JP3514192B2 - 低反射性導電膜の形成方法 - Google Patents

低反射性導電膜の形成方法

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JP3514192B2 JP30757799A JP30757799A JP3514192B2 JP 3514192 B2 JP3514192 B2 JP 3514192B2 JP 30757799 A JP30757799 A JP 30757799A JP 30757799 A JP30757799 A JP 30757799A JP 3514192 B2 JP3514192 B2 JP 3514192B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管パネル
などの基体表面に形成される低反射性導電膜の形成方法
に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、ブラウン管パネルは高電圧で作動
するために、起動時または終了時にその表面に静電気が
誘発される。この静電気によりブラウン管パネル表面に
ほこりが付着してコントラスト低下を引き起こしたり、
ブラウン管パネルに直接手を触れた際に軽い電気ショッ
クによる不快感を生じたりすることが多い。 【0003】上述の現象を防止するために、ブラウン管
パネル表面に帯電防止膜を付与する試みが種々検討さ
れ、例えば、ブラウン管パネル表面を350℃程度に加
熱し、該表面にCVD法により酸化スズまたは酸化イン
ジウムなどの導電性酸化物層を設ける方法(特開昭63
−76247)が提案されている。 【0004】しかし、この方法では成膜装置にコストが
かかることに加え、ブラウン管パネル表面を高温に加熱
するため、ブラウン管内の蛍光体の脱落を生じたり、寸
法精度が低下するなどの問題があった。また、導電層に
用いる材料としては酸化スズが最も一般的であるが、酸
化スズの場合、低温処理では高性能の膜が得にくい欠点
があった。 【0005】また、近年、電磁波の遮蔽も求められてい
る。導電性塗膜をブラウン管パネル表面に介在させるこ
とにより、導電性塗膜に電磁波が当たり、塗膜内に渦電
流を誘導して、この作用で電磁波を反射する。しかし、
このためには導電性塗膜は高い電界強度に耐えうる良導
電性であることが必要であるが、それほどの良導電性の
膜を得ることはさらに困難であった。 【0006】一方、導電膜の製造法としては、ブラウン
管パネル表面に金属塩と還元剤の混合液を塗布して導電
膜を形成させる方法(特開平6−310058)がある
が、この方法では金属導電膜はガラス面にメッキされた
状態となり、膜の強度が著しく弱く、かつ該導電膜を洗
浄して副生成塩を除去する工程が必要となる問題があっ
た。 【0007】また、Ag、Auなどの微粒子を用いる場
合、その粒径が10nm付近になるとプラズマ共鳴吸収
という光の吸収が生じ、CRT等の表示装置において
は、不具合が生じる。また、Agは特に導電率が高いた
め電磁波遮蔽膜には適するが、一方その化学的活性が高
くかつマイグレーションが生じるため、耐久性の点で充
分とはいえない。 【0008】さらには、金属超微粒子ペーストによる金
属膜の形成方法(特開平3−281783)があるが、
この金属ペーストは炭素数5以上のアルコール類、酢酸
エチル、オレイン酸エチル、酢酸ブチル、またはグリセ
リドを含有し比較的粘稠であるため、数μmの厚さの導
電膜形成には優れているが、50〜150nmという光
学薄膜の形成や、大面積へのコーティングには不向きで
ある。 【0009】また、導電膜および低反射性導電膜のコー
ティング法による形成は、従来より光学機器のみなら
ず、民生用機器、特にTV、コンピュータ端末のCRT
に関して数多くの検討がなされてきた。すなわち、例え
ば、ブラウン管パネル表面に防眩効果を持たせるために
表面に微細な凹凸を有するSiO2層を付着させたり、
フッ酸により表面をエッチングして凹凸を設けるなどの
方法(特開昭61−118931)が採られてきた。 【0010】しかし、これらの方法は、外部光を散乱さ
せるノングレア処理と呼ばれ、本質的に低反射性層を設
ける方法でないため、反射率の低減には限界があり、ま
た、ブラウン管パネルなどにおいては、解像度を低下さ
せる原因ともなっている。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
よる低反射性導電膜の上述の欠点を解消しようとするも
のであり、低温熱処理により形成が可能な低反射性導電
膜の形成方法を提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明は、粉体体積抵抗
が0.01Ωcm以下であるu金属微粒子のゾルを含
有してなる導電膜形成用塗布液を基体上に塗布して塗膜
を形成した後、塗膜上に前記導電膜より低屈折率の膜を
形成し、50〜150nmの膜厚の導電膜を有する低反
射性導電膜を得ることを特徴とする低反射性導電膜の形
成方法を提供する。 【0013】本発明の特徴は、導電膜を形成するに際
し、金属微粒子をゾルの形で含有する塗布液を使用する
ことであり、この塗布液を基体上に塗布して導電膜を形
成させた場合、特開平6−310058などに記載のよ
うな金属塩と還元液からなる塗布液を用いたメッキ膜と
は異なり、微少な孔が導電膜中に導入される。 【0014】そして、当該導電膜の上にケイ素化合物を
形成するSiアルコキシドの加水分解物を含有する塗布
液を塗布した場合に、この孔にケイ素化合物が侵入し、
膜強度が著しく向上する。 【0015】また、本発明においては、特開平6−31
0058などに記載のような従来法とは異なり、導電膜
の形成時に副生成物が生成せず、導電膜とその上に形成
される膜との間での膜強度の劣化も生じない。さらに、
特開平3−281783に記載されている金属ペースト
のように比較的高沸点(沸点150〜300℃)の溶媒
を必ずしも要しないため、膜を低温(150〜160
℃)で焼成した場合でも、膜中に残留する有機成分がき
わめて少なく、強固な膜を形成できる。したがって本発
明によれば、ブラウン管パネル面などのガラス基体に、
前述の問題点を解決した導電膜を1層以上含む低反射性
導電膜を形成できる。 【0016】 【発明の実施の形態】次に発明の実施の形態を挙げて本
発明をさらに詳しく説明する。導電膜形成用塗布液(以
下、本塗布液という)に用いるRu金属は微粒子として
用いる。金属微粒子としては、例えば、Ru金属の蒸発
凝縮により生成される微粒子などが使用できるが、良好
な結果が得られることから、Ru金属の塩を化学還元す
ることにより生成する微粒子が好ましく使用される。 【0017】本発明において化学還元によるRu金属微
粒子の生成に用いられる金属塩としては、例えば、ニト
ロソ硝酸ルテニウム、塩化ルテニウム、塩化ルテニウム
アンモニウム、塩化ルテニウムカリウム、塩化ルテニウ
ムナトリウム、酢酸ルテニウムなどが挙げられる。 【0018】上記金属塩の還元剤としては、例えば、水
素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化
ナトリウム、水素化リチウムなどの水素化物やギ酸、シ
ュウ酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、ホルムア
ルデヒドなどが使用できる。金属微粒子の還元析出法
は、特に限定されないが、例えば、金属塩を水または有
機溶媒に溶解させ、必要に応じアンモニアなどでpHを
調整した後、還元剤を添加する方法が採用できる。この
とき、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ポリビニルピロ
リドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の金
属粒子分散保護剤を添加することも好ましい。 【0019】この方法においては、金属塩の種類により
反応温度を調整することが好ましい。生成した金属微粒
子は、適宜洗浄および乾燥される。金属微粒子の粉体体
積抵抗は、0.01Ωcm以下であることが好ましい。 【0020】本塗布液は、上記の金属微粒子を水や有機
溶媒などにゾルの形に均一に分散させることによって調
製される。金属微粒子の粉末は、粒子径があまり大きい
と分散しにくくなり、また、塗布液保管中に沈殿等が生
じ保存安定性が劣る傾向にあるため、塗布液中のRu金
属微粒子の平均凝集粒径は200nm以下、さらには1
0〜160nm、であることが好ましい。平均凝集粒径
が10nm未満の微粒子はその調製上実用的でなく、ま
た、平均凝集粒径が160nm超の微粒子は、塗布液中
で容易に微粒子同士の凝集が生じ、塗布液の保存安定性
が劣る傾向が顕著である。 【0021】平均一次粒径としては塗布液の保存安定性
の観点から100nm以下、特に5〜80nm、が好ま
しい。平均一次粒径が5nm未満の微粒子は結晶性が低
く、かつ塗膜化した場合、膜中の金属微粒子同士の接触
抵抗が増大し、塗膜の導電性が劣る傾向がある。また、
平均一次粒径が80nm超の微粒子は、塗布液中で容易
に微粒子同士の凝集が生じ、塗布液の保存安定性が劣る
傾向が顕著である。 【0022】また、金属微粒子の分散性向上のために、
加熱、紫外線の照射、酸化剤への浸漬などにより金属微
粒子の表面を一部酸化してもよい。塗布液中の金属微粒
子の含有量は、特に限定されないが、通常は0.05〜
10重量%程度であり、形成される導電膜が所定の厚さ
となるように含有量を調整する。0.05重量%未満の
場合は所定の膜厚の導電膜が得られ難く、また、10重
量%超の場合は均一な膜厚の導電膜が得られ難い傾向
(特にスピンコート法では顕著である)があり、かつ液
の保存安定性が劣る傾向にある。 【0023】本塗布液の調製においては金属微粒子を水
や有機溶媒などに均一に分散させることが好ましい。そ
のためには、溶媒と金属微粒子との接触を容易ならしめ
るために充分な撹拌を行うことが必要である。撹拌手段
としては、例えば、コロイドミル、ボールミル、サンド
ミル、ホモミキサーなどの市販の粉砕・分散機を採用で
きる。また、分散させる際には、20〜200℃の範囲
で加熱することもできる。溶媒の沸点以上で撹拌する場
合には、加圧して液相が保持できるようにする。こうし
て、Ruの金属微粒子がコロイド粒子として分散した水
性ゾルまたはオルガノゾルが得られる。 【0024】本発明においては、前記水性ゾルをそのま
ま本塗布液として使用できるが、基体に対する塗布性を
増すために、金属微粒子を有機溶媒に分散させるか、ま
たは水性ゾルの水分を有機溶媒で置換しても使用でき
る。 【0025】オルガノゾルの形成および上記の媒体の置
換などに使用される有機溶媒としては、親水性有機溶媒
が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロピ
ルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、エチル
セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プ
ロピレングリコールメチルエーテルなどのエーテル類、
2,4−ペンタンジオン、ジアセトンアルコールなどの
ケトン類、乳酸エチル、乳酸メチルなどのエステル類が
などが挙げられる。 【0026】本塗布液は、上記の有機溶媒や水を含有し
うるが、大面積の基体に光学薄膜を形成するために塗布
液の粘度は0.1〜5cPが好ましい。5cPより粘度
が高い場合、均一な光学薄膜を形成しにくい傾向にあ
る。実用上特に0.2〜5cPが好ましい。 【0027】本塗布液には、液の表面張力、拡がり性等
を調整する点から、Si(OR)y・R'4-y(yは3ま
たは4、R、R'はアルキル基)などの加水分解性ケイ
素化合物、またはその部分加水分解物(以下、「加水分
解性ケイ素化合物またはその部分加水分解物」を単に
「ケイ素化合物」という)を添加できる。金属微粒子に
対してケイ素化合物は任意の割合で添加できるが、導電
性および導電膜の強度を考慮すると、金属微粒子/Si
2換算の該ケイ素化合物(重量比)は1/6〜10/
1が好ましく、1/4〜5/1がさらに好ましい。 【0028】また、本塗布液には、導電膜の膜厚調整な
どのために、Sn、Sb、In、Zn、Ga、Alおよ
びRuからなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物
を金属微粒子と同様なゾルの形で含有させることもでき
る。金属酸化物は金属微粒子に対して任意の割合で使用
できるが、金属微粒子/金属酸化物(重量比)は99/
1〜60/40、さらには95/5〜70/30、が好
ましい。 【0029】さらに、基体との濡れ性を向上させるため
に種々の界面活性剤を本塗布液に添加できる。金属微粒
子とともにケイ素化合物や金属酸化物などを含む場合の
本塗布液の濃度(固形分)は、0.05〜10重量%程
度が好ましい。0.05重量%未満の場合は所定の膜厚
の導電膜が得られ難く、また、10重量%超の場合は均
一な膜厚の導電膜が得られ難い傾向(特にスピンコート
法では顕著である)があり、かつ液の保存安定性が劣る
傾向にある。 【0030】こうして得られた本塗布液を基体上に、乾
燥後に所定の厚さとなるように塗布し、加熱して導電膜
を形成させる。導電膜の厚さは、特に限定されないが、
通常は50〜150nmが好ましい。50nm未満では
導電性が充分発現されない場合があり、150nm超で
は透過率が低下しブラウン管のような表示装置への適用
が難しくなる。さらに、150nm超では、導電膜上に
低屈折率膜を形成し2層による低反射性導電膜を形成す
る場合に所定の低反射性能が維持されにくいことがあ
る。 【0031】本塗布液を基体に塗布する方法は、特に限
定されないが、例えば、スピンコート、ディップコー
ト、スプレーコートなどの方法が好適に使用できる。ま
た、スプレーコート法を用いて表面に凹凸を形成し、防
眩効果を付与してもよく、また、基体の上にシリカ被膜
などのハードコートを設けてもよい。さらには、本発明
における導電膜をスピンコートまたはスプレーコートの
いずれかの方法で形成し、その上に前記したケイ素化合
物を含む溶液をスプレーコートして、表面に凹凸を有す
るシリカ被膜のノングレアコートを設けてもよい。 【0032】本塗布液に低沸点溶媒を用いる場合には、
室温での乾燥で均一な塗膜が得られるが、沸点が100
〜250℃の範囲にある中〜高沸点溶媒を用いる場合に
は、室温乾燥では溶媒が塗膜中に残留するため、加熱処
理を行う。加熱温度の上限は基体に用いるガラス、プラ
スチックなどの基体の軟化点によって決定される。この
点も考慮すると好ましい加熱温度範囲は100〜500
℃である。 【0033】本発明においては、上記方法で形成した導
電膜の上に、光の干渉作用を利用して低反射性膜を形成
できる。例えば、基体がガラスの場合(屈折率n=1.
52)、導電膜の上に、(導電膜の屈折率)/(低屈折
率膜の屈折率)の比の値が約1.23となるような低屈
折率膜を形成することによって反射率を最も低減させる
ことができる。反射率の低減には可視光領域において、
特に555nmの光の反射率を低減させることが好まし
いが、実用上は反射外観などを考慮して適宜決定するこ
とが好ましい。 【0034】こうした2層からなる低反射性導電膜の最
外層の低屈折率膜は、MgF2ゾルを含む溶液やケイ素
化合物を含む溶液から選ばれる1種以上の溶液を用いて
形成した膜が好ましい。屈折率の点ではMgF2が最も
低く、反射率低減のためにはMgF2ゾルを含む溶液を
用いてなるMgF2を主成分とする膜が好ましいが、膜
の硬度や耐擦傷性の点ではSiO2を主成分とする膜が
好ましい。 【0035】低屈折率膜形成用のケイ素化合物を含む溶
液としては種々のものが使用できるが、例えば、シリコ
ンテトラエトキシド、シリコンテトラメトキシド、シリ
コンテトライソプロポキシド、シリコンテトラブトキシ
ドなどのモノマー、またはそれらの重合体が好ましい。 【0036】ケイ素化合物は、通常、アルコール、エス
テル、エーテルなどに溶解して用いるが、また、前記溶
液に塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、フッ
酸、またはアンモニア水溶液を添加して加水分解して用
いることもできる。溶液中のケイ素化合物の含有量は特
に限定されないが、固形分量が多すぎると保存安定性が
低下するので溶媒に対して30重量%以下の固形分量で
使用することが好ましい。 【0037】また、低屈折率膜形成用にMgF2を使用
する場合には、MgF2の微粒子を用い、前記と同様に
して該微粒子を水や有機溶媒などの溶媒に安定なコロイ
ド粒子として均一に分散させた水性ゾル、またはオルガ
ノゾルとして使用する。分散液中のMgF2の好ましい
濃度はケイ素化合物の場合と同様である。有機溶媒とし
ては前記の有機溶媒が使用できる。 【0038】また、上記の溶液または分散液には膜の強
度を向上させるために、バインダとしてZr、Ti、S
n、Alなどのアルコキシドや、これらの部分加水分解
物を添加して、ZrO2、TiO2、SnO2、Al23
などの1種または2種以上の複合物をMgF2やSiO2
と同時に析出させてもよい。上記溶液または分散液への
これらのアルコキシドなどバインダの添加量は、ケイ素
化合物および/またはMgF2に対して0.1〜10重
量%が好ましい。 【0039】さらに、必要により、基体との濡れ性を向
上させるために、上記の溶液または分散液に界面活性剤
を添加してもよい。添加される界面活性剤としては、例
えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ア
ルキルエーテル硫酸エステルなどが挙げられる。 【0040】以上の低屈折率膜形成用溶液または分散液
を用い、導電膜形成の場合と同様の方法で導電膜上に低
屈折率膜を形成させる。本発明の低反射性導電膜の形成
方法は、多層干渉効果による低反射性の導電膜にも応用
できる。反射防止性能を有する多層の低反射性膜の構成
としては、例えば、反射防止をしたい光の波長をλとし
て、基体側より、高屈折率層−低屈折率層を光学厚みλ
/2−λ/4、またはλ/4−λ/4で形成した2層の
低反射性膜、基体側より中屈折率層−高屈折率層−低屈
折率層を光学厚みλ/4−λ/2−λ/4で形成した3
層の低反射性膜、基体側より低屈折率層−中屈折率層−
高屈折率層−低屈折率層を光学厚みλ/2−λ/2−λ
/2−λ/4で形成した4層の低反射性膜などが典型例
として知られている。 【0041】Ruの金属微粒子を含有する導電膜は、可
視光領域全般にわたって吸収を生じるため、コントラス
トの向上にも寄与する。 【0042】本発明において、低反射性導電膜を形成す
る基体としては、1)ブラウン管パネル、2)複写機用
ガラス板、3)計算機用パネル、4)クリーンルーム用
ガラス、5)CRT、LCDなどの表示装置の前面板、
などの各種ガラス基体、またはプラスチック基体などが
挙げられる。 【0043】 【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定
されない。なお、実施例および比較例における使用割合
および%は重量基準である。また、実施例および比較例
において得られた膜の評価方法は次のとおりであり、結
果は表1に示した。なお、表中の「7.2E2」なる記
載は、7.2×102の意であり、他も同様である。 【0044】1)導電性評価:ローレスタ抵抗測定器
(三菱化学社製)により膜表面の表面抵抗を測定した。 2)耐擦傷性:擦傷性測定器(LION社製50−5
0)により1kg荷重下で膜表面を50回往復後、その
表面の傷つきを目視で判断した。評価基準は、○:傷が
全くつかない、△:傷が多少つく、×:一部に膜剥離が
生じる、とした。 【0045】3)鉛筆硬度:1kg荷重下において種々
の硬度の鉛筆で膜表面を走査し、その後目視により表面
に傷が生じ始める鉛筆の硬度を膜の鉛筆硬度と判断し
た。 4)視感反射率:GAMMA分光反射率スペクトル測定
器により多層膜の400〜700nmでの視感反射率を
測定した。 5)視感透過率:スペクトロフォトメータU−3500
(日立製作所製)により380〜780nmでの視感透
過率を測定した。 【0046】6)耐候性評価:フォトドライクリーナP
L7−200(センエンジニアリング社製)により25
4mmを主波長とする紫外線を200時間照射後の膜の
表面抵抗値を測定した。 7)耐薬品性評価:5%NaCl液に100時間浸漬し
た後の膜の表面抵抗値を測定した。 【0047】また、得られた金属微粒子の粉体体積抵抗
は4端子法により測定し、得られたゾルの平均凝集粒径
は大塚電子社製レーザー回折式粒径測定装置LPA−3
100により測定した。得られたゾルの平均一次粒径は
日本電子社製透過型電子顕微鏡100CXによって観察
して代表20個の粒子の粒径を平均して求めた。得られ
た膜の膜厚は膜破断面の走査型電子顕微鏡観察より測定
し、導電液の粘度はE型粘度計により20℃で測定し
た。 【0048】シリコンテトラエトキシドをエタノールに
溶かし塩酸酸性水溶液で加水分解を行わせ、SiO2
算で5%となるようにエタノールで調整した(B液)。 水:エタノール:メタノール:プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル=50:42:5:3(重量比)の混
合液を調製した(D液)。 【0049】[例1]三塩化ルテニウム水溶液(固形分
10%)にクエン酸ナトリウムをルテニウムに対し10
倍モル添加し、さらに水素化ホウ素ナトリウム液をルテ
ニウムに対して4倍モル添加し、金属ルテニウムを還元
析出させた。この後、余剰イオンを限外濾過で除去し、
金属ルテニウムを5.8%含有するルテニウムゾル液を
調製した(F液)。 【0050】得られたゾルの平均凝集粒径は60nmで
あった。また、平均一次粒径は9nmであり、一次粒径
の最大値と最小値との差は5nm以内で粒径はきわめて
均一であった。また、このゾルを100℃で乾燥して得
られた金属粉末の粉体体積抵抗は0.0003Ωcmで
あった。 【0051】水:ブチルセロソルブ:N−メチルピロリ
ドン=87:10:3(重量比)の混合液を調製した
(G液)。F液をG液で固形分0.6%(本例の場合は
ルテニウム金属微粒子のみ)となるように希釈した(H
液)。H液の粘度は1.02cPであった。 【0052】イソプロピルアルコール:プロピレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート:ジアセトンアル
コール=6:3:1(重量比)の混合液を調製した(U
1液)。H液を14インチブラウン管表面にスピンコー
ト法で塗布した後、膜(導電膜)の上にB液をU1液で
0.85%に希釈したものをスピンコート法で塗布し、
160℃で30分焼成し低反射性導電膜を得た。なお、
導電膜の膜厚は70nmであった。 【0053】[例2]三塩化ルテニウム水溶液(固形分
10%)にギ酸をルテニウムに対し3倍モル添加し、そ
の後、クエン酸をルテニウムに対し10倍モル添加し、
さらに水素化ホウ素ナトリウム液をルテニウムに対して
4倍モル添加し、金属ルテニウムを還元析出させた。こ
の後、遠心分離で金属ルテニウムを分離し、蒸留水を加
え再分散させた後、イオン交換樹脂で余剰イオンを除去
し、金属ルテニウムを4.3%含有するルテニウムゾル
液を調製した(F2液)。 【0054】得られたゾルの平均凝集粒径は32nmで
あった。また、平均一次粒径は5nmであり、一次粒径
の最大値と最小値との差は5nm以内で粒径はきわめて
均一であった。また、このゾルを100℃で乾燥して得
られた金属粉末の粉体体積抵抗は0.0003Ωcmで
あった。 【0055】F2液をG液で固形分が0.45%(本例
の場合はルテニウム金属微粒子のみ)となるように希釈
した(H2液)。H2液の粘度は1.01cPであっ
た。H2液を14インチブラウン管表面にスピンコート
法で塗布した後、膜(導電膜)の上にB液をU1液で
0.85%に希釈したものをスピンコート法で塗布し、
160℃で30分焼成し低反射性導電膜を得た。なお、
導電膜の膜厚は60nmであった。 【0056】[例3]塩化第二スズ(SnCl4)水溶
液と硝酸インジウム水溶液を、Sn/In=15/85
(原子比)となるように混合し、この溶液をアンモニア
水でpH12に調整し、60℃に保持した溶液中に滴下
し、沈殿析出させた。この沈殿物を洗浄濾別し、100
℃で10時間乾燥後、600℃で5時間窒素中で焼成
し、スズドープ酸化インジウム(ITO)微粒子を得
た。この粒子を液中の平均凝集粒径が80nm(平均一
次粒径は30nm)になるまで衝撃粉砕法で粉砕し、そ
の後濃縮を行い固形分が4.3%の液を得た(K2
液)。 【0057】前記F2液とK2液をF2液/K2液が9
3/7(重量比)となるように混合した。なお、ルテニ
ウム金属微粒子の平均凝集粒径は32nmであった。ま
た、平均一次粒径は5nmであり、一次粒径の最大値と
最小値との差は5nm以内で粒径はきわめて均一であっ
た。その後この混合液をG液で固形分(ルテニウム金属
微粒子とITO微粒子との総量)が0.55%となるよ
うに希釈した(H4液)。H4液の粘度は1.15cP
であった。なお、ルテニウム金属微粒子/ITO微粒子
(重量比)は93/7であった。 【0058】H4液を14インチブラウン管表面にスピ
ンコート法で塗布した後、膜上にB液をU1液で0.9
3%に希釈したものをスピンコート法で塗布し、160
℃で30分焼成し低反射性導電膜を得た。なお、導電膜
の膜厚は80nmであった。 [例4]塩化ルテニウム水溶液を、アンモニア水でpH
10に調整し、60℃に保持した溶液中に滴下し、沈殿
析出させた。この沈殿物を洗浄濾別し、100℃で10
時間乾燥後、500℃で2時間大気中で焼成し、酸化ル
テニウム(RuO2)微粒子を得た。この粒子を液中の
平均凝集粒径が95nm(平均一次粒径は20nm)に
なるまで衝撃粉砕法で粉砕し、その後濃縮を行い固形分
が4.3%の液を得た(K3液)。 【0059】前記F2液とK3液をF2液/K3液が7
0/30となるように混合した。なお、ルテニウム金属
微粒子の平均凝集粒径は32nmであった。また、平均
一次粒径は5nmであり、一次粒径の最大値と最小値と
の差は5nm以内で粒径はきわめて均一であった。その
後この混合液をG液で固形分(ルテニウム金属微粒子と
RuO2微粒子との総量)が0.62%となるように希
釈した(H5液)。H5液の粘度は1.35cPであっ
た。なお、ルテニウム金属微粒子/RuO2微粒子(重
量比)は70/30であった。 【0060】H5液を14インチブラウン管表面にスピ
ンコート法で塗布した後、膜(導電膜)上にB液をU1
液で0.95%に希釈したものをスピンコート法で塗布
し、160℃で30分焼成し低反射性導電膜を得た。な
お、導電膜の膜厚は100nmであった。 【0061】[例5(比較例)]塩化第二スズ(SnC
4)と塩化アンチモンを、Sn/Sb=85/15
(原子比)となるように混合し、この溶液をアンモニア
水でpH10に調整し、50℃に保持した溶液中に添加
し、沈殿析出させた。この沈殿物を洗浄濾別し、100
℃で12時間乾燥後650℃で3時間大気中で焼成し、
アンチモンドープ酸化スズ微粒子を得た。この微粒子を
サンドミルで2時間粉砕した。このときの液中のアンチ
モンドープ酸化スズ微粒子の平均粒径は65nmであっ
た。その後濃縮を行い固形分が5%の液を得た。 【0062】この液をD液で固形分1.2%に希釈し、
14インチブラウン管パネル表面にスピンコートした。
さらにこの膜の上にB液をU1液で0.9%に希釈した
液をスピンコート法で塗布し、160℃で20分間焼成
し2層膜を形成させた。 【0063】[例6(比較例)]硝酸銀水溶液(銀換算
固形分10%)にクエン酸ナトリウムを銀に対して5倍
モル添加した後、硝酸鉄を銀に対して3倍モル添加し沈
殿析出させた。この沈殿物を遠心分離で分離した後、蒸
留水を加え再分散を行いその後イオン交換樹脂による脱
塩を行い固形分3.2%の銀ゾルを得た(I液)。I液
をG液で固形分が0.45%となるように希釈した(J
液)。J液を14インチブラウン管表面スピンコート法
で塗布し、その膜の上にB液をU1液で0.85%に希
釈したものをスピンコート法で塗布し、160℃で30
分焼成し低反射導電膜を得た。 【0064】 【表1】 【0065】 【発明の効果】本発明によれば、スプレーまたはスピン
コートなどの簡便な方法により効率よく優れた低反射性
導電膜を提供できる。本発明によれば電磁波を容易にシ
ールドでき、かつ比較的安価に製造できる。特に、CR
Tのパネルフェイス面などの大面積の基体にも充分適用
でき、量産も可能であるため工業的価値は非常に高い。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C03C 17/36 G02B 1/10 Z (56)参考文献 特開 平8−77832(JP,A) 特開 平3−281783(JP,A) 特開 昭55−144029(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 5/06 B05D 5/12 C09D 5/24 G02B 1/10 H01J 9/20 C03C 17/36

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】粉体体積抵抗が0.01Ωcm以下である
    u金属微粒子のゾルを含有してなる導電膜形成用塗布
    液を基体上に塗布して塗膜を形成した後、塗膜上に前記
    導電膜より低屈折率の膜を形成し、50〜150nmの
    膜厚の導電膜を有する低反射性導電膜を得ることを特徴
    とする低反射性導電膜の形成方法。
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