JP3538945B2 - フィン詰まり検出装置を備えた給湯器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱交換器のフィン詰ま
りを検出するフィン詰まり検出装置を備えた給湯器に関
する。

【０００２】

【従来の技術】バーナの燃焼熱をフィンチューブ型熱交
換器により給水に伝達してこれを高温湯にする給湯器に
おいては、フィンの温度が低温時には燃焼ガス中の硫黄
等の腐食成分を含む水分が熱交換器に付着してフィンを
酸化腐食させ酸化物をフィン壁に堆積させる。また、給
湯器のフィンの温度が高温となる燃焼時においては、燃
焼ガスとフィンとの反応によりフィン壁に高温生成酸化
物が生成される。そして、給湯器の長期の使用により、
フィンへのこれら金属酸化物の堆積が著しくなり、フィ
ン間の燃焼ガスの流れが阻害されるフィン閉塞状態が発
生する。その結果、排気の通過が妨げられて酸欠燃焼状
態になったり、さらにはガス不燃分がアフターファイヤ
ーして火炎がフード外にまで洩れ出るというようなおそ
れがあった。

【０００３】従来、この種の給湯器の熱交換器異常検出
装置としては、例えば特開昭６３ー１２３９５１号公報
に示すように、熱交換器を介装した給湯管に装着された
水量センサの出力と、熱交換器の入口側の給湯管に設け
られた入口側温度センサと、出口側の給湯管に設けられ
た出口側温度センサの出力に基づいて熱交換器の伝熱量
を算出し、能力切り替えつまみ等により設定した加熱量
とを比較していた。そして、伝熱量が加熱量より異常に
低くなったとき、すなわち熱交換器の伝熱効率が低くな
ったときをもって、熱交換器のフィン閉塞を判定してい
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記熱交換器
異常検出装置は、フィン閉塞の判定に水量センサと入口
側温度センサ及び出口側温度センサを必要とし、構成が
複雑であると共に検出コストが高価になるという問題が
ある。本発明は、上記した問題を解決しようとするもの
で、簡易な構成により安価に熱交換器のフィン閉塞異常
を検出できる給湯器の熱交換器異常検出装置を提供する
ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に上記請求項１に係る発明の構成上の特徴は、給水管お
よび給湯管を備えたフィンチューブ型熱交換器と、この
熱交換器を加熱するガスバーナとを備えた給湯器におい
て、熱交換器の壁面に取り付けられて熱交換器の外壁温
度を検出する温度センサと、所定の基準温度を設定する
基準温度設定手段と、温度センサの検出値と基準温度設
定値とを比較し、検出値が基準温度設定値より大きくな
ったときに警告信号を出力する比較手段と、警告信号を
受けてこれを表示する警告表示手段とを設けたことにあ
る。

【０００６】また、上記請求項２に係る発明の構成上の
特徴は、上記請求項１に記載のフィン詰まり検出装置を
備えた給湯器において、比較手段による警告信号を２段
階に分けて出力し、２段目の警告信号を受けてバーナに
よる燃焼動作を停止させる燃焼停止制御手段を設けたこ
とにある。

【０００７】

【発明の作用・効果】上記のように請求項１に係る発明
を構成したことにより、熱交換器の壁面に設けた温度セ
ンサにより、フィン閉塞により温度上昇した熱交換器の
外壁温度を直接検出することができる。そして、この検
出値を、予め定めた基準温度設定値と比較し、検出値の
方が基準温度設定値より大きくなったときに、熱交換器
異常として警告表示手段に表示されることにより、確実
に異常を知ることができる。また、この熱交換器異常検
出装置は、使用するセンサが温度センサ１個のみであ
り、従来に較べて非常に簡易な構成となっている。その
ため、安価に熱交換器異常を検出することができる。

【０００８】また、上記のように請求項２に係る発明を
構成したことにより、１段目の警告信号により熱交換器
のフィン詰まり異常を警告し、さらにフィン詰まりが進
行した状態で２段目の警告信号を出力し、これに応じて
バーナによる燃焼動作を停止させるようにした。その結
果、上記請求項１に係る発明の効果に加え、熱交換器の
フィン閉塞に伴う酸欠や、火炎の容器外への洩れ出し等
の不具合を未然に防止することができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
すると、図１は、参考例に係る給湯器を概略的に示した
ものである。給湯器１０は、筒形の燃焼室１１を有して
いる。燃焼室１１は、上端が開放され、下端が閉鎖され
ると共に、下端の一部が後述する送風器１７に接続され
ている。燃焼室１１内の上部には、周囲に多数の金属製
フィン１２ａを有する熱交換器１２が設けられている。
熱交換器１２の入口側には、給水管Ｐ1 が接続されてお
り、出口側には給湯管Ｐ2 が接続されている。給水管Ｐ
1 及び給湯管Ｐ2 は、図１に示すように、燃焼室１１を
貫通して下方に導かれ、給水管Ｐ1 は水道等の給水源
（図示しない）に接続され、給湯管Ｐ2 の先端には給湯
栓２１が接続されている。そして、給水管Ｐ1 内には水
の流れの有無を検出する水流スイッチ２２が設けられて
いる。

【００１０】燃焼室１１内の熱交換器１２の下側には、
ガスノズル１３ａを有するバーナ１３が設けられてい
る。ガスノズル１３ａは、ガス量調整用の比例制御弁１
４ａとガス流路を開閉する電磁弁１４ｂが介装されたガ
ス供給管ＰG に接続されており、ガス供給源（図示しな
い）からガスをバーナ１３へ供給するようになってい
る。また、バーナ１３の上部近傍には、供給ガスに着火
させるイグナイタ１３ｂの高圧側端子に接続されるスパ
ーク電極１３ｃが設けられている。そして、バーナ１３
の着火によるガスの燃焼により熱交換器１２が加熱さ
れ、この熱が熱交換器１２内を通過する水に伝達され、
湯となって給湯管Ｐ2 に排出されるようになっている。

【００１１】燃焼室１１内の熱交換器１２の下流側に
は、排気ガスを外部に排出する排気フード１５が設けら
れている。そして、フード１５内の排気空間には、温度
検出用のサーミスタ１６が配設されている。なお、サー
ミスタ１６以外の温度センサ例えばサーモカップル等を
用いてもよい。燃焼室１１内の底部に設けた送風器１７
は、ファンケース内にシロッコファン（以下、単にファ
ンと記す）１７ａを回転自在に支持し、その回転軸に電
動モータ１７ｂを連結している。

【００１２】つぎに、上記のように構成した給湯器の動
作を電気的に制御するための電気制御装置３０について
図面を用いて説明する。この電気制御装置３０は、図２
に示すように、制御回路３１を設けている。制御回路３
１は、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭ，Ｉ／Ｏ等からなるマイ
クロコンピュータにより構成されており、図３に示すフ
ローチャートに対応した「湯沸制御プログラム」を実行
する。また、制御回路３１には、基準温度ＴB とサーミ
スタ１６からの温度検出値入力Ｔとを比較する温度判定
回路が含まれている。

【００１３】基準温度ＴB は、燃焼ガス量、ガスの発熱
量等を考慮して予め定められる。また、器具取付等の初
期時に実際に給湯器を設置する地域において運転させた
ときの給湯器の初期使用時における排気空間の温度を実
測し、基準温度ＴB をその結果により演算して決定する
ようにするとさらに正確になる。本参考例においては、
基準温度は、フィン詰まり異常を警告する第１基準温度
ＴB1と、それより高い温度であるバーナによる燃焼動作
を停止させる第２基準温度ＴB2の２段階で行われるよう
になっている。

【００１４】制御回路３１の入力側には、上記サーミス
タ１６及び水流スイッチ２２が接続されている。制御回
路３１の出力側には、上記イグナイタ１３ｂ、比例制御
弁１４ａ、電磁弁１４ｂ、ファン１７ａ駆動用の電動モ
ータ１７ｂが駆動回路３２ａ〜３２ｄを介して接続され
ている。また、制御回路３１の出力側には、サーミスタ
１６の出力が基準温度ＴB 以上になったときに点灯表示
する給湯器１０の前面に設けた熱交換器異常表示ランプ
１９（図示しない）が駆動回路３２ｅを介して接続され
ている。駆動回路３２ａ〜３２ｅは、制御回路３１から
の信号を受けてイグナイタ１３ｂ、比例制御弁１４ａ、
電磁弁１４ｂ、電動モータ１７ｂ及び熱交換器異常表示
ランプ１９への通電を制御する。

【００１５】次に、上記のように構成した参考例の動作
について説明する。電源（図示しない）が投入される
と、制御回路３１は、図３に示す「湯沸制御プログラ
ム」の実行をステップ４０にて開始し、ステップ４１に
て通水の有無が判定される。給湯栓２１を開放すること
により給水管Ｐ1 内に通水が開始されると、水流スイッ
チ２２がオンになる。これに応じて、制御回路３１はス
テップ４１にて「ＹＥＳ」との判定の基にプログラムを
ステップ４２に移行させ、電動モータ１７ｂに通電して
ファン１７ａを回転させバーナ１３に燃焼用の空気を供
給する。同時に、ステップ４３にて電磁弁１４ｂをオン
させてガスをバーナ１３に供給し、かつイグナイタ１３
ｂを作動させてガスに着火させ、燃焼制御を開始する。
これにより、熱交換器１２が加熱され、その熱が給水管
Ｐ1 から流入した水に伝えられて湯沸かしが行われ、給
湯管Ｐ2 に供給される。

【００１６】そして、制御回路３１は、ステップ４４に
て第１，第２温度基準値ＴB1，ＴB2を読み込み、ステッ
プ４５にてサーミスタ１６の検出値Ｔを入力する。次
に、ステップ４６にて検出値Ｔと第１，第２温度基準値
ＴB1，ＴB2の大小が比較される。熱交換器の正常時に
は、検出値Ｔは第１，第２温度基準値ＴB1，ＴB2のいず
れよりも低いのでステップ４７，ステップ４８にて「Ｎ
Ｏ」との判定の基にプログラムはステップ４９に移さ
れ、水流スイッチ２２がオフか否かすなわち止水された
か否かが判定される。給湯中のときは、「ＮＯ」との判
定の基にプログラムはステップ４７に戻され、以下ステ
ップ４７〜４９の処理が繰り返される。そして、給湯栓
２１が閉じられ給水が停止されると、ステップ４９にて
「ＹＥＳ」との判定の基にプログラムはステップ５０に
移され、「燃焼制御」が停止されると共に、ステップ５
１にて熱交換器１２の温度を一定以下にするポストパー
ジが行われ、さらにステップ５２にてプログラムの実行
が終了する。

【００１７】そして、上記給湯器１０の長期間の使用に
より、フィン１２ａがしだいに酸化腐食し、フィン１２
ａに金属酸化物が蓄積することにより、フィン間隔が狭
くなるいわゆるフィン閉塞状態になる。フィン閉塞状態
になると、熱交換器１２の熱交換量が少なくなり、その
結果、排気ガスの温度は熱交換器が正常なときに較べて
高くなる。このようにフィン閉塞の状態になり、排気ガ
スの温度Ｔが予め定められた第１温度基準値ＴB1より高
くなると、ステップ４７にて「ＹＥＳ」との判定の基
に、プログラムはステップ５３に移され熱交換器異常表
示信号１が出力される。これに応じて、駆動回路３２ｅ
は熱交換器異常表示ランプ１９に熱交換器異常を点灯表
示させる。

【００１８】そして、フィン閉塞状態がさらに進行し、
排気ガスの温度Ｔが予め定められた第２温度基準値ＴB2
より高くなると、ステップ４８にて「ＹＥＳ」との判定
の基に、プログラムはステップ５４に移され「燃焼制
御」が停止されると共に、ステップ５５にてファン１７
ａの回転が停止される。そして、ステップ５６にて熱交
換器異常表示信号２が出力される。これに応じて、駆動
回路３２ｅは熱交換器異常表示ランプ１９に熱交換器異
常に伴う燃焼制御停止の点滅表示を行わせる。そして、
ステップ５２にてプログラムの実行を終了する。

【００１９】以上に説明したように、上記参考例によれ
ば、１個のサーミスタを用いることにより、従来にくら
べて給湯器の熱交換器のフィン詰まり異常を簡単かつ安
価に検出することができる。また、熱交換器異常の検出
に応じて給湯器の燃焼を停止させるようしたことによ
り、フィン閉塞に伴う酸欠や、火炎の容器外への洩れ出
し等の不具合を未然に防止することができ、熱交換器異
常の検出による実効をさらに高めることができる。

【００２０】つぎに、実施例について図面により説明す
る。本実施例に係る給湯器においては、図４に概略的に
示すように、サーミスタ３３を熱交換器１２の壁面に直
に取り付けるようにしたものである。すなわち、熱交換
器１２のフィン詰まりにより供給された水への熱の伝達
が妨げられ、その結果として熱交換器の外壁温度が正常
時に較べて高くなることを検出しようとするものであ
る。その他の構成は上記参考例と同様である。以上のよ
うに構成した実施例においても上記参考例と同様に給湯
器の熱交換器のフィン詰まり異常を従来に較べて簡単か
つ安価に検出することができる。

【００２１】なお、上記実施例においては、熱交換器異
常検出装置による異常検出を２段階に分けて行い、まず
異常表示を行い、さらに検出温度が高い２段目で給湯器
の燃焼状態を停止させるようにしているが、異常表示と
燃焼停止を同時に行うようにしてもよい。また、燃焼状
態は停止させないで、例えば最大能力を制限（２０号か
ら１６号等）して安全に使用できるようにすることもで
きる。さらに、異常表示基準温度を２つの値としている
が、３つ以上の基準温度を設けて熱交換器のフィン詰ま
りの程度に応じて表示させるようにしてもよい。また、
熱交換器異常表示ランプの表示モードについては、上記
実施例に示したものに限らず種々変更して実施すること
ができる。さらに、熱交換器の異常表示手段としては、
ランプに限らずブザー等の音響表示手段を用いることが
できる。なお、上記実施例に示した給湯器の熱交換器異
常検出装置は、台所や洗面所の給湯器に用いられるもの
であるが、その他風呂釜用の給湯器等にも用いることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の参考例に係る給湯器を概略的に示す模
式図である。

【図２】同給湯器の電気制御装置を示すブロック図であ
る。

【図３】図２の制御回路により実行される「湯沸制御プ
ログラム」のフローチャートである。

【図４】実施例に係る給湯器の一部を示す模式図であ
る。

【符号の説明】

１０…給湯器、１１…燃焼室、１２…熱交換器、１２ａ
…フィン、１３…バーナ、１５…排気フード、１６…サ
ーミスタ、１７…送風器、１７ａ…ファン、１７ｂ…電
動モータ、１８…基準温度設定スイッチ、１９…熱交換
器異常表示ランプ、２１…給湯栓、２２…水流スイッ
チ、３０…電気制御装置、３１…制御回路、３３…サー
ミスタ、Ｐ1…給水管、Ｐ2…給湯管。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平５−322160（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−196229（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−164323（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−52129（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−41946（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−63547（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−21657（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F23N 5/24 104 F23N 5/02 345

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 給水管および給湯管を備えたフィンチュ
   ーブ型熱交換器と、この熱交換器を加熱するガスバーナ
   とを備えた給湯器において、 前記熱交換器の壁面に取り付けられて該熱交換器の外壁
   温度を検出する温度センサと、 所定の基準温度を設定する基準温度設定手段と、 前記温度センサの検出値と前記基準温度設定値とを比較
   し、前記検出値が前記基準温度設定値より大きくなった
   ときに警告信号を出力する比較手段と、 前記警告信号を受けてこれを表示する警告表示手段とを
   設けたことを特徴とするフィン詰まり検出装置を備えた
   給湯器。
2. 【請求項２】 上記請求項１に記載のフィン詰まり検出
   装置を備えた給湯器において、前記比較手段による警告信号を２段階に分けて出力し、
   ２段目の警告信号を受けて前記バーナによる燃焼動作を
   停止させる燃焼停止制御手段を設けたことを特徴とする
   給湯器の熱交換器異常検出装置 。