JP3549741B2

JP3549741B2 - 霧状体供給装置

Info

Publication number: JP3549741B2
Application number: JP25440098A
Authority: JP
Inventors: 貢原
Original assignee: 日本スピードショア株式会社
Priority date: 1998-09-08
Filing date: 1998-09-08
Publication date: 2004-08-04
Anticipated expiration: 2018-09-08
Also published as: CN1502415A; KR20000022012A; CN1247117A; JP2000084790A; CN1101295C; US6123270A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作物に対し切削加工や研磨加工等を施す霧状体供給装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、工作物に対し切削加工や研磨加工を施す場合、工作物と加工工具の衝突によって生じる発熱を冷却するために、加工点近傍に向かって注水ノズルを延ばし、この注水ノズルから液かけを行っている。例えば、マシニングセンタ（複合工作機械）では、図５に示すように、本体１内のスピンドル（図面では見えない）下端部に工具ホルダ２が装着され、その先端の工具連結軸３に加工工具４が取り付けられるようになっているが、この加工工具４に向かって、本体１側から注水ノズル５が延びている。しかし、このマシニングセンタのように、立型で大型の工作機械で加工を行う場合等には、加工凹部内に水や切り屑が溜まりやすく、却って加工性能が悪くなる場合がある。また、超硬合金製の工具を断続的に工作物に衝突させて切削を行う場合等には、切刃が加工点では発熱によって高温になり加工点以外の個所では液かけによって冷却され、この急激な熱変化の繰り返しによって欠け（いわゆる「チッピング」現象）を生じたり割れを生じたりするという問題がある。
【０００３】
このため、最近、液をそのままかけるのではなく、霧状に噴射して工作物および加工工具に潤滑性を与えることも行われている。この方法によれば、液かけのように凹部内に水が溜まるという不都合や急な冷却によるチッピング現象が生じない反面、霧状化する液体として水を用いると工作物および加工工具への潤滑性が不充分になり、逆に霧状化する液体として油を用いると冷却効果が不充分になるという問題がある。例えば、特開平９−１４１５３７号には、油剤を噴霧供給するための油剤供給装置および油剤供給方法が提案されている。
【０００４】
そこで、液を霧状に噴射する方法を採用し、かつ、冷却効果と潤滑効果を同時に満足する方法として、特開平６−３２０３８４号公報に示す工作加工方法が提案されている。この方法は、工作物の被加工面に霧状体を供給する際に、単に１種類の液体を霧状に噴射するのではなく、２種類以上の液体を混合して霧状に噴射するようにしたものである。すなわち、マシニングセンタ本体１（図５参照）から延びる空気供給配管５（図５参照）の先端に、図６に示す霧状体噴射ノズル５１を連結し、この霧状体噴射ノズル５１の一側壁（図面では、右側壁）に接続した液体供給配管５２から２本の供給配管５２ａ，５２ｂを分岐させ、一方の供給配管５２ａから水を供給し、他方の供給配管５２ｂから油を供給するようにしている。また、上記霧状体噴射ノズル５１の内部では、矢印Ｐのように圧縮空気が空気供給配管５から供給されると、圧縮ばね５３で保持されているピストン５４が、他側（図面では、左側）に押されて液体供給配管５２に連通する液体通路５５が開き、左右に分かれた先端ノズル５６，５７のごく狭い吐出口から、水および油が混合状態で微細な粒子となって霧状に吐出されるようにしている。
【０００５】
このマシニングセンタによって工作物を加工する場合、上記空気供給配管５に圧縮空気を供給するとともに、液体供給配管５２に水および油を供給すると、霧状体噴射ノズル５１から水と油の混合液体が霧状に噴射され、この霧状体中に水と油が微細な粒子として混在し、工作物の被加工面およびこれに圧接される加工工具４の加工面に当たる。そして、主として油粒子が潤滑性を高め、主として水粒子が加工熱を冷却する。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の工作加工方法では、油が水と混合するときに品質劣化を起こすことがあり、充分な潤滑効果が得られない。しかも、水と油が混合しにくいため、混合液体における水・油の混合が充分でなく、上記加工面，被加工面の各部に冷却効果と潤滑効果を同時に付与することが難しい。さらに、水と油が圧縮空気の噴射に伴って噴射されるため、圧縮空気，水および油の噴射圧を別々に設定することができない。
【０００７】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、液体の品質劣化がなく、しかも、各部に冷却効果と潤滑効果を同時に付与することができ、さらに、圧縮空気，水および油の噴射圧を別々に設定することができる霧状体供給装置の提供をその目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の霧状体供給装置は、工作加工装置に、噴射ノズルを有する空気供給配管を設け、上記噴射ノズルの先端部に噴射孔を穿設するとともに、外周部に空気出口を穿設し、上記空気供給配管内に略同径の２本の液体供給配管を配設し、これら両液体供給配管の先端開口部を上記噴射ノズルの噴射孔に開口し、上記空気供給配管に圧縮空気を供給するとともに、上記両液体供給配管にそれぞれ異種類の液体を供給し、上記空気供給配管に供給した圧縮空気を噴射ノズルの空気出口から噴出させたのち噴射孔に向けて流動させ、両液体供給配管の先端開口部から噴射する液体に衝突させるようにした霧状体供給装置であって、上記空気供給配管内に両液体供給配管を並列状に配設し、上記空気供給配管の先端開口部に、空気供給配管とは別体に作製した噴射ノズルを設け、上記噴射ノズルの噴射孔の内周面と上記両液体供給配管の先端開口部の外周面との間の隙間を閉塞したという構成をとる。
【０００９】
すなわち、本発明の霧状体供給装置は、工作加工装置に、噴射ノズルを有する空気供給配管を設け、上記噴射ノズルの先端部に噴射孔を穿設するとともに、外周部に空気出口を穿設し、上記空気供給配管内に略同径の２本の液体供給配管を配設し、これら両液体供給配管の先端開口部を上記噴射ノズルの噴射孔に開口している。したがって、上記空気供給配管に圧縮空気を供給するとともに、上記両液体供給配管にそれぞれ異種類の液体を供給することにより、本発明の工作加工方法を行う（すなわち、噴射ノズルから加工部に向かって２種類の液体をそれぞれ別々に噴射したのち、これらを霧状化させながら互いに混合させ、その混合霧状体を上記加工部に供給しながら工作物を加工する）ことができる。このように、２種類の液体を噴射ノズルから噴射したのち混合させている場合には、各液体の混合時間が短く、各液体が殆ど品質劣化を起こさない。しかも、各液体を霧状体にさせてから混合させているため、各液体が充分に混合し、加工部の各部に冷却効果と潤滑効果を同時に付与することができる。しかも、各液体の噴射圧を別々に設定することができ、便利である。しかも、上記空気供給配管に供給した圧縮空気を噴射ノズルの空気出口から噴出させたのち噴射孔に向けて流動させているため、この流動により、周囲の空気を随伴して、液体に衝突させる空気量を増幅することができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【００１１】
図１は本発明の一実施の形態を用いたマシニングセンタを示している。このマシニングセンタの基本的な構成は、従来のものと同一である。すなわち、マシニングセンタ本体１内に、高速回転が与えられるスピンドル６がベアリングを介して保持されており、その下端部に設けられたテーパ状のチャック部７に、工具ホルダ２の嵌合用テーパ部２ａが着脱自在に挿入保持されている。そして、この工具ホルダ２の下部の工具連結軸３に加工工具４が取り付けられている。
【００１２】
上記マシニングセンタ本体１には、その下端部に、霧状体供給装置が取り付けられている。この霧状体供給装置は、マシニングセンタ本体１の下端面から少し垂下したのち内側に向かって下向き傾斜状に延びる空気供給配管１０と、図２に示すように、この空気供給配管１０の内部に配設される１本の冷却水供給配管１１と、同じく上記空気供給配管１０の内部に配設される１本の切削油剤供給配管１２と、一側部（図面では、右側部）が上記空気供給配管１０の先端開口部１０ａに嵌着固定されているとともに他側部（図面では、左側部）が上記先端開口部１０ａから突出している略円筒形状のノズル体（噴射ノズル）１３とで構成されており、上記冷却水供給配管１１および切削油剤供給配管１２の先端部がノズル体１３の内孔１３ａに挿通されている。また、図３に示すように、上記ノズル体１３の先端開口部１３ｂに保持板１４が気密状に固定されており、この保持板１４に穿設された２個一対の貫通孔１４ａ，１４ｂに上記冷却水供給配管１１および切削油剤供給配管１２の先端開口部１１ａ，１２ａがそれぞれ気密状に保持，固定されている。図２において、１５はシール材である。
【００１３】
そして、上記空気供給配管１０の上端開口部は、マシニングセンタ本体１内に形成された空気供給路を介して、コンプレッサー等の空気供給手段に連通している。また、上記冷却水供給配管１１および切削油剤供給配管１２は、それぞれ空気供給配管１０の上部で空気供給配管１０外に飛び出し、冷却水連結配管１６および切削油剤供給配管１７を介して、（冷却水〔水道水等〕収容タンク，ポンプ等を備えた）冷却水供給手段および（切削油剤〔米国ＩＴＷ社製ブルーベ♯ＬＢ−１〕収容タンク，ポンプ等を備えた）切削油剤供給手段（ともに図示せず）に連通している。また、上記空気供給配管１０，空気供給路もしくは空気供給手段、上記冷却水供給配管１１，冷却水連結配管１６もしくは冷却水供給手段、および上記切削油剤供給配管１２，切削油剤供給配管１７もしくは切削油剤供給手段には、それぞれ圧力調整弁（ともに図示せず）が設けられており、上記空気供給配管１０，冷却水供給配管１１および切削油剤供給配管１２にそれぞれ、所定圧力に設定された圧縮空気，冷却水および切削油剤が流れるようにしている。
【００１４】
上記ノズル体１３の外周面には、その右側部から順に、上記空気供給配管１０の先端開口部１０ａの内周面に嵌着固定される大径円周面部２１と、この大径円周面部２１に対し段落ち状に形成された（すなわち、上記空気供給配管１０の先端開口部１０ａの内径より小径に形成された）小径円周面部２２と、この小径円周面部２２から先端面に向かって円錐台形状に縮径するテーパー面部２３とが形成されており、上記小径円周面部２２の右側部が上記空気供給配管１０の先端開口部１０ａの内側に位置している。これにより、上記空気供給配管１０の先端開口部１０ａの内周面とノズル体１３の小径円周面部２２の右側部との間に円環状の隙間２０が形成されている。
【００１５】
また、上記ノズル体１３の内孔１３ａは、その先端開口部１３ｂを除いた部分が、上記冷却水供給配管１１および切削油剤供給配管１２に対し充分な隙間を有する大きさに形成されており、上記先端開口部１３ｂを除いた部分のうち、上記小径円周面部２２の右側部に対応する位置に、等間隔をあけて８個の空気流通孔（空気出口）２５（図４参照）が穿設されている。
【００１６】
上記構成において、上記空気供給配管１０に空気を供給し、冷却水供給配管１１に冷却水を供給し、切削油剤供給配管１２に切削油剤を供給すると、冷却水供給配管１１の先端開口部１１ａから冷却水が噴射され、切削油剤供給配管１２の先端開口部１２ａから切削油剤が噴射される。と同時に、上記空気供給配管１０に供給された空気がノズル体１３の内孔１３ａに流入し、ついで、各空気流通孔２５を介して隙間２０を噴出し、つぎに、ノズル体１３の小径円周面部２２，テーパー面部２３に沿って流れ（矢印Ｓ）、上記冷却水供給配管１１の先端開口部１１ａから噴射される冷却水、および切削油剤供給配管１２の先端開口部１２ａから噴射される切削油剤と衝突する。これにより、冷却水および切削油剤が微細な粒子となって霧状化しながら、互いに混合する。一方、圧縮空気がノズル体１３の小径円周面部２２，テーパー面部２３に沿って流れる際に、周囲の空気を随伴し、随伴流（矢印Ｕ）を作る。このため、上記随伴流で混合霧状体が大流量に増幅される。また、この増幅された混合霧状体の流れは、推力が強く、加工物の被加工面およびこれに圧接される加工工具４の加工面に強く当たる。
【００１７】
上記のように、この実施の形態では、冷却水と切削油剤を霧状にしてから混合させるので、両者を充分に混合させることができる。また、冷却水と切削油剤をノズル体１３内で混合させていないため、両者の混合時間が短く、切削油剤が劣化することが殆どない。しかも、混合霧状体が加工時に生じる切り屑等を充分に吹き飛ばす力をもっているため、切り屑等が加工部周辺に溜まることがなく、上記増幅された大流量の空気が当たることと相俟って冷却効果が高い。しかも、吐出された混合霧状体が加工物および加工工具４を適度に湿潤させ、潤滑性を高めるので、加工性能が良好となる。したがって、加工工具４の負担が軽くなり、また液かけのように急激な冷却を受けないので、断続的な熱衝撃がなく、工具寿命が大幅に延びるという利点を有する。また、加工条件に応じて、圧縮空気、冷却水および切削油剤の噴射圧を変えることができるという利点を有する。
【００１８】
なお、霧状体の種類によって、冷却効果および潤滑効果が大幅に異なるため、加工条件に応じて、上記冷却水供給配管１１、切削油剤供給配管１２に導入する冷却水，切削油剤の供給量を変えて両者の配合割合を調節したり、上記空気供給配管１０、冷却水供給配管１１および切削油剤供給配管１２から噴出する圧縮空気，冷却水および切削油剤の噴出圧を調節したりすることが好適である。例えば高速切削の場合には、冷却水と切削油剤のうち水の割合が多くなるよう水の供給量を多くして冷却効果を高め、中・低速切削の場合には、切削油剤の割合が多くなるよう切削油剤の供給量を多くして潤滑効果を高めることが行われる。
【００１９】
また、上記実施の形態において、冷却水供給配管１１から噴射させる霧状体の平均粒子径は、加工条件にもよるが、通常、３〜１０μｍ程度となるよう設定することが好適である。そして、霧状体の噴射量は、通常、０．５〜５ｃｃ／ｍｉｎ程度に設定することが好適である。一方、切削油剤供給配管１２から噴射させる霧状体の平均粒子径は、加工条件にもよるが、通常、３〜１０μｍ程度となるよう設定することが好適である。そして、霧状体の噴射量は、通常、０．１〜０．５ｃｃ／ｍｉｎ程度に設定することが好適である。
【００２０】
さらに、上記実施の形態では、冷却水として水道水を用いているが、これに限定するものではなく、純水，超純水を用いてもよい。また、上記実施の形態では、切削油剤としてブルーベ♯ＬＢ−１を用いているが、これに限定するものではなく、通常の各種切削油剤を用いてもよい。また、上記実施の形態では、２種類の液体として、冷却水と切削油剤を用いているが、これに限定するものではなく、エマルジョン，薬液等、各種のものを選択することができる。
【００２１】
さらに、本発明の装置は、上記実施の形態のようにマシニングセンタによる工作加工に限らず、ＮＣ旋盤，研削盤等、各種の工作機械に取り付けることができる。
【００２２】
上記実施の形態では、空気供給管１０に圧縮空気を供給する圧縮空気供給路をマシニングセンタ本体１の内部に形成しているが、これに限定するものではなく、マシニングセンタ本体１の外部に設けてもよい。また、冷却水供給管１１および切削油剤供給管１２をマシニングセンタ本体１の外部に設けているが、マシニングセンタ本体１の内部に設けてもよい。
【００２３】
【発明の効果】
以上のように、本発明の霧状体供給装置は、工作加工装置に、噴射ノズルを有する空気供給配管を設け、上記噴射ノズルの先端部に噴射孔を穿設するとともに、外周部に空気出口を穿設し、上記空気供給配管内に略同径の２本の液体供給配管を配設し、これら両液体供給配管の先端開口部を上記噴射ノズルの噴射孔に開口している。したがって、上記空気供給配管に圧縮空気を供給するとともに、上記各液体供給配管にそれぞれ異種類の液体を供給することにより、本発明の工作加工方法を行う（すなわち、噴射ノズルから加工部に向かって２種類の液体をそれぞれ別々に噴射したのち、これらを霧状化させながら互いに混合させ、その混合霧状体を上記加工部に供給しながら工作物を加工する）ことができる。このように、２種類の液体を噴射ノズルから噴射したのち混合させている場合には、各液体の混合時間が短く、各液体が殆ど品質劣化を起こさない。しかも、上記空気供給配管に供給した圧縮空気を噴射ノズルの空気出口から噴出させたのち噴射孔に向けて流動させているため、この流動により、周囲の空気を随伴して、液体に衝突させる空気量を増幅することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態を用いたマシニングセンタの説明図である。
【図２】霧状体供給装置に用いるノズル体の断面図である。
【図３】上記ノズル体の正面図である。
【図４】上記ノズル体の要部の断面図である。
【図５】従来例の工作加工における注水方法の説明図である。
【図６】他の従来例を示す霧状体噴射ノズルの断面図である。
【符号の説明】
１マシニングセンタ本体
１０空気供給配管
１１冷却水供給配管
１２切削油剤供給配管
１３ノズル体（噴射ノズル）
２５空気流通孔

Claims

工作加工装置に、噴射ノズルを有する空気供給配管を設け、上記噴射ノズルの先端部に噴射孔を穿設するとともに、外周部に空気出口を穿設し、上記空気供給配管内に略同径の２本の液体供給配管を配設し、これら両液体供給配管の先端開口部を上記噴射ノズルの噴射孔に開口し、上記空気供給配管に圧縮空気を供給するとともに、上記両液体供給配管にそれぞれ異種類の液体を供給し、上記空気供給配管に供給した圧縮空気を噴射ノズルの空気出口から噴出させたのち噴射孔に向けて流動させ、両液体供給配管の先端開口部から噴射する液体に衝突させるようにした霧状体供給装置であって、上記空気供給配管内に両液体供給配管を並列状に配設し、上記空気供給配管の先端開口部に、空気供給配管とは別体に作製した噴射ノズルを設け、上記噴射ノズルの噴射孔の内周面と上記両液体供給配管の先端開口部の外周面との間の隙間を閉塞したことを特徴とする霧状体供給装置。