JP3516387B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
熱可塑性エラストマー組成物Info
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Description
(ポリ塩化ビニル)と軟質PVCの2色同時成形が用い
られていた分野(例えば戸当たりパッキンなど)におい
て、環境問題等からPVC以外の材料が使われようとす
るときに、硬質PVC代替として通常用いられるABS
と溶融接着が可能な軟質PVC代替エラストマー組成物
に関するものである。
に硬質PVC/軟質PVCの2色同時成形(押出成形、
射出成形など)が用いられていた。しかしながら昨今の
環境問題などからPVCの使用が敬遠されるようになり
その代替材料として硬質側にはABS樹脂が用いられる
ことが多いが、ABSと溶融接着する適当な軟質材料が
なく、界面に接着剤を用いるなどより複雑な工程を経て
成形品が生産される場合が多かった。この場合トータル
コストがかなり高価になり、限定された分野でしかPV
Cからの置き換えが進んでいないのが現状であった。
の問題点を解決し、PVCと同様の加工工程で十分な接
着強度を持った、ABS樹脂との2色成形品を得ること
を可能にした新規な熱可塑性エラストマー組成物を提供
するところにある。
究を進めた結果、a成分の水添ブロック共重合体として
知られるスチレン系エラストマーのうち特に数平均分子
量が70000以上のものを主成分とし、b成分の極性
基で変成したスチレン系エラストマーの存在下、d成分
のエチレン−一酸化炭素−アクリル酸アルキルエステル
共重合体を添加アロイ化することによってABSとの良
好な溶融接着性を発現し、c成分のプロピレンと炭素数
2〜8のα−オレフィンとの共重合体を添加アロイ化す
ることによって耐熱性、成形性を保持するという配合設
計思想で、ABSとの2色同時押出成形によって良好な
接着性をもつ成形品が得られることを見いだし、本発明
を完成するに至ったものである。
c、dからなる熱可塑性エラストマー組成物である。 (a)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とす
る末端重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエ
ン化合物を主体とする中間重合体ブロックBとからなる
ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック
共重合体でスプリング硬度(JIS K6301) が99以下のも
ので、かつ数平均分子量が70000以上のもの 5〜
60重量% (b)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とす
る末端重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエ
ン化合物を主体とする中間重合体ブロックBとからなる
ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック
共重合体を極性基で変成したもので酸価が1〜30mg
(CH3ONa)/gのもの 1〜20重量% (c)プロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの
共重合体のうち熱変形温度が90℃以上のもの 3〜6
0重量% (d)エチレン−一酸化炭素−アクリル酸アルキルエス
テル共重合体 20〜90重量%
発明で用いられる水添ブロック共重合体は、少なくとも
2個のビニル芳香族化合物を主体とする末端重合体ブロ
ックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体と
する中間重合体ブロックBとからなるブロック共重合体
を水素添加して得られるものであり、下記一般式で示さ
れる構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合
物ブロック共重合体の水素添加されたものである。 A−(B−A)n (1≦n≦5) この水添ブロック共重合体は、水添ブロック共重合体エ
ラストマー組成物を得るために硬度99以下、好適には
90以下のものを使用する必要があるので、ビニル芳香
族化合物を5〜50重量%、好ましくは10〜40重量
%含む。さらにブロック構造については、ビニル芳香族
化合物を主体とする末端重合体ブロックAは、ビニル芳
香族化合物重合体ブロックまたは、ビニル芳香族化合物
を50重量%を越え好ましくは70重量%以上含有する
ビニル芳香族化合物と水素添加された共役ジエン化合物
との共重合体ブロックの構造を有しており、水素添加さ
れた共役ジエン化合物を主体とする中間重合体ブロック
Bは、水素添加された共役ジエン化合物重合体ブロッ
ク、または水素添加された共役ジエン化合物を50重量
%を越え好ましくは70重量%以上含有する水素添加さ
れた共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合
体ブロックの構造を有するものである。また、ビニル芳
香族化合物を主体とする重合体ブロック及び水素添加さ
れた共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックがそ
れぞれ2個以上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞ
れが同一構造でもよく、異なる構造であっても良い。
香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のう
ちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレン
が好ましい。また水素添加された共役ジエン化合物を構
成する水添前の共役ジエン化合物としては、例えばブタ
ジエン、イソプレン、2.3−ジメチル−1.3−ブタ
ジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中で
もブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好
ましい。さらに水添ブロック共重合体の分子構造は、直
鎖状、分岐状、放射状或いはこれらの任意の組み合わせ
のいずれであっても良い。また、本発明で用いるa成分
の水添ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は70
000以上、好ましくは90000〜200000の範
囲であり、分子量分布Mw/Mnは10以下(Mw:重
量平均分子量)、好ましくは5以下、さらに好ましくは
2以下である。数平均分子量が70000未満の場合、
十分な強度を付与することができない。分子量分布が1
0をこえると強度が低下する。a成分の配合量として
は、5〜60重量%で、好ましくは20〜50重量%で
ある。a成分の配合量が5重量%未満では、充分な強
度、柔軟性付与することができず、60重量%を越える
場合は、流動性が著しく低下するため成形時後に良好な
外観の成形品を得ることができない。また、a成分の水
添ブロック共重合体は、数平均分子量が大きいため作業
性改善のために、パラフィン系オイルの油展品を適宜用
いることができる。
ブロック共重合体の極性基変成物は、成分aと成分dと
の相容性を向上させ、結果として組成物の加工性、外
観、機械特性の向上に寄与する。成分aの水添ブロック
共重合体を無水マレイン酸やエポキシ環含有基などで変
成した重合体がこれに相当するが、その中でも酸価が1
〜30mg(CH3ONa)/gのものが好ましい。酸価
が1mg(CH3ONa)/g未満では十分な相容性向上
効果が得られず、30mg(CH3ONa)/gを超える
と強度低下や成形外観の悪化が見られる。b成分の配合
量としては、1〜20重量%であり、好ましくは2〜1
0重量%である。1重量%未満では相容性向上効果が得
られず、20重量%を越えると強度低下、外観悪化を招
く。
ンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの共重合体として
は、例えばプロピレンと他の少量のα−オレフィンのラ
ンダム及びまたはブロック共重合体、具体的にはプロピ
レン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共
重合体、プロピレンー4ーメチルー1ペンテン共重合
体、及びポリ4ーメチルー1−ペンテン、ポリブテン−
1等があげられ、なかでもエチレン−プロピレンブロッ
ク共重合体が好ましく、その中でもエチレン含有量が2
〜30重量%のものが好ましい。さらに高温老化試験、
耐候性試験での物性の変化を抑えるために造核剤が添加
されていることが好ましい。このプロピレンと炭素数2
〜8のα−オレフィンとの共重合体のメルトフローレー
ト(以下MFRと記す、ASTM-D-1238L条件、230℃)は
0.1〜60g/10min特に0.5〜50g/10
minの範囲のものが好適に使用できる。メルトフロー
レートが0.1g/10min未満では、成形時の流動
性が悪化し、60g/10minを超えると耐熱性が低
下するので好ましくない。また、ここで熱変形温度(JI
S K7207 4.6kgf/cm2)を90℃以上に制限したのは、9
0℃未満の場合は耐熱性向上に効果がないためである。
b成分の配合量としては、3〜60重量%であり、好ま
しくは10〜50重量%である。b成分の配合量が3重
量%未満では十分な耐熱性を付与することができず、6
0重量%を超えると、低温での耐衝撃性が著しく低下す
る。
炭素−アクリル酸アルキルエステル共重合体は、ABS
との熱融着強度を向上させる。エチレン−一酸化炭素−
アクリル酸アルキルエステル共重合体は通常単量体であ
るエチレン、一酸化炭素、アクリル酸アルキルエステル
のそれぞれを、触媒としてt−ブチルパーオキシイソブ
チレート、またはアゾビスイソブチロニトリルなどとと
もに所定の割合で高速攪拌反応器中に供給して混合し、
高温(160〜230℃)、高圧下(24000〜270
00psi)にて高速で攪拌することによって単量体を
共重合すればよい。このエチレン−一酸化炭素−アクリ
ル酸アルキルエステル共重合体はMFRが1〜100g
/10分、好ましくは5〜100g/10分である。M
FRが1g/10分未満では製品の外観が悪く、MFR
が100g/10分を超えると成形加工性が悪くなる。
d成分の配合量としては20〜90重量%であり、好ま
しくは25〜80重量%である。20重量%未満では所
望のABSに対する十分な熱融着強度が得られず、90
重量%を超えると強度低下やコストアップを招く。
明の組成物はさらに必要に応じて、パラフィン系オイ
ル、無機充鎮剤、ポリスチレン樹脂のような安価な樹脂
を配合することも可能である。これらは、増量剤として
製品コストの低下をはかることの利益があるばかりでな
く、品質改良(無機充填剤:耐熱保形、難燃性付与等ポ
リスチレン樹脂:加工性向上等)に積極的効果を付与す
る利点もある。無機充鎮剤としては、例えば炭酸カルシ
ウム、カーボンブラック、タルク、水酸化マグネシウ
ム、マイカ、硫酸バリウム、天然ケイ酸、合成けい酸
(ホワイトカーボン)、酸化チタン等があり、カーボン
ブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラ
ック等が使用できる。これらの無機充填剤のうちタル
ク、炭酸カルシウムは経済的にも有利で好ましいもので
ある。また、この目的で使用できるポリスチレン樹脂
は、ラジカル重合法、イオン性重合法で得られるものが
好適に使用でき、その数平均分子量は5000〜500
000、好ましくは10000〜200000の範囲か
ら選択でき、分子量分布Mw/Mnは5以下のものが好
ましい。さらに必要に応じて造核剤、外滑剤、内滑剤、
紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤、着色剤等を添加しても良
い。
通常の樹脂組成物、ゴム組成物の製造に用いられる一般
的な方法を採用できる。基本的には機械的溶融混練方法
であり、これらには単軸押出機、二軸押出機、バンバリ
ーミキサー、各種ニーダー、ブラベンダー、ロール等が
用いられる。この際、各成分の添加順序には制限がな
く、例えば、全成分をヘンシェルミキサー、ブレンダー
等の混合機で予備混合し上記の混練機で溶融混練した
り、任意の成分を予備混合しマスターバッチ的に溶融混
練し、さらに残りの成分を添加し溶融混練する等の添加
方法を採用できる。また、この際溶融混練する温度は1
80℃〜300℃の中から好適に選ぶことができる。
明するが、本発明は、これら実施例に限定されるもので
はない。実施例及び比較例において配合した各成分は以
下の通りである。 <成分a>旭化成工業製タフテックH1272:ポリス
チレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン
の構造を有し、結合スチレン量35重量%、数平均分子
量が約120000(パラフィン系オイル(出光興産製
ダイアナプロセスオイルPW−380[パラフィン系プ
ロセスオイル、動粘度:381.6cst(40℃)、
30.1(100℃)、平均分子量746、環分析値:
CA=0%、CN=27%、CP=73%])35重量%
油展品)。 <成分b>旭化成工業製タフテックM1913:ポリス
チレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン
の構造を有し、結合スチレン量30重量%で極性基導入
による酸価が10mg(CH3ONa)/g。 <成分c>エチレン−プロピレンブロック共重合体:旭
ポリプロM7646:メルトフローレート15g/10
分(ASTM D1238)、熱変形温度120℃(A
STM D648(4.6kgf/cm2) <成分d>エチレン−一酸化炭素−アクリル酸アルキル
エステル共重合体:E−AE−CO:三井デュポンポリ
ケミカル製:MFR25g/10分
た配合割合のものを十分ドライブレンドした後、二軸混
練機を用いて樹脂温度が180〜270℃になるような
条件で溶融混練し押し出しペレタイズ化した。このペレ
ットを使用して以下の評価を行った。 (1)外観:このペレットより押出成形機で、0.5mm
厚、20mm幅のダイスを用いてテープ状に成形し、目
視にてブツ、肌荒れ等を観察し、良好なものを○、不良
なものを×とした。 (2)ABS接着強度:射出成形機で、ABS板をインサ
ートした金型中に、このペレットを溶融射出し、2層成
形品を得た。この成形品を20mm幅に切断して試験片
とし、万能引張試験機にて180°剥離試験を行った
(単位:kgf/20mm)。 (3)引張強さ:このペレットをロールにてシート状に延
ばし、プレス機にて2mm厚のシートとし、このシート
からダンベルを打ち抜いて、JIS K 6301により万能引張
試験機にて引張試験を行った(単位:MPa)。
明で得られた組成物は外観、強度、ABS熱融着性に優
れていることがわかる。
C/軟質PVCの組み合わせで2色成形による成形品が
用いられていた用途において、昨今の脱PVCの風潮か
ら硬質PVCがABS樹脂に置き換えられた場合に、軟
質PVCに取って代わる材料として、良好なABS熱融
着性を示し、外観、強度とも優れた成形品を提供するこ
とができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記(a)〜(d)からなる熱可塑性エ
ラストマー組成物。 (a)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とす
る末端重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエ
ン化合物を主体とする中間重合体ブロックBとからなる
ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック
共重合体でスプリング硬度(JIS K6301) が99以下のも
ので、かつ数平均分子量が70000以上のもの 5〜
60重量% (b)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とす
る末端重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエ
ン化合物を主体とする中間重合体ブロックBとからなる
ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック
共重合体を極性基で変成したもので酸価が1〜30mg
(CH3ONa)/gのもの 1〜20重量% (c)プロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの
共重合体のうち熱変形温度が90℃以上のもの 3〜6
0重量% (d)エチレン−一酸化炭素−アクリル酸アルキルエス
テル共重合体 20〜90重量% - 【請求項2】 アクリル酸アルキルエステル共重合体に
おけるアルキル基が、直鎖状または分岐状であり、炭素
数が1〜18である請求項1記載の熱可塑性エラストマ
ー組成物。
Priority Applications (1)
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JP23973899A JP3516387B2 (ja) | 1999-08-26 | 1999-08-26 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
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Publication Number | Publication Date |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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-
1999
- 1999-08-26 JP JP23973899A patent/JP3516387B2/ja not_active Expired - Fee Related
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