JP3500235B2 - アクリルインサートフィルムとアクリルインサート成形品の製造方法 - Google Patents

アクリルインサートフィルムとアクリルインサート成形品の製造方法

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JP3500235B2 JP24884895A JP24884895A JP3500235B2 JP 3500235 B2 JP3500235 B2 JP 3500235B2 JP 24884895 A JP24884895 A JP 24884895A JP 24884895 A JP24884895 A JP 24884895A JP 3500235 B2 JP3500235 B2 JP 3500235B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、家具用表面材、
建築用内外装材、キャビネット用表面材、キッチン扉用
内装材、自動車内装部品などとして用いる材料に、木目
柄などの図柄を形成してインサート成形品を製造するた
めに使用するアクリルインサートフィルムと、このイン
サートフィルムを用いたアクリルインサート成形品の製
造方法に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、木目柄などの図柄が形成された自
動車内装部品などとして用いる材料には、インサート成
形法によって得られたインサート成形品がある。インサ
ート成形法とは、アクリルフィルム基体に木目柄インキ
層などの図柄インキ層を印刷したインサートフィルム
を、射出成形用金型内に配置し、インサートフィルムを
加熱し、型閉めした後に溶融樹脂を金型内に射出し、樹
脂を固化させることにより、アクリルインサートフィル
ムのインキ層側を樹脂成形品に接着する方法である。
【0003】アクリルフィルム基体を用いる理由は、ア
クリルフィルムがインキにとって有害な光線を通過させ
にくい分子構造であるため、PETフィルムなどに比
べ、優れた耐光性を有するからである。「耐光性」が優
れていることによる有利な点は、例えば、自然光や室内
光が図柄インキ層に直接当たることによって生じる図柄
インキ層の退色や損傷を有効に抑えることができる点で
ある。また、アクリルフィルムは、低い温度でも変形
(伸長)するものであるため、PETフィルムなどに比
べ、インサートフィルム全体としての加工性が優れてい
るものである。「加工性」が優れていることによる有利
な点は、例えば、射出成形用金型のキャビティ内面の形
状が、穴や溝などが数多く形成された凹凸のような複雑
な形状であったり、立ち上がりの深い凹部から成ってい
る形状であったとしても、アクリルフィルムを基体シー
トとして用いたインサートフィルムは、加熱や真空吸引
されることによって射出成形用金型のキャビティ内面の
複雑な形状や立ち上がりの深い形状どうりに変形し、射
出成形用金型のキャビティ内面の形状どうりの表面形状
を呈するインサート成形品を得ることができる点であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のアクリルインサ
ートフィルムの課題を以下に示す。アクリルフィルム
は、図柄インキ層を保護するためにインサート成形品の
最表面にくる。アクリルフィルムは、前記耐光性や加工
性が優れている反面、耐薬品性や耐汚染性が、PETフ
ィルムなどに比べて劣っているため、アクリルインサー
ト成形品が耐薬品性や耐汚染性に劣ったものとなってし
まう。例えば、整髪料の液体やアルコールがインサート
成形品に付着するとフィルム表面が柚肌となる場合や、
油性マジックインキがインサート成形品に付着すると強
固にこびり付いてしまって容易にふき取ることができな
くなる場合、塩化ビニルでできている免許証のケースを
インサート成形品上に置いておくと炎天下においては免
許証のケースが融着してインサート成形品にくっついて
しまって容易に剥がれにくくなってしまう場合など、種
々の不具合が生じる。
【0005】従来のアクリルインサート成形品の製造方
法の課題を以下に示す。アクリルフィルムは、加工性が
優れているため、射出成形用金型のキャビティ内面の形
状が、穴や溝などが数多く形成された凹凸のような複雑
な形状であったり、立ち上がりの深い凹部から成ってい
る形状であったとしても、それらの形状どうりに変形し
て密着する。そのため、従来のアクリルインサート成形
品の製造方法では、射出成形用金型のキャビティ内面の
形状の凹凸が激しいほど、また立ち上がりが深い凹部で
あるほど、アクリルインサート成形品のアクリルフィル
ムと金型との接触面積が大きくなり、アクリルインサー
ト成形品のアクリルフィルムのキャビティ内面への食い
込み箇所が多くなる。その結果、摩擦や引っ掛かりが多
く発生して、アクリルインサート成形品をキャビティか
ら取り出しにくくなり、生産効率が悪くなっていた。
【0006】この発明は上記の欠点を解決し、耐光性や
加工性が良好であるだけでなく、耐薬品性や耐汚染性も
良好であるアクリルインサートフィルムと、生産効率の
良好なアクリルインサート成形品の製造方法を提供する
ことを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上のような目的を達成
するために、この発明のアクリルインサートフィルム
は、請求項1に記載したように、アクリル樹脂を主成分
とする透明な基体シートの表面に、フッ素系共重合体樹
脂を有する透明なオーバーコート層が形成され、裏面に
図柄インキ層と接着層が順次形成された構成とした。
【0008】また、この発明のアクリルインサートフィ
ルムは、請求項2に記載したように、請求項1において
図柄インキ層が、木目層と不透明下地層からなる構成と
した。
【0009】また、この発明のアクリルインサートフィ
ルムは、請求項3に記載したように、アクリル樹脂を主
成分とする透明な第1基体シートの表面に、フッ素系共
重合体樹脂を有する透明なオーバーコート層が形成さ
れ、裏面に木目層、ラミネート接着剤層、アクリル樹脂
を主成分とする透明な第2基体シート、不透明下地層、
接着層が順次形成された構成とした。
【0010】この発明のアクリルインサート成形品の製
造方法は、請求項4に記載したように、この発明のアク
リルインサートフィルムを、射出成形用金型内に配置
し、アクリルインサートフィルムを加熱し、型閉めした
後に溶融樹脂を金型内に射出し、樹脂を固化させること
により、樹脂成形品にアクリルインサートフィルムを接
着する構成とした。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明のアクリルインサ
ートフィルムとアクリルインサート成形品の製造方法に
ついてさらに詳しく説明する。
【0012】この発明のアクリルインサートフィルム
は、アクリル樹脂を主成分とする透明な基体シート1の
表面に、フッ素系共重合体樹脂を有する透明なオーバー
コート層2が形成され、裏面に図柄インキ層(木目層
4、不透明下地層5)と接着層6が順次形成された物で
ある(図1)。
【0013】透明な基体シート1は、アクリル樹脂を主
成分とする透明な樹脂シートである。アクリル樹脂を主
成分とする透明な樹脂シートは、インキにとって有害な
光線を通過させにくい分子構造であるため、PETフィ
ルムなどに比べ、優れた耐光性を有するものである。
「耐光性」が優れていることによる有利な点は、例え
ば、自然光や室内光が図柄インキ層に直接当たることに
よって生じる図柄インキ層の退色や損傷を有効に抑える
ことができる点である。また、アクリル樹脂を主成分と
する透明な樹脂シートは、低い温度でも変形(伸長)す
るものであるため、PETフィルムなどに比べ、インサ
ートフィルム全体としての加工性が優れているものであ
る。「加工性」が優れていることによる有利な点は、例
えば、射出成形用金型7のキャビティ70内面の形状
が、穴や溝などが数多く形成された凹凸のような複雑な
形状であったり、立ち上がりの深い凹部から成っている
形状であったとしても、アクリル樹脂を主成分とする透
明な樹脂シートを基体シートとして用いたインサートフ
ィルムは、加熱や真空吸引されることによって射出成形
用金型7のキャビティ70内面の複雑な形状や立ち上が
りの深い形状どうりに変形し、射出成形用金型7のキャ
ビティ70内面の形状どうりの表面形状を呈するインサ
ート成形品を得ることができる点である。
【0014】アクリル樹脂を主成分とする透明な基体シ
ート1としては、ポリメタクリル酸メチルやポリメタク
リル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタク
リル酸ブチルなどの純粋なアクリル樹脂からなるアクリ
ルフィルムだけでなく、アクリル樹脂と他の樹脂(たと
えばフッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン
樹脂など)との共重合体からなる成分のフィルムや、ア
クリルフィルムと他のプラスチックフィルム(たとえば
フッ素フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビ
ニルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレン酢
酸ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルムなど)と
の積層フィルムなども含む。積層フィルムの積層方法
は、ダイレクトラミネート、ドライラミネートなどの各
種ラミネート法やヒートシール法による方法がある。二
軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリプロピレン
フィルムと純粋のアクリルフィルムとを積層して基体シ
ートとするときは、純粋のアクリルフィルムよりもフィ
ルムの伸びが悪いので、二軸延伸ポリエステルフィルム
や二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、純粋のアクリル
フィルムよりも比較的薄めのフィルムを使用するのが好
ましい。
【0015】基体シート1の厚みは、10μm〜500
μmであるが、十分な耐光性を得るためには50μm以
上が好ましい。また、十分な加工性を得るためには30
0μm以下が好ましい。良好な耐光性と良好な加工性と
を同時に有するための厚みとしては、メタクリル酸メチ
ルの場合は、125μm、200mなどがある。
【0016】オーバーコート層2に用いるフッ素系共重
合体樹脂は、メタクリル基を有するフッ素共重合体を指
す。その具体例としては、ポリビニリデンフルオリド−
メタクリル酸メチル共重合体、テトラフルオロエチレン
−メタクリル酸メチル共重合体、テトラフルオロエチレ
ン−メタクリル酸メチル共重合体、クロロトリフルオロ
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ヘキサフルオ
ロエチレン−メタクリル酸メチル共重合体、フルオロエ
チレン−メタクリル酸メチル共重合体、フルオロオレフ
ィン−メタクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。
なお、これらの樹脂にはポリイソシアネートやメラミン
樹脂などの架橋剤を添加することもできる。このオーバ
ーコート層2は、各種印刷法やコート法によって基体シ
ート1上に形成したインキ層であってもよいし、基体シ
ート1とフィルム状のオーバーコート層2とを共押し出
し法によって積層したものでもよい。オーバーコート層
は、0.5μm〜5μmの膜厚が好適である。印刷法と
しては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリー
ン印刷法、フレキソ印刷法などがある。コート法として
は、ロールコート法、スプレーコート法などがある。共
押し出し法の具体例としては、基体シート1を押出し機
より押出してフィルム状あるいはシート状の基体シート
に押出し成形すると同時に、オーバーコート層2を押出
し機より押出してフィルム状あるいはシート状のオーバ
ーコート層2を、基体シート1の表面に成形し、二層構
造のシート状物とするものである。
【0017】オーバーコート層2に用いるフッ素系共重
合体樹脂としては、例えば、メタクリレートモノマー単
位におけるフッ素含有量が、約5%〜約50%のものが
ある。メタクリレートモノマー単位におけるフッ素含有
量とは、(メタクリルレートモノマー中のフッ素のみの
重量)/(フッ素を含むメタクリルレートモノマー全体
の重量)の百分率のことを意味する。メタクリレートモ
ノマー単位におけるフッ素含有量が、約5%以下である
と、耐薬品性と耐汚染性の効果が十分得られなくなる。
メタクリルレートモノマー単位におけるフッ素含有量
が、約50%以上であると、オーバーコート層2の膜
が、アクリル樹脂を主成分とする透明な基体シート1に
はじかれ易くなったり、アクリル樹脂を主成分とする透
明な基体シート1からオーバーコート層2が簡単に剥が
れ易くなったりする。耐薬品性と耐汚染性の効果を十分
得るためには、特に、メタクリルレートモノマー単位に
おけるフッ素含有量が、30%〜40%である溶剤可溶
性のフッ素系共重合体が適している。
【0018】オーバーコート層2の膜厚は、テトラフル
オロエチレン−メタクリル酸メチル共重合体を例にとる
と、フッ素含有率が20%の場合は膜厚は2μm、フッ
素含有率が45%の場合は膜厚は0.7μmという設定
などがあるが、特に、フッ素含有率が35%の場合に膜
厚が1μmのものが、耐薬品性と耐汚染性の効果を十分
得ることができる。
【0019】図柄インキ層の図柄としては、木目柄、文
字、記号、数字などがある。以下、図柄インキ層の一例
として、木目層4と不透明下地層5とからなる木目図柄
層を説明する。図柄インキ層は、各種顔料や染料を用い
たり、パール粉やアルミ粉などを混入した光輝性顔料イ
ンキ層や金属蒸着層を用いて形成してもよい。
【0020】木目層4は、木材を切断したときの切り口
に現れる年輪、繊維、導管など木目模様を表現するため
の層である。具体的な木目模様としては、柾目の筋、板
目の曲線、条痕による断線などがある。木目層4は、塩
化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリアクリル、ポリウレタン、塩化ゴム、硝化綿な
どの熱可塑性樹脂をバインダーとして用い、木目模様の
色の染顔料を着色材として含有するものを用いて、茶色
や焦げ茶色、黄土色、赤茶色などから単一あるいは複数
色を選択する。木目層4は、オフセット印刷法、グラビ
ア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などの通
常の印刷法や、ロールコート法、スプレーコート法など
のコート法などにより形成する。あるいは、木目層4
は、天然の木目模様により近いものとするために、色濃
度あるいは膜厚を段階的あるいは連続的に変化させるよ
うにグラデーションをかけて、基体シート1の一部ある
いは全面に形成してもよい。木目層4の厚みは、0.5μ
m〜5μmの範囲内で調節する。
【0021】不透明下地層5は、木材を切断したときの
切り口に現れる木目以外の木地の色を表現した層であ
る。不透明下地層5は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合
体、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル、ポリウ
レタン、塩化ゴム、硝化綿などの熱可塑性樹脂をバイン
ダーとして用い、下地層の色の染顔料を着色材として含
有するものを用いて、茶色や焦げ茶色、黄土色、クリー
ム色、黄色、赤茶色などの色から単一あるいは複数色を
選択する。必要により、木目層4として選択する色より
濃色となるように選択してもよいし、淡色となるように
選択してもよい。不透明下地層5は、オフセット印刷
法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷
法などの通常の印刷法や、ロールコート法、スプレーコ
ート法などのコート法などにより形成する。不透明下地
層5の厚みは、2μm〜10μmが適当である。
【0022】接着層6は、アクリル樹脂、ウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エチレンブチ
ルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル・酢酸ビニル共重合体などを用いるとよい。
【0023】また、この発明のアクリルインサートフィ
ルムは、アクリル樹脂を主成分とする透明な第1基体シ
ート10とアクリル樹脂を主成分とする透明な第2基体
シート11とを有し、第1基体シート10の表面に、フ
ッ素系共重合体樹脂からなる透明なオーバーコート層2
が形成され、裏面に木目層4、ラミネート接着剤層3、
第2基体シート11、不透明下地層5と接着層6が順次
形成されたものである(図2)。この構成では、木目層
4と不透明下地層5とが、第2基体シート11を挟んで
離れているので、下地より木目が手前に浮き出たような
立体感のある木目柄を得ることができる点で有利であ
る。第1基体シート10および第2基体シート11は、
前記基体シート1と同様のものである。第1基体シート
10、木目層4、第2基体シート11の積層の仕方は、
例えば、木目層4を形成した第1基体シート10と、第
2基体シート11とをラミネート接着剤層3でラミネー
トして積層する。
【0024】また、この発明のアクリルインサート成形
品の製造方法は、前記アクリルインサートフィルムを使
用して、インサート成形法にて製造するものである。つ
まり、前記アクリルインサートフィルムを射出成形用金
型内に配置し、型閉めした後に溶融樹脂を金型内に射出
し、樹脂を固化させることにより、樹脂成形品にアクリ
ルインサートフィルムを接着するものである(図3、
4、5)。
【0025】この製造方法に用いられる射出成形用金型
7は、可動型と固定型とからなる。射出成形用金型内に
アクリルインサートフィルムを配置する際、枚葉のアク
リルインサートフィルムを1枚づつ送り込んで配置して
もよいし、長尺のアクリルインサートフィルムの必要部
分を間欠的に送り込んで配置してもよい。長尺のアクリ
ルインサートフィルムを使用する場合、位置決め機構を
有する送り装置を使用して、アクリルインサートフィル
ムの図柄層と成形用金型との見当が一致するようにする
とよい。また、アクリルインサートフィルムを間欠的に
送り込んで配置する際に、アクリルインサートフィルム
の位置をセンサーで検出した後にアクリルインサートフ
ィルムを可動型と固定型とで固定するようにすれば、常
に同じ位置でアクリルインサートフィルムを固定するこ
とができ、図柄インキ層の図柄の位置ずれが生じないの
で便利である。アクリルインサートフィルムを配置した
後、真空吸引や加熱などによりアクリルインサートフィ
ルムを可動型の凹部(凹部のことを「キャビティ」とも
いう場合もある。)の内面に密着させる。その後、射出
成形用金型を閉じ、キャビティ70を形成する(図
3)。固定型に設けた射出口8より溶融樹脂9をキャビ
ティ70に射出充満させ、樹脂を固化させ、樹脂成形品
12を形成するのと同時にその面にアクリルインサート
フィルムを接着させる。樹脂成形品12を冷却した後、
成形用金型を開いて樹脂成形品を取り出す。このように
して、アクリルインサート成形品を得ることができる。
【0026】
【実施例】基体シートとして、200μmの厚みのメタク
リル酸メチルフィルムを用いた。基体シートの表面に、
フッ素含有率30%のフッ素置換ポリメタクリル酸メチ
ル樹脂からなるオーバーコート層をグラビア印刷法で形
成した。基体シートの裏面に、ポリ塩化ビニル樹脂から
なる樹脂バインダーと、茶色顔料とからなる木目層(重
量%:樹脂バインダー/顔料=60/40)をグラビア
印刷法で形成した。木目層上に、ポリ塩化ビニル樹脂か
らなる樹脂バインダーと墨色顔料とからなる不透明下地
層(重量%:樹脂バインダー/顔料=60/40)を、
グラビア印刷法で形成した。不透明下地層上に、塩化ビ
ニル酢酸ビニル共重合体樹脂からなる接着層をグラビア
印刷法で形成し、木目柄のアクリルインサートフィルム
を得た。
【0027】以上のようにして得た木目柄のアクリルイ
ンサートフィルムを、ギアボックスパネルを製造するた
めの可動型と固定型とからなる射出成形用金型内に配置
し、アクリルインサートフィルムを95℃で加熱しなが
ら真空吸引し、可動型の凹部に密着させた。型閉めした
後に、金型温度を40℃〜60℃に保ちながら、220
℃〜250℃に加熱された茶色のアクリロニトリルブタ
ジエンスチレン共重合体樹脂からなる溶融樹脂を金型内
に射出し、樹脂を固化させた。
【0028】得られたアクリルインサート成形品は、整
髪料の付着に対する耐性と油性マジックインキの付着に
対する耐性が十分であり、表面にクラックも発生しなか
った。整髪料の付着に対する耐性とは、アクリルインサ
ート成形品全体に整髪料を塗った後、布で覆って40℃
の恒温器に24時間入れても表面が柚肌とならないこと
をいう。油性マジックインキの付着に対する耐性とは、
アクリルインサート成形品に油性マジックで文字などを
書いた後、乾布で拭き取るとマジックインキの跡が残ら
ないことをいう。
【0029】
【発明の効果】この発明は、以上の構成、作用からなる
ので、次の効果が得られる。すなわち、この発明のアク
リルインサートフィルムは、アクリル樹脂を主成分とす
る透明なシートをインサートフィルムの基体シートとし
ているので、耐光性や加工性が優れている。さらに、基
体シート上にはフッ素系共重合体樹脂からなる透明なオ
ーバーコート層が存在するので、アクリルシートの弱点
である耐薬品性や耐汚染性をオーバーコート層が補う。
したがって、この発明のアクリルインサートフィルム
は、耐光性や加工性、耐薬品性や耐汚染性のすべてが優
れたアクリルインサート成形品を製造するために用いる
ことができるものである。
【0030】また、この発明のアクリルインサート成形
品の製造方法は、アクリル樹脂を主成分とする透明なシ
ートを基体シートとしたアクリルインサートフィルムを
用いており加工性が良好であるので、インサートフィル
ムは、射出成形用金型のキャビティ内面の複雑な形状や
立ち上がりの深い形状どうりに変形し、射出成形用金型
のキャビティ内面の形状どうりの表面形状を呈するイン
サート成形品を得ることができる。さらに、基体シート
上にはフッ素系共重合体樹脂からなる透明なオーバーコ
ート層が存在するインサートフィルムを用いるので、ア
クリルインサート成形品を取り出す時に、オーバーコー
ト層が、滑剤としての機能や耐磨耗性を発揮する。よっ
て、金型との摩擦や引っ掛かりが発生しにくくなり、金
型を傷つけることもなく、また、アクリルインサート成
形品をキャビティから簡単に取り出し易くなるので、イ
ンサート成形品の生産効率が確実に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のアクリルインサートフィルムの一
実施例を示す断面図である。
【図2】 この発明のアクリルインサートフィルムの別
の態様の実施例を示す断面図である。
【図3】 この発明のアクリルインサート成形品の製造
工程の一つを示す断面図である。
【図4】 この発明のアクリルインサート成形品の製造
工程の一つを示す断面図である。
【図5】 この発明のアクリルインサート成形品を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 基体シート 2 オーバーコート層 3 ラミネート接着剤層 4 木目層 5 不透明下地層 6 接着層 7 射出成形用金型 8 射出口 9 溶融樹脂 10 第1基体シート 11 第2基体シート 12 樹脂成形品

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル樹脂を主成分とする透明な第1
    基体シートの表面に、フッ素系共重合体樹脂を有する透
    明なオーバーコート層が形成され、裏面に木目層、ラミ
    ネート接着剤層、アクリル樹脂を主成分とする透明な第
    2基体シート、不透明下地層、接着層が順次形成された
    ことを特徴とするアクリルインサートフィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のアクリルインサートフ
    ィルムを、射出成形用金型内に配置し、アクリルインサ
    ートフィルムを加熱し、型閉めした後に溶融樹脂を金型
    内に射出し、樹脂を固化させることにより、樹脂成形品
    にアクリルインサートフィルムを接着することを特徴と
    するアクリルインサート成形品の製造方法。
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