JPH05228691A - セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Info

Publication number
JPH05228691A
JPH05228691A JP3107992A JP3107992A JPH05228691A JP H05228691 A JPH05228691 A JP H05228691A JP 3107992 A JP3107992 A JP 3107992A JP 3107992 A JP3107992 A JP 3107992A JP H05228691 A JPH05228691 A JP H05228691A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flux
terms
self
cored wire
welding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP3107992A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Makita
三宜男 槇田
Takeo Adachi
武夫 足立
Kiyoshi Kato
清 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP3107992A priority Critical patent/JPH05228691A/ja
Publication of JPH05228691A publication Critical patent/JPH05228691A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonmetallic Welding Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼構造物の下、横向姿勢で健全で機械的性質
の良好な接合部を容易に得られるセルフシールドアーク
溶接用フラックス入りワイヤを提供すること。 【構成】 鋼製外皮の内側に螢石、弗化バリウム、鉄酸
化物、Al、Mg、炭酸リチウム、炭酸バリウム及び炭
素量を規制し、弗化バリウムと螢石、鉄酸化物とAl、
Alと金属弗化物及び炭素とAlのそれぞれの比を規制
し、必要に応じて、Li、K、Na、希土類元素化合
物、Ni、Zr及びTiを含むフラックスをワイヤ全重
量に対し10〜25%充填したフラックス入りワイヤ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼構造物の主に下向およ
び横向姿勢の接合溶接に適用して、X線および曲げ性能
の良好な溶接部を安定して得ることができ、且つ機械的
性能の良好なセルフシールドアーク溶接用フラックス入
りワイヤ(以下セルフシールドワイヤという)に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】セル
フシールドワイヤを用いたセルフシールドアーク溶接法
は溶接中のアークや、溶融池を大気からシールドするた
めフラックスまたはガスを他から供給しないで溶接でき
るので、溶接装置およびトーチの構造が単純で軽く、フ
ラックスの供給、除去またはガスの供給、ボンベの入れ
替え、配管などを必要としない。また実施工に当たって
は大気シールドの面から潜弧溶接法では姿勢に、ガスシ
ールド法では屋外作業で問題となる風にそれぞれ制約さ
れにくいなどの利点がある。しかし、現実にはアーク電
圧、即ち、アークの長さおよびその変動によるシールド
性の変化、ワイヤの突き出し長さなどの施工条件、溶接
材料であるワイヤの吸湿、錆、更に施工物である開先の
錆、汚れおよび防錆塗料付着などの水分に敏感で許容範
囲が狭いため、欠陥のない溶接部を得るには特別な技量
および管理が必要である。従来のセルフシールドワイヤ
では大気シールドが完全でなく、溶接中に侵入した空気
中の窒素、酸素による溶接金属の気孔の発生を防止する
ために脱窒、脱酸剤として多量のAl,Mgを添加す
る。そのためAlが溶接金属中に多量に残留し、結晶粒
が粗大化するため良好な曲げ性能および靭性が得られな
かった。
【0003】また、この系ではスラグの凝固が遅く、粘
性が低いため立向、上向姿勢の溶接は極めて困難であ
り、建築、建設などの現場接合溶接で特に多い横向姿勢
でもスラグ、ビードが垂れ易く特別の技量が必要であ
る。
【0004】これらの欠点を解消するために例えば特開
昭54−155139号、特開昭56−74395号、
特開昭59−42198号、特開昭59−141397
号、特開昭62−238097号公報にワイヤを細径化
し、全姿勢での良好な使用特性と耐気孔性、低温靭性お
よび曲げ性能の向上を図ったセルフシールドワイヤが開
示されている。これらのワイヤは主なスラグ材である金
属ふっ化物としてCaF2 の代わりにBaF2 を使用
し、スラグの凝固点を高めたことにより全姿勢溶接性、
衝撃靭性を向上している。
【0005】しかし、これらのワイヤでは概して生成し
たスラグの除去が困難で、時間を要し、また最終ビード
外観が劣り、汎用材料としてはまだ問題があることが分
かってきた。即ちCaF2 系ではスラグの剥離、ビード
外観が良好であるが姿勢溶接性、衝撃靭性が劣る。Ba
2 系では全姿勢溶接性、衝撃靭性は優れているがスラ
グの剥離、ビード外観が劣るなどそれぞれに問題があ
る。
【0006】更に、これらの問題を解消させるためCa
2 ,BaF2 を組合せて使用した特開昭58−148
095号、特開昭63−63600号、特開平1−21
0195号、特開平1−289596号公報などが公知
である。しかし、これらのワイヤも全姿勢溶接性と衝撃
靭性の向上を指向しており一般に多用される下向、横向
姿勢に限定すると他の溶接法、即ち、手溶接、ガスシー
ルド、潜弧溶接法などに比べ溶接作業性、溶接部の健全
性および機械的性質にまだ問題があり、用途が限定され
ている。
【0007】本発明はこのような状況に着目しなされた
ものである。即ち溶接姿勢を一般に最も使用頻度の高い
下向、横向姿勢に限定し、高い技量を必要としないで、
多層溶接が要求される比較的厚い接合部を能率良く溶接
でき、良好な形状のビードおよび健全な溶接部を与え、
且つ機械的性能を向上させたセルフシールドワイヤの提
供を目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するため
本発明者は従来技術を基に既にCaF2 ,BaF2 系に
おいてBaF2 /CaF2 ,Al/(CaF2 +BaF
2 ),Cの総和/Alの比を規制することにより、板厚
25mm未満の接合ではアークの安定性、ビード形状、溶
接部の健全性および曲げ性能の良好なセルフシールドワ
イヤを提供することができた。
【0009】しかし、板厚25mm以上の厚板の接合に適
用しようとした場合、スラグインなどの欠陥が多くなり
曲げ性能に、更に衝撃靭性など機械的性能に問題のある
ことが分かった。本発明はこれらの問題点を解消する目
的で更に研究を重ねた結果、ワイヤ中に積極的に酸素を
添加することにより前記問題点を解消できることを見い
だすに至り、この知見を基に従来の原材料および量の範
囲でその構成成分比率を微妙に調整したことによりなし
得たものである。
【0010】即ち、本発明に係るセルフシールドワイヤ
は鋼製外皮の内側に金属ふっ化物としてCaF2 および
BaF2 を合計で25〜40%(フラックス全重量に対
する重量%、以下同じ)、且つBaF2 /CaF2
0.5〜0.75未満、鉄酸化物を3〜23%、且つ鉄
酸化物/Alの比0.4〜2.0、Al,Al合金の1
種または2種以上をAl換算で9〜20%、Mg,Mg
合金の1種または2種以上をMg換算で4〜13%、L
i,Baの1種または2種の炭酸塩を0.4〜12%、
MnまたはMn合金をMn換算で0.5〜8.0%、炭
酸塩のCをCに換算した値を含むフラックス中のCの総
和0.03〜1.7%以下を必須成分として含有し、且
つ次の各成分間の重量の比がAl/(CaF2 +BaF
2 ):0.3〜0.4、Cの総和/Al:0.07以上
であり、必要に応じてLi,K,Naおよび希土類元素
化合物の1種または2種以上をLi,K,Naおよび希
土類元素に換算して0.1〜1.0%、Niを3〜7
%、ZrおよびTiの少なくとも1種以上を0.2〜5
%含有し、該フラックスを10〜25%となるように充
填したことを特徴とするものである。以下に本発明を更
に詳細に説明する。
【0011】
【作用】以下に本発明のセルフシールドワイヤ成分を上
記構成に限定した理由を説明する。金属ふっ化物として
のCaF2 とBaF2 は次に述べるAlおよびMgと共
にスラグを構成する主な成分であると共に溶接時アーク
熱により一部気化しアーク雰囲気および溶融池を大気か
らシールドする効果がある。しかし、25%未満ではシ
ールド効果は不充分で、且つスラグ量が不足し、凝固点
の高いAl,Mg酸化物の比が多くなるためスラグの凝
固点が上がり、流動性も悪くなるためビードを安定して
覆うことができず、良好なビード外観、形状および耐気
孔性を得ることができない。40%を超えて添加すると
スラグ量が多くなると共にスラグ中のふっ化物の比率が
多くなり凝固点の低下、流動性の増加などにより開先内
でスラグが先行し、アークが不安定となる。特に横向姿
勢ではスラグが垂れ下がり溶接作業性が悪化する。
【0012】添加量が前記範囲であってもCaF2 とB
aF2 の重量比BaF2 /CaF2が0.50より小さ
いと低電圧でアークが安定せず、広がりがない。特に溶
接速度の速い横向姿勢では溶融池が長く、スラグの凝固
が遅れ、ビードが凸になる。また0.75以上にすると
アークが広がり過ぎ、母材への濡れが不安定となり、溶
け込みが減少し、スラグの剥離が劣化し、融合不良を起
こし易くなることが分かった。従って金属ふっ化物Ba
2 およびCaF2 は合わせて25〜40%の範囲で添
加し、この範囲で更にその比BaF2 /CaF2 を0.
50〜0.75未満に制御する必要がある。
【0013】鉄酸化物は溶接時過剰に、または偏析して
溶接金属に残留するC,Al,Mgなどの脱酸、脱窒剤
を速やかに酸化し減少または除去することにより多層溶
接時に発生するスラグインなどの溶接欠陥を減少させ
る。また、溶接金属中の過剰なC,Al量を減少させ引
張強さおよび衝撃靭性など溶接金属の機械的性質を向上
させる効果がある。添加量はFe2 3 に換算して3%
未満では上記効果がなく、23%を超えて添加するとス
ラグが流れ易くなりビード被包性が劣化し、溶接ビード
が凸となると共に、ブローホールが多発する。また前記
範囲であっても、鉄酸化物/Alの比が0.4未満でも
上記効果がなく、2.0を超えると残留Al量が減少し
過ぎ溶接金属にピット、ブローホールなどの欠陥が発生
する。従って鉄酸化物はFe2 3 換算で3〜23%
で、かつFe2 3 換算の鉄酸化物/Alの比を0.4
〜2.0に制御する必要がある。酸化物としては溶接時
C,Al,Mgを酸化できる化合物、即ち酸素源となる
化合物であれば良いが本発明では還元され溶接金属性能
に及ぼす影響の少ない鉄酸化物に限定して規制した。鉄
酸化物としては鉄の各段階の酸化物および/または鉄の
各段階の酸化物と他化合物との複合酸化物であれば良い
が、具体的には酸素品位の安定したαフェライト、γフ
ェライト、リチウムフェライト、バリウムフェライト、
ストロンチウムフェライトなどの形で添加するのが望ま
しい。
【0014】Alは溶接金属中に過剰に侵入した窒素を
固定し、また脱酸剤としてピット、ブローホールなどの
気孔発生を抑制する目的で添加する。また先に述べた金
属ふっ化物および次に述べるMgと共にスラグを構成す
る主な成分であり溶接作業性に大いに影響を与える。9
%より少ないと脱窒、脱酸が不充分で溶接金属に気孔が
発生し、X線性能が劣化する。また、20%を超えて添
加すると溶接金属中のAlが過剰となり結晶粒が粗大化
し、衝撃靭性、曲げ性能が劣化する。これは後述するC
の総和との比とも大いに関係する。尚、Al原料として
は金属AlおよびFe−Al,Al−Mg,Zr−A
l,Li−Al,Ca−Al,Ca−Al−Mgなどの
合金の形で添加してもよい。
【0015】Mgは溶接中アーク熱により気化しアーク
を大気雰囲気からシールドし、大気成分分圧を低下させ
ると共に脱酸剤としても作用する。更に、適正量添加す
ると溶滴の移行を安定化させ、適正なアークの強さを与
え、溶け込みを増加させる。また先に述べた金属ふっ化
物、Alと共に主なスラグ構成成分の一つである。特に
Mgが4%より少ないと溶滴の移行が不安定となる。逆
に13%を超えてもスラグの被包性が劣化する。またヒ
ューム、スパッタ量が増加し、溶着率を低下させる。ま
た溶接部にスラグの巻き込みが発生し易くなり、引張試
験片の伸びおよび曲げ性能を低下させる。従ってMg量
が4〜13%の範囲で添加することが必要である。Mg
原料としては金属MgおよびAl−Mg,Ni−Mg,
Li−Mg,Ca−Mg,Fe−Mgなどの合金の形で
添加することができる。
【0016】LiおよびBaの炭酸塩は溶接中に分解し
てCO2 ガスを発生し、金属ふっ化物、Mgと共に大気
シールド性を、Mg添加と同様にワイヤ先端からの溶滴
移行性を向上させ、適当な溶け込みを与える。また、分
解後の酸化物はスラグとなる。アルカリ金属、アルカリ
土類金属の中で特にLi,Baの炭酸塩を選択使用した
のはLi炭酸塩は水分量が低く、1mol 当りのCO2
が最も高い。アルカリ金属の中では最も低い温度から徐
々に分解を始め、炭酸ガスを放出し、シールド効果を高
める。また分解生成した酸化物の凝固温度も溶接金属に
近い。アーク長さを短く保ち、溶滴の移行をスムーズに
するなどの効果があるためである。Baは低い電圧でも
アークが安定に持続する。特に分解温度が鉄の凝固温度
に近いためシールド効率がよく、スラグとなる酸化生成
物の凝固点が高く比重が重いため溶融鉄との分離がよい
などの特徴がそれぞれあるため添加する。添加量が0.
4%より少ないと上記効果が認められない。また12%
を超えて添加するとガスの発生量が過剰となりかえって
アークが不安定となり、スパッタ量が増加する。従って
Liおよび/またはBaの炭酸塩は0.4〜12%の範
囲で添加する。原材料としては炭酸リチウム、炭酸バリ
ウムの形で添加する。
【0017】本発明では溶接中の強い還元性雰囲気でワ
イヤ中のMnは金属、酸化物など形態を問わず殆ど還元
され溶接金属中に合金成分として入る。Mnは適正な抗
張力を与えるために添加する。充填フラックス中のMn
量はフラックス全重量に対し0.5%より少ないと累層
した溶接金属中のMn量が不足し目標とする鋼材の抗張
力に達しない。また8%を超えて添加すると累層したビ
ードの抗張力が高くなり過ぎ、靭性も低下する。従って
フラックス中のMn量は0.5〜8%の範囲に限定し
た。Mn原材料としては主に金属MnおよびFe−M
n,Fe−Si−Mnなど鉄合金を含む各種合金の形で
添加するが、一部MnOのような酸化物、Li2 MnO
2 のような複合酸化物およびMnCO3 のような炭酸塩
の形でも添加できる。
【0018】Cは溶接金属の強度および衝撃靭性に影響
を与える元素であるがフラックス中のCの総和が1.7
%を超えると溶接中のヒューム量が増大し、アークが強
くなり過ぎアンダーカットの発生が多くなる。また、溶
接金属の硬さ、抗張力が高くなり過ぎ衝撃靭性が低下す
る。逆に0.03%より少ないとアーク力が弱くなり、
溶滴の移行が不安定となり、十分な溶け込みが得られな
い。また、目標とする張力が得られない。C源としては
炭酸塩、Fe−Mnが主体であるが不足する場合は単体
のC,SiCなどのC含有化合物により添加する。
【0019】フラックス充填率は10%未満ではどんな
にフラックス成分、比率を調整しても必要なスラグ量が
確保できず健全な溶接部を得ることができない。逆に2
5%を超えると外皮断面積が減少し、伸線中に断線が多
発し生産能率が極度に低下する。従って本発明ではフラ
ックス率を10〜25%とする。
【0020】第2の発明では以下のように限定する。A
lと金属ふっ化物の重量比、Al/(CaF2 +BaF
2 )を0.3〜0.4に規制した理由は、溶接作業性を
更に改善するべく検討した結果、BaF2 /CaF2
相俟ってAlとの比も影響することが分かったためであ
る。即ち、Al/(CaF2 +BaF2 )が0.3より
小さいと他成分を調整しても溶接中の溶滴移行が粗くス
ムーズでなくなると共にスラグの凝固点が低下し、流動
性が増しビードの母材への濡れが低下する。そのため、
ビードが凸になるなど溶接作業性の低下を来す。逆に、
0.4より大きいとスラグの凝固点が上がり、流動性が
低下することによりスラグのビード被包性が劣化し、外
観が悪くなると共にスラグの巻き込みなどの溶接欠陥が
増加するためである。
【0021】本発明では板厚10mm前後から25mm以上
の比較的厚い鋼材の容易な接合を意図しているが、3層
以上になるような場合にはワイヤ中のAlが前記1.7
〜2.5%の範囲であっても表曲げで破断することがあ
る。しかし、Cの総和/Al:0.07以上であれば溶
接金属組織は細粒化し、引張試験における伸び率が良
く、曲げ試験の成績も向上することが分かった。これは
ワイヤ中のAl,C量が前記範囲であってもCの総和/
Alが0.07未満であると溶接金属の結晶が粗大化
し、伸びが急激に低下するためで、曲げおよび衝撃靭性
が劣化する。
【0022】Li,Na,Kおよび希土類元素化合物は
アークの安定化およびスラグの物性を微調整するために
必要に応じて添加する。各々の元素に換算して0.1%
未満では上記効果が認められず、1.0%を超えて添加
すると低電圧でのアークは安定となるがアークが必要以
上に長く、また広がるため特に横向姿勢の溶接では溶融
池が大きく垂れ落ち易く、最終パスの上側がアンダーカ
ットになるなどビード形状が悪化する。従ってLi,N
a,Kおよび希土類元素化合物はLi,Na,Kおよび
希土類元素に換算して0.1〜1.0%の範囲で添加す
る。原材料の形態としては炭酸リチウムを除き、複合酸
化物を含む酸化物、ふっ素錯塩を含むふっ化物、例えば
LiFeO2 ,K2 O・SiO2 ,LiF,NaF,L
iBaF3 ,K2 SiF6 ,Na2 SiF6 ,K2 Zr
6 ,K2 TiF6 ,RF3 などの形で添加できる。
【0023】ZrおよびTiは脱酸、脱窒剤として添加
し、ピット、ブローホールを防止し、Alの消耗を減少
させる効果がある。しかし、0.2%未満では効果がな
く、5%を超えるとスラグの剥離性が劣化するため好ま
しくない。Zr源としてはFe−Zr,Zr−Si,Z
r−Si−Caなどの合金粉末の形で添加できる。Ti
源としては金属Ti,Fe−Tiなどの形で添加でき
る。
【0024】Feはフラックス率、溶融速度の調整、フ
ラックス溶融状態の改善を目的としてフラックス中に主
に鉄粉で添加し、その他のFeは鉄合金から入ってく
る。その他の成分として例えばP,S,Si,Cu,S
iO2 ,FeO,MgO,CaO,ZrO2 ,Cr,M
oなどの不可避不純物および微調整用成分を5%を上限
として含んでいる。
【0025】なお、本発明で使用する外皮は特に規制し
ないがフラックス入りワイヤを通常の方法で製造できる
物、即ち通常市販されている帯鋼などであれば良い。従
って、通常の範囲外のC,Si,Mn,P,S,Al,
Cu,Cr,N,Oなどの成分の外皮は除外することが
望ましい。しかし、溶接金属のC量をコントロールする
ため必要に応じてC:0.001〜0.005%程度の
低炭素外皮を使用することもできる。また、本発明のフ
ラックス入りワイヤは通常の製造法で生産することがで
きる。
【0026】更に、ワイヤの断面形状も図1に示すよう
に特に規制しないが2.4mm径以下では図1(a),
(b),(c),(d)に示すような単純な円、それ以
上の径では(e)のような外皮を複雑に折り込んだ断面
形状の物が望ましい。また、本法では強い還元性の雰囲
気で溶接するため水分は非常に活発に反応し溶接部に気
孔を発生させ易い。従って、水分は極力少ない方が望ま
しい。しかし、ワイヤの内外には通常付着水、結合水な
どの形で水分がわずかに含まれるので本発明では原材料
の水分、粒度に留意し、必要に応じて熱処理を行いワイ
ヤの水分量を0.3%以下にすることが望ましい。使用
鋼板の板厚は制限しないが、強度は軟鋼および50キロ
級以下に制限する。溶接条件は特に規制しないが、直流
電源を使用したワイヤ(−)が望ましい。
【0027】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。表1に示すフラ
ックス組成により2.0mm径のフラックス入りワイヤを
常法に従って製造した。ワイヤの断面は図1(a)の単
純な円状で、外皮はJIS SPCCに相当するC:
0.06%、Si:0.1%、Mn:0.3%、Cr:
0.05%、Al:0.002%、N:0.005%、
O:0.054%(wt%)およびJIS SPUDに相
当するC:0.002%、Si:0.1%、Mn:0.
26%、Cr:0.05%、Al:0.004%、N:
0.005%、O:0.02%(wt%)の磨き帯鋼を使
用した。次に、これらワイヤを使用して40mm厚のSM
50B鋼でレ形開先(裏板付き、ギャップ5mm、開先角
度40°)で横向姿勢の溶接を行ない、溶接作業性、X
線、曲げ、引張、衝撃試験および溶接金属の成分を調べ
た。溶接条件は直流電極負(DCEN)、電流:280
A、電圧:22〜24V、ワイヤの突き出し長さ:15
〜25mmであった。試験の結果を表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】上記表においてNo.1〜10までは本発明
例であり、いずれも溶接作業性が優れていると共に溶接
部に欠陥は認められず優れたX線、引張特性、衝撃靭性
および曲げ性能が得られている。
【0036】No.11〜28は比較例の試験結果を示し
たものである。No.11,12は金属ふっ化物が本発明
の範囲を外れる場合で、添加量が少ない場合はブローホ
ール、多い場合はスラグ巻き込みが発生し曲げ性能が得
られない。No.13〜16はBaF2 /CaF2 比が本
発明の範囲を外れた場合で、いずれもスラグの性状が適
正でなくスラグの巻き込みが発生し、良好な溶接部が得
られない。No.17はAl添加量が少なく溶接部にピッ
トが発生したので試験を中止した。No.18はAlの添
加量が多すぎ、Al/(CaF2 +BaF2 )が0.4
より大きいため、スラグの凝固点が上がり、流動性が低
下したことによりスラグの巻き込みが発生し、良好な曲
げ性能が得られない。
【0037】No.19〜21は鉄酸化物量が本発明外に
ある場合でいずれも曲げ性能が劣り、特に鉄酸化物添加
量が本発明範囲より少ないワイヤは衝撃靭性が低い。N
o.22は炭酸塩が含有されておらず、またNo.23は
炭酸塩を本発明の範囲を外れて添加した場合で、少ない
場合はシールド性が低下しブローホールが発生し、多い
場合はアークが不安定となると共にスラグ物性が適当で
なく健全な溶接部が得られていない。
【0038】No.24,25はMnを本発明の範囲を外
れて添加した場合で、いずれも溶接作業性、X線性能は
良いが良好な曲げ性能が得られない。No.26はLi,
Na,Kおよび希土類元素化合物を本発明範囲を超えて
添加した場合でアークは安定であるがスラグが流れ易く
ビードが凸となり、曲げ性能が劣る。
【0039】No.27はC/Alの比が本発明外の場合
で溶接金属組織が粗大となり、殆ど伸びがなく、曲げ試
験で破断する。No.28はTi,Zrを本発明の範囲を
超えて添加した場合で、溶接作業性、機械的性質も良好
であるが、スラグの剥離性が劣化して、スラグインが発
生しやすく曲げ性能が劣る。
【0040】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の構成と比率
の範囲内を制御することにより下,横向姿勢の健全な溶
接継手を容易に作ることができるセルフシールドアーク
溶接用フラックス入りワイヤを提供し得た。本ワイヤに
よりこの分野の適用拡大が図れ、能率の向上、コスト低
減に寄与できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は本発明で取り得るワイヤ断面
の例を示す。
【符号の説明】
1 鋼製外皮 2 充填フラックス

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮の内側にフラックスが充填され
    且つ該フラックスが金属ふっ化物としてCaF2 および
    BaF2 を合計で25〜40%(フラックス全重量に対
    する重量%、以下同じ) 且つBaF2 /CaF2 :0.50〜0.75未満、 鉄酸化物をFe2 3 換算で3〜23%、 且つ鉄酸化物/Al:0.4〜2.0以下、 Al,Al合金の1種または2種以上をAl換算で9〜
    20%、 Mg,Mg合金の1種または2種以上をMg換算で4〜
    13%、 Li,Baの1種または2種の炭酸塩を0.4〜12
    %、 MnまたはMn合金をMn換算で0.5〜8%、 且つ炭酸塩のCをCに換算した値を含むフラックス中の
    Cの総和0.03〜1.7%以下、 残部鉄および5%以下のその他の成分(不可避不純物を
    含む)からなり、該フラックスを10〜25%となるよ
    うに充填したことを特徴とするセルフシールドアーク溶
    接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 次のワイヤ全重量に対する各成分間の比
    が、 Al/(CaF2 +BaF2 ):0.3〜0.4、 Cの合計/Al:0.07以上であることを特徴とする
    請求項1に記載のセルフシールドアーク溶接用フラック
    ス入りワイヤ。
  3. 【請求項3】 Li,K,Naおよび希土類元素化合物
    の1種または2種以上をLi,K,Naおよび希土類各
    元素に換算して0.1〜1.0%含有したことを特徴と
    する請求項2に記載のセルフシールドアーク溶接用フラ
    ックス入りワイヤ。
  4. 【請求項4】 Niを3〜7%含有したことを特徴とす
    る請求項3に記載のセルフシールドアーク溶接用フラッ
    クス入りワイヤ。
  5. 【請求項5】 ZrおよびTiの少なくとも1種を0.
    2〜5%含有したことを特徴とする請求項3または4に
    記載のセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイ
    ヤ。
JP3107992A 1992-02-18 1992-02-18 セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ Withdrawn JPH05228691A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3107992A JPH05228691A (ja) 1992-02-18 1992-02-18 セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3107992A JPH05228691A (ja) 1992-02-18 1992-02-18 セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05228691A true JPH05228691A (ja) 1993-09-07

Family

ID=12321424

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3107992A Withdrawn JPH05228691A (ja) 1992-02-18 1992-02-18 セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05228691A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1743730A1 (en) * 2005-07-12 2007-01-17 Lincoln Global, Inc. Barium and lithium ratio for flux cored electrode
CN100457372C (zh) * 2007-04-27 2009-02-04 北京工业大学 脱渣性优良的耐热钢碱性药芯焊丝
US20140209590A1 (en) * 2006-01-20 2014-07-31 Lincoln Global, Inc. Modified flux system in cored electrode
US9333580B2 (en) 2004-04-29 2016-05-10 Lincoln Global, Inc. Gas-less process and system for girth welding in high strength applications
EP2969381A4 (en) * 2013-03-11 2016-11-30 Esab Group Inc ALLOY COMPOSITION FOR SELF-SHRINKED YARNS FOR ARC WELDING WITH LOW HYDROGEN CONTENT AND HIGH SHOCK RESISTANCE WITH CHARGED SHOCK ON V-FILLED TAMPER
CN106944765A (zh) * 2017-05-16 2017-07-14 武汉科技大学 一种用于x80管线钢的自保护药芯焊丝
CN108907499A (zh) * 2018-08-03 2018-11-30 济南法瑞钠焊接器材股份有限公司 高碱度碳钢自保护药芯焊丝

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9333580B2 (en) 2004-04-29 2016-05-10 Lincoln Global, Inc. Gas-less process and system for girth welding in high strength applications
EP1743730A1 (en) * 2005-07-12 2007-01-17 Lincoln Global, Inc. Barium and lithium ratio for flux cored electrode
US7812284B2 (en) 2005-07-12 2010-10-12 Lincoln Global, Inc. Barium and lithium ratio for flux cored electrode
US20140209590A1 (en) * 2006-01-20 2014-07-31 Lincoln Global, Inc. Modified flux system in cored electrode
CN100457372C (zh) * 2007-04-27 2009-02-04 北京工业大学 脱渣性优良的耐热钢碱性药芯焊丝
EP2969381A4 (en) * 2013-03-11 2016-11-30 Esab Group Inc ALLOY COMPOSITION FOR SELF-SHRINKED YARNS FOR ARC WELDING WITH LOW HYDROGEN CONTENT AND HIGH SHOCK RESISTANCE WITH CHARGED SHOCK ON V-FILLED TAMPER
US10421160B2 (en) 2013-03-11 2019-09-24 The Esab Group, Inc. Alloying composition for self-shielded FCAW wires with low diffusible hydrogen and high Charpy V-notch impact toughness
US11648630B2 (en) 2013-03-11 2023-05-16 The Esab Group, Inc. Alloying composition for self-shielded FCAW wires
CN106944765A (zh) * 2017-05-16 2017-07-14 武汉科技大学 一种用于x80管线钢的自保护药芯焊丝
CN106944765B (zh) * 2017-05-16 2019-04-26 武汉科技大学 一种用于x80管线钢的自保护药芯焊丝
CN108907499A (zh) * 2018-08-03 2018-11-30 济南法瑞钠焊接器材股份有限公司 高碱度碳钢自保护药芯焊丝

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1846928B (zh) 药芯焊条和形成气体痕迹减少的焊缝的方法
US4571480A (en) Flux cored wire electrodes for self-shielded arc welding
JPWO2011074689A1 (ja) 全姿勢溶接が可能なガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
US3221136A (en) Method and electrode for electric arc welding
JP2614969B2 (ja) ガスシールドアーク溶接チタニヤ系フラックス入りワイヤ
JPH05228691A (ja) セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP7231499B2 (ja) フラックス入りワイヤ及び溶接方法
JP3513380B2 (ja) 直流正極性用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ及び溶接方法
JPH08257785A (ja) 鋼溶接部の耐低温割れ性を改善するアーク溶接用フラックス入りワイヤ
GB2155045A (en) Flux cored wire electrodes
JPH05237693A (ja) 全姿勢溶接用セルフシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ
JPH09262693A (ja) アーク溶接用フラックス入りワイヤ
JPS61169196A (ja) セルフシールド亜鉛メッキ鋼板アーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP3513382B2 (ja) 亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法
JPH04319094A (ja) セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JPH06269991A (ja) セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP3877843B2 (ja) 裏当て材を用いない片面溶接方法
JP2001205482A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP2628396B2 (ja) セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP3463346B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JPH07276078A (ja) ガスシールドアーク溶接メタル系フラックス入りワイヤ
JPH0669634B2 (ja) 薄板用セルフシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ
JP2023011428A (ja) 片面溶接方法及び溶接継手の製造方法
JPH0751890A (ja) ガスシールドアーク溶接チタニヤ系フラックス入りワイヤ
JPS6357155B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990518