JP3494559B2 - フロー式粒子画像解析方法及び装置 - Google Patents

フロー式粒子画像解析方法及び装置

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JP3494559B2 JP25052497A JP25052497A JP3494559B2 JP 3494559 B2 JP3494559 B2 JP 3494559B2 JP 25052497 A JP25052497 A JP 25052497A JP 25052497 A JP25052497 A JP 25052497A JP 3494559 B2 JP3494559 B2 JP 3494559B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フロー式粒子画像解析
方法及びフロー式粒子画像解析装置に係り、流れている
液体中に懸濁した静止粒子、特に、血液または尿中の細
胞や粒子の画像を撮像し粒子解析する粒子画像解析に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の粒子画像解析においては、血液中
の細胞、尿中の細胞及び粒子を分類解析するには、スラ
イドガラス上に標本を作成し顕微鏡にて観察することで
行われてきた。尿の場合には、尿中の粒子濃度が薄いた
め、サンプルを予め遠心分離器で遠心濃縮してから観察
する。
【0003】これらの観察、検査の作業を自動化する方
法又は装置としては、血液などのサンプル試料をスライ
ドガラス上に塗沫したあと顕微鏡にセットし、顕微鏡ス
テージを自動的に走査し、粒子の存在する位置で顕微鏡
ステージを止めて静止粒子画像を撮影し、画像処理技術
による特徴抽出およびパターン認識手法を用い、サンプ
ル試料中にある粒子の分類・解析等を行っている。
【0004】しかし、上記手法では標本作成に時間がか
かること、さらに顕微鏡ステージを機械的に移動しなが
ら粒子を見つけ、粒子を適当な画像取り込み領域へ移動
させる作業が必要である。そのため、解析に時間を要し
たり、機械機構が複雑になるという欠点がある。
【0005】上記のような塗沫標本を作成しない粒子画
像解析方法または粒子画像解析装置には、サンプル試料
を液体中に懸濁させた状態にてフローセル中に流し、光
学的に解析するフローサイトメータ法が知られている。
【0006】このフローサイトメータによる方法は、サ
ンプル中の各粒子からの蛍光強度や散乱光強度を観測す
るもので、毎秒数千個の処理能力を備えている。
【0007】しかし、粒子の形態学的特徴を反映する特
徴量を観測することはむずかしく、従来顕微鏡下で行わ
れていた形態学的特徴で粒子を分類することができな
い。
【0008】連続的に流れているサンプル試料中の静止
粒子画像を撮像し、それぞれの静止粒子画像から粒子を
分類、解析する試みとしては、特表昭57−50099
5号公報、特開昭63−94156号公報、特開平4−
72544号公報等に記載された技術が知られている。
【0009】特表昭57−500995号公報記載の技
術では、サンプル試料を特別な形状の流路に通して幅広
の撮像領域中に流し、フラッシュランプによる静止粒子
画像を撮影し、その画像を用い粒子解析する方法が示さ
れている。
【0010】上記方法は、顕微鏡を用いてサンプル粒子
の拡大画像をCCDカメラ上に投影するとき、パルス光
源であるフラッシュランプがCCDカメラの動作に同期
して周期的に発光する。
【0011】パルス光源の発光時間が短いので、粒子が
連続的に流れていても静止画像を得ることができ、しか
も、CCDカメラは、毎秒30枚の静止画像を撮影する
ことができる。
【0012】また、特開昭63−94156号公報に記
載の技術は、静止粒子画像撮像系とは別にサンプル流れ
中の粒子画像撮影領域より上流に粒子検出系を設けてい
る。つまり、予め、粒子検出系で粒子通過を知り、その
粒子が粒子画像撮像領域に達したときに適当なタイミン
グによりパルス光源であるフラッシュランプを点灯させ
る方法である。
【0013】この方法においては、パルス光源の発光を
周期的に行わず、粒子の通過を検出してその時だけタイ
ミングを合わせて静止粒子画像を撮像することができる
ので、効率的に静止粒子画像が集められ、濃度の小さい
サンプル試料の場合でも粒子の存在しない無意味な画像
を撮像・処理することはない。
【0014】さらに、特開平5−296915号公報で
は、特開昭63−94156と同じく、静止粒子画像系
とは別にサンプル流れ中の粒子を検出する手段を有し、
加えて検出された粒子画像において画像処理した粒子の
総数からサンプル粒子中の実際の粒子数、分類された種
類ごとの粒子数を求める手段を提供している。
【0015】また、特開平7−83817号公報では、
上記特開平5−296915号公報で問題になる、検出
粒子と検出された粒子画像の1対1の対応方法について
示されている。
【0016】また、特開平8−34748号公報では、
検出粒子と検出された粒子画像の1対1の対応を行うた
めの、粒子検出系の調整段階について述べられている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】従来の粒子画像解析装
置においては、一般的に、連続的に流れているサンプル
粒子の静止画像を解析して、サンプル中の複数種類の粒
子数や分類を効率よく行うためには、上述した公知例で
行われているように、静止粒子画像撮像領域またはその
上流に通過粒子を検出する粒子検出系を配置することが
必要である。すなわち、サンプル粒子が通過したときだ
けパルス光源を点灯させサンプル粒子の静止画像を撮像
するように構成することが必要である。
【0018】上述した、通過粒子を検出する粒子検出系
を配置する方法は、粒子濃度の小さい測定サンプルに対
し非常に効率よく処理できるため、測定サンプル量の増
大、解析時間の短縮、解析精度の向上を計ることができ
る。
【0019】このようなフロー式粒子画像解析装置にお
いては、静止粒子画像撮像領域またはその上流に粒子が
通過したことを検出する粒子検出系と、粒子が通過した
ときだけパルス光源を点灯させ静止粒子画像を撮像する
画像撮像系とを有しているが、上記粒子検出系と上記画
像撮像系とは一般的にその測定原理が異なっている。
【0020】上記粒子検出系としては、通常フローセル
中を流れている測定サンプルにレーザ光束を集光して照
射し、上記レーザ光束をよぎった粒子からの光散乱光を
検出する方法が用いられている。
【0021】上記光信号は光検出器により電気信号に変
換される。光信号の大きさは、粒子の光学的な屈折率、
吸収、サイズ、粒子の内部状態、散乱光検出条件などに
より影響を受け、画像処理で用いられる粒子の形態情報
である粒子直径、周囲長、色彩情報、テクスチャ情報と
は必ずしも完全には一致しない。
【0022】また、上記粒子検出系において、所定の粒
子検出レベル以上を粒子検出の条件とすると、実際の上
記画像撮像系による静止粒子画像には、サイズが小さく
光散乱による粒子検出レベルに達しない粒子が存在する
ことは、しばしば起こることである。
【0023】その結果、粒子検出系で計数される粒子数
と画像処理された粒子数は、画像取り込みで避けられな
いデットタイムによる粒子数え落としを考慮しても一致
せず、粒子解析精度、再現性の低下を引き起す原因とな
る。
【0024】これらの問題に正しく対応させる方法を提
供するのが特開平7−83817号公報に記載された技
術である。この特開平7−83817号公報に記載され
た方法は、1つの画像に撮像されている粒子と、粒子検
出系で検出された粒子とについて、1対1の対応関係を
取るものである。
【0025】このために、粒子検出信号の中から、フラ
ッシュランプ光源が点灯した時点で画像に写っている粒
子のうち、検出粒子に相当する粒子を計数する手段と、
この計数値と画像中の粒子のうち検出粒子と対応させる
こと、および検出粒子と見なされない粒子と区別する手
段を提供する。
【0026】上述した方法は、粒子検出系と画像撮像系
とをそれぞれ具備し、粒子検出系の原理と画像撮像系の
粒子画像識別の原理とが異なるフロー式粒子画像解析方
法およびフロー式粒子画像解析装置において、検出粒子
と静止粒子画像中の粒子とを対応させ、粒子検出系の検
出粒子以外の粒子が画像撮像系の静止粒子画像中に存在
しても、サンプル中の各種類の粒子個数、粒子存在比
率、粒子密度、濃度情報を正しく知ることができ、解析
精度の良好なフロー式粒子画像解析方法およびフロー式
粒子画像解析装置を提供するものである。
【0027】しかしながら、上述した特開平7−838
17号公報に記載された方法は、1つの静止画像ごとに
検出粒子との対応をとる方法であるため、作業は比較的
確実に行えるが、処理そのものが複雑になってしまい、
連続して流れてくる粒子の静止画像の処理に時間がかか
る。この静止画像を、高速で処理するためには複雑な回
路構成が必要となってしまう。
【0028】この問題を軽減する方法としては、特開平
9−72842号公報に示されているように、測定終了
後に一括して、検出粒子と粒子画像粒子の対応をとる方
法がある。
【0029】つまり、特開平9−72842号公報で
は、粒子検出系で検出された通過全粒子数を使って、予
想される粒子画像数を計算し、画像処理された粒子画像
を大きいサイズからさきに予想した粒子数分だけを、検
出粒子と対応すると見なすものである。
【0030】この方法は、処理が簡単で時間的な制約が
少ない反面、測定終了まで粒子特徴パラメータを蓄積し
ていかなければならない。また、粒子画像を格納しなけ
ればならない測定対象では、画像メモリーは大きなもの
が必要になる。後者の場合には、この問題を解決するた
めに、1画像分の処理を行う段階で、画像中の粒子のう
ち予め設定した粒子サイズ以下は棄却してしまう処理を
行う。
【0031】上述した特開平7−83817号公報及び
特開平9−72842号公報に示されている、2つの方
法は、不要粒子画像を捨てることが出来、さらに、画像
撮像系でのデットタイムに起因する粒子画像の数え落と
しが存在しても、正しい粒子の分類比率を求めることが
出来、結果として、正しい粒子密度が得られ、人による
顕微鏡検査と相関が良い分析データが得られる特徴があ
る。
【0032】しかし、上述した粒子検出系で検出した粒
子と、撮像された粒子画像のうち粒子検出系で検出した
粒子との対応をとるためには、次の問題が存在する。す
なわち、これら2つの方法では、検出粒子と粒子画像と
対応させるための条件として、暗黙のうちに、サンプル
流れの幅が粒子画像撮像系の撮影領域に対して狭いこと
を仮定している。実際の流れの系では、常にこの仮定が
成立させられず、測定条件によって満足させることがで
きない場合が存在する。
【0033】例えば、次のような事実が考えられる。フ
ローセル制作上での不具合、光学系の調整の問題、周囲
温度の変化によってサンプル流れの幅が大きく変化する
現象がある。また、測定モードが複数存在してサンプル
流れ条件を変えなければならないような場合では、サン
プル流れ形状が変化したり、流れ位置が移動する現象も
起こりうる。
【0034】このような条件で粒子画像サンプルを処理
する場合には、測定粒子が、画像撮像領域の外側を通過
したり、粒子画像の一部分だけ撮像される現象が起る。
1個の完全な粒子画像が得られない場合には、通常画像
処理の段階で捨てられる。
【0035】図6に具体的なサンプル流れと粒子画像撮
像視野が一致しない上述した問題が生じている場合の例
を示す。図6では2個の粒子が粒子検出系で検出された
が、視野の外側をながれている粒子は粒子画像が撮像さ
れなかった場合である。
【0036】この場合、画像処理される粒子数が実際予
想される数より少なくなり、上述した検出系で検出した
粒子と粒子画像の1対1の対応が出来なくなる。結果と
して、粒子分析データの信頼性が低下する。
【0037】すなわち、サンプル流れ幅が粒子画像撮像
系の視野と一致しない場合では、検出された粒子が、画
像視野の外側を流れる場合が生じ、検出粒子と粒子画像
の正しい対応関係を取ることができない問題が発生す
る。
【0038】また、測定系に存在する誤差要因、例え
ば、配管系をサンプルが流れてくる段階で管壁の付着し
ている水溶液と置換して、サンプル粒子濃度が小さくな
るなどの系統的な誤差が生じる。
【0039】本発明の目的は、サンプル流れの状態を定
量化し、装置を最良な状態に維持すると共に、測定デー
タを適切に補正し、データの信頼性を向上することが可
能なフロー式粒子画像解析方法及び装置を実現すること
である。
【0040】 上記目的を達成するため、本発明は次の
用に構成される。(1)被測定粒子が懸濁された液体サ
ンプルをフローセル中に流し、粒子検出系により上記サ
ンプル中の粒子数を計数する粒子検出段階と、上記フロ
ーセル中の撮像領域を通過する粒子の静止画像を粒子撮
像系により撮像する撮像段階と、画像解析手段により上
記静止画像中の粒子の形態学的分類を行う解析段階とを
有するフロー式粒子画像解析方法において、所定の粒子
を含み粒子濃度の分かっている液体サンプルを用意し、
この粒子サンプルの測定時間中に通過した全粒子数を計
数し、通過した全粒子数から予想される画像処理粒子数
を計算し、予想される画像処理粒子数に対する実際に画
像処理した粒子画像数の割合に基づいて粒子画像有効係
数を求め、更に、上記全粒子数と、予め分かっている粒
子濃度から予想される粒子検出数の割合に基づいて粒子
濃度補正係数を求める段階と、サンプル測定段階におい
て測定時間中に通過した全粒子数を計数する段階と、通
過した全粒子数から予想される画像処理粒子数を計算す
る段階と、この予想される画像処理粒子数に先の粒子画
像有効係数と上記粒子濃度補正係数とを掛けて実効画像
粒子数を計算する段階と、サンプル粒子画像のうちサイ
ズの大きい方から上記実効画像粒子数だけを測定粒子画
像と定める段階とを備える。
【0041】 (2)好ましくは、上記(1)におい
て、粒子画像有効係数を決める際、粒子の測定時間中に
通過した全粒子数を計数する段階にて、粒子検出条件を
通常の粒子検出条件とは別に、対象粒子以外の微小粒子
を検出しないように、粒子検出条件を切り替える。
【0042】
【0043】
【0044】 (3)また、好ましくは、上記()に
おいて、あらかじめ測定した粒子画像有効係数の大小を
所定の値と比較する段階と、測定した粒子画像有効係数
が所定の値より大きければサンプル流が正常に流れてい
ると判断し、小さけれぱサンプル流れが正常でないと判
断する段階と、をさらに備える。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】 (4)被測定粒子が懸濁された液体サン
プルをフローセル中に流し、粒子検出系による上記サン
プル中の粒子数を計数する粒子検出手段と、上記フロー
セル中の撮像領域を通過する粒子の静止画像を粒子撮像
系により撮像する撮像手段と、画像解析手段により上記
静止画像中の粒子の形態学的分類を行う解析手段とを有
するフロー式粒子画像解析装置において、上記粒子検出
手段は、所定の粒子を含み粒子濃度の分かっている液体
サンプルを用意し、この粒子サンプルの測定時間中に通
過した全粒子数を計数し、通過した全粒子数から予想さ
れる画像処理粒子数を計算し、予想される画像処理粒子
数に対する実際に画像処理した粒子画像数の割合に基づ
いて求められた粒子画像有効係数と、更に、上記全粒子
数と、予め分かっている粒子濃度から予想される粒子検
出数の割合に基づいて求められた粒子濃度補正係数を記
憶する記憶手段と、サンプル測定段階において測定時間
中に通過した全粒子数を計数する手段と、通過した全粒
子数から予想される画像処理粒子数を計算する手段と、
この予想される画像処理粒子数に上記粒子画像有効係数
及び粒子濃度補正係数を掛けて実効画像粒子数を計算す
る手段と、サンプル粒子画像のうちサイズの大きい方か
ら上記実効画像粒子数だけを測定粒子画像と定める手段
と、を備える。
【0056】
【0057】
【0058】 (5)好ましくは、上記()におい
て、複数の測定モードを有する場合に、各測定モードご
とに粒子画像有効係数を定める手段を、さらに備える。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】粒子検出系で検出した粒子と、撮像された
粒子画像のうち粒子検出系で検出した粒子との対応をと
るためには、次の問題が生じる。サンプル流れ幅が粒子
画像撮像系の視野と一致しない場合では、検出された粒
子が、画像視野の外側を流れる場合が生じ、検出粒子と
粒子画像の正しい対応関係を取ることができない。
【0084】この影響を補正するために、粒子画像有効
係数Ksを導入し粒子画像と粒子検出粒子の対応をとる
ため、正しい粒子数の測定、粒子濃度の算定ができる。
【0085】さらに、粒子画像有効係数Ksを、測定開
始前に標準粒子を使って測定することにより、粒子画像
解析装置のサンプル流れの状態をチェックすることがで
き、粒子画像の撮像位置の情報に基づいて、サンプル流
れの状態を把握することができる。
【0086】また、同時に、測定系に存在する系統的誤
差要因や、配管系をサンプルが流れてくる段階で管壁の
付着している水溶液と置換して、サンプル粒子濃度が小
さくなるなどの系統的な誤差が生じる問題に対しても、
粒子濃度補正係数Kuをあらかじめ標準粒子を使って調
べ、粒子画像測定データを補正する手段を使用すること
により、サンプル中の粒子濃度をより正確に測定を行う
ことができる。
【0087】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の説明に先だ
って、本発明の基本原理について説明する。まず、フロ
ーセル中の粒子検出領域を通過した粒子を検出し、一定
時間後に、検出粒子が静止画像撮像領域の所定の位置に
到着したとき、フラッシュランプを点灯させ、粒子の静
止画像を撮影する。
【0088】一般に、撮像された一枚の静止粒子画像中
には、粒子検出系で検出した粒子以外の小さな粒子も撮
像されていることが度々発生する。この現象は、粒子検
出信号レベルを高くすればするほど、この傾向は大きく
なる。このため、撮像した粒子画像のなかのどれとどれ
が検出対象粒子であるかを区別する方法が必要である。
【0089】ここで、粒子検出系の検出原理として、粒
子検出信号の信号レベルを越えた粒子に対し、さらに、
信号のパルス幅が所定の値を越えたものを、粒子検出信
号と見なす。このパルス幅は、測定粒子が粒子検出系を
通過する時間に相当し、通過粒子のサイズに比例する。
そして、測定時間中に通過し検出した全粒子数を計数
し、全検出粒子数とする。
【0090】粒子検出により、フラッシュランプ光源を
点灯させ、検出粒子の静止画像を撮影し、画像中にある
全粒子について画像処理をおこない、粒子分類に必要な
粒子特徴量を抽出し、粒子分類処理を行う。この特徴抽
出および粒子分類識別処理を測定時間に撮像した全画像
粒子に対し実行する。
【0091】測定終了時に、上述した粒子検出系で測定
時間に通過した全検出粒子数より、測定時間にフラッシ
ュランプ点灯による粒子静止画像の内で予想される検出
画像粒子数を計算する。検出画像粒子数はサンプル中の
粒子濃度、測定時間、TVカメラの画像撮像条件によっ
て計算する。この予想される検出画像粒子数計算式の形
は、測定条件で変わるが、粒子通過の発生事象が統計学
におけるポアソン過程をすることを仮定することで求め
る事が出来る。
【0092】一般的には、次式(1)の形に表現され
る。 N = Nf・γ・{λ+exp(-λ(1-h))} −−−(1) 式(1)において、Nfは測定時間にTVカメラが撮像
出来るフレーム画像の総数である。測定時間をTm、1
フレーム時間をTfとすればNf=Tm/Tfである。
また、γの項は、フレーム画像の総数Nfのなかで、実
際のサンプル条件で粒子検出により撮像されるフレーム
数のNfに対する割合である。γの内容は測定条件で変
わる。Nf・γの値は、実際に粒子画像を撮像した予想
フレーム数に相当する。
【0093】式(1)の{λ+exp(-λ(1-h))}は、画像
取り込み領域に存在する検出粒子を含む予想される平均
粒子数である。ここで、λは画像取り込み領域体積に相
当する体積Vgに存在する平均粒子数、hは粒子検出に
よるフラッシュランプ点灯を画像取り込み領域のどこで
行うかにより決まる値で、0から1の間の値である。通
常は1に近い値の条件にする。Vmは測定サンプル体積
である。
【0094】また、λは次式(2)で表される。 λ = (Nm/Vm)・Vg −−−(2) 次に、具体的なγの式の形の例を以下に示す。
【0095】フラッシュランプの点灯タイミングの制
約、すなわち、TVカメラの奇数フィールドまたは偶数
フィールドでのみ点灯可能という制約がない一番効率よ
く粒子画像を撮像する場合を考える。フラッシュランプ
点灯後、2フィールドかけてCCD・TVカメラに蓄積
された画像を画像メモリに読みだす場合には、γの式の
形は次式(3)で示される。 γ={2(1-exp(-Nm・Tf/(2・Tm)))}/{2-exp(-Nm・Tf/(2・Tm))} −−−(3) 上記(3)式で、Tfは、TVカメラ系の1フレーム時
間を表す。また、画像読みだし及び画像処理に3フィー
ルド必要な条件の場合にはデット・タイムが1フィール
ド増加するが、この場合のγの式の形は次式(4)で示
される。 γ={2(1-exp(-Nm・Tf/(2・Tm)))}/{3-2・exp(-Nm・Tf/(2・Tm))} −−−(4) いずれにしても、γの式の形は、粒子濃度、測定時間、
TVカメラ撮像系の条件で変わる。この予想される検出
画像粒子数は、統計的なバラツキは避けられないが、比
較的正しい検出画像粒子数を得る。
【0096】また、式(1)において、Nf・γの値
は、測定時間中にフラッシュランプ発光平均回数、すな
わち、粒子検出によって粒子撮像されたTV画像の平均
フレーム数に相当する。よって、実際に画像処理した全
画像数、すなわち、粒子画像を撮像した全フレーム数N
fsに置き換えたほうが、実際の装置においてはNf・
γの値の計算をしなくてすみ、処理が簡単になる。式
(1)において、Nf・γをNfsに置き換えるとNは
次式(5)で示される。 N = Nfs・{λ+exp(-λ(1-h))} −−−(5) 上述したように、Nf・γの値は、実際に粒子画像を撮
像した予想フレーム数に相当する。
【0097】なお、測定条件によっては、式(1)から
式(5)において、近似式を導きだし、計算処理を簡単
にすることも可能である。しかし、上述した計算式が成
立するための条件は、サンプル流れが粒子画像撮像視野
よりも狭い場合に成立するものである。
【0098】サンプル流れが撮像視野と一致しない場合
には、粒子検出はされるけれども、撮像視野の外側を粒
子が流れる場合が生じ、これまで述べてきた検出粒子と
粒子画像の対応が取れなくなる場合がある。このため
に、この補正が必要になる。
【0099】このような現象が生じるのは、サンプル流
れが撮像視野と一致しない場合の他に、サンプル流れの
位置がずれる場合、サンプル液およびシース液の温度上
昇による粘性の変化による流れの変化に起因する場合、
さらに、流量・流速などが異なる複数の測定条件を有す
る場合に発生する。また、流れの系の途中に気泡やゴミ
などが存在するとサンプル流れの位置や形状が変化す
る。
【0100】この問題に対処するために、粒子画像有効
係数Ksを導入し、上述した計算式の中の予想される粒
子画像数Nにこの係数をかけたものを実効画像粒子数と
定める。
【0101】粒子画像有効係数Ksの算出は次のように
行う。サンプル測定の前に、あらかじめ粒子画像有効係
数を知る処理を行う。この処理を行うために、所定の粒
子を含む液体サンプルを用意し、この粒子サンプルの測
定時間中に通過した全粒子数を計数する段階と、通過し
た全粒子数から予想される画像処理粒子数を計算する段
階と、予想される画像処理粒子数に対する実際に画像処
理した粒子画像数の割合により粒子画像有効係数を求め
る段階とを実行する。
【0102】所定の粒子としては、サイズのそろった標
準粒子を懸濁した液体サンプルを使用するのが望まし
い。標準粒子として、ポリスチレン等を主成分としたラ
テックス標準粒子が好ましい。
【0103】粒子の測定時間中に通過した全粒子数を計
数する段階において、粒子検出条件を通常測定の場合の
粒子検出条件とは別に、対象粒子以外の微小粒子を検出
しないように、粒子検出条件を切り替えることが望まし
い。これにより、標準粒子だけが粒子検出される事にな
る。このために、標準粒子のサイズも大きめのものを使
うことが望ましい。
【0104】粒子検出系を通過した全粒子数と測定条件
から予想される画像処理粒子数を計算する方法は、上述
した計算方法と同一の計算方法を使用する。すなわち、
粒子検出系を通過した全粒子数と測定条件から予想され
る画像処理粒子数を計算する段階において、上記式
(1)及び式(3)を使用する。
【0105】撮像条件が異なる場合には、式(3)の代
わりに式(4)を使用する。また、画像フレーム数で代
用する場合には、式(1)の代わりに式(5)を使用す
ることができる。
【0106】粒子画像有効係数Ksは、予想される画像
処理粒子数Nと、実際に画像処理された標準粒子画像数
Ngとから次式(6)より求める。 Ks = Ng/N −−−(6) 複数の測定モードを有する測定系では、各測定モードご
とに粒子画像有効係数を定めることが必要である。
【0107】測定サンプル中の粒子濃度を決定するに
は、次のように行う。懸濁する液体サンプルをフローセ
ル中に流し、粒子検出系によるサンプル中の粒子数を計
数し、フローセル中の撮像領域を通過する粒子の静止画
像を粒子撮像系により撮像する。
【0108】そして、画像解析手段により画像中の粒子
の形態学的分類を行う解析処理を行い、測定時間中に通
過した全粒子数Nmと、通過した全粒子数から予想され
る画像処理粒子数Nを計算し、この予想させる画像処理
粒子数Nに粒子画像有効係数Ksを掛けて実効画像粒子
数を算出する。次に、サンプル粒子画像のうちサイズの
大きい方から上述した実効画像粒子数だけを測定粒子画
像と定める。
【0109】上述した処理を行って得られた測定粒子画
像だけに粒子分類の対象を限定し、この画像の中に、粒
子分類iの粒子がni個存在したとすると、測定サンプ
ル中に存在する粒子数Niは、次式(7)の形で表現さ
れる。 Ni = Nm・(ni/(N・Ks)) −−−(7) 粒子濃度の形で表現する場合には、粒子個数Niを測定
体積を使って単位体積当たりの個数で表現すればよい。
【0110】実際の粒子サンプルを測定する前に、あら
かじめ粒子画像有効係数Ksを測定する段階は、粒子画
像測定系の状態を知るのに重要な段階である。すなわ
ち、サンプル流れが、撮像視野をどのように流れている
かを判断する材料になるからである。
【0111】具体的には、あらかじめ測定した粒子画像
有効係数Ksを、所定の値と大小比較することで行え
る。所定の値より大きければサンプル流が正常に流れて
いること、小さければサンプル流れが正常でないと判断
する。Ksが1に近い値ならば、サンプル流れは十分撮
像視野内を流れていることになる。
【0112】これに加えて、粒子画像撮像視野のどこの
位置で撮像したかの個々の粒子ごとに位置情報を表示す
る手段を設けると、サンプル流れの状態をより視覚的に
把握することができる。
【0113】サンプル流れの状態を表示するには、撮像
視野の撮像位置のヒストグラム情報、特にサンプル流れ
の幅方向または流れ方向の位置に対する粒子個数のヒス
トグラムで表現するのが適当である。
【0114】あらかじめ粒子画像有効係数Ksを測定す
る段階で、標準粒子として粒子濃度の既知である液体サ
ンプルを使うことができれば、測定系に存在する誤差要
因に起因する補正を行うことが出来る。誤差要因として
は、測定系の個々の要素が持っている定量性誤差による
濃度の変化、測定系の系統誤差、サンプルが配管系など
を流れていく段階で管壁の溶液と置換して粒子濃度が小
さくなる現象を補正することが出来る。
【0115】実際に粒子検出された粒子数と、あらかじ
め分かっている粒子濃度から予想される粒子検出数の割
合を粒子濃度補正係数Kuとして使用する。
【0116】粒子画像有効係数Ksおよび粒子濃度補正
係数Kuを使って、測定サンプルの粒子成分iの粒子数
Niは、先の式(7)の代わりに次式(8)を使って求
めることが出来る。 Ni = (Nm/Ku)・ni/(N・Ks) −−−(8) 測定サンプルの粒子濃度を測定するには、測定体積で割
って単位体積当たりの粒子数を求めればよい。複数の測
定モードを有する場合に、各測定モードにおいて、別々
に処理を実施することが必要である。
【0117】なお、粒子画像有効係数および粒子濃度補
正係数の粒子個数を算出する場合、複数の粒子が連接し
てあたかも1個の粒子と見なされる場合がある。この場
合には、粒子画像のパターン認識手法で連接粒子の存在
比率を決定し、これを基にして、上記補正を行なうこと
が必要である。連接した粒子の存在比率が小さな場合に
は、この影響は無視してもよい。
【0118】また、測定開始前に、定期的に、各測定モ
ードごとに、上述の2つの補正係数を求め、その値を基
に、サンプル中の粒子濃度を決定する段階を設けること
により、粒子画像処理結果の解析結果の信頼性を確保す
ることが出来る。
【0119】さらに、フロー系に存在する気泡やゴミに
よるサンプル流れの状態をこれらの補正係数から知るこ
とができ、測定系が正常動作をしているかどうかの判断
情報としても使うことが出来る。
【0120】次に、本発明の実施形態を、添付する図を
参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に
係るフロー式粒子画像解析方法に用いられるフロー式粒
子画像解析装置の略示構成図であり、図2は、図1の例
における粒子検出系処理部の構成を示すブロック図であ
る。
【0121】また、図3は、図1の粒子検出系動作を示
すタイムチャート図である。図4は、粒子検出および静
止粒子画像取り込みの概略説明図である。図5は、本発
明を実施する場合の処理の流れを示すフローチャートで
ある。
【0122】図1において、100はフローセル、10
1は画像撮像手段、102は粒子解析手段、103は粒
子検出手段である。また、1はフラッシュランプ、1a
はフラッシュランプ駆動回路、2はフィールドレンズ、
3は顕微鏡コンデンサレンズ、5は顕微鏡対物レンズ、
6は結像位置、7は投影レンズである。
【0123】また、8はTVカメラ、11は視野絞り、
12は開口絞り、15は半導体レーザ、16はコリメー
タレンズ、17はシリンドリカルレンズ、18及び19
は反射鏡である。
【0124】また、20はビームスプリッタ、21は絞
り、22は光検出回路、23はフラッシュランプ点灯制
御回路、24はAD変換器、25は画像メモリ、26は
画像処理制御回路、27は特徴抽出回路、28は識別回
路、29は中央制御部、40は粒子検出処理部、50は
表示部である。
【0125】図1において、本発明の一実施形態に係る
フロー式粒子画像解析方法に用いられるフロー式粒子画
像解析装置は、粒子を懸濁させたサンプル液が供給され
るフローセル100と、フローセル100中のサンプル
液を撮像する画像撮像手段101と、撮像された画像か
ら粒子を検出する粒子検出手段103と、検出された粒
子を分析する粒子解析手段102とを備えている。
【0126】フローセル100には、サンプル液110
と共にシース液が供給され、サンプル液110がシース
液に包まれる流れが形成される。そして、サンプル液1
10の流れは、画像撮像手段101(後述する)の顕微
鏡光軸9(後述する)に対して垂直方向に偏平な断面形
状を有する安定した定常流、いわゆるシースフローとな
り、フローセル100の中心を紙面の上方から下方へ向
かって流下する。このサンプル液110の流速は、中央
制御部29(後述する)により制御される。
【0127】画像撮像手段101は、顕微鏡としての機
能を有し、パルス光源であるフラッシュランプ1と、フ
ラッシュランプ1を発光させるフラッシュランプ駆動回
路1aと、フラッシュランプ1からのパルス光束を平行
にするフィールドレンズ2と、フィールドレンズ2から
の平行なパルス光束10をフローセル100内のサンプ
ル液流れ110に集束させる顕微鏡コンデンサレンズ3
と、フローセル100内のサンプル液流れ110に照射
されたパルス光束を集光し結像位置6に結像させる顕微
鏡対物レンズ5と、投影レンズ7を介して投影した結像
位置6の粒子像を、いわゆるインターレース方式により
取り込み電気信号である画像データ信号に変換するTV
カメラ8と、パルス光束10の幅を制限する視野絞り1
1および開口絞り12とを具備している。上記TVカメ
ラ8としては、残像の少ないCCDカメラ等が一般に用
いられる。
【0128】また、粒子検出手段103は、検出光とし
てのレーザ光を発する検出光源である半導体レーザ15
と、この半導体レーザ15からのレーザ光を平行なレー
ザ光束14にするコリメータレンズ16と、このコリメ
ータレンズ16からのレーザ光束14の一方向のみを集
束させるシリンドリカルレンズ17と、このシリンドリ
カルレンズ17からのレーザ光束14を反射させる反射
鏡18と、顕微鏡コンデンサレンズ3とフローセル10
0との間に位置し、上記反射鏡18からのレーザ光束1
4をサンプル液流れ110上の画像取り込み領域の上流
側近傍に導く微小反射鏡19とから構成されている。
【0129】さらに、粒子検出手段103は、粒子によ
る上記レーザ光束14の散乱光を集光する顕微鏡対物レ
ンズ5(この顕微鏡対物レンズ5は、画像撮像手段10
1の結像用の顕微鏡対物レンズ5と共用される)と、顕
微鏡対物レンズ5で集光された散乱光を反射させるビー
ムスプリッタ20と、このビームスプリッタ20からの
散乱光を絞り21を介して受光し、その強度に基づく電
気信号を出力する光検出回路22と、この光検出回路2
2からの電気信号に基づいて上記フラッシュランプ駆動
回路1aを作動させるフラッシュランプ発光制御回路2
3とを具備している。
【0130】また、粒子解析手段102は、上記TVカ
メラ8から転送された画像データ信号をデジタル信号に
変換するAD変換器24と、このAD変換器24からの
信号に基づくデータを所定のアドレスに記憶する画像メ
モリ25と、この画像メモリ25におけるデータの書き
込みおよび読み出しの制御を行う画像処理制御回路26
と、画像メモリ25からの信号に基づき画像処理を行い
粒子数や分類を行う特徴抽出回路27と、識別回路28
と、中央制御部29と、サンプル液110中の粒子数を
決定し粒子検出系を制御し、かつ粒子画像の演算を行う
粒子検出処理部40と、上記の画像処理の結果である粒
子数や分類を表示する表示部50とからなっている。
【0131】上記中央制御部29は、上記TVカメラ8
の撮影条件やフローセル100のサンプル液流れの条
件、画像処理制御回路26の制御、識別回路28からの
画像処理結果の記憶、粒子検出処理部40とのデータの
授受、表示部50への表示等を行うように構成されてい
る。
【0132】次に、図2を参照して、粒子検出処理部4
0の構成について説明する。図中、図1と同一符号は、
同等部分であるので、詳細な説明を省略する。図2にお
いて、44は粒子検出回路、41は粒子検出レベル設定
部、42は粒子検出パルス幅設定部、43は検出粒子カ
ウンタである。また、70は画像処理粒子数計算部、7
1はフラッシュランプ点灯回数計算部、72は画像処理
粒子数計数部、73はフラッシュランプ点灯回数計数部
である。75は粒子検出系調整部全体を制御する粒子検
出系制御・演算部である。
【0133】図2において、粒子検出処理部40を構成
する粒子検出回路44は、光検出回路22からの所定の
信号レベル以上の粒子検出信号を検出する。粒子検出回
路44の粒子検出レベルは粒子検出レベル設定部41お
よび粒子検出パルス幅設定部42で設定された検出条件
と比較され、この条件を満たすものを粒子検出信号とみ
なす。検出粒子カウンタ43は、粒子検出回路44で検
出したパルス数を数え上げる。測定終了時には粒子検出
カウンタ43の計数値は、検出系を通過した全粒子数と
なる。
【0134】測定終了時の粒子検出カウンタ43の粒子
計数値Nmを使って、粒子画像数計算部70にて、測定
時間中に画像処理されることが期待される画像処理粒子
数Nが計算される。また、粒子計数値Nmを使って、フ
ラッシュランプ点灯数計算部71にて、測定時間中にフ
ラッシュランプが点灯することが期待される点灯回数n
fが計算される。
【0135】一方、実際に測定時間中に画像処理した粒
子画像数N’とフラッシュランプ点灯回数nf’とは、
それぞれ画像処理制御回路26およびフラッシュランプ
点灯制御回路23から、粒子画像計数部72およびフラ
ッシュランプ点灯回数計数部73にセットされる。粒子
検出系制御・演算部75は、粒子検出系全体を制御し、
さらに、粒子数補正演算処理を実行する。
【0136】検出粒子カウンタ43では、測定時間内に
粒子検出された全粒子数を計数しているから、この値を
基にして粒子画像数計算部70において実際に測定時間
内に画像処理される予想粒子画像の総数を所定の数式を
使って計算する。計算式は、測定条件に左右される。計
算式の例が、上述した(1)式から(4)式に示されて
いる。フラッシュランプ点灯数計算部71では測定時間
にTVカメラが撮像したフレーム総数の予想値も計算す
る機能を有する。計算式は、上記(6)式を使う。
【0137】上記構成のフロー式粒子画像解析方法とそ
れに用いられるフロー式粒子画像解析装置の動作を説明
する。まず、画像撮像手段101と、粒子検出手段10
2との動作を説明する。半導体レーザ15は、常時連続
的に発振しており、常に、サンプル110中の粒子が検
出領域を通過するのを観測している。
【0138】半導体レーザ15からのレーザ光束14
は、コリメータレンズ16において平行なレーザ光束に
変換され、シリンドリカルレンズ17において光束14
の1方向のみ集束される。
【0139】そして、レーザ光束14は、反射鏡18お
よび微小反射鏡19で反射され、フローセル100内の
サンプル液流れ110上に照射される。この照射位置
は、シリンドリカルレンズ17によってレーザ光束14
が集束する粒子検出位置であり、サンプル液流れ110
上の画像取り込み領域の上流側近傍の位置である。
【0140】解析対象である粒子が上記レーザ光束14
を横切ると、このレーザ光束14は散乱される。レーザ
光束14の散乱光は、ビームスプリッタ20で反射さ
れ、光検出回路22において受光される。そして、光検
出回路22により、受光した光の強度に基づく電気信号
に変換される。
【0141】さらに、光検出回路22の出力は、粒子検
出系処理部40に送られ、信号のうち所定のレベル、所
定のパルス幅以上のものを、検出粒子とみなし、結果を
フラッシュランプ点灯制御回路23に伝える。
【0142】つまり、光検出回路22により、粒子検出
がなされると、画像処理対象粒子が通過したものとし、
検出したことを示す信号がフラッシュランプ発光制御回
路23に伝送される。上記所定の遅延時間は、粒子検出
位置と画像取り込み領域との距離およびサンプル液11
0の流速等により決定される。
【0143】フラッシュランプ点灯制御回路23からフ
ラッシュ発光信号がフラッシュランプ駆動回路1aに伝
送されると、フラッシュランプ駆動回路1aはフラッシ
ュランプ1を発光させる。
【0144】フラッシュランプ1より発せられたパルス
光は、顕微鏡光軸9上を進み、フィールドレンズ2によ
り平行光となり、顕微鏡コンデンサレンズ3により集束
されてフローセル100内のサンプル液流れ110上に
照射される。なお、視野絞り11および開口絞り12に
よりパルス光束10の幅が制限される。
【0145】フローセル100内のサンプル液流れ11
0に照射されたパルス光束は、顕微鏡対物レンズ5で集
光され、結像位置6に像を結像する。この結像位置6の
像は、投影レンズ7によりTVカメラ8の撮像面上に投
影され、インターレース方式により画像データ信号に変
換される。このようにして、サンプル液110内の粒子
の静止粒子画像が撮像されたことになる。
【0146】上記TVカメラ8における撮像条件は、中
央制御部29に予め設定されており、この撮像条件によ
ってTVカメラ8の撮像動作が制御される。
【0147】次に、粒子解析手段102について説明す
る。上記TVカメラ8により撮像され、インターレース
方式により変換される画像データ信号は、AD変換器2
4でデジタル信号に変換され、これに基づくデータが、
画像処理制御回路26に制御され、画像メモリ25の所
定のアドレスに記憶される。
【0148】画像メモリ25に記憶されたデータは、画
像処理制御回路26の制御により読み出され、特徴抽出
回路27および識別回路28に入力されて画像処理が行
われ、中央制御部29にその結果が記憶される。中央制
御部29に記憶される内容は、粒子分類に用いられた粒
子識別特徴パラメータと粒子分類結果データである。
【0149】粒子の分類識別処理は、通常行われている
パターン認識処理により自動的に行われる。この画像処
理結果と測定条件および画像処理された画像数情報が、
画像処理制御回路26から粒子検出系処理部40に送ら
れる。
【0150】ここで、図4を参照して、一画像粒子計数
における粒子検出位置と静止粒子画像取り込み位置の関
係について説明する。
【0151】図4に示すように、Tgを、粒子が画像の
A端からB端まで流れるに要する時間とし、Teを、粒
子が静止粒子画像取り込み視野のフラッシュランプ発光
位置PからB端まで流れるに要する時間とし、Toを、
粒子が画像のA端からフラッシュランプ発光位置Pまで
流れるに要する時間とすれば、Tg=Te+Toとな
る。
【0152】測定サンプル中の粒子が粒子検出位置を通
過し、粒子検出信号が所定のレベル以上である粒子を検
出すれば、検出パルス信号を出力する。検出パルス信号
を出力した後、粒子が静止粒子画像取り込み領域の所定
の位置まで達するまでのディレイ時間Tdが経過した後
に、フラッシュランプ1を発光させる。
【0153】フラッシュランプ1の発光条件は、次のと
おりである。一つ前の粒子検出による静止粒子画像取り
込みが終了し、すなわち、フラッシュランプ1発光後の
フラッシュランプ1発光の禁止状態にし、二つのフィル
ド読みだし信号により画像信号を一静止粒子画像転送さ
せた後に、再びフラッシュランプ1を発光可能状態にす
る。この状態にするのがランプ発光レディ信号であり、
フラッシュランプ制御回路23でつくられる。
【0154】ランプ発光レディ信号の信号レベルが、
“on”であれば、フラッシュランプ1は発光レデイ状
態、“off”であれば発光禁止状態である。図3にお
いては、y粒子が検出されたのち、Td時間経過後、フ
ラッシュランプ1を発光させているが、y粒子検出前に
通過した粒子が、流れの下流側に存在する可能性があ
る。
【0155】上述した流れの下流側に存在する可能性が
ある粒子としては、y粒子通過以前の時間間隔Teの位
置に存在するもので、例えば、x粒子が相当する。これ
は、P点からB端までサンプル粒子が流れていく時間T
eの間において、ランプ発光レディ信号が、まだ“o
n”状態になっていない場合があるためである。
【0156】これは、サンプル中の粒子濃度が濃い場合
に顕著に現われる。このような状態が発生する区間を図
3のランプ発光レディ信号の斜線区間で示した。
【0157】上記ランプ発光レディ信号が“on”にな
ってからランプ発光までの時間がTeより大となると、
下流側の粒子、例えば、x粒子が画像上から流れ去り、
この斜線の部分はなくなる。一画像粒子計数の時間間隔
は、粒子が静止粒子画像取り込み領域を通過する時間T
gの間である。
【0158】各信号のタイミングを図3を参照して説明
する。粒子検出信号には、粒子x、y、zの3個から検
出信号が発生するとする。タイミングよくフラッシュラ
ンプ1を発光させるには、粒子が検出後、時間Td遅ら
せた粒子検出ディレイTd信号を発信させればよい。
【0159】ここで、ランプ発光レディ信号が“on”
または“off”状態でランプ発光すべきかどうかが決
まる。図3において、一つ前のフレームで静止粒子画像
を取り込み中であったため、ランプ発光レディ信号が始
めから“on”になっておらず、垂直同期信号によりラ
ンプ発光レディ信号が、レディ“on”になった。
【0160】このため、粒子xではフラッシュランプは
発光せず、次のy粒子で発光され、ランプ発光レディ信
号は“off”になる。
【0161】次に、図2を参照して粒子検出系処理部4
0の説明をする。まず、測定対象サンプルを測定する前
段階として、粒子画像有効係数および粒子濃度補正係数
を設定する段階を説明する。
【0162】この段階では、これら補正係数を決定する
ために、サイズの揃った標準粒子を懸濁したサンプル溶
液を使用する。粒子濃度は予め、別な手段で測定させて
おり既知であるとする。この標準粒子サンプルをフロー
式粒子画像解析装置にセットして測定を開始する。この
とき、粒子検出系の粒子検出条件は、通常の測定条件よ
りも厳しくし、上述の標準粒子だけが検出されるように
設定されていることが必要である。
【0163】粒子検出条件は、粒子検出レベル設定部4
1および粒子検出パルス幅設定部42の設定値を変える
ことで行うことが出来る。測定時間内に通過した標準粒
子の全個数は粒子検出カウンタ43にて計数される。フ
ラッシュランプの点灯回数はフラッシュランプ点灯回数
計数部73にて計数される。また、粒子画像を処理した
結果、画像処理制御部26をへて、このサンプルを粒子
画像処理した標準粒子の画像数は画像処理粒子数計数部
72にセットされる。
【0164】これらの処理で得られた粒子検出した全粒
子数・粒子検出計数値を基にして、予想される粒子画像
処理数を計算する。計算式は上記式(1)〜式(4)を
使う。計算は画像処理粒子数計算部70にて実行され
る。
【0165】画像処理粒子数計算部70にて計算された
値は、サンプル流れと粒子画像撮像視野とが一致しない
ために、画像処理粒子計数部72の計数結果値よりも一
般的に大きい。また、フラッシュランプ点灯回数計数部
73の計数結果を使って予想される粒子画像処理数を計
算する場合には上記式(5)を使用する。
【0166】粒子画像有効計数Ksは、予想される粒子
画像処理数に対する実際に処理された粒子画像数である
画像処理粒子数計数部72の計数値の割合で、式(6)
により求められる。粒子画像有効計数Ksは、サンプル
流れと粒子画像撮像視野とが一致していれば1に近づ
き、一致しない場合には1より小さな値を示す。
【0167】また、粒子濃度補正係数Kuは、既知の粒
子濃度の標準粒子を前提にしているから、本来、粒子検
出系で計数されるべき粒子数は予想できるので、この予
想される粒子数に対する、実際に計数された粒子検出カ
ウンタ43の計数値の割合で計算される。
【0168】実際の計算は、粒子検出系制御・演算部7
5にて行われる。粒子濃度補正係数Kuは、測定系の構
成や系統誤差のための、粒子濃度補正を行なうもので、
この粒子濃度補正係数Kuの値は1前後の値になる。
【0169】予め、粒子画像有効計数Ksおよび粒子濃
度補正係数Kuの値を定めておき、実際に測定された粒
子画像有効計数Ksおよび粒子濃度補正係数Kuの値
と、計算で得られた値とを比較する手段を設けて、比較
した結果から、粒子画像解析装置の装置状態を把握する
事が出来る。
【0170】さらに、粒子画像処理系で粒子を撮像した
粒子撮像位置が分かるようにしておけば、計算で得られ
た粒子画像有効計数Ksおよび粒子濃度補正係数Kuの
値と照合する事が出来る。
【0171】例えば、粒子画像の撮像位置を測定粒子全
体を画像として表示できる手段を使う事で、何が原因で
補正値が異常値を示すかの原因追求の参考になる。ま
た、撮像位置のヒストグラム情報で表示することが出来
る。この場合は、サンプル流れ方向またはサンプル流れ
の幅方向のヒストグラムで表示するのが良い。
【0172】フラッシュランプ点灯回数計数部73の計
数値とフラッシュランプ点灯回数計算部71の計算値と
の一致度から、フラッシュランプ点灯制御回路23およ
びフラッシュランプ点灯動作の不具合をチェックするこ
とが出来る。このチェック処理は、粒子検出系制御・演
算部75のなかで処理される。
【0173】次に、実際の粒子サンプルを測定する段階
について説明する。なお、測定の処理は、上述した補正
係数を求める場合と変わらない。測定サンプルを粒子画
像解析装置にセットして、測定を開始する。この場合、
粒子検出条件は、先の標準粒子のように標準粒子だけを
対象にしないから、粒子検出条件は、より小さな粒子成
分を処理できるように、粒子検出条件を緩くする事が必
要である。
【0174】1つの粒子サンプルを粒子検出しながら、
粒子画像処理により粒子画像のパターン認識・分類処理
を続け、測定終了段階で次の処理を実行する。測定時間
内に通過した粒子数は、粒子検出カウンタ43に格納さ
れているから、この値をもとに画像処理粒子数計算部7
0にて予想される粒子画像処理数を計算する。画像処理
粒子数計算部70による計算は、上記式(1)〜式
(5)により実行する。
【0175】次に、サンプル流れと粒子画像撮像視野と
が一致しないため、粒子画像数の補正を行なう。上記の
ように測定した粒子画像有効計数Ksを予想される粒子
画像処理数に掛けて、実際の測定で画像処理した粒子数
を求める。この演算は、粒子検出系制御・演算部75で
行われる。
【0176】次に、画像処理した粒子画像から、粒子検
出した粒子との対応を取る作業を実施する。具体的に
は、画像処理した粒子画像の個々の粒子の特徴パラメー
タのうち粒子サイズに相当するものに着目し、サイズの
大きい方から順に並べ替えを実施する。そして、上述の
ようにして求めた粒子画像有効計数Ksとの積を計算し
て予想される粒子画像処理数分とし、この数だけを粒子
検出された粒子画像と定める。この作業により、粒子検
出系で検出した粒子に相当する粒子画像が選ばれた事に
なる。この対応関係は、中央制御部29にて処理され
る。
【0177】パターン認識・分類処理された成分iのサ
ンプル中の個数Niは、粒子画像の個数niとして、上
記(7)より計算される。粒子濃度補正係数Kuを考慮
する場合には、上記式(8)の演算を行なう。ここで、
Nmは粒子検出系で計数された粒子個数で粒子検出カウ
ンタ43の計数値である。
【0178】これまでの説明では、粒子画像数に着目し
て述べてきたが、フラッシュランプ1の点灯回数に着目
して、粒子検出系を調整することができる。フラッシュ
ランプ1の点灯回数から、予想される粒子画像数を上記
式(5)から計算し、さらに、画像処理有効係数Ksを
掛けて、上述した操作を行なうものである。フラッシュ
ランプ点灯回数係数部73の計数値を用いると、より簡
単に粒子画像数を計算できる。
【0179】なお、粒子画像有効係数および粒子濃度補
正係数の粒子個数を算出する場合、複数の粒子が連接し
てあたかも1個の粒子と見なされる場合がある。これ
は、粒子検出系および粒子画像処理の段階で生じる可能
性がある。粒子画像のパターン認識手法で連接粒子の存
在比率を決定し、これを基にして、上記補正を行なうこ
とが必要である。連接した粒子の存在比率が小さな場合
には、この影響は無視してもよい。
【0180】以上の粒子画像解析の処理の流れを図5に
示したフローチャートに従って説明する。 第1段階(S1):サイズの揃った粒子濃度の分かって
いる補正用標準粒子を測定する。測定対象は、補正係数
としての粒子画像有効係数Ksおよび粒子濃度補正係数
Kuである。この時、粒子検出条件を、標準粒子だけが
検出されるように設定する。
【0181】第2段階(S2):測定結果のうち、粒子
検出系で検出した全粒子数、この値から予想される粒子
画像数、画像処理系で実際に処理した標準粒子に関する
画像処理粒子数、さらに、粒子濃度から予想される粒子
検出系で検出される粒子数をもとにして、粒子画像有効
係数Ksおよび粒子濃度補正係数Kuを計算から求め
る。計算式は上記式(1)〜式(6)を使用する。
【0182】第3段階(S3):粒子画像の撮像視野の
撮像位置を基にしたヒストグラムを作成する。
【0183】第4段階(S4):粒子画像有効係数K
s、粒子濃度補正係数Kuおよびサンプル流れの状態を
表示・出力する。
【0184】第5段階(S5):粒子画像有効係数Ks
および粒子濃度補正係数Kuの値と、サンプル流れの状
態とをチェックして、サンプル流れが正常か否かの判定
を行なう。正常ならば、測定対象である粒子サンプルを
測定する第6段階(S6)に進む。サンプル流れに異常
があれば第11段階(S11)に進む。
【0185】第6段階(S6):測定サンプルが存在す
るかどうかの判断をし、もし、測定サンプルが存在しな
ければ粒子画像解析操作を終了する。測定サンプルが存
在すれば、第7段階(S7)に進む。
【0186】第7段階(S7):粒子検出条件を測定対
象粒子を検出する条件に設定して、実サンプルを測定
し、粒子画像解析を実行する。
【0187】第8段階(S8):ここで、サンプル流れ
と粒子撮像視野との不一致に起因する粒子画像と検出粒
子との対応を行なう。つまり、粒子数補正演算を行う。
そのために、粒子画像有効係数Ksを使う。画像処理し
た全粒子画像から、検出系で検出されたであろう粒子画
像を選別する。この作業により、検出粒子と粒子画像と
の対応が取れる事になる。
【0188】第9段階(S9):粒子濃度補正係数Ku
を加えて、測定体積中にある粒子成分iの粒子数Ni、
さらに、粒子濃度を計算する。
【0189】第10段階(S10):粒子分析結果を表
示・出力する。そして、第6段階に戻って、測定サンプ
ルが存在するかどうかの判断をし、もし、測定サンプル
が存在しなければ粒子画像解析操作を終了する。測定サ
ンプルが存在すれば、第7段階(S7)に進む。
【0190】第11段階(S11):第5段階におい
て、サンプル流れに異常があると、判断した場合には、
この第11段階において、サンプル流れの異常を表示・
出力して処理を中止する。
【0191】なお、サンプル測定モードに複数モードが
存在する場合には、各測定モード毎に調整を行なった
り、装置の動作チェックを各々の測定モードに対して実
行させる。当然、補正データとしての、粒子画像有効計
数Ksおよび粒子濃度補正係数Kuは各測定モードごと
に設定されている必要がある。サンプル流れの条件が違
うと、一般的に、粒子画像有効計数Ksおよび粒子濃度
補正係数Kuの値は変化するからである。
【0192】上述した、本発明の一実施形態に係るフロ
ー式粒子画像解析方法およびフロー式粒子画像解析装置
は、液体中に懸濁した生物サンプルや細胞、血液中の赤
血球や白血球などの血球成分、または尿中に存在する尿
沈渣成分の分類および分析に有効である。
【0193】特に、尿中の尿沈渣成分の粒子数の計数や
粒子の分類においては、サンプルごとに存在する粒子数
は数桁以上違う場合があるため、粒子検出手段による検
出した粒子に対し画像処理することは、サンプル液中の
粒子数情報を知る上で効果的である。
【0194】尿沈渣成分では粒子の種類と大きさが非常
にバラエティに富み、粒子検出系の検出粒子と静止粒子
画像中の粒子との対応を正確に取ることが出来ないが、
本発明の実施形態により、正確な粒子計数、粒子分類、
粒子濃度を解析することができる。
【0195】上述した例は、粒子検出系の粒子検出とし
て、半導体レーザからのレーザ光束を検出光として用
い、粒子で散乱されたレーザ光束を利用する場合の例で
あるが、これに限らず粒子からの蛍光や透過光を利用す
ることもできるし、一次元イメージセンサにより粒子を
検出する方法や、粒子通過による電気抵抗変化により粒
子を検出する方法を利用することもできる。
【0196】なお、これまでは画像取り込みにおいてT
Vカメラ撮像方式としてインターレース走査について説
明したが、ノンインターレース走査方式でも本発明を適
用することができ、上述した例と同様な効果を奏するこ
とができる。
【0197】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているため、次のような効果がある。サンプル流れの状
態を定量化し、装置を最良な状態に維持すると共に、測
定データを適切に補正し、データの信頼性を向上させる
ことが可能なフロー式粒子画像解析方法及び装置を実現
することができる。
【0198】つまり、粒子検出系で検出した粒子と、撮
像された粒子画像のうち粒子検出系で検出した粒子との
対応をとるために、サンプル流れ幅が粒子画像撮像系の
視野と一致しない場合に生じるが、この影響を補正する
ために、粒子画像有効係数Ksを導入し粒子画像と粒子
検出粒子の対応をとるため、正しい粒子数の測定、粒子
濃度の算定ができる。
【0199】さらに、粒子画像有効係数Ksを、測定開
始前に標準粒子を使って測定することにより、粒子画像
解析装置のサンプル流れの状態をチェックすることがで
き、粒子画像の撮像位置の情報に基づいて、サンプル流
れの状態を把握することができる。
【0200】また、同時に、測定系に存在する定量性誤
差要因や、配管系をサンプルが流れてくる段階で管壁の
付着している水溶液と置換して、サンプル粒子濃度が小
さくなるなどの測定系の系統的な誤差が生じる問題に対
しても、粒子濃度補正係数Kuをあらかじめ粒子濃度既
知の標準粒子を使って調べ、粒子画像測定データを補正
する手段を使用することにより、サンプル中の粒子濃度
をより正確に測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るフロー式粒子画像解
析方法に用いられるフロー式粒子画像解析装置の概略構
成図である。
【図2】図1の例における粒子検出処理部の構成を示す
ブロック図である。
【図3】図1の例における一画像粒子計数の信号タイミ
ング関係を示す図である。
【図4】粒子検出および静止粒子画像取り込みの概略説
明図である。
【図5】本発明による粒子画像解析処理の流れを示すフ
ローチャートである。
【図6】粒子サンプル流れと粒子画像撮像視野との不一
致による撮像されない粒子の存在を示す概略図である。
【符号の説明】
1 フラッシュランプ 1a フラッシュランプ駆動回路 2 フィールドレンズ 3 顕微鏡コンデンサレンズ 5 顕微鏡対物レンズ 6 結像位置 7 投影レンズ 8 TVカメラ 11 視野絞り 12 開口絞り 15 半導体レーザ 16 コリメータレンズ 17 シリンドリカルレンズ 18、19 反射鏡 20 ビームスプリッタ 21 絞り 22 光検出回路 23 フラッシュランプ点灯制御回路 24 AD変換器 25 画像メモリ 26 画像処理制御回路 27 特徴抽出回路 28 識別回路 29 中央制御部 40 粒子検出系処理部 41 粒子検出レベル設定部 42 粒子検出パルス幅設定部 43 粒子検出カウンタ 44 粒子検出回路 70 画像処理粒子数計算部 71 フラッシュランプ点灯回数計算部 72 画像処理粒子数計数部 73 フラッシュランプ点灯回数計数部 75 粒子検出系制御・演算部 100 フローセル 101 画像撮像手段 102 粒子解析手段 103 粒子検出手段 110 サンプル流れ Nf 測定時間にTVカメラが撮像出来るフレーム画像
の総数 Tm 測定時間 Tf 1フレーム時間 γ Nfのなかで実際のサンプル条件で粒子検出によ
り撮像されるフレーム数のNfに対する割合 Vg 画像取り込み領域体積に相当する体積 λ 画像取り込み領域体積に相当する体積Vgに存在
する平均粒子数 h 粒子検出によるフラッシュランプ点灯を画像取り
込み領域のどこで行うかにより決まる値で、0から1の
間の値 Vm 測定サンプル体積 Td 粒子検出ディレイ時間 Te 粒子画像がフラッシュランプ発光位置PからB端
まで流れるのに要する時間 Tg 粒子画像が画像のA端からB端まで流れるのに要
する時間 To 粒子画像が画像のA端からフラッシュランプ発光
位置Pまで流れるのに要する時間 Ks:粒子画像有効係数 Ku:粒子濃度補正係数
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 15/00 - 15/14

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被測定粒子が懸濁された液体サンプルをフ
    ローセル中に流し、粒子検出系により上記サンプル中の
    粒子数を計数する粒子検出段階と、上記フローセル中の
    撮像領域を通過する粒子の静止画像を粒子撮像系により
    撮像する撮像段階と、画像解析手段により上記静止画像
    中の粒子の形態学的分類を行う解析段階とを有するフロ
    ー式粒子画像解析方法において、所定の粒子を含み粒子濃度の分かっている液体サンプル
    を用意し、この粒子サンプルの測定時間中に通過した全
    粒子数を計数し、通過した全粒子数から予想される画像
    処理粒子数を計算し、 予想される画像処理粒子数に対する実際に画像処理した
    粒子画像数の割合に基づいて粒子画像有効係数を求め、 更に、上記全粒子数と、予め分かっている粒子濃度から
    予想される粒子検出数の割合に基づいて粒子濃度補正係
    数を求める段階と、 サンプル測定段階において測定時間中に通過した全粒子
    数を計数する段階と、 通過した全粒子数から予想される画像処理粒子数を計算
    する段階と、 この予想される画像処理粒子数に先の粒子画像有効係数
    と上記粒子濃度補正係数とを掛けて実効画像粒子数を計
    算する段階と、 サンプル粒子画像のうちサイズの大きい方から上記実効
    画像粒子数だけを測定粒子画像と定める段階と、 を備えることを特徴とするフロー式粒子画像解析方法。
  2. 【請求項2】請求項記載のフロー式粒子画像解析方法
    において、粒子画像有効係数を決める際、粒子の測定時
    間中に通過した全粒子数を計数する段階にて、粒子検出
    条件を通常の粒子検出条件とは別に、対象粒子以外の微
    小粒子を検出しないように、粒子検出条件を切り替える
    ことを特徴とするフロー式粒子画像解析方法。
  3. 【請求項3】請求項記載のフロー式粒子画像解析方法
    において、あらかじめ測定した粒子画像有効係数の大小
    を所定の値と比較する段階と、測定した粒子画像有効係
    数が所定の値より大きければサンプル流が正常に流れて
    いると判断し、小さけれぱサンプル流れが正常でないと
    判断する段階と、をさらに備えることを特徴とするフロ
    ー式粒子画像解析方法。
  4. 【請求項4】被測定粒子が懸濁された液体サンプルをフ
    ローセル中に流し、粒子検出系による上記サンプル中の
    粒子数を計数する粒子検出手段と、上記フローセル中の
    撮像領域を通過する粒子の静止画像を粒子撮像系により
    撮像する撮像手段と、画像解析手段により上記静止画像
    中の粒子の形態学的分類を行う解析手段とを有するフロ
    ー式粒子画像解析装置において、上記粒子検出手段は、所定の粒子を含み粒子濃度の分か
    っている液体サンプルを用意し、この粒子サンプルの測
    定時間中に通過した全粒子数を計数し、通過した全粒子
    数から予想される画像処理粒子数を計算し、 予想される画像処理粒子数に対する実際に画像処理した
    粒子画像数の割合に基づいて求められた粒子画像有効係
    数と、更に、上記全粒子数と、予め分かっている粒子濃
    度から予想される粒子検出数の割合に基づいて求められ
    た粒子濃度補正係数を記憶する記憶手段と、 サンプル測定段階において測定時間中に通過した全粒子
    数を計数する手段と、 通過した全粒子数から予想される画像処理粒子数を計算
    する手段と、 この予想される画像処理粒子数に上記粒子画像有効係数
    及び粒子濃度補正係数を掛けて実効画像粒子数を計算す
    る手段と、 サンプル粒子画像のうちサイズの大きい方から上記実効
    画像粒子数だけを測定粒子画像と定める手段と、 を備え
    ることを特徴とするフロー式粒子画像解析装置。
  5. 【請求項5】請求項記載のフロー式粒子画像解析装置
    において、複数の測定モードを有する場合に、各測定モ
    ードごとに粒子画像有効係数を定める手段を、さらに備
    えることを特徴とするフロー式粒子画像解析装置。
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