JP3511508B2 - 電気車の制御装置 - Google Patents

電気車の制御装置

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JP3511508B2
JP3511508B2 JP2000381790A JP2000381790A JP3511508B2 JP 3511508 B2 JP3511508 B2 JP 3511508B2 JP 2000381790 A JP2000381790 A JP 2000381790A JP 2000381790 A JP2000381790 A JP 2000381790A JP 3511508 B2 JP3511508 B2 JP 3511508B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電気車に搭載さ
れる交流電力を制御する電力変換装置において、特に帰
線電流に発生する特定周波数成分を除去する技術に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】電気車に搭載される誘導電動機をはじめ
とする電機品(以下負荷と記す)に供給される交流電力
は、架線から集電した直流電力をスイッチング素子で構
成される電力変換器により変換されたものである。一般
的に、架線電圧集電器と電力変換装置の間には、地上に
設置された信号機等の保安機器に障害を与える周波数成
分を除去するために、リアクトルとフィルタコンデンサ
からなるフィルタ回路が挿入されている。
【0003】しかしながら、フィルタ回路で決まる周波
数特性によっては、該フィルタ回路だけでは、その影響
を完全に除去できない場合がある。
【0004】そこで、電力変換器が発生する保安機器に
障害を与える周波数成分を除去するために、例えば、図
9に示す方法が提案されている。
【0005】図9は、例えば、特開平07−16300
1号公報に記載された電力変換装置の構成を示したブロ
ック図である。図9において、51は入力電圧電圧Vi
に対して常に一定の電圧Voを出力するためのFF指令
Aliを演算するフィードフォワード制御器、52は基
準電圧Vcを予め設定する出力電圧設定器、53は出力
電圧Voと出力電圧設定器52で予め設定される基準電
圧Vcとの偏差Vdを求める減算器、54は入力される
偏差VdがゼロになるようなFB指令Aloを演算する
フィードバック制御器、55は前記FF指令AliとF
B指令Alo及び後述する電流制御補正指令Alxを加
算して変調率ALを出力する加算器である。
【0006】56は、バンドパスフィルタで構成され、
帰線電流Iのうち後述する信号周波数設定器57で設定
された周波数の成分を抽出して、電流Ifcを出力する
特定周波数成分抽出器、57は特定周波数成分抽出器5
6で抽出する特定周波数成分の周波数fcを設定する信
号周波数設定器、58は電流Ifcを入力し、電流If
cの位相を制御する移相器、59は移相器58で制御し
た位相から、フィードフォワード制御器51及びフィー
ドバック制御器54のゲインと合わせた電流制御補正指
令ALxを演算する電流ゲイン制御器である。
【0007】60は変調率ALを入力して変調波を発生
する変調波発生器、61は三角波のキャリア信号を発生
するキャリア信号発生器、62は変調率ALの変調波と
キャリア信号とによりスイッチング素子のスイッチング
信号を生成するスイッチング信号生成器である。
【0008】次に、この従来の電力変換装置の動作につ
いて説明する。先ず、フィ―ドフォワ―ド制御器51
は、入力電圧Viに対して常に一定の電圧Voを出力す
るFF指令ALiを計算する。例えば、入力電圧Viが
上昇したら変調波の振幅を下げるFF指令ALiを計算
し、入力電圧Viが低下したら変調波の振幅を上げるF
F指令ALiを計算して出力する。減算器53は、出力
電圧Voと出力電圧設定器52で予め設定される基準電
圧Vcとの偏差Vdを求める。フィ―ドバック制御器5
4は、偏差Vdが零となるようなFB指令ALoを計算
する。瞬時離線や、他の電気車の影響により、入力電圧
Viが変動するが、負荷に供給する出力電圧Voを一定
に保持しようとするために、帰線電流Iは変動してリッ
プル分が生じる。この帰線電流Iは特定周波数成分抽出
器56に入力される。特定周波数成分抽出器56はバン
ドパスフィルタで構成され、帰線電流Iのうち信号周波
数設定器57で設定された周波数成分を抽出するもので
ある。信号周波数設定器57で設定される周波数fc
は、保安機器の固有の電流周波数である。すなわち、帰
線電流Iは、特定周波数成分抽出器56で信号周波数設
定器57で設定される周波数fc成分の電流Ifcが抽
出される。移相器58は電流Ifcを入力し、電流If
cの位相を制御する。電流ゲイン制御器59は、移相器
58で制御した位相から、フィ―ドフォワ―ド制御器5
1及びフィ―ドバック制御器54のゲインと合わせた電
流制御補正指令ALxを出力する。
【0009】加算器55はFF指令ALi、FB指令A
Lo、電流制御補正指令ALxを入力して加算し、変調
率ALを出力する。変調波発生部60は、変調率ALを
入力して変調波を発生する。また、キャリア信号発生部
61は、三角波のキャリア信号を発生し、スイッチング
信号発生部62において、変調率ALの変調波Aとキャ
リア信号Bとにより電力変換装置のスイッチング素子の
スイッチング信号Gを生成する。
【0010】特定周波数成分抽出器56では、信号周波
数設定器57で設定された周波数fcの成分を抽出する
バンドパスフィルタのフィルタ関数が帰線電流Iに作用
し、周波数fcの電流Ifcが抽出され、移相器58に
入力される。移相器58では電流Ifcが打ち消される
ような位相θが制御される。そして、電流ゲイン調整器
59で、この位相θからフィ―ドフォワ―ド制御器11
が出力するFF指令ALi及びフィ―ドバック制御器5
4が出力するFB指令ALoとマッチングするように電
流制御補正指令ALxが計算される。
【0011】帰線電流Iのリップル分が保安機器固有の
電流周波数fcの成分を持たない時は、特定周波数成分
抽出器56から出力されるIfcは零となり、電流制御
補正は行われない。従って、従来と同様に、常に入力電
圧Viの変動に対して出力電圧Voが一定になるよう
に、フィ―ドフォワ―ド制御器51でFF指令ALiが
計算され、出力電圧Voと設定値Vcとの差Vdが零と
なるように、フィ―ドバック制御器54でFB指令AL
oが計算され、これらALiとALoの和が変調率AL
となる。変調波発生部60は変調率ALを入力して変調
波を発生する。また、キャリア信号発生部61は三角波
のキャリア信号を発生し、スイッチング信号発生部62
において、変調率ALの変調波とキャリア信号とにより
電力変換装置のスイッチング素子のスイッチング信号G
を生成する。
【0012】また、帰線電流Iのリップル分が保安機器
固有の電流周波数fcの成分を持つ時は、特定周波数成
分抽出器56でフィルタ関数が入力電流Iに作用して周
波数fcの電流成分Ifcが抽出される。移相器58で
は、この電流成分Ifcを打ち消す特性となるように位
相θが調整され、電流ゲイン制御器59にて電流制御補
正指令ALxが出力される。フィ―ドフォワ―ド制御器
51では、入力電圧Viに対して常に一定の出力電圧を
出力するFF指令ALiが出力され、フィ―ドバック制
御器54では、出力電圧Voと出力電圧設定器52で設
定された設定値Vcとの差Vdが零となるようなFB指
令ALoが出力され、このFF指令ALiと、FB指令
ALoと、更に電流制御補正指令ALxとが加算器55
で加算され、変調率ALとなる。変調波発生部60は、
変調率ALを入力して変調波を発生する。また、キャリ
ア信号発生部61は三角波のキャリア信号を発生し、ス
イッチング信号発生部62において、変調率ALの変調
波とキャリア信号とにより電力変換装置のスイッチング
素子のスイッチング信号Gを生成する。
【0013】従ってフィ―ドフォワ―ド制御器51やフ
ィ−ドバック制御器54の制御定数を変更せずに、帰線
電流Iに重畳する保安機器固有の電流周波数fcの成分
を除去して、保安機器に対しての誘導障害を防止するこ
とができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来の電力変換装置の
制御装置は以上のような構成及び動作となっており、こ
の方式でも、帰線電流に発生する特定周波数成分を除去
することは可能であるが、出力電圧Voを得るための電
圧センサが必要となるという問題点があった。
【0015】さらに、一般的に電気車の制御では、電圧
利用率を高めるため、出力電圧が固定される1パルス領
域まで使用されるが、上記従来技術では、変調率ALを
補正するため、出力電圧すなわち変調率が固定される1
パルス領域では適用することができないので、帰線電流
に発生する特定周波数成分を除去する方式としては十分
ではないという問題点があった。
【0016】この発明は、上述のような問題点を改善す
るためになされたもので、出力電圧を得るための電圧セ
ンサが必要で無いばかりでなく、出力電圧固定領域を含
めた電気車の全ての運転領域においても、帰線電流に発
生する特定周波数成分を除去することができる電気車の
制御装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の一側面に係る電
気車の制御装置は、直流架線から集電される直流電圧
を、電気車に搭載される誘導電動機に供給するための
相の交流電圧に変換する電力変換器と、前記誘導電動機
の回転速度を検出する回転速度検出器と、前記回転速度
検出器により検出された回転速度から前記誘導電動機の
回転角速度を演算する速度変換器と、前記速度変換器に
より演算された回転角速度を積分して位相角を演算する
積分器と、前記誘導電動機に流れるU、V、W相電流
検出する電流検出器と、前記電流検出器により検出され
たU相電流、V相電流及びW相電流、並びに前記積分器
により演算された位相角に基づき、q軸フィードバック
電流、及びd軸フィードバック電流を演算するフィード
バック電流演算器と、保安機器に影響を与える周波数成
分を設定する周波数設定器と、前記フィードバック電流
演算器により演算されたq軸フィードバック電流から、
前記周波数設定器により設定された周波数成分を抽出し
て第1の補正量を出力する周波数成分検出器と、前記第
1の補正量を打ち消す特性となるように位相を調整して
第2の補正量を出力する位相調整器と、前記第2の補正
量に乗ずるゲインを設定するゲイン設定器と、前記第2
の補正量と前記ゲインを乗算して第3の補正量を出力す
る乗算器と、第1のq軸電流指令を設定する電流指令設
定器と、前記第1のq軸電流指令から前記第3の補正量
を減算して第2のq軸電流指令を演算する減算器と、
記フィードバック電流演算器により演算されたq軸フィ
ードバック電流が前記減算器により演算された第2のq
軸電流指令と一致するような電圧指令を演算して前記電
力変換器に出力する電圧指令演算器とを備えたものであ
る。
【0018】また、本発明の他の側面に係る電気車の制
御装置は、直流架線から集電される直流電圧を、電気車
に搭載される誘導電動機に供給するための3相の交流電
圧に変換する電力変換器と、前記誘導電動機の回転速度
を検出する回転速度検出器と、前記回転速度検出器によ
り検出された回転速度から前記誘導電動機の回転角速度
を演算する速度変換器と、前記速度変換器により演算さ
れた回転角速度を積分して位相角を演算する積分器と、
前記誘導電動機に流れるU、V、W相電流を検出する電
流検出器と、前記電流検出器により検出されたU相電
流、V相電流及びW相電流、並びに前記積分器により演
算された位相角に基づき、q軸フィードバック電流、及
びd軸フィードバック電流を演算するフィードバック電
流演算器と、保安機器に影響を与える周波数成分を設定
する周波数設定器と、前記フィードバック電流演算器に
より演算されたq軸フィードバック電流から、前記周波
数設定器により設定された周波数成分を抽出して第1の
補正量を出力する周波数成分検出器と、前記第1の補正
量を打ち消す特性となるように位相を調整して第2の補
正量を出力する位相調整器と、前記第2の補正量に乗ず
るゲインを設定するゲイン設定器と、前記第2の補正量
と前記ゲインを乗算して第3の補正量を出力する乗算器
と、第1のトルク指令を設定するトルク指令設定器と、
前記第1のトルク指令から前記第3の補正量を減算して
第2のトルク指令を演算する減算器と、前記誘導電動機
の発生するトルクが前記減算器により演算された第2の
トルク指令と一致するような電圧指令を演算して前記電
力変換器に出力する電圧指令演算器とを備えたものであ
る。
【0019】さらに、本発明の一態様によれば、前記周
波数成分検出器に入力するq軸フィードバック電流の代
わりに、d軸フィードバック電流を入力するものであ
る。
【0020】さらにまた、本発明の他の態様によれば、
前記フィードバック電流演算器の代わりに、前記電流検
出器により検出されたU相電流、V相電流及びW相電流
に基づき、前記誘導電動機の電流実効値を演算する電流
実効値演算器を備え、前記周波数成分検出器の入力とし
て、q軸フィードバック電流若しくはd軸フィードバッ
ク電流の代わりに、前記電流実効値を入力するものであ
る。
【0021】また、本発明の更に他の態様によれば、
記ゲイン設定器の代わりに、前記誘導電動機の回転角速
度に対してゲインを任意に設定できるようなゲインテー
ブルを備え、前記ゲインテーブルは、前記速度変換器に
より演算された回転角速度に対応するゲインを出力する
ものである。
【0022】さらに、本発明の別の態様によれば、前記
乗算器と前記減算器の間に設けられ、入力される前記第
3の補正量が補正量最大値より大きい時は、前記補正量
最大値を出力し、入力される前記第3の補正量が補正量
最小値より小さい時は、前記補正量最小値を出力するリ
ミッタをさらに備えたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発
明の実施の形態について説明する。 実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1に係る
電気車の制御装置の構成を示すブロック図である。図1
において、20は、誘導電動機10への入力電流に基づ
いて、電力変換器9を制御して該誘導電動機10の出力
を制御する制御部であり、この制御部20は、誘導電動
機10の電流のU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電
流Iwと位相角θとから、q軸フィードバック電流I1
QFを演算するフィードバック電流演算器1と、フィー
ドバック電流演算器1の出力I1QFから、周波数設定
器3で設定される周波数FC成分を抽出する周波数成分
検出器2と、周波数成分検出器2で抽出する周波数成分
FCを設定する周波数設定器3とを備えている。
【0024】さらに、制御部20は、周波数成分検出器
2の出力I1QFC1の位相を調整してI1QFC2を
出力する位相調整器4と、位相調整器4の出力に乗算す
るゲインG1を設定するゲイン設定器5と、位相調整器
4の出力であるI1QFC2とゲイン設定器の出力G1
とを乗算してI1QFC3を出力する乗算器6と、電流
指令設定器16の出力である第1のq軸電流指令I1Q
R1からI1QFC3を減算して第2のq軸電流指令I
1QR2を演算する減算器7と、第2の電流指令I1Q
R2とq軸フィードバック電流I1QFとを入力して、
これの入力に基づいて電力変換器9に与える電圧指令を
演算する電圧指令演算器8とを備える。
【0025】電力変換器9は、電圧集電器15から集電
される直流電圧を、電圧指令設定器16からの電圧指令
に従って、誘導電動機10に供給する電圧に変換する。
10は電力変換器9から供給される電圧により駆動され
る誘導電動機、11は誘導電動機10の回転速度を検出
する回転速度検出器、12は回転速度検出器11の出力
から誘導電動機10の回転角速度ωrを演算する速度変
換器、13は速度変換器12の出力である回転角速度ω
rを積分して位相角θを演算する積分器、14a〜14
cは、誘導電動機10に流れるU、V、W相電流を検出
する第1〜3の電流検出器である。集電器15は、直流
架線から直流電圧を集電して電力変換器9に供給する。
電流指令設定器16は、第1のq軸電流指令I1QR1
を設定して減算器7へ出力する。
【0026】また、図1では、誘導電動機3は1台のみ
しか図示していないが、誘導電動機をn台並列に接続し
た状態でも、各誘導電動機に対して同様の構成をとるこ
とができる。
【0027】次に、この実施の形態1による電気車の制
御装置の動作について説明する。架線から集電器15に
より集電した直流電力は、電力変換器9に入力される。
電力変換器9では、入力された直流電圧を、制御部20
から与えられる電圧指令に従って、3相の交流電力に変
換して誘導電動機10を駆動する。誘導電動機10の回
転速度は速度検出器11により検出され、速度変換器1
2に入力される。速度変換器12では、速度検出器11
の信号を、誘導電動機10の回転角速度ωrに変換し
て、制御部20に入力する。
【0028】次に、本発明の主要な制御機能を司る制御
部20の動作について説明する。誘導電動機10の角速
度ωrは電圧指令演算器8と積分器13に入力される。
積分器13では、誘導電動機角速度ωrを積分すること
により、誘導電動機10の回転位相に相当する位相θを
演算する。フィードバック電流演算器1では、位相θと
U相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iwとから、以
下の式(1)の演算を実施し、d軸フィードバック電流
I1DF及びq軸フィードバック電流I1QFを演算す
る。
【0029】
【数1】
【0030】ここで、電気車に搭載される電力変換器9
が保安機器に障害を与える周波数成分を発生する原理に
ついて考察する。電力変換器9は、通常半導体などのス
イッチング素子で構成され、スイッチング幅を変化させ
ることで直流電力を交流電力に変換する。電力変換器9
が電圧指令演算器8から出力される電圧指令に従って直
流電力を理想的に変換すれば、誘導電動機10に供給さ
れる交流電力は正弦波状になり、誘導電動機10に流れ
る電流も正弦波となる。また、フィードバック電流演算
器1で式(1)により演算されるd軸フィードバック電
流I1DF及びq軸フィードバック電流I1QFは直流
量となる。
【0031】さらにこの場合、集電器15から電力変換
器9を通り、接地されたレールに流れる電流、すなわち
帰線電流Iも交流周波数成分を含まない直流となるた
め、信号機等の保安機器に対しての誘導障害を及ぼすこ
とはない。
【0032】しかし、実際には、電力変換器9を構成す
るスイッチング素子のスイッチング時間のばらつきや、
スイッチング素子の短絡による素子の破壊を防止するた
めに設定される上下短絡防止時間の影響により、スイッ
チング幅が変化し、電力変換器9から出力される交流電
力は電圧指令演算器8からの指令と完全に一致しなくな
る。その場合、誘導電動機10に供給される電力は理想
的な交流電力ではなく、誘導電動機10に流れる電流も
同様に正弦波状に変化しなくなる。また、この場合に
は、フィードバック電流演算器1で式(1)により演算
されるd軸フィードバック電流I1DF及びq軸フィー
ドバック電流I1QFは、交流周波数成分を含んだ電流
となる。
【0033】さらに、帰線電流Iも完全な直流量とはな
らず、交流周波数成分が重畳された電流となる。帰線電
流Iに重畳される交流周波数成分は、電力変換器9が発
生する交流電力の基本波周波数成分が含まれており、こ
の基本波周波数成分は誘導電動機10の回転速度の変化
に伴って変化する。そして、保安機器が使用する周波数
成分と、電力変換器9が発生する交流電力の基本波周波
数成分が一致した時、帰線電流Iにより保安機器に障害
を与える場合がある。
【0034】よって、フィードバック電流演算器1で
(1)により演算されるd軸フィードバック電流I1D
F或いはq軸フィードバック電流I1QFを監視し、そ
の電流に保安機器に障害を与える周波数成分が含まれて
いる場合に、その周波数成分を打ち消すように電圧指令
演算器8で演算される電圧指令を補正すれば、電力変換
器8が発生する保安機器に対しての誘導障害を防止する
ことができる。
【0035】次に上記原理を踏まえて制御部20の動作
について詳細に説明する。電流検出器14a〜14cで
検出されるU相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iw
から、フィードバック電流演算器1で(1)式に従い演
算されるd軸フィードバック電流I1DF及びq軸フィ
ードバック電流I1QFは、電力変換器9を構成するス
イッチング素子のスイッチング時間のばらつきや、スイ
ッチング素子の短絡を防止するために設定する上下短絡
防止時間の影響により、図2(a)に示すように交流周
波数成分が重畳された電流となる。
【0036】周波数設定器3には、保安機器に影響を与
える周波数成分FCが設定されており、周波数成分検出
器2に検出すべき周波数成分として周波数FCを出力す
る。
【0037】周波数成分検出器2は、図3に示すような
特性を有するバンドパスフィルタで構成され、周波数設
定器3から出力される周波数FC成分の電流をq軸フィ
ードバック電流I1QFから抽出し、図2(b)に示す
ような第1の補正量I1QFC1を出力する。
【0038】位相調整器4では、第1の補正量I1QF
C1を打ち消す特性となるように位相δが調整され、図
2(c)に示すような第2の補正量I1QFC2が出力
される。位相δは、抽出すべき周波数成分FCと制御部
20の電圧指令に対する電流応答によって決められる。
【0039】ゲイン設定器5では、第2の補正量I1Q
FC2に乗ずるゲインG1が設定されており、乗算器6
によりゲインG1と第2の補正量I1QFC2とを乗算
して、図2(d)に示すような第3の補正量I1QFC
3が演算される。
【0040】電流指令設定器16から、図2(e)に示
すような第1のq軸電流指令I1QR1が出力され、減
算器7により、第1のq軸電流指令I1QR1から第3
の補正量I1QFC3を減算し、図2(f)に示すよう
な第2のq軸電流指令I1QR2を演算する。
【0041】電圧指令演算器8では、q軸フィードバッ
ク電流I1QFが第2のq軸電流指令I1QR2と一致
するような電圧指令Vu、Vv、Vwを演算し、電力変
換器9に出力する。電力変換器9では、電圧指令演算器
8から入力される電圧指令に従って、集電器15から入
力される直流電圧を交流電圧に変換し、誘導電動機10
を駆動する。
【0042】その結果、第1の補正量I1QFC1がゼ
ロになり、帰線電流Iから保安機器に障害を与える周波
数成分を除去することができる。
【0043】なお、本実施の形態1では、抽出すべき周
波数成分を1つのみとしたが、保安機器に影響を与える
周波数成分が複数存在する場合には、それぞれの周波数
成分に対して上記と同様の処理を行い、第3の補正量I
1QFC3を減算し、それらの値をそれぞれ第1のq軸
電流指令I1QR1から減算することにより、帰線電流
Iに含まれる、保安機器に影響を与える周波数成分を除
去することができる。
【0044】このように、図1に示す本実施の形態1に
おける電気車の制御装置によれば、保安機器に影響を及
ぼす周波数成分を誘導電動機電流から検出し、その値を
用いて電流指令を調整して制御することにより、帰線電
流を直接検出するための検出器や、電力変換器の出力電
圧を検出する検出器を設けることなく、保安機器に対し
て影響を及ぼすような帰線電流の発生を防止することが
できる。
【0045】実施の形態2.図4は、この発明の実施の
形態2に係る電気車の制御装置の構成を示すブロック図
である。上記実施の形態1による電気車の制御装置で
は、制御部20に入力する指令を電流指令としていた
が、図4に示す本実施の形態2による電気車の制御装置
では、電流指令の代わりにトルク指令を入力するように
したものである。
【0046】図4において、16aは、制御部20aに
入力する第1のトルク指令PTR1を設定するトルク指
令設定器、7aは、第1のトルク指令PTR1から第3
の補正量I1QFC3を減算し、第2のトルク指令PT
R2を演算する減算器である。その他の構成部品につい
ては、図1に示した上記実施の形態1と同一であるので
詳細な説明は省略する。
【0047】以下に、本実施の形態2の動作について、
上記実施の形態1と異なる部分を中心に図4を用いて説
明する。
【0048】トルク指令設定器16aは、誘導電動機1
0に発生させるトルク値を指令するトルク指令値が設定
され、第1のトルク指令PTR1として制御部20aに
入力される。制御部20aに含まれる減算器7aは、第
1のトルク指令PTR1から第3の補正量I1QFC3
を減算して、第2のトルク指令PTR2を演算する。第
2のトルク指令PTR2は電圧指令演算器8に入力され
る。
【0049】電力変換器9では、誘導電動機10の発生
するトルクが第2のトルク指令PTR2と一致するよう
な電圧指令Vu、Vv、Vwを演算し、電力変換器9に
出力する。電力変換器9では、電圧指令演算器8から入
力される電圧指令に従って、集電器15から入力される
直流電圧を交流電圧に変換し、誘導電動機10を駆動す
る。他の部分の動作については、図1と同一であり、各
補正量の変化は、図2(e)、(f)がそれぞれ第1の
トルク指令PTR1及び第2のトルク指令PTR2に置
き換わるだけであるので、その図示及び説明は省略す
る。
【0050】このように、図4に示す実施の形態2にお
ける電気車の制御装置によれば、保安機器に影響を及ぼ
す周波数成分を誘導電動機電流から検出し、その値を用
いてトルク指令を調整して制御することにより、帰線電
流を直接検出するための検出器や、電力変換器9の出力
電圧を検出する検出器を設けることなく、保安機器に対
して影響を及ぼすような帰線電流の発生を防止すること
ができる。
【0051】実施の形態3.図5は、この発明の実施の
形態3に係る電気車の制御装置の構成を示すブロック図
である。図5において、上述の実施の形態1及び2の図
1及び図4と異なる構成の部分だけを記述し、他の同じ
構成の部分については図示を省略している。
【0052】実施の形態1或いは実施の形態2で述べた
電気車の制御装置では、周波数成分検出器2に入力する
電流をq軸フィードバック電流I1QFとしていたが、
図5に示す本実施の形態3による電気車の制御装置で
は、q軸フィードバック電流I1QFの代わりにd軸フ
ィードバック電流I1DFを周波数成分検出器2に入力
するようにしたものである。
【0053】図5において、1は、位相θと、U相電流
Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwとを入力として、
d軸フィードバック電流I1DFを出力するフィードバ
ック電流演算器、2は、d軸フィードバック電流I1D
Fを入力として周波数設定器3で設定された周波数成分
を検出する周波数成分検出器2である。
【0054】以下、本実施の形態3の動作について、上
記実施の形態1及び2と異なる部分を中心に図5を用い
て説明する。
【0055】フィードバック電流演算器1では、上述し
た式(1)により、位相θと、U相電流Iu、V相電流
Iv及びW相電流Iwとから、d軸フィードバック電流
I1DFとq軸フィードバック電流I1QFとを演算す
る。
【0056】電力変換器9を構成するスイッチング素子
のスイッチング時間のばらつきや、スイッチング素子の
短絡を防止するために設定する上下短絡防止時間の影響
により、d軸フィードバック電流I1DFは、q軸フィ
ードバック電流I1QFと同様に、交流周波数成分が重
畳された電流となる。
【0057】そのため、上記実施の形態1と同様に、d
軸フィードバック電流I1DFを周波数成分検出器2に
入力し、周波数設定器3から入力される周波数FCC成
分を抽出し、その値を実施の形態1或いは2と同様な処
理を施すことにより、帰線電流Iに含まれる、保安機器
に影響を与える周波数成分を除去することができる。
【0058】このように、図5に示す本実施の形態3に
おける電気車の制御装置によれば、例えば空転制御など
により、電流指令やトルク指令が激しく変化する場合に
おいても、d軸フィードバック電流I1DFを用いて電
流指令及びトルク指令を調整することにより、それらの
影響を受けずに、保安機器に影響を及ぼす周波数成分を
検出し、保安機器に対して影響を及ぼすような帰線電流
の発生を防止することができる。
【0059】実施の形態4.図6は、この発明の実施の
形態4に係わる電気車の制御装置の構成を示すブロック
図である。図6においては、上述の実施の形態1乃至3
の図1、図4及び図5と異なる構成の部分だけを記述
し、他の同じ構成の部分については図示を省略してい
る。
【0060】上記実施の形態1乃至3で述べた電気車の
制御装置では、周波数成分検出器2に入力する電流をd
軸フィードバック電流I1DF或いはq軸フィードバッ
ク電流I1QFとしていたが、図6に示す本実施の形態
4による電気車の制御装置では、d軸フィードバック電
流I1DF或いはq軸フィードバック電流I1QFの代
わりに電流実効値IMを周波数成分検出器2に入力する
ようにしたものである。
【0061】図6において、1aは、U相電流Iu、V
相電流Iv及びW相電流Iwを入力として電流実効値I
Mを出力する電流実効値演算器、2は、電流実効値IM
を入力として周波数設定器3で設定される周波数成分を
検出する周波数成分検出器である。
【0062】以下、本実施の形態4の動作について、上
記実施の形態1乃至3と異なる部分を中心に図6を用い
て説明する。
【0063】電流実効値演算器1aでは、下記の式
(2)により、U相電流Iu、V相電流Iv及びW相電
流Iwから、電流実効値IMを演算する。
【0064】
【数2】
【0065】上述したように、電力変換器9を構成する
スイッチング素子のスイッチング時間のばらつきや、ス
イッチング素子の短絡を防止するために設定する上下短
絡防止時間の影響により、電流実効値IMは、d軸フィ
ードバック電流I1DFやq軸フィードバック電流I1
QFと同様に、交流周波数成分が重畳された電流とな
る。
【0066】そのため、上記実施の形態1乃至3と同様
に、電流実効値IMを周波数成分検出器2に入力し、周
波数設定器3から入力される周波数FC成分を抽出し、
その値を上記実施の形態1乃至3と同様な処理を施すこ
とにより、帰線電流Iに含まれる保安機器に影響を与え
る周波数成分を除去することができる。
【0067】このように、図6に示す実施の形態4にお
ける電気車の制御装置によれば、電流実効値IMの演算
に位相θを用いる必要がないので、例えば演算を実施す
るマイコン等の制約により、位相演算が不可能な場合に
おいても、電流実効値IMを用いて電流指令及びトルク
指令を調整することで、それらの影響を受けずに、保安
機器に影響を及ぼす周波数成分を検出し、保安機器に対
して影響を及ぼすような帰線電流の発生を防止すること
ができる。
【0068】実施の形態5.図7は、この発明の実施の
形態5に係わる電気車の制御装置の構成を示したブロッ
ク図である。図7において、上述の実施の形態1及び2
の図1、図4と異なる構成の部分だけを記述し、他の同
じ構成の部分については図示を省略している。
【0069】上記実施の形態1乃至4で述べた電気車の
制御装置では、位相調整器4の出力に乗算するゲインG
1をゲイン設定器5で設定する一定値としていたが、図
7に示す本実施の形態5による電気車の制御装置では、
ゲイン設定器5の代わりに、誘導電動機角速度ωrを入
力とし、角速度ωrによりゲインG2を変化させること
ができるゲインテーブルを設けるようにしたものであ
る。
【0070】図7において、5aは、誘導電動機角速度
ωrを入力とし、角速度ωrによりゲインG2を変化さ
せることができるゲインテーブルである。すなわち、図
7に示す電気車の制御装置の構成は、上記実施の形態1
乃至4の図1、図4〜図6に示した電気車の制御装置に
おいて、ゲイン設定器5の代わりに、ゲインテーブル5
aを追加したものである。
【0071】以下、本実施の形態5の動作について、上
記実施の形態1乃至4と異なる部分を中心に図7を用い
て説明する。ゲインテーブル5aには、速度変換器12
(図7では省略)から出力される回転角速度ωrが入力
される。ゲインテーブル5aには、予め、誘導電動機1
0の回転角速度に対してゲインを任意に設定できるよう
なテーブルが設定されており、入力された回転角速度ω
rに対応するゲインG2を出力する。
【0072】乗算器6では、ゲインテーブル5aの出力
であるG2と、第2の補正量I1QFC2とを乗算し、
第3の補正量I1QFC3を演算する。他の動作につい
ては、上述の実施の形態1乃至5と同様であるので、こ
こでは説明を省略する。
【0073】以上のように、図7に示す実施の形態5に
おける電気車の制御装置では、第2の補正量I1QFC
2に乗算するゲインG2が回転角速度ωrにより可変に
できるので、運転速度により第3の補正量I1QFC3
を自由に設定できるため、例えば、除去すべき特定周波
数成分が発生する回転角速度以外の運転領域において、
動作を停止させ、不要動作を抑制することができる。
【0074】実施の形態6.図8は、この発明の実施の
形態6に係る電気車の制御装置の構成を示すブロック図
である。図8において、上述の実施の形態1及び2の図
1、図4と異なる構成の部分だけを記述し、他の同じ構
成の部分については図示を省略している。
【0075】上記実施の形態1乃至5で述べた電気車の
制御装置では、ゲインG1若しくはG2と、第2の補正
量I1QFC2とを乗算して得られる第3の補正量I1
QFC3をそのまま減算器7或いは減算器7aに入力し
ていたが、図8に示す本実施の形態6による電気車の制
御装置では、乗算器6と減算器7或いは減算器7aの間
に、補正量を制限するリミッタ21を設け、リミッタ2
1により制限された補正量を減算器7或いは減算器7a
に出力するようにしたものである。
【0076】図8において、リミッタ21は、第3の補
正量I1QFC3を制限して第4の補正量I1QFC4
を出力するものである。すなわち、図8に示す本実施の
形態6による電気車の制御装置の構成は、図1、図4〜
図7に示した上記実施の形態1乃至5による電気車の制
御装置において、乗算器6と減算器7或いは減算器7a
の間に、リミッタ21を追加したものである。
【0077】以下、本実施の形態6の動作について、上
記実施の形態1乃至5と異なる部分を中心に図8を用い
て説明する。リミッタ21には、減算器7或いは減算器
7aに出力される補正量最大値I1QFMAXと補正量
最小値I1QFMINが予め設定されている。
【0078】入力される第3の補正量I1QFC3が補
正量最大値I1QFMAXより大きい時は、第4の補正
量I1QFC4として、補正量最大値I1QFMAXを
出力する。
【0079】また、入力される第3の補正量I1QFC
3が補正量最小値I1QFMINより小さい時は、第4
の補正量I1QFC4として、補正量最小値I1QFM
INを出力する。
【0080】また、入力される第3の補正量I1QFC
3が補正量最小値I1QFMINより大きく、補正量最
大値I1QFMAXより小さい時は、第4の補正量I1
QFC4として、入力される第3の補正量I1QFC3
がそのまま出力されるのは言うまでもない。
【0081】減算器7或いは減算器7aでは、第4の補
正量I1QFC4を第1の電流指令I1QR1或いは第
1のトルク指令PTR1から減算して第2の電流指令I
1QR2或いは第2のトルク指令PTR2を演算する。
他の動作については上述の実施の形態1乃至5と同様で
あるので、ここでは説明を省略する。
【0082】以上のように、図8に示す本実施の形態6
における電気車の制御装置では、減算器7或いは減算器
7aに入力される第4の補正量I1QFC4がリミッタ
21によりI1QFMIN〜I1QFMAXの間に制限
されるので、第4の補正量I1QFC4が、例えば演算
誤差等により、使用範囲では有り得ないほどの値になる
ようなことを避けることができ、それによる誤動作を防
止することができる。
【0083】
【発明の効果】以上のように、本発明の一側面に係る電
気車の制御装置によれば、直流架線から集電される直流
電圧を、電気車に搭載される誘導電動機に供給するため
3相の交流電圧に変換する電力変換器と、前記誘導電
動機の回転速度を検出する回転速度検出器と、前記回転
速度検出器により検出された回転速度から前記誘導電動
機の回転角速度を演算する速度変換器と、前記速度変換
器により演算された回転角速度を積分して位相角を演算
する積分器と、前記誘導電動機に流れるU、V、W相電
を検出する電流検出器と、前記電流検出器により検出
されたU相電流、V相電流及びW相電流、並びに前記積
分器により演算された位相角に基づき、q軸フィードバ
ック電流、及びd軸フィードバック電流を演算するフィ
ードバック電流演算器と、保安機器に影響を与える周波
数成分を設定する周波数設定器と、前記フィードバック
電流演算器により演算されたq軸フィードバック電流か
ら、前記周波数設定器により設定された周波数成分を抽
出して第1の補正量を出力する周波数成分検出器と、
記第1の補正量を打ち消す特性となるように位相を調整
して第2の補正量を出力する位相調整器と、前記第2の
補正量に乗ずるゲインを設定するゲイン設定器と、前記
第2の補正量と前記ゲインを乗算して第3の補正量を出
力する乗算器と、第1のq軸電流指令を設定する電流指
令設定器と、前記第1のq軸電流指令から前記第3の補
正量を減算して第2のq軸電流指令を演算する減算器
と、前記フィードバック電流演算器により演算されたq
軸フィードバック電流が前記減算器により演算された第
2のq軸電流指令と一致するような電圧指令を演算して
前記電力変換器に出力する電圧指令演算器とを備えた
とにより、出力電圧固定領域を含めた電気車の全ての運
転領域において、帰線電流に発生する特定周波数成分を
除去することができ、保安機器に対する障害を防止する
方式を実現することができると共に、保安機器に影響を
及ぼす周波数成分を誘導電動機電流から検出し、その値
を用いて電流指令を調整して制御することにより、帰線
電流を直接検出するための検出器や、電力変換器の出力
電圧を検出する検出器を設ける必要が無く、部品点数を
減少させて構成を簡素化できる効果がある。
【0084】また、本発明の他の側面に係る電気車の制
御装置は、直流架線から集電される直流電圧を、電気車
に搭載される誘導電動機に供給するための3相の交流電
圧に変換する電力変換器と、前記誘導電動機の回転速度
を検出する回転速度検出器と、前記回転速度検出器によ
り検出された回転速度から前記誘導電動機の回転角速度
を演算する速度変換器と、前記速度変換器により演算さ
れた回転角速度を積分して位相角を演算する積分器と、
前記誘導電動機に流れるU、V、W相電流を検出する電
流検出器と、前記電流検出器により検出されたU相電
流、V相電流及びW相電流、並びに前記積分器により演
算された位相角に基づき、q軸フィードバック電流、及
びd軸フィードバック電流を演算するフィードバック電
流演算器と、保安機器に影響を与える周波数成分を設定
する周波数設定器と、前記フィードバック電流演算器に
より演算されたq軸フィードバック電流から、前記周波
数設定器により設定された周波数成分を抽出して第1の
補正量を出力する周波数成分検出器と、前記第1の補正
量を打ち消す特性となるように位相を調整して第2の補
正量を出力する位相調整器と、前記第2の補正量に乗ず
るゲインを設定するゲイン設定器と、前記第2の補正量
と前記ゲインを乗算して第3の補正量を出力する乗算器
と、第1のトルク指令を設定するトルク指令設定器と、
前記第1のトルク指令から前記第3の補正量を減算して
第2のトルク指令を演算する減算器と、前記誘導電動機
の発生するトルクが前記減算器により演算された第2の
トルク指令と一致するような電圧指令を演算して前記電
力変換器に出力する電圧指令演算器とを備えたことによ
り、出力電圧固定領域を含めた電気車の全ての運転領域
において、帰線電流に発生する特定周波数成分を除去す
ることができ、保安機器に対する障害を防止する方式を
実現できると共に、保安機器に影響を及ぼす周波数成分
を誘導電動機電流から検出し、その値を用いてトルク指
令を調整して制御することにより、帰線電流を直接検出
するための検出器や、電力変換器の出力電圧を検出する
検出器を設ける必要が無く、部品点数を減少させて構成
を簡素化できる効果がある。
【0085】さらに、本発明の一態様によれば、前記周
波数成分検出器に入力するq軸フィードバック電流の代
わりに、d軸フィードバック電流を入力するので、例え
ば空転制御などにより、電流指令やトルク指令が激しく
変化する場合においても、d軸フィードバック電流I1
DFを用いて電流指令及びトルク指令を調整することに
より、それらの影響を受けずに、保安機器に影響を及ぼ
す周波数成分を検出し、保安機器に対して影響を及ぼす
ような帰線電流の発生を防止することができる効果があ
る。
【0086】さらにまた、本発明の他の態様によれば、
前記フィードバック電流演算器の代わりに、前記電流検
出器により検出されたU相電流、V相電流及びW相電流
に基づき、前記誘導電動機の電流実効値を演算する電流
実効値演算器を備え、前記周波数成分検出器の入力とし
て、q軸フィードバック電流若しくはd軸フィードバッ
ク電流の代わりに、前記電流実効値を入力するので、電
流実効値の演算に誘導電動機の回転位相を用いる必要が
なく、例えば演算を実施するマイコン等の制約により、
位相演算が不可能な場合においても、電流実効値を用い
て電流指令及びトルク指令を調整することにより、それ
らの影響を受けずに、保安機器に影響を及ぼす周波数成
分を検出し、保安機器に対して影響を及ぼすような帰線
電流の発生を防止することができる効果がある。
【0087】また、本発明の更に他の態様によれば、
記ゲイン設定器の代わりに、前記誘導電動機の回転角速
度に対してゲインを任意に設定できるようなゲインテー
ブルを備え、前記ゲインテーブルは、前記速度変換器に
より演算された回転角速度に対応するゲインを出力する
ので、例えば、除去すべき特定周波数成分が発生する回
転角速度以外の運転領域において、動作を停止させ、不
要動作を抑制することができる効果がある。
【0088】さらに、本発明の別の態様によれば、前記
乗算器と前記減算器の間に設けられ、入力される前記第
3の補正量が補正量最大値より大きい時は、前記補正量
最大値を出力し、入力される前記第3の補正量が補正量
最小値より小さい時は、前記補正量最小値を出力するリ
ミッタをさらに備えたので、前記第2のトルク指令値を
演算する演算器に入力される補正量が、例えば演算誤差
等により、使用範囲では有り得ないほどの値になるよう
なことを避けることができ、それによる誤動作を防止す
ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による電気車の制御装
置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による電気車の制御装
置における各信号の動作を示す波形である。
【図3】この発明の実施の形態1による電気車の制御装
置に設けられた周波数成分検出器の入出力特性を示す図
である。
【図4】この発明の実施の形態2による電気車の制御装
置の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態3による電気車の制御装
置の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態4による電気車の制御装
置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態5による電気車の制御装
置の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態6による電気車の制御装
置の構成を示すブロック図である。
【図9】従来の電気車の制御装置の構成を示すブロック
図である。
【符号の説明】
1 フィードバック電流演算器、1a 電流実効値演算
器、2 周波数成分検出器、3 周波数設定器、4 周
波数成分検出器、5 ゲイン設定器、5a ゲインテー
ブル、6 乗算器、7 減算器、7a 減算器、8 電
圧指令演算器、9 電力変換器、10 誘導電動機、1
1 速度検出器、12 速度変換器、13 積分器、1
4a 第1の電流検出器、14b 第2の電流検出器、
14c第3の電流検出器、15 集電器、16 電流指
令設定器、16a トルク指令設定器、20 制御部、
20a 制御器、21 リミッタ、51 フィードフォ
ワード制御器、52 出力電圧設定器、53 減算器、
54 フィードバック制御器、55 加算器、56 特
定周波数成分抽出器、57 信号周波数設定器、58
移相器、59 電流ゲイン制御器、60 変調波発生
器、61 キャリア信号発生器、62 スイッチング信
号生成器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小尾 秀夫 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−136902(JP,A) 特開 平7−163001(JP,A) 特開 平7−39005(JP,A) 特開 平5−3605(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 7/63 B60L 3/00 B60L 9/18

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流架線から集電される直流電圧を、
    気車に搭載される誘導電動機に供給するための3相の
    流電圧に変換する電力変換器と、前記誘導電動機の回転速度を検出する回転速度検出器
    と、 前記回転速度検出器により検出された回転速度から前記
    誘導電動機の回転角速度を演算する速度変換器と、 前記速度変換器により演算された回転角速度を積分して
    位相角を演算する積分器と、 前記誘導電動機に流れるU、V、W相電流を検出する電
    流検出器と、前記電流検出器により検出されたU相電流、V相電流及
    びW相電流、並びに前記積分器により演算された位相角
    に基づき、q軸フィードバック電流、及びd軸フィード
    バック電流 を演算するフィードバック電流演算器と、保安機器に影響を与える 周波数成分を設定する周波数設
    定器と、前記フィードバック電流演算器により演算されたq軸フ
    ィードバック電流から、前記周波数設定器により設定さ
    れた周波数成分を抽出して第1の補正量を出力する 周波
    数成分検出器と、前記第1の補正量を打ち消す特性となるように位相を調
    整して第2の補正量を出力 する位相調整器と、前記第2の補正量に乗ずるゲインを設定する ゲイン設定
    器と、前記第2の補正量と前記ゲインを乗算して第3の補正量
    を出力する乗算器と、第1のq軸電流指令 を設定する電流指令設定器と、前記第1のq軸電流指令から前記第3の補正量を減算し
    て第2のq軸電流指令 を演算する減算器と、前記フィードバック電流演算器により演算されたq軸フ
    ィードバック電流が前記減算器により演算された第2の
    q軸電流指令と一致するような電圧指令を演算して前記
    電力変換器に出力する電圧指令演算器と を備えことを
    特徴とする電気車の制御装置。
  2. 【請求項2】 直流架線から集電される直流電圧を、
    気車に搭載される誘導電動機に供給するための3相の
    流電圧に変換する電力変換器と、前記誘導電動機の回転速度を検出する回転速度検出器
    と、 前記回転速度検出器により検出された回転速度から前記
    誘導電動機の回転角速度を演算する速度変換器と、 前記速度変換器により演算された回転角速度を積分して
    位相角を演算する積分器と、 前記誘導電動機に流れるU、V、W相電流を検出する電
    流検出器と、前記電流検出器により検出されたU相電流、V相電流及
    びW相電流、並びに前記積分器により演算された位相角
    に基づき、q軸フィードバック電流、及びd軸フィード
    バック電流 を演算するフィードバック電流演算器と、保安機器に影響を与える 周波数成分を設定する周波数設
    定器と、前記フィードバック電流演算器により演算されたq軸フ
    ィードバック電流から、前記周波数設定器により設定さ
    れた周波数成分を抽出して第1の補正量を出力する 周波
    数成分検出器と、前記第1の補正量を打ち消す特性となるように位相を調
    整して第2の補正量を出力 する位相調整器と、前記第2の補正量に乗ずるゲインを設定する ゲイン設定
    器と、前記第2の補正量と前記ゲインを乗算して第3の補正量
    を出力する乗算器と、第1のトルク指令を設定するトルク指令設定器と、 前記第1のトルク指令から前記第3の補正量 を減算して
    第2のトルク指令を演算する減算器と、前記誘導電動機の発生するトルクが前記減算器により演
    算された第2のトルク指令と一致するような電圧指令を
    演算して前記電力変換器に出力する電圧指令演算器と
    備えことを特徴とする電気車の制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2の何れかに記載の
    電気車の制御装置において、前記周波数成分検出器に入
    力するq軸フィードバック電流の代わりに、d軸フィー
    ドバック電流を入力することを特徴とする電気車の制御
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかに記載の電気車
    の制御装置において、前記フィードバック電流演算器の
    代わりに、前記電流検出器により検出されたU相電流、
    V相電流及びW相電流に基づき、前記誘導電動機の電流
    実効値を演算する電流実効値演算器を備え、 前記周波数成分検出器の入力として、q軸フィードバッ
    ク電流若しくはd軸フィードバック電流の代わりに、前
    電流実効値を入力することを特徴とする電気車の制御
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかに記載の電気車
    の制御装置において、前記ゲイン設定器の代わりに、前
    記誘導電動機の回転角速度に対してゲインを任意に設定
    できるようなゲインテーブルを備え、 前記ゲインテーブルは、前記速度変換器により演算され
    た回転角速度に対応するゲインを出力 することを特徴と
    する電気車の制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の何れかに記載の電気車
    の制御装置において、前記乗算器と前記減算器の間に設
    けられ、入力される前記第3の補正量が補正量最大値よ
    り大きい時は、前記補正量最大値を出力し、入力される
    前記第3の補正量が補正量最小値より小さい時は、前記
    補正量最小値を出力するリミッタをさらに備えたことを
    特徴とする電気車の制御装置。
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