JP3543414B2 - エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば計器類の自発光型のセグメント表示やマトリクス表示、或いは各種情報端末機器のディスプレイなどに使用されるエレクトロルミネッセンス(以下、ELという)素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、EL素子は、絶縁性基板であるガラス基板上に、光学的に透明なITO膜からなる第1電極、Ta2 5 (五酸化タンタル)等からなる第1絶縁層、発光層、第2絶縁層及びITO膜からなる第2電極を順次積層して形成されている。
【0003】
EL素子の発光色は、例えばZnS(硫化亜鉛)中の添加物の種類によって決まり、例えば発光中心としてTb(テルビウム)を添加した場合には黄緑色、Sm(サマリウム)を添加した場合には赤橙色、Tm(ツリウム)を添加した場合には青色の発光色が得られる。また、SrS(硫化ストロンチウム)にCe(セリウム)を添加した場合には、フィルタをかけることにより青色の発光色が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この青色発光を得る場合、ZnSにTmを添加したZnS:Tmを発光層に用いた場合には発光輝度が低く、実用上十分な輝度が得られない。また、SrSにCeを添加したSrS:Ceを発光層に用いた場合には、発光輝度を比較的高くすることができるが、その発光輝度はディスプレイとしての要求を十分に満足するものではなく、更なる高輝度化が望まれている。
【0005】
この問題を解決するため、例えば1993年度Euro Display
Conference Proceedings;p511〜514には、SiCl4 を用いてCe添加のSrS:Ce薄膜中にCl(塩素)を添加することが記載されている。
しかしながら、その方法で用いるClにより、発光母材であるSrSは湿度に非常に敏感になり、パターニング等のウェットプロセスにおいて、僅かな水分でも発光層に混入すると、膜が白濁したり剥離するといった問題が生じる。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みたもので、発光層にClを添加して高輝度化を図るとともに、耐湿性を向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
本発明は上記目的を達成するため、発光層を、発光中心元素を添加した第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と、発光中心元素及びハロゲン元素を添加した第2のIIa −VIb 族化合物薄膜とを有して構成し、第1のIIa −VIb 族化合物薄膜を発光層の最上層としたことを特徴としている。
【0008】
従って、第2のIIa −VIb 族化合物薄膜にハロゲン元素を添加することにより発光輝度を高くすることができ、また発光層の最上層をハロゲン元素を含まない第1のIIa −VIb 族化合物薄膜とすることにより、第2のIIa −VIb 族化合物薄膜の吸湿性を緩和し、耐湿性を向上させることができる。
さらに、第1のIIa −VIb 族化合物薄膜の上にキャップ層を形成するようにすれば、そのキャップ層によって上記耐湿性を一層向上させることができる。この場合、キャップ層をZnS又はZnSeにて形成するようにすれば、耐湿性をさらに向上させることができる。但し、Se(セレン)の毒性を考慮すればZnSを用いることが望ましい。
【0009】
上記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜の膜厚は、50nm以上であることが望ましい。これは、後述する図2に示すように、第1のIIa −VIb 族化合物薄膜の膜厚を50nm以上にした場合に、耐湿性が著しく向上するからである。
また、第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を発光層の最下層とした場合には、その膜の配向性により発光層の表面を平坦化させることができ、絶縁耐圧を向上させることができる。特に、膜厚を100nm以上とした場合にはその効果が著しい。
【0010】
本発明に係るEL素子の製造方法においては、発光中心元素及びハロゲン元素を添加した第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と、発光中心元素を添加した第2のIIa −VIb 族化合物薄膜とを連続成膜する工程を有して、第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を最上層とする発光層を形成することを特徴としている。
この製造方法を用いることにより、上述した高発光輝度の耐湿性に優れたEL素子を得ることができる。
【0011】
この製造方法として、具体的には、気相成長法を用い、ハロゲン元素原料を他のプロセスガスと同時に供給して第1のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成し、ハロゲン元素の供給を停止することにより第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して成膜する工程を用いることができる。
ここで、ハロゲン元素原料は、他のプロセスガスとは独立した供給配管にて供給するか、又はVIb 族元素原料の供給配管と同配管にて供給するようにすることができる。また、ハロゲン元素原料は、ハロゲンガス、ハロゲン化水素ガス、ハロゲン化合物ガスから選択された少なくとも1種を用いることができ、さらに具体的には塩素、塩化水素、塩素化合物から選択された少なくとも1種とすることができる。
【0012】
上記気相成長法としては、有機金属気相成長法を用いることができる。
また、IIa 族元素原料とVIb 族元素原料を交互に供給して薄膜形成していく、いわゆるA.L.E法を用いることもできる。具体的には、発光層をIIa 族元素原料とVIb 族元素原料を交互に供給して成膜していく方法を用い、ハロゲン元素原料をVIb 族元素原料と同時に供給することにより第1のIIa −VIb 化合物薄膜を形成し、ハロゲン元素原料の供給を停止することにより第2のIIa −VIb 化合物薄膜を形成する。なお、この方法を用いた場合、発光中心元素原料はIIa 族元素原料と同時に供給するようにすることができる。
【0013】
また、気相成長法以外に、スパッタ法により第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して成膜するようにしてもよい。また、このスパッタ法を用いた場合、スパッタリング中にハロゲン化合物ガスを導入して第1のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成し、ハロゲン化合物ガスの供給を停止することにより第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成するようにして、発光層を形成することができる。
【0014】
さらに、発光層を形成する他の方法としては、発光中心元素及びハロゲン元素を添加したIIa −VIb 族化合物ペレットと、発光中心元素を添加したIIa −VIb 族化合物ペレットを用いた蒸着法により、真空状態を維持した状態にて第1のIIa −VIb 族化合物薄膜及び第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して形成する方法を用いることができる。
【0015】
なお、上記した発光層を構成するIIa 族元素としては、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)から選択された少なくとも1種を用いることができる。また、VIb 族元素としては、S(硫黄)又はSeを用いることができる。さらに、発光層中に添加される発光中心元素としては、CeまたはEu(ユーロピウム)を用いることができる。
【0016】
【実施例】
(第1実施例)
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
図1は本発明に係るEL素子10の断面を示した模式図である。なお、図1のEL素子10では、矢印方向に光を取り出している。
【0017】
薄膜EL素子10は、絶縁性基板であるガラス基板11上に、光学的に透明なZnO(酸化亜鉛)からなる第1透明電極(第1電極)12、光学的に透明なTa2 5 からなる第1絶縁層13、発光層14、光学的に透明なZnSキャップ層15、光学的に透明なTa2 5 からなる第1絶縁層16、光学的に透明なZnOからなる第2透明電極(第2電極)17が順次積層されて形成されている。なお、発光層14は、発光中心としてCeを添加しさらにClが添加されたSrS:Ce、Cl薄膜14A及びClが添加されていないSrS:Ce薄膜14Bから構成されている。
【0018】
次に、上記薄膜EL素子10の製造方法について説明する。なお、以下の説明における各層の膜厚は、ガラス基板11の中央の部分を基準として記述してある。
まず、ガラス基板11上に第1透明電極12を成膜した。蒸着材料としては、ZnO粉末にGa2 3 (酸化ガリウム)を加えて混合し、ペレット状に成形したものを用い、成膜装置としてはイオンプレーティング装置を用いた。具体的には、上記ガラス基板11の温度を一定に保持したままイオンプレーティング装置内を真空に排気した。その後、Ar(アルゴン)ガスを導入して圧力を一定に保ち、成膜速度が6〜18nm/minの範囲となるようビーム電力及び高周波電力を調整した。
【0019】
次に、第1透明電極12上に、Ta2 5 からなる第1絶縁層13をスパッタ法により形成した。
具体的には、ガラス基板11の温度を一定に保持し、スパッタ装置内にArとO2 (酸素)の混合ガスを導入し、1KWの高周波電力で成膜を行った。
上記第1絶縁層13上に、SrSを母体材料とし、発光中心としてCeを、ハロゲン元素としてClを添加したSrS:Ce、Cl薄膜14A及びClを添加していないSrS:Ce薄膜14Bからなる発光層14を、MOCVD(有機金属気相成長)法により形成した。
【0020】
具体的には、ガラス基板11を400℃に保持し、反応室内を減圧雰囲気下にした後、Arキャリアガスを用いてSr(C11192 2 (ビスジピバロイルメタン化ストロンチウム)を、またAr希釈したH2 S(硫化水素)を流した。
また、発光中心の添加のために、トリジピバロイルメタン化セリウム(Ce(C11192 3 )を反応室へ導入した。そのときCe(C11192 3 (トリジピバロイルメタン化セリウム)ソースの温度を100〜120℃に加熱し、キャリアガスとしてArを用いた。
【0021】
さらに、ハロゲン元素を添加するために、HCl(塩化水素)ガスをArで0.05at%以下の濃度になるように希釈し、この混合ガスを反応室内に導入した。この方法にて、おおよそ500nmの厚さになるようにCl及びCeを共に添加したSrS:Ce、Cl薄膜14Aを成長させた。
次に、Clの供給原料であるHClガスの供給を停止し、Ce添加のSrS:Ce薄膜14Bを100nm成長させた。
【0022】
発光層14を形成する時の反応炉内の圧力は、反応炉とポンプの間に取り付けた圧力調節器にて反応室の全圧力を一定に維持した。
上記Ce添加のSrS:Ce薄膜14Bの成長後、MOCVD法にてZn(C2 5 2 (ジエチル亜鉛)とH2 S(硫化水素)を原料に用いてZnS薄膜を100〜200nmの厚さになるように形成した。
【0023】
次に、ZnS層15上に、Ta2 5 からなる第2絶縁層16を上述の第1絶縁層13と同様の方法で形成した。そして、ZnO膜からなる第2透明電極17を、上述の第1透明電極12と同様の方法により、第2絶縁層16上に形成した。
各層の膜厚は、第1、第2透明電極12、17が200nm、第1、第2絶縁層13、16が300nm、発光層14が600nmである。
【0024】
図2に、SrS:Ce薄膜14Bの膜厚を変化させ、第2絶縁層16まで形成したものについて、浸水試験を行った結果を示す。SrS:Ce薄膜14Bが50nm未満の膜厚では、図に示すように耐湿性に問題があり、SrS:Ce薄膜14Bの膜厚を50nm以上にすることにより、耐湿性を向上させることができた。また、SrS:Ce薄膜14Bを100nm以上とした場合には非常に高い耐湿性が得られた。
【0025】
また、実際に作製した試料において60Hzの交流電圧を使用したときの、発光輝度特性を図3に示す。ここで、従来法1はClを添加していない発光層を用いた場合のEL素子、従来法2は薄膜全体にClを添加した発光層を用いた場合のEL素子の発光輝度特性である。従来法1に比べて発光閾値電圧は30v低下している。また、発光閾値電圧+40vの電圧のところでの発光輝度は、従来法1に比べて著しく向上している。また、従来法2に比べると発光閾値電圧は同様に30v程度低下したが、発光輝度については僅かに低下した。
【0026】
図4に、上記のようにして製造されたEL素子10について耐水試験を行った結果を示す。この耐水試験は、第2絶縁層16を形成した時点で水中に浸し、水分の浸入等により発光層の剥離が0.1mm以上の大きさになった時点の浸水時間を測定したものである。同上の従来法1と同程度の耐水性を有し、また従来法2と比べると著しい耐水性の向上が見られた。
【0027】
また、SrS:Ce、Cl薄膜14Aの膜厚を200nmとし、SrS:Ce薄膜14Bの膜厚を400nmとしたEL素子についても検討を行った。
図5に、このEL素子の発光輝度特性を示す。従来法1と比較すると発光輝度は高いが、従来法2と比較すると発光輝度はやや低い。また、図6に耐水試験を行った結果を示す。従来法1とほぼ同程度の耐水性を持ち合わせており、同上従来法2の吸湿性を著しく改善することができた。
【0028】
以上のことから、本実施例の方法により発光層14を形成することにより、高い輝度を有し、さらに洗浄及びウェットエッチング等のウェットプロセスに十分に耐え得る薄膜の形成が可能になった。
なお、SrS:Ce、Cl薄膜14Aは、結晶が(200)配向しており、この上にSrS:Ce薄膜14Bを形成した場合、その配向性が維持されて形成されるため、表面が平坦となり絶縁耐圧を向上させることができる。但し、SrS:Ce、Cl薄膜14Aの膜厚を100nmより薄くすると、その結晶化を十分とすることができないため、その上に形成するSrS:Ce薄膜14Bの配向性を変えることができず、(111)配向となるため、膜表面を平坦化することができない。従って、膜表面を平坦化して絶縁耐圧を向上させるためには、SrS:Ce、Cl薄膜14Aの膜厚を100nm以上とする必要があり、好ましくは上記実施例に示すように200nm以上とするのがよい。
【0029】
また、SrS:Ce薄膜14Bの膜厚を600nm以上にすると、その薄膜表面の凹凸が著しくなるため、SrS:Ce薄膜14Bの膜厚を600nmより薄くする必要がある。
(第2実施例)
この実施例においては、発光層14の形成を、2元ターゲットを用いたスパッタ法を用いて行った。第1ターゲットは、4重量%のCe添加のSrS:Ce粉末を仮焼し、再び粉砕した粉末を900℃の温度でプレス成形したものを用いた。また、ハロゲン元素を添加した第2ターゲットは、4重量%のCeCl3 (塩化セリウム)添加のSrS:CeCl3 粉末を仮焼し、再び粉砕した粉末を900℃の温度でプレス成形したものを用いた。なお、この発光層14の形成以外は、第1実施例と同様である。
【0030】
発光層14の具体的な形成法を以下に説明する。
(1)まず、発光層14を形成するためのガラス基板を基板ホルダーにセットし、第1ターゲットを備えた成膜室に搬送し真空引きを行った。真空ポンプにて10-5Pa以上の真空度になったことを確認し、ガラス基板の加熱温度を500℃に保持した。次に、ArとH2 Sの混合ガスを導入し、最終的な圧力を4.0Paに調節した。スパッタに要した高周波電力は100Wであり、プリスパッタを10分程度行った後、100nmの薄膜を形成した。
【0031】
(1)次に、予め10-5Pa以上の真空度に保たれた第2ターゲットを備えた成膜室に、上記ガラス基板を含めた基板ホルダーを搬送し、基板加熱にて500℃に保持した。次に、ArとH2 Sの混合ガスを導入し、圧力調節器により成膜室内圧力を4.0Paに保持した。この場合にもスパッタに要した高周波電力は100Wであり、プリスパッタを10分程度行った後、100nmの薄膜を形成した。
【0032】
上記(1)(2)の操作を2度繰り返した後、再び(1)の操作を行った。但し、この時の膜厚は100nmではなく200nmとし、発光層14全体の膜厚を600nmとした。
図7に、第2絶縁層まで形成した状態で、浸水試験を行った結果を示す。図中の従来法とは、CeCl3 を添加したSrS:CeCl3 を用いて発光層を形成したものである。従来法では最長でも10分で、水と発光層の反応による膜質の変化が生じたが、上記実施例による方法によれば、多少のばらつきはあるが30分以上は膜質の変化が見られず、実験最長時間の2時間を過ぎても膜質の変化がみられないサンプルが多くみられた。
【0033】
このように多元ターゲットを用いたスパッタ法によっても耐水性を兼ね備えた青緑色EL素子を製造することができる。
(第3実施例)
この実施例においては、発光層14を、RFマグネトロンスパッタ法を用いて形成した。なお、この発光層14の形成以外は、第1実施例と同様である。
【0034】
発光層14の具体的な形成法を以下に説明する。
まず、発光層を形成するためのガラス基板を基板ホルダーにセットし、SrS:Ceターゲットを備えた成膜室に搬送し真空引きを行った。真空ポンプにて10-5Pa以上の高真空になったことを確認し、ガラス基板の加熱温度を500℃に保持した。次に、ArとH2 S及びHClの混合ガスを導入し、最終的な圧力を4.0Paに調節した。スパッタに要した高周波電力は100Wであり、プリスパッタを10分間程度行った後、SrS:Ce、Cl薄膜14Aを500nm形成した。
【0035】
次に、導入するガスをArとH2 Sの混合ガスに変更した。但し、導入ガス流量は、上記Ar、H2 S及びHClの混合ガスを導入した量と同量とした。スパッタリングの条件としては、上記条件と同じであり、同方法にて100nmの膜厚のSrS:Ce薄膜14Bを形成した。
図8に、第2絶縁層まで形成した状態で、浸水試験を行った結果を示す。図中の従来法とは、CeCl3 を添加したSrS:CeCl3 を用いて発光層を形成したものである。本実施例により作製したサンプルは、従来法にて作製したサンプルに較べて大幅に改善されており、平均耐水時間は従来法で作製したサンプルの100倍以上になった。
(第4実施例)
この実施例においては、発光層14を、電子ビーム蒸着法を用いて形成した。なお、この発光層14の形成以外は、第1実施例と同様である。
【0036】
発光層14の具体的な形成法を以下に説明する。
まず、発光層を形成するためのガラス基板を基板ホルダーにセットし、Ce及びF(フッ素)をSrSに添加したペレットを備えた成膜室に搬送し、真空引きを行った。真空ポンプにて10-5Pa以上の高真空になったことを確認し、ガラス基板の加熱温度を300℃に保持した。次に、ペレットに照射するビーム電力を成膜速度:60nm/minの一定速度になるように調節した。このようにしてCe及びF添加のSrS:Ce、F薄膜を形成した。
【0037】
次に、CeをSrSに添加したペレットに変更し、上記同様の方法にてCe添加のSrS:Ce薄膜を形成した。
上記のようにして、SrS; Ce、F及びSrS:Ceの複合膜を厚さ700nmで形成した。
図9に、第2絶縁層まで形成した状態で、浸水試験を行った結果を示す。図中の従来法とは、CeCl3 を添加したSrS:CeCl3 を用いて発光層を形成したものである。本実施例により作製したサンプルは、従来法にて作製したサンプルに較べて大幅に改善されており、平均耐水時間は従来法で作製したサンプルの100倍以上になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るEL素子の断面を示した模式図である。
【図2】第1実施例に係るEL素子の発光層におけるSrS:Ce薄膜の膜厚と耐水時間の関係を示した図である。
【図3】第1実施例に係るEL素子の発光輝度と印加電圧の関係を表した図である。
【図4】第1実施例に係るEL素子の浸水時間を他の方法で作製したEL素子と比較した図である。
【図5】第1実施例に係るEL素子の膜厚を変化させた例の発光輝度と印加電圧の関係を表した図である。
【図6】第1実施例に係るEL素子の膜厚を変化させた例の浸水時間を他の方法で作製したEL素子と比較した図である。
【図7】第2実施例に係るEL素子の浸水時間を他の方法で作製したEL素子と比較した図である。
【図8】第3実施例に係るEL素子の浸水時間を他の方法で作製したEL素子と比較した図である。
【図9】第4実施例に係るEL素子の浸水時間を他の方法で作製したEL素子と比較した図である。
【符号の説明】
10…EL素子、11…ガラス基板(絶縁性基板)、
12…第1透明電極(第1電極)、13…第1絶縁層、14…発光層、
14A…SrS:Ce、Cl薄膜、14B…SrS:Ce薄膜、
15…ZnSキャップ層、16…第2絶縁層、
17…第2透明電極(第2電極)。

Claims (14)

  1. 基板上に、第1電極、第1絶縁層、発光層、第2絶縁層及び第2電極が積層形成され、少なくとも前記発光層からの光取り出し側を光学的に透明なものとしたエレクトロルミネッセンス素子において、
    前記発光層が、発光中心元素を添加した第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と、発光中心元素及びハロゲン元素を添加した第2のIIa −VIb 族化合物薄膜とを有して構成されており、前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜が前記発光層の最上層とされていることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜の上にキャップ層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜の膜厚は、50nm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜が前記発光層の最下層とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜の膜厚は、100nm以上であることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  6. 基板上に、第1電極、第1絶縁層、発光層、第2絶縁層及び第2電極が積層形成され、少なくとも前記発光層からの光取り出し側を光学的に透明なものとしたエレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    発光中心元素及びハロゲン元素を添加した第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と、発光中心元素を添加した第2のIIa −VIb 族化合物薄膜とを連続成膜する工程を有して、前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を最上層とする前記発光層を形成することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記発光層を形成する工程は、気相成長法を用い、ハロゲン元素原料を他のプロセスガスと同時に供給して前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成し、ハロゲン元素の供給を停止することにより前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して成膜する工程を有することを特徴とする請求項6に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  8. 前記気相成長法は、IIa 族元素、VIb 族元素及び発光中心元素の原料のうち少なくとも1種に有機金属を用いた有機金属気相成長法であることを特徴とする請求項7に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  9. 前記気相成長法を用いて発光層を形成する工程は、発光層をIIa 族元素原料とVIb 族元素原料を交互に供給する方法を用い、ハロゲン元素原料をVIb 族元素原料と同時に供給することにより前記第1のIIa −VIb 化合物薄膜を形成し、ハロゲン元素原料の供給を停止することにより前記第2のIIa −VIb 化合物薄膜を形成するものであることを特徴とする請求項7に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  10. 発光中心元素原料をIIa 族元素原料と同時に供給することを特徴とする請求項9に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  11. 前記発光層を形成する工程は、スパッタ法により前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して成膜する工程を有することを特徴とする請求項6に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  12. スパッタリング中にハロゲン化合物ガスを導入して前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成し、ハロゲン化合物ガスの供給を停止することにより前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を形成することを特徴とする請求項11に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  13. 前記発光層を形成する工程は、蒸着法により前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜と前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して成膜する工程を有することを特徴とする請求項6に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  14. 発光中心元素及びハロゲン元素を添加したIIa −VIb 族化合物ペレットと、発光中心元素を添加したIIa −VIb 族化合物ペレットを用い、真空状態を維持した状態にて前記第1のIIa −VIb 族化合物薄膜及び前記第2のIIa −VIb 族化合物薄膜を連続して形成することを特徴とする請求項6に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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