JP3514276B2 - 耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼板及びその製造方法

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JP3514276B2 JP27139095A JP27139095A JP3514276B2 JP 3514276 B2 JP3514276 B2 JP 3514276B2 JP 27139095 A JP27139095 A JP 27139095A JP 27139095 A JP27139095 A JP 27139095A JP 3514276 B2 JP3514276 B2 JP 3514276B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自動車の
ドアインパクトバーやバンパーリインホースメントなど
の保安部品に使用される耐遅れ破壊特性に優れた超高強
度鋼板、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の衝突時の乗員安全性向上
の観点から、ドアインパクトバーやバンパーリインホー
スメントなどの保安部品に、引張強度が980MPa を越
える超高強度鋼板が採用されるケースが増えている。と
ころが、このように鋼板強度が高まると、腐食反応等に
より鋼中に侵入する水素に起因した遅れ破壊の危険性が
高くなるという問題点が生じる。
【0003】このような問題に対処するための鋼板とし
て、例えば特開昭63ー179046号及び特開平7ー
54194号には、耐遅れ破壊特性を考慮した超高強度
鋼板が開示されている。
【0004】特開昭63ー179046号に開示される
技術は、焼鈍工程において高温域での焼鈍を行うことに
よりCの濃化を少なくしてオーステナイトとして残る量
を5%以下にし、これによって絞り加工及び耐置き割れ
性に優れた高強度薄鋼板を得る技術である。特開平7ー
54194号に開示される技術は、100kgf/mm2
上の引張強さを有する鋼板の少なくとも片面に、Ni又は
Ni基合金めっきを50〜300mg/m2施し、かつその上
層にZn又はZn基合金めっきを1〜50g/m2施すことに
より、耐遅れ破壊性に優れた高張力冷延鋼板を得る技術
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開昭63ー1790
46号に開示される鋼板においては、エチルアルコール
に7日間浸漬した後の試料1個当たりの置き割れ長さ
を、特開平7ー54194号に開示される鋼板において
は、食塩水に1週間浸漬した後の割れの発生を、それぞ
れ耐遅れ破壊性についての指標として使用している。こ
れらは、水素侵入量に換算すると2〜3ppm 程度に相当
する。
【0006】ところが、近年、材料の安全性の面から、
水素侵入量がより多い状況下においても遅れ破壊が生じ
ない超高強度鋼板が求められており、前記従来の技術に
係る鋼板は、必ずしもこれらのニーズに応えられないと
いう問題点を有する。
【0007】本発明はこの問題点を解決するするために
なされたもので、10ppm 程度の水素侵入がある場合に
おいても優れた耐遅れ破壊性を有する高強度鋼板及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題は、重量%で
C:0.08〜0.18%、Si:1%以下, Mn:1.2 〜1.8 %、
P:0.03%以下(ゼロを含む)、S:0.01%以下(ゼロ
を含む)、sol.Al:0.01〜0.1 %、N:0.005 %以下
(ゼロを含む)、O:0.005%以下(ゼロを含む)、B:
5 〜25ppm に加えて、Nb:0.005 〜0.04%、Ti:0.005
〜0.04%、Zr:0.005 〜0.04%のうち1種または2種以
上を含有し、残部が実質的にFe及び不可避不純物からな
り、Ceqと引張強度TSが下記の(1) 式及び(2) 式の範囲
にあり、体積率80%以上のマルテンサイト相で構成され
ることを特徴とする、耐遅れ破壊特性に優れた超高強度
鋼板により解決される。
【0009】 TS (MPa) ≧ 2270 ×Ceq + 260 …… (1) Ceq≦0.5 …… (2) ただしCeq =C + Si / 24 + Mn / 6 である。
【0010】また、耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼
板は、上記成分を有する鋼を熱間圧延・酸洗後、冷間圧
延し、連続焼鈍を行なう際、800 ℃以上で均熱後、下記
の(3) 式で定まる急冷開始温度 (Tq) から300 ℃/sec以
上の冷速で100 ℃以下まで急冷し、その後、300 ℃未満
で焼戻すことにより製造される。
【0011】 Tq≧ 700-100×C%+15×Si%−24×Mn% −70000 ×B%+20000 ×O% …… (3) 本発明者らは、良好な耐遅れ破壊特性を有する超高強度
鋼板を得るための成分設計を鋭意検討した。この結果、
【0012】(1) 各種添加元素量が多くなると必然的に
鉄格子の歪みを増加させるが、水素が侵入するとこのよ
うな歪みに偏析して内部応力を高めて耐遅れ破壊特性に
悪影響を及ぼす。このため、高強度を得るために最も量
多く添加するC、Si、Mnを、所定の強度に対して必要最
低限量とする。
【0013】(2) このため、構成組織は低温変態相の中
で最も硬質なマルテンサイト相とし、かつ、組織の不均
一性に起因した加工時の局部的な歪集中を避けるためマ
ルテンサイト相の体積率を80%以上とする。
【0014】(3) 遅れ破壊は粒界破壊を伴うため、Bを
適量添加し粒界を強化する。ここでBを有効に作用させ
るためにNb、Ti、Zrを適量添加してNを窒化物として固
定させる。
【0015】(4) さらに、介在物の中でも最終製品段階
において粒界に存在しやすい酸化物を低減させるため、
O含有量を低減する。の4 点を全て満たすことが、良好
な耐遅れ破壊特性を有する鋼板とするために極めて有効
であることが明確となった。このような知見をもとに、
本発明を完成させた。
【0016】以下に本発明の各限定理由を述べる。 C:0.08〜0.18% Cは鋼板の強度を確保する上で必須の元素であるため、
0.08%を最低限量として添加するが、同時に最も鉄格子
を歪ませる元素でもあるため、上限を0.18%とする。
【0017】Si :1% 以下 Siも強度を確保する上で重要な元素であるが、Cと同様
過剰に添加させると鉄格子の歪が大きくなるので上限を
1%とする。
【0018】Mn : 1.2〜1.8% Mnは鋼板の焼入れ性を向上させるのに最も安価で有効な
元素であるため添加する。下限はこれ以下では十分な焼
入れ性が確保できず、このため、他の固溶強化元素を多
量に添加しなければならなくなるため規定する。上限
は、鉄格子の歪が大きくなるため規定する。
【0019】P: 0.03%以下 Pは粒界に偏析して脆化させる元素であるため、耐遅れ
破壊特性に悪影響を及ぼす。このため、上限を0.03%と
する。(ゼロを含む)
【0020】S: 0.01% 以下 Sは、含有量が多くなると介在物(MnS)が増加して耐
遅れ破壊特性に悪影響を及ぼす。このため、上限を0.01
%とする。(ゼロを含む)
【0021】sol.Al : 0.01 〜0.1 % Alは、鋼の脱酸のために添加されるが、sol.Alで0.01%
未満ではシリケート介在物が残り耐遅れ破壊特性に悪影
響を及ぼす。また、0.1%を超えて添加すると表面疵の
増加を招き耐遅れ破壊特性に悪影響を及ぼす。以上の理
由から、sol.Alの添加量を0.01〜0.1 %に規定する。
【0022】N: 0.005%以下 Nは、含有量が多いとAlN、あるいは本発明で必須添加
するNb, Ti, Zrなどの炭窒化物が粗大化あるいは増加し
て粒界強度を低下させて耐遅れ破壊特性に悪影響を及ぼ
す。このため、上限を0.005 %とする。(ゼロを含む)
【0023】O: 0.005 %以下 Oは、この含有量が多いと酸化物が増加することを意味
する。しかも、酸化物は介在物の中でも最も早期に鋼中
に形成されて、硫化物、炭窒化物などはこれを核として
析出粗大化する。最終製品組織中では、このような介在
物は旧オーステナイト粒界に存在しやすく、粒界強度を
脆弱化させて耐遅れ破壊特性に悪影響を及ぼす。このた
め、Oの含有量は上限を0.005 %とする。(ゼロを含
む)
【0024】B: 5 〜25ppm Bは粒界に偏析して粒界を強化する元素であり、耐遅れ
破壊特性を向上させる上で非常に重要な添加元素であ
る。下限は、これ以下では所望の効果が得られないため
規定する。上限は、これ以上添加しても効果が飽和する
ばかりか、粒内にも固溶し始めて鉄格子の歪が大きくな
るため規定する。
【0025】Nb, Ti, Zr : それぞれ0.005 〜0.04%の
うち1 種または2 種以上を含有 上述したように、これらの元素はBの効果を有効に作用
させるために添加する。それぞれの下限は、これ以下で
はNを固定できないため規定する。一方、過剰に添加す
ると炭窒化物が粗大化あるいは増加して粒界強度を低下
させて耐遅れ破壊特性に悪影響を及ぼすので、上限を規
定する。
【0026】その他の添加元素については、上記以外は
本発明の効果を損なわない限り添加することを許され
る。本発明において、「残部が実質的にFe及び不可避不
純物からなる」とは、Fe及び不可避不純物の他に、本発
明の効果を損なわない限り他の元素が含まれ得ることを
意味する。例えば、Cr、Cu、Ni、Mo、Co、Wなどであれ
ば0.5 %以下、Sn、Sbなどであれば0.01%以下であれ
ば、本発明の効果を損なわないので添加してもよい。
【0027】本発明においては、これらの成分の条件に
加え、前記(1) 、(2) 式を満たすこと、及びマルテンサ
イト相の体積率を80%以上とすることを構成要件として
いる。これらについて以下に説明する。
【0028】まず、本発明において使用する耐遅れ破壊
特性の評価法について説明する。薄鋼板の場合、加工さ
れることが前提となるが、この加工時に鋼板中に導入さ
れる歪は耐遅れ破壊特性を劣化させる。このため、本発
明では、図4に示すように超高強度鋼板における代表的
加工様式である曲げ加工( 曲げR=5mmは最も標準的な
加工) を加え、ボルト締めにより加工部に応力を負荷し
た試験片を用意する。
【0029】まず、図4に示すように、本発明供試体お
よび比較供試体のそれぞれから、端面を機械研削した、
2つの穿孔2を有する、幅(c) 30mm×長さ(d) 100
mmの短冊状試験片1 を調製し、次いで、短冊状試験片1
に、その中央部において、半径5mmで曲げ加工を施し、
次いで、異種金属の接触による局部電池の形成を回避す
るための4弗化エチレン樹脂製のワッシャ3を、上述し
た2つの穿孔2に装着して、ステンレスボルト4によっ
て、上記短冊状試験片1の両端間の間隔(e) が10mmに
なるまで短冊状試験片1を締め付けて、曲げ加工部に応
力を負荷する。なお、試験片は、機械的性質の劣る圧延
直角方向に曲げている。また、ボルト締めにより加工部
に負荷される応力は、それぞれのサンプルの引張強度に
ほぼ対応させる。このように試験片を準備した後、電気
分解法により水素を侵入させる。
【0030】電気分解法を利用するのは、食塩水中な
どの腐食環境に保持するよりも多量の水素を侵入させる
ことができること、腐食環境による試験では表層の加
工度と負荷応力の高い部分が侵食され、試験の進行とと
もに材料側の条件が緩和されていく( 水素侵入量は増加
する) が、電気分解法ではこのようなことがないので、
より厳しい評価ができること、のためである。
【0031】具体的には、図4に示す試験片を20mg/
lのAs2O3 を加えた0.1 規定NaOH水溶液中に浸漬し、サ
ンプルを陰極として10mA/cm2の電流密度で電気分解し
て、破壊時間を測定する。
【0032】耐遅れ破壊特性評点は破壊時間から評価し
ており、1点:30分以内、2点:30分〜1時間、3
点:1〜1.5 時間、4点:1.5 〜2時間、5点:2時間
以上としている。本発明鋼は、この耐遅れ破壊特性評点
が4 〜5 点となるものである。電解1.5 時間で水素侵入
量は約10ppm に達しており、このような多量の水素侵
入に耐えられれば、自動車部品としては申し分のない耐
遅れ破壊特性を有していると判断される。
【0033】図1は耐遅れ破壊特性に及ぼすTSとCeqお
よびマルテンサイト体積率の影響を示す図である。図1
において、横軸はTS-(2270×Ceq+260 )の値を示し、
縦軸はマルテンサイト体積率を示す。図中、○、△、□
は、前記本発明の規定成分を有する発明成分鋼を示し、
上記評価法で、○は4〜5点のもの、△は2〜3点のも
の、□は1点のものを示す。なお、×は上記規定成分外
即ち本発明以外の比較成分鋼を示すが、これらの比較成
分鋼においては、上記評価法による評価はいずれも1〜
3点であった。図1から明らかなように、○はTS-(2270
×Ceq+260 )≧0かつマルテンサイト体積率が80%
以上の部分に集中しているので、この範囲を本発明の限
定範囲とする。
【0034】TS-(2270×Ceq+260 )≧0でないと良好
な特性が得られない理由は、TSに対して適正なCeqを超
えると鉄格子の歪みが増加し、水素が侵入するとこのよ
うな歪みに偏析して内部応力を高めて耐遅れ破壊特性に
悪影響を及ぼすためであると考えられる。また、マルテ
ンサイト相の体積率が80%未満となると良好な特性が得
られないのは、組織の不均一性に起因した加工時の局部
的な歪集中から、耐遅れ破壊特性が劣化するためである
と考えられる。マルテンサイト相の残部は特に規定しな
いが、実質的にフェライト及びベイナイトで構成され
る。
【0035】次に、耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼
板を効率的に製造するための方法について説明する。
【0036】本発明のように低Ceqの鋼で超高強度を得
る方法としては、熱間圧延- 酸洗-冷間圧延後の焼鈍工
程において、所望のオーステナイト体積率を得るため8
00℃以上で均熱した後水焼入れあるいは気水冷却など
により急冷することが必要となる。このような急速冷却
を効率的に行なうには、急冷処理のできる連続焼鈍設備
で焼鈍することが良い。
【0037】図2は、前述した耐遅れ破壊特性評点と、
急冷開始温度Tqとの関係を示す図である。図2におい
て、横軸は、(Tq−( 700-100×C%+15×Si%−24×
Mn%−70000 ×B%+20000 ×O%))を示し、縦軸は
耐遅れ破壊特性評点を示す。○は、前記本発明の成分を
有する発明成分鋼、×は本発明の成分以外の成分を有す
る比較成分鋼である。比較成分鋼では評点4以上が得ら
れないが、本発明成分鋼においても、(Tq−( 700-100
×C%+15×Si%−24×Mn%−70000 ×B%+20000 ×
O%))が負であると評点4以上が得られない場合があ
る。これは、この値が0以上でないと体積率80%以上
のマルテンサイト相が確実に得られないためである。つ
まり、オーステナイト安定化元素であるC、Mnあるいは
フェライト析出を抑制するBが増加すれば、より低い急
冷開始温度としても所望の体積率のマルテンサイト相が
得られるのに対し、フェライト安定化元素であるSiやフ
ェライトの析出核となる酸化物が増えれば、より高い急
冷開始温度とする必要があるためである。
【0038】図2の結果より、本発明においては、急冷
開始温度Tqを、Tq≧ 700-100×C%+15×Si%−24×Mn
%−70000 ×B%+20000 ×O% …… (3) とす
る。
【0039】均熱温度の上限はとくに規定しないが、90
0 ℃以下とすることが望ましい。これは900 ℃超になる
と結晶粒が粗大化し、耐遅れ破壊特性が劣化するためで
ある。また、均熱終了から急冷開始までの冷却速度はと
くに規定しない。連続焼鈍ラインにそった冷却速度を選
定すればよい。
【0040】急冷速度は、マルテンサイト組織が安定し
て得られるように300℃/sec以上とし、100℃以下
まで急冷する必要がある。また、急冷後には、靭性向上
あるいは内部応力緩和のために焼戻しを施す場合が有る
が、この温度としては、強度が大きく低下せず、かつ、
旧オーステナイト粒界にセメンタイトが析出しない30
0℃未満が好ましい。時間は60sec以上が好ましい。
【0041】
【発明の効果】本発明においては、鋼の成分値を上記の
ように規定し、かつマルテンサイト相の体積率が80%以
上となるようにしているので、10ppm程度の水素侵
入がある場合においても優れた耐遅れ破壊性を有する高
強度鋼板が得られる。
【0042】また、上記規定成分を持った鋼から鋼板を
製造する過程において、急冷開始温度の下限をを成分値
との関係において規定しているので、確実に耐遅れ破壊
性を有する高強度鋼板を製造することができる。
【0043】
【実施例】本発明による耐遅れ破壊特性の優れた超高強
度鋼板の実施例を以下に示す。まず、表1に示す本発明
成分鋼A〜Nおよび表2に示す比較成分鋼a〜rを転炉
にて溶製した。表1、表2において、各N、B、Oの成
分値の単位はppm であり、その他の成分値の単位は重量
%である。また、Ceq =C + Si / 24 + Mn / 6であ
る。網かけを施した成分値は、本発明の規定成分値より
外れた値であることを示す。
【0044】これらの鋼を鋳造し、加熱温度1200
℃、仕上げ温度≧Ar3 、巻き取り温度650℃で板厚3
mmの熱間圧延鋼帯とした。この後、酸洗・冷圧により板
厚1.4mm として、水焼入れ・ロール冷却兼用設備を有す
る連続焼鈍炉で表3、表4、表5に示す条件で熱処理を
施した。このようにして得られた種々の鋼板の引張強度
と耐遅れ破壊特性を、表3、表4、表5にあわせて示し
た。なお、水焼き入れ・ロール冷却での冷却速度はそれ
ぞれ700℃/sec、150℃/secであった。
【0045】表3、表4、表5において、急冷タイプの
欄のWQは水焼入れ、RQはロール冷却を示し、組織の
欄のFはフェライト、Bはベイナイト、Mはマルテンサ
イトをそれぞれ示す。また、網かけを施してある数字
は、本発明の規定範囲から外れるものを示す。
【0046】表3、表4、表5から明らかなように、本
発明の実施例の鋼板においては、いずれも耐遅れ破壊特
性評点は4及び5であるが、比較例の鋼板においては3
以下であり、本発明が優れていることがわかる。耐遅れ
破壊特性評点は4及び5とは、水素侵入量10ppm 以上
に耐えられることを示しており、本発明の課題が達成さ
れている。
【0047】TSとCeqの関係あるいはマルテンサイト体
積率が本発明範囲にあるものでも、B添加量、あるいは
O含有量が適切でない表5中のNo. 37、38、41、
42、43、45などは、耐遅れ破壊特性が劣ってい
る。
【0048】なお、表3中のNo. 5、15、16におい
ては、請求項2の発明の範囲外の製造方法であるにも係
わらず、請求項1に記載の超高強度鋼板が得られてお
り、これらの鋼においては、耐遅れ破壊特性評点は4又
は5となっている。これは、図2において、(Tq−( 7
00-100×C%+15×Si%−24×Mn%−70000 ×B%+20
000 ×O%))が負であっても、耐遅れ破壊特性評点は
4又は5のものが得られる場合があることに対応してい
る。
【0049】また、図3は、耐遅れ破壊特性に及ぼすO
含有量の影響を示しており、横軸はO含有率、縦軸は耐
遅れ破壊特性評点を示している。○は、本発明の規定成
分値を有する発明成分鋼、×は、本発明の規定成分以外
の成分値を有する比較成分鋼を示す。また、図3に示さ
れるものは、いずれも、 TS (MPa) ≧ 2270 ×Ceq+26
0、及びCeq≦0.5 の関係を満たすものである。図3か
ら明らかなように、Oが50ppm超えのものは、いずれ
も耐遅れ破壊特性評点が3以下である。図3より、Oの
含有量を50ppm 以下に制御することの重要性がわかる。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】 耐遅れ破壊特性に及ぼすTSとCeqおよびマル
テンサイト体積率の影響を示す図である。
【図2】 耐遅れ破壊特性評点と、急冷開始温度Tqとの
関係を示す図である。
【図3】 耐遅れ破壊特性に及ぼすO含有量の影響を示
す図である。
【図4】 耐遅れ破壊特性評価用試験片の作製手順を示
す図である。
【符号の説明】
1 短冊状試験片 2 穿孔 3 ワッシャ 4 ステンレスボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C21D 8/02 C21D 9/52 101 C22C 38/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.08〜0.18%、Si:1%以
    下、Mn:1.2 〜1.8%、P:0.03%以下(ゼロを含
    む)、S:0.01%以下(ゼロを含む)、sol.Al:0.01〜
    0.1 %、N:0.005 %以下(ゼロを含む)、O:0.005%
    以下(ゼロを含む)、B:5 〜25ppm に加えて、Nb:0.
    005 〜0.04%、Ti:0.005 〜0.04%、Zr:0.005〜0.04
    %のうち1種または2種以上を含有し、残部が実質的に
    Fe及び不可避不純物からなり、Ceqと引張強度TSが下記
    の(1) 式及び(2) 式の範囲にあり、体積率80%以上のマ
    ルテンサイト相で構成されることを特徴とする、耐遅れ
    破壊特性に優れた超高強度鋼板。 TS (MPa) ≧ 2270 ×Ceq + 260 …… (1) Ceq≦0.5 …… (2) ただしCeq =C + Si / 24 + Mn / 6
  2. 【請求項2】 重量%でC:0.08〜0.18%、Si:1%以
    下、Mn:1.2 〜1.8%、P:0.03%以下(ゼロを含
    む)、S:0.01%以下(ゼロを含む)、sol.Al:0.01〜
    0.1 %、N:0.005 %以下(ゼロを含む)、O:0.005%
    以下(ゼロを含む)、B:5 〜25ppm に加えて、Nb:0.
    005 〜0.04%、Ti:0.005 〜0.04%、Zr:0.005〜0.04
    %のうち1種または2種以上を含有し、残部が実質的に
    Fe及び不可避不純物からなり、Ceqと引張強度TSが下記
    の(1) 式及び(2) 式の範囲にある鋼を熱間圧延・酸洗
    後、冷間圧延し、連続焼鈍を行なう際、800 ℃以上で均
    熱後、下記の(3) 式で定まる急冷開始温度 (Tq) から30
    0 ℃/sec以上の冷速で100 ℃以下まで急冷し、その後、
    300 ℃未満で焼戻すことを特徴とする耐遅れ破壊特性に
    優れた超高強度鋼板の製造方法。 TS (MPa) ≧ 2270 ×Ceq + 260 …… (1) Ceq ≦0.5 …… (2) ただしCeq =C + Si / 24 + Mn / 6 Tq≧ 700-100×C%+15×Si%−24×Mn%−70000 ×B
    %+20000 ×O% ……(3)
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