JP3517621B2

JP3517621B2 - 画像形成装置

Info

Publication number: JP3517621B2
Application number: JP33650599A
Authority: JP
Inventors: 雅博井上
Original assignee: Canon Inc
Current assignee: Canon Inc
Priority date: 1998-11-27
Filing date: 1999-11-26
Publication date: 2004-04-12
Anticipated expiration: 2019-11-26
Also published as: JP2000221807A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式ある
いは静電記録方式を採用した画像形成装置に関し、特に
中間転写体を使用してカラー画像を形成する画像形成装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、電子写真方式を用いた種々の
画像形成装置が提案または実施されてきている。たとえ
ば、感光ドラム上に形成されたトナー像を中間転写ベル
トまたは中間転写ドラムに順次重ね合わせて１次転写
し、中間転写ベルトまたは中間転写ドラム上のトナー像
を転写材に２次転写する方式のものがある。以下、この
方式を用いた画像形成装置について説明する。

【０００３】中間転写ドラムを用いた画像形成装置の画
像形成プロセスについて簡単に説明すると、感光ドラム
が所定の周速度をもって回転駆動され、その感光ドラム
の表面を帯電器により一様に帯電し、露光装置によりレ
ーザービームを走査露光して、感光ドラム上に１色目の
静電潜像が形成され、その潜像が現像装置により現像さ
れる。現像装置には、イエロートナー、マゼンタトナ
ー、シアントナーおよびブラックトナーをそれぞれ収容
した４個の現像器が設置されている。感光ドラム上の１
色目の静電潜像は、イエロー用の現像器により現像し
て、イエロートナー像として可視化される。

【０００４】形成されたイエロートナー像は、中間転写
ドラムと感光ドラムとが接触する１次転写部において、
中間転写ドラムに静電転写される（１次転写）。１次転
写が終了した感光ドラムは、その表面に残存するトナー
をクリーナにより除去した後、つぎの色の画像形成に供
される。

【０００５】同様に、感光ドラムに対し、帯電器による
帯電、レーザービームの露光を行って２色目の静電潜像
を形成し、その感光ドラム上の潜像をマゼンタ用の現像
器により現像して、感光ドラム上にマゼンタトナー像を
形成する。そのマゼンタトナー像は、中間転写ドラム上
にイエロートナー像の上から重ねて転写される。

【０００６】上記の工程をシアン、ブラックについても
繰り返し、中間転写ドラム上へ順次重ね合わせて転写さ
れる。これにより、中間転写ドラム上にイエロー、マゼ
ンタ、シアンおよびブラックの４色のトナー像を積層し
たカラー画像が形成される。

【０００７】その後、離間状態にあった２次転写帯電器
が中間転写ドラム表面に当接され、中間転写ドラムと２
次転写帯電器とが接触する２次転写部において、そこに
所定のタイミングで搬送されてくる転写材の表面に、中
間転写ドラム上の４色のトナー像が一括して転写される
（２次転写）。

【０００８】４色のトナー像が転写された転写材は、中
間転写ドラムから定着器へ搬送され、そこで熱ローラな
どによる定着を受けてフルカラーの永久画像とされた
後、画像形成装置の機外に排出される。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上述したような方式を
用いた画像形成装置においては、２次転写工程で、中間
転写ドラム上の４色分積層された大量のトナーを一括し
て転写材に転写することになる。このとき、転写される
トナーの電荷量の絶対値が比較的小さければ、２次転写
は良好に行われる。

【００１０】しかしながら、画像形成装置が使用される
環境の雰囲気や、転写材の種類によって、特に低湿環境
において顕著に認められるのであるが、トナーの電荷量
の絶対値が非常に大きくなった状態で、中間転写ドラム
から転写材に十分な量のトナーを転写、保持させようと
すると、異常放電の跡のような画像不良（点状の転写抜
け）が起きてしまうといった問題があった。このような
現象は、転写材の単位面積当たりに保持可能な電荷量
が、転写材の種類によって異なるためであると思われ
る。

【００１１】画像形成に用いられる４色のトナーのう
ち、少なくとも１色のトナーの電荷量が他の色のトナー
の電荷量よりも小さい場合に、４色のトナーの転写性を
そろえようとすると、一次転写終了後であって、２次転
写開始する前に、中間転写ドラム上のトナー像にコロナ
帯電器等の手段で再帯電を施し、４色分の電荷量を同様
にして転写性をそろえるということがよく行われるが、
このようにすると、トナーの電荷量の絶対値が前の状態
よりも大きなものとなり、上述したのと同じく、２次転
写時に異常放電の跡のような画像不良が起きてしまっ
た。

【００１２】本発明の目的は、安定した２次転写を実現
し、点状の転写抜け等の転写不良のない高品質な画像を
得ることができる画像形成装置を提供することである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
画像形成装置にて達成される。要約すれば、第１の本発
明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上
のトナー像が転写される中間転写体と、該中間転写体上
のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、該転
写手段に電圧が印加されることで、転写材のトナー像が
転写される面とは反対側の面にトナーの正規の帯電極性
とは逆極性の電荷が付与されて、転写材へのトナー像の
静電転写が行われる画像形成装置において、前記像担持
体から転写された前記中間転写体上のトナー像を転写材
に転写する前に、転写材のトナー像が転写される面にお
けるトナー像が転写される領域を、トナーの正規の帯電
極性とは逆極性に予め帯電する帯電手段を有することを
特徴とする画像形成装置である。

【００１４】本発明の一実施態様によれば、転写材の種
類に応じて前記帯電手段に印加する電圧を制御する制御
手段を有する。一実施態様では、湿度を検知する湿度検
知手段を有し、前記制御手段は、前記湿度検知手段によ
る検知結果に応じて前記帯電手段に印加する電圧を制御
する。他の実施態様では、温度および湿度を検知する温
湿度検知手段を有し、前記制御手段は、前記温湿度検知
手段による検知結果に応じて前記帯電手段に印加する電
圧を制御する。更に他の実施態様では、転写材の種類を
判別する判別手段を有し、前記制御手段は、前記判別手
段による検知結果に応じて前記帯電手段に印加する電圧
を制御する。

【００１５】本発明の一実施態様によれば、転写材の種
類に応じて前記帯電手段により転写材に付与される単位
面積当たりの電荷量を制御する制御手段を有する。一実
施態様では、湿度を検知する湿度検知手段を有し、前記
制御手段は、前記湿度検知手段による検知結果に応じて
前記帯電手段により転写材に付与される単位面積当たり
の電荷量を制御する。他の実施態様では、温度および湿
度を検知する温湿度検知手段を有し、前記制御手段は、
前記温湿度検知手段による検知結果に応じて前記帯電手
段により転写材に付与される単位面積当たりの電荷量を
制御する。更に他の実施態様では、転写材の種類を判別
する判別手段を有し、前記制御手段は、前記判別手段に
よる検知結果に応じて前記帯電手段により転写材に付与
される単位面積当たりの電荷量を制御する。

【００１６】本発明の一実施態様によれば、前記帯電手
段に接続される定電流電源を有し、前記制御手段は前記
帯電手段を流れる電流値を制御する。一実施態様では、
前記像担持体から前記中間転写体に複数色のトナー像が
順次転写され、前記中間転写体上の複数色のトナー像は
転写材に転写される。又、第２の本発明によると、トナ
ー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー像
が転写される中間転写体とを有する画像形成装置におい
て、前記像担持体から転写された前記中間転写体上のト
ナー像を転写材に静電的に転写する前に、転写材のトナ
ー像が転写される面をトナーの正規の帯電極性とは逆極
性に予め帯電する帯電手段と；転写材の搬送方向と実質
的に直交する方向の長さに応じて前記帯電手段に印加す
る電圧を制御する制御手段と；を有することを特徴とす
る画像形成装置が提供される。更に、本発明の第３の態
様によると、トナー像を担持する像担持体と、前記像担
持体上のトナー像が転写される中間転写体とを有する画
像形成装置において、前記像担持体から転写された前記
中間転写体上のトナー像を転写材に静電的に転写する前
に、転写材のトナー像が転写される面をトナーの正規の
帯電極性とは逆極性に予め帯電する帯電手段と；転写材
の搬送方向と実質的に直交する方向の長さに応じて前記
帯電手段により転写材に付与される単位面積当たりの電
荷量を制御する制御手段と；を有することを特徴とする
画像形成装置が提供される。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施例を図面
に則して更に詳しく説明する。

【００１８】実施例１図１は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構
成図である。本装置は電子写真方式のカラー画像形成装
置で、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの４つの
画像形成ユニットを有し、フルカラー画像を出力する。

【００１９】本画像形成装置は、現像方法として２成分
接触現像法を用い、２成分現像剤として磁性キャリアに
重合法で生成したトナーを混合した現像剤を用いてい
る。また各画像形成ユニットの現像器はクリーナを兼ね
ており、感光ドラムのクリーナが省略されている。

【００２０】各画像形成ユニットで形成されたトナー像
は、中間転写ベルト８２上に第１の転写手段により多重
転写した後に、転写材に第２の転写手段により一括して
転写されることにより、フルカラー画像が形成される。

【００２１】初めに、画像形成プロセスについて述べ
る。まず、原稿台１０上に原稿Ｇを複写すべき面をした
側にしてセットする。つぎにコピーボタンを押すことに
より複写が開始される。原稿画像の読み込みは、スキャ
ナーユニット１９により行い、読み込まれたレッド、グ
リーン、ブルーの色画像情報を、イエロー、マゼンタ、
シアン、ブラックに色分解し、それぞれの信号に変換し
てプリンター部へ送る。

【００２２】プリンター部には、イエロー、マゼンタ、
シアン、ブラックのそれぞの画像形成ユニットが設置さ
れている。各画像形成ユニットは、像担持体である感光
ドラム１と、感光ドラム１を均一に帯電する帯電ローラ
３１と、帯電した感光ドラム１に静電潜像を形成する像
露光系としてのＬＥＤ固体スキャナー１１０と、形成さ
れた静電潜像をトナーで現像する現像器４Ｙ、４Ｍ、４
Ｃ、４Ｋと、得られたトナー像を中間転写ベルト８２に
静電的に転写する第１転写手段の転写ローラ７１とが配
置されている。

【００２３】プリンター部にイエローの画像信号が送ら
れると、イエローの画像形成ユニットでは、予め帯電ロ
ーラ３１により負極性に帯電した感光ドラム１に、スキ
ャナー１１０によりイエロー画像信号に対応した光信号
を照射することにより、感光ドラム１上に静電潜像を形
成する。この静電潜像を正規の帯電極性が負極性のイエ
ロートナーを収容した現像器４Ｙで現像して、感光ドラ
ム１上にイエロートナー像を形成する。このイエロート
ナー像は、第１の転写手段の転写ローラ７１により中間
転写ベルト８２上に転写される。

【００２４】この動作と同時にマゼンタの画像ユニット
で、マゼンタの画像信号に対応した光信号を感光ドラム
１に照射することにより、感光ドラム１上に静電潜像を
形成し、この静電潜像をマゼンタトナーを収容した現像
器４Ｍで現像して、感光ドラム１上にマゼンタトナー像
が形成される。このようにして形成されたマゼンタトナ
ー像は、既にイエロートナー像が形成された中間転写ベ
ルト８２上に重ね合わせるようにして転写される。さら
に同様の工程をシアン、ブラックについても行うことに
より、フルカラー画像が中間転写ベルト８２上に形成さ
れる。

【００２５】上記の工程によって得られた中間転写ベル
ト８２上のフルカラー画像は、転写材収納カセット２９
または３０から搬送して、転写ローラ７２が設置された
第２転写部に供給された転写材Ｐに、正極性の電圧を印
加した転写ローラ７２により２次転写される。転写材Ｐ
は、カセット２９または３０からがピックアップローラ
７３または７４により取り出され、レジストローラ対７
５、７５により第２転写部に、中間転写ベルト８２上の
フルカラー画像と同期をとって供給される。

【００２６】本発明によれば、このとき、レジストロー
ラ対７５、７５からの転写材Ｐは、逆帯電ローラ７６お
よびその対向ローラ７７を経て第２転写部に供給され
る。これについては後述する。

【００２７】フルカラー画像が転写された転写材Ｐは、
定着器１６に搬送されて熱定着される。このとき、中間
転写ベルト８２上に残留したトナーは、ＯＮ／ＯＦＦが
可能なクリーニング器５１によって清掃される。

【００２８】さて、前述したように、低湿環境等のトナ
ーの電荷量が非常に大きくなるような状況では、中間転
写体上に積層されたトナー像を転写材に転写する際、異
常放電等を生じて、画像不良が発生しやすい。

【００２９】本発明者らが研究したところによれば、こ
の異常放電は以下に述べるようなメカニズムで発生する
ことが解明できた。

【００３０】まず、図２に、たとえば２３℃／５％の低
湿環境の雰囲気に十分馴染んだ転写材の表面に外部から
与えた面電荷密度と転写材の表面電位との関係を示す。

【００３１】この図２を参照すると分かるように、低湿
環境下、すなわち空気中の絶対水分量が非常に小さい環
境下においては、転写材の表面電位はある一定値以上に
はならず、飽和することが明らかである。ちなみに２３
℃／５％における絶対水分量は０．５ｇ／空気１ｋｇで
ある。

【００３２】この２３℃／５％の環境の雰囲気に十分に
馴染んだ転写材の表面電位の飽和値は、転写材の種類に
よっても異なるが、日本製紙（株）製ＰＢ−ＳＫ紙（坪
量６４ｇ／ｍ²）の場合、おおよそ２ｋＶ程度であっ
た。これを保持可能な電荷量の形で表すと約５００μＣ
／ｍ²であった。この状況はプラス極性、マイナス極性
によらずほぼ同様の傾向を示す。ちなみにこのような低
湿環境下であっても、ＯＨＴフィルムのような環境の雰
囲気の影響を受けにくい転写材の場合は、図２に示すよ
うに、上記の紙とは異なりその表面電位、すなわち保持
可能な電荷量が飽和するといったことはない。

【００３３】つぎに、図３に、たとえば２３℃／６０％
の常温常湿環境の雰囲気に十分馴染んだ転写材の表面に
外部から与えた面電荷密度と転写材の表面電位との関係
を示す。

【００３４】この図３を参照すると分かるように、常温
常湿環境下、すなわち空気中の絶対水分量が適度に存在
する環境下においては、転写材の表面電位は、本発明の
ような通常の電子写真プロセスの画像形成で用いられる
２次転写電圧程度、具体的には約１０ｋＶ程度まで、転
写材表面に外部から与えられた面電荷密度と比例関係に
あることが明らかである。ちなみに２３℃／６０％にお
ける絶対水分量は１０．０ｇ／空気１ｋｇである。

【００３５】また、図４に、環境の雰囲気の絶対水分量
が変化したときの転写材の保持できる面電荷密度の関係
を示す。

【００３６】このグラフに示した転写材は、先ほどの図
２、図３に示した転写材と同じ日本製紙（株）製ＰＢ−
ＳＫ紙（坪量６４ｇ／ｍ²）である。図４からよく分か
るように、転写材の保持できる面電荷密度と環境の雰囲
気、すなわち絶対水分量との間には強い相関があり、絶
対水分量が小さくなるとともに転写材の保持できる面電
荷密度も小さくなっていくことが明白となった。

【００３７】実際に画像形成に用いるトナーの電荷量等
も考慮して、異常放電による画像不良の問題の発生メカ
ニズムを検証し直すと、以下のようになる。

【００３８】感光ドラムに現像により付着するトナーの
電荷量は、２成分現像法を用いた場合、２３℃／５％の
低湿環境下では約−３０μＣ／ｇであり、ベタ画像部
（すなわち最大画像濃度部）に必要とされるトナーの乗
り量は０．０１ｋｇ／ｍ²である。ところで、フルカラ
ーの画像形成を行う場合、４色のトナーを重ねるわけで
あるが、このときの単位面積あたりのトナーの乗り量の
上限値は定着条件や画像処理の方法によって決まってく
るが、単色画像形成時のほぼ２倍に設定されることが多
い。従って、フルカラー画像形成では、トナーによる最
大の面電荷密度は−６００μＣ／ｍ²となる。

【００３９】一方、転写材として前記の日本製紙（株）
製ＰＢ−ＳＫ紙（坪量６４ｇ／ｍ²）を用いた場合、こ
の低湿環境の雰囲気下においては、転写材の保持できる
最大の面電荷密度の絶対値は５００μＣ／ｍ²であった
ので、−１００μＣ／ｍ²のトナー電荷が保持できない
計算になる。この保持不可能な電荷により異常放電が発
生し、画像不良が引き起こされるものと考えられる。

【００４０】すなわち、低湿環境では、転写材が電気的
に特性変化を生じてしまい、転写材が所定量以上の表面
電位にならない、換言すれば、転写材表面に所定量以上
の電荷を保持することが不可能となり、像担持体上に形
成されたトナー像を転写材に転写しようとすると、トナ
ーの総電荷量が大きくなってきて、それに見合った転写
電界を転写材に印加すると、転写材は所定量以上の電荷
を保持できないので、異常放電が発生しやすくなり、画
像不良を起こすものと考えられる。

【００４１】以上の内容を数式で表すと以下のようにな
る。

【００４２】まず、転写材の保持可能な最大面電荷量Ｑ
ｐ（Ｃ／ｍ²）を、転写材の種類と転写材の置かれてい
る環境雰囲気を変数として与える関数Ｑｐ＝Ｑｐ（ｓ，
ｋ）の値とする。ただし、ｓは転写材の種類、ｋは環境
雰囲気の絶対水分量（ｇ／空気１ｋｇ）である。

【００４３】つぎに、トナー単位重量あたりの電荷量Ｑ
ｔを、環境雰囲気を変数として与える関数Ｑｔ＝Ｑｔ
（ｋ）の値とすると、転写材に転写されるトナーの単位
面積あたりの重量をＭ（ｋｇ／ｍ²）として、Ｑｐ（ｓ，ｋ）≧Ｍ・Ｑｔ（ｋ）・・・（１）なる数式（１）を満足するようなトナー乗り量Ｍを超え
て、転写材に転写されたトナー像は、転写材に保持でき
なくなり、異常放電が発生したような画像不良を起こ
す。したがって、転写材の最大保持可能電荷量によって
は、画像不良防止のために単位面積あたりのトナー乗り
量Ｍの最大値を下げなければならない。すなわち濃度低
下を余儀なくされる。

【００４４】このような問題に対し、本発明者は、トナ
ー像の転写工程に先だって転写材に予め、転写工程で転
写材に与えられる電荷とは逆極性の電荷を与えておくこ
とにより、転写材上に保持せ得る単位面積あたりのトナ
ーの電荷量を増加させることができることを見出した。
以下、これについて数式を用いて説明する。

【００４５】転写材に予め与えておく転写工程で与えら
れる電荷とは逆極性の電荷の単位面積あたりの電荷密度
をＱａ（ｓ，ｋ）（Ｃ／ｍ²）とすると、転写可能な単
位面積あたりのトナー乗り量の最大値Ｎは、｜Ｑｐ（ｓ，ｋ）｜＋｜Ｑａ（ｓ，ｋ）｜≧Ｎ・｜Ｑｔ（ｋ）｜・・・（２）上記数式（２）を満足するようなレベルまで増加させる
ことが可能となる。ただし、式（２）において、Ｑｐ
（ｓ，ｋ）とＱａ、Ｑｔ（ｋ）は逆極性である（したが
ってＱａとＱｔ（ｋ）は同極性）。

【００４６】また、Ｑａについてもその大きさはＱｐ
（ｓ，ｋ）と同様の制限を受けることとなるので、｜Ｑｐ（ｓ，ｋ）｜≧｜Ｑａ｜は満足している必要がある。

【００４７】したがって、本発明を実施した場合に得ら
れる転写可能なトナー乗り量の最大値Ｎは、｜Ｑｐ（ｓ，ｋ）｜＝｜Ｑａ｜・・・（３）のときに得られ、このときのトナー乗り量Ｎの値は、式
（１）、（２）、（３）から、Ｎ＝２Ｍとなり、異常放
電が発生したような画像不良を起こすことなく、従来の
２倍の量までトナーを転写することができる。

【００４８】転写材が上述の低湿環境に置かれたような
状態になったときには、転写材に２次転写時とは逆の電
荷、すなわち転写材のトナー像が転写される側とは反対
側の裏面に、トナーの正規の帯電極性と同極性の電荷を
予め与えるか、もしくは転写材のトナー像が転写される
表面に、トナーの正規の帯電極性と逆極性の電荷を予め
与えておくようにすることにより、転写材の保持可能な
面電荷密度の最大値を見かけ上約２倍まで増加して、ト
ナー像の単位面積あたりの電荷量が転写材の保持可能な
単位面積あたりの最大電荷量を超えないようにでき、異
常放電による画像不良の発生を防止でき、良好な画像を
得ることが可能となる。

【００４９】そこで、本発明では、上述したように、転
写ローラ７２を設置した２次転写部の手前に、定電流電
源が接続された逆帯電ローラ７６および電気的に接地さ
れた対向ローラ７７を設けて、２次転写時に転写ローラ
７２により与えられる帯電電荷とは逆極性の電荷を、２
次転写に前もって逆帯電ローラ７６、対向ローラ７７に
より転写材Ｐに与えるようにした。本実施例では、逆帯
電ローラ７６側から転写材Ｐの裏面に、２次転写時とは
逆極性の電荷（トナーと同極性の電荷）、すなわち負の
電荷を与えた。

【００５０】具体的に２次転写とは逆極性の電荷をどの
程度予め転写材に与えるかについては、上述の数式
（１）〜（３）に基づくが、下記の手順によることが好
ましい。

【００５１】転写材Ｐとして、前述の日本製紙（株）製
ＰＢ−ＳＫ紙（坪量６４ｇ／ｍ²）を用いた場合を例に
示せば、この転写材が保持可能な最大面電荷密度の絶対
値｜Ｑｐ｜の最小値は、転写材が放置されている環境の
雰囲気の温湿度が２３℃／５％であるときであり、その
値は５００μＣ／ｍ²である。

【００５２】負帯電特性のトナーを用いた場合、２次転
写時に転写材の裏面側に与えられる電荷の極性は正であ
り、全ての装置使用環境に対して（すなわち、最も低湿
な環境下に対しても）、Ｑｐは＋５００μＣ／ｍ²まで
はとることが可能である。これからＱａは−５００μＣ
／ｍ²まで可能となるので、本発明では、逆帯電ローラ
７６により転写材の裏面（トナー像の転写面とは逆側の
面）から−５００μＣ／ｍ²の面電荷密度となるよう
に、転写材に逆帯電を施した。

【００５３】また帯電電荷量が約−３０μＣ／ｇである
ようなトナーを転写材に転写するとすると、前記の式
（２）に従い、転写材の転写可能な単位面積あたりのト
ナー乗り量の最大値は、（｜５００｜＋｜−５００｜）／｜−３０｜＝０．０３
３３ｋｇ／ｍ² となる。したがって、十分な画像濃度を得るために必要
な１色あたりのトナー乗り量がほぼ０．０１ｋｇ／ｍ²
であっても、本発明に従えば、全ての環境において３．
３３色分まで、異常放電による画像不良を生じることな
く、転写材に画像を転写することが可能となる。つま
り、２次色以上の画像形成においても、画像濃度の低下
や色味の変化といった弊害を生じることがなく、画像不
良を防止することが可能となった。

【００５４】本実施例では、２次転写に先立ち、転写材
への２次転写時とは逆極性の電荷付与として、逆帯電ロ
ーラ７６により転写材のトナー像転写面とは反対側の裏
面にトナーと同極性の電荷を与えるような構成とした
が、これとは逆に対向ローラ７７に電源を接続して転写
材表面にトナーと同極性の電荷を与えるような構成とし
てもよく、同様な効果を得ることができる。

【００５５】また逆帯電部材として逆帯電ローラ７６と
対向ローラ７７のローラ対を用いたが、本発明はこれに
限られるものではなく、コロナ帯電器やブラシ状の帯電
部材など、転写材に電荷を供給できるものであれば、い
ずれも使用可能であることはいうまでもない。

【００５６】ところで、本実施例では、日本製紙（株）
製ＰＢ−ＳＫ紙（坪量６４ｇ／ｍ²）を用いた場合につ
いて述べたが、他の転写材についても、同様な逆帯電電
荷付与によって画像不良の発生が防止可能である。ただ
し、転写材によって保持可能な単位面積あたりの面電荷
密度が異なるので、転写材の種類に応じて、この値に逆
帯電するときの逆帯電電荷量を変更可能とすることが好
ましい。

【００５７】すなわち、転写材の種類に応じて、定電流
電源から逆帯電部材に流れる電流値を制御手段（ＣＰ
Ｕ）により制御することが好ましい。定電圧電源を用い
て転写材の逆帯電を行う場合、定電圧電源から逆帯電部
材に印加する電圧をＣＰＵにより制御すればよい。

【００５８】本実施例のより一層好ましい態様として
は、画像形成装置本体内、しかもできるだけ転写材収納
カセット２９、３０の近傍に、温度および湿度を測定可
能な温湿度センサー２０を設け、この温湿度センサー２
０により検知された装置内の温度・湿度を用いて、絶対
水分量を演算により求めるようにする。一方、図４に示
したような絶対水分量と転写材の保持できる面電荷密度
の関係式を、転写材の種類に応じた数だけ装置本体内
（ＲＯＭ等の記憶手段）に記憶させておき、画像形成装
置の使用に当たり、使用者が転写材の種類を予め装置本
体に入力すると、この入力された転写材情報と装置本体
内の雰囲気の絶対水分量から、予め装置本体内に記憶さ
れている転写材ごとの保持可能な最大面電荷密度量を割
り出してやるようにすれば、さらに好ましい結果が得ら
れることは明らかである。

【００５９】また、転写材の搬送方向と実質的に直交す
る方向の長さに応じて、逆帯電部材に流れる電流（印加
される電圧）をＣＰＵにより制御することで、転写材へ
のトナー像転写のために必要な転写電流を適正にするこ
とができる。

【００６０】さらに、転写材の保持可能な単位面積あた
りの面電荷密度を以下のような方法で自動的に検出し、
この検出値に基づき逆帯電量を決定してもよい。

【００６１】自動的に検出する方法としては、通常の画
像形成とは別に、中間転写ベルト８２上にトナー像を転
写することなく、転写材を２次転写部に移送し、転写ロ
ーラ７２に定電流制御で転写電圧を印加し、このときの
転写電圧を検出するようにした。

【００６２】つまり、２次転写電流値Ｉ０と、それより
もΔＩだけ大きい２次転写電流値Ｉ１とに対する転写電
圧を測定し、これら転写電圧の差分ΔＶ１を演算により
求める。さらにＩ１よりΔＩだけ大きい２次転写電流値
Ｉ２に対する転写電圧を測定し、転写電流Ｉ１のときの
転写電圧との差分ΔＶ２を演算する。この転写電圧の差
分ΔＶ１、ΔＶ２は通常一定であるが、転写材への供給
電荷量が転写材の保持できる電荷量を超えると、ΔＶｉ
（ｉ＝１、２）が減少し始める。そこで、ΔＶｉが減少
し始める直前の２次転写電流を上記の検出フローより求
め、この２次転写電流値により転写材の最大保持電荷量
を推定し、逆帯電時の逆帯電電荷量（電柱値または印加
電圧）を決定するようにした。

【００６３】このように構成することによって、転写材
の種類を入力することなく、自動的に逆帯電電荷量を決
定することができる。

【００６４】ただし、上記の手段は、あくまでも転写材
の最大保持電荷量を自動検知する一手段であり、他の手
段でも構わない。たとえば、２次転写高圧電源の出力を
定電圧制御して、そのときの電流を検知するような構成
としてもよいし、あるいは赤外線水分量計により転写材
の水分量を検知し、転写材の水分量と最大保持電荷量の
関係より、転写材の最大保持電荷量を自動検知するよう
にしてもよい。

【００６５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
トナー像を担持する像担持体と、像担持体上のトナー像
が転写される中間転写体と、該中間転写体上のトナー像
を転写材に転写する転写手段とを有し、該転写手段に電
圧が印加されることで、転写材のトナー像が転写される
面とは反対側の面にトナーの正規の帯電極性とは逆極性
の電荷が付与されて、転写材へのトナー像の静電転写が
行われる画像形成装置において、像担持体から転写され
た中間転写体上のトナー像を転写材に転写する前に、転
写材のトナー像が転写される面におけるトナー像が転写
される領域を、トナーの正規の帯電極性とは逆極性に予
め帯電する帯電手段を有する構成とされるので、転写材
における電荷保持能力を高め、転写不良を効果的に防止
することができ、例えば、転写材の保持可能な面電荷密
度の最大値を見かけ上約２倍まで増加して、トナー像の
単位面積あたりの電荷量が転写材の保持可能な単位面積
あたりの最大電荷量を超えないようにでき、中間転写体
上に積層されたトナー像を、特に低湿環境下における異
常放電を生じることなく転写材に転写して、点状の転写
抜け等の転写不良のない高品質なカラー画像を得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構
成図である。

【図２】低湿環境下での転写材に与えられた面電荷密度
と転写材の表面電位の関係を示す図である。

【図３】常湿環境下での転写材に与えられた面電荷密度
と転写材の表面電位の関係を示す図である。

【図４】環境の雰囲気の絶対水分量と転写材の保持可能
な面電荷密度の関係を示す図である。

【図５】従来の画像形成装置を示す概略図である。

【符号の説明】

１感光ドラム２０温湿度センサー７１１次帯電ローラ７２２次転写ローラ７５レジストローラ７６逆帯電ローラ７７対向ローラ８２中間転写ベルトＰ転写材

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】トナー像を担持する像担持体と、前記像
担持体上のトナー像が転写される中間転写体と、該中間
転写体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有
し、該転写手段に電圧が印加されることで、転写材のトナー
像が転写される面とは反対側の面にトナーの正規の帯電
極性とは逆極性の電荷が付与されて、転写材へのトナー
像の静電転写が行われる画像形成装置において、前記像担持体から転写された前記中間転写体上のトナー
像を転写材に転写する前に、転写材のトナー像が転写さ
れる面におけるトナー像が転写される領域を、トナーの
正規の帯電極性とは逆極性に予め帯電する帯電手段を有
することを特徴とする画像形成装置。
【請求項２】転写材の種類に応じて前記帯電手段に印
加する電圧を制御する制御手段を有する請求項１の画像
形成装置。
【請求項３】トナー像を担持する像担持体と、前記像
担持体上のトナー像が転写される中間転写体とを有する
画像形成装置において、前記像担持体から転写された前記中間転写体上のトナー
像を転写材に静電的に転写する前に、転写材のトナー像
が転写される面をトナーの正規の帯電極性とは逆極性に
予め帯電する帯電手段と、転写材の搬送方向と実質的に直交する方向の長さに応じ
て前記帯電手段に印加する電圧を制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項４】湿度を検知する湿度検知手段を有し、前
記制御手段は、前記湿度検知手段による検知結果に応じ
て前記帯電手段に印加する電圧を制御する請求項２また
は３の画像形成装置。
【請求項５】温度および湿度を検知する温湿度検知手
段を有し、前記制御手段は、前記温湿度検知手段による
検知結果に応じて前記帯電手段に印加する電圧を制御す
る請求項２または３の画像形成装置。
【請求項６】転写材の種類を判別する判別手段を有
し、前記制御手段は、前記判別手段による検知結果に応
じて前記帯電手段に印加する電圧を制御する請求項２ま
たは３の画像形成装置。
【請求項７】転写材の種類に応じて前記帯電手段によ
り転写材に付与される単位面積当たりの電荷量を制御す
る制御手段を有する請求項１の画像形成装置。
【請求項８】トナー像を担持する像担持体と、前記像
担持体上のトナー像が転写される中間転写体とを有する
画像形成装置において、前記像担持体から転写された前記中間転写体上のトナー
像を転写材に静電的に転写する前に、転写材のトナー像
が転写される面をトナーの正規の帯電極性とは逆極性に
予め帯電する帯電手段と、転写材の搬送方向と実質的に直交する方向の長さに応じ
て前記帯電手段により転写材に付与される単位面積当た
りの電荷量を制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項９】湿度を検知する湿度検知手段を有し、前
記制御手段は、前記湿度検知手段による検知結果に応じ
て前記帯電手段により転写材に付与される単位面積当た
りの電荷量を制御する請求項７または８の画像形成装
置。
【請求項１０】温度および湿度を検知する温湿度検知
手段を有し、前記制御手段は、前記温湿度検知手段によ
る検知結果に応じて前記帯電手段により転写材に付与さ
れる単位面積当たりの電荷量を制御する請求項７または
８の画像形成装置。
【請求項１１】転写材の種類を判別する判別手段を有
し、前記制御手段は、前記判別手段による検知結果に応
じて前記帯電手段により転写材に付与される単位面積当
たりの電荷量を制御する請求項７または８の画像形成装
置。
【請求項１２】前記帯電手段に接続される定電流電源
を有し、前記制御手段は前記帯電手段を流れる電流値を
制御する請求項２〜１１のいずれかの項に記載の画像形
成装置。
【請求項１３】前記像担持体から前記中間転写体に複
数色のトナー像が順次転写され、前記中間転写体上の複
数色のトナー像は転写材に転写される請求項１〜１２の
いずれかの項に記載の画像形成装置。