトラブルが発生した。
【0048】
(発泡ロールおよびバイアスロールの体積抵抗率)
発泡ロール(すなわち、芯金と前記芯金の外周面に固定されたEPDM系発泡ゴム材料または発泡ウレタンゴムを構成成分とするコア層と前記コア層の表面粗さおよび硬度を調節するスキン層とを有するロール)およびバイアスロール(すなわち、発泡ロールおよびコーティング層を有するロール)の体積抵抗率の測定方法を図4に示す。
各ロールの測定方法は、ロールの軸方向3ヶ所(中央部,両端部50mm)に24.5mm幅(w)の銅テープをロールの円周方向に巻き付け、ロールの芯金と銅テープとの間に20Vの電圧(V)を印加し、電圧の印加から10秒後の電流値(I)を読み取って、下記の式により体積抵抗率ρv(Ωcm)を求めた。
ρv = 2πwV/I・ln(r2/r1)
ここで、r1 : 芯 金の外径(15mm)
r2 : ロールの外径(28mm)
【0049】
表2,3には、図4に示す測定方法に従って測定されたコーティング層被覆前後の発泡ゴムロールの体積抵抗率(logρv)の他に、ロール硬度およびロール外径を示す。なお、本発明の実施例および比較例に示す各ロールの体積抵抗率は、上記測定方法に従って求められたものである。
また、表中に示すロール抵抗のバラツキを表す標準偏差値は、各10本のロールに対してそれぞれ図4に示すロールの軸方向3ヶ所について測定し、計30回の試験から得られた体積抵抗率により求めた。
下記の表2,3に示すように、体積抵抗率のバラツキは発泡ゴムロールのコーティング層の被覆により小さくなっており、ロール硬度は被覆によってもバラツキの小さいことが分かる。
【0050】
【表2】
【表3】
【0051】
実施例3
カーボンブラックを15wt%含有するシリコーンゴムに2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、発泡剤、シリカを配合した発泡シリコーンゴムコンパウンドを2本ロールで混練した。この混練物を押出機で外径15mmのSUS製芯金(2a)に圧入して成形した後、金型内において230℃で3時間加熱して発泡・加硫することにより、コア層(b)とスキン層(2c)を同時成形した。成形された外径28mmの発泡ゴムロール表面を研磨して、表面粗さRzが12μmで厚さが100μmのスキン層(2c)を形成した。
さらに、カーボンブラックを20wt%含有したFEP系導電塗料(前記GLS−213R)をスキン層(2c)表面にスプレー法により塗布した後、210℃で10分間加熱・硬化して、膜厚15μmのコーティング層(2d)を形成した。この時のコーティング層(2d)の表面粗さRzは9μmであった。
このようにして製造された3層構造のバイアスロール(2)において、コア層中の平均セル径は100μmであり、硬度は35°であった。また、発泡ゴムロール(2b,2c)の体積抵抗率は105.3 Ωcmであり、コーティング層(2d)の体積抵抗率は102.1 Ωcmであり、バイアスロール(2)の体積抵抗率は104.6 Ωcmであった。
【0052】
実施例4
スキン層(2c)の表面粗さRzが17μmとなるように研磨加工した以外は、実施例3と同様にしてバイアスロール(2)を製造した。得られたバイアスロール(2)表面、すなわちコーティング層(2d)の表面粗さRzは12μmであった。
実施例5
スキン層(2c)の表面粗さRzが20μmとなるように研磨加工した以外は、実施例3と同様にしてバイアスロール(2)を製造した。形成されたコーティング層(2d)の表面粗さRzは15μmであった。
【0053】
比較例5
スキン層(2c)の表面粗さRzが22μmとなるように研磨加工すると共に、コーティング層(2d)を膜厚10μmに形成した以外は、実施例3と同様にして硬度33°のバイアスロール(2)を製造した。この時のコーティング層(2d)の表面粗さRzは18μmであった。
比較例6
スキン層(2c)の表面粗さRzが26μmとなるように研磨加工した以外は、実施例3と同様にしてバイアスロール(2)を製造した。形成されたコーティング層(2d)の表面粗さRzは22μmであった。
【0054】
実施例3〜5および比較例5,6のバイアスロールについて、転写画質および用紙裏面の汚れを評価した。評価基準は前記「バイアスロールの二次転写試験」の場合と同じである。その結果を下記の表4に示す。また、スキン層の表面粗さ(Rz)とコーティング層の膜厚および表面粗さ(Rz)をまとめて表4に示す。
なお、各バイアスロールの物性は、上記表面粗さおよび比較例5の硬度を除いて、実施例3に示したものと全て同一である。
【表4】
【0055】
コーティング層の膜厚を10μm,15μm,20μm,25μmおよび30μmに形成したバイアスロールにおいて、スキン層の表面粗さ(Rz)を変化させたときに形成されるコーティング層の表面粗さ(Rz)を図5に示す。これらのバイアスロールは、前記実施例3に示した方法に準じて製造された。図5において、上記コーティング層の膜厚は、10μm:●、15μm:○、20μm:■、25μm:□、30μm:▲の符号で示される。
図5から明らかなように、スキン層の表面粗さを20μm以下に調整して、膜厚を15〜30μmの範囲でコーティング層を形成すると、その表面粗さが15μm以下のバイアスロールを安定して製造することができる。このようなバイアスロールは、表面が平滑でありかつ表面エネルギーの小さい材質で構成されているため、表4に示したとおり、二次転写時に用紙裏面がトナーで汚染されるようなことがない。
【0056】
【発明の効果】
本発明の画像形成装置およびバイアスロールは、芯金の外周面にスキン層を介してEPDM系発泡ゴム材料または発泡ウレタンゴムを構成成分とするコア層を表面エネルギーの小さい材料を構成成分とするコーティング層で被覆した3層構造からなる。あるいは、芯金の外周面に固定されたコア層が発泡ゴム材料で構成され、スキン層を介して形成されるコーティング層が表面粗さ15μm以下の表面エネルギーの小さい材料で構成された3層構造からなる。したがって、バイアスロール表面に発泡セルによる凹凸がなく平滑であるため、トナーが付着し難く、たとえトナーが付着したとしてもクリーニングブレード等で容易に除去することができる。
また、表面コーティング層の膜厚が5〜30μmの範囲にあるので、低硬度のバイアスロールが安定して得られるため、ライン画像が中抜けするホローキャラクタの画質欠陥を発生するようなことがなく、高品質の転写画像が得られる。
本発明の画像形成装置用バイアスロールの製造方法によれば、硬度20〜45°の範囲内でバイアスロールが安定して得られ、均一な厚さのスキン層を確実に形成することができるだけでなく、コーティング層の膜厚の調節も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置における二次転写部の概略構成図である。
【図2】表面エネルギーの尺度となる接触角の説明図である。
【図3】本発明の一実施例として示す画像形成装置の全体図である。
【図4】発泡ゴムロールおよびバイアスロールの体積抵抗率の測定方法を示す説明図である。
【図5】コーティング層の膜厚の相違によるバイアスロールにおけるスキン層の表面粗さとコーティング層の表面粗さの関係を示すグラフである。
【図6】従来の画像形成装置における二次転写部の説明図である。
【符号の説明】
U…画像形成装置、P…用紙(記録媒体)、1…中間転写ベルト、2…バイアスロール、2a…芯金、2b…コア層、2c…スキン層、2d…コーティング層、3…バックアップロール、19…像担持体、21…現像ユニット(現像装置)。
Claims (9)
- 画像情報に応じた静電潜像が形成される像担持体と、像担持体に形成された静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像装置と、像担持体に担持されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、中間転写ベルト上の未定着トナー像を記録媒体に二次転写するバイアスロールと、バイアスロールに対向して中間転写ベルトをその裏面から支持するバックアップロールとから構成され、上記バイアスロールは、芯金と前記芯金の外周面に固定されたEPDM系発泡ゴム材料または発泡ウレタンゴムを構成成分とするコア層と前記コア層の表面粗さおよび硬度を調節するスキン層と、水の濡れ性で表示した場合の水滴との接触角が90°以上である表面エネルギーの小さい材料を構成成分とする膜厚5〜30μmのコーティング層とからなり、
前記芯金と前記スキン層外表面との間の材料層が均一であると仮定して計算した前記芯金と前記スキン層外表面との間の材料層の体積抵抗率(以下、「発泡ロールの体積抵抗率」という。)が10 4 〜10 7 Ω・ cm の範囲にあり、前記コーティング層の体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 2 〜10 5 Ω cm の範囲にあり、前記芯金とコーティング層外表面との間の材料層が均一な材料層であると仮定して計算した前記芯金とコーティング層外表面との間の材料層の体積抵抗率(以下、「バイアスロールの体積抵抗率」という。)が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 4 〜10 7 Ω cm の範囲にあり、かつ前記バイアスロールの硬度がアスカーC硬度で20〜45°の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載のバイアスロールにおいて、コア層はカーボンブラックが分散された平均セル径50〜300μmの前記EPDM系発泡ゴム材料からなり、スキン層はカーボンブラックが分散された厚さ10〜800μmのEPDM系ゴム材料からなり、コーティング層はカーボンブラックが分散された弗素系樹脂からなる画像形成装置。
- 請求項1記載のバイアスロールにおいて、コア層はカーボンブラックが分散された平均セル径50〜1000μmの前記発泡ウレタンゴムからなり、スキン層はカーボンブラックが分散された厚さ10μm〜1.50mmのウレタンゴムからなり、コーティング層はカーボンブラックが分散された弗素系樹脂からなる画像形成装置。
- 芯金と、芯金の外周面に固定されたEPDM系発泡ゴム材料または発泡ウレタンゴムを構成成分とするコア層と、前記コア層の表面粗さおよび硬度を調節するスキン層と、水の濡れ性で表示した場合の水滴との接触角が90°以上である表面エネルギーの小さい材料を構成成分とする膜厚5〜30μmのコーティング層とからなり、
前記発泡ロールの体積抵抗率が10 4 〜10 7 Ω・ cm の範囲にあり、前記コーティング層の体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 2 〜10 5 Ω cm の範囲にあり、前記バイアスロールの体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 4 〜10 7 Ω cm の範囲にあり、かつ前記バイアスロールの硬度がアスカーC硬度で20〜45°の範囲にあることを特徴とする中間転写ベルト上のトナー像を用紙に2次転写する画像形成装置用バイアスロール。 - カーボンブラックが分散された発泡EPDM系ゴム材料のコア層を芯金の外周に形成した後、少なくともカーボンブラックを配合したEPDM系ゴム材料を押出成形し、次いで加熱して形成される厚さ0.20〜0.80mmのスキン層でコア層を被覆し、更にカーボンブラックを分散した弗素系樹脂をスキン層表面に塗布してコーティング加工することを特徴とする請求項4記載のバイアスロールの製造方法。
- カーボンブラックが分散された発泡ウレタンゴム材料のコア層を芯金の外周に形成し、次いで芯金の外周面に固定されたコア層を金型内に位置させて、コア層表面と金型内面との間に少なくともカーボンブラックを配合した液状ウレタンゴム材料を注入した後、このウレタンゴム材料を加熱して厚さ0.20〜1.50mmのスキン層を形成し、更にカーボンブラックを分散した弗素系樹脂をスキン層表面に塗布してコーティング加工することを特徴とする請求項4記載のバイアスロールの製造方法。
- 画像情報に応じた静電潜像が形成される像担持体と、像担持体に形成された静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像装置と、像担持体に担持されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、中間転写ベルト上の未定着トナー像を記録媒体に二次転写するバイアスロールと、バイアスロールに対向して中間転写ベルトをその裏面から支持するバックアップロールとから構成され、上記バイアスロールは、芯金と、芯金の外周面に固定された発泡ゴム材料を構成成分とするコア層と、前記コア層の表面粗さおよび硬度を調節するスキン層と、水の濡れ性で表示した場合の水滴との接触角が90°以上である表面エネルギーの小さい材料を構成成分とする膜厚5〜30μmのコーティング層とからなり、
前記発泡ロールの体積抵抗率が10 4 〜10 7 Ω・ cm の範囲にあり、前記コーティング層の体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 2 〜10 5 Ω cm の範囲にあり、前記バイアスロールの体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 4 〜10 7 Ω cm の範囲にあり、前記コーティング層の表面粗さRzが15μm以下であり、かつ前記バイアスロールの硬度がアスカーC硬度で20〜45°の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。 - スキン層の表面粗さRzが20μm以下であり、かつコーティング層の膜厚が15〜30μmの範囲にあることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
- 芯金と、芯金の外周面に固定された発泡ゴム材料を構成成分とするコア層と、前記コア層の表面粗さおよび硬度を調節するスキン層と、水の濡れ性で表示した場合の水滴との接触角が90°以上である表面エネルギーの小さい材料を構成成分とする膜厚5〜30μmのコーティング層とからなり、
前記発泡ロールの体積抵抗率が10 4 〜10 7 Ω・ cm の範囲にあり、前記コーティング層の体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 2 〜10 5 Ω cm の範囲にあり、前記バイアスロールの体積抵抗率が前記発泡ロールの体積抵抗率よりも低い値で且つ10 4 〜10 7 Ω cm の範囲にあり、
コーティング層の表面粗さRzが15μm以下であり、かつ硬度がアスカーC硬度で20〜45°の範囲にあることを特徴とする中間転写ベルト上のトナー像を用紙に2次転写する画像形成装置用バイアスロール。
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