JP3464151B2 - 気象レーダ装置 - Google Patents

気象レーダ装置

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JP3464151B2 JP24707998A JP24707998A JP3464151B2 JP 3464151 B2 JP3464151 B2 JP 3464151B2 JP 24707998 A JP24707998 A JP 24707998A JP 24707998 A JP24707998 A JP 24707998A JP 3464151 B2 JP3464151 B2 JP 3464151B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気象レーダ装置に
関し、特に積乱雲に伴って生じる発雷やマイクロバース
トといった気象現象の検出精度の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】気象レーダは、現在、気象現象の観測、
予測に不可欠なものとなっている。気象現象の中には、
発雷やマイクロバースト並びにマイクロバーストの結果
として生じるウインドシアといったものがある。これら
は特に航空機の運行に大きな影響を与え、また電力施設
への落雷は停電を生じ人々の生活や産業に被害を与える
おそれがある。
【0003】図9は、積乱雲を観測して発雷を予測する
従来の気象レーダを説明する模式図である。従来の技術
では、センチ波(例えば5GHz帯の電波)を用いた気
象レーダ2を用いて、仰角を変えた走査により積乱雲の
雲頂高度を観測したり、風速、雨量(或いは反射強度)
の観測を行って、発雷条件を収集することによって、発
雷の検出、予測を行っていた。
【0004】また、特表平7−502341号公報に開
示される「マイクロバースト前兆検出システムのための
下降気流速度推定装置」は、レーダ受信信号のドップラ
シフトを利用して積乱雲内の下降気流を推定し、マイク
ロバーストを予測する。具体的には、仰角セクタにおい
て互いにオフセット角を有した一組のビームが用いられ
る。各ビームの反射波を処理してそれぞれ平均ドップラ
周波数を求め、それらの平均値と差とに基づいて、水平
方向及び垂直方向の風速が求められる。例えば、積乱雲
内部で下向きの風が観測されたことに基づいて、やがて
積乱雲の底部から地表に向けての突風が生じることが予
測される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の雲頂高度や風
速、雨量に基づく発雷予測は間接的な方法であって、発
雷の発生や発雷時間の精度を向上させるためにデータを
蓄積してパラメータを抽出したりチューニングしたりす
る作業に経験を要するという問題や、また間接的である
が故に精度の向上にも限界があるという問題があった。
また、予知が行われるタイミングが、積乱雲が十分に成
長した成長後期段階であり、発雷の直前にならないと予
知ができないという問題があった。
【0006】また、積乱雲内部での風速をドップラ速度
に基づいて観測しマイクロバーストを予測する技術も、
マイクロバーストにつながる下向きの風速が既に発生し
た段階で行われるため、予知からマイクロバースト発生
までの時間が短く、対処のための時間が十分に得られな
いという問題があった。
【0007】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、発雷、マイクロバーストの発生を早期
に予測することができる気象レーダ装置を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る気象データ
装置は、複数の仰角についてミリ波帯の電波を送受信す
るレーダ送受信部と、エコー強度分布に基づいて所定の
気象状態を検知する信号処理部とを含んだ気象レーダ装
置であって、前記信号処理部は、前記エコー強度分布に
対し、セルによる氷晶のエコー強度に基づいて定められ
た所定反射率以上の強度を有するかを判定してセルに起
因するエコーを取り出し、取り出したエコーを複数時刻
について処理することでセルの降下を検知するセル降下
検知手段を有し、降下する前記セルの下方での所定気象
現象の発生予測を可能とすることを特徴とする。
【0009】本発明に係る気象レーダ装置においては、
前記信号処理部は、降下する前記セルが所定高度に達し
たことを検知する高度検知手段と、前記セルの所定高度
到達に基づいて、所定気象現象の発生を予測する気象現
象予測部とを有することを特徴とする。
【0010】本発明に係る気象レーダ装置においては、
前記セル降下検知手段は、前記エコー強度分布をそれぞ
れ構成し前記所定高反射率を有する単位ボリュームであ
って互いに異なる前記時刻に属するもの同士の組み合わ
せの中から、当該単位ボリューム同士の水平間隔及びエ
コー強度差に基づいて相関関係を有するものを検出し、
前記相関関係を検知された前記組み合わせにおける前記
単位ボリュームの高度の変化に基づいて前記セルの降下
を検知することを特徴とする。
【0011】本発明に係る気象レーダ装置は、前記レー
ダ送受信部より広い覆域を有する広域レーダ送受信部
と、前記広域レーダ送受信部の受信信号に基づいて、前
記レーダ送受信部により観測すべき観測対象領域を決定
し、前記レーダ送受信部の動作を制御する制御部とを有
することを特徴とする。
【0012】本発明に係る気象レーダ装置は、互いに異
なる地点に配置された複数の前記レーダ送受信部と、前
記レーダ送受信部より広い覆域を有するセンチ波帯の
域レーダ送受信部と、前記広域レーダ送受信部の受信信
号に基づいて、前記レーダ送受信部により観測すべき観
測対象領域を決定し、前記各レーダ送受信部の動作を制
御する制御部とを有することを特徴とする。
【0013】
【0014】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]次に、本発明の
実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】図1は、本発明の実施の形態である気象レ
ーダ装置の概略のブロック図である。本装置は、レーダ
送受信部2、信号処理部4、表示部6を含んで構成され
る。
【0016】レーダ送受信部2は、レーダアンテナ20
を備えた送受信器22を含み、レーダアンテナ20は例
えば方位角方向の回転走査と仰角方向のセクタ走査とが
可能なように構成される。送受信器22は、レーダアン
テナ20を介して例えばセンチ波帯の電波を放射し、そ
の反射波を受信する。
【0017】図2は、本装置による積乱雲の観測におけ
るレーダビーム走査を説明する模式図である。レーダア
ンテナ20は、仰角を制御されて積乱雲24の雲頂から
底部までの範囲を走査し、そのエコーに基づいて本装置
は後述するセル26の高度の変化を観測して所定の気象
現象を予測するものである。
【0018】レーダ送受信部2にて検波された受信信号
は信号処理部4に入力される。信号処理部4は、受信信
号に対し、レーダ装置に一般的な信号処理を行うととも
に、本発明に係る処理を行うセル降下検知処理部32、
高度検知処理部34、気象現象予測処理部36を含んで
いる。
【0019】図3は、積乱雲の成長過程を示す模式図で
あり、それぞれ積乱雲の縦断面図を表している。これを
用いて本装置の特徴的処理の概略を説明する。図3
(a)〜(c)は、それぞれ成長初期段階、成長中期段
階、成長後期段階を示している。雲頂高度は雲の成長と
ともに初期の雲50、中期の雲52、後期の雲54の順
に高くなる。また、成長とともに、雲を構成する水分の
状態も変化する。初期段階における雲50は、例えば水
蒸気などの細かい水滴により構成され、例えば5GHz
帯などのセンチ波のレーダビームでは観測が難しい。中
期段階における雲52になると、水滴の大きさは大きく
なり、また、雲52の内部の例えば上方にて冷却された
領域であるセル26が、その内部での水滴や氷粒の成長
に伴って下降を始める。この段階では、まだ、雲の下で
は雨が降っている可能性は小さい。後期段階における雲
54になると、雲頂高度は例えば10kmにもなり、水
滴がさらに成長し、雲の下では雨が降り始める。またこ
の段階になると、雲の内部を下降していたセル26が地
表付近に到達し、セル26によって押し下げられた空気
が、雲の底部から地表に向けて吹き出し、雲の下の領域
において突風が発生する可能性が高くなる。この吹き出
しがマイクロバーストとなりうる。また、セル26は帯
電しており、下降過程における摩擦によってその帯電量
はさらに増加する。そして、セル26が地表近くに達す
ることにより、地表との間の絶縁が維持されなくなって
雷が発生する可能性が高くなる。なお、このセル26の
下降は、短い時間に起こりうる。
【0020】さて、本装置のセル降下検知処理部32
は、上記降下するセル26の降下を、当該セル自身のエ
コーに基づいて検出する。高度検知処理部34はセル2
6が、例えばマイクロバーストや雷をまだ発生しない高
度であるがその警戒をすべき所定高度まで降下したこと
を検知し、気象現象予測処理部36は、セル26が所定
高度に達したことに基づいて、所定の気象現象の発生を
予報する。
【0021】図4は、本装置の信号処理部により行われ
る特徴的処理のフロー図である。レーダ送受信部2にて
観測されたエコーのボリュームデータ、すなわち反射強
度データが信号処理部4へ入力されると(S100)セ
ル検出処理部30が走査ボリュームを構成する各点の反
射強度データを順次、選択し(S105)、それが所定
の閾値以上の強度を有する有効反射強度データであるか
否かが判定される(S110)。この閾値(有効反射強
度)は、セル26により生じるエコー強度に基づいて定
められ、例えばこの処理S110によりセル26に起因
しないエコーは基本的に除去される。
【0022】処理S105にて選択されたデータが有効
反射強度データである場合には、レーダ送受信部2を中
心とした極座標系から直交座標系への座標変換が行われ
る。つまり、処理S105で選択された点のデータの座
標に関して、レーダ送受信部2を基準とした距離R、方
位角θ、仰角φで表される座標(R,θ,φ)から、水
平面内での位置を規定する直交する2軸であるx,y軸
及び高さを表すz軸で表される座標(x,y,z)への
変換が行われる。そして、当該データは、レーダアンテ
ナ20の最新の走査により得られたデータのうち以降の
処理で用いられるデータである実況有効反射強度データ
の集合の要素として登録される(S120)。一方、処
理S110にて、有効反射強度データではないと判定さ
れた場合には、以降の処理では基本的に用いられないた
め処理S115及び処理S120は行われない。以上処
理S105〜S120は、ボリュームの各点について繰
り返される。
【0023】最新時刻t0における有効反射強度データ
集合の作成が完了すると、それに先行する2時刻t-1
-2(t0>t-1>t-2)において処理S105〜S1
20によって作成された有効反射強度データ集合がセル
検出処理部30に読み込まれる(S125)。セル検出
処理部30は、この3つの連続する時刻t-2,t-1,t
0を用いて以降の処理を行う。
【0024】処理対象のボリュームはx,y座標値に基
づいて区画される。この区画をセグメントと称し、以降
の処理の単位として用いられる。セグメントは例えば、
ボリュームをx軸、y軸方向に一定間隔で分割して得ら
れる縦方向に延びる四角柱形状の空間領域である。この
複数のセグメントから順次、処理対象となるセグメント
が選択される(S130)。
【0025】セグメントが選択されると、当該セグメン
トに含まれる有効反射強度データが1つずつ選択され
(S135)、当該データについて基底エコーセルが定
義される(S140)。図5は、基底エコーセルを説明
する模式図である。各有効反射強度データが観測された
ボリューム内の領域は、例えばレーダ送受信部2の空間
分解能に応じた有限の広がりを有する。この有限の観測
単位領域を単位ボリュームと称する。処理S135にて
選択された処理対象データに対応する基底エコーセル
は、当該処理対象データの単位ボリューム150を中心
とした所定大きさの有効半径rの円で定義される水平面
内での広がりを有している。各セグメントからそれぞれ
選択される有効反射強度データに対応する基底エコーセ
ルは、共通の有効半径rを有するとともに、各有効反射
強度データに対応する単位ボリュームの直交座標系での
位置座標(a,b,h)と、その点での反射強度Zとい
うパラメータによって定義される。
【0026】続く処理S145では、基底エコーセルを
定義された有効反射強度データと相関関係を有する過去
(時刻t-2,t-1)の有効反射強度データが探索され
る。これにより、時刻t-2,t-1,t0における互いに
相関を有する単位ボリュームの組み合わせが求められ
る。ここで求められる相関を有する組み合わせは、単一
の単位ボリュームの異なる時刻における位置である可能
性が高い。図6は、基底エコーセルの相関処理S145
の詳細なフロー図である。処理S125で入力されてい
る有効反射強度データ集合から、前回のもの、すなわち
時刻t-1における有効反射強度データの集合が抽出され
(S200)、その集合の中から、各有効反射強度デー
タが得られた単位ボリュームの水平座標が、基底エコー
セルの半径rの円内にあるものが選択される(S20
5)。処理S205で形成された部分集合から、判定対
象となる有効反射強度データが順次取り出され(S21
0)、当該有効反射強度データと基底エコーセルの反射
強度Zとの差が許容変動値内であるかどうかが判定され
る(S215)。差が許容変動範囲内である場合には、
当該データに対応する単位ボリュームの座標情報が、前
回時刻に関して相関ありと判定されたデータ集合C-1
登録される(S220)。反射強度差に基づく判定処理
S215は、処理S205で選択された各データに対し
て行われ、それが完了すると(S225)、降下判定対
象となる3つの単位ボリュームの組み合わせの作成処理
S230に移る。
【0027】また前々回の観測時刻t-2についての有効
反射強度データについても、上記処理S200〜S22
5と同様の処理S240〜S265が行われ、前々回時
刻に関して相関ありと判定されたデータ集合C-2が作成
される。しかる後に、降下判定対象となる3つの単位ボ
リュームの組み合わせの作成処理S230に移る。
【0028】処理S230では、上記処理で作成された
前回観測時刻tー1及び前々回観測時刻tー2についての有
相関判定データ集合C-1,C-2からそれぞれ1つずつ要
素を取り出し、それら2つと基底エコーセルとにより形
成される3つの単位ボリュームの組み合わせをすべて作
成する。
【0029】図4に戻って、処理S145で作成された
3つの単位ボリュームの組み合わせのいずれかについ
て、それに含まれる3つの時刻における単位ボリューム
のz座標を比較した結果、時刻t-2,tー1、t0の順に
高度が低くなると判断された場合、つまり基底エコーセ
ルに対応する単位ボリュームが降下していると判断され
た場合(S300)、基底エコーセルの高度が所定高度
閾値より低いか否かが判定される(S305)。この処
理S305は高度検知処理部34により行われる。基底
エコーセルの高度が閾値より低いと判定された場合は、
セル26が当該所定高度閾値に到達したと判断され、当
該基底エコーセルの情報が、当該セグメントにおける降
下エコーセルとして登録される(S310)。降下エコ
ーセルが検出された場合には、他のセグメントに対し
て、上述の処理を繰り返す(S315)。一方、処理S
300にて基底エコーセルが降下していない判定された
場合や、基底エコーセルが降下していても、判定処理S
305において所定高度閾値に達していないと判定され
た場合は、同一セグメント内で未選択の有効反射強度デ
ータがあるかどうかが調べられ(S320)、存在する
と判定された場合は(S325)、処理S135に戻
り、それを処理対象有効反射強度データとして選択し上
述の処理を繰り返す。もし、同一セグメント内のすべて
の有効反射強度データについて処理済みである場合に
は、他のセグメントに対しての上述の処理に移る。
【0030】このようにして、すべてのセグメントにつ
いて処理が行われ、セグメント毎の降下エコーセルの集
合が得られる。この降下エコーセルデータの集合が気象
現象予測処理部36に渡される(S330)。その後、
次の観測時刻において反射強度データに基づいて有効反
射強度データ集合が更新され(S335)、時刻毎に同
様の処理が降下検知処理部32及び高度検知処理部34
おいて繰り返される。
【0031】気象現象予測処理部36は、降下エコーセ
ルのデータに基づいて、マイクロバーストや発雷という
気象現象の可能性を予測する。その際に、気象現象予測
処理部36は、降下エコーセルが検知されたセグメント
の数や範囲に応じて、それら気象現象の規模や発生領域
を予測する。また、処理S305の高度閾値を調整する
ことにより、それら気象現象の発生時期と精度を調整す
ることも考えられる。例えば、その高度閾値を高くする
ことにより早期の予測が可能となり、逆に低くすること
により、発生までの余裕時間は短くなる反面、発生の可
能性や場所、タイミングの予測精度が向上されるであろ
う。
【0032】また処理S305の降下エコーセル判定の
高度閾値は、気温や湿度等、レーダ装置以外で得られる
データを取り込んで定めるように構成することにより、
適切な気象現象予測が可能となるであろう。例えば、当
該高度閾値は、季節に応じて変えることができる。
【0033】ちなみに、上記信号処理部4における降下
検知処理部32、高度検知処理部34、気象現象予測処
理部36はCPU(中央演算処理装置)にて実行される
プログラムとして実現することができる。
【0034】表示部6は、例えば、積乱雲の縦断面のエ
コー像を表示したり、そのエコー像に重ねて処理S30
0にて降下していると判断された基底エコーセルの高度
に応じた位置に何らかの表示を行ったりする。また、降
下エコーセルが検知されたセグメントの分布図を表示し
たりすることにより、予測結果を視覚的に観測者に提示
することができる。
【0035】なお、本発明の特徴は、マイクロバースト
や雷を引き起こす原因となる、積乱雲の中のセル26の
降下を検知して、マイクロバースト発生や発雷を早期に
予測する点にある。ここで降下検知処理部32におけ
る、レーダのエコー強度分布に基づくセル26の降下の
検知処理は、上述のものに限られない。上述の処理は、
単位ボリュームの相関に基づいて、セル26を構成する
単位ボリュームの降下を検知し、それが所定高度閾値に
達したか否かを判定するという、ある意味でミクロ的な
処理である。これに対して、例えば、反射強度が大きい
ことなどに基づいてセル26の全体領域を検出し、その
全体領域の下降を観測することにより上記気象現象の発
生を予測するといったマクロ的なアプローチも可能であ
る。例えば、そのようなアプローチではセル26の規模
が把握され、それを発生する気象現象の予測に反映する
こともできるであろう。
【0036】[実施の形態2]雲の中においては氷晶と
水滴と双方の成長が起こりうるが、氷晶は水滴に比べ成
長速度が速いため、水蒸気から氷晶への相変化の量が多
く、ほとんどの降水現象においては大気中の水分が氷晶
となる過程が存在する。
【0037】しかし、センチ波レーダは、降水粒子に比
べて氷晶に対する感度が低い。これに対し、ミリ波レー
ダは雲粒段階での氷晶のエコー像を十分な強度で得るこ
とができるという特徴を有している。本発明の第2の実
施の形態に係る気象レーダ装置はこのことを利用したも
のである。
【0038】図7は、本発明の第2の実施の形態である
気象レーダ装置の概略のブロック図である。図におい
て、上記実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を
付し、説明を省略する。本装置が、上記実施の形態の装
置と異なる点は、レーダ送受信部402が、センチ波で
はなくミリ波のレーダビームを送受信する点にある。こ
れに応じて、レーダアンテナ420、送受信器422も
ミリ波に対応したものが用いられる。
【0039】本装置の信号処理部4の降下検知処理部3
2、高度検知処理部34、気象現象予測処理部36は、
このようなミリ波を用いるレーダ送受信部2からの受信
信号に対して、上記実施の形態と基本的に同様の処理を
行う。
【0040】しかし本装置は、気象現象中に現れる氷晶
を観測することにより、降水が始まる前の雲の発達期を
も精度よく観測することができ、具体的にはセル26が
降水粒子よりも氷晶を多く含むような早い段階から、そ
のセル26の降下を検知、観測することができる。その
ため、マイクロバーストや発雷といった気象現象をより
速い段階から観測することができ、精度のよい予測を行
うことができる。なお、本装置は、第1の実施の形態に
係る装置よりも上空のセル26を検知し、その降下を早
期に検出するものであるため、図4に示す処理S305
の所定高度閾値は、基本的には第1の実施の形態よりも
高く設定される。
【0041】[実施の形態3]図8は、本発明の第3の
実施の形態に係る気象レーダシステムを説明する模式図
である。本気象レーダシステムは、複数の気象レーダ装
置を含んで構成される。具体的には、本システムは、セ
ンチ波を用いて観測するセンチ波気象レーダ装置500
とミリ波を用いて観測するミリ波気象レーダ装置502
とを含んで構成される。上述したように、センチ波を用
いたレーダ装置は、降水粒子が形成された、すなわち雨
が降っている状態を観測することはできるが、降水粒子
が未だ形成されていない発達途中の状態を観測すること
が困難である。この発達途中の状態は、氷晶のエコーを
得ることができるミリ波レーダ装置によれば観測するこ
とができる。一方、センチ波はミリ波に比べて覆域が大
きいという特徴を有している。
【0042】本システムは、このセンチ波とミリ波との
性質の違いを利用したものであり、センチ波気象レーダ
装置500により広域を観測し、ミリ波気象レーダ装置
502は、センチ波気象レーダ装置500の観測結果に
基づいて動作する精測レーダとして用いる。センチ波気
象レーダ装置500は、第1の実施の形態に係る気象レ
ーダ装置であってもよいし、一般の気象レーダ装置であ
ってもよい。一方、ミリ波気象レーダ装置502は、基
本的に第2の実施の形態に係る気象レーダ装置である。
【0043】例えば、センチ波気象レーダ装置500
は、広域の全体的な天候を観測し、例えば、雨域がどこ
に広がり、どちらへ移動しているかといったことを観測
し、ミリ波気象レーダ装置502へ伝達する。ミリ波気
象レーダ装置502はセンチ波気象レーダ装置500か
らの情報に基づいて、例えばレーダの走査範囲を天候が
悪化してくる方向に限定して時間分解能の向上を図った
り、天候が悪化してくると予想される領域からの受信信
号のみを信号処理することにより、信号処理部4の負荷
を軽減することができる。
【0044】また、ミリ波気象レーダ装置502は、セ
ンチ波気象レーダ装置500と同一地点に配置すること
もできるが、互いに異なる地点に配置することもでき
る。
【0045】また、ミリ波気象レーダ装置502を、セ
ンチ波気象レーダ装置500の覆域に複数配置すること
もできる。例えば、ミリ波気象レーダ装置502を空港
や電力設備の存在する拠点近傍に配置し、当該拠の気象
レーダ装置それぞれをセンチ波気象レーダ装置500か
らの観測結果により制御するように構成することができ
る。なお、この場合、センチ波気象レーダ装置500と
ミリ波気象レーダ装置502との間は、電話回線等の通
信回線を用いて接続される。
【0046】このように大気による減衰の大きいミリ波
レーダの性質を、広域観測が可能なセンチ波レーダによ
り補うことで、ミリ波気象レーダ装置502によるより
精度のよい発雷、マイクロバーストの予測が行われ、各
拠点に有効な予測情報を提供することができる。
【0047】
【発明の効果】本発明の気象レーダ装置によれば、複数
時刻におけるエコー強度分布に基づいてセルの降下を検
知し、それに基づいてその下方での気象現象の発生予測
が行われる。本発明によれば、マイクロバーストや発雷
といった気象現象が発生する前に、それらを引き起こす
セルの降下を直接検知することにより、それら気象現象
の早期の予測が可能となる効果が得られる。
【0048】また本発明の気象レーダ装置によれば、広
域レーダ送受信部を有し、広域レーダ送受信部の受信信
号に基づいてレーダ送受信部の動作が制御される。これ
により、広域レーダ送受信部が大域的な気象現象の状況
を検知し、レーダ送受信部の走査範囲に観測対象となる
気象現象が到達する、又は発生することを予測すること
ができるので、レーダ送受信部は目的とする気象現象を
見逃すことがなくなるとともに、観測対象とする気象現
象の検知までの時間が省略されるという効果が得られ
る。
【0049】また本発明の気象レーダ装置によれば、レ
ーダ送受信部がミリ波帯の電波を送受信することによ
り、降水粒子が生成される以前の、氷晶の分布のエコー
を得ることができ、高度検知処理部における高度の閾値
は、降水粒子が生じるような低い位置ではなく、氷晶が
存在する高い位置に設定でき、一層早期の予測が可能と
なる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態である気象レーダ
装置の概略のブロック図である。
【図2】 本装置による積乱雲の観測におけるレーダビ
ーム走査を説明する模式図である。
【図3】 積乱雲の成長過程を示す、積乱雲の縦断面の
模式図である。
【図4】 本装置の信号処理部により行われる特徴的処
理のフロー図である。
【図5】 本装置の処理に係わる基底エコーセルの概念
を説明する模式図である。
【図6】 基底エコーセルの相関処理の詳細なフロー図
である。
【図7】 本発明の第2の実施の形態である気象レーダ
装置の概略のブロック図である。
【図8】 本発明の第3の実施の形態に係る気象レーダ
システムを説明する模式図である。
【図9】 積乱雲を観測して発雷を予測する従来の気象
レーダを説明する模式図である。
【符号の説明】
2,402 レーダ送受信部、4 信号処理部、6 表
示部、20,420レーダアンテナ、22,422 送
受信器、24 積乱雲、26 セル、32セル降下検知
処理部、34 高度検知処理部、36 気象現象予測処
理部、500 センチ波気象レーダ装置、502 ミリ
波気象レーダ装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若山 俊夫 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (72)発明者 田中 久理 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−122433(JP,A) 特開 昭62−118283(JP,A) 特開 平7−110378(JP,A) 特開 平10−227872(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95 G01W 1/00 - 1/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の仰角についてミリ波帯の電波を送
    受信するレーダ送受信部と、エコー強度分布に基づいて
    所定の気象状態を検知する信号処理部とを含んだ気象レ
    ーダ装置であって、 前記信号処理部は、前記エコー強度分布に対し、セルに
    よる氷晶のエコー強度に基づいて定められた所定反射率
    以上の強度を有するかを判定してセルに起因するエコー
    を取り出し、取り出したエコーを複数時刻について処理
    することでセルの降下を検知するセル降下検知手段を有
    し、 降下する前記セルの下方での所定気象現象の発生予測を
    可能とすることを特徴とする気象レーダ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の気象レーダ装置におい
    て、 前記信号処理部は、 降下する前記セルが所定高度に達したことを検知する高
    度検知手段と、 前記セルの所定高度到達に基づいて、所定気象現象の発
    生を予測する気象現象予測部と、 を有することを特徴とする気象レーダ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の気象レー
    ダ装置において、 前記セル降下検知手段は、 前記エコー強度分布をそれぞれ構成し前記所定高反射率
    を有する単位ボリュームであって互いに異なる前記時刻
    に属するもの同士の組み合わせの中から、当該単位ボリ
    ューム同士の水平間隔及びエコー強度差に基づいて相関
    関係を有するものを検出し、 前記相関関係を検知された前記組み合わせにおける前記
    単位ボリュームの高度の変化に基づいて前記セルの降下
    を検知すること、 を特徴とする気象レーダ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の気象レーダ装置において、 前記レーダ送受信部より広い覆域を有するセンチ波帯の
    広域レーダ送受信部と、 前記広域レーダ送受信部の受信信号に基づいて、前記レ
    ーダ送受信部により観測すべき観測対象領域を決定し、
    前記レーダ送受信部の動作を制御する制御部と、 を有することを特徴とする気象レーダ装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の気象レーダ装置において、 互いに異なる地点に配置された複数の前記レーダ送受信
    部と、 前記レーダ送受信部より広い覆域を有する広域レーダ送
    受信部と、 前記広域レーダ送受信部の受信信号に基づいて、前記レ
    ーダ送受信部により観測すべき観測対象領域を決定し、
    前記各レーダ送受信部の動作を制御する制御部と、 を有することを特徴とする気象レーダ装置。
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