JP3508463B2 - 焼結含油軸受 - Google Patents

焼結含油軸受

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JP3508463B2 JP11488597A JP11488597A JP3508463B2 JP 3508463 B2 JP3508463 B2 JP 3508463B2 JP 11488597 A JP11488597 A JP 11488597A JP 11488597 A JP11488597 A JP 11488597A JP 3508463 B2 JP3508463 B2 JP 3508463B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸受部材(多孔質
部材)に潤滑油を含浸させて、軸受孔に挿通される回転
軸との潤滑を好適に行うことができる焼結含油軸受に関
する。
【0002】
【従来の技術】多孔質状の焼結合金により形成され、潤
滑油を含浸させて使用される焼結含油軸受は、無給油で
長時間使用できることから、各種機器の回転軸の軸受と
して広く用いられている。
【0003】この種の焼結含油軸受は、多孔質状の焼結
合金により形成された軸受本体に軸受孔が設けられたも
のであり、この軸受孔に、軸受孔より小径の回転軸が挿
通されて用いられる。そして、この焼結含油軸受は、回
転軸の回転に伴うポンプ作用によって軸受本体の多数の
細かい空孔(含油孔)より吸い出された潤滑油と、摩擦
熱に起因する膨張によって滲出した潤滑油とが、回転軸
との摺動部分において油膜を形成するため、この油膜に
より回転軸を焼き付け等の支障なく支持できるように構
成されている。
【0004】ところで、この焼結含油軸受には、図5に
示すように、スピンドルモータなどの回転軸101を上
下2カ所で軸受けするタイプの焼結含油軸受102があ
る。この焼結含油軸受102は、筒状部材103の中
に、多孔質状の焼結合金により環状に形成された2個の
軸受部材104、104aを、離間する2カ所に嵌め込
んで固定し、これら軸受部材104、104aの2カ所
の内周面で回転軸101を軸受けするものである。
【0005】ただし、このような上下2カ所で回転軸1
01を軸受けするタイプでは、この回転軸101の下方
が駆動側、上方が負荷側である場合、上方に位置する軸
受部材104と回転軸101との間において潤滑油の消
費量が多くなってしまう。従って、上方の軸受部材10
4に対して下方の軸受部材104aから適宜潤滑油を供
給できれば、軸受部材104における早期の油切れを回
避でき、潤滑作用の永続性を確保できるものとなり好ま
しい。
【0006】そのため、従来では、図6に示すような焼
結含油軸受105が提案されている。この焼結含油軸受
105は、いわゆるツインメタルと呼ばれるものであ
り、回転軸101に対する摺動部107、107aが軸
受本体106の離間した2カ所に形成されるように、多
孔質状の焼結合金により一体成形されたものである。こ
れにより、上方の摺動部107で潤滑油が減少した場合
には、下方の摺動部107a付近に含浸されている潤滑
油が軸受本体106内における毛細管現象によって上方
に移動し、上方の摺動部107に適宜潤滑油が供給され
ることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図6に
示す焼結含油軸受105では、摺動部107、107a
のそれぞれと回転軸101の外周面との間に潤滑用の油
膜が形成され、かつ摺動部107、107aが軸受本体
106と一体成形されていることから、これら摺動部1
07、107aで挟まれた空間は閉塞された状態となっ
ている。従って、この空間内の空気が回転軸101の回
転に伴う熱によって膨張すると、摺動部107、107
aと回転軸101との隙間から排出され、この空気とと
もに油膜も外側に押し出されることから、摺動部107
表面等での油量を減少させてしまい、十分な潤滑効果を
得ることができないといった問題点を有している。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、回転軸を複数箇所で軸受けする場合におい
て、一の軸受部材で減少する油量を他の軸受部材から適
宜供給できることは勿論、軸受部材間に挟まれた空間の
空気を確実に外部に放出できるようにして潤滑作用の永
続性を確保できるようにした焼結含油軸受を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、か
かる目的を達成するために、請求項1に係る焼結含油軸
受は、多孔質状の焼結合金により形成され、かつ回転軸
を挿通させる軸受孔が設けられた軸受部材が、筒状部材
の中に少なくとも2個嵌め込まれて互いの軸受孔を離間
させた状態で固定されてなる焼結含油軸受であって、前
記軸受部材の中、少なくとも一つは、前記軸受孔より内
径が拡げられかつ前記筒状部材の長手方向に延びる拡径
部が設けられるとともに、この拡径部の端部を他の軸受
部材に当接させるようにして設置され、前記軸受部材同
士の当接部分、及び当該軸受部材外周面と筒状部材内周
面との間にわたって、前記拡径部の内側空間と外部とを
連通させる通路部が設けられることを特徴とする。
【0010】請求項2に係る焼結含油軸受は、前記筒状
部材に固定される2個の前記軸受部材のそれぞれに前記
拡径部が設けられ、かつ互いの当該拡径部の端部同士を
当接させるようにしたことを特徴とする。請求項3に係
る焼結含油軸受は、前記通路部は、前記拡径部の当接面
に設けられた第1溝部と、これに続くように前記軸受部
材の外周面に設けられた第2溝部とで構成されることを
特徴とする。請求項4に係る焼結含油軸受は、前記第1
溝部の端部と第2溝部の端部とをずらして設定するとと
もに、両者間を、前記拡径部の端部外周に設けられたテ
ーパ部で接続するようにしたことを特徴とする。
【0011】このように、請求項1に係る焼結含油軸受
は、少なくとも一の軸受部材に設けられた拡径部が他の
軸受部材に当接しているため、一の軸受部材で含浸して
いる油量が減少しても、当接部分を介した毛細管現象に
より他の軸受部材から潤滑油を供給することが可能とな
っている。従って、油量の減少が激しい軸受部材に潤滑
油を供給できるため、潤滑作用の永続性を確保すること
が可能となる。さらに、通路部によって拡径部の内側空
間と外部とが連通されているため、この内側空間内部の
空気が膨張しても通路部から適宜外部に排出され、軸受
孔と回転軸との間に形成されている油膜を空気が押し出
してしまうことがなく、安定した潤滑状態を維持できる
ようにしている。
【0012】請求項2に係る焼結含油軸受は、2個の軸
受部材のそれぞれに拡径部を設け、かつ互いの拡径部の
端部同士を当接させるため、それぞれの軸受部材として
同一形状のものを用いることができ、軸受部材の製造コ
ストを低減させることが可能となる。さらに、拡径部内
側空間は、上下略中央部分に通路部の開口部分が位置す
るため、この内側空間の空気を効率よく外部に排出する
ことが可能となる。請求項3に係る焼結含油軸受は、通
路部として、拡径部の当接面に設けられた第1溝部と、
これに続くように軸受部材の外周面に設けられた第2溝
部とで構成されるため、拡径部の内側空間と外部とを確
実に連通しつつも、筒状部材に何ら加工する必要がな
く、製造コストの低減を図ることが可能となる。請求項
4に係る焼結含油軸受は、拡径部の端部を他の軸受部材
に当接させた際、テーパ部によって筒状部材内に環状の
通路が確保されており、この通路を用いることによって
第1溝部の端部と第2溝部の端部とをずらして設けてい
るため、第2溝部の数が第1溝部より多い場合でも空気
の流れが各第2溝部に適宜分配され、この通路部を通過
する空気を効率良く外部に排出させることが可能とな
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
〜図4を参照して説明する。図1は、本発明に係る焼結
含油軸受の実施の形態を示すものであり、符号1は矢印
方向に回転する回転軸、符号2は焼結含油軸受をそれぞ
れ示している。この焼結含油軸受2は、真鍮製の筒状部
材3の中に、2個の軸受部材4、10が嵌め込まれてそ
れぞれ固定されることにより構成されている。
【0014】軸受部材4、10は、多孔質状の焼結合金
により形成され、かつ回転軸1が挿通される軸受孔5、
11がそれぞれ形成された筒状の一体成形型品である。
従って、軸受部材4、10内には多数の空孔を有してお
り、軸受孔5、11の内周面においても空孔が開口した
状態となっている。そして、軸受部材4、10内の空孔
には潤滑油が保持され、回転軸1と摺接する軸受孔5、
11それぞれの周面からこの潤滑油を適宜取り出して、
回転軸1と軸受孔5、11との間に油膜を形成させるよ
うにしている。
【0015】また、軸受部材4は、図1に示すように、
軸受孔5より内径を拡大し、かつ筒状部材3の長手方向
に延びる拡径部6が設けられている。この拡径部6は、
多孔質状の焼結合金により軸受部材4と一体成形されて
おり、その空孔には潤滑油を保持しつつ、軸受孔5の周
面まで毛細管現象により適宜潤滑油を送ることができる
ものである。なお、拡径部6の内径が軸受孔5の内径よ
り大きいため、拡径部6内周面が回転軸1と摺動するこ
とはなく、回転軸1外周面との間に空隙が生じた状態と
なっている。
【0016】さらに、図2(a)、(b)に示すよう
に、軸受部材4は、拡径部6の先端面外周にテーパ部
(通路部)7が形成されるとともに、この拡径部6の先
端面には、軸線を挟んだ対象位置に放射方向の二つの第
1溝部(通路部)8が設けられ、これら第1溝部8とテ
ーパ部7とを接続させるようにしている。また、拡径部
6外周面には、周方向を略等分する四箇所に軸線方向の
第2溝部(通路部)9が設けられ、これら第2溝部9と
テーパ部7とを接続させるようにしている。なお、第1
溝部8と第2溝部9との位置関係は、図2(a)のよう
に、両者がずれた状態となるように設定されている。
【0017】軸受部材10は、軸受部材4と同一部材が
用いられている。従って、拡径部12や、テーパ部1
3、第1溝部14、第2溝部15の形態は、それぞれ軸
受部材6の拡径部6、テーパ部7、第1溝部8、第2溝
部9の形態と同一であり、空孔に潤滑油を保持する点も
勿論同様である。また、第1溝部14と第2溝部15と
の位置関係も、図2(a)に示す軸受部材4と同様に、
両者がずれた状態となるように設定されている。
【0018】これら軸受部材4、10の製造方法を説明
すると、数種類の金属等の粉末を混合して調整したもの
を原料粉末とし、この原料粉末を所定の金型で加圧成形
した圧粉体をさらに焼結して焼結体を得、この焼結体に
所定のサイジングを施す、といった手順で作製される。
なお、拡径部6、12の先端面、及びこれとは反対側の
端面は、それぞれバニシングが施される。
【0019】続いて、これら軸受部材4、10は、図1
に示すように、筒状部材3の中で、互いの拡径部6、1
2の先端面を当接(密着)させた状態で固定されてい
る。これにより、軸受孔5、11を互いに離間させつつ
も、軸受部材4と10とは、毛細管現象によって接続さ
れた状態となり、含浸されている潤滑油を他方の軸受部
材へ送ることができるようにしている。なお、軸受孔
5、11同士の離間長さは、拡径部6、12の長さに対
応させて任意に設定できる。
【0020】さらに、筒状部材3として、軸受部材4と
同様の焼結合金により形成してもよく、この場合、筒状
部材3においても潤滑油を含浸でき、しかも両者間が毛
細管現象により接続されることから、軸受孔5への潤滑
油の供給量を増加させることができ、潤滑作用の永続性
に資することが可能となる。なお、筒状部材3への軸受
部材4、10の固定手段として、圧入法が用いられてい
るが、これに限定するものではなく、接着やビス止め等
の他の固定手段を用いるようにしてもよい。
【0021】また、拡径部6、12の先端同士が突き合
わされることにより、これら拡径部6、12の内側に
は、拡径部6、12内周面と回転軸1外周面との間に挟
まれた空間(以下、単に内側空間という)が形成されて
いる。さらに、拡径部6、12の先端同士が突き合わさ
れた状態では、筒状部材3内においてテーパ部7、13
によって環状の通路が形成された状態となっている。
【0022】そして、拡径部6、12の先端面にそれぞ
れ形成された第1溝部8、14及び軸受部材4、10外
周面にそれぞれ形成された第2溝部9、15が上記した
テーパ部7、13による通路に接続されることにより、
内側空間と外部とを連通する通路部が形成される。従っ
て、この内側空間の空気は、この通路部を通って外部に
放出可能な状態となるため、かかる内側空間が暖められ
ても、適宜空気を排出することにより、膨張圧を逃がす
ことができるようにしている。また、軸受部材4に設け
られた第1溝部8等によって通路部が形成されるため、
筒状部材3には何ら加工を施す必要がない。
【0023】なお、内側空間と外部とを連通させる通路
部が形成できればよいため、軸受部材4、10のいずれ
かによって通路部が確保されるようにしてもよい。例え
ば、軸受部材4としては図2に示すものを用いる一方、
軸受部材10としては、拡径部12は持つものの、テー
パ面13、第1溝部14、第2溝部15を設けないもの
を用いるようにしてもよい。なお、軸受部材4、10と
して同一のものを用いることにより、軸受部材の製造ラ
インを単一化でき、製造コストの面で有利となる。
【0024】また、内側空間と外部とを連通する通路部
が形成されるため、筒状部材3中にこれら軸受部材4、
10を嵌め込むときに、この内側空間が圧縮されて軸受
部材4、10に含浸している潤滑油を外方に押し出して
しまうことがなく、焼結含油軸受2の製造段階で含浸油
量が減少してしまうことを回避することができる。さら
に、軸受部材4、10の両者に拡径部6、12を設け、
これらの先端同士を突き合わせることにより、内側空間
からの出口部分をこの内側空間の略中央に設定してい
る。
【0025】なお、図2に示すように、第1溝部8を二
箇所、第2溝部9を四箇所に形成し、これらの位置関係
をずらして設定した場合でも、第1溝部8を通過した空
気は、テーパ部7によって形成された環状の通路によっ
て各第2溝部9に適宜分配されることになり、これによ
り内側空間からの空気の排出を効率よくスムーズに行う
ことができるようにしている。
【0026】ただし、第1溝部8と第2溝部9とをテー
パ部7で接続することに限定されず、第1溝部8と第2
溝部9とを直接接続させるようにしてもよい。すなわ
ち、内側空間から外部への通路部が形成されるものであ
れば、その形態は任意であり、第1溝部8や第2溝部9
の形成位置や形成個数は任意に設定できる。
【0027】続いて、この焼結含油軸受2の使用状態に
ついて説明すると、回転軸1が摺動する軸受孔5、11
の周面からは、回転軸1の回転によるポンプ作用によっ
て潤滑油が吸い出され、回転軸1と軸受孔5、11との
間に油膜が形成される。そして、長時間の使用によっ
て、潤滑油が消費されることにより、各軸受部材4、1
0(拡径部6、12を含む)内に含浸されている潤滑油
が順次軸受孔5、11の周面に吸い出されて、油膜の油
圧低下を防止し、潤滑作用を継続させるようにしてい
る。なお、拡径部6、12は、その内径が軸受孔5、1
1より大きいため、回転軸1の回転によるポンプ作用の
影響を受けず、ここから潤滑油が吸い出されることはな
い。
【0028】また、回転軸1が、図1の下方を駆動側、
上方を負荷側として回転している場合では、上方に位置
する軸受部材4の軸受孔5との間において潤滑油の消費
量が多くなる。従って、軸受部材4の油量が減少したと
きには、拡径部6、12同士が当接していることによ
り、軸受部材10(拡径部12)に含浸している潤滑油
が毛細管現象によって軸受部材4に送られる。逆に、軸
受部材10の油量が減少したときには、軸受部材4から
潤滑油が送られることになる。すなわち、潤滑油の消費
量が多い軸受部材に対して他の軸受部材から適宜潤滑油
が供給されるため、全体として潤滑作用の永続性を確保
することができる。
【0029】なお、回転軸1が回転することにより、内
側空間内の空気が暖められて膨張するが、この内側空間
の空気は、第1溝部8、14からテーパ部7、13に沿
った通路を通り、さらに第2溝部9、15を通って外部
に排出される。なお、内側空間の空気が冷やされると、
これとは逆に、外部から内側空間に空気が入り込むよう
にしている。従って、内側空間の温度変化に応じて、通
路部により内側空間への空気の流入・流出が可能である
ため、内側空間内の圧力変化によって、含浸した潤滑油
が不必要に漏出することを防止することができる。
【0030】図3及び図4は、本発明に係る焼結含油軸
受の、他の実施の形態を示すものである。なお、筒状部
材3は、図1に示すものと同様である。図3に示す焼結
含油軸受16は、筒状部材3内に、互いに形態の異なる
軸受部材17、21を嵌め込んで固定したものである。
軸受部材17は、多孔質状の焼結合金により形成され、
かつ回転軸1が挿通される軸受孔18が形成されたリン
グ状の一体成形型品である。従って、軸受部材17内の
多数の空孔に潤滑油が保持される点は、図1の軸受部材
4と同様である。
【0031】但し、図1に示す軸受部材4のような拡径
部6が設けられたものではない。また、軸受部材17
は、一方の先端面外周にテーパ部19が形成されるとと
もに、外周面には軸線方向の溝部20が設けられ、これ
ら溝部20とテーパ部19とを接続させるようにしてい
る。
【0032】一方、軸受部材21には、拡径部23が設
けられている。この拡径部23は、図1に示す軸受部材
4の拡径部6より長手方向に長く設けられたものであ
り、多孔質状の焼結合金で一体成形される点は拡径部6
と同様である。さらに、軸受部材21は、拡径部23の
先端面外周に形成されたテーパ部(通路部)24と接続
するように、拡径部23先端面に第1溝部(通路部)2
5を、軸受部材21外周面に第2溝部26をそれぞれ設
けている。
【0033】そして、これら軸受部材17、21は、図
3に示すように、筒状部材3の中で、軸受部材17に拡
径部23の先端面を当接(密着)させた状態で固定され
ている。従って、軸受部材17と21とでは、毛細管現
象によって接続された状態となる。また、拡径部23の
内側には、図1と同様に内側空間が形成されるが、第1
溝部25、テーパ面24に沿った通路、第2溝部26か
らなる通路部によって、内側空間と外部とが連通されて
いる。
【0034】この焼結含油軸受16が使用された際、軸
受部材17、21のいずれか一方の油量が減少したとき
には、両者が当接していることによって他方の軸受部材
から毛細管現象により潤滑油が送られる。これにより、
潤滑油の消費量が多い軸受部材に対して他の軸受部材か
ら適宜潤滑油が供給されるため、潤滑作用の永続性を確
保することができる。なお、このような図3の形態の他
に、例えば軸受部材17に、長さが短い拡径部を設け、
拡径部同士を筒状部材3内で突き合わせるようにしても
よい。
【0035】図4に示す焼結含油軸受27は、図1に示
す軸受部材4、10の双方が用いられるが、軸受部材4
を逆向きとして筒状部材3に固定したものである。すな
わち、軸受部材10の拡径部12の先端は、軸受部材4
の軸受孔5側の端面に当接した状態となっている。その
結果、軸受孔5、12の離間距離を短くしつつも、図1
と同様の潤滑油含浸量が確保されている。
【0036】なお、毛細管現象によって軸受部材4、1
0間を潤滑油が送られる点や、軸受部材10において、
第1溝部14、テーパ部13に沿った通路、第2溝部1
5からなる通路部によって、内側空間と外部とが連通さ
れている点は、図1に示すものと同様である。
【0037】また、図1、図3、図4に示すように、2
個の軸受部材を筒状部材3に固定することに限定され
ず、3個以上の軸受部材を筒状部材3内に固定し、潤滑
油含浸量の増加を図るようにしてもよい。例えば、長尺
の筒状部材を用いて、その中に図1と同様の形態で軸受
部材4、10を固定し、さらに、軸受部材10の下側に
図3に示す軸受部材21を接続して、合計3個の軸受部
材を固定するものであってもよい。この場合、内側空間
が複数生じるが、それぞれに対して外部との通路部が形
成されることは勿論である。
【0038】
【発明の効果】以上説明したとおり、請求項1に係る焼
結含油軸受は、少なくとも一の軸受部材に設けられた拡
径部が他の軸受部材に当接しているため、一の軸受部材
で含浸している油量が減少しても、当接部分を介した毛
細管現象により他の軸受部材から潤滑油を供給すること
ができる。これにより、油量の減少が激しい軸受部材に
適宜潤滑油を供給できるため、潤滑作用の永続性を確保
することができる。さらに、通路部によって拡径部の内
側空間と外部とが連通されているため、この内側空間内
部の空気が膨張しても通路部から適宜外部に排出され、
軸受孔と回転軸との間に形成されている油膜を空気が押
し出してしまうことがなく、安定した潤滑状態を維持す
ることができる。
【0039】請求項2に係る焼結含油軸受は、2個の軸
受部材のそれぞれに拡径部を設け、かつ互いの拡径部の
端部同士を当接させるため、それぞれの軸受部材として
同一形状のものを用いることができ、軸受部材の製造コ
ストを低減させることができる。請求項3に係る焼結含
油軸受は、通路部として、拡径部の当接面に設けられた
第1溝部と、これに続くように軸受部材の外周面に設け
られた第2溝部とで構成されるため、拡径部の内側空間
と外部とを確実に連通しつつも、筒状部材に何ら加工す
る必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。
請求項4に係る焼結含油軸受は、拡径部の端部を他の軸
受部材に当接させた際、テーパ部によって筒状部材内に
環状の通路が確保されており、この通路を用いることに
よって第1溝部の端部と第2溝部の端部とをずらして設
けているため、第2溝部の数が第1溝部より多い場合で
も空気の流れが各第2溝部に適宜分配され、この通路部
を通過する空気を効率良く外部に排出させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る焼結含油軸受の実施の形態を示
す断面図である。
【図2】 図1に示す軸受部材の、(a)は平面図、
(b)は縦断面図である。
【図3】 焼結含油軸受の、他の実施形態を示す断面図
である。
【図4】 焼結含油軸受の、他の実施形態を示す断面図
である。
【図5】 従来の、焼結含油軸受の実施の形態を示す断
面図である。
【図6】 従来の、他の焼結含油軸受の実施の形態を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 回転軸 2、16、27 焼結含油軸受 3 筒状部材 4、10、17、21 軸受部材 5、11、18、22 軸受孔 6、12、23 拡径部 7、13、24 テーパ部(通路部) 8、14、25 第1溝部(通路部) 9、15、26 第2溝部(通路部)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−75443(JP,A) 特開 平8−109923(JP,A) 特開 昭62−155323(JP,A) 特開 昭61−241519(JP,A) 実開 平5−55758(JP,U) 実開 昭49−1741(JP,U) 実公 昭45−5289(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16C 33/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質状の焼結合金により形成され、か
    つ回転軸を挿通させる軸受孔が設けられた軸受部材が、
    筒状部材の中に少なくとも2個嵌め込まれて互いの軸受
    孔を離間させた状態で固定されてなる焼結含油軸受であ
    って、 前記軸受部材の中、少なくとも一つは、前記軸受孔より
    内径が拡げられかつ前記筒状部材の長手方向に延びる拡
    径部が設けられるとともに、この拡径部の端部を他の軸
    受部材に当接させるようにして設置され、 前記軸受部材同士の当接部分、及び当該軸受部材外周面
    と筒状部材内周面との間にわたって、前記拡径部の内側
    空間と外部とを連通させる通路部が設けられることを特
    徴とする焼結含油軸受。
  2. 【請求項2】 前記筒状部材に固定される2個の前記軸
    受部材のそれぞれには前記拡径部が設けられ、かつ互い
    の当該拡径部の端部同士を当接させるようにしたことを
    特徴とする請求項1記載の焼結含油軸受。
  3. 【請求項3】 前記通路部は、前記拡径部の当接面に設
    けられた第1溝部と、これに続くように前記軸受部材の
    外周面に設けられた第2溝部とで構成されることを特徴
    とする請求項1又は2記載の焼結含油軸受。
  4. 【請求項4】 前記第1溝部の端部と第2溝部の端部と
    をずらして設定するとともに、両者間を、前記拡径部の
    端部外周に設けられたテーパ部で接続するようにしたこ
    とを特徴とする請求項3記載の焼結含油軸受。
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