JP3513380B2 - 直流正極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ及び溶接方法 - Google Patents

直流正極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ及び溶接方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟鋼・490 N/m
2 級高張力鋼などの炭酸ガスアーク溶接(炭酸ガスを
シールドガスとして用いる溶接)に用いられ、溶接ワイ
ヤを負極とし母材を正極とする直流正極性で使用される
フラックス入り溶接ワイヤに係り、低電流から中電流の
溶接電流範囲(70〜300 A程度)においてスパッタ発生
量が少なく、かつ、靱性の良好な溶接金属が得られ、ま
た、重力の影響によって溶融金属が垂れ下がり易い立向
き・上向き溶接などでの溶接性が良好な直流正極性用炭
酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ、及び該フラッ
クス入りワイヤを用いた亜鉛めっき鋼板の溶接方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】先に、本出願人は、炭酸ガス又は炭酸ガ
スとアルゴンとの混合ガスをシールドガスとするガスシ
ールドアーク溶接で使用されるフラックス入りワイヤに
おいて、アークを安定化させることでスパッタ発生量を
少なくするために、フラックス中にフッ化物としてBaF2
を添加したフッ化バリウム系のフラックス入りワイヤを
提案した(特許第2578483 号公報)。このフッ化バリウ
ム系のフラックス入りワイヤでは、ワイヤを負極(母
材:正極)として直流のアーク溶接を行う直流正極性で
用いられており、直流正極性で使用すると、ワイヤ先端
の溶滴には陽イオンによる衝撃力に加えて、高蒸気圧の
BaF2等の蒸発による大きな反作用力が働くため、ワイヤ
先端の溶滴がこれらの合力により衝撃を受け、小さな溶
滴粒になって母材へとスムーズな移行を行う。これによ
りアークの安定化、スパッタ発生量の低減化を図るよう
にしている。
【0003】前記提案した従来のフラックス入りワイヤ
は、BaF2、Al、Mg、Fe、Mn及びSiを必須のフラックス成
分とし、これらのフラックス成分量を適正化することに
より、低溶接電流域(100 〜200 A程度)においてスパ
ッタ発生量が少ないことを特長とするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし前記従来のフラ
ックス入りワイヤでは、重力の影響によって溶融金属が
垂れ下がり易い立向き・上向き溶接などでの溶接性(良
好なビード形状の得られ易さ)が十分でなく、また、溶
接金属の靱性も満足できるものでなかった。
【0005】本発明の目的は、直流正極性での炭酸ガス
アーク溶接で使用されるフラックス入りワイヤであっ
て、低電流から中電流の溶接電流範囲(70〜300 A程
度)においてスパッタ発生量が少なく、かつ、靱性の良
好な溶接金属が得られ、また、下向き溶接のみならず立
向き・上向き溶接などの全姿勢での溶接性が良好な直流
正極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤを提
供することにある。また、本発明の他の目的は、該フラ
ックス入りワイヤを用いることにより、スパッタ発生量
が少なく、かつ耐気孔性に優れた溶接を行うことができ
る亜鉛めっき鋼板の溶接方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る直
流正極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ
は、鋼製外皮内にフラックスを充填してなり、直流正極
性で使用される炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイ
ヤにおいて、フラックス成分として、ワイヤ全重量に対
する重量%で、Al:2 〜3.5 重量%、Mg:0.1 〜0.9 重
量%、BaF2:1 〜5 重量%及びZr:0.01〜1 重量%を含
有し、ワイヤ全重量に対するフラックス充填率が5 〜30
重量%であることを特徴とするものである。
【0007】請求項2の発明は、前記請求項1記載の直
流正極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤに
おいて、ワイヤ全重量に対する重量%で、鋼製外皮及び
フラックス中のMnの総和:1 〜2.5 重量%、鋼製外皮及
びフラックス中のSiの総和:0.02〜0.6 重量%、鋼製外
皮及びフラックス中のC の総和:0.08重量%以下である
ことを特徴とするものである。請求項3の発明は、前記
請求項1又は2に記載の直流正極性用炭酸ガスアーク溶
接フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全重量に対す
る重量%で、鋼製外皮及びフラックス中のP の総和:0.
015 〜0.05重量%であることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、前記請求項1〜3のいずれか1項に
記載の直流正極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入り
ワイヤにおいて、フラックス中にワイヤ全重量に対する
重量%で、Niを0.1 〜3 重量%含有することを特徴とす
るものである。
【0008】また、請求項5の発明に係る亜鉛めっき鋼
板の溶接方法は、前記請求項1〜4のいずれか1項に記
載の直流正極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワ
イヤを用いて、亜鉛めっき鋼板(表面に亜鉛又は亜鉛を
含む合金をめっき処理した鋼板)の溶接を行うものであ
る。
【0009】前記の特徴を有する本願発明に係る直流正
極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤによる
と、低電流から中電流の溶接電流範囲(70〜300 A程
度)においてスパッタ発生量が少なく、かつ、靱性の良
好な溶接金属が得られ、また、全姿勢での溶接性(良好
なビード形状の得られ易さ)が良い。また、本願発明の
ワイヤを用いた亜鉛めっき鋼板の炭酸ガスアーク溶接
は、亜鉛めっき鋼板の溶接で重要である耐気孔性、スパ
ッタ低減化に優れている。
【0010】
【発明の実施の形態】本願発明に係るフラックス入りワ
イヤでは、主にAl、Mg、Zr、BaF2などのフラックス成分
量を適正にバランス化することにより、低電流から中電
流の溶接電流範囲(70〜300 A程度)においてスパッタ
発生量が少なく、また、全姿勢で良好なビード形状が得
られるようにしたものである。すなわち、Al,Mgという
強力な脱酸剤は、溶融金属中の酸素量を低減させて溶融
金属の粘性を高めることにより、立向き溶接などで重力
の影響に抗して良好な形状のビードが得られる役割を担
う。また、Zrは、炭酸ガスアーク溶接においてAl,Mgを
添加した上でさらに酸素量を低減させ溶融金属の粘性を
より高める役割を担うことが判明した。フッ化物である
BaF2は、直流正極性でアークを安定にすることでスパッ
タ発生量を減らすアーク安定剤であるとともに、溶接金
属中の酸素量を上昇させることなくビード形状を整える
スラグ形成剤の役割を担う。さらに炭酸ガスアーク溶接
において、フェライト形成元素であるAl,Si、及びオー
ステナイト形成元素であるNi,Mn,C の成分量を適正化
することにより、靱性の良好な溶接金属が得られる。
【0011】本願発明に係るフラックス入りワイヤで
は、前述のように溶融金属がその粘性が高く垂れ下がり
難いことから、下向き・立向き溶接などにおいて、ルー
トギャップ(開先ルート間隙)を有する突合せ継手を、
従来と違って裏当て材(ビードの垂れ落ちを防いで裏ビ
ードを形成するためのもの)を用いることなく、裏ビー
ドを形成し片面溶接することも可能である。
【0012】ところで、周知のように、亜鉛めっき鋼板
のアーク溶接では、アーク熱による亜鉛蒸気によりピッ
ト(溶接金属の表面に現れた気孔)やブローホール(溶
接金属の内部に存在する気孔)等の気孔が多発し、ま
た、亜鉛蒸気の影響によりアークが乱れてスパッタ発生
量が多いということが知られており、耐気孔性の向上と
スパッタの低減化を図る必要がある。本願発明のワイヤ
は亜鉛めっき鋼板の溶接においても耐気孔性、スパッタ
低減化に優れている。すなわち、Al,Mg,Zrは、溶融金
属の粘性を高めて溶融金属中での亜鉛蒸気の成長を抑制
する。また、P の適量添加によって該P と亜鉛との化合
物を形成し、これにより溶融した亜鉛が蒸気化するのを
抑制し、さらに、BaF2の適量添加によって溶滴移行及び
溶融池を安定化し、これによりアークが安定してスパッ
タの発生量は少ない。特に、どぶ漬けの亜鉛めっき鋼板
のように亜鉛目付量が550g/m2 程度と多い亜鉛め
っき鋼板の場合、P を適量含有させた本願ワイヤによる
溶接では耐気孔性が良い。
【0013】以下に、本願発明に係るワイヤを前記した
構成に限定した理由を説明する。なお、各成分の含有量
はワイヤ全重量に対する重量%である。
【0014】Alは、フラックス中に必須として入れる成
分であって、強力な脱酸剤で溶融金属の粘性を高めて全
姿勢溶接でのビード形状を良くするとともに、直流正極
性でのアークを安定にする効果がある。しかし、2 重量
%未満ではアークが不安定でスパッタの発生量も多く、
一方、3.5 重量%を超えると溶接金属中のAl量が過剰と
なり、溶接金属の組織が粗大化し、靱性が低下する。し
たがって、Al量は2 〜3.5 重量%の範囲とする。Alは、
金属Alの形態でもよいし、Fe−Al,Al−Mg等の合金形態
で添加してもよい。
【0015】Mgは、フラックス中に必須として入れる成
分であって、強力な脱酸剤で溶融金属の粘性を高めて全
姿勢溶接でのビード形状を良好にするとともに、直流正
極性でのアークを安定にする効果がある。しかし、0.1
重量%未満ではアークが不安定でスパッタの発生量も多
く、一方、0.9 重量%を超えるとアークの集中性が劣
り、これによってスパッタが増大する。したがって、Mg
量は0.1 〜0.9 重量%の範囲とする。Mgの添加形態とし
ては、金属Mg,Al−Mg等が挙げられる。なお、MgはAlと
似たような効果を担うものであるが、Alとの違いは、Al
よりも溶融金属の粘性を高める度合いが大きく、過剰添
加した場合、溶接金属の靱性の悪化には直接影響しない
ものの、スパッタが増大するとともにビード形状が凸ビ
ードとなって悪くなるという相違点がある。
【0016】BaF2は、フラックス中に必須として入れる
成分であって、直流正極性でアークを安定にしてスパッ
タ発生量を減らす効果がある。しかし、BaF2量が1 重量
%未満ではそのような効果が発揮されず、一方、5 重量
%を超えるとワイヤ先端の溶滴が大粒化してスムーズな
溶滴移行を行わず逆にスパッタが大粒化しスパッタ発生
量が増加する。したがって、BaF2量は1 〜5 重量%(Ba
換算値:0.8 〜4 重量%)の範囲とする。なお、他のフ
ッ化物、例えばSrF2,CaF2,LiF ,MgF2,NaF,K2SiF6
等のフッ化物も、スラグ形成剤としての観点から必要に
応じて添加可能であるが、これらをBaF2よりも多く添加
することは、アーク安定性の点から好ましくない。
【0017】Zrは、フラックス中に必須として入れる成
分であって、強力な脱酸剤で溶融金属の粘性を高めて全
姿勢溶接での溶接性(良好なビード形状の得られ易さ)
を良くするとともに、アークを安定にする効果がある。
特に、炭酸ガスアーク溶接においてAl,Mgを添加した上
でさらに溶融金属の酸素量を低減させ粘性をより高める
場合に有効である。しかし、0.01重量%未満では全姿勢
での溶接性向上効果が発揮されず、かつ、スパッタ発生
量が増大し、一方、1 重量%を超えると溶接金属の靱性
が悪化する。したがって、Zr量は0.01〜1 重量%の範囲
とする。Zrの添加形態としては、Fe−Zr,Fe−Si−Zrが
挙げられる。
【0018】Mnは、オーステナイト形成元素であり、Al
を含んだ溶接金属での靱性を確保するのに有効な成分で
ある。しかし、鋼製外皮及びフラックス中のMnの総和
(T.Mn)が1 重量%未満ではそのような効果が十分発揮
されず、一方、2.5 重量%を超えると溶接金属の強度が
高くなりすぎて逆に靱性が低下する。したがって、Mn量
(T.Mn)は1 〜2.5 重量%の範囲がよい。Mnは、鋼製外
皮Mnとの総和で規定し、フラックスからは、金属Mnの形
態の他、Fe−Mn,Fe−Si−Mn等の合金形態で添加でき
る。
【0019】Siは、フェライト形成元素であり、母材と
溶接金属とのなじみ、いわゆるビードのなじみを良くす
るのに有効な成分である。しかし、鋼製外皮及びフラッ
クス中のSiの総和(T.Si)が0.02重量%未満ではそのよ
うな効果が十分発揮されず、一方、0.6 重量%を超える
と溶接金属の靱性が低下する。したがって、Si量(T.S
i)は0.02〜0.6 重量%の範囲がよい。Siは、鋼製外皮S
iとの総和で規定し、フラックスからは、Fe−Si,Fe−S
i−Zr等の合金形態で添加できる。
【0020】C は、オーステナイト形成元素であり、Al
を含んだ溶接金属での靱性を確保するのに有効な成分で
ある。しかし、鋼製外皮及びフラックス中のC の総和
(T.C)が0.08重量%を超えると、溶接金属の強度が高
くなりすぎて逆に靱性が低下する。よって、C 量(T.C
)は0.08重量%以下がよい。通常、C は鋼製外皮に含
まれている。
【0021】P は、亜鉛との安定な化合物(P −Zn系、
P −Zn−Fe系)を生成し、これにより亜鉛蒸気の発生量
を減少させ、気孔(ピット、ブローホール)の発生を抑
制する効果がある。P の量は鋼製外皮及びフラックス中
の総和(T.P )で規定し、P量が0.015 重量%未満では
そのような効果が十分発揮されず、一方、0.05重量%を
超えると、溶融金属の最終凝固域に濃縮されるP 量が多
くなるため、溶接割れ(特に高温割れ)の発生に対する
感受性が高くなり、溶接条件・施工条件によっては溶接
割れが発生することがある。よって、P 量(T.P )は0.
015 〜0.05重量%の範囲がよい。通常、P は鋼製外皮に
も含まれており、フラックスからは、Fe−P 等の形態で
添加できる。
【0022】Niは、オーステナイト形成元素で比較的高
価であるものの、Mn,C のように、Alを含んだ溶接金属
での靱性を確保するために有効な成分である。しかし、
Ni量が0.1 重量%未満ではそのような効果が十分発揮さ
れず、一方、3 重量%を超えると溶接金属の強度が高く
なりすぎて逆に靱性が低下する。したがって、Ni量は0.
1 〜3 重量%の範囲がよい。Niは、金属Niなどの形態で
フラックスから添加する。
【0023】ワイヤ全重量に対するフラックス充填率は
5 〜30重量%の範囲にする。すなわち、フラックス充填
率が5 重量%未満ではフラックス構成成分の個々の含有
量が不足するために満足な効果を得ることができず、一
方、30重量%を超えると鋼製外皮を薄肉としなければな
らず、ワイヤへの溶接電流密度が高くなりすぎてアーク
が不安定となり、スパッタ発生量が増大する。したがっ
て、フラックス充填率は5 〜30重量%の範囲とし、各フ
ラックス成分の有効発揮及びアークの安定化の点より、
7 〜20重量%の範囲がより好ましい。
【0024】その他、本発明のワイヤでは、Al,Mg,Zr
以外の強力な脱酸剤として、Ca,Tiなどを脱酸の目的
で、フラックス又は/及び鋼製外皮に含有させてもよ
い。また、低温での靱性を確保するため、フラックス又
は/及び鋼製外皮に、Ti又は/及びB を含有させてもよ
い。また、ビード形状を良好にすべくスラグ形成剤とし
て種々の酸化物をフラックス中に添加可能ではあるが、
これによりスパッタ発生量が増える傾向がある。なお、
鉄酸化物やMn酸化物のような中性系酸化物、及び、Mg酸
化物やAl酸化物のような塩基性酸化物は、スパッタの増
大度合いが比較的少ない酸化物である。
【0025】ワイヤ断面形状については、例えば図1
(a)〜(d)に例示する種々の形状のものが採用でき
る。図1(d)の形状(継目無し)の場合にはワイヤ表
面に銅めっきを施しても構わない。
【0026】
【実施例】表2に示す化学成分の鋼製外皮(JIS G 3141
SPCC-SD相当)を用いて、表3及び表4に示すフラック
ス入りワイヤを製作した。なお、表3及び表4における
wt%はワイヤ全重量に対する重量%である。また、各
ワイヤはいずれも、ワイヤ径:φ1.4 mm、フラックス
充填率:15重量%であり、ワイヤ断面形状は図1(b)
である。
【0027】これらのフラックス入りワイヤを用いて、
表1に示す溶接試験条件で、全姿勢溶接の代表として立
向き姿勢の多層多パス溶接をV形突合せ継手にて実施
し、良好なビード形状の得られ易さ(溶接性)、スパッ
タ発生の度合い、溶接金属の靱性(JIS Z 3313に準じ
る)について評価した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】溶接試験結果を表5に示す。評価は、◎:
特に良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る、とし
た。
【0034】試験結果から、No.1〜8 の比較例のワイヤ
では本発明で規定する要件の何れかを欠くため、次のよ
うな問題があった。No.1はAl量が下限値を下回るために
アーク不安定に起因してスパッタの発生量が多く、一
方、No.2は逆にAl量が上限値を外れて過剰となり、溶接
金属の靱性が低かった。No.3はMg量が下限値を下回るた
めにアークが不安定でスパッタ発生量が多く、一方、N
o.4は逆にMg量が上限値を上回るために凸ビード気味
で、また、スパッタが多発した。
【0035】No.5はBaF2量が下限値を下回るためにアー
クが不安定でスパッタ発生量が多く、No.6は逆にBaF2
が上限値を上回るために大粒のスパッタが多発した。N
o.7はZrが下限値を下回るために溶融金属が垂れ下がり
気味でビード形状がやや悪く、かつ、アークがやや不安
定でスパッタ発生量がやや多かった。一方、No.8は逆に
Zrが上限値を上回るために溶接金属の靱性が低かった。
【0036】これに対し本発明例では、スパッタ発生量
が少なく、靱性の良好な溶接金属が得られており、しか
も、全姿勢溶接の代表である立向き姿勢の溶接において
も良好なビード形状が得られている。ただし、本発明例
(No.9〜No.22 )において、T.Mnがその推奨範囲から外
れたNo.10 ,11、T.Siがその推奨範囲から外れたNo.13
、Ni量がその推奨範囲から外れたNo.17 、及び、T.C
がその推奨範囲から外れたNo.18 の発明例では、溶接金
属の靱性が△の評価であり、スラグ形成剤として酸化物
を付加したNo.21 ,22の発明例ではスパッタが△の評価
であった。
【0037】次に、No.14 の発明例ワイヤと比較例ワイ
ヤとを用い、表6に示す溶接試験条件で亜鉛めっき鋼板
の炭酸ガスアーク溶接を実施した。
【0038】
【表6】
【0039】試験の結果、亜鉛めっき鋼板の炭酸ガスア
ーク溶接において、比較例ワイヤを用いた溶接では溶接
ビードにピット(気孔欠陥)が多発した。これに対し本
発明例のワイヤを用いた溶接では、ピットの発生はな
く、また、スパッタ発生量も少なかった。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、直
流正極性での炭酸ガスアーク溶接で使用されるフラック
ス入りワイヤであって、低電流から中電流の溶接電流範
囲(70〜300 A程度)においてスパッタ発生量が少な
く、かつ、靱性の良好な溶接金属が得られ、また、下向
き溶接のみならず立向き・上向き溶接などの全姿勢での
溶接性が良好な直流正極性用炭酸ガスアーク溶接フラッ
クス入りワイヤを提供することができる。また、該ワイ
ヤを用いた亜鉛めっき鋼板の炭酸ガスアーク溶接による
と、ピットの発生がなく、スパッタ発生量が少ない溶接
を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るフラックス入りワイヤの断面形
状の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
M…鋼製外皮 F…フラックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−55696(JP,A) 特開 平10−180487(JP,A) 特開 平9−206945(JP,A) 特開 平5−228691(JP,A) 特開 平4−294869(JP,A) 特公 昭63−57155(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/368 B23K 35/30 B23K 9/23

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮内にフラックスを充填してな
    り、直流正極性で使用される炭酸ガスアーク溶接フラッ
    クス入りワイヤにおいて、フラックス成分として、ワイ
    ヤ全重量に対する重量%で、Al:2 〜3.5 重量%、Mg:
    0.1 〜0.9 重量%、BaF2:1 〜5 重量%及びZr:0.01〜
    1 重量%を含有し、ワイヤ全重量に対するフラックス充
    填率が5 〜30重量%であることを特徴とする直流正極性
    用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 ワイヤ全重量に対する重量%で、鋼製外
    皮及びフラックス中のMnの総和:1 〜2.5 重量%、鋼製
    外皮及びフラックス中のSiの総和:0.02〜0.6 重量%、
    鋼製外皮及びフラックス中のC の総和:0.08重量%以下
    である請求項1記載の直流正極性用炭酸ガスアーク溶接
    フラックス入りワイヤ。
  3. 【請求項3】 ワイヤ全重量に対する重量%で、鋼製外
    皮及びフラックス中のP の総和:0.015 〜0.05重量%で
    ある請求項1又は2に記載の直流正極性用炭酸ガスアー
    ク溶接フラックス入りワイヤ。
  4. 【請求項4】 フラックス中にワイヤ全重量に対する重
    量%で、Niを0.1 〜3 重量%含有する請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の直流正極性用炭酸ガスアーク溶接フ
    ラックス入りワイヤ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の直
    流正極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤを
    用いて、亜鉛めっき鋼板の溶接を行うことを特徴とする
    亜鉛めっき鋼板の溶接方法。
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