JP3548369B2 - 内燃機関のピストン - Google Patents
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Description
【０００１】
本発明は、可溶性中子を支持する支持体により内部に冷却用空洞が形成された内燃機関のピストンに関する。
【０００２】
【従来の技術】
内燃機関用ピストンのうち、熱負荷が大きいディーゼルエンジン用のピストン等には、ピストンの内部に冷却用空洞を形成し、この冷却用空洞内に冷却用オイルを導入して冷却するものがる。
【０００３】
前記冷却用空洞は、この冷却用空洞を形成する可溶性中子を複数本の支持体によって支持した状態で鋳造型内の所定位置に配置し、この鋳造型内に溶湯を注入してピストン素材を鋳造した後、可溶性中子を溶解除去することによって形成される。また、前記可溶性中子の支持体は、ピストン素材に、冷却用空洞に連通する冷却用オイルの給排通路を形成する。なお、類似の構成は、例えば、特開平２−１２３２６０号公報に記載されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例にあっては、支持体が鋳造型の所定位置に略垂直に設けられている。
【０００５】
このため、前記ピストンの冠部に設ける燃焼室の容積を大きくしようとするとき、燃焼室の内壁が支持体に近付く結果、支持体近傍のピストンの肉厚が薄くなり、ピストンの強度低下を招来する虞がある。
【０００６】
本発明は上記従来の実情に鑑みて案出されたもので、支持体近傍においてピストンの肉厚が薄くなることがなく、安定した強度を持った内燃機関のピストンを提供することを目的としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、冠部に凹設された燃焼室と、該燃焼室を取り囲むように環状に設けられた冷却用空洞と、該冷却用空洞に連通する複数の冷却用オイル給排通路とが設けられた内燃機関のピストンにおいて、前記給排通路が、中心線がピストンの外周側に傾けて形成され、且つ、略截頭円錐状に形成されるようにした構成にしてある。
【０００８】
また、請求項２記載の発明は、冠部に凹設された燃焼室と、該燃焼室を取り囲むように環状に設けられた冷却用空洞と、該冷却用空洞に連通する複数の冷却用オイル給排通路とが設けられた内燃機関のピストンにおいて、前記給排通路が、中心線がピストンの外周側に傾けて形成され、且つ、先端が先細状となるように削ることによって形成されてなる構成にしてある。
【００１３】
ここに、前記支持体は先端側がピストンの外周寄りに位置するように傾斜しており、この支持体の先端で可溶性中子を支持する。具体的には、前記支持体の先端に可溶性中子の外周形状に沿う凹形状面を形成して、この凹形状面によって支持するか、または、支持体の先端に係止ピンを設け、この係止ピンを可溶性中子に形成した係止穴に挿入することによって支持するか、或いはこれら両方を採用することが可能である。
【００１４】
また、前記可溶性中子は、環状の塩中子が採用可能である。
【００１５】
本発明において、内燃機関用ピストンは次のようにして得られる。即ち、前記支持体は鋳造型の所定位置に設けられており、この支持体の先端で可溶性中子を支持することによって、この可溶性中子は鋳造型内の所定位置に配置されることになる。好ましくは、前記可溶性中子はピストンの冠部が形成される位置に配置され、この状態で、この鋳造型内に溶湯を注入してピストン素材を鋳造する。このとき、前記可溶性中子はピストン素材内に鋳包まれることになる。鋳造工程の後、鋳造型を取外して、ピストン素材を鋳造型内から取出し、可溶性中子を水等で溶解して除去することによって、ピストン素材の内部に冷却用空洞が形成される。また、前記支持体がピストン素材から取外されることによって、ピストン素材には冷却用空洞に連通する冷却用オイルの給排通路が形成される。その後、ピストン素材の所定位置に機械加工が施され、内燃機関用ピストンが得られる。
【００１６】
ここで、前記可溶性中子の支持体は、その先端側がピストンの外周寄りに位置するように傾斜している。このため、前記ピストンの冠部に容積の大きな燃焼室を形成しても、この燃焼室と支持体によって形成される冷却オイルの給排通路との間の肉厚が薄くなることがない。
【００１７】
したがって、前記支持体近傍においてピストンの肉厚が薄くなることがなく、安定した強度の内燃機関用ピストンを得ることが可能な、可溶性中子の支持体が得られる。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳述する。
【００１９】
図１は本発明の実施の形態を示す可溶性中子の支持体を、鋳造型及び可溶性中子と共に示す斜視図、図２は図１に示す支持体によって支持された可溶性中子を鋳造型内の所定位置に配置した状態を示す断面図、図３は図２に示す鋳造型内で得られるピストンの要部を断面して示す図面である。
【００２０】
図において１はピストン２を鋳造する鋳造型で、この鋳造型１は外側金型３Ａと金型中子３Ｂとから構成してある。
【００２１】
４は可溶性中子で、この可溶性中子４はピストン２の所定位置に冷却用空洞５を形成する。また、前記可溶性中子４は塩を主成分とする環状の塩中子としてある。
【００２２】
６は前記可溶性中子４を支持する支持体で、この支持体６は金型中子３Ｂの所定位置に植設されており、この実施の形態では対称位置に２個配置してある。前記支持体６は截頭円錐状に形成されており、図２に最もよく示されるように、その中心線Ｃがピストン２の外周側に傾き、可溶性中子４に接する先端がピストン２の外周側に位置するようにしてある。前記支持体６の可溶性中子４に接する先端には、可溶性中子４の外周形状に沿うように湾曲した凹形状面７が形成されており、この凹形状面７によって可溶性中子４を安定して保持可能としている。また、前記支持体６の先端には係止ピン８が設けられており、この係止ピン８を可溶性中子４に形成した係止穴９に係合することによって、可溶性中子４の位置決めを至便に行うようにしてある。
【００２３】
本発明において、内燃機関用ピストン２は次のようにして得られる。即ち、前記外側金型３Ａ内に金型中子３Ｂを配置して、全体として鋳造型１が形成される。前記支持体６は金型中子３Ｂの所定位置に設けられており、この支持体６の先端で可溶性中子４を支持することによって、この可溶性中子４が鋳造型１内の所定位置に配置されることになる。前記可溶性中子４の配置位置は、ピストン２の冠部２ａが形成される位置であり、この実施の形態では、ピストン２の冠部２ａに凹設される燃焼室１０を取囲むように配置される（図２参照）。
【００２４】
前記支持体６による可溶性中子４の支持は、この支持体６の先端に形成した凹形状面７で可溶性中子４の外周を安定的に支持すると共に、支持体６の先端に設けた係止ピン８を可溶性中子４に形成した係止穴９に挿入することによって行われる。
【００２５】
また、鋳造型１の所定位置、即ちピストン２のピストンリング溝１１の形成位置には耐摩環１２が設けられ、ピストン素材中に鋳包まれるようにしてある。
【００２６】
次に、前記可溶性中子４を配置した状態の鋳造型１内に、図外の湯道を介してアルミニウム合金等の溶湯を注入して、ピストン素材を鋳造する。このとき、前記可溶性中子４はピストン素材内に鋳包まれる。また、前記耐摩環１２も鋳包まれることになる。
【００２７】
鋳造工程の後、ピストン素材を鋳造型１内から取出す。即ち、金型中子３Ｂを支持体６と共に取外し、外側金型３Ａを取外すことによって、ピストン素材を鋳造型１内から取出す。このとき、前記支持体６は可溶性中子４の支持を中止してこの可溶性中子４から離れ、ピストン素材から取外されることによってこのピストン素材に冷却用オイルの給排通路１３が形成されることになる。
【００２８】
次に、前記給排通路１３から水等を注入して、可溶性中子４を溶解して除去する。これによって、ピストン素材の内部に冷却用空洞５が形成されることになり、この冷却用空洞５は給排通路１３に連通していることになる。
【００２９】
その後、ピストン素材の所定位置に機械加工が施される。即ち、冠面２ｂ、胴部２ｃが機械加工され、ピストンリング溝１１、１４、１５、が形成される。また、図外のピストンピン孔等が機械加工される。これによって、内燃機関用ピストン２が得られる（図３参照）。
【００３０】
前記内燃機関用ピストン２は、図外の内燃機関に組込まれて利用されるとき、給排通路１３から導かれる冷却用オイルが冷却用空洞５内を循環することによって冷却される。
【００３１】
ここで、前記可溶性中子４の支持体６は、その先端側がピストン２の外周寄りに位置するように傾斜している。このため、前記ピストン２の冠部２ａに容積の大きな燃焼室１０を形成しても、この燃焼室１０と支持体６によって形成される冷却オイルの給排通路１３との間の肉厚が薄くなることがない。
【００３２】
したがって、前記支持体６近傍においてピストン２の肉厚が薄くなることがなく、安定した強度の内燃機関用ピストン２を得ることが可能な、可溶性中子４の支持体６が得られる。
【００３３】
図４は本発明の別の実施の形態を示す図面で、これが前記実施の形態と変わるところは、前記実施の形態において截頭円錐状に形成した支持体６の胴部の一部を、先端側が先細となるように削ぎ落とした形状にしたものである。なお、その他の構成は前記実施の形態と同様であるから、同一構成部分には同一符号を付し、その重複する説明を省略する。
【００３４】
この場合には、前記支持体６は削ぎ落とされた馬蹄形の面６ａがピストン２の中心線側に向くように配置される。これによって、支持体６の中心線Ｃはピストン２の外周側に傾くことになる。
【００３５】
斯く構成しても、前記実施の形態で述べたと同様の作用、効果が得られる。
【００３６】
以上、実施の形態を図面に基づいて説明したが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、前記支持体６を２個設けた形態について述べたが、３個以上設けることは任意である。
【００３７】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、前記支持体近傍においてピストンの肉厚が薄くなることがなく、安定した強度を持った内燃機関のピストンを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態を示す可溶性中子の支持体を、鋳造型及び可溶性中子と共に示す斜視図である。
【図２】図１に示す支持体によって支持された可溶性中子を鋳造型内の所定位置に配置した状態を示す断面図である。
【図３】図２に示す鋳造型内で得られるピストンの要部を断面して示す図面である。
【図４】本発明の別の実施の形態を示す可溶性中子の支持体の斜視図である。
【符号の説明】
１ 鋳造型
２ ピストン
３Ａ 外側金型
３Ｂ 金型中子
４ 可溶性中子
５ 冷却用空洞
６ 支持体
７ 凹形状面
８ 係止ピン
９ 係止穴
１０ 燃焼室
１３ 給排通路
Ｃ 中心線
本発明は、可溶性中子を支持する支持体により内部に冷却用空洞が形成された内燃機関のピストンに関する。
【０００２】
【従来の技術】
内燃機関用ピストンのうち、熱負荷が大きいディーゼルエンジン用のピストン等には、ピストンの内部に冷却用空洞を形成し、この冷却用空洞内に冷却用オイルを導入して冷却するものがる。
【０００３】
前記冷却用空洞は、この冷却用空洞を形成する可溶性中子を複数本の支持体によって支持した状態で鋳造型内の所定位置に配置し、この鋳造型内に溶湯を注入してピストン素材を鋳造した後、可溶性中子を溶解除去することによって形成される。また、前記可溶性中子の支持体は、ピストン素材に、冷却用空洞に連通する冷却用オイルの給排通路を形成する。なお、類似の構成は、例えば、特開平２−１２３２６０号公報に記載されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例にあっては、支持体が鋳造型の所定位置に略垂直に設けられている。
【０００５】
このため、前記ピストンの冠部に設ける燃焼室の容積を大きくしようとするとき、燃焼室の内壁が支持体に近付く結果、支持体近傍のピストンの肉厚が薄くなり、ピストンの強度低下を招来する虞がある。
【０００６】
本発明は上記従来の実情に鑑みて案出されたもので、支持体近傍においてピストンの肉厚が薄くなることがなく、安定した強度を持った内燃機関のピストンを提供することを目的としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、冠部に凹設された燃焼室と、該燃焼室を取り囲むように環状に設けられた冷却用空洞と、該冷却用空洞に連通する複数の冷却用オイル給排通路とが設けられた内燃機関のピストンにおいて、前記給排通路が、中心線がピストンの外周側に傾けて形成され、且つ、略截頭円錐状に形成されるようにした構成にしてある。
【０００８】
また、請求項２記載の発明は、冠部に凹設された燃焼室と、該燃焼室を取り囲むように環状に設けられた冷却用空洞と、該冷却用空洞に連通する複数の冷却用オイル給排通路とが設けられた内燃機関のピストンにおいて、前記給排通路が、中心線がピストンの外周側に傾けて形成され、且つ、先端が先細状となるように削ることによって形成されてなる構成にしてある。
【００１３】
ここに、前記支持体は先端側がピストンの外周寄りに位置するように傾斜しており、この支持体の先端で可溶性中子を支持する。具体的には、前記支持体の先端に可溶性中子の外周形状に沿う凹形状面を形成して、この凹形状面によって支持するか、または、支持体の先端に係止ピンを設け、この係止ピンを可溶性中子に形成した係止穴に挿入することによって支持するか、或いはこれら両方を採用することが可能である。
【００１４】
また、前記可溶性中子は、環状の塩中子が採用可能である。
【００１５】
本発明において、内燃機関用ピストンは次のようにして得られる。即ち、前記支持体は鋳造型の所定位置に設けられており、この支持体の先端で可溶性中子を支持することによって、この可溶性中子は鋳造型内の所定位置に配置されることになる。好ましくは、前記可溶性中子はピストンの冠部が形成される位置に配置され、この状態で、この鋳造型内に溶湯を注入してピストン素材を鋳造する。このとき、前記可溶性中子はピストン素材内に鋳包まれることになる。鋳造工程の後、鋳造型を取外して、ピストン素材を鋳造型内から取出し、可溶性中子を水等で溶解して除去することによって、ピストン素材の内部に冷却用空洞が形成される。また、前記支持体がピストン素材から取外されることによって、ピストン素材には冷却用空洞に連通する冷却用オイルの給排通路が形成される。その後、ピストン素材の所定位置に機械加工が施され、内燃機関用ピストンが得られる。
【００１６】
ここで、前記可溶性中子の支持体は、その先端側がピストンの外周寄りに位置するように傾斜している。このため、前記ピストンの冠部に容積の大きな燃焼室を形成しても、この燃焼室と支持体によって形成される冷却オイルの給排通路との間の肉厚が薄くなることがない。
【００１７】
したがって、前記支持体近傍においてピストンの肉厚が薄くなることがなく、安定した強度の内燃機関用ピストンを得ることが可能な、可溶性中子の支持体が得られる。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳述する。
【００１９】
図１は本発明の実施の形態を示す可溶性中子の支持体を、鋳造型及び可溶性中子と共に示す斜視図、図２は図１に示す支持体によって支持された可溶性中子を鋳造型内の所定位置に配置した状態を示す断面図、図３は図２に示す鋳造型内で得られるピストンの要部を断面して示す図面である。
【００２０】
図において１はピストン２を鋳造する鋳造型で、この鋳造型１は外側金型３Ａと金型中子３Ｂとから構成してある。
【００２１】
４は可溶性中子で、この可溶性中子４はピストン２の所定位置に冷却用空洞５を形成する。また、前記可溶性中子４は塩を主成分とする環状の塩中子としてある。
【００２２】
６は前記可溶性中子４を支持する支持体で、この支持体６は金型中子３Ｂの所定位置に植設されており、この実施の形態では対称位置に２個配置してある。前記支持体６は截頭円錐状に形成されており、図２に最もよく示されるように、その中心線Ｃがピストン２の外周側に傾き、可溶性中子４に接する先端がピストン２の外周側に位置するようにしてある。前記支持体６の可溶性中子４に接する先端には、可溶性中子４の外周形状に沿うように湾曲した凹形状面７が形成されており、この凹形状面７によって可溶性中子４を安定して保持可能としている。また、前記支持体６の先端には係止ピン８が設けられており、この係止ピン８を可溶性中子４に形成した係止穴９に係合することによって、可溶性中子４の位置決めを至便に行うようにしてある。
【００２３】
本発明において、内燃機関用ピストン２は次のようにして得られる。即ち、前記外側金型３Ａ内に金型中子３Ｂを配置して、全体として鋳造型１が形成される。前記支持体６は金型中子３Ｂの所定位置に設けられており、この支持体６の先端で可溶性中子４を支持することによって、この可溶性中子４が鋳造型１内の所定位置に配置されることになる。前記可溶性中子４の配置位置は、ピストン２の冠部２ａが形成される位置であり、この実施の形態では、ピストン２の冠部２ａに凹設される燃焼室１０を取囲むように配置される（図２参照）。
【００２４】
前記支持体６による可溶性中子４の支持は、この支持体６の先端に形成した凹形状面７で可溶性中子４の外周を安定的に支持すると共に、支持体６の先端に設けた係止ピン８を可溶性中子４に形成した係止穴９に挿入することによって行われる。
【００２５】
また、鋳造型１の所定位置、即ちピストン２のピストンリング溝１１の形成位置には耐摩環１２が設けられ、ピストン素材中に鋳包まれるようにしてある。
【００２６】
次に、前記可溶性中子４を配置した状態の鋳造型１内に、図外の湯道を介してアルミニウム合金等の溶湯を注入して、ピストン素材を鋳造する。このとき、前記可溶性中子４はピストン素材内に鋳包まれる。また、前記耐摩環１２も鋳包まれることになる。
【００２７】
鋳造工程の後、ピストン素材を鋳造型１内から取出す。即ち、金型中子３Ｂを支持体６と共に取外し、外側金型３Ａを取外すことによって、ピストン素材を鋳造型１内から取出す。このとき、前記支持体６は可溶性中子４の支持を中止してこの可溶性中子４から離れ、ピストン素材から取外されることによってこのピストン素材に冷却用オイルの給排通路１３が形成されることになる。
【００２８】
次に、前記給排通路１３から水等を注入して、可溶性中子４を溶解して除去する。これによって、ピストン素材の内部に冷却用空洞５が形成されることになり、この冷却用空洞５は給排通路１３に連通していることになる。
【００２９】
その後、ピストン素材の所定位置に機械加工が施される。即ち、冠面２ｂ、胴部２ｃが機械加工され、ピストンリング溝１１、１４、１５、が形成される。また、図外のピストンピン孔等が機械加工される。これによって、内燃機関用ピストン２が得られる（図３参照）。
【００３０】
前記内燃機関用ピストン２は、図外の内燃機関に組込まれて利用されるとき、給排通路１３から導かれる冷却用オイルが冷却用空洞５内を循環することによって冷却される。
【００３１】
ここで、前記可溶性中子４の支持体６は、その先端側がピストン２の外周寄りに位置するように傾斜している。このため、前記ピストン２の冠部２ａに容積の大きな燃焼室１０を形成しても、この燃焼室１０と支持体６によって形成される冷却オイルの給排通路１３との間の肉厚が薄くなることがない。
【００３２】
したがって、前記支持体６近傍においてピストン２の肉厚が薄くなることがなく、安定した強度の内燃機関用ピストン２を得ることが可能な、可溶性中子４の支持体６が得られる。
【００３３】
図４は本発明の別の実施の形態を示す図面で、これが前記実施の形態と変わるところは、前記実施の形態において截頭円錐状に形成した支持体６の胴部の一部を、先端側が先細となるように削ぎ落とした形状にしたものである。なお、その他の構成は前記実施の形態と同様であるから、同一構成部分には同一符号を付し、その重複する説明を省略する。
【００３４】
この場合には、前記支持体６は削ぎ落とされた馬蹄形の面６ａがピストン２の中心線側に向くように配置される。これによって、支持体６の中心線Ｃはピストン２の外周側に傾くことになる。
【００３５】
斯く構成しても、前記実施の形態で述べたと同様の作用、効果が得られる。
【００３６】
以上、実施の形態を図面に基づいて説明したが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、前記支持体６を２個設けた形態について述べたが、３個以上設けることは任意である。
【００３７】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、前記支持体近傍においてピストンの肉厚が薄くなることがなく、安定した強度を持った内燃機関のピストンを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態を示す可溶性中子の支持体を、鋳造型及び可溶性中子と共に示す斜視図である。
【図２】図１に示す支持体によって支持された可溶性中子を鋳造型内の所定位置に配置した状態を示す断面図である。
【図３】図２に示す鋳造型内で得られるピストンの要部を断面して示す図面である。
【図４】本発明の別の実施の形態を示す可溶性中子の支持体の斜視図である。
【符号の説明】
１ 鋳造型
２ ピストン
３Ａ 外側金型
３Ｂ 金型中子
４ 可溶性中子
５ 冷却用空洞
６ 支持体
７ 凹形状面
８ 係止ピン
９ 係止穴
１０ 燃焼室
１３ 給排通路
Ｃ 中心線
Claims (2)
- 冠部に凹設された燃焼室と、
該燃焼室を取り囲むように環状に設けられた冷却用空洞と、
該冷却用空洞に連通する複数の冷却用オイル給排通路と、
が設けられた内燃機関のピストンにおいて、
前記給排通路は、中心線がピストンの外周側に傾けて形成され、且つ、略截頭円錐状に形成されていることを特徴とする内燃機関のピストン。 - 冠部に凹設された燃焼室と、
該燃焼室を取り囲むように環状に設けられた冷却用空洞と、
該冷却用空洞に連通する複数の冷却用オイル給排通路と、
が設けられた内燃機関のピストンにおいて、
前記給排通路は、中心線がピストンの外周側に傾けて形成され、且つ、先端が先細状となるように削ることによって形成されていることを特徴とする内燃機関のピストン。
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|---|---|---|---|
| JP04697597A JP3548369B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | 内燃機関のピストン |
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Applications Claiming Priority (1)
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| JP04697597A JP3548369B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | 内燃機関のピストン |
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| JP04697597A Expired - Lifetime JP3548369B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | 内燃機関のピストン |
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