JP3512703B2 - 磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法、及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法、及び磁気記録媒体の製造方法

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JP3512703B2
JP3512703B2 JP2000096349A JP2000096349A JP3512703B2 JP 3512703 B2 JP3512703 B2 JP 3512703B2 JP 2000096349 A JP2000096349 A JP 2000096349A JP 2000096349 A JP2000096349 A JP 2000096349A JP 3512703 B2 JP3512703 B2 JP 3512703B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク等
の磁気記録媒体を構成する磁気記録媒体用ガラス基板の
製造方法、及びこの磁気記録媒体用ガラス基板を用いた
磁気記録媒体の製造方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録・再生の技術分野においては、
磁気ヘッドと磁気ディスクとのインターフェースが記録
容量を向上させるキーテクノロジーの一つとなってい
る。記録密度を向上させるためには、磁気ディスク表面
を浮上する磁気ヘッドの浮上高さ(フライングハイト)
を極力低くする必要があるが、CSS(コンタクト・ス
タート・ストップ)方式の記録再生を行う場合、磁気ヘ
ッドの低浮上化が進むにつれ、磁気ヘッドが磁気ディス
クに吸着(スティクション)する恐れが高くなる。
【0003】このような磁気ヘッドの吸着を防止するた
めに、従来から、種々のテクスチャー技術が提案されて
いる。その代表的なものとしては、Al/NiPめっき
基板の表面を機械研磨することによって凹凸状に形成す
る方法(特開昭62−273619号公報)がある。ま
た、アルミニウム基板より、平坦性が優れているガラス
基板の場合は、ガラス基板上にスパッタリングで表面が
凹凸状の薄膜を形成する方法(特公平4−62413号
公報)や化学エッチングで凹凸を形成する方法(特公平
7−101507号公報、特開平7−153059号公
報)などが提案されている。特に、特開平7−1530
59号公報は、ガラス基板に保湿保温処理を施した後
に、エッチング液を用いてエッチング処理することを特
徴とするもので、今まで化学エッチング法によるテクス
チャー技術で問題であった、突起形成の再現性や、突起
高さの均一性を向上するするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近では、
記録容量の向上を目指して、グライド高さが1.2μイ
ンチ以下の段階にまで達してきている。しかるに、従来
から提案されている上述のテクスチャーの形成方法は、
グライド高さが8μインチ程度の状況下のテクスチャー
技術であった。それゆえ、今日のような低浮上高さで記
録再生する磁気ディスクに適用しても、充分な電磁変換
特性と、磁気ヘッドの吸着防止効果を同時に満足し、C
SS耐久性に優れた磁気ディスクを得ることは困難であ
った。
【0005】なお、従来のグライド高さは8μインチ程
度であったので、磁気ディスク(基板)の表面状態の評
価は、半径数μm(例えば2.5μm)の触針を表面で
走査させて表面粗さを測定するタリステップによる評価
で十分であったが、現在要求されているような1.2μ
インチ(1インチ=25.4mm)以下といった浮上高
さになると、もはや、タリステップによる評価では、磁
気ヘッドの吸着防止を実現可能なガラス基板表面の状態
であるか否かを判断すること自体が困難な状況にある。
【0006】一方、CSS方式でなく、ロード・アンロ
ード方式(ランプロード方式)の磁気ディスク装置が近
年注目されている。ロード・アンロード方式は、CSS
方式とは異なり、磁気ディスクを回転駆動した後、アー
ムを介して磁気ディスクのデータエリア上に磁気ヘッド
を走行させるので、磁気ヘッドの停止時における吸着防
止用のテクスチャーを設ける必要がなく、ディスク表面
の表面粗さも小さくて済み、磁気ディスクに対する磁気
ヘッドの浮上高さが小さくなり高密度記録再生が可能と
なる。このように、ロード・アンロード方式(ランプロ
ード方式)の場合にあっては、CSS方式に比べ平坦
(フラット)な媒体であって、突起の高さが低く、突起
高さのばらつきが少ない(Rmax/Raの値、Rp/
Raの値が小さい)ことが要求される。具体的には、R
max=3〜15nm(好ましくは3〜10nm)、R
a=0.2〜2.5nm、Rmax/Ra=3〜15、
又はRp=1〜7nm、Ra=0.2〜2.5nm、R
p/Ra=1〜15であることが要求される。なお、ロ
ード・アンロード方式の場合においても、完全にフラッ
トでなく、上記範囲内の突起があった方がよい。特に、
Raは0.6〜1.3nm程度を維持した方が好まし
い。なお、CSS方式に要求される表面粗さは、Rma
x=6〜18nm、Ra=0.7〜1.5nm、Rma
x/Ra=10〜20(Rpで管理した場合、Rp=3
〜15nm、Ra=0.7〜1.5nm、Rp/Ra=
3〜15)である。
【0007】本発明は上述の背景のもとでなされたもの
であり、1.2μインチ以下のグライド高さを実現で
き、高い電磁変換特性を実現できる磁気記録媒体、この
磁気記録媒体を構成する磁気記録媒体用ガラス基板及び
それらの製造方法を提供することを目的とする。また、
突起の高さと、突起の密度、突起高さのばらつき、突起
のばらつきを制御して、ロード・アンロード方式に適し
た磁気記録媒体、あるいは、CSS方式に適した高いC
SS耐久特性を有する磁気記録媒体を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ガラス基
板表面の適切な表面状態を評価するために、原子間力顕
微鏡(AFM)によって、ガラス基板の表面状態を特定
することに着目した。これは、従来の触針式の測定方法
では分解能が低く、ガラス基板の表面状態が適している
のか否かを識別できないためである。そして、この評価
方法に基づき、上記の目的を達成するためには、ガラス
基板の主表面に形成される微細な凹凸における凸部の高
さ、分布(高さのばらつき)が重要な因子であることを
解明した。また、種々の実験を重ねた結果、研磨条件、
表面処理条件を特定の組み合わせにしないと、目標とす
るガラス基板表面にならないことを見出だした。具体的
には、遊離砥粒を含む研磨剤によって研磨した後にケイ
フッ酸で表面処理すると、遊離砥粒が通った軌跡が凸部
として形成される傾向のあることを発見した。そのメカ
ニズムは明らかでないが、遊離砥粒によって研磨工程の
荷重がガラス基板表面に加わることにより、組織学的に
見ればガラスのSi−Oのネットワークに構造的な変化
が起こり、その構造的な変化によって残留応力分布にむ
らが発生し、残留歪みが比較的高い箇所(遊離砥粒が通
った軌跡部分)において、ケイフッ酸によるエッチング
速度が遅くなるためであると考えられる。本願出願人は
この様な解明結果に基づき既に出願を行っている(特願
平10−233261号公報)。
【0009】本発明は、上記解明結果に加え、さらに、
ケイフッ酸で表面処理する前にガラス基材を加熱処理す
ることによって、突起の高さを低減できるとともに、突
起の密度を低減できることを見出だし、本発明を完成す
るに至った。
【0010】すなわち、本発明の第1の発明は、遊離砥
粒を含む研磨剤を用いてガラス基板の主表面を精密研磨
することによって、前記ガラス基板表面に前記遊離砥粒
による研磨軌跡の箇所に残留応力分布を発生させた後、
前記ガラス基板の少なくとも主表面をケイフッ酸で表面
処理することによって、前記発生した残留応力分布のう
ち相対的に残留歪みが高い部分を凸部にすることによっ
て、所定の凹凸を形成する磁気記録媒体用ガラス基板の
製造方法において、前記精密研磨した後、ケイフッ酸で
表面処理する前に前記ガラス基板を加熱処理することを
特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であ
る。
【0011】第2の発明は、遊離砥粒を含む研磨剤を用
いてガラス基板の主表面を精密研磨することによって、
前記ガラス基板表面に前記遊離砥粒による研磨軌跡の箇
所に残留応力分布を発生させた後、前記ガラス基板の少
なくとも主表面を化学的表面処理することによって、前
記発生した残留応力分布のうち相対的に残留歪みが高い
部分を凸部にすることによって、所定の凹凸を形成する
磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記精
密研磨した後、化学的表面処理前に前記ガラス基板を加
熱された溶媒中に浸漬することによって加熱処理するこ
とを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法で
ある。
【0012】第3の発明は、前記化学的表面処理は、フ
ッ酸を含む水溶液、ケイフッ酸を含む水溶液、アルカリ
性水溶液によるエッチング処理であることを特徴とする
第2の発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方
法である。
【0013】第4の発明は、前記加熱処理工程における
加熱温度が、30℃〜180℃であることを特徴とする
第1の発明から第3の発明にかかる磁気記録媒体用ガラ
ス基板の製造方法である。
【0014】第5の発明は、前記加熱処理は、温水、加
熱された硫酸又は、加熱されたグリセリン、加熱された
リン酸の中から選択されたものであることを特徴とする
第1の発明から第4の発明にかかる磁気記録媒体用ガラ
ス基板の製造方法である。
【0015】第6の発明は、前記ガラス基板を構成する
ガラスは、少なくともアルカリ金属酸化物とアルカリ土
類金属酸化物を含有し、かつ、アルカリ土類金属酸化物
の含有量が3mol%未満であることを特徴とする第1
の発明から第5の発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基
板の製造方法である。
【0016】第7の発明は、前記ガラス基材を構成する
ガラスは、SiO2 を58〜75重量%、Al2 O3 を
5〜23重量%、Li2 Oを3〜10重量%、Na2 O
を4〜13重量%、主成分として含有するガラスである
ことを特徴とする第1の発明から第6の発明にかかる磁
気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
【0017】第8の発明は、前記ガラス基材を構成する
ガラスは、SiO2 を62〜75重量%、Al2 O3 を
5〜15重量%、Li2 Oを4〜10重量%、Na2 O
を4〜12重量%、ZrO2 を5.5〜15重量%、主
成分として含有するとともに、Na2 O/ZrO2 の重
量比が0.5〜2.0、Al2 O3 /ZrO2 の重量比
が0.4〜2.5であるガラスであることを特徴とする
第7の発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方
法である。
【0018】第9の発明は、前記ケイフッ酸による表面
処理の後に、化学強化処理することを特徴とする第1の
発明から第8の発明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板
の製造方法である。
【0019】第10の発明は、第1の発明から第9の発
明にかかる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法で製造
された磁気記録媒体ガラス基板の主表面上に、少なくと
も磁性層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製
造方法である。
【0020】第11の発明は、ガラス基板の主表面の表
面粗さが、Rmax=3〜15nm、Ra=0.2〜
2.5nm、Rmax/Ra=3〜15であることを特
徴とするロード・アンロード方式用磁気記録媒体用ガラ
ス基板である。
【0021】第12の発明は、ガラス基板の主表面の表
面粗さが、Rp=1〜7nm、Ra=0.2〜2.5n
m、Rp/Ra=1〜15であることを特徴とするロー
ド・アンロード方式用磁気記録媒体用ガラス基板であ
る。
【0022】第13の発明は、ガラス基板上に少なくと
も磁性層を形成してなる磁気記録媒体において、前記ガ
ラス基板の主表面の表面粗さが、Rmax=3〜15n
m、Ra=0.2〜2.5nm、Rmax/Ra=3〜
15であることを特徴とするロード・アンロード方式用
磁気記録媒体である。
【0023】第14の発明は、ガラス基板上に少なくと
も磁性層を形成してなる磁気記録媒体において、前記ガ
ラス基板の主表面の表面粗さが、Rp=1〜7nm、R
a=0.2〜2.5nm、Rp/Ra=1〜15である
ことを特徴とするロード・アンロード方式用磁気記録媒
体である。
【0024】上述の第1の発明によれば、遊離砥粒によ
る研磨工程の後、ケイフッ酸で表面処理する前に加熱処
理することにより、遊離砥粒による研磨によってガラス
基板表面に発生した残留歪みが緩和されるので、加熱処
理を行わない場合に比べ、突起の高さを低減できるとと
もに、突起の密度、突起高さのばらつき、突起のばらつ
きをを低減できる。したがって、この突起高さ・突起密
度、突起高さのばらつき等を制御することによって、突
起高さ・突起密度、突起高さのばらつき等が所定の範囲
内にあるロード・アンロード方式に適した磁気記録媒
体、あるいは、CSS方式に適した高いCSS耐久特性
を満足する磁気記録媒体、及びそれらに用いる磁気ディ
スク用ガラス基板を安定して製造することができる。
【0025】詳しくは、前述したように、本発明者ら
は、遊離砥粒を含む研磨剤によって研磨した後にケイフ
ッ酸で表面処理すると、遊離砥粒が通った軌跡が凸部と
して形成される傾向のあることを発見した。そのメカニ
ズムは明らかでないが、遊離砥粒によって研磨工程の荷
重がガラス基板表面に加わることにより、組織学的に見
ればガラスのSi−Oのネットワークに構造的な変化が
起こり、その構造的な変化によって残留応力分布にむら
(遊離砥粒が通った軌跡の部分の残留歪みが軌跡の周辺
部分の残留歪みに比べ高くなる)が発生し、残留歪みが
比較的高い箇所(遊離砥粒が通った軌跡の部分)におい
て、ケイフッ酸によるエッチング速度が遅くなるためで
あると考えられる。そして、このケイフッ酸処理する前
に加熱処理することにより、残留歪みが緩和され、残留
歪みに起因したエッチング速度の差が小さくなるので、
加熱処理しない場合(図2参照)と比べ、磁気ヘッドの
浮上走行に影響のある突起の密度、突起高さのばらつき
等が低減するとともに、突起高さが小さい微細な突起が
形成される(図1参照)。なお、ケイフッ酸の処理条件
(濃度、温度、浸漬時間)を変化させた場合、突起の高
さはある程度制御できるが、突起の密度は制御できな
い。したがって、この方法よりも、本発明のようにケイ
フッ酸処理前に加熱処理した方が、磁気ヘッドの低浮上
走行化のための突起高さ・密度を安定して確実に制御で
きる点で好ましい。すなわち、ガラス基板表面に形成さ
れた遊離砥粒による残留歪みが、ケイフッ酸処理前の加
熱処理によって緩和されるので、研磨工程による残留歪
みが比較的小さい領域では、突起が形成されず、また、
残留歪みが比較的大きい領域では、残留歪みが小さくな
って形成される突起の高さが小さくなる。加熱処理条件
を制御することによって、突起の密度を変化させること
ができる。
【0026】第1の発明における加熱処理の方法は特に
制限されない。加熱処理の方法としては、加熱された溶
媒中にガラス基材を浸漬する方法、オーブンなどで加熱
された雰囲気中(大気、真空)にガラス基材を曝す方
法、光(例えば、ガラス基材に対し吸収する波長(赤外
線、紫外線等))をガラス基材に照射する方法など挙げ
られる。中でも、加熱処理と同時にガラス基板に対する
パーティクルが除去できる、加熱された溶媒中にガラス
基材を浸漬する方法が、品質安定性の点でよい。なぜな
ら、ケイフッ酸処理する際に、ガラス基材表面にパーテ
ィクルが存在した場合、そのパーティクルの部分だけが
エッチングされないで残ってしまうことで、突起を形成
してしまい、全体として表面粗さが低減しない結果とな
るからである。また、研磨剤残りも突起を形成する原因
となるので、研磨剤残りも同時に除去できる溶媒を用い
ることが好ましい。このような溶媒としては、例えば、
硫酸、リン酸、有機酸(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ア
クリル酸、蓚酸(シュウ酸)、グリコール酸、グリセリ
ン酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、マロン酸、グルタ
ル酸、アジピン酸、クロトン酸や、これらの誘導体等)
などが挙げられる。
【0027】本発明において、ガラス基板を表面処理す
る際に使用するケイフッ酸は、従来エッチング液として
使用していたフッ酸や、フッ化カリウムを含むフッ酸水
溶液に比べ、エッチング力が弱い(エッチング速度が遅
い)ので、高精度の表面粗さの制御が可能となる。ケイ
フッ酸としては、代表的なものとしてはケイフッ化水素
酸(H2 SiF6 )などが使用される。ケイフッ酸処理
液には、エッチング(洗浄)効果等を高めるために微量
であれば、他の酸(フッ酸、硫酸、塩酸、硝酸など)、
市販の洗浄剤(中性洗剤、界面活性剤、アルカリ性洗浄
剤など)等を添加してもよい。なお、ケイフッ酸の処理
条件は、主にケイフッ酸濃度、ケイフッ酸への浸漬時
間、ケイフッ酸の温度によって決定される。なお、ケイ
フッ酸は、水にケイフッ化水素酸を溶かしたもので、ケ
イフッ酸濃度は、水にケイフッ化水素酸を溶かした場合
の濃度をさす。ケイフッ酸濃度と温度は、エッチング速
度に関係し(具体的な範囲については後述する)、ケイ
フッ酸への浸漬時間は、得られる表面粗さと工程のタク
ト時間に関係がある。上記ケイフッ酸の処理条件は、形
成する表面凹凸の粗さによって適宜調整されるが、ケイ
フッ酸への浸漬時間は、50〜600sec、ケイフッ
酸の温度は、15℃〜60℃であることが表面粗さの制
御性から好ましい。また、ケイフッ酸の濃度は、0.1
5〜3.0重量%であることが好ましい。ケイフッ酸の
濃度が0.15重量%未満の場合、ガラス基板に対する
エッチング効果や洗浄効果が低下し、所望な表面粗さを
形成することができなくなり、3.0重量%を超える
と、エッチング速度が早くなるので、高精度の表面粗さ
を制御することが困難となり、品質が安定した磁気記録
媒体用ガラス基板が得られないので好ましくない。
【0028】また、本発明者らは、高精度の表面粗さの
制御を必要とする本発明の磁気ディスク用ガラス基板を
安定して製造するためには、ケイフッ酸による表面処理
する前のガラス基板の表面粗さが、最終的に得られる基
板表面の凸部の高さ分布(ばらつき)に多大な影響を及
ぼすことを解明した。鋭意究明した結果、表面処理する
前のガラス基板の表面(ガラス基板の精密研磨工程後の
表面)は、鏡面状態にあることが好ましく、具体的に
は、Ra=0.1〜1.0nmにしなければならないこ
とがわかった。望ましくは、Ra=0.1〜1.0n
m、Rmax=1〜20nmにすれば良いことがわかっ
た。
【0029】また、第2の発明によれば、遊離砥粒によ
る研磨工程の後、化学的表面処理する前に加熱された溶
媒中に浸漬させることにより、前記第1の発明と同様の
理由により、1.2μインチ以下のグライド高さを実現
でき、高い電磁変換特性等を実現できる磁気記録媒体及
び磁気記録媒体用ガラス基板を安定して製造することが
できる。ここで、化学的表面処理で使用するエッチング
剤には特に制限されない。例えば、フッ酸、ケイフッ
酸、フッ酸−弗化物混合水溶液、フッ酸−無機酸混合水
溶液、フッ酸−有機酸混合水溶液等のエッチング液を利
用(浸漬、吹き掛け等)する方法、フッ酸の蒸気をガラ
ス基材の表面に接触させてエッチング処理する方法など
が挙げられる。
【0030】前述したように、前記化学的表面処理又は
ケイフッ酸による表面処理は、前記ガラス基材の研磨工
程における遊離砥粒の軌跡の箇所に発生した残留応力分
布のうち相対的に残留歪みが高い部分を凸部になるよう
に処理するものである。本発明では、この現象を積極的
に利用したものであり、これによってはじめて所定の表
面粗さ状態を得ることを可能にしたものであり、さらに
加熱処理を行うことによって所望の表面粗さ状態を得る
ことを可能にしたものである。このメカニズムについて
は前述したが、この現象が他のメカニズムによって生じ
る場合であっても本発明範囲であることはいうまでもな
い。
【0031】第3の発明のように、第2発明の場合、加
熱処理と同時にガラス基板に対するパーティクルが除去
できる、フッ酸を含む水溶液、ケイフッ酸を含む水溶
液、アルカリ性水溶液の加熱された溶媒中にガラス基材
を浸漬する方法が、品質安定性の点でよい。上述した品
質安定性の理由と同じである。
【0032】なお、本発明で使用する遊離砥粒として
は、酸化セリウム(CeO2 )、アルミナ(Al2 O3
)、コロイダルシリカ(SiO2 )、べんがら(Fe2
O3 )、酸化クロム(Cr2 O3 )、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2 )、酸化チタン(TiO2 )などが挙げら
れる。
【0033】遊離砥粒の粒径は、望む表面粗さによって
適宜調整することができるが、遊離砥粒の平均粒径は、
0.02〜3.0μmであることが好ましい。このよう
な粒径範囲にすることによって、好ましい凸部の密度
と、磁気記録媒体と接触する凸部の先端形状が得られる
ので、更に高いCSS耐久特性が得られる磁気記録媒体
用ガラス基板を提供することができる。遊離砥粒の粒径
が0.02μm未満の場合、研磨剤の凝集が起こりやす
く、また洗浄工程後の残留が多くなるので好ましくな
く、3.0μmを超えた場合、エッチング後の粗さが大
きくなりすぎるために好ましくない。
【0034】第4の発明のように、上述の発明における
加熱処理工程の加熱温度は、30℃〜180℃であるこ
とが好ましい。30℃未満の場合、加熱処理時間が長く
なり、生産タクトが延びるので好ましくなく、180℃
を超える場合、長時間の加熱処理に耐える溶媒がないと
ともに、処理を行うためには大掛かりな設備が必要とな
るので好ましくない。さらに好ましい加熱温度の範囲
は、60〜120℃であることが望ましい。また、加熱
処理時間は、例えば、溶媒の場合、使用する溶媒の種類
によって適宜調整される。具体的には、30〜600s
ecの間で行う。また、第5の発明のように、上述の加
熱処理は、温水、加熱された硫酸、または加熱されたグ
リセリン、加熱されたリン酸の中から選択されたもので
あることが好ましい。中でも、加熱された硫酸で処理す
ることが、表面粗さのばらつきが少なくなるので好まし
い。加熱された硫酸で処理する際に、ガラス基板に付着
している異物が同時に除去できるからである。加熱され
た硫酸によって処理する場合の条件は、濃度:5wt%
〜99wt%、加熱温度:30〜180℃、処理時間:
30〜600secである。なお、使用する硫酸の濃度
は高い方が好ましく、75体積%以上、さらに望ましく
は95体積%以上の濃硫酸が良い。また、加熱されたリ
ン酸によってもガラス基板に付着している異物を除去す
ることができる。加熱されたリン酸によって処理する場
合の条件は、加熱温度:30〜90℃、処理時間:60
〜600secである。濃度は、0.1%〜50%であ
る。なお、リン酸以外の有機酸でも構わない。また、硫
酸と比べてリン酸は、作業安全性の点で良い。また、リ
ン酸と比べ硫酸は、表面粗さの低減効果の点で優れてい
る。
【0035】さらに、本発明の製造方法に使用するガラ
ス基板としては、第6の発明のように、少なくともアル
カリ金属酸化物を含有し、かつ、アルカリ土類金属酸化
物の含有量が3mol%未満である材料からなることが
好ましい。この理由は、ガラス基板表面の遊離砥粒によ
る研磨工程では、水に含まれるH +と、ガラスに含まれ
るアルカリイオン(Na+、Li+)の交換反応が起きて
いると考えられるが、その交換反応によってガラスのネ
ットワークを形成しているSiやAlにOHがついたよ
うなエッチングされやすい水和層が形成される。その水
和層に、遊離砥粒によって加わる応力の違いによって応
力分布(応力の大きい部分はエッチング速度が小さくな
り、応力の小さい部分はエッチング速度が大きい)が形
成され、エッチング速度の違いによって凹凸が形成され
ると考えられる。このようなメカニズムから、ガラス基
板としては、水和層を形成するために、少なくともアル
カリ金属酸化物が必要であって、この水和層を形成する
ためのアルカリイオンの交換反応を阻害してしまうアル
カリ土類金属酸化物の含有量を3mol%未満(2.4
重量%未満)とすることが必要となる(特願平11−2
33209号)。
【0036】上記第6の発明にかかるガラス基板として
は、例えば、第7の発明のように、SiO2 :58〜7
5重量%、Al2 O3 :5〜23重量%、Li2 O:3
〜10重量%、Na2 O:4〜13重量%を主成分とし
て含む材料からなることが好ましい。
【0037】また、前述したようなメカニズムによって
凸部を形成するには、CaOやMgOといったアルカリ
土類金属(酸化物)を含まないガラスであることが望ま
しい。特に、第8の発明のように、前記ガラス基板の組
成を、SiO2 :62〜75重量%、Al2 O3 :5〜
15重量%、Li2 O:4〜10重量%、Na2 O:4
〜12重量%、ZrO2 :5.5〜15重量%を主成分
として含有するとともに、Na2 O/ZrO2 の重量比
が0.5〜2.0、Al2 O3 /ZrO2 の重量比が
0.4〜2.5であるアルミノシリケートガラスである
ことが好ましい。このようなアルミノシリケートガラス
は、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧
縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れるととも
に、ケイフッ酸による表面処理におけるエッチングの制
御性おいても大変優れているので好ましい。なお、上述
のアルミノシリケートガラスの代表的なものとしては、
HOYA(株)社製:N5などが挙げられる。
【0038】また、前記ケイフッ酸による表面処理を少
なくとも2段階に分けて行うことや、それぞれの段階で
異なるケイフッ酸濃度を使用することにより、基板表面
の微細な表面粗さを制御することもできる。
【0039】前記ケイフッ酸による表面処理又は、化学
的表面処理の後に、化学強化処理することが好ましい
(第9の発明)。ここで、化学強化方法としては、従来
より公知の化学強化法であれば特に制限されないが、例
えば、ガラス転移点の観点から転移点温度を超えない領
域でイオン交換を行う低温型イオン交換法などが好まし
い。化学強化に用いるアルカリ溶融塩としては、硝酸カ
リウム、硝酸ナトリウム、或いはそれらを混合した硝酸
塩などが挙げられる。
【0040】ガラス基板表面を化学強化処理した直後
に、上述のケイフッ酸による表面処理を行った場合、化
学強化処理することによって、ガラス基板表面に遊離砥
粒によって形成された残留歪みが化学強化の応力に埋も
れてしまうので、表面粗さを制御できなくなるので好ま
しくない。但し、化学強化処理→遊離砥粒による研磨処
理→ケイフッ酸による表面処理のように化学強化後に研
磨を行う場合にあっては、化学強化処理工程とケイフッ
酸による表面処理工程との間(ケイフッ酸による表面処
理の前)に上述の遊離砥粒による研磨処理工程を入れる
ことによって、上述と同様の効果が得られる。
【0041】第10の発明によれば、上述の磁気ディス
ク等の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法で製造され
たガラス基板の主表面上に、少なくとも磁性層を形成す
ることで、高い電磁変換特性、高いCSS耐久特性を満
足する磁気ディスク等の磁気記録媒体が得られる。
【0042】第11〜第14の発明における、Rma
x、Ra、Rp、Rqは原子間力顕微鏡(AFM)によ
って測定されたものであって、JIS規格(JISB0
601)で定められたものである。Rmaxは、最大高
さ(最も高い山頂から最も深い谷底までの高さ方向の距
離)、Raは、中心線平均粗さ(中心線から測定曲線ま
での偏差の絶対値の平均)、Rpは、山の最大高さ(平
均線から最も高い山頂までの距離)、Rqは、自乗平均
平方根粗さ(中心線から測定曲線までの偏差の自乗を平
均した値の平方根)をいう。なお、これらの粗さは、適
宜測定領域を設定して求められる。なお、以下に示す実
施例の粗さデータは、5μm□の領域のデータである。
第11〜第14の発明において、Rmax、Rpの上限
値を超えると、ヘッドの浮上高さが大きくなり高密度記
録再生の点で好ましくなく、また、Rmax/Ra、R
p/Raの上限値を超えると、ヘッドクラッシュやサー
マル・アスペリティーが発生しやすくなるので好ましく
ない。Rmax、Rp、Rmax/Ra、Rp/Raの
下限値より下回ると、ヘッドのスティクションの問題
や、製造上困難となるので好ましくない。
【0043】
【発明の実施の形態】(実施例1)図3は本発明の実施
例1に係る磁気ディスクの構成を示す模式的断面図であ
る。図3に示すように、本実施例の磁気ディスクは、ガ
ラス基板1の上に、順次、シード層2、下地層3、磁性
層4、保護層5及び潤滑層6を形成したものである。
【0044】ガラス基板1は、SiO2 :63.5重量
%、Al2 O3 :14.2重量%、Na2 O:10.4
重量%、Li2 O:5.4重量%、ZrO2 :6.0重
量%、Sb2 O3 :0.4重量%、As2 O3 :0.1
重量%の組成を有するアルミノシリケートガラスで、外
径65mmφ、中心部の穴径20mmφ、厚さ0.63
5mmのディスク状に加工したものである。その両主表
面、端面及び面取り部は精密研磨されたのち、加熱され
た溶媒(具体的には、硫酸)中に浸漬することによって
加熱処理され、ケイフッ酸による表面処理することで、
両主表面の表面粗さはRa=0.44nm、Rmax=
4.43nm、Rp=2.75nm、Rmax/Ra=
10.1、Rp/Ra=6.25、Rq=0.55nm
であった。
【0045】シード層2は、膜厚40nmであるNiA
l(Ni:50at%、Al:50at%)膜である。
このシード層2は、結晶粒径が小さく、且つ均一性に優
れているので、その上に形成される下地層3、磁性層4
の結晶粒径が微細になりノイズの低減の役割を果たす。
シード層としては、上述したNiAlの他に、NiAl
に他の元素を添加したNiAlRu、NiAlNd、N
iAlW、NiAlTa、NiAlHf、NiAlM
o、NiAlCr、NiAlZr、NiAlNbや、C
rTi、FeAl、FeCoなどが挙げられる。
【0046】下地層3は、膜厚25nmのCrMo(C
r:94at%、Mo:6at%)膜である。この下地
層3は、その上に形成される磁性層4の結晶格子間隔の
差をなるべく小さくすることが好ましく、保磁力向上の
役割を果たす。下地層としては、上述したCrMoの他
に、Cr、CrV等が挙げられる。好ましくは、シード
層2の格子間隔とマッチングするようにした方が、結晶
成長が良好になり電磁変換特性も良好になるので好まし
い。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層
を積層した複数構造とすることもできる。例えば、Cr
/CrMo、Cr/CrV、CrV/CrV等の多層下
地層などが挙げられる。
【0047】磁性層4は、膜厚27nmのCoPtCr
Ta(Co:75at%、Cr:17at%、Pt:5
at%、Ta:3at%)膜である。なお、本発明の磁
気ディスクにおける磁性層の材料には特に制限されな
い。磁性層としては、具体的には、Coを主成分とする
CoPt、CoCr、CoNiCr、CoCrTa、C
oPtCr、CoNiPtやCoNiCrPt、CoN
iCrTa、CoCrPtB、CoCrTaPtNbな
どの磁性薄膜が挙げられる。
【0048】また、磁性層は、磁性膜を非磁性膜(例え
ば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割してノイズの
低減を図った多層構成(例えば、CoCrPtTa/C
rMo/CoCrPtTaなど)としても良い。また、
磁性層としては、上述したCo系の他、フェライト系、
鉄―希土類系や、SiO2 ,BNなどからなる非磁性膜
中にFe,Co,FeCo,CoNiPt等の磁性粒子
が分散された構造のグラニュラーなどであっても良い。
また、磁性層は、面内型、垂直型のいずれの記録形式で
あっても良い。
【0049】保護層5は、膜厚10nmの水素化カーボ
ン(H:30at%)膜である。保護層は、磁性層の耐
食性、耐摩耗性の役割を果たす。保護層としては、上述
した水素化カーボンの他に、カーボン、窒素化カーボ
ン、水素窒素化カーボン、フッ素化カーボン、Cr、S
iO2 などが挙げられる。
【0050】潤滑層6は、膜厚1nmのパーフルオロポ
リエーテルからなる液体潤滑膜である。潤滑層は、耐摩
耗性の役割を果たす。潤滑層としては、上述したパーフ
ルオロポリエーテルの他に、フルオロカーボン系の液体
潤滑剤や、スルホン酸のアルカリ金属塩からなる潤滑剤
を用いることができる。なお、保護層5が固体潤滑剤と
しての機能を有するものであれば、潤滑層6は省略する
こともできる。
【0051】次に、上述の実施例の磁気ディスクの製造
方法、及び磁気ディスクに使用するガラス基板の製造方
法について説明する。 磁気ディスク用ガラス基板の製造工程 (1) 荒ずり工程 まず、ダウンドロー法で形成したシートガラスから、研
削砥石で直径66mmφ、厚さ3mmの円盤状に切り出
したアルミノシリケートガラスから成るガラス基板を、
比較的粗いダイヤモンド砥石で研削加工して、直径66
mmφ、厚さ1.5mmに成形した。
【0052】この場合、ダウンドロー法の代わりに、フ
ロート法で形成したシートガラスから、上述と同様に円
盤状に切り出して加工したものや、溶融ガラスを上型、
下型、胴型を用いてダイレクトプレスして、円盤状のガ
ラス体を得ても良い。
【0053】なお、アルミノシリケートガラスとして
は、SiO2 :63.5重量%、Al2 O3 :14.2
重量%、Na2 O:10.4重量%、Li2 O:5.4
重量%、ZrO2 :6.0重量%、Sb2 O 3:0.4
重量%、As2 O3 :0.1重量%の化学強化用ガラス
を使用した。
【0054】次に、上記砥石よりも粒度の細かいダイヤ
モンド砥石で上記ガラス基板の両面を片面ずつ研削加工
した。このときの荷重は100kg程度とした。これに
より、ガラス基板両主表面の表面粗さをRmaxで10
μm程度に仕上げた。
【0055】次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の
中央部分に穴を開けるとともに、外周端面も研削して直
径65mmφとした後、外周端面及び内周面に所定の面
取り加工を施した。このときのガラス基板の端面(側面
及び面取り部)の表面粗さはRmaxで4μm程度であ
った。
【0056】(2)端面鏡面加工工程 次に、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながら
ガラス基板の端面部分(角張った部位、側面及び面取り
部)の表面粗さをRmaxで1μm、Raで0.3μm
程度に研磨した。この端面鏡面加工工程は、ガラス基板
の搬送時や、洗浄工程時等に発生するガラス基板端面か
らの発塵によりガラス基板主表面に付着することによる
膜下欠陥を防止するために有効である。上記端面鏡面加
工を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
【0057】(3)砂掛け(ラッピング工程) 次に、ガラス基板に砂掛け加工を施した。この砂掛け工
程は、寸法精度及び形状精度の向上を目的としている。
砂掛け工程は、ラッピング装置を用いて行い、砥粒粒度
を#400、#1000と替えて2回行った。詳しく
は、はじめに粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重
Lを100kg程度に設定して、内転ギアと外転ギアを
回転させることによって、キャリア内に収納したガラス
基板の両主表面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rma
x)6μm程度にラッピングした。
【0058】次に、アルミナ砥粒の粒度を#1000に
替えてラッピングを行い、表面粗さ(Rmax)を2μ
m程度とした。上記砂掛け加工を終えたガラス基板を、
中性洗剤、水の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。
【0059】(4)第1研磨工程 次に、第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は上述
した砂掛け工程で残留した傷や歪みの除去を目的とする
もので、研磨装置を用いて行った。詳しくは、ポリシャ
として硬質ポリシャ(セリウムパッドLP66:ローデ
ス社製)を用い、以下の研磨条件で第1研磨工程を実施
した。
【0060】研磨液:酸化セリウム(平均粒径1.3μ
m)(遊離砥粒)+水 荷重:80〜100g/cm2 研磨時間:30〜50分 除去量:35〜45μm 下定盤回転数:40rpm 上定盤回転数:35rpm 内ギア回転数:14rpm 外ギア回転数:29rpm
【0061】上記研磨工程を終えたガラス基板を、中性
洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコー
ル)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、
洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。ま
た、この洗浄工程は、次の第2研磨工程において使用す
る研磨液が同一のものである場合、省略することが可能
である。また、第1研磨工程で使用する硬質ポリシャ
は、特に限定されず、目標とする表面粗さ、基板の端部
形状等によって適宜選択することが可能である。
【0062】(5)第2研磨工程(ファイナル研磨) 次に、第1研磨工程で使用した研磨装置を用い、ポリシ
ャを硬質ポリシャから軟質ポリシャ(カネボウN751
9)に替えて、第2研磨工程を実施した。研磨条件は、
研磨液:酸化セリウム(平均粒径0.8μm)(遊離砥
粒)+水、荷重:80〜100g/cm2 、研磨時間:
9〜15分、除去量:3〜5μmとしたこと以外は、第
1研磨工程と同様とした。この第2研磨工程によって得
られたガラス基板の主表面における表面粗さをAFM
(原子間力顕微鏡)で測定したところ、Ra=0.4n
m、Rmax=9.3nmであった。ここで、第2研磨
工程で使用する軟質ポリシャは特に限定されない。但
し、後の表面処理工程を経て形成される突起を凸状のよ
うに形成するには、比較的硬度が小さいポリシャを使用
することが好ましく、ポリシャの硬度(アスカーC)は
60以下、さらに望ましくは55以下が望ましい。
【0063】(6)加熱処理工程 上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、濃度96重量
%以上の硫酸(温度:100℃×5min)に浸漬させ
て加熱処理を施した。 (7)ケイフッ酸による表面処理工程(洗浄工程) 上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、ケイフッ酸
(濃度:0.35%、温度:45℃、浸漬時間:150
sec)、ケイフッ酸(濃度:0.28%、温度:45
℃、浸漬時間:200sec)の各処理(洗浄)槽に順
次浸漬して、表面処理(洗浄)した。なお、各処理(洗
浄)槽に超音波を印加した。
【0064】上記表面処理工程を終えたガラス基板を、
中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコー
ル)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、
洗浄した。なお、IPA(蒸気乾燥)の工程で使用する
IPA蒸気乾燥槽以外の各洗浄槽には超音波を印加し
た。
【0065】(8)化学強化工程 次に、上記研削、研磨、表面処理(洗浄)、洗浄工程を
終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化には、
硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を
混合した化学強化塩を用意し、この化学強化塩を400
℃に加熱し、300℃に予熱された洗浄済みのガラス基
板を約3時間浸漬して行った。この浸漬の際に、ガラス
基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数
のガラス基板が端面で保持されるようにホルダーに収納
した状態で行った。
【0066】このように、化学強化塩に浸漬処理するこ
とによって、ガラス基板表層のリチウムイオン、ナトリ
ウムイオンは、化学強化塩中のナトリウムイオン、カリ
ウムイオンにそれぞれ置換されガラス基板は強化され
る。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さ
は、約100〜200μmであった。上記化学強化を終
えたガラス基板を、20℃の水槽に浸漬して急冷し、約
10分間維持した。
【0067】(9)洗浄工程 上記急冷を終えたガラス基板を、約40℃に加熱した硫
酸に浸漬し、超音波をかけながら洗浄をおこなった。こ
のようにして得たガラス基板の表面を検査したことろ、
異物は発見されなかった。
【0068】上記洗浄工程を終えたガラス基板の主表面
の表面粗さをAFMで測定したところ、Ra=0.44
nm、Rmax=4.43nm、Rp=2.75nm、
Rmax/Ra=10.1、Rp/Ra=6.25、R
q=0.55nmであった。
【0069】なお、ファイナル研磨後のガラス基板主表
面の表面状態と、上記洗浄工程後のガラス基板主表面の
表面状態をAFMによって観察したところ、ファイナル
研磨工程における遊離砥粒の軌跡の箇所に凸部が形成さ
れていることが確認された。したがって、特に遊離砥粒
によってガラス主表面に形成された残留応力分布のうち
相対的に残留歪みが高い部分が凸部として形成されてい
ると考えられる。
【0070】(10)磁気ディスクの製造工程 上述した工程を経て得られた磁気ディスク用ガラス基板
に対し、ガラス基板の加熱処理、シード層の成膜、下地
層の成膜、磁性層の成膜、保護層の成膜の各工程を、イ
ンライン型スパッタリング装置を用いて連続的に行っ
た。
【0071】このインライン型スパッタリング装置は、
図示しないが、搬送方向に向って、基板加熱ヒーターが
設置された第1のチャンバー、NiAlターゲット(N
i:50at%、Al:50at%)、CrMoターゲ
ット(Cr:94at%、Mo:6at%)及びCoC
rPtTaターゲット(Co:75at%、Cr:17
at%、Pt:5at%、Ta:3at%)が順次設置
された第2のチャンバー、並びにカーボンターゲットが
設置された第3のチャンバーがそれぞれ設けられたもの
である。
【0072】そして、ガラス基板をロードロック室を介
して第1のチャンバー内に導入すると、このガラス基板
は所定の搬送装置によって上記各チャンバー内を次々と
所定の一定速度で搬送され、その間に以下の条件等で成
膜や処理がなされる。即ち、第1のチャンバー内では、
ガラス基板を350℃で2分間加熱する処理がなされ
る。第2のチャンバー内では、シード層2たる膜厚40
nmのNiAl膜、下地層3たる膜厚25nmのCrM
o膜、磁性層4たる膜厚27nmのCoCrPtTa膜
が成膜される。第3のチャンバー内では、保護層5たる
膜厚10nmの水素化カーボン膜が順次成膜される。
【0073】なお、上記の第2、第3チャンバー内のス
パッタリング条件は、スパッタ圧力が第2のチャンバー
内では2mTorr、第3のチャンバー内では3mTo
rrであり、第2のチャンバーのスパッタ雰囲気はアル
ゴンの不活性ガスとし、第3のチャンバーのスパッタ雰
囲気は、アルゴンの不活性ガスに8%の水素が混合され
た混合ガスが使用される。また、各スパッタ電力は、第
2のチャンバー内では2kW、第3のチャンバー内では
3kWとした。
【0074】次に、保護層の形成までの工程を終えた基
板を、上記インライン型スパッタリング装置から取り出
し、その保護層の表面に、浸漬法によってパーフルオロ
ポリエーテル液体潤滑剤を塗布し、膜厚1nmの潤滑層
を形成してCSS方式の実施例1に係る磁気ディスクを
得た。
【0075】この得られた磁気ディスクの電磁変換特性
及びCSS耐久特性の評価結果を以下に示す。まず、こ
の得られた磁気ディスクの磁気特性と記録再生特性を測
定したところ、保磁力が2300Oe、S/N比が20
dBという良好な結果が得られた。
【0076】なお、保磁力の測定は、製造した磁気ディ
スクから8mmφの試料を切り出して膜面方向に磁場を
印加し、振動試料型磁力計により最大外部印加磁場10
kOeで測定した。
【0077】また、記録再生特性(S/N比)の測定は
次のようにして行った。即ち、得られた磁気ディスクを
用いて、磁気ヘッド浮上量が0.055μmのMR(磁
気抵抗効果型)ヘッドを用い、MRヘッドと磁気ディス
クの相対速度を9.6m/sで線記録密度163kfc
l(1インチあたり163,000ビットの線記録密
度)における記録再生出力を測定した。また、キャリア
周波数23MHzで、測定帯域を26MHzとしてスペ
クトルアナライザーにより、信号記録再生時の媒体ノイ
ズを測定し、S/N比を算出した。本測定に用いたMR
ヘッドは、書き込み/読み取り側にそれぞれトラック幅
3.1/2.4μm、磁気ヘッドギャップ長0.35/
0.28μmである。
【0078】また、常温常湿雰囲気下で、磁気ディスク
の回転速度4000rpm、荷重3gの30%ヘッドス
ライダーを用いた10万回のCSS耐久試験において
も、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間で吸着現象は起こ
らず、またヘッドクラッシュも発生することなく、高い
CSS耐久特性を有する磁気ディスクが得られた。
【0079】また、磁気ディスクと磁気ヘッドの静止摩
擦係数を歪みゲージによって測定したところ、0.6で
あった。次にAEセンサーを用いたグライド高さテスト
を行なったところ、ヘッド浮上量1.0μインチまでは
ヘッド−媒体間に接触が発生しない事が確認できた。即
ちこのディスクのグライド高さは1.0μインチであっ
た。
【0080】(実施例2〜3)上述の加熱処理工程にお
ける溶媒を、温水(90℃×3min)(実施例2)、
加熱されたグリセリン(90℃×3min)(実施例
3)にした以外は、実施例1と同様に磁気記録媒体用ガ
ラス基板を作製した。得られた磁気記録媒体用ガラス基
板の表面粗さをAFMで測定したところ、Ra=0.3
5nm、Rmax=4.72nm、Rp=3.10n
m、Rmax/Ra=13.5、Rp/Ra=8.8
6、Rq=0.52nm(実施例2)、Ra=0.39
nm、Rmax=5.22nm、Rp=3.75nm、
Rmax/Ra=13.4、Rp/Ra=9.62、R
q=0.55nm(実施例3)であった。また、実施例
1と同様にCSS方式の磁気記録媒体を作製して、CS
S耐久試験、グライド試験、摩擦係数の測定を行った
が、良好な結果が得られた。
【0081】(比較) 次に、加熱処理工程を行わなかったほかは、実施例1と
同様にCSS方式の磁気記録媒体用ガラス基板を作製し
た。得られた磁気記録媒体用ガラス基板の表面粗さをA
FMで測定したところ、Ra=1.00nm、Rmax
=6.73nm、Rp=4.2nm、Rmax/Ra=
6.73、Rp/Ra=4.2、Rq=1.18nmと
なり、上述の実施例と比較して表面粗さが粗くなったと
ともに、突起密度も増加している。なお、実施例1と同
様に、磁気記録媒体を作製して、CSS耐久試験、グラ
イド試験、摩擦係数の測定を行った結果、実施例1と比
較してグライド高さが1.2μインチと高くなった。
【0082】(実施例10) 次に、加熱処理における加熱条件(温度)を、30℃
(実施例)、60℃(実施例)、120℃(実施例
)、180℃(実施例)、28℃(実施)、1
90℃(実施10)に変え、処理時間を適宜調整した
ほかは実施例1(硫酸)と同様に磁気記録媒体用ガラス
基板及びCSS方式の磁気記録媒体を作製した。その結
果、28℃(実施)の場合、加熱処理の効果が少な
く、上述の比較例1と同様な突起が形成され、磁気ヘッ
ドの低浮上化が達成されないので好ましくなく、190
℃(実施10)の場合、長時間の加熱処理に耐える溶
媒が少なく使用できる溶媒が限られてくるとともに、処
理を行うためには大掛かりな設備が必要となり、さらに
作業性も悪いので好ましくない。即ち、上述の結果か
ら、加熱処理における加熱温度は、30〜180℃が好
ましいことがわかる。
【0083】(実施例1113) 次に、ガラス基板をアルミノシリケートガラス(実施例
11)、石英ガラス(実施12)、ソーダライムガラ
ス(実施13)に替え、これらのガラス基板表面を所
定の表面粗さにするために研磨条件、ケイフッ酸による
表面処理条件を適宜変化させたほかは、実施例1と同様
にして磁気ディスクを作製した。なお、上述の実施例
に使用したアルミノシリケートガラスの組成は、Si
O2 :64.0重量%、Al2 O3 :16.0重量%、
Na2 O:9.0重量%、Li2O:7.0重量%、Z
rO2 :4.0重量%、上述の比較例5に使用したソー
ダライムガラスの組成は、SiO2 :72.5重量%、
Na2 O:15.0重量%、Al2 O3 :1.0重量
%、CaO:9.0重量%、MgO:2.5重量%のガ
ラスを使用した。
【0084】その結果、実施例11では、表面粗さがR
a=0.49nm、Rmax=5.68nm、Rp=
3.23nm、Rmax/Ra=11.6、Rp/Ra
=6.59、Rq=0.52nmとなり、摩擦係数が
1.9でCSS耐久性も良好であったが、実施12
13の表面粗さは、前記実施例とは大きく異なる形状と
なり、静止摩擦係数も3以上となりCSS耐久特性にお
いても良好な結果が得られなかった。このように、ガラ
スの硝種によって突起のでき方が違う理由について、上
記実施例と、実施1213との結果から考察する
と、ガラス基板表面を遊離砥粒による研磨工程では、水
に含まれるH+ と、ガラスに含まれるアルカリイオン
(Na+ 、Li+ )の交換反応が起きていると考えられ
るが、その交換反応によってガラスのネットワークを形
成しているSiやAlにOHがついたようなエッチング
されやすい水和層が形成される。その水和層は、遊離砥
粒によって加わる応力分布に応じて水和層の厚さの分布
(応力の大きい部分はエッチング速度が小さくなり、応
力の小さい部分はエッチング速度が大きい)が形成さ
れ、エッチング速度の違いによって凹凸が形成されると
考えられる。この水和層の形成されやすさが凹凸(突
起)の形成に関係し、これはガラスの硝種の違いによる
ものと考えられる。
【0085】したがって、本発明の製造方法に使用する
ガラスとしては、SiO2 :58〜75重量%、Al2
O3 :5〜23重量%、Li2 O:3〜10重量%、N
a2O:4〜13重量%を主成分として含む材料からな
るものであればよく、さらには、アルカリ土類金属を含
まないガラスであることが望ましいことがわかった。特
に、上述したような研磨条件、ケイフッ酸による表面処
理条件においては、発明7で規定されるようなアルミノ
シリケートガラスであることが好ましい。
【0086】(実施例14) 上述の加熱処理における加熱条件を90℃、6minに
した他は実施例1(硫酸)と同様に、ランプロード方式
用磁気記録媒体用ガラス基板、及びランプロード方式の
磁気記録媒体を作製した。得られた磁気記録媒体用ガラ
ス基板の表面粗さをAFMで測定したところ、Ra=
0.65nm、Rmax=6.02nm、Rp=2.8
3nm、Rmax/Ra=9.26、Rp/Ra=4.
35、Rq=0.76nmであった。また、グライド試
験においても良好な結果が得られた。
【0087】(実施例1516) 上述の加熱処理における加熱条件を90℃、10min
(実施例15)、80℃、5min(実施例16)にし
た他は実施例1(硫酸)と同様に、ランプロード方式用
磁気記録媒体用ガラス基板、及びランプロード方式の磁
気記録媒体を作製した。得られた磁気記録媒体用ガラス
基板の表面粗さをAFMで測定したところ、Ra=0.
54nm、Rmax=4.31nm、Rp=2.53n
m、Rmax/Ra=7.98、Rp/Ra=4.6
9、Rq=0.65nm(実施例15)、Ra=0.8
5nm、Rmax=6.43nm、Rp=3.21n
m、Rmax/Ra=7.56、Rp/Ra=3.7
8、Rq=1.17nm(実施例16)であった。ま
た、グライド試験においても良好な結果が得られた。
【0088】(実施例17) 次に、加熱処理に使用する溶媒を硫酸からリン酸(大智
化学産業社製:シュレック#205(1−ハイドロキシ
−エタン−1,1−二燐酸:1-hydroxy-ethane-1,1-dip
hosphoric acid)0.3%、40℃、90秒にした他は
実施例1と同様に、ランプロード方式用磁気記録媒体用
ガラス基板、及びランプロード方式の磁気記録媒体を作
製した。得られた磁気記録媒体用ガラス基板の表面粗さ
をAFMで測定したところ、Ra=0.79nm、Rm
ax=6.43nm、Rp=4.12nm、Rmax/
Ra=8.14、Rp/Ra=5.22、Rq=0.9
7nmであった。また、グライド試験においても良好な
結果が得られた。
【0089】以上のように、ランプロード方式の実施例
9〜12を見てもわかるように、加熱処理の条件を適宜
選択することにより、CSS方式の実施例1〜8と比べ
て、突起高さのばらつきが低減している(Rmax/R
aの値、Rp/Raの値が小さくなっている)ことがわ
かる。
【0090】以上、好ましい実施例を挙げて本発明を説
明したが、本発明は必ずしも上記実施例に限定されるも
のではない。例えば、上記実施例におけるケイフッ酸に
よる表面処理を2段階に分けて行ったが、1回の表面処
理工程でもよく、また3回以上の表面処理工程に分けて
行っても良い。また、ケイフッ酸の代わりに、フッ酸を
含む水溶液によるエッチング処理や、ガラス基板をフッ
酸蒸気に曝すエッチング処理なども上述と同様の効果が
得られた。
【0091】また、ガラス基板は化学強化用ガラスを用
い、化学強化工程をケイフッ酸による表面処理後に行っ
たが、化学強化処理後にケイフッ酸による表面処理を行
っても良い。その場合、ガラス基板を遊離砥粒による研
磨をし、ガラス基板表面を化学強化した直後に、上述の
ケイフッ酸による表面処理を行う場合、化学強化するこ
とによって、ガラス基板表面に遊離砥粒によって形成さ
れた残留歪みが化学強化の応力に埋もれてしまうので、
表面粗さを制御できなくなるので好ましくないが、化学
強化工程→遊離砥粒による研磨処理→ケイフッ酸による
表面処理のように、化学強化処理工程とケイフッ酸によ
る表面処理工程との間(ケイフッ酸による表面処理の直
後)に遊離砥粒による研磨処理工程を入れることによっ
て、上述と同様の結果が得られる。
【0092】なお、本発明によって作製されるディスク
はCSS方式に限らず、ロード・アンロード方式(ラン
プロード方式)においても使用することができ、特にロ
ード・アンロード方式(ランプロード方式)においても
好適に使用することができる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、加
熱処理を行わない場合に比べ、突起の高さを低減できる
とともに、突起の密度、突起高さのばらつき、突起のば
らつきを低減できる。したがって、1.2μインチ以下
のグライド高さを実現でき、高い電磁変換特性を実現で
きる。さらに、本発明では、この突起高さ・突起密度を
制御することによって、突起高さ・突起密度が所定の範
囲内にあるロード・アンロード方式(ディスクが回転し
ていない時はヘッドがディスク外に退避している方式)
に適した磁気記録媒体、あるいは、充分な電磁変換特性
と、磁気ヘッドの吸着防止効果を同時に満足し、CSS
耐久性に優れたCSS方式に適した磁気記録媒体、及び
それらに用いる磁気記録媒体用ガラス基板を安定して製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク用ガ
ラス基板における突起の様子を模式的に示す断面図であ
る。
【図2】従来の処理に係る磁気ディスク用ガラス基板に
おける突起の様子を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る磁気ディスクを模
式的に示す図である。
【符号の説明】 1 ガラス基板1 2 シード層 3 下地層 4 磁性層 5 保護層 6 潤滑層

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遊離砥粒を含む研磨剤を用いてガラス基
    板の主表面を精密研磨することによって、前記ガラス基
    板表面に前記遊離砥粒による研磨軌跡の箇所に残留応力
    分布を発生させた後、前記ガラス基板の少なくとも主表
    面をケイフッ酸で表面処理することによって、前記発生
    した残留応力分布のうち相対的に残留歪みが高い部分を
    凸部にすることによって、所定の凹凸を形成する磁気記
    録媒体用ガラス基板の製造方法において、 前記精密研磨した後、ケイフッ酸で表面処理する前に前
    記ガラス基板を加熱処理することを特徴とする磁気記録
    媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 遊離砥粒を含む研磨剤を用いてガラス基
    板の主表面を精密研磨することによって、前記ガラス基
    板表面に前記遊離砥粒による研磨軌跡の箇所に残留応力
    分布を発生させた後、前記ガラス基板の少なくとも主表
    面を化学的表面処理することによって、 前記発生した残留応力分布のうち相対的に残留歪みが高
    い部分を凸部にすることによって、所定の凹凸を形成す
    る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、 前記精密研磨した後、化学的表面処理前に前記ガラス基
    板を加熱された溶媒中に浸漬することによって加熱処理
    することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記化学的表面処理は、フッ酸を含む水
    溶液、ケイフッ酸を含む水溶液、アルカリ性水溶液によ
    るエッチング処理であることを特徴とする請求項2記載
    の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記加熱処理工程における加熱温度が、
    30℃〜180℃であることを特徴とする請求項1乃至
    3の何れかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記加熱処理は、温水、加熱された硫
    酸、加熱されたグリセリン、及び加熱されたリン酸の中
    から選択されたものであることを特徴とする請求項1乃
    至4の何れかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記ガラス基板を構成するガラスは、少
    なくともアルカリ金属酸化物とアルカリ土類金属酸化物
    を含有し、かつ、アルカリ土類金属酸化物の含有量が3
    mol%未満であることを特徴とする請求項1乃至5の
    何れかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ガラス基板を構成するガラスは、S
    iO2 を58〜75重量%、 Al2 O3 を5〜23重量%、Li2 Oを3〜10重量
    %、Na2 Oを4〜13重量%、 主成分として含有するガラスであることを特徴とする請
    求項1乃至6の何れかに記載の磁気記録媒体用ガラス基
    板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ガラス基板を構成するガラスは、S
    iO2 を62〜75重量%、 Al2 O3 を5〜15重量%、Li2 Oを4〜10重量
    %、Na2 Oを4〜12重量%、 ZrO2 を5.5〜15重量%、主成分として含有する
    とともに、Na2 O/ZrO2 の重量比が0.5〜2.
    0、Al2 O3 /ZrO2 の重量比が0.4〜2.5で
    あるガラスであることを特徴とする請求項7記載の磁気
    記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ケイフッ酸による表面処理の後に、
    化学強化処理することを特徴とする請求項1乃至8の何
    れかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれかに記載の磁
    気記録媒体用ガラス基板の製造方法で製造された磁気記
    録媒体ガラス基板の主表面上に、少なくとも磁性層を形
    成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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