JP3545160B2 - 磁気ヘッド用磁性薄膜の製造方法とその磁性薄膜および磁気ヘッド - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気ヘッドに用いるための磁性薄膜に関し、特に、アルミニウムとシリコンを含む鉄合金磁性薄膜の製造方法とその磁性薄膜自体ならびにその磁性薄膜を用いた磁気ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、高い保磁力を有する磁気記録媒体に対して用いるための磁気ヘッドには、記録時に高い飽和磁束密度を有することが要求される。他方、再生時には十分な再生感度を得るために、磁気ヘッドは高い周波数において高い透磁率を有することが求められる。したがって、従来では、スパッタリングなどによって形成されたセンダスト層などを含む磁性薄膜が、磁気ヘッド用磁性薄膜として用いられてきた。このセンダストとは、典型的には約5wt%のアルミニウムと約9wt%のシリコンを含む鉄合金を言うが、この典型的な組成を含むある組成範囲内の磁性鉄合金もセンダストと呼ばれる。
【0003】
ところで、スパッタリングなどによって形成されたセンダスト膜のように1T程度の飽和磁束密度を有する磁性薄膜では、デジタルビデオに用いられるような120kA/m以上の保磁力を有する記録媒体に対しては記録能力の不足が生じる。
【0004】
そこで、窒素やメタンガスを含む雰囲気中でスパッタリングなどによって成膜されたFeTaNやFeAlSiC等の微細構造を含む磁性薄膜が研究開発されている。これらの磁性薄膜においては、基本的には、鉄膜中に窒化物や炭化物を析出させることによって鉄の結晶粒径を小さくし、鉄自身が有している磁気異方性を低減することによって軟磁気特性を向上させるメカニズムを採用している。
【0005】
また、特公平5−39087は、FeAlSi膜に窒素を僅かに含有させることによって高い飽和磁束密度,高硬度および高透磁率が得られることを報告している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような微細構造を有する磁性薄膜は、その磁気特性が成膜プロセスに依存するところがある。たとえば、磁気特性向上のメカニズムから考えれば、成膜直後の膜の組織をできるだけ均一にしておき、その後の熱処理によって微細構造を安定化させることが望ましい。成膜直後の膜の組織を均一にしておくためには、その膜をアモルファス状態にすることが最善と考えられる。しかし、成膜直後にアモルファス状態の磁性薄膜を得るためには、スパッタリングを成膜法として採用する以外にないと言っても過言ではなく、すなわち、成膜方法が膜成長速度の遅いスパッタリング法に限定されてしまうことになる。
【0007】
また、窒素を僅かに磁性薄膜中に含有させる場合においても、反応スパッタリング法が用いられており、成膜速度が遅いことに代わりはない。
【0008】
そこで、本発明は、大きな飽和磁束密度と高い透磁率を兼ね備えた磁性薄膜を効率的に提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、磁気ヘッド用磁性薄膜は、基板を用意し、2〜5wt%のアルミニウムと25〜30wt%のシリコンを含む鉄合金タブレットを窒素雰囲気中で蒸発させることにより、2〜6wt%のアルミニウムと4〜8wt%のシリコンを含む鉄合金層を基板上に堆積することによって作製される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者たちは、センダストのセカンドピークを含む特定の組成領域内の組成を有する磁性薄膜を窒素雰囲気中の蒸着によって形成した場合に、透磁率の改善された磁性薄膜が得られることを見出した。
【0013】
アルミニウムとシリコンを含む鉄合金であるバルクのセンダストにおいては、約5.5wt%のアルミニウムと約9.5wt%のシリコンを含む組成において最も高い透磁率ピークが得られ、これはセンダストのファーストピークと呼ばれる。バルクのセンダストにおいては、また、約5.5wt%のアルミニウムと約6.5wt%のシリコンを含む組成において第2の高い透磁率ピークが得られ、これはセンダストのセカンドピークと呼ばれる。
【0014】
このセカンドピークに対応する組成を有するバルクのセンダストは、ファーストピークに対応する組成を有するバルクのセンダストに比べて、低い透磁率を有しているが大きな飽和磁束密度を有している。したがって、センダストのセカンドピークに対応する組成を含む特定の組成領域内の組成を有する鉄合金薄膜の透磁率を改善することができれば、大きな飽和磁束密度と高い透磁率を兼ね備えた磁性薄膜を得ることができると期待し得る。このように大きな飽和磁束密度と高い透磁率を兼ね備えた磁性薄膜は、高い保磁力を有する記録媒体に対して好ましく用いられ得る磁気ヘッド用磁性薄膜として用いることができる。
【0015】
図1においては、本発明の実施の形態による磁性薄膜が概略的な断面図で図解されている。図1(A)の磁性薄膜は、セラミックス基板1上に窒素プラズマ雰囲気中で蒸着によって形成された鉄合金薄膜2と、その上に形成されたSiO2 の保護膜3を含んでいる。この鉄合金膜2は、2〜6wt%のアルミニウムと4〜8wt%のシリコンを含み得る。基板1としては、セラミックスに限られず、膨張係数がセンダストと同じくらいであれば、他の材料をも用いることができる。たとえば、フェライト等との複合磁気材料を形成する場合には、基板としては当然にフェライトが用いられる。しかし、現実には、センダストよりも熱膨張係数が大きな基板を安定して使用することは容易ではなく、センダストより少し熱膨張係数の小さなセラミックス基板を用いることが好ましい。
【0016】
図1(B)の磁性薄膜は、基板1上に、鉄合金膜2とSiO2 膜3との対が2対積層された構造を有している。このような鉄合金膜2とSiO2 膜3との対を任意の数の対だけ基板1上に積層してもよいことは言うまでもない。
【0017】
図2は、図1に示されるような磁気ヘッド用磁性薄膜を製造するための成膜装置を概略的な断面図で示している。図2において、蒸着装置9内に、セラミックス基板1がセットされ、鉄合金膜2が窒素プラズマ雰囲気中の蒸着によって基板1上に成長させられる。このとき、ヒータ7によって基板1を300℃の温度に加熱し、蒸着装置9内に所定の圧力のN2 ガスが導入される。その後、蒸着装置9内に配置された銅製のコイル5にDC電源8から電圧が印加された状態で、別に設けられたフィラメント10を熱して熱電子10Aを供給することによって、窒素プラズマ5Aがコイル5の近傍に発生させられる。窒素プラズマ5Aが発生している状態において、コイル5にかかっているDC電圧は約50Vで、電流は約300mAである。この状態で、るつぼ12中に入れられた鉄合金タブレット6に、フィラメント10からエミットされた熱電子10Aを照射することによって、基板1の表面に鉄合金膜が形成される。鉄合金タブレット6は、たとえば、4wt%のアルミニウムと27.5wt%のシリコンを含んでいる。鉄合金膜の成長速度は200〜500nm/minの範囲内に設定され、成長した鉄合金膜2の厚さは2〜4μmの範囲内に設定される。ここで、成膜速度は、生産性の観点からだけでなく、鉄合金層の窒化を目的としていないことからも、比較的速くすることが好ましい。なお、図2中のシャッタ11は、蒸発させられた蒸気流の通過を制御するために用いられる。
【0018】
ところで、得られる鉄合金膜2の組成と鉄合金タブレット6の組成とは一致せず、鉄合金膜2の組成は鉄合金タブレット6の組成のみならず鉄合金膜2の堆積条件に依存して変化する。たとえば、2〜6wt%のアルミニウムと4〜8wt%のシリコンを含む鉄合金膜2を得るためには、2〜5wt%のアルミニウムおよび25〜30wt%のシリコンを含む組成範囲の鉄合金タブレット6を用いることができる。
【0019】
アルミニウムとシリコンを含む鉄合金膜2が形成された後に、その鉄合金膜2上に保護膜3が形成される。図1においてはSiO2 の保護膜3が形成されているが、その他の絶縁体膜も保護膜として用いることができる。
【0020】
具体的な例として、鉄合金膜2とSiO2 膜の対を基板1上に4対積層した後に700℃で真空熱処理して磁気ヘッド用磁性薄膜が形成された。このようにして得られた磁気ヘッド用磁性薄膜における鉄合金膜2は、2〜6wt%のアルミニウム,4〜8wt%のシリコンを含む組成を有し得ることが、組成分析の結果として判明した。
【0021】
図3は、このような磁性薄膜における飽和磁束密度と保磁力との関係を示している。すなわち、図3のグラフの横軸は飽和磁束密度(T)を表わし、縦軸は保磁力(Oe)を表わしている。このグラフにおいて注目すべきことは、飽和磁束密度が約1.5T弱近傍の値を有するときに保磁力が最小になることである。このことから、鉄合金膜2は、1.4〜1.6Tの範囲内の飽和磁束密度を有するのが好ましいことがわかる。また、そのような磁性薄膜において、実際に磁気ヘッドにおいて安定して用いられ得るものは、絶対値で2×10−6以下の飽和磁歪を有するものであった。
【0022】
上述のように、本発明においては鉄合金膜2が窒素プラズマ雰囲気中において蒸着によって形成されるが、発明者たちがこの鉄合金膜2をX線などによる構造解析や蛍光X線分析で調べた結果、鉄合金膜2内に窒化物が形成されているという証拠は見出し得なかった。
【0023】
図4は、鉄合金膜2の蒸着中における窒素プラズマ雰囲気のためのN2 流量と得られた鉄合金膜2の透磁率との関係を示している。すなわち、図4のグラフの横軸はN2 流量(sccm)を表わし、縦軸は透磁率を対数メモリで表わしている。このグラフから明らかなように、窒素流量が約10sccm近傍にあるときに透磁率の最大値を示すことが注目されるべきである。窒素流量が10sccmのときの蒸着チャンバ内の圧力は約3×10−2Paであり、蒸着中の窒素雰囲気の圧力は1.3×10−2〜6.5×10−2Paの範囲内にあるのが好ましいことがわかる。
【0024】
以上の例では基板温度が300℃の条件の下で鉄合金膜2が形成されたが、以下の例においては鉄合金膜2の磁気特性に対する基板温度の影響が検討される。
【0025】
窒素プラズマ雰囲気中の成膜においては、基板温度が300℃の場合に基板表面に平行な鉄合金膜2の膜面は(111)面配向する傾向が強く、基板温度を上昇させれば(110)面配向する傾向が強まる。しかし、いずれの場合においても、鉄合金膜2の磁気特性は、窒素プラズマ雰囲気が存在しない高真空中で形成された同一組成の鉄合金膜に比べて向上した。この理由を検討するために、窒素プラズマ雰囲気中で成膜された鉄合金膜と高真空中で成膜された同一組成の鉄合金膜の断面を薄い酸でエッチングした後に観察した。
【0026】
図5(A)と(B)は、それぞれ高真空中で成膜されたセンダスト膜と窒素プラズマ雰囲気中で成膜されたセンダスト膜の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察結果を模式的に図解している。通常、センダスト膜を堆積すれば、図5中の縦線32で示したように柱状構造(コラムナー状態)に成長しているのが観察される。SEM観察では、2次電子像を見ていることになるので、図中に符号31で示したように、2次電子を放出しにくい凹みの領域31が観察される。このような凹み領域31は、密度が低い領域がエッチングによって凹部になったものと考えられる。
【0027】
図5(A)は高真空中で堆積されたセンダスト膜の断面を示しており、図5(B)は窒素プラズマ雰囲気中で堆積されたセンダスト膜の断面を表わしている。これらの断面において凹み領域31を比較すれば、明らかに、高真空中で堆積されたセンダスト膜(A)に比べて窒素プラズマ雰囲気中で堆積されたセンダスト膜(B)における方が凹み領域31の少ないことがわかる。このような凹み領域31に対応する低密度領域の少ないことが、高真空中で堆積されたセンダスト膜より窒素プラズマ雰囲気中で堆積されたセンダスト膜の磁気特性が優れている理由であると考えられる。なお、このような効果を得るためには必ずしも窒素雰囲気がプラズマ化される必要はなく、通常の窒素ガス雰囲気の下での蒸着によっても同様な効果が得られる。
【0028】
図6は、本発明によって得られる磁性薄膜の磁気特性を従来の磁性薄膜と比較して示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は周波数(MHz)を対数目盛りで表わしており、縦軸は実効透磁率を対数目盛りで表わしている。曲線AとBは本発明に従って窒素プラズマ雰囲気中でそれぞれ350℃と300℃の基板温度の下で蒸着によって形成された磁性薄膜の透磁率を表わし、曲線Cは高真空中で蒸着によって形成された先行技術によるセンダスト膜の透磁率を表わしている。なお、曲線A,BおよびCによって表わされたセンダスト膜は、いずれも同じ組成と2.5μmの厚さを有している。図6のグラフから、本発明に従って窒素プラズマ雰囲気中で蒸着によって形成されたセンダスト膜は、先行技術によるセンダスト膜に比べて、磁気ヘッド用の磁性薄膜としてさらに好ましく用いられ得ることが理解されよう。
【0029】
なお、以上の実施の形態においては、DCプラズマが用いられる例が説明されたが、RF(高周波)プラズマを用いても同様な効果が得られる。
【0030】
次に、本発明による磁性薄膜を用いて形成される磁気ヘッドの例を説明する。上述のような磁性薄膜を磁気ヘッドに用いる場合、1対の磁性体または非磁性体の基板上に形成された磁性薄膜の積層方向を横断する面を互いに非磁性体薄膜を介して突き合わせて、磁気ギャップを形成させる。ギャップ面に面する近傍のみにアモルファスやセンダストなどの金属材料を用いて、これ以外の部分には耐摩耗性に優れたフェライトを用いたMIG(Metal In Gap)と呼ばれる複合ヘッドも実用化されている。なお、磁性薄膜のみで磁気回路を構成することもできる。
【0031】
図7は、磁性薄膜が磁気回路を構成する磁気ヘッドの斜視図である。図7において、1対の基板20および21の側面に本発明による磁性薄膜MFを形成し、これらの基板20と21が突き合わされている。テープ走行面TS上でギャップGを形成するために、その突き合わせ面には極めて薄い非磁性体が介在させられている。ギャップ面におけるトラック幅の両側には、通常はガラス23が埋められている。テープ(図示せず)がテープ走行面TS上を右から左(または逆方向)に移動するとき、コイル22を介して信号が出力される。なお、図7においてはアジマス記録のためにギャップGの角度がトラックに対して直角の関係からずらされている。ここで、基板20と21としてフェライトを用いれば、図7のヘッドはMIGヘッドになる。
【0032】
図7に示されているようなヘッドの場合には、磁性薄膜MFの厚さによってほぼトラック幅が決定されるので、図1に示されているような鉄合金膜2とSiO2 保護膜3との対を1対だけ含むかまたは複数対含む構造を用いるかは、トラック幅を考慮して選択することができる。
【0033】
図8は、本発明による磁性薄膜を含む磁気ヘッドの磁気効率を従来のセンダスト磁気ヘッドと比較して示すグラフである。このグラフの横軸は周波数(MHz)を対数目盛りで表わしており、縦軸は記録効率比(dB)を表わしている。すなわち、本発明による磁性薄膜を含む磁気ヘッドの記録効率は、従来のセンダスト磁気ヘッドを0dBにした場合の比率として表わされている。図8から、本発明による磁性薄膜を含む磁気ヘッドは、従来のセンダスト磁気ヘッドに比べて1dB以上記録効率が向上していることがわかる。なお、図8の測定においては、ドラム式のヘッド特性測定装置を用いて、磁気テープとして保磁力120kA/m程度の蒸着磁気テープが用いられた。
【0034】
なお、本発明の磁性薄膜を含む磁気ヘッドはVTR用に限られるものではなく、高い保磁力を有する記録媒体を用いるあらゆる磁気記録装置において用いることができる。すなわち、本発明による磁性薄膜が用いられる磁気ヘッドの形態は、図7に示されたものに限られるものではない。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、大きな飽和磁束密度と高い透磁率とを兼ね備えた磁気ヘッド用磁性薄膜を窒素雰囲気中の蒸着によって効率的に製造して提供することができ、その磁性薄膜を用いることによって高い保磁力を有する磁気記録媒体に対して好ましく用いられ得る磁気ヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁性薄膜を示す概略的な断面図である。
【図2】本発明による磁性薄膜の製造方法を説明するための蒸着装置の概略的な断面図である。
【図3】本発明による磁性薄膜における飽和磁束密度と保磁力との関係を示すグラフである。
【図4】本発明による蒸着中の窒素プラズマ雰囲気の圧力と得られた磁性薄膜の透磁率との関係を示すグラフである。
【図5】先行技術による磁性薄膜との比較において本発明による磁性薄膜の断面のSEM観察の状態を示す概念図である。
【図6】本発明による磁性薄膜と先行技術による磁性薄膜における透磁率の周波数依存性を示すグラフである。
【図7】本発明による磁気ヘッドの一例を示す斜視図である。
【図8】本発明による磁性薄膜を含む磁気ヘッドと従来のセンダスト磁気ヘッドとの間における記録効率の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2 アルミニウムとシリコンを含む鉄合金膜
3 SiO2 保護膜
5 銅製コイル
5A 窒素プラズマ
6 鉄合金タブレット
7 ヒータ
8 DC電源
9 蒸着装置
10 フィラメント
10A 熱電子
11 シャッタ
20,21 磁気ヘッド基板
22 コイル
23 ガラス
MF 磁性薄膜
G 磁気ギャップ
TS テープ走行面
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気ヘッドに用いるための磁性薄膜に関し、特に、アルミニウムとシリコンを含む鉄合金磁性薄膜の製造方法とその磁性薄膜自体ならびにその磁性薄膜を用いた磁気ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、高い保磁力を有する磁気記録媒体に対して用いるための磁気ヘッドには、記録時に高い飽和磁束密度を有することが要求される。他方、再生時には十分な再生感度を得るために、磁気ヘッドは高い周波数において高い透磁率を有することが求められる。したがって、従来では、スパッタリングなどによって形成されたセンダスト層などを含む磁性薄膜が、磁気ヘッド用磁性薄膜として用いられてきた。このセンダストとは、典型的には約5wt%のアルミニウムと約9wt%のシリコンを含む鉄合金を言うが、この典型的な組成を含むある組成範囲内の磁性鉄合金もセンダストと呼ばれる。
【0003】
ところで、スパッタリングなどによって形成されたセンダスト膜のように1T程度の飽和磁束密度を有する磁性薄膜では、デジタルビデオに用いられるような120kA/m以上の保磁力を有する記録媒体に対しては記録能力の不足が生じる。
【0004】
そこで、窒素やメタンガスを含む雰囲気中でスパッタリングなどによって成膜されたFeTaNやFeAlSiC等の微細構造を含む磁性薄膜が研究開発されている。これらの磁性薄膜においては、基本的には、鉄膜中に窒化物や炭化物を析出させることによって鉄の結晶粒径を小さくし、鉄自身が有している磁気異方性を低減することによって軟磁気特性を向上させるメカニズムを採用している。
【0005】
また、特公平5−39087は、FeAlSi膜に窒素を僅かに含有させることによって高い飽和磁束密度,高硬度および高透磁率が得られることを報告している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような微細構造を有する磁性薄膜は、その磁気特性が成膜プロセスに依存するところがある。たとえば、磁気特性向上のメカニズムから考えれば、成膜直後の膜の組織をできるだけ均一にしておき、その後の熱処理によって微細構造を安定化させることが望ましい。成膜直後の膜の組織を均一にしておくためには、その膜をアモルファス状態にすることが最善と考えられる。しかし、成膜直後にアモルファス状態の磁性薄膜を得るためには、スパッタリングを成膜法として採用する以外にないと言っても過言ではなく、すなわち、成膜方法が膜成長速度の遅いスパッタリング法に限定されてしまうことになる。
【0007】
また、窒素を僅かに磁性薄膜中に含有させる場合においても、反応スパッタリング法が用いられており、成膜速度が遅いことに代わりはない。
【0008】
そこで、本発明は、大きな飽和磁束密度と高い透磁率を兼ね備えた磁性薄膜を効率的に提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、磁気ヘッド用磁性薄膜は、基板を用意し、2〜5wt%のアルミニウムと25〜30wt%のシリコンを含む鉄合金タブレットを窒素雰囲気中で蒸発させることにより、2〜6wt%のアルミニウムと4〜8wt%のシリコンを含む鉄合金層を基板上に堆積することによって作製される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者たちは、センダストのセカンドピークを含む特定の組成領域内の組成を有する磁性薄膜を窒素雰囲気中の蒸着によって形成した場合に、透磁率の改善された磁性薄膜が得られることを見出した。
【0013】
アルミニウムとシリコンを含む鉄合金であるバルクのセンダストにおいては、約5.5wt%のアルミニウムと約9.5wt%のシリコンを含む組成において最も高い透磁率ピークが得られ、これはセンダストのファーストピークと呼ばれる。バルクのセンダストにおいては、また、約5.5wt%のアルミニウムと約6.5wt%のシリコンを含む組成において第2の高い透磁率ピークが得られ、これはセンダストのセカンドピークと呼ばれる。
【0014】
このセカンドピークに対応する組成を有するバルクのセンダストは、ファーストピークに対応する組成を有するバルクのセンダストに比べて、低い透磁率を有しているが大きな飽和磁束密度を有している。したがって、センダストのセカンドピークに対応する組成を含む特定の組成領域内の組成を有する鉄合金薄膜の透磁率を改善することができれば、大きな飽和磁束密度と高い透磁率を兼ね備えた磁性薄膜を得ることができると期待し得る。このように大きな飽和磁束密度と高い透磁率を兼ね備えた磁性薄膜は、高い保磁力を有する記録媒体に対して好ましく用いられ得る磁気ヘッド用磁性薄膜として用いることができる。
【0015】
図1においては、本発明の実施の形態による磁性薄膜が概略的な断面図で図解されている。図1(A)の磁性薄膜は、セラミックス基板1上に窒素プラズマ雰囲気中で蒸着によって形成された鉄合金薄膜2と、その上に形成されたSiO2 の保護膜3を含んでいる。この鉄合金膜2は、2〜6wt%のアルミニウムと4〜8wt%のシリコンを含み得る。基板1としては、セラミックスに限られず、膨張係数がセンダストと同じくらいであれば、他の材料をも用いることができる。たとえば、フェライト等との複合磁気材料を形成する場合には、基板としては当然にフェライトが用いられる。しかし、現実には、センダストよりも熱膨張係数が大きな基板を安定して使用することは容易ではなく、センダストより少し熱膨張係数の小さなセラミックス基板を用いることが好ましい。
【0016】
図1(B)の磁性薄膜は、基板1上に、鉄合金膜2とSiO2 膜3との対が2対積層された構造を有している。このような鉄合金膜2とSiO2 膜3との対を任意の数の対だけ基板1上に積層してもよいことは言うまでもない。
【0017】
図2は、図1に示されるような磁気ヘッド用磁性薄膜を製造するための成膜装置を概略的な断面図で示している。図2において、蒸着装置9内に、セラミックス基板1がセットされ、鉄合金膜2が窒素プラズマ雰囲気中の蒸着によって基板1上に成長させられる。このとき、ヒータ7によって基板1を300℃の温度に加熱し、蒸着装置9内に所定の圧力のN2 ガスが導入される。その後、蒸着装置9内に配置された銅製のコイル5にDC電源8から電圧が印加された状態で、別に設けられたフィラメント10を熱して熱電子10Aを供給することによって、窒素プラズマ5Aがコイル5の近傍に発生させられる。窒素プラズマ5Aが発生している状態において、コイル5にかかっているDC電圧は約50Vで、電流は約300mAである。この状態で、るつぼ12中に入れられた鉄合金タブレット6に、フィラメント10からエミットされた熱電子10Aを照射することによって、基板1の表面に鉄合金膜が形成される。鉄合金タブレット6は、たとえば、4wt%のアルミニウムと27.5wt%のシリコンを含んでいる。鉄合金膜の成長速度は200〜500nm/minの範囲内に設定され、成長した鉄合金膜2の厚さは2〜4μmの範囲内に設定される。ここで、成膜速度は、生産性の観点からだけでなく、鉄合金層の窒化を目的としていないことからも、比較的速くすることが好ましい。なお、図2中のシャッタ11は、蒸発させられた蒸気流の通過を制御するために用いられる。
【0018】
ところで、得られる鉄合金膜2の組成と鉄合金タブレット6の組成とは一致せず、鉄合金膜2の組成は鉄合金タブレット6の組成のみならず鉄合金膜2の堆積条件に依存して変化する。たとえば、2〜6wt%のアルミニウムと4〜8wt%のシリコンを含む鉄合金膜2を得るためには、2〜5wt%のアルミニウムおよび25〜30wt%のシリコンを含む組成範囲の鉄合金タブレット6を用いることができる。
【0019】
アルミニウムとシリコンを含む鉄合金膜2が形成された後に、その鉄合金膜2上に保護膜3が形成される。図1においてはSiO2 の保護膜3が形成されているが、その他の絶縁体膜も保護膜として用いることができる。
【0020】
具体的な例として、鉄合金膜2とSiO2 膜の対を基板1上に4対積層した後に700℃で真空熱処理して磁気ヘッド用磁性薄膜が形成された。このようにして得られた磁気ヘッド用磁性薄膜における鉄合金膜2は、2〜6wt%のアルミニウム,4〜8wt%のシリコンを含む組成を有し得ることが、組成分析の結果として判明した。
【0021】
図3は、このような磁性薄膜における飽和磁束密度と保磁力との関係を示している。すなわち、図3のグラフの横軸は飽和磁束密度(T)を表わし、縦軸は保磁力(Oe)を表わしている。このグラフにおいて注目すべきことは、飽和磁束密度が約1.5T弱近傍の値を有するときに保磁力が最小になることである。このことから、鉄合金膜2は、1.4〜1.6Tの範囲内の飽和磁束密度を有するのが好ましいことがわかる。また、そのような磁性薄膜において、実際に磁気ヘッドにおいて安定して用いられ得るものは、絶対値で2×10−6以下の飽和磁歪を有するものであった。
【0022】
上述のように、本発明においては鉄合金膜2が窒素プラズマ雰囲気中において蒸着によって形成されるが、発明者たちがこの鉄合金膜2をX線などによる構造解析や蛍光X線分析で調べた結果、鉄合金膜2内に窒化物が形成されているという証拠は見出し得なかった。
【0023】
図4は、鉄合金膜2の蒸着中における窒素プラズマ雰囲気のためのN2 流量と得られた鉄合金膜2の透磁率との関係を示している。すなわち、図4のグラフの横軸はN2 流量(sccm)を表わし、縦軸は透磁率を対数メモリで表わしている。このグラフから明らかなように、窒素流量が約10sccm近傍にあるときに透磁率の最大値を示すことが注目されるべきである。窒素流量が10sccmのときの蒸着チャンバ内の圧力は約3×10−2Paであり、蒸着中の窒素雰囲気の圧力は1.3×10−2〜6.5×10−2Paの範囲内にあるのが好ましいことがわかる。
【0024】
以上の例では基板温度が300℃の条件の下で鉄合金膜2が形成されたが、以下の例においては鉄合金膜2の磁気特性に対する基板温度の影響が検討される。
【0025】
窒素プラズマ雰囲気中の成膜においては、基板温度が300℃の場合に基板表面に平行な鉄合金膜2の膜面は(111)面配向する傾向が強く、基板温度を上昇させれば(110)面配向する傾向が強まる。しかし、いずれの場合においても、鉄合金膜2の磁気特性は、窒素プラズマ雰囲気が存在しない高真空中で形成された同一組成の鉄合金膜に比べて向上した。この理由を検討するために、窒素プラズマ雰囲気中で成膜された鉄合金膜と高真空中で成膜された同一組成の鉄合金膜の断面を薄い酸でエッチングした後に観察した。
【0026】
図5(A)と(B)は、それぞれ高真空中で成膜されたセンダスト膜と窒素プラズマ雰囲気中で成膜されたセンダスト膜の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察結果を模式的に図解している。通常、センダスト膜を堆積すれば、図5中の縦線32で示したように柱状構造(コラムナー状態)に成長しているのが観察される。SEM観察では、2次電子像を見ていることになるので、図中に符号31で示したように、2次電子を放出しにくい凹みの領域31が観察される。このような凹み領域31は、密度が低い領域がエッチングによって凹部になったものと考えられる。
【0027】
図5(A)は高真空中で堆積されたセンダスト膜の断面を示しており、図5(B)は窒素プラズマ雰囲気中で堆積されたセンダスト膜の断面を表わしている。これらの断面において凹み領域31を比較すれば、明らかに、高真空中で堆積されたセンダスト膜(A)に比べて窒素プラズマ雰囲気中で堆積されたセンダスト膜(B)における方が凹み領域31の少ないことがわかる。このような凹み領域31に対応する低密度領域の少ないことが、高真空中で堆積されたセンダスト膜より窒素プラズマ雰囲気中で堆積されたセンダスト膜の磁気特性が優れている理由であると考えられる。なお、このような効果を得るためには必ずしも窒素雰囲気がプラズマ化される必要はなく、通常の窒素ガス雰囲気の下での蒸着によっても同様な効果が得られる。
【0028】
図6は、本発明によって得られる磁性薄膜の磁気特性を従来の磁性薄膜と比較して示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は周波数(MHz)を対数目盛りで表わしており、縦軸は実効透磁率を対数目盛りで表わしている。曲線AとBは本発明に従って窒素プラズマ雰囲気中でそれぞれ350℃と300℃の基板温度の下で蒸着によって形成された磁性薄膜の透磁率を表わし、曲線Cは高真空中で蒸着によって形成された先行技術によるセンダスト膜の透磁率を表わしている。なお、曲線A,BおよびCによって表わされたセンダスト膜は、いずれも同じ組成と2.5μmの厚さを有している。図6のグラフから、本発明に従って窒素プラズマ雰囲気中で蒸着によって形成されたセンダスト膜は、先行技術によるセンダスト膜に比べて、磁気ヘッド用の磁性薄膜としてさらに好ましく用いられ得ることが理解されよう。
【0029】
なお、以上の実施の形態においては、DCプラズマが用いられる例が説明されたが、RF(高周波)プラズマを用いても同様な効果が得られる。
【0030】
次に、本発明による磁性薄膜を用いて形成される磁気ヘッドの例を説明する。上述のような磁性薄膜を磁気ヘッドに用いる場合、1対の磁性体または非磁性体の基板上に形成された磁性薄膜の積層方向を横断する面を互いに非磁性体薄膜を介して突き合わせて、磁気ギャップを形成させる。ギャップ面に面する近傍のみにアモルファスやセンダストなどの金属材料を用いて、これ以外の部分には耐摩耗性に優れたフェライトを用いたMIG(Metal In Gap)と呼ばれる複合ヘッドも実用化されている。なお、磁性薄膜のみで磁気回路を構成することもできる。
【0031】
図7は、磁性薄膜が磁気回路を構成する磁気ヘッドの斜視図である。図7において、1対の基板20および21の側面に本発明による磁性薄膜MFを形成し、これらの基板20と21が突き合わされている。テープ走行面TS上でギャップGを形成するために、その突き合わせ面には極めて薄い非磁性体が介在させられている。ギャップ面におけるトラック幅の両側には、通常はガラス23が埋められている。テープ(図示せず)がテープ走行面TS上を右から左(または逆方向)に移動するとき、コイル22を介して信号が出力される。なお、図7においてはアジマス記録のためにギャップGの角度がトラックに対して直角の関係からずらされている。ここで、基板20と21としてフェライトを用いれば、図7のヘッドはMIGヘッドになる。
【0032】
図7に示されているようなヘッドの場合には、磁性薄膜MFの厚さによってほぼトラック幅が決定されるので、図1に示されているような鉄合金膜2とSiO2 保護膜3との対を1対だけ含むかまたは複数対含む構造を用いるかは、トラック幅を考慮して選択することができる。
【0033】
図8は、本発明による磁性薄膜を含む磁気ヘッドの磁気効率を従来のセンダスト磁気ヘッドと比較して示すグラフである。このグラフの横軸は周波数(MHz)を対数目盛りで表わしており、縦軸は記録効率比(dB)を表わしている。すなわち、本発明による磁性薄膜を含む磁気ヘッドの記録効率は、従来のセンダスト磁気ヘッドを0dBにした場合の比率として表わされている。図8から、本発明による磁性薄膜を含む磁気ヘッドは、従来のセンダスト磁気ヘッドに比べて1dB以上記録効率が向上していることがわかる。なお、図8の測定においては、ドラム式のヘッド特性測定装置を用いて、磁気テープとして保磁力120kA/m程度の蒸着磁気テープが用いられた。
【0034】
なお、本発明の磁性薄膜を含む磁気ヘッドはVTR用に限られるものではなく、高い保磁力を有する記録媒体を用いるあらゆる磁気記録装置において用いることができる。すなわち、本発明による磁性薄膜が用いられる磁気ヘッドの形態は、図7に示されたものに限られるものではない。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、大きな飽和磁束密度と高い透磁率とを兼ね備えた磁気ヘッド用磁性薄膜を窒素雰囲気中の蒸着によって効率的に製造して提供することができ、その磁性薄膜を用いることによって高い保磁力を有する磁気記録媒体に対して好ましく用いられ得る磁気ヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁性薄膜を示す概略的な断面図である。
【図2】本発明による磁性薄膜の製造方法を説明するための蒸着装置の概略的な断面図である。
【図3】本発明による磁性薄膜における飽和磁束密度と保磁力との関係を示すグラフである。
【図4】本発明による蒸着中の窒素プラズマ雰囲気の圧力と得られた磁性薄膜の透磁率との関係を示すグラフである。
【図5】先行技術による磁性薄膜との比較において本発明による磁性薄膜の断面のSEM観察の状態を示す概念図である。
【図6】本発明による磁性薄膜と先行技術による磁性薄膜における透磁率の周波数依存性を示すグラフである。
【図7】本発明による磁気ヘッドの一例を示す斜視図である。
【図8】本発明による磁性薄膜を含む磁気ヘッドと従来のセンダスト磁気ヘッドとの間における記録効率の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2 アルミニウムとシリコンを含む鉄合金膜
3 SiO2 保護膜
5 銅製コイル
5A 窒素プラズマ
6 鉄合金タブレット
7 ヒータ
8 DC電源
9 蒸着装置
10 フィラメント
10A 熱電子
11 シャッタ
20,21 磁気ヘッド基板
22 コイル
23 ガラス
MF 磁性薄膜
G 磁気ギャップ
TS テープ走行面
Claims (9)
- 基板を用意し、
2〜5wt%のアルミニウムと25〜30wt%のシリコンを含む鉄合金タブレットを窒素雰囲気中で蒸発させることにより、2〜6wt%のアルミニウムと4〜8wt%のシリコンを含む鉄合金層を前記基板上に堆積することを特徴とする磁気ヘッド用磁性薄膜の製造方法。 - 前記鉄合金層の堆積速度が200〜500nm/minであることを特徴とする請求項2に記載の磁気ヘッド用磁性薄膜の製造方法。
- 前記鉄合金層を蒸着するときの前記窒素雰囲気の圧力が1.3×10-2〜6.5×10-2Paの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ヘッド用磁性薄膜の製造方法。
- 前記請求項1から3のいずれかの製造方法によって製造されていることを特徴とする磁気ヘッド用磁性薄膜。
- 1.4〜1.6Tの飽和磁束密度を有することを特徴とする請求項4に記載の磁気ヘッド用磁性薄膜。
- 絶対値が2×10-6以下の飽和磁歪を有することを特徴とする請求項4または5に記載の磁気ヘッド用磁性薄膜。
- 前記鉄合金層上に形成された絶縁体の保護層をさらに含むことを特徴とする請求項4から6のいずれかの項に記載の磁気ヘッド用磁性薄膜。
- 前記鉄合金層と前記絶縁体保護層との対が複数対積層されていることを特徴とする請求項7に記載の磁気ヘッド用磁性薄膜。
- 請求項4から8のいずれかの項に記載の磁気ヘッド用磁性薄膜を含むことを特徴とする磁気ヘッド。
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