JP3462282B2 - 樹脂封止型半導体装置、電子回路装置およびこの製造方法 - Google Patents

樹脂封止型半導体装置、電子回路装置およびこの製造方法

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JP3462282B2
JP3462282B2 JP29522394A JP29522394A JP3462282B2 JP 3462282 B2 JP3462282 B2 JP 3462282B2 JP 29522394 A JP29522394 A JP 29522394A JP 29522394 A JP29522394 A JP 29522394A JP 3462282 B2 JP3462282 B2 JP 3462282B2
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  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂封止型半導体装置
および電子回路装置に係わり、特に片面封止型半導体装
置、並びにボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ
を実装した電子回路装置およびこの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、表面実装型多端子LSIパッケー
ジとして、パッケージの4つの側面からリードが導出さ
れたQFP(Quad Flat Package)が
広く知られている。このQFPパッケージは、製造コス
トが低く、端子間のピッチを狭くすることによって、パ
ッケージの寸法を変えることなく入出力端子の増加が可
能であることから、種々の機器に使用されてきた。例え
ば、ピッチ間隔は、これまでの1mmから徐々に0.4
mmへと短くなり、端子数は250ピンまで増加してい
る。しかしながら、QFPのリード端子は変形し易いも
のであり、端子が変形すると、パッケージをプリント基
板に正常にはんだ付けできなくなるおそれがでてくる。
【0003】また、最近では、I/Oピンの増加に伴っ
てOLB(Outer LeadBonding)ピッ
チが狭くなり、従来のQFPでは回路配線基板への接続
が困難となりつつある。
【0004】そこで、半導体素子をOMPAC(Ove
rmolded Pad Array Carrie
r)化することで配線基板への接続を可能にする方法が
新たに提案されている(Electronic Pac
kaging and Production p25
May 1992)。このOMPACパッケージは、
PGA(Pin Grid Array)パッケージの
ピンの代わりに、パッケージ基板の裏面に形成されたは
んだバンプ電極を、パッケージと回路配線基板との接続
に用いる構造であり、BGA(Ball Grid A
rray)パッケージとして知られ、高密度パッケージ
技術の主流となりつつある。
【0005】BGAパッケージにおいては、端子である
球形のはんだバンプは、パッケージ基板の裏面に二次元
のアレイ状に配列されているので、端子ピッチはQFP
よりもはるかに広くなる。また、端子をはんだで形成し
たBGAパッケージは、はんだ組成を均一にすることに
より、他の表面実装型部品とまとめてはんだ付けも可能
である。したがって、実装時における不良発生率は、プ
ラスチックQFPよりもはるかに低くなる。また、端子
数を増加させることによって、LSIチップから放熱用
スルーホールを通じてはんだ端子に熱を逃し、熱抵抗を
減少させることができるので、高発熱パッケージに対し
ても有利である。
【0006】このようなプラスチックBGAは、基板の
裏面に入出力用のはんだ端子を有しているので、基板で
ある金属製フレームの上にLSIチップを実装し、モー
ルド樹脂で基板の上下を封止するような、QFP等の従
来のLSIパッケージとは異なる構造である。すなわ
ち、プラスチックBGAの基板は、プリント配線基板と
同じ材質からなる樹脂製であり、この上にLSIチップ
を搭載した後、チップが搭載された基板の上面のみがモ
ールド樹脂で覆われる。
【0007】このため、プラスチックBGAにおいて
は、樹脂の収縮による基板の反りは避けられない問題で
あった。基板の反りは、パッケージ寸法が大きくなるに
したがって、すなわち、端子数が増加するにしたがって
増大する。はんだ端子底面の高さのばらつきは、例え
ば、130μmにも及ぶことがあり、300ピンを越え
るような多端子LSIパッケージの製造は難しいと予想
されている。
【0008】このため、端子数の増加が妨げられ、現在
のBGAの端子数は、QFPでも十分に供給し得る端子
数であるので、プラスチックBGAの利点を十分に得ら
れないのが現状である。
【0009】一方、BGAパッケージを回路配線基板に
実装して電子回路装置を製造するにあたっては、バンプ
によって接続するために、従来のフリップチップ実装の
場合と同様にバンプ電極部分に応力歪みが発生するとい
う問題がある。この応力歪みは、バンプ電極を破壊する
原因となり、さらには電子回路装置の信頼性寿命を低下
させることになる。
【0010】なお、信頼性寿命は、下記式(1)で表さ
れるサイクル寿命の式において、バンプ電極に発生する
最大剪断歪γmax を減少させることによって向上するこ
とが知られている(IBM J.Res.Develo
p.,13;251(1969))。
【0011】 Nf=Cf1/3 γmax ・exp(1428/Tmax ) (1) (C;定数、f;周波数、Tmax ;最大温度) ここで、最大剪断歪γmax は、下記式(2)で表され
る。
【0012】 γmax ={1/(Dmin /2)2/β}(V/πh1+β1/β・d・ΔT・Δα (2) (Dmin ;最小バンプ径、β;材料定数、V;はんだ体
積、h;はんだ高さ Δα;熱膨張係数の差、ΔT;温度差、d;チップ中心
からバンプ中心までの距離) したがって、従来のフリップチップ実装技術において
は、以下に挙げるような手段を用いてバンプ電極に発生
する応力を減少させてきた。すなわち、(1)半導体チ
ップの中心点からバンプ電極の中心までの距離を小さく
する、(2)半導体チップの熱膨張係数と回路配線基板
の熱膨張係数との差を小さくする、(3)接続部の温度
変化が大きくならないように放熱性を向上させる、
(4)発生する応力歪みを充分に吸収できるようにバン
プ電極の構造を改良する、(5)半導体チップと回路配
線基板との間隙に樹脂を充填することによってフリップ
チップ実装構造を強固にする等の手段である。
【0013】これらの方法の中でも特に、(5)のよう
に半導体チップと回路配線基板の間隙に樹脂を充填して
チップと回路配線基板とを樹脂によって一体化すると、
応力歪みによる半導体チップの変位量と回路配線基板の
変位量とを一致させることができるので、電子回路装置
の信頼性が向上する。近年のフリップチップ実装におい
ては、熱膨張係数が極めて大きいガラスエポキシ基板が
用いられているので、このようにチップと基板との間隙
に樹脂を充填する方法が、信頼性の向上のために極めて
有効であるとされている。
【0014】なお、方法(5)を用いた従来のフリップ
チップ実装構造は、図16に示すような構造である。す
なわち、回路配線基板51の表面に半導体チップ52が
バンプ53によって実装されており、基板51と半導体
チップ52との間隙には、樹脂54が充填されている。
【0015】具体的には、例えば、樹脂を充填する方法
(特開昭61−194732号公報)、紫外線硬化樹脂
を封止する方法(特開昭62−252946号公報)、
常温硬化樹脂で間隙を封止する方法(特開昭63−13
337号公報)、さらには、封止する樹脂の物性を最適
にする方法(特開平4−219944号公報)など多く
の方法が挙げられる。
【0016】しかしながら、未硬化の熱硬化性樹脂を予
めポッティングした回路配線基板上に半導体チップを圧
着する方法では、バンプ電極と回路配線基板との電極端
子部分に樹脂が残留しやすく、接続抵抗が高くなるとい
う問題があった。
【0017】そこで、半導体チップを回路配線基板の上
に配置し、半導体チップと回路配線基板との間隙近傍
に、流動性を有する未硬化樹脂をポッティングし、毛細
管現象を利用して間隙全体に樹脂を含浸させた後、樹脂
を硬化させる方法(Electronic Compo
nents and Technology Conf
erence Proceeding,1993 p1
75)が提案されており、この方法をBGAパッケージ
の実装の際に適用することが考えられる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】BGAパッケージにお
いて樹脂封止の際に発生する基板の反りの問題を解決す
るために、構造に工夫を施したパッケージがいくつか開
発されている。その一つとして基板の厚さを増大させる
ことが提案されているが、パッケージ全体の厚さが増大
してしまい、さらに放熱特性の低下、コストの増大等の
問題が発生する。セラミックス製の基板を用いると、基
板の反りを防止することができるが、この場合にはコス
トや製造工程が増加してしまう。
【0019】また、QFP等の従来のパッケージの場合
には、上下の金型が完全に噛み合って形成された空間に
樹脂を充填することによって封止されるので、金型の隙
間から流れ出す樹脂バリは問題とはならなかったが、B
GAパッケージでは金型とプラスチック基板との間に樹
脂を流し込むことによって封止するために、プラスチッ
ク基板の精度や変形に起因して、樹脂バリの発生が大き
くなるという問題がある。
【0020】一方、BGAパッケージを回路配線基板に
実装する場合には、従来のフリップチップ実装技術を適
用しても、信頼性を向上させることが不可能であった。
すなわち、パッケージと回路配線基板との間隙に樹脂を
含浸した場合には、この間隙の寸法が100〜200μ
mと、フリップチップ実装の場合(20〜50μm)に
比較して大きいため、毛細管現象によって樹脂を間隙全
体に含浸させることができなかった。また、間隙寸法に
加えて、BGAパッケージ寸法も半導体チップより大き
いため、温度サイクルにより発生する応力もフリップチ
ップ実装の場合と比較して大きくなる。このため、間隙
に配置された樹脂によって応力を緩和しきれず、樹脂自
体が破壊してしまった。
【0021】間隙への樹脂の含浸を容易に行なうために
バンプ電極高さを低くしても、含浸速度を十分に増加さ
せることはできず、石英フィラを添加することによって
樹脂の熱膨脹係数を20ppm/℃〜40ppm/℃に
減少させた場合には、含浸速度が極めて遅くなってしま
った。
【0022】正方形状を有するパッケージの一辺に樹脂
をポッティングするため、樹脂の含浸速度が遅いと、他
の3辺に対しては樹脂が均一にパッケージ周囲に配置さ
れなくなる。その結果、パッケージの一辺に応力が集中
し、パッケージ全体が基板から剥がれるという現象が生
じた。
【0023】また、圧接時間を充分に長くして緩やかに
圧接を行った場合には、リフローの際に樹脂が変形して
しまい、いずれの手段を用いても、BGAパッケージの
回路配線基板への実装においては、基板との間隙に樹脂
を配置することによって、バンプに加わる応力を低減す
ることは困難であった。また、たとえ含浸が可能であっ
たとしても、含浸に時間が極めて長くかかるために工程
上問題があった。
【0024】そこで、本発明は、半導体チップが実装さ
れた基板の面のみを樹脂封止する半導体装置であって、
パッケージ基板の反りを低減した樹脂封止型半導体装置
を提供することを目的とする。
【0025】また、本発明は、BGAパッケージ基板と
回路配線基板との間のバンプに発生する応力歪みを低減
し、信頼性寿命を向上させた電子回路装置、およびその
製造方法を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、裏面に入出力端子用のはんだバンプが二
次元に配列された基板と、この基板の表面に実装された
半導体素子とを具備し、前記半導体素子が実装された基
板の表面を、片面に収縮防止板が取り付けられた樹脂シ
ートで封止したことを特徴とする樹脂封止型半導体装置
を提供する。
【0027】
【0028】さらに、本発明、裏面に入出力端子用の
はんだバンプが二次元に配列されたパッケージ基板、お
よびこの基板の表面に実装された半導体素子を含む半導
体パッケージと、前記パッケージを接続搭載する回路配
線基板とを具備する電子回路装置において、前記パッケ
ージ基板と回路配線基板との間隙に、厚さ方向において
段階的に熱膨張係数を異にする熱硬化性樹脂シートを配
置したことを特徴とする電子回路装置を提供する。
【0029】以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】本発明の樹脂封止型半導体装置において、
半導体素子を実装する基板の材質としては、プラスチッ
ク、フィルムキャリア、およびセラミックス等が上げら
れ、具体的には、リードフレーム、TAB等を使用する
ことができる。
【0031】特に、本発明は、回路配線基板に実装され
る側の面に入出力端子用の球形のはんだバンプが二次元
に配列されたボールグリッドアレイ(BGA)パッケー
ジの場合に効果を発揮する。
【0032】また、本発明において基板に実装される半
導体素子の種類は、特に制限されない。
【0033】以下、本発明の樹脂封止型半導体装置の第
1の態様について詳細に説明する。
【0034】半導体素子が実装された基板の面を封止す
るために用いられる未硬化樹脂は、ワイヤー、インナー
リードやチップ表面に対するダメージ、さらに成形性等
を考慮すると、加熱された際の溶融粘度が3000Pa
・s以下であることが望まれる。なお、溶融粘度が10
00Pa・s以下であると、良好なパッケージが得られ
るのでより好ましい。一方、金型と半導体チップを搭載
した基板との間からの樹脂の流出を防ぐためには、ある
程度の高粘度である必要が有り、20Pa・s以上であ
ることが求められる。特に、50Pa・s以上にすると
バリの発生が少ない。
【0035】本発明においては、予めシート状に成形し
た未硬化樹脂を使用して半導体装置を製造する。
【0036】図1に、樹脂シートを用いた封止方法の具
体例を表わす工程図を示す。
【0037】まず、図1(a)に示すように半導体素子
3がボンディングワイヤ4によって実装された基板1の
上に封止用樹脂シート5を配置する。なお、基板1の裏
面には、入出力端子用のはんだバンプ2が二次元に配列
されている。
【0038】次に、図1(b)に示すように外側金型7
を締め、パッケージとの隙間を埋めてバリの発生を抑え
る。最後に、図1(c)に示すように内側金型8を締め
て、加圧しながら樹脂を硬化させることによって、第1
の態様の樹脂封止型半導体装置が得られる。
【0039】なお、圧縮成形の際には、ボイドの発生を
防止するために、金型内を減圧することもできる。さら
に成形後にパッケージの各種特性を向上させるために、
アフターキュアを行うことが望ましい。
【0040】また、用いられる金型の寸法は、樹脂シー
トの寸法と等しいか、幾分大きいことが好ましく、一
方、金型内の容積は、樹脂シートの体積より幾分小さく
して、成形時に樹脂が加圧されるように設計したものを
用いることが望ましい。さらに、加圧時に余分な樹脂を
放出できるように、エアベンドを金型に設けてもよい。
【0041】このように樹脂シートを用いることによっ
て、封止工程がインライン化できるので、多品種少量生
産に適したフレキシブルな製造方法となる。すなわち、
半導体チップを接続した片面配線基板をベルトの上に載
せて搬送しつつ、所定の寸法にカットされた封止用樹脂
シートをマガジン方式で供給することにより、連続工程
で封止を行うことができる。
【0042】本発明においては、成形後の樹脂の弾性率
および力学正接損失Tanδが特定の範囲の樹脂層を用
いる。
【0043】以下、材料の弾性と粘性とについて詳細に
説明する。
【0044】いかなる材料でも、弾性と粘性とを多かれ
少なかれ併せもつ粘弾性体であり、正弦的に振動を与え
た動的粘弾性測定を行なうと、刺激としての力(応力)
と応答して歪みとの間に位相のずれが生じる。
【0045】材料を図2(a)に示すような弾性体と粘
性体との組み合わせと仮定して定常的な振動歪み γ(t)=γ0 iωt としたとき、応力緩和時間をτとすると応力は、 σ(t)=Gγ0 (iωτ/(1+iωτ))eiωt となり、Gγ0 (iωτ/(1+iωτ))となる振幅
で角速度ωの振動を行なっていることを示している。
【0046】弾性率の定義としての応力を歪みで割った
値、すなわち、σ(t)/γ(t)を複素弾性率G*
すると、 G* (iω)=G(iωτ/(1+iωτ)) =G´(ω)+iG''(ω) ここで、 G´(ω)=G(ω2 τ2 /(1+ω2 τ2 )) G''(ω)=G(ωτ/(1+ω2 τ2 )) 関数G´(ω)およびG''(ω)をそれぞれ貯蔵弾性率
および損失弾性率と称し、 σ(t)=σ0 i(ωt+δ) と表わすことができ、また、応力の振幅と歪みの振幅と
の間に位相すすみ角δがあることがわかり、力学正接損
失Tanδは、 Tanδ=G''(ω)/G´(ω) で与えられる。
【0047】図2(b)に、応力および歪みの絶対振幅
の位相関係を示す。実験的には、図2(b)のような応
力および歪みの定常的な時間変化を記録して、σ0 、γ
0 および(δ/ω)を求め、それぞれの式に代入して複
素弾性率およびTanδを求める。
【0048】本発明において、成形後の樹脂の弾性率は
6.5×109 Pa以下であり、封止後の基板の反りの
割合は6%以内であることが好ましい。反りの割合は、
図3を参照すると、((L′−L)/L)で表わされ、
ここでLおよびL´は、それぞれ基板の厚さと封止樹脂
の厚さとの合計、および基板に反りが生じた後の最大値
である。そこで、弾性率をa1 (Pa)、熱膨張率をb
1 (1/K)とし、前記配線基板の熱膨張率をb2 (1
/K)としたとき、|b1 −b2 |×a1 <5×105
の関係を満たすように、それぞれの値を選択することが
望ましい。さらに、反りを十分に低減するためには、弾
性率a1 は5×109 Pa未満であり、|b1 −b2
×a1 <3×105 であることが好ましい。弾性率a1
は5×109 Pa未満であって、|b1 −b2 |×a1
<1×105 であると、反りを完全に防止することがで
きるので、最も好ましい。
【0049】これらの樹脂の成形後のTanδが0.0
5以上であり、0.1以上であると反りを充分に低減す
ることができるので好ましい。さらに、成形後のTan
δが0.2以上であると反りを完全に防止することがで
きるので、より好ましい。
【0050】なお、このような樹脂としては、熱硬化性
樹脂が挙げられる。
【0051】本発明で使用され得る熱硬化性樹脂として
は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミ
ド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、およびアクリル樹脂等が挙げられ、これらの樹
脂は単独、または組み合わせて用いてもよい。なお、こ
れらの熱硬化性樹脂を使用する際には、成形時に使用さ
れる金型を加熱する、または誘導加熱により未硬化樹脂
のみを選択的に加熱するなどの方法を用いて硬化させる
ことができる。
【0052】上述の熱硬化性樹脂の中でも、特にエポキ
シ樹脂の使用が好ましく、一分子中にエポキシ基を少な
くとも2個以上有するものであれば、任意のものを使用
することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹
脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂などがあげら
れ、これらは単独あるいは2種以上の混合系で使用する
ことができる。
【0053】本発明の半導体装置に用いられる樹脂に
は、弾性率の低いゴムを添加することが好ましい。
【0054】ゴム成分を使用することによって、封止樹
脂の弾性率が低下するのみならず、基板と樹脂との密着
性が増加するので、パッケージトータルの吸水率を低下
させる。したがって、リフロー時のクラック発生を押さ
えることができ、半導体装置の信頼性がより向上する。
【0055】使用が好ましいゴムとしては、例えば、ス
チレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴ
ム、アクリルニトリルブタジエン共重合ゴム、クロロプ
レンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴ
ム、多硫化ゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、フ
ッ化ビニリデンゴム、アクリルゴム、および天然ゴム等
が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーとしてスチ
レン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、
ポリアミド系、ポリブタジエン系、塩化ビニル系、およ
びフッ素系等を使用してもよい。
【0056】これらのゴムの中で、特に使用が好ましい
ものとして、フッ素ゴムおよびシリコーンゴムが挙げら
れる。フッ素ゴムは、顕著な耐熱性、耐薬品性、耐酸化
性を有しており、また。およびシリコーンゴムは、耐
熱、耐寒性に優れ、広い温度範囲で圧縮復元性を示し、
耐油性、耐水性、耐候性、および耐コロナ性が良好で、
電気特性に優れている。いずれのゴムも、半導体封止用
として最適である。
【0057】これらのゴムは、単独で用いても組み合わ
せてもよく、また、エポキシ樹脂と組み合わせて用いる
ことも可能である。
【0058】このようなゴムを硬化させるための加硫剤
としては、硫黄系加硫剤、過酸化物、金属酸化物、多官
能アミン、キノンジオキシム、およびメチロール樹脂等
を使用することができ、特に、硫黄系加硫剤および過酸
化物加硫剤が好ましい。
【0059】硫黄系の具体例としては、粉末硫黄、不溶
性硫黄(ガンマ型結晶)、コロイド硫黄等、塩化硫黄、
セレン、テルル、チウラムジスルフィド、チウラムテト
ラスルフィド、モルフォリン誘導体、ジチオカルバミン
酸セレン、およびアルキルフェノールポリスルフィド等
が挙げられる。
【0060】また、過酸化物としては、無機過酸化物、
有機けい素過酸化物、および有機過酸化物等が挙げられ
る。使用が好ましい有機過酸化物としてベンゾイルパー
オキサイド、過酸化ベンゾイル、1,1−ジ−t−ブチ
ルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、ジ−t−ブチルペルオキシド(TBP)、t−ブチ
ルクミルペルオキシド(BCPO)、ジクミルペルオキ
シド(DCP)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルペルオキシ)ヘキサン(TBPH)、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン
(TBPH−3)、1,3−ビス(t−ブチルペルオキ
シ−iso−プロピル)ベンゼン(BPOPB)、t−
ブチルペルオキシ−iso−プロピルカルボナート等が
ある。
【0061】また、これらに加硫促進剤を加えることも
可能である。加硫促進剤としては、例えば、2−メルカ
プトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾールジスルフィ
ド、2−メルカプトベンゾチアゾールの銅塩、N−シク
ロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド、
N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジル−スルフェ
ンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジ
ル−スルフェンアミド、N,N−ジエチルチオカーバモ
イル−2−ベンゾチアジルスルフィド、ヘキサメチレン
テトラミン、ジフェニルグアニジン、テトラメチルチウ
ラム−モノスルフィド、ジメチルジチオカーバミン酸亜
鉛等を使用することができる。
【0062】これらのゴム成分を封止樹脂に添加する場
合には、封止樹脂の有機成分に対する割合は、5%以上
であり、さらに反りの低減や密着性の向上を考慮する
と、10%以上含まれることが好ましい。特に、20%
以上とすると、反りを完全に無くして吸水率を低減し十
分な信頼性を得ることができるので、より好ましい。
【0063】本発明に用いられる樹脂には、前述のゴム
成分に加えて、硬化剤、硬化促進剤、可塑剤、離型剤、
難燃剤、充填材、低応力添加剤、その他各種添加剤を添
加することができる。
【0064】硬化剤としては、アミン酸、酸無水物、お
よび脂肪酸、アルキッド樹脂等を挙げることができる
が、エポキシ樹脂を使用する場合には、フェノール樹脂
を用いることが好ましい。具体的には、フェノールノボ
ラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのフェノー
ル性水酸基2個以上を有するノボラック型フェノール樹
脂等が挙げられる。
【0065】硬化促進剤としては、エポキシ樹脂と硬化
剤との反応を促進する任意の促進剤を使用することがで
きる。例えば、各種のアミン類、イミダゾール類、ジア
ザビシクロアルケン類、有機ホスフィン類、ジルコニウ
ムアルコラート、およびジルコニウムキレートなどが挙
げられる。アミン類としては、N,N−ジメチルシクロ
ヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、
トリエチレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、
ジメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルア
ミン、およびトリスジメチルアミノメチルフェノール等
が挙げられ、イミダゾール類としては、2−メチルイミ
ダゾール、2−フェニルイミダゾール、ヘプタデシルイ
ミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチ
ルイミダゾール、および2−エチル−4−メチルイミダ
ゾール等が挙げられる。また、ジアザビシクロアルケン
類としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウ
ンデンセン−7(DBU)、およびDBUのフェノール
塩(例えば、U−CATSA No.1)等が挙げら
れ、有機ホスフィン類としては、トリフェニルホスフィ
ン(TPP)、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキ
シルホスフィン、およびメチルジフェニルホスフィンな
どが挙げられる。
【0066】これらの硬化促進剤のうちでは、電気特性
の点からトリフェニルホスフィン、ヘプタデシルイミダ
ゾールが特に好ましい。
【0067】可塑剤としては、例えば、パラフィン系
油、ナフテン系油、芳香族系油、ワックス、パインオイ
ル、パインタール、ピッチ、松脂、コールタール油、脂
肪酸、クマロン、インデン樹脂、およびフアクチス等が
挙げられる。
【0068】離型剤としては、炭化水素系ワックス、脂
肪酸系ワックス、脂肪酸アミド系ワックス、およびエス
テル系ワックス等が挙げられる。具体例としては、耐湿
性の点から、カルナバワックス、モンタンワックス等の
エステル系ワックスが好ましく、その他にステアリン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カ
ルシウムなどの長鎖カルボン酸及びそれらの金属塩、低
分子量ポリエチレンワックスなどが挙げられる。これら
の離型剤は単独で用いても、組み合わせて用いてもよ
い。
【0069】難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、無
機系の難燃剤を使用することができる。ハロゲン系難燃
剤は、主に臭素系と塩素系に大別され、好ましい臭素系
の難燃剤として、例えば、臭素化ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂などが挙げられる。この臭素系難燃剤は、塩
素系に比べて難燃効果が高く、三酸化アンチモンとの併
用効果が大きいので好ましい。なお、使用が好ましい塩
素系難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィンが挙げ
られる。
【0070】また、無機系難燃剤として使用が好ましい
ものとしては、赤リン、酸スズ、三酸化アンチモン、水
酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、およ
びカルシウムアルミネート水和物等が挙げられ、特に好
ましくは、三酸化アンチモンおよび水酸化アルミニウム
である。
【0071】本発明において、使用され得る充填材及び
低応力添加剤は、その最大粒子径が半導体素子封止後の
素子能動面側の樹脂厚さの90%以下であるものが望ま
しい。樹脂厚さ以上の粒子径のものを用いると、半導体
能動面に力がかかり、配線を切断するおそれがある。
【0072】充填材としては、無機質フィラーを使用す
ることができ、その形状は限定されない。すなわち、破
砕状、角の丸い破砕状、亜球状、球状、繊維状、燐片
状、および板状の無機質フィラを使用することができ
る。無機質フィラーの素材としては、酸化ケイ素、酸化
アルミニウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化マグ
ネシウム、酸化カルシウム、窒化アルミニウム、窒化ケ
イ素や、各種のガラス素材、およびセラミックス素材な
どを挙げることができる。これらの中では、純度の高い
酸化ケイ素素材、すなわち溶融シリカや結晶性シリカの
粉末が半導体封止用フィラとして好適に用いられる。高
発熱の半導体パッケージを封止する場合には、窒化アル
ミニウム、窒化ケイ素、およびアルミナ等のより熱伝導
性の高い無機質フィラーを使用することが好ましい。
【0073】本発明に用いられる樹脂には、種々の着色
剤を添加してもよい。着色剤としては、光を遮光するも
のとしては黒色の顔料の着色剤が好ましく、特にカーボ
ンブラックが好ましい。また、様々な色の着色剤を含む
樹脂を黒色の着色剤の樹脂と重ね合わせて用いることも
でき、無機顔料、有機顔料、および染料等を使用するこ
とができる。
【0074】無機顔料は、一般に色が鮮明でないが、耐
光性、耐熱性、および耐溶剤性に優れ、隠蔽力が大き
い。使用が好ましい無機顔料としては、以下のようなも
のが挙げられる。ZnO,TiO2 ,2PbCO3 ・P
b(OH)2 ,およびZnS+BaSO4 等の白色顔
料;PbCrO4 ,CdS+ZnO,およびK3 [Co
(No2 6 ]等の黄色顔料;PbCrO4 +PbSO
4 +PbMoO4 等の橙色顔料;CdS+CdSe,F
2 3 ,およびPb3 4 等の赤色顔料;KFe[F
e(CN)6 ],NaFe[Fe(CN)6 ],および
NH4 Fe[Fe(CN)6 ]等の青色顔料;CoO+
ZnO,およびCr2 3 等の緑色顔料;Fe3 4
の黒色顔料等である。さらに、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム、水酸化アルミニウム、バライト粉、アルミニウ
ム粉、およびブロンズ粉等の耐湿顔料が挙げられ、これ
らの顔料を単独で用いても複数の顔料を組み合わせて使
用することができる。
【0075】また使用が好ましい有機顔料としては、以
下に示すようなものが挙げられる。すなわち、アゾ系、
アントラキノン系、およびキナクリドン類等の赤色や橙
色顔料;トリフェニルメタン系レーキ、オキサジン染
料、およびアントラキノン染料等の紫色顔料;フタロシ
アニン顔料、インダントロンなアントラキノン染料、お
よびトリフェニルメタン系レーキ等の青色顔料;フタロ
シアニン系、およびアントラキノン系等の緑色顔料;黒
色はアニリンの酸化縮合物であるダイヤモンドブラック
等の黒色顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で
用いても複数の顔料を組み合わせて用いても良い。
【0076】また、本発明においては、未硬化樹脂を無
機系および有機系の各種の織布で強化して使用すること
もできる。
【0077】無機系としては、ガラス、石英、炭素繊
維、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アル
ミナ、ジルコニア、およびチタン酸カリウム繊維等が挙
げられ、有機系としては、ナイロン系、アクリル系、ビ
ニロン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、アラミ
ド系、フェノール系、レーヨン系、アセテート系、綿、
麻、絹、および羊毛などが挙げられる。これらの材料
は、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
【0078】本発明の半導体装置の第1の態様に用いら
れる未硬化樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、難
燃剤、硬化促進剤、着色剤、充填材・低応力添加剤、そ
の他の材料を粉砕、混合、溶融することによって製造す
ることができる。
【0079】さらに、溶融後の樹脂をロールにかけるこ
とによって、シート状に成形して用いる。
【0080】得られた樹脂シートは非常に脆いので、所
定の大きさに切断する際には、以下のような手段を用い
ることが好ましい。まず樹脂シートを離型紙上で加熱
し、冷えた刃を押し当てることにより切断する、また
は、樹脂シートは室温のままとし、加熱した刃を用いて
切断する。樹脂シートまたは刃の加熱温度は、樹脂の硬
化が進行しない程度に樹脂を充分に溶融させる温度が好
ましく、具体的には、70℃〜130℃が好ましい。
【0081】また、ガラス織布などの織布で強化したプ
リプレグを使用する場合には、樹脂、硬化剤、硬化促進
剤、難燃剤、充填材、その他の材料をアセトンなどの溶
剤に溶解して適当な濃度の溶液を調製し、この溶液を織
布に塗布するか、溶液中に織布を含浸させ、放置、加
熱、又は減圧下において、溶媒を揮発させることにより
プリプレグを作製することができる。
【0082】本発明の樹脂封止型半導体装置における樹
脂層は、成形後には、低弾性率の樹脂を用いる点に特徴
を有する。
【0083】これらの低弾性率の樹脂は、熱時強度が大
幅に低下するため、従来のトランスファ成形法で成形す
ると、離型時にパッケージが壊れたり、パッケージの搬
送に用いるランナー部の樹脂が柔らかくなり、搬送が困
難となる。しかしながら、樹脂シートを用いた成形法で
は、図1に示す内側金型8によりパッケージを型からエ
ジェクトできるため、トランスファ成形法のような、ピ
ンを用いたエジェクト法よりもパッケージに対するダメ
ージが大幅に少なくなる。さらに、ランナー部を有しな
いこの封止方法では、樹脂の低弾性率化による熱時強度
の低下の影響をほとんど受けない。
【0084】溶剤中に溶解した樹脂を用いるポッティン
グ法では、低弾性率化するためにゴムを用いて封止する
と、成形時にその大きく柔らかな網目構造中に溶剤が残
留してしまうために、パッケージとしての信頼性を低下
させる。さらに、低弾性率化のためにMBS等のゴム粒
子を封止樹脂中に分散したものを用いる場合には、溶剤
を加えることでその分散させたゴム粒子が再び凝集する
ことにより、封止樹脂としての均一性を失い、樹脂とし
ての強度を低下させる。また、ポッティング法では、溶
剤を蒸発させるために通常樹脂を200μm以下にして
おり、TCP(Tape Carrier Packa
ge)タイプのみを封止していた。しかし、BGAパッ
ケージでは、一般に、ワイヤーボンディングタイプであ
るため、そのワイヤーを十分覆う樹脂厚が最低でも50
0μm以上必要であり、ポッティング法での封止は不可
能である。さらに、ポッティング法では、成形後の寸法
精度が低いという欠点がある。
【0085】したがって、樹脂シートを用いて封止する
方法を用いることにより、これらの欠点をカバーして、
低弾性率樹脂を用いて封止することができる。
【0086】次に、本発明の半導体装置の第2の態様に
ついて説明する。
【0087】第2の態様において使用されうる未硬化樹
脂としては、第1の態様と同様の熱硬化性樹脂、さら
に、熱可塑性樹脂、ゴム、およびエンジニアリングプラ
スチックスなどが挙げられる。
【0088】ここで用いられる未硬化樹脂は、複素弾性
率およびTanδの値が限定されない以外は、上述の第
1の態様の場合と同様の材料を用いてシート状に製造す
ることができる。すなわち、例えば、エポキシ樹脂、硬
化剤、難燃剤、硬化促進剤、充填材、低応力添加剤、お
よびその他の材料を粉砕、混合、溶融してロールにかけ
ることによって作成することができる。
【0089】なお、シートの寸法および厚さは、基板の
裏面に設けられたバンプ電極の寸法う等に応じて、適宜
選択することができる。
【0090】得られたシートは、第1の態様の場合と同
様にして所定の寸法に切断した後、片面に収縮防止板を
取り付けて封止に用いる。
【0091】シート状の未硬化樹脂の片面に取り付け得
る収縮防止板の材質としては、金属、セラミックス、お
よびプラスチックなどが挙げられる。
【0092】金属としては、弾性率が高く、さらに放熱
性を考慮すると熱伝導性の高いものが好ましい。具体的
には、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、クロ
ム、亜鉛、スズ、銀、金、鉛、マグネシウム、チタン、
ジルコニア、タングステン、モリブデン、コバルト、ス
テンレス、42ニッケル−鉄合金、真鍮、ジュラルミン
などこれらの金属の合金が挙げられる。ただし、パッケ
ージの薄型化を指向する場合は、特に薄型に加工でき、
かつ軽量の材料を用いることが望ましい。
【0093】このように片面に収縮防止板を取り付けた
樹脂シートを用いて、半導体装置を製造するに当たって
は、図4に示すような工程にしたがって行なうことがで
きる。
【0094】まず、図4(a)に示すように、半導体素
子3がボンディングワイヤ4によって実装された基板1
の上に、収縮防止板11が取り付けられた封止用樹脂シ
ート5を配置する。なお、基板1の裏面には、入出力端
子用のはんだバンプ2が二次元に配列されている。
【0095】次に、図4(b)に示すように外側金型7
を締め、パッケージとの隙間を埋めてバリの発生を抑え
る。最後に、図4(c)に示すように内側金型8を締め
て、加圧しながら樹脂を硬化させることによって、第2
の態様の樹脂封止型半導体装置が得られる。
【0096】この方法によると、半導体チップを接続し
た基板と収縮防止板との間に樹脂シートが挟まれるの
で、収縮防止板の弾性率、厚さ、および熱膨張率を適切
な値に設定することによって、成形後に反りがないパッ
ケージが得られる。
【0097】なお、このように板を取り付けた樹脂シー
トで封止する場合には、板の弾性率をa3 (Pa)、厚
さをt3 (mm)、熱膨張係数をb3 (1/K)とし、
半導体チップを接続した回路基板の弾性率、厚さ、およ
び熱膨脹係数を、それぞれa2 (Pa)、t2 (m
m)、およびb2 (1/K)とすると、以下の式に示さ
れる様な関係であることが望まれる。
【0098】 0.8<a3 3 3 /a2 2 2 <1.2 以上、半導体装置の封止に着目してパッケージ基板の反
りを低減する方法を説明したが、基板の反りを低減する
方法は、これに限定されるものではない。すなわち、チ
ップを実装した基板表面の封止に加えて、パッケージ基
板と回路基板との間に熱硬化性樹脂シートを挟んで加熱
圧着することによって、基板の反りを低減することもで
きる。
【0099】この場合、回路基板と前記基板の間に配置
される実装樹脂、および半導体チップを接続した基板の
表面を封止する封止樹脂の特性を適切な値に設定するこ
とによって、実装後に反りが少なくなり、実装時におけ
る不良発生率を低減することができる。特性としては、
樹脂の弾性率、厚さ、および熱膨張率が挙げられ、具体
的には、成形後の封止樹脂の弾性率をa4 (Pa)、厚
さをt4 (mm)、熱膨張係数をb4 (1/K)とし、
実装後の樹脂の弾性率をa5 (Pa)、厚さをt5 (m
m)、熱膨張係数をb5 (1/K)とすると、以下の式
に示されるような関係であることが望まれる。
【0100】 0.8<a4 4 4 /a5 5 5 <1.2 なお、実装に用いる樹脂シートは、予めはんだ端子に対
応する部分に開孔部を設けておくことが好ましいが、は
んだ端子は、樹脂シートに比較して硬いボールであるた
めに変形が少ない。そのため、開孔部を設けない樹脂シ
ートを用いても圧力をかけてはんだ端子を樹脂シートに
押し付けて、シートに穴を開けて下の回路基板まで達し
て接続することができる。
【0101】樹脂シートを用いた実装方法の具体例を図
5に示す。
【0102】まず、図5(a)に示すように、半導体素
子3がボンディングワイヤ4によって実装され、封止用
樹脂シート5によって実装面が封止された基板1と、回
路基板12の間に実装用樹脂シート6を配置する。
【0103】次に、図5(b)に示すように上下の金型
9および10で加熱圧着することによって樹脂を硬化さ
せる。パッケージと回路基板との間に配置された樹脂
が、接続を強固にするので、パッケージの多少の反りや
変形を戻して基板を平らにすることができる。
【0104】上述のように、パッケージ基板と回路基板
との間に樹脂シートを配置して電子回路装置を製造する
場合には、シートの厚さ方向において熱膨脹係数に傾斜
を与えることによって、パッケージ基板の反りを防止す
るとともに、バンプ接続部に発生する応力歪みを段階的
に緩和し、装置の信頼性をさらに向上させることができ
る。
【0105】以下、厚さ方向において熱膨張係数を段階
的に異にした樹脂シートを用いた本発明の電子回路装置
を詳細に説明する。
【0106】本発明の電子回路装置に用いられるパッケ
ージ基板は、その裏面に入出力端子用のはんだバンプが
二次元に配列されているものであれば、その材質は限定
されない。例えば、プラスチック、フィルムキャリア、
およびセラミックス等を使用することができる。
【0107】基板に実装される半導体素子の種類は、特
に限定されない。
【0108】また、BGAパッケージ基板に半導体チッ
プを接続する方法は特に限定されるものではなく、ワイ
ヤボンディング、フリップチップ技術等を使用すること
ができる。なお、フリップチップ技術により実装する場
合には、半導体チップと回路基板との間に樹脂を充填す
ることが好ましい。
【0109】半導体チップが実装されたパッケージ基板
の表面は、樹脂封止またはメタルキャップにより封止さ
れていてもよい。
【0110】パッケージ基板の裏面には、例えば、以下
に示すようにしてはんだバンプを形成することができ
る。すなわち、パッケージを反転し、スクリーン印刷用
のメタルマスクを用いて、モジュール基板の電極パッド
に対応する部分にペーストを塗布印刷後、全体をリフロ
ーする。ここで、はんだペーストの代わりにはんだボー
ルを用いてもよい。
【0111】本発明の電子回路装置に用いられるBGA
パッケージの一例を、図6(a)に示す。BGAパッケ
ージ21においては、AlNからなるパッケージ基板2
2の表面に半導体チップ23がボンディングイヤ27に
より接続されており、さらに、樹脂キャップ27によっ
て封止されている。また、パッケージ基板22の裏面に
は、はんだバンプ25が形成されている。
【0112】また、BGAパッケージを実装するための
回路配線基板の材質は、特に限定されるものではない。
例えば、ガラスエポキシ、ポリイミド、アルミナ、およ
び窒化アルミ等を使用することができる。
【0113】図6(b)に回路配線基板の一例を示す。
図示するように、ガラスエポキシ製の回路配線基板28
の表面に、電極パッド29が形成されている。
【0114】本発明において、パッケージ基板と回路配
線基板との間に配置される樹脂シートは、熱硬化性樹脂
であれば、任意の樹脂を使用することができる。具体的
には、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹
脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹
脂、アクリル樹脂、およびノボラック樹脂等が挙げられ
る。
【0115】本発明に用いられる樹脂シートは、例え
ば、樹脂、硬化剤、充填材、硬化触媒、および必要に応
じてその他の添加剤を粉砕、混合、溶融した後、ロール
にかけることによって製造することができる。
【0116】硬化剤としては、エポキシ樹脂を使用する
場合には、フェノール樹脂を使用することが好ましい。
また、充填材としては、石英フィラ、溶融フィラ等が挙
げられ、フィラの粒径は、0.1〜200μm程度とす
ることができる。硬化触媒としては、例えば、トリフェ
ニルホスフィン、ヘプタデシルイミダゾール、および
N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられ
る。
【0117】本発明の電子回路装置に用いられる樹脂シ
ートは、厚さ方向における熱膨張係数を段階的に変化さ
せて傾斜を与えたものであり、この樹脂シートにおける
熱膨張係数の値は、パッケージ基板および回路配線基板
の熱膨張係数の値の間であることが好ましい。
【0118】樹脂シートの厚さ方向での熱膨張係数の値
は、前述の充填材の量をシートの厚さ方向で段階的に変
えることによって変化させることができ、熱膨張係数を
段階的に変化させた複数のシートを積層して製造するこ
とが好ましい。この場合、積層されるシートの枚数は多
いほど好ましいが、少なくとも3層あれば、バンプ接続
部に発生する応力を緩和することができる。
【0119】また、樹脂シートにおける熱膨張係数の変
化の方向は、パッケージ基板と回路配線基板との熱膨張
係数に応じて選択することができる。例えば、ガラスエ
ポキシ製(熱膨張係数:40×10-6ppm/℃)の回
路配線基板の上に、AlN(熱膨張係数:5×10-6
pm/℃)基板で構成されるパッケージを実装する場合
には、パッケージ基板側から回路配線基板側に向けて樹
脂シートの熱膨張係数を増加させると、応力を分散し、
パッケージ基板裏面のバンプ形成面および回路配線基板
表面のパッシベーション膜の剥離を防止することができ
る。樹脂シートにおける熱膨張係数の変化の方向が逆の
場合には、パッケージが搭載される部分の回路配線基板
部分の反りを小さくできるという効果が得られるのでよ
り好ましい。
【0120】なお、パッケージ基板の熱膨張係数と回路
配線基板の熱膨張係数との関係が上述と逆の場合には、
樹脂シートにおける熱膨張係数の変化の方向も逆とする
ことが好ましい。
【0121】前述の樹脂シートは、その寸法を縦横寸法
が搭載するパッケージ基板の縦横寸法に比較して20%
〜40%大きくすることが好ましい。この範囲内である
と、パッケージ基板と回路配線基板の熱膨張係数の相異
に起因して発生する応力を、4辺均一に分散させること
によって、一辺に集中するのを避けることができるの
で、パッケージが回路配線基板から剥離することを防止
できる。
【0122】なお、樹脂シートの厚さは、バンプ電極の
寸法に応じて適宜選択することができ、特に限定される
ものではない。
【0123】本発明の電子回路装置に用いられる樹脂シ
ートは、図7(a)に示すように、パッケージのバンプ
に対応した位置に貫通孔41を設けることが好ましい。
なお、A−A´における断面を図7(b)に示す。樹脂
シート40には、貫通孔41が形成されているので、パ
ッケージ基板のバンプ電極と回路配線基板のパッド電極
との間に樹脂が残留することなく、より確実に接続する
ことができる。
【0124】バンプ電極のはんだ組成が共晶組成に近く
融点が低い場合には、加圧時にはんだが変形してバンプ
電極と回路配線基板の電極パッドとの接触が不完全とな
るおそれがあるが、樹脂シートに貫通孔を設けることに
よって、このような接触不良は防止される。したがっ
て、バンプ電極と電極パッドとを確実に電気的に接続す
ることができる。
【0125】貫通孔は、バンプ電極の直径と同寸法で形
成することが好ましいが、±5μm程度の差があっても
よい。
【0126】このような貫通孔は、エッチングを用いて
樹脂シートに形成することができるが、100μmピッ
チ以上の孔の場合には、プレスを用いた一括法で孔開け
することが望ましい。
【0127】さらにバンプピッチが狭いパッケージを回
路配線基板に実装する場合には、前述の貫通孔を有する
シートを用いても、バンプ電極と電極パッドとの接続が
不完全となるので、バンプ電極高さを高くした高アスペ
クト比バンプを形成するのが困難になる場合がある。
【0128】このような場合には、図7(c)に示すよ
うに、バンプ電極の対応する位置に設けられた貫通孔4
1中に金属導体43が埋め込まれた樹脂シートを用いる
ことが好ましい。これによって、樹脂シート中にはんだ
バンプを埋設する必要がなくなり、バンプ電極と回路配
線基板の電極パッドとの接続を確実に実施できる。な
お、この場合、樹脂シート中に埋設されている金属導体
の上部が、接続するはんだ体積量より大きい体積で、樹
脂平坦面より若干凹形状を有していることが望ましい。
【0129】貫通孔に埋め込まれる金属としては、バン
プと同じ組成のはんだが最も望ましいが、バンプと同じ
Pb/Snはんだであれば、任意の組成のはんだを使用
することができる。場合によっては、Au,Cu,N
i,Ag,Ti,あるいはこれらの組み合わせによる積
層金属を用いることもできる。
【0130】次に、図面を参照して、上述の樹脂シート
を用いた本発明の電子回路装置の製造方法を説明する。
【0131】図8〜9に、本発明の電子回路装置の製造
工程を表わす断面図を示す。
【0132】まず、図8(a)に示すように、回路配線
基板28をヒータ32で加熱し、その実装面には、未硬
化性の樹脂シート30を、例えば、10kg/mm2
加圧しつつ配置する。これによって、樹脂シート30を
回路配線基板28の表面に接着することができ、位置合
わせ後に樹脂シートが所定の位置から移動することはな
い。
【0133】次に、ハーフミラーを有して位置合わせを
行うボンダーを用いて、図8(b)に示すように、回路
配線基板28上に配置された樹脂シート30の上に、B
GAパッケージ21のバンプ電極25と、回路配線基板
28の対応する電極パッド29とを位置合わせする。な
お、回路配線基板28下のヒータ32およびパッケージ
を保持するコレット34は、180℃に加熱されている
が、バンプ電極25は共晶温度より低いため、はんだバ
ンプ電極が溶融することはない。
【0134】続いて、図9(a)に示すように、コレッ
トを下方に移動し、半溶融した樹脂シート30中にバン
プ電極25が配置するように、例えば、30kg/mm
2 で加圧して、パッケージ21のバンプ電極25と回路
配線基板28の電極パッド29とを接触させる。さらに
温度を上昇させることによってはんだを溶融し、回路配
線基板28の電極パッド29とバンプ電極25とを接続
する。
【0135】以上の工程を実施することにより、図9
(b)に示す電子回路装置35が得られる。
【0136】なお、上述の製造方法では、ボンディング
ワイヤーによって半導体チップがパッケージ基板に実装
されたBGAパッケージを回路配線基板に実装したが、
半導体チップの実装方法は、これに限定されるものでは
ない。例えば、フリップチップ実装法により半導体チッ
プが接続されたBGAパッケージを用いることもでき、
この場合に得られる電子回路装置の例を図10に示す。
なお、この場合には、図示するように、半導体チップ2
3とパッケージ基板22の隙間には、樹脂38が配置さ
れていることが望ましい。
【0137】
【作用】本発明の樹脂封止型半導体装置は、成形後の弾
性率とTanδとを限定した樹脂を用いて封止している
ので、反りを低減したBGAパッケージを得ることがで
き、実装時の不良発生率を大幅に低減できる。
【0138】特に、成形後の形に近いように予めシート
状に加工した樹脂を使用する場合には、成形時の樹脂の
移動距離がトランスファ成形法に比べて非常に小さく、
しかも樹脂を流すためのランナーなどを設ける必要がな
いので、樹脂の粘度を高めることができる。したがっ
て、未硬化樹脂をシート状に加工し、プレス金型内で半
導体素子に加熱・加圧しながら硬化させて封止すること
によって、基板の反りを防止するとともに、バリの発生
を防止することもできる。
【0139】さらに、低弾性率化によるパッケージの熱
時強度の低下で、トランスファ法では困難となる搬送や
エジェクトの問題を、シートを用いた方法では金型の平
面でエジェクトする方法を採用することにより解決でき
る。
【0140】樹脂の物性を限定しない場合でも、一方の
面に収縮防止板を取り付けた樹脂シートを用いることに
よって、半導体素子を実装した基板と前記収縮防止板と
の間に挟まれた状態で樹脂を硬化させることができるの
で、反りを防止したパッケージが得られる。
【0141】したがって本発明によれば、樹脂封止型半
導体装置の信頼性を長期にわたって保証することができ
る。
【0142】また、本発明の電子回路装置においては、
BGAパッケージ基板と回路配線基板との間に、厚さ方
向における熱膨張係数に傾斜を有する樹脂シートを配置
しているので、バンプ接続部に発生する応力を段階的に
緩和することができる。その結果、電子回路装置の信頼
性寿命を向上させることが可能になる。
【0143】さらに、未硬化樹脂を予めシート状に成形
して使用しているので、間隙に液体状樹脂を含浸させる
場合にように長時間を必要としなくなり、製造コストの
削減にもつながる。このように樹脂をシート状に成形す
ることによって、樹脂中に含有されるフィラの粒径が大
きい場合でも、BGAパッケージと回路配線基板との間
に容易に樹脂を配置することができる。
【0144】液体状の樹脂を用いた場合には、含浸が充
分でないために、パッケージ基板と回路配線基板との間
隙部分に樹脂を均一に配置することが困難であるばかり
でなく、間隙部分にボイドが残ることに起因して十分な
信頼性が得られないという問題があったが、本発明にお
いては、寸法が定められた未硬化性の樹脂シートを回路
配線基板上に配置した後、この樹脂シートの上にパッケ
ージを搭載して圧力を加えながら封止を行うので、樹脂
を間隙部分に均一に配置することができ、しかも、ボイ
ドが残ることもない。
【0145】したがって、バンプ接続部に発生する応力
歪みを低減して、電子回路装置の信頼性を向上させるこ
とができる。
【0146】
【実施例】以下、本発明の具体例を示して、本発明をよ
り詳細に説明する。
【0147】(実施例I)まず、原料として、以下に示
す各成分を用い、それぞれに示す割合で配合し樹脂シー
トを作成した。
【0148】(樹脂1)シリコンゴムとしてのジメチル
ポリシロキサン(東芝シリコーン社製、TSE200)
100部に、加硫剤としての有機過酸化物であるベンゾ
イルパーオキサイドを3部加え、さらに充填材として溶
融シリカ(GR−80AK)を350部、シランカップ
リング剤としてA−187(UCC社製)を3.5部、
着色剤としてカーボンブラック(CB−30)を1.5
部加え、各成分を2本ロールを用い45℃で混練して、
未硬化シリコンゴム組成物を得た。
【0149】この樹脂の成型後の室温における弾性率は
2.5×108 Paであり、熱膨張率は3.3×105
(1/K)であり、Tanδは0.22であった。
【0150】(樹脂2)弗素ゴムとしてビニリデンフロ
ライドとヘキサフルオロプロピレン(デュポン社製、V
iton A)を100部用い、加硫剤として過酸化物
である過酸化ベンゾイルを2.5部加え、さらに充填材
として溶融シリカ(GR−80AK)を350部、シラ
ンカップリング剤としてA−187(UCC社製)を
3.5部、着色剤としてカーボンブラック(CB−3
0)を1.5部加え、各成分を2本ロールを用い130
℃で混練して、未硬化弗素ゴム組成物を得た。
【0151】この樹脂の成型後の室温における弾性率は
3.0×108 Paであり、熱膨張率は3.1×105
(1/K)であり、Tanδは0.25であった。
【0152】(樹脂3)エポキシ樹脂としてESX−2
21(住友化学製、エポキシ当量220、軟化点85
℃)を70部、難燃性エポキシ樹脂としてAER−74
5(旭化成社製、臭素化エポキシ樹脂)を30部、フェ
ノール樹脂としてXL−225L(三井東圧化学製、フ
ェノールアラルキル樹脂、軟化点84℃、水酸基当量1
80)を56部、シランカップリング剤としてA−18
7(UCC社製)を3.5部、着色剤としてカーボンブ
ラック(CB−30)を1.5部、硬化促進剤としてC
17Z(四国化成製、ヘプタデシルイミダゾール)を2
部、シリコーンゲルとして加熱硬化タイプ付加型シリコ
ーンゲルを14部、MBS平均粒径30μmを45部、
離型剤としてエステルワックスを2部、難燃剤として三
酸化アンチモンを14部、充填材として溶融シリカGR
−80AKを370部用いた。シリコーンゲルおよびM
BSは予め硬化剤に分散させて用いた。すなわち、万能
混合機中でフェノール樹脂を軟化点以上の温度で加熱溶
融し、シリコーンゲルおよびMBS粉末を添加した後、
撹拌・混合し、さらに3本ロールにて混練し、均一に分
散させ、最大粒子径を小さくした。その後、各成分を2
本ロールで混練して、未硬化樹脂組成物を得た。
【0153】この樹脂の成型後の室温における弾性率は
2.40×109 Paであり、熱膨張率は2.4×10
5 (1/K)であり、Tanδは0.13であった。
【0154】(樹脂4)シリコーンゲルとして、加熱硬
化タイプ付加型シリコーンゲルを12部、MBS平均粒
径30μmを40部用いた以外は、前述の樹脂組成3と
同様の配合で未硬化樹脂組成物を得た。
【0155】この樹脂の成型後の室温における弾性率は
3.80×109 Paであり、熱膨張率は2.2×10
5 (1/K)であり、Tanδは0.09であった。
【0156】(樹脂5)シリコーンゲルとして、加熱硬
化タイプ付加型シリコーンゲルを10部、MBS平均粒
径30μmを30部用いた以外は、前述の樹脂組成3と
同様の配合で未硬化樹脂組成物を得た。
【0157】この樹脂の成型後の室温における弾性率は
6.10×109 Paであり、熱膨張率は2.0×10
5 (1/K)であり、Tanδは0.06であった。
【0158】(樹脂6)シリコーンゲルとして、加熱硬
化タイプ付加型シリコーンゲルを7部、MBS平均粒径
30μmを10部用いた以外は、前述の樹脂組成3と同
様の配合で未硬化樹脂組成物を得た。
【0159】この樹脂の成型後の室温における弾性率は
1.20×1010Paであり、熱膨張率は1.8×10
5 (1/K)であり、Tanδは0.04であった。
【0160】(樹脂7)シリコーンゲルとして、加熱硬
化タイプ付加型シリコーンゲルを2部、MBS平均粒径
30μmを5部用いた以外は、前述の樹脂組成3と同様
の配合で未硬化樹脂組成物を得た。
【0161】この樹脂の成型後の室温における弾性率は
1.60×1010Paであり、熱膨張率は1.4×10
5 (1/K)であり、Tanδは0.03であった。
【0162】上述の樹脂1〜7の組成物を、それぞれプ
レスを用いて所定の厚さのシートに圧延し、さらに80
0μmの厚さまで圧延して一枚の樹脂シートを得た。次
に、加熱したシートに冷えた刃を押し当てることによっ
て、32mm×32mmの大きさに切断した。
【0163】(実施例I−1)BGA(出入力端子39
6ピン、1.5mmピッチ、ガラスエポキシ製基板の熱
膨張係数1.2×10-5)の半導体チップ(15mm×
15mm×400μm)の上に樹脂1の組成の封止用樹
脂シートを配置し、プレス金型内で182℃、1分間加
熱圧着した。さらに、190℃で8時間アフターキュア
して、パッケージを得た。得られたパッケージの樹脂部
の大きさは、35mm×35mmであり、その厚さは1
200μmであった。
【0164】その後、はんだリフローによって、パッケ
ージを実装基板(ガラスエポキシ製)に実装した。実装
後のパッケージと基板の間隔は410μmであった。
【0165】(実施例I−2)BGA(出入力端子39
6ピン、1.5mmピッチ、ガラスエポキシ製基板の熱
膨張係数1.2×10-5)の半導体チップ(15mm×
15mm×400μm)の上に樹脂2の組成の封止用樹
脂シートを配置し、プレス金型内で190℃、3分間加
熱圧着した。さらに、180℃で8時間アフターキュア
して、パッケージを得た。
【0166】得られたパッケージの樹脂部の大きさは、
35mm×35mmであり、その厚さは1200μmで
ある。
【0167】その後、はんだリフローによって、パッケ
ージを実装基板(ガラスエポキシ製)に実装した。実装
後のパッケージと基板の間隔は410μmであった。
【0168】(実施例I−3)BGA(出入力端子39
6ピン、1.5mmピッチ、ガラスエポキシ製基板の熱
膨張係数1.2×10-5)の半導体チップ(15mm×
15mm×400μm)の上に樹脂3の組成の封止用樹
脂シートを配置し、プレス金型内で182℃、1分間加
熱圧着した。さらに、180℃で8時間アフターキュア
して、パッケージを得た。
【0169】得られたパッケージの樹脂部の大きさは、
35mm×35mmであり、その厚さは1200μmで
あった。
【0170】その後、はんだリフローによって、パッケ
ージを実装基板(ガラスエポキシ製)に実装した。実装
後のパッケージと基板の間隔は410μmであった。
【0171】(実施例I−4)BGA(出入力端子39
6ピン、1.5mmピッチ、ガラスエポキシ製基板の熱
膨張係数1.2×10-5)の半導体チップ(15mm×
15mm×400μm)の上に樹脂4の組成の封止用樹
脂シートを配置し、プレス金型内で182℃、1分間加
熱圧着した。さらに、180℃で8時間アフターキュア
して、パッケージを得た。
【0172】得られたパッケージの樹脂部の大きさは、
35mm×35mmであり、その厚さは1200μmで
あった。
【0173】その後、はんだリフローによって、パッケ
ージを実装基板(ガラスエポキシ製)に実装した。実装
後のパッケージと基板の間隔は410μmであった。
【0174】(実施例I−5)BGA(出入力端子39
6ピン、1.5mmピッチ、ガラスエポキシ製基板の熱
膨張係数1.2×10-5)の半導体チップ(15mm×
15mm×400μm)の上に樹脂5の組成の封止用樹
脂シートを配置し、プレス金型内で182℃、1分間加
熱圧着した。さらに、180℃で8時間アフターキュア
して、パッケージを得た。
【0175】得られたパッケージの樹脂部の大きさは、
35mm×35mmであり、その厚さは1200μmで
あった。
【0176】その後、はんだリフローによって、パッケ
ージを実装基板(ガラスエポキシ製)に実装した。実装
後のパッケージと基板の間隔は410μmであった。
【0177】(実施例I−6)BGA(出入力端子39
6ピン、1.5mmピッチ、AlN基板の熱膨張係数
0.4×10-5)の半導体チップ(15mm×15mm
×400μm)の上に樹脂1の組成の封止用樹脂シート
を配置し、182℃、1分間プレス金型で加熱圧着し
た。さらに、180℃で8時間アフターキュアして、パ
ッケージを得た。
【0178】得られたパッケージの樹脂部の大きさは、
35mm×35mmであり、その厚さは1200μmで
あった。
【0179】その後、はんだリフローによって、パッケ
ージを実装基板(ガラスエポキシ製)に実装した。実装
後のパッケージと基板の間隔は410μmであった。
【0180】(実施例I−7)BGA(出入力端子39
6ピン、1.5mmピッチ、ガラスエポキシ製基板の熱
膨張係数1.2×10-5)の半導体チップ(15mm×
15mm×400μm)の上に樹脂6の組成の封止用樹
脂シート、および収縮防止板としての銅板(厚さ200
μm)を配置し、プレス金型内で182℃、1分間加熱
圧着した。さらに、180℃で8時間アフターキュアし
て、パッケージを得た。
【0181】得られたパッケージの樹脂部の大きさは、
35mm×35mmであり、その厚さは1400μmで
あった。
【0182】その後、はんだリフローによってパッケー
ジを実装基板(ガラスエポキシ製)に実装した。実装後
のパッケージと基板の間隔は410μmであった。
【0183】(実施例I−8)BGA(出入力端子39
6ピン、1.5mmピッチ、ガラスエポキシ製基板の熱
膨張係数1.2×10-5)の半導体チップ(15mm×
15mm×400μm)の上に樹脂7の組成の封止用樹
脂シート、および収縮防止板としてのステンレス板(厚
さ200μm)を配置し、プレス金型内で182℃、1
分間加熱圧着した。さらに、180℃で8時間アフター
キュアして、パッケージを得た。
【0184】得られたパッケージの樹脂部の大きさは、
35mm×35mmであり、その厚さは1400μmで
あった。
【0185】その後、はんだリフローによりパッケージ
を実装基板(ガラスエポキシ製)に実装した。実装後の
パッケージと基板の間隔は410μmであった。
【0186】(比較例I−1)BGA(出入力端子39
6ピン、1.5mmピッチ、ガラスエポキシ製基板の熱
膨張係数1.2×10-5)の半導体チップ(15mm×
15mm×400μm)の上に樹脂6の組成の封止用樹
脂シートを配置し、プレス金型内で182℃、1分間加
熱圧着した。さらに、180℃で8時間アフターキュア
して、パッケージを得た。
【0187】得られたパッケージの樹脂部の大きさは、
35mm×35mmであり、その厚さは1200μmで
あった。
【0188】その後、赤外線リフローによりパッケージ
を実装基板(ガラスエポキシ製)に実装した。実装後の
パッケージと基板との間隔は410μmであった。
【0189】(比較例I−2)BGA(出入力端子39
6ピン、1.5mmピッチ、ガラスエポキシ製基板の熱
膨張係数1.2×10-5)の半導体チップ(15mm×
15mm×400μm)の上に樹脂7の組成の封止用樹
脂シートを配置し、プレス金型内で182℃、1分間加
熱圧着した。さらに、180℃で8時間アフターキュア
して、パッケージを得た。
【0190】得られたパッケージの樹脂部の大きさは、
35mm×35mmであり、その厚さは1200μmで
あった。
【0191】その後、赤外線リフローによりパッケージ
を実装基板(ガラスエポキシ製)に実装した。実装後の
パッケージと基板の間隔は410μmであった。
【0192】以上の実施例I−1〜I−8、および比較
例I−1〜I−2で得られたパッケージ、実装後のパッ
ケージを用いて以下のような試験を行った。
【0193】1)冷熱サイクル試験 作成したパッケージを冷熱サイクルに供し、デバイスの
動作特性をチェックして不良発生率を調べた。なお、冷
熱サイクルは、−65℃〜室温〜150℃を1サイクル
とし、これを100〜1000サイクル繰り返した。
【0194】2)実装後の冷熱サイクル試験 実装後のパッケージを冷熱サイクルに供し、デバイスの
動作特性をチェックして不良発生率を調べた。なお、冷
熱サイクルは、−65℃〜室温〜150℃を1サイクル
とし、これを100〜1000サイクル繰り返した。
【0195】3)パッケージの反り測定 パッケージの成型後の反りを図3(a)に示す方法で測
定した。
【0196】4)実装後のパッケージの反り測定 パッケージの実装後の反りを図3(b)に示す方法で測
定した。
【0197】以上の試験および測定の結果を、下記表1
にまとめる。
【0198】
【表1】 表1に示したように、成形後の弾性率およびTanδが
所定の範囲である樹脂を用いた実施例I−1〜I−6の
パッケージは、反りの割合が小さく、6%を越えること
がないので、冷熱サイクル試験での不良はほどんど発生
しない。反りの割合は、実装後にはより小さくなるの
で、冷熱サイクル試験における不良発生率は低く、信頼
性が非常に良好である。
【0199】板材を取り付けた樹脂シートを用いた実施
例I−7および実施例I−8のパッケージの場合も同様
に、反りの割合が小さいので、冷熱サイクル試験、実装
後の冷熱サイクル試験において不良発生率が低く、高い
信頼性が得られたことがわかる。
【0200】これに対して、成形後の弾性率およびTa
nδが本発明の範囲外である樹脂6および7を用いた比
較例I−1〜I−2は、200時間の冷熱サイクル試験
で不良が発生しており、十分な信頼性が得られていな
い。これらの比較例のパッケージは、いずれも反りの割
合が10%程度と大きく、この大きな反りに起因して、
不良発生率が高いことがわかる。また、実装後における
冷熱サイクル試験での不良発生率も高い。
【0201】(実施例II)以下、本発明の具体例を示
し、本発明の電子回路装置をより詳細に説明する。
【0202】(樹脂シートの製造)まず、クレゾールノ
ボラックタイプのエポキシ樹脂(EOCN−195X
L;住友化学社製)100重量部、硬化剤としてのフェ
ノール樹脂54重量部、充填剤としての溶融シリカ35
0重量部、触媒としてのベンジルジメチルアミン0.5
重量部、その他の添加剤としてカーボンブラック3重量
部、およびシランカップリング剤3重量部を粉砕、混
合、溶融してロールにかけ、さらにこれを35×35m
mにカットして厚さ50μmの未硬化性樹脂シートを作
製した。得られた樹脂シートをシートaとした。
【0203】さらに、溶融シリカの割合を変える以外
は、前述と同様の組成で同様の膜厚の2種類のシートを
作製した。なお、溶融シリカの割合は、それぞれ200
重量部および100重量部とし、得られた樹脂シートを
それぞれシートbおよびcとした。
【0204】樹脂シートa〜cの熱膨張係数は、それぞ
れ以下のとおりであった。
【0205】 シリカ含有量(重量部) 熱膨張係数(ppm/℃) 樹脂シートa 350 26×10-6 樹脂シートb 200 31×10-6 樹脂シートc 100 36×10-6 このような熱膨張係数を有する樹脂シートa、bおよび
cを、この順番で積層し、150μmの厚さを有する実
装用樹脂シートを得た。なお、積層する際には、温度を
硬化温度以上に保持しないことによって、樹脂を未硬化
状態に保つ。溶融シリカの含有量が積層方向で互いに異
なるため、厚さ方向において熱膨張係数を段階的に異に
した実装用樹脂シートが得られる。
【0206】この実装用樹脂シートの熱膨張係数が小さ
い側(樹脂シートa)がガラスエポキシ製基板に接する
ように配置し、予め半導体チップを表面に実装したBG
Aパッケージを、前述の図7および8に示す工程により
ガラスエポキシ製基板に実装し、得られた電子回路装置
を実施例II−1とした。
【0207】なお、パッケージ基板としては、30mm
角で裏面に256ピンの端子を有するAlN製を使用し
た。ここで、パッケージ基板であるAlN、およびモジ
ュール基板であるガラスエポキシの熱膨張係数は、それ
ぞれ、5×10-6(ppm/℃)および40×10
-6(ppm/℃)である。
【0208】さらに、前述とは逆に、実装用樹脂シート
の熱膨張係数が大きい側(樹脂シートc)がガラスエポ
キシ製基板に接するように配置した以外は同様にして、
実施例II−2の電子回路装置を製造した。
【0209】得られた電子回路装置について、冷熱サイ
クル試験を行ない、256ピンの中で1箇所でも接続が
オープンになった場合を不良として信頼性を評価した。
なお、サンプル数は1000個とし、−25℃(30
分)〜25℃(5分)〜125℃(30分)〜25℃
(5分)を1サイクルとして試験を行なった。サイクル
数と累積不良率との関係を、図11に示す。
【0210】図11中、曲線aおよびbは、それぞれ実
施例II−1および実施例II−2の結果を表わす。
【0211】また、曲線c、dおよびeは、以下のよう
な条件で、実施例と同様のパッケージを同様のガラスエ
ポキシ製基板に実装して得られた比較例の電子回路装置
についての結果である。
【0212】曲線c:樹脂シート用いず 曲線d:フィラを含有しない樹脂シート(厚さ150μ
m) 曲線e:フィラ含有量40%の樹脂シート(厚さ150
μm) 図11に示すように、本発明の電子回路装置(曲線aお
よびb)は、3000サイクルまでは不良が発生しない
ことがわかる。特に、熱膨張係数の大きなモジュール基
板に、実装用樹脂シートの熱膨張係数の小さい側が接す
るように配置した場合(曲線a)の場合には、不良の発
生が小さい。
【0213】これに対して、樹脂封止を行わなかった試
料(曲線c)は、500サイクルで不良が発生し、10
00サイクル以上で100%不良となった。
【0214】樹脂シートを用いた場合(曲線d)、およ
び樹脂中にフィラを均一に含有させた場合(曲線e)に
は、曲線cと比較して信頼性が向上しているものの、3
000サイクルでの不良の発生率は、75%を越えてい
る。
【0215】次に、パッケージの周囲に存在する実装用
樹脂シートの寸法と、信頼性寿命との関係を、パッケー
ジ基板およびモジュール基板の材質を変化させて調べ
た。
【0216】図12に、得られた結果を示す。なお、試
料は、前述の実施例II−1と同様にして製造し、試料の
形状、個数、および信頼性試験環境は、いずれも前述の
図10場合と同様にして試験を行なった。信頼性は、累
積不良が50%を示すNf50で評価した。
【0217】曲線f、g、hおよびiは、それぞれ次の
ように、パッケージ基板とモジュール基板とを組み合わ
せた場合の結果を表わす。
【0218】 パッケージ基板 モジュール基板 曲線f AlN ガラスエポキシ 曲線g アルミナ ガラスエポキシ 曲線h ガラスエポキシ ガラスエポキシ 曲線i AlN ガラスエポキシ (但し、熱膨張係数が均一な樹脂を配置した) いずれの組み合わせについても、パッケージの周囲に存
在する樹脂シートの寸法が20%未満の場合には、パッ
ケージ基板から剥がれる不良が発生し、一方、樹脂シー
トの寸法が40%より大きい場合には、樹脂全体が回路
配線基板から剥がれる不良が発生した。パッケージの周
囲に存在する樹脂シートの寸法がパッケージの縦横寸法
に比較して20%〜40%の場合には、いずれの例にお
いても高い信頼性寿命が得られた。
【0219】続いて、パッケージの寸法と、信頼性寿命
Nf50の結果を調べ、図13に示した。なお、パッケー
ジの寸法を変える以外は、前述の実施例II−1と同様に
して電子回路装置を製造し、これについての測定結果を
曲線jで表わした。
【0220】さらに、本発明の実装用樹脂シートに代え
て50μmのフィラを50%添加した樹脂シートを用い
て実装した場合、および樹脂シートを用いずに実装した
場合について、同様に測定し、それぞれ曲線kおよびm
で表わした。
【0221】図13に示すように、本発明の電子回路装
置(曲線j)では、20mm角を越えるパッケージの場
合でも、不良はほとんど発生しないが、均一にフィラが
添加された樹脂を用いた場合(曲線k)では、15mm
角を越えると、不良の発生が多くなる。また、樹脂シー
トを用いずに実装した場合(曲線m)では、10mm角
を越えると不良の発生する。
【0222】図14には、パッケージに配置されるバン
プ数と、バンプ接続率との関係を表わす。
【0223】図中、曲線n1 は、前述の実施例II−1と
同様にして製造した電子回路装置についての結果を表わ
す。曲線o1 は、同様の実装用樹脂シートのバンプ部に
貫通孔を形成した場合の結果を表わし、さらに、曲線p
1 は、樹脂シートに設けられた貫通部に金属導体として
のはんだを埋め込んだ場合の結果を表わす。
【0224】図14に示すように、熱膨張係数の差を有
する樹脂シートのみの場合(曲線n1 )は、バンプ電極
数が1000個を越えると接続率が低下し始めるが、貫
通孔が設けられたシートを用いた場合(曲線o1 )で
は、1500個のバンプ電極数までは、接続率が低下し
ない。さらに、貫通孔に金属導体が埋め込まれた樹脂シ
ートを用いた場合(曲線p1 )では、電極数が2000
個を越えても、バンプ接続率はほとんど低下しない。
【0225】図15には、バンプ電極高さと接続抵抗値
との関係を表わす。
【0226】図中、曲線n2 は、前述の実施例II−1と
同様にして製造した電子回路装置についての結果を表わ
す。曲線o2 は、同様の実装用樹脂シートのバンプ部に
貫通孔を形成した場合の結果を表わし、さらに、曲線p
2 は、樹脂シートに設けられた貫通孔に金属導体として
のはんだを埋め込んだ場合の結果を表わす。
【0227】図15に示すように、貫通孔が設けられて
いない樹脂シートを用いた場合(曲線n2 )には、25
mmの高さのバンプでも接続抵抗値は1桁近く大きく、
バンプ電極高さが高くなるにしたがって、接続抵抗値は
さらに増加する。貫通孔を有する樹脂シートを用いた場
合(曲線o2 )では、25mmの高さの抵抗値は小さい
ものの、バンプ電極高さが高くなるにしたがって、前述
の曲線n2 の場合と同様に増加する。貫通孔に金属導体
が埋め込まれた樹脂シートを用いた場合(曲線p2 )で
は、接続抵抗値はほとんど増加せず一定の値を示す。
【0228】以上の結果から、バンプ電極び対応した位
置に貫通孔を有する樹脂シートを用いることによって、
バンプ電極数およびバンプ高さが増加した場合でも、バ
ンプ電極と回路配線基板の電極パッドとを、より確実に
接続することができることがわかる。さらに、樹脂シー
トに設けられた貫通孔に金属導体を埋め込むことによっ
て、電気的接続をよりいっそう確実にすることができ
る。
【0229】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
成形後の弾性率が非常に小さい樹脂を用いて封止するこ
とによって、または、片面に収縮防止板を取り付けた樹
脂シートを用いて封止することによって、基板の反りを
防止したBGAパッケージが提供される。このようなパ
ッケージを回路基板に実装した際には、接続部の信頼性
を向上させた電子回路装置を得ることができる。
【0230】さらに、BGAパッケージと回路配線基板
との間隙に厚さ方向における熱膨張係数を段階的に異に
した樹脂シートを配置することによって、電子回路装置
のバンプ接続部に発生する応力歪みを緩和させ、信頼性
寿命を向上させることができる。
【0231】かかるパッケージおよび電子回路装置は、
種々の機器に適用可能であり、その工業的価値は絶大で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂封止型半導体装置の製造工程の一
例を示す断面図。
【図2】(a)弾性と粘性との力学的な組合わせ模型図
を示す図。 (b)応力振幅と歪み振幅との位相関係を示す図。
【図3】パッケージの反りを示す図。
【図4】本発明の樹脂封止型半導体装置の製造工程の他
の例を示す断面図。
【図5】本発明の電子回路装置の製造工程の一例を示す
断面図。
【図6】本発明の電子回路装置に用いられるBGAパッ
ケージおよび回路配線基板を示す断面図。
【図7】本発明の電子回路装置に用いられる樹脂シート
を示す図。
【図8】本発明の電子回路装置の製造工程を示す断面
図。
【図9】本発明の電子回路装置の製造工程を示す断面
図。
【図10】本発明の電子回路装置の他の例を示す図。
【図11】サイクル数と累積不良率との関係を示す図。
【図12】樹脂シートの寸法と疲労寿命サイクル数との
関係を示す図。
【図13】パッケージ寸法と疲労寿命サイクル数との関
係を示す図。
【図14】接続バンプ数とバンプ接続率との関係を示す
図。
【図15】バンプ高さと接続抵抗値との関係を示す図。
【図16】従来の電子回路装置を示す図。
【符号の説明】
1…ボールグリッドアレイ基板,2…はんだ端子,3…
半導体チップ 4…ボンディングワイヤ,5…封止用樹脂シート,6…
実装用樹脂シート 7…外側金型,8…内側金型,9…上側金型,10…下
側金型 11…収縮防止板,12…回路基板,13…封止樹脂,
14…はんだパッド 21…ボールグリッドアレイパッケージ,22…パッケ
ージ基板 23…半導体チップ,25…バンプ電極,26…樹脂キ
ャップ 27…ボンディングワイヤ,28…回路配線基板,29
…電極パッド 30…樹脂シート,32…加熱ヒータ 33…パッケージ実装用マウンターヘッド,34…加圧
ヒータ 40…樹脂シート,41…貫通孔,42…樹脂シート,
43…金属導体 51…回路配線基板,52…半導体チップ,53…バン
プ,54…樹脂。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 善積 章 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 山田 浩 神奈川県横浜市磯子区新磯子町33番地 株式会社東芝生産技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭57−188852(JP,A) 特開 昭62−149157(JP,A) 特開 昭63−254790(JP,A) 特開 平2−237141(JP,A) 特開 平5−129474(JP,A) 特開 平6−104311(JP,A) 特開 平6−349893(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 23/29 H01L 21/60 H01L 23/31

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 裏面に入出力端子用のはんだバンプが二
    次元に配列された基板と、この基板の表面に実装された
    半導体素子とを具備し、前記半導体素子が実装された基
    板の表面を、片面に収縮防止板が取り付けられた樹脂シ
    ートで封止したことを特徴とする樹脂封止型半導体装
    置。
  2. 【請求項2】 裏面に入出力端子用のはんだバンプが二
    次元に配列されたパッケージ基板、およびこの基板の表
    面に実装された半導体素子を含む半導体パッケージと、
    前記パッケージを接続搭載するための回路配線基板とを
    具備する電子回路装置において、 前記パッケージ基板と回路配線基板との間隙に、厚さ方
    向において段階的に熱膨張係数を異にする熱硬化性樹脂
    シートを配置したことを特徴とする電子回路装置。
  3. 【請求項3】 前記間隙に配置される熱硬化性樹脂シー
    トは、前記パッケージ基板の縦横寸法に対して20乃至
    40%縦横寸法が大きい請求項2に記載の電子回路装
    置。
  4. 【請求項4】 前記樹脂シートは、前記パッケージ基板
    の裏面に二次元に形成されたバンプ電極に対応した位置
    に貫通孔が形成されている請求項2または3に記載の電
    子回路装置
  5. 【請求項5】 前記樹脂シートに設けられた貫通孔内に
    金属導体が埋め込まれた請求項4に記載の電子回路装
    置。
  6. 【請求項6】 表面に電極パッドが形成された回路配線
    基板上に、厚さ方向における熱膨張係数を異にする未硬
    化の熱硬化性樹脂シートを加圧しつつ配置する工程、 裏面に入出力端子用のはんだバンプが二次元に配列され
    たパッケージ基板と、その表面に実装された半導体素子
    とを含む半導体パッケージを、前記はんだバンプが前記
    回路配線基板の電極パッドに対応するように、前記樹脂
    シート上に位置合わせして搭載する工程、 前記樹脂シートを介して半導体パッケージが搭載された
    回路配線基板に、金型内で熱および圧力を加えることに
    よって、樹脂シートを軟化させるとともに、パ ッケージ
    基板のはんだバンプとこれに対応する電極パッドとを接
    触させる工程、および 熱および圧力をさらに上昇させる
    ことによって、はんだを溶融して回路配線基板の電極パ
    ッドとバンプ電極とを電気的に接続しつつ、前記樹脂シ
    ートを硬化させる工程を少なくとも具備する電子回路装
    置の製造方法。
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