JP3511366B2 - 亜鉛めっき鋼板溶接用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

亜鉛めっき鋼板溶接用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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JP3511366B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直流正極性を使用
し、低電流から高電流までアーク安定性が優れていて、
亜鉛めっき鋼板の溶接に適したガスシールド溶接用フラ
ックス入りワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】ここ数年、フラックス入りワイヤはその
能率性及び作業性等の利点を理由に、種々の分野で、そ
の使用量を伸ばしてきている。これらのフラックス入り
ワイヤの多くは、そのスラグ主成分にチタニア(TiO
2)が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、チタニ
ア系ベースのフラックス入りワイヤは比較的高電流側
(250A以上)で作業性が優れているものの、200
A以下では母材へ溶滴が移行する際に大きく成長するた
め、スムースな溶滴移行がなされなくなり、アークが不
安定になってスパッタが増えるなどの欠点を有してい
る。また、チタニア系ベースの従来のフラックス入りワ
イヤを用いて、亜鉛めっき層を除去せずに、亜鉛めっき
鋼板をそのまま溶接する場合、大粒スパッタの発生が顕
著であり、耐ピット性及び耐ブローホール性も十分でな
かった。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、低電流から高電流までアーク安定性が優れ
ており、更に亜鉛めっき鋼板溶接において耐ピット性及
び耐ブローホール性等が優れた直流正極性用の亜鉛めっ
き鋼板溶接用ガスシールド溶接用フラックス入りワイヤ
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る亜鉛メッキ
鋼板溶接用ガスシールド溶接用フラックス入りワイヤ
は、炭素鋼製外皮にフラックスを充填してなり、直流正
極性(ワイヤマイナス)にてガスシールドアーク溶接を
行うとき、ワイヤ溶融速度をWn(g/sec)、その
ときの溶接電流を、ワイヤ突き出し長さをL(mm)、
ワイヤの直径をd(mm)とし、Wn(g/sec)を
下記数式1で表したとき、数式1の右辺第1項の係数A
が1.0乃至4.5であり、右辺第2項の係数Bが0.
5乃至2.5であることを特徴とする。また、本発明の
ワイヤは、ワイヤ全重量に対する重量%で、フラックス
中に、Ba化合物の総和:(金属Baの重量%に換算し
て)0.3乃至5.0重量%、Al:0.5乃至4.5
重量%及びMg:0.1乃至2.0重量%からなる群か
ら選択された少なくとも1種を含有する。そして、本発
明のワイヤは直流正極性で使用する。
【0006】
【数1】Wn=A×10-9×I/π((d/2)×10
-32+B×10-1×I2×π((d/2)×10-32
×L
【0007】請求項2の発明に係るガスシールドアーク
溶接用フラックス入りワイヤは、請求項1の発明におい
て、ワイヤ全重量に対して、フラックス中に、BaF2
を0.5乃至5.0重量%含有し、Al及びMgをAl
+3Mg:1.0乃至10.0重量%となるように含有
する。
【0008】請求項3の発明に係るガスシールドアーク
溶接用フラックス入りワイヤは、請求項1又は2の発明
において、ワイヤ全重量に対して、フラックス中に、B
aF 2:1.0乃至3.5、重量%、Al:1.5乃至
4.0重量%、Mg:0.3乃至1.5重量%を含有す
るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本願発明は、(a)低電流から高
電流までアーク安定性が優れたガスシールドアーク溶接
用フラックス入りワイヤを提供すること、(b)亜鉛め
っき鋼板の溶接において大粒スパッタの発生が少なく、
耐ピット性及び耐ブローホール性が優れたガスシールド
アーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することを目
的とする。そして、本発明は、この目的を達成するため
に、以下の手段を採用している。
【0010】先ず、前記(a)に関して説明する。低電
流域において従来チタニア系フラックス入りワイヤの溶
滴移行現象を高速度カメラ撮影試験などで詳細に観察す
ると、ワイヤと母材間でアークが発生、アーク上で
溶滴が揺動しながら次第に成長し、大きく形成された溶
滴が重力に抗しきれなくなった時点で、アークフレー
ム柱に沿って溶滴が落下し、母材と短絡して大粒スパッ
タを発生するという現象が観察された。しかし、比較的
高電流域(250A以上)では、溶滴がアーク柱の中で
形成され、低電流域で観察されたような大粒の溶滴には
ならずに、スムーズに母材へと移行する溶滴のスプレー
移行現象が観察された。低電流域における溶滴の大粒化
の要因としては、アーク発生点、アーク反力、溶滴の表
面張力、重力、アーク熱、ワイヤ溶融速度など種々挙げ
られるが、本発明者らは溶滴のサイズとワイヤ溶融速度
が適切にバランスしていないことが主たる要因であると
考え、「溶滴形成に対して最適なワイヤ溶融速度」があ
ることに着眼した。「ワイヤ溶融速度」は溶接電流、ワ
イヤ突出し長さ及びワイヤ径等の因子に支配されること
は周知である。しかし、本発明で主眼とした「溶滴形成
に対して最適なワイヤ溶融速度」というのは、「ワイヤ
溶融速度」の値そのものではなく、電流、ワイヤ突出し
長さ及びワイヤ径が固定された場合の溶滴形成とワイヤ
溶融速度のバランス化を図ることである。即ち、本発明
は、電流、ワイヤ突出し長さ及びワイヤ径以外の因子が
溶滴形成とワイヤ溶融速度とのバランスを図る上で、重
要であることを見いだし、この知見に基づいて本発明を
完成したものである。
【0011】一方、アーク物理現象の観点から、「ワイ
ヤ溶融速度」は、「アーク熱効果」と「ワイヤのジュー
ル熱効果」の和として表現される。更に「アーク熱効
果」は「溶接電流」及び「ワイヤ径」を因子とし、「ワ
イヤのジュール熱効果」は「溶接電流」、「ワイヤ突出
し長さ」、「ワイヤの直径」を因子としている。そこ
で,本発明者等は、前記「ワイヤ溶融速度」を表すため
の実験式として、パラメータを「溶接電流」、「ワイヤ
突出し長さ」、「ワイヤ径」とする前記数式1式を導入
した。ここで、前記数式1の第1項はワイヤ溶融に対す
る「アーク熱」の寄与を示しており、その係数Aの値は
主に「アークプラズマ温度」、「溶滴の保有熱量」など
に依存する。これらの個々の値を測定することは困難で
あるが、「アークプラズマ温度」は熱平衡状態にあるア
ークプラズマ中のイオン温度、電子温度、中性粒子温度
に支配され、従ってアーク中のイオン種、換言するとワ
イヤ化学成分の影響を受ける。また、「溶滴の保有熱
量」に関しても、ワイヤ化学成分の影響を受ける。
【0012】また、前記数式1の第2項は主にワイヤ溶
融に対する「ジュール発熱」による寄与を示し、その係
数Bの値は「ワイヤ性状」、「ワイヤの単位重量当たり
の熱容量及び熱伝導度」、「溶滴の保有熱量」等に依存
する。これらはワイヤのフラックス率、フラックスのか
さ密度、及び熱伝導率などが強く影響している。また、
係数Aに比べると、これらの因子に対するワイヤ化学成
分の寄与度は少ないものの、係数Bの影響は無視できな
い。
【0013】ここで、低電流域において溶滴を小粒化し
てアークの安定化を実現するために、即ち少ない投入エ
ネルギ(電流)でアークを安定して発生させるために、
融点又は分解温度が比較的低く、電位頻度が小さい化学
種、つまり、アーク中でのイオン化エネルギの小さい化
学種(Al、Mg、熱解難し易い化合物、又は弗化物
等)をフラックス原料に採用する。更に、直流正極性で
溶接するようにすることにより、溶滴先端からの電子の
放出を促し、前記化学種のアーク中へのイオン供給を速
やかにする。このようにして、溶滴のサイズとワイヤ溶
融速度とのバランスを図っている。そのとき、前記数式
1における係数AとBが、係数Aが1.0乃至4.5で
あり、係数Bが0.5乃至2.5となるように、ワイヤ
化学成分を調整することにより、低電流域における溶滴
が小粒化され、アークの安定性が高まり、スプレー的な
溶滴移行を実現することができる。
【0014】次に、前記数式1の係数A及びBの性質及
び数値限定理由について説明する。係数Aが1.0より
小さい場合は、アーク熱の効果が極めて小さいものとな
り、溶滴がほとんど形成されないため、逆にスムーズな
溶滴移行がなされない。また、係数Aが4.5より大き
い場合は、低電流域におけるアーク安定化の効果が不十
分となる。また、係数Bは主にジュール熱の効果を表
し、係数Bが0.5より小さい場合は、アーク直上に至
るまでワイヤ温度が十分に上がらず、アークに供給され
るイオン生成が遅れてアークが不安定となる。また、係
数Bが2.5より大きいと、外乱要因(ワイヤ表面のキ
ズ又は汚れ、ワイヤのキャスト等によるワイヤ表面とチ
ップとの通電点移動、ワイヤ突き出し長さの変化等)に
対して敏感に反応してワイヤのアーク発生点が上下する
ため、アーク安定性が劣化し、スパッタ発生が多くな
る。
【0015】次に、フラックス中への添加成分の添加理
由及び数値限定理由について説明する。
【0016】Ba化合物の総和 Ba化合物は、比較的低温で分解するものが多く、Ba
はイオン化エネルギが小さいため、直流正極性における
アーク安定性を高める。Ba化合物の添加量が、金属B
aの重量%に換算して0.3重量%より少ないと、その
効果がなく、5.0重量%より多いと逆にアーク安定性
を損なう。なお、Ba化合物としては、Baを含有し、
常温で安定な化合物であれば全て使用可能であるが、代
表的なものとしてBaF2、BaCO3等を挙げることが
できる。
【0017】Al Alは融点が低く、イオン化エネルギも小さいため、ア
ーク安定性を高める。Al含有量が0.5重量%より少
ないとアーク安定化の効果が少なく、Al含有量が4.
5重量%を超えると、ビード形状が劣化する。このた
め、Al含有量は0.5乃至4.5重量%、好ましく
は、1.5乃至4.0重量%とする。また、Alの含有
形態はフラックス中に限らず、炭素鋼製外皮に含有させ
ることも可能である。
【0018】Mg Mgのイオン化エネルギはそれほど小さくないものの、
融点が低いため、Mgはアーク安定性に寄与する。Mg
含有量が0.1重量%より少ないとこのアーク安定化の
効果が認められず、逆に2.0重量%より多いと逆にア
ークの安定性を損ね、ビード外観も劣化する。このた
め、Mg含有量は0.1乃至2.0重量%にするが、M
g添加量の好ましい範囲は0.3乃至1.5重量%であ
る。
【0019】なお、Al、Mg及びBa化合物は単独、
又は2種若しくは3種の複合添加でも構わないものの、
これら3種すべてを含有することで最良の効果が得られ
る。
【0020】ここで、前記数式1における係数A及びB
と、ワイヤ化学成分の関係については、Al、Mg及び
Ba化合物は概ね係数A及びBを減少させる傾向がある
ほかに、他の脱酸剤、スラグ造滓剤(酸化物、弗化物
等)とのバランス、電源極性及びワイヤ性状(フラック
ス率、炭素鋼製外皮の化学成分・電気抵抗など)の要因
が関与するため、一義的に表すことができないが、A
l、Mg及びBa化合物を適正量添加することで、概ね
コントロールできる。
【0021】次に、前記(b)について説明する。この
(b)に関しては、直流正極性を採用することにより、
前記(a)に加えて、更に次の効果が得られる。即ち、
溶接部近傍においてアーク熱によって気化した亜鉛蒸気
に電子が衝突することにより亜鉛原子のイオン化を促す
一方で、ワイヤ先端に形成されている溶滴に亜鉛の陽イ
オンが衝突することにより、溶滴のサイズが小粒にな
り、ワイヤ先端からの離脱が容易になって、低スパッタ
化に寄与する。
【0022】また、アークプラズマ状態を維持するため
には、陰極からの熱電子放出が必須であるが、直流逆極
性の場合は母材(陰極)表面に存在する亜鉛の沸点が低
く、熱電子放出温度に達する以前に気化するため、安定
した陰極点が形成されず、アークが不安定となり、アー
ク熱が効果的に母材表面に伝達されない。このため、亜
鉛の気化が阻害される。これに対し、直流正極性では、
母材が陽極になるため、安定したアーク熱が母材表面に
伝達され、効果的に溶接部の亜鉛を気化させることが可
能になる。更に、亜鉛めっき鋼板の溶接において適正な
ワイヤ溶融速度にすることは、前記(a)で述べたアー
ク安定化の効果に加えて、アーク熱により亜鉛を十分気
化させた後に溶接金属を形成することができるため、溶
融金属に侵入しようとする亜鉛蒸気を減少させる効果も
ある。また、強脱酸剤(Al、Mg)の添加により、溶
融金属の酸素含有量を低減させて溶融金属の粘性を高
め、気化した亜鉛に溶融金属が吹き飛ばされ難く、亜鉛
蒸気の溶融金属への侵入を阻害する。
【0023】Al及びMgは本願請求項1に規定した範
囲が有効であるが、更に、本願請求項2に記載のよう
に、Al+3Mgがワイヤ全重量に対して1.0乃至1
0重量%含有させることで、溶融金属の耐ピット性・耐
ブローホール性の向上に作用する。
【0024】以上述べた効果により、亜鉛めっき鋼板の
溶接において安定したアークを維持し、スパッタの発生
が少なく、耐欠陥性に優れた溶接金属が得られる。
【0025】そして、ワイヤ全重量に対してフラックス
中にBaF2を0.5乃至5.0重量%含有させること
により、低電流域から高電流域でのアーク安定性を更に
高めることができる。しかし、BaF2が0.5重量%
未満ではその効果がなく、5.0重量%を超えると逆に
アーク安定性を損なう。BaF2の最も好ましい添加範
囲は1.0乃至3.5重量%である。なお、この効果は
亜鉛めっき鋼板の溶接においても同等に作用する。
【0026】なお、前記Al、Mg以外の脱酸剤とし
て、適宜C、Mn、Si、Ti、Zr、Caなどをフラ
ックス及び/又は炭素鋼製外皮に含有させることができ
る。また、その他のフラックス成分として、フッ化物
(SrF2、CaF2など)又は酸化物(MgO、Fe2
3を主体とした鉄系酸化物など)を添加することがで
きる。但し、これらの添加は前記数式1の係数A及びB
の所定の範囲を逸脱しないような成分範囲とする必要が
ある。
【0027】本発明によるガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤは、シールドガスとして、炭酸ガス
の他に、アルゴンを主体とする混合ガス(Ar−CO2
混合ガス、Ar−O2混合ガス)又はヘリウムを主体と
する混合ガスが使用可能であるが、経済性の観点からは
炭酸ガスが望ましい。
【0028】また、フラックス入りワイヤとしては、例
えば図1(a)乃至(d)に示す種々の断面形状のもの
を使用できる。図1において、Mは鋼製外皮であり、F
はこの外皮に充填されたフラックスである。
【0029】
【実施例】次に、本発明の効果を実証するために、本発
明の実施例及び本発明の範囲からはずれる比較例の溶接
ワイヤについてその特性を評価した結果について説明す
る。下記表1に示す化学成分の炭素鋼製外皮(JIS
G 3141 SPCC−SD相当)を用いて、下記表
2に示す構成のガスシールドアーク溶接フラックス入り
ワイヤを製作した。ワイヤ溶融速度の測定は下記表3に
示す試験条件にて行い、ワイヤ溶融速度(g/se
c)、溶接電流(A)、ワイヤ突出し長さ(mm)、ワ
イヤ径(mm)を夫々測定し、前記数式1に適合するよ
うに係数A及びBを重回帰分析にて導出した。係数導出
の一例として、下記表2のNo.2のガスシールドアー
ク溶接用フラックス入りワイヤにおけるワイヤ溶融速
度、ワイヤ突出し長さ、ワイヤ径及び電流の測定データ
を下記表4に示す。なお、正確な値を得るためには、ワ
イヤ突出し長さ、溶接電流を夫々3水準(合計:3×3
=9種類)程度変化させた測定データが必要である。ま
た、ワイヤ化学成分が同一でワイヤ径の異なるものがあ
れば、それらのデータも含めるとより望ましい。なお、
ワイヤ溶融量の測定は、溶接時のワイヤ送給量、及びワ
イヤの単位長さ当たりの重量から算出している。
【0030】亜鉛めっき鋼板のガスシールドアーク溶接
試験条件を下記表5、評価結果を下記表6に示す。下記
表6の『アーク安定性』は低電流域(100乃至200
A)での評価であり、記号は夫々「◎:極めて良好」、
「○:良好」、「△:やや劣る」、「×:劣る」を表
す。『亜鉛めっき鋼板溶接性』−「耐ピット性」では溶
接長300mm当たりのピット発生数が、夫々「○:ゼ
ロ」、「△:1乃至2個」、「×:3個以上」を表す。
「ビード形状」は「◎:極めて良好」、「○:良好」、
「△:やや劣る」、「×:劣る」を表す。また、「−」
は評価していないことを示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】この表6に示すように、比較例9は、係数
Aの値が本発明で規定する上限値を上回っており、Ba
化合物、Al、Mgの含有量がいずれも本発明で規定す
る下限を下回っているため、低電流でのアーク安定性に
やや劣っており、亜鉛めっき鋼板の溶接においては、ス
パッタの発生が多く、ビード形状に劣り、耐ビット性も
劣っていた。また、比較例10は、係数Bの値及びMg
の含有量が本発明で規定する上限値を上回っているた
め、アークの安定性が劣っており、またビード形状に劣
っていた。従って、耐ビット性は判定していない。比較
例11は、係数AならびにBの値が本発明で規定する下
限を下回り、Al含有量が本発明で規定する上限を上回
っているため、アーク安定性がやや劣り、溶滴の移行が
スムーズでなく、ビード形状もやや劣っていた。比較例
12はBa化合物の含有量が本発明で規定する上限値を
上回っているため、アークの安定性に劣っていた。比較
例13は、直流逆極性を採用している上に、係数Aの値
が本発明で規定する上限値を上回っており、Ba化合
物、Al、Mgの含有量がいずれも本発明で規定する下
限を下回っているため、アーク安定性に劣り、亜鉛めっ
き鋼板の溶接においてはスパッタの発生著しく、溶接ビ
ードが吹き飛ばされて、まともな溶接ビードを得ること
ができなかった。従って、耐ビット性は評価していな
い。
【0038】これに対して、本発明の実施例1乃至8
は、いずれも低電流でのアーク安定性及び亜鉛めっき鋼
板の溶接に関して良好な結果が得られている。中でも、
実施例1、2,4乃至7は、請求項3を満足しているた
め、アーク安定性が極めて良好であり、更に亜鉛めっき
鋼板の溶接性にも優れた結果が得られた。また、実施例
8は請求項2を満足しているため、亜鉛めっき鋼板の溶
接において良好な結果が得られた。実施例3は請求項1
のみを満足するものであり、実施例1,2,4乃至8と
比較してアーク安定性と亜鉛めっき鋼板の耐ピット性が
若干劣るものの、合格範囲にはある。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る亜鉛
めっき鋼板用ガスシールドアーク溶接用フラックス入り
ワイヤを使用すると、低電流域においても溶滴が小粒で
あり、優れたアーク安定性を示し、良好な作業性が得ら
れ、亜鉛めっき鋼板の溶接においてもスパッタの発生が
少なく、耐ビット性及び耐ブローホール性が優れた溶接
を行うことができ、この亜鉛めっき鋼板の溶接分野にお
いて溶接ビードの手直し及びめっき層の除去等の作業工
数を低減することができ、溶接の高能率化に貢献するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるフラックス入りワイヤの断面形
状の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
M:炭素鋼製外皮 F:フラックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内山 肇 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (56)参考文献 特開 平2−55696(JP,A) 特開 平10−180487(JP,A) 特開 平9−206945(JP,A) 特開 平5−228691(JP,A) 特開 平4−294869(JP,A) 特公 昭63−57155(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/368 B23K 9/23 B23K 35/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素鋼製外皮にフラックスを充填してな
    り、直流正極性(ワイヤマイナス)にてガスシールドア
    ーク溶接を行うとき、単位時間当たりのワイヤ溶融量を
    Wn(g/sec)、そのときの溶接電流をI(A)、
    ワイヤ突き出し長さをL(mm)、ワイヤの直径をd
    (mm)としたとき、Wn(g/sec)が下記式を満
    足し、式の右辺第1項の係数Aが1.0乃至4.5、右
    辺第2項の係数Bが0.5乃至2.5であり、且つワイ
    ヤ全重量に対する重量%でフラックス中に、Ba化合物
    の総和:(金属Baの重量%に換算して)0.3乃至
    5.0重量%、Al:0.5乃至4.5重量%及びM
    g:0.1乃至2.0重量%からなる群から選択された
    少なくとも1種の成分を含有し、直流正極性で使用する
    ことを特徴とする亜鉛めっき鋼板溶接用ガスシールドア
    ーク溶接用フラックス入りワイヤ。 Wn=A×10-9×I/π((d/2)×10-32
    B×10-1×I2×π((d/2)×10-32×L
  2. 【請求項2】 ワイヤ全重量に対して、フラックス中
    に、BaF2を0.5乃至5.0重量%含有し、Al及
    びMgをAl+3Mg:1.0乃至10.0重量%とな
    るように含有することを特徴とする請求項1に記載の亜
    鉛めっき鋼板溶接用ガスシールドアーク溶接用フラック
    ス入りワイヤ。
  3. 【請求項3】 ワイヤ全重量に対して、フラックス中
    に、BaF2:1.0乃至3.5重量%、Al:1.5
    乃至4.0重量%、Mg:0.3乃至1.5重量%を含
    有することを特徴とする請求項1又は2に記載の亜鉛め
    っき鋼板溶接用ガスシールドアーク溶接用フラックス入
    りワイヤ。
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